(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記細菌感染が、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、又はモラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)に起因する、請求項2に記載の医薬組成物。
【背景技術】
【0002】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は深刻であり、且つ増加しつつある地球規模の健康問題である。2020年までに、COPDは世界中で最も一般的な死因の第6位(現在)から第3位に増加するであろう。米国では、COPDは1年当たり120,000の死亡数にまで該当すると考えられる。COPDの臨床経過は、病原体、吸入された刺激物質(たとえば、タバコ煙)、アレルゲン、又は汚染物質への曝露を含む様々な刺激によって引き起こされ得る間欠的な急性増悪を伴う慢性障害により特徴付けられる。「急性増悪」とは、正常な日差変動を超え、発症が急性である、被験者(subject)自身の普通の状態からのCOPD症状の悪化を称する。急性COPDの増悪は、COPDの被験者の健康及び生活の質に大幅に影響を及ぼす。COPDの急性増悪は、本疾患の関連する実質的な社会経済的コストの高まりを主として担うものである。複数の研究で、事前増悪(prior exacerbation)は、COPDで将来入院することに対しては独立した危険因子であることも示されている。結論としてCOPDの増悪は、被験者に対するそれらの長期の有害作用、疾患進行の促進、及び医療費高騰の点で極めて重要である。しかしながら現在に至るまで、COPDの急性増悪の処置のための方法はない。
【0003】
それらの遺伝子及びタンパク質構造に基づき、IL−19、IL−20及びIL−24は、IL−10サイトカインファミリーでサブファミリー、すなわちIL−22に非常に近縁のIL−20サイトカイン類を形成している。IL−19及びIL−20は、上皮細胞及び抗原提示細胞上に存在するIL−20R1及びIL−20R2鎖からなるレセプター複合体を介して作用する。IL−20及びIL−24はさらに、第二レセプター複合体(IL−22R1/IL−20R2)を介してシグナル伝達することができる。近年の報告で、IL−20サイトカイン類は、乾癬、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、虚血性発作、及び腎不全などの炎症性疾患に関わる炎症誘発性サイトカインとして機能することが示されている。このサイトカインファミリーは、上皮細胞の成長及び分化に影響を及ぼすが、いくつかのケモカイン、抗微生物ペプチド及び成長因子の誘導も行う。それらの起源及びそれらの特性を考えると、これらのサイトカインはおそらく、粘膜免疫及び創傷治癒の際の免疫細胞と常在細胞との間のクロストークをコントロールする。しかしながらIL−20サイトカイン類の役割は、COPDの急性増悪において全く精査されていない。
【0004】
[課題を解決するための手段]
本発明は、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の処置のための方法及び医薬組成物に関する。特に、本発明は請求項によって規定される。
【0005】
[発明を実施するための形態]
細菌感染は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む肺の炎症性障害における疾患増悪の主因である。本疾患において、細菌感受性はTh17サイトカインの欠陥に関連し、一方IL−20サイトカイン類が肺において過剰発現されている。平行して、IL−20サイトカイン類に対する免疫抑制の役割は、感染への感受性を改変するような治療ターゲットとなり得る感染時に確認される。
【0006】
したがって、本発明は、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪を、それを必要とする被験者において処置する方法であって、被験者にIL−20サイトカイン類のアンタゴニストの治療上有効量を投与することを含む方法に関する。
【0007】
本願明細書で使用する場合、「急性増悪」の用語は、当該技術分野における一般的な意味を有し、正常な日差変動を超え、発症が急性である、被験者の自身の普通の状態からのCOPD症状の悪化を称する。典型的には、COPDの急性増悪は、呼吸困難の悪化、痰の生成増加、痰膿の増加、痰の色の変化、咳嗽の増加、風邪及び咽喉痛を含む上気道症状、喘鳴の増加、胸部絞扼感、運動耐性の低下、疲労、体液貯留、及び急性錯乱から選択される1以上の症状を呈し、本発明の方法は、前記症状の1以上の頻度、重症度又は継続期間を低減することを含む。急性増悪には種々の病因があり得るが、典型的にはウイルス感染、細菌感染、又は大気汚染によって引き起こされ得る。たとえば、急性増悪のおよそ50%は細菌、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、及びモラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis(それらすべてが、肺炎を引き起こす)に主に起因するものである。COPDの被験者における急性増悪に関連するウイルス性病原体としては、ライノウイルス、インフルエンザ、パラインフルエンザ、コロナウイルス、アデノウイルス、及び呼吸器多核体ウイルスが挙げられる。
【0008】
いくつかの実施形態では、COPDの急性増悪は細菌感染によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、COPDの急性増悪はウイルス感染によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、COPDの急性増悪は大気汚染によって引き起こされる。
【0009】
いくつかの実施形態では、被験者は、COPDの急性増悪を体験したか、又はCOPDの急性増悪を体験するリスクにある。いくつかの実施形態では、被験者は過去24カ月に少なくとも1回のCOPDの急性増悪を体験している。一つの特定の実施形態では、被験者は過去12カ月に少なくとも1度のCOPDの急性増悪を体験している。いくつかの実施形態では、被験者は増悪患者(exacerbator)である。本願明細書で使用する場合「頻回増悪患者」の用語は、COPDに罹患するか又はその処置を受けており、且つ12カ月の間に少なくとも2回、より典型的には3回以上の急性増悪を体験している被験者を称する。
【0010】
いくつかの実施形態では、「処置すること」とは、ヒトにおいて、COPDの急性増悪を処置すること、COPDの急性増悪の頻度、継続期間又は重症度を低減すること、COPDの急性増悪の1以上の症状を処置すること、COPDの急性増悪の1以上の症状の頻度、継続期間又は重症度を低減すること、COPDの急性増悪の発生を防止すること、又はCOPDの急性増悪の1以上の症状の発生を防止することを称する。頻度、継続期間又は重症度の低減は、本発明の方法にかかる処置を受けていない、同じヒトにおける急性増悪又は症状の頻度、継続期間又は重症度に対するものである。急性増悪の頻度、継続期間若しくは重症度又は急性増悪の1以上の症状の低減は、COPD被験者を処置する経験がある、通常の知識を有する臨床医による臨床的観察によって、又は処置を受けている被験者による主観的な自己評価によって測定され得る。通常の知識を有する臨床医による臨床的観察としては、肺機能や、被験者を最も好適な状態に維持するために介入が必要とされる頻度、並びに被験者を最も好適な状態に維持するために必要とされる入院の頻度及び入院期間の、客観的計測を挙げることができる。典型的には、被験者による主観的な自己評価は、業界で認知され、且つ/又はFDAで認可された被験者報告アウトカム(PRO)ツールを用いて集められる。このようなツールは、被験者が具体的な症状又は生活の質の他の主観的な指標を評価すること可能とし得る。1つの被験者報告アウトカムツールの例は、Exacerbations from Pulmonary Disease Tool(EXACT−PRO)であり、これが現在、FDAと協議して製薬産業スポンサー連合と共にUnited BioSource Corporationによって、急性細菌性増悪における臨床的応答を評価するために開発されているところである。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記処置は予防的処置である。本願明細書で使用する場合、「予防的処置」の用語は、その目的が疾患を防止することである、任意の医療手順又は公衆衛生手順を称する。本願明細書で使用する場合、「防止する」、「防止」及び「防止すること」の用語は、所定の状態がもたらされる若しくはそれを患うリスクの低減、又は罹病していないが当該疾患の被験者であるかそれに近い被験者における当該状態若しくは再発の低減若しくは阻害を称する。
【0012】
本願明細書で使用する場合、「IL−20サイトカイン類」の用語は、当該技術分野における一般的な意味を有し、IL−19(例示ヒトNCBI参照配列:NP_715639.1)、IL−20(例示ヒトNCBI参照配列:NP_061194.2)及びIL−24(例示ヒトNCBI参照配列:NP_006841.1)を含むIL−10サイトカインファミリーのサブファミリーを称する。IL−20サイトカイン類は、IL−22に非常に近縁である。IL−19及びIL−20は、上皮細胞及び抗原提示細胞上に存在するIL−20R1及びIL−20R2鎖からなるレセプター複合体を介して作用する。IL−20及びIL−24はさらに、第二レセプター複合体(IL−22R1/IL−20R2)を介してシグナル伝達することができる。IL−20サイトカイン類に対するヒトレセプターの例としては、hIL−20R1(CRF2−8としても知られる;IL−20RA;IL−20R−α)(例示ヒトNCBI参照配列:NP_055247.3)、hIL−20R2(IL−20RBとしても知られる;IL−20R−β)(例示ヒトNCBI参照配列:NP_653318.2)及びhIL−22R1(例示NCBI参照配列:NP_067081.2)が挙げられる。より具体的には、IL−20サイトカイン類に対するヒトレセプターの配列は、たとえば、米国特許第6,610,286号;7,122,632号;7,393,684号;及び7,537,761号;並びに米国特許出願公開第2006/026385A1号;2006/0263851A1号;2008/0247945A1号、及び2009/0074661A1号に報告されている。
【0013】
本願明細書に記載される方法において使用されるべき「IL−20サイトカイン類のアンタゴニスト」は、IL−20サイトカイン類に対する細胞応答の誘出及び/又はレセプター結合などの、IL−20サイトカイン類のシグナル伝達により媒介される下流の経路を含む、IL−20サイトカイン類の生物活性を阻止、抑制、又は低減する(「有意に」を含む)分子である。このように「IL−20サイトカイン類のアンタゴニスト」の用語は、いかなる生物学的作用の具体的なメカニズムも含意せず、また直接、間接を問わずIL−20サイトカイン類とレセプターとのあらゆる可能な薬理学的、生理学的、及び生化学的相互作用を明確に含み、且つ包含すると判断される。本開示の目的のため、「IL−20サイトカイン類のアンタゴニスト」の用語は、あらゆる既に同定された条件(terms)、タイトル、並びに機能的状態及び特性で、それによりIL−20サイトカイン類それら自体、IL−20サイトカイン類の生物活性(COPDの急性増悪の間にIL−17及びIL−22サイトカインび発現をコントロールするその能力を含むが、これらに限定されない)、又は当該生物活性の結果が、たとえば、実質的にゼロになる、低減する、又は少なくとも20%、50%、70%、85%、90%、100%、150%、200%、300%、若しくは500%又は10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、若しくは10
4倍のいずれの有意義な程度でも中和されるものを包含することは、明示的に理解されるはずである。
【0014】
IL−20サイトカイン類の例示アンタゴニストとしては、IL−20サイトカインに対しての抗体、IL−20サイトカインに対するアンチセンス核酸分子(IL−20をコードする核酸に対するアンチセンス核酸を含む)、IL−20サイトカインをコードする核酸に対する低分子干渉RNA(siRNA)、IL−20サイトカインをコードする核酸に対するマイクロRNA、IL−20サイトカインのレセプターに対しての抗体(たとえば、IL−20R1、IL−20R2、IL−22RI又はこれにより形成される二量体複合体に特異的に結合する抗体)、IL−20サイトカインに対するレセプターのサブユニットに対するアンチセンス核酸分子、IL−20サイトカインに対するレセプターのサブユニットをコードする核酸に対するsiRNA又はマイクロRNAが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、IL−20サイトカイン類のアンタゴニストは、IL−20サイトカイン又はレセプターに結合して、そのレセプターとサイトカインとの間の複合体の形成を防止し、これによりシグナル伝達経路を阻害する。いくつかの実施形態では、IL−20サイトカイン類のアンタゴニストは、IL−20サイトカインの合成及び/又は生成(遊離)を阻害又は低減する。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明のIL−20サイトカイン類のアンタゴニストは、IL−22R1レセプターに対しての抗体、IL−22R1をコードする核酸に対するアンチセンス核酸分子、IL−22R1レセプターをコードする核酸に対する低分子干渉RNA(siRNA)、IL−22R1レセプターをコードする核酸に対するマイクロRNAではない。このようにして、IL−22のシグナル伝達経路は妨害されない。
【0016】
いくつかの実施形態では、IL−20サイトカイン類のアンタゴニストは抗体である。たとえば、本願明細書に開示される抗体は、ヒトIL−20サイトカイン又はIL−20サイトカインに対するヒトレセプターのサブユニットの1つ(たとえば、IL−20R1)などのターゲット抗原を特異的に結合する。いくつかの実施形態では、IL−20サイトカイン類のアンタゴニストは、抗IL−19抗体、抗IL−20抗体、抗IL−24抗体、抗IL20R1抗体、及び抗IL20R2抗体からなる群より選択される。
【0017】
ターゲット又はエピトープ(本明細書において互換的に使用される)に「特異的に結合する」抗体は、当該技術分野で良く理解される用語であり、このような特異結合を求める方法もまた当該技術分野で周知である。分子は、代替ターゲットとの場合よりも、特定のターゲット抗原とより頻繁に、より迅速に、より長い継続期間で、及び/若しくはより高親和性でそれが反応するか又は会合すれば、「特異結合」を呈すると称される。抗体は、それが他の物質に結合するよりも高親和性、アビディティーで、より迅速に、及び/又はより長い継続期間で結合すれば、ターゲット抗原に「特異的に結合する」。たとえば、エピトープに特異的に(又は優先的に)結合する抗体は、それがIL−20サイトカインに存在する他のエピトープ(又はそのレセプターサブユニット)又はIL−20サイトカインに存在しないエピトープ(又はそのレセプターサブユニット)に結合する場合よりも、より高親和性、アビディティーで、より迅速に、及び/又はより長い継続期間でこのエピトープを結合する抗体である。本定義を読むことにより、たとえば、第一ターゲット抗原に特異的に結合する抗体は、第二ターゲット抗原に特異的に又は優先的に結合してもしなくてもよいことも理解される。このように、「特異結合」又は「優先結合」は、必ずしも排他的結合を含む可能性はあるがそれを必要とするわけではない。必ずではないが一般に、結合を言及する場合、優先結合を意味する。
【0018】
「抗体」の用語はこのように、抗原結合領域を有する任意の抗体様分子を称するのに用いられ、また本用語には、Fab’、Fab、F(ab’)2などの抗原結合ドメイン含む抗体フラグメント、単一ドメイン抗体(DABs)、TandAbs二量体、Fv、scFv(単鎖Fv)、dsFv、ds−scFv、Fd、直鎖状抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体フラグメント、ビボディ(bibody)、トリボディ(tribody)(scFv−Fab融合体、それぞれ二重特異性又は三重特異性);sc−ダイアボディ;カッパ(ラムダ)ボディ(scFv−CL融合体);BiTE(Bispecific T-cell Engager、T細胞を誘引するscFv−scFvタンデム);DVD−Ig(二重可変ドメイン抗体、二重特異性フォーマット);SIP(小免疫タンパク質、ミニボディの一種);SMIP(「小モジュラー免疫薬(small modular immunopharmaceutical)」scFv−Fc二量体;DART(ds-安定化ダイアボディ「Dual Affinity ReTargeting」);1以上のCDRを含む低分子擬似抗体などが含まれる。種々の抗体ベースの構築体及びフラグメントを調製及び使用するための技術は、当該技術分野で周知である(Kabat et al., 1991(参照により具体的に本明細書に組み入れられる)を参照のこと)。ダイアボディはとりわけ、欧州特許第404、097号及び国際公開公報第93/11161号にさらに記載されており;直鎖状抗体はZapata et al. (1995)にさらに記載されている。抗体は、従来の技術を使用して断片化されることが可能である。たとえば、F(ab’)2フラグメントは、抗体をペプシンで処理することによって生成されることが可能である。得られたF(ab’)2フラグメントに、ジスルフィド架橋を還元する処理をしてFab’フラグメントを生成することができる。パパイン消化で、Fabフラグメントの形成を導くことができる。Fab、Fab’及びF(ab’)2、scFv、Fv、dsFv、Fd、dAbs、TandAbs、ds−scFv、二量体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体フラグメント及び他のフラグメントは、リコンビナント技術によって合成されることも可能であり、又は化学的に合成されることも可能である。抗体フラグメントを生成するための技術は、周知であって、当該技術分野において報告されている。たとえば、Beckman et al., 2006; Holliger & Hudson, 2005; Le Gall et al., 2004; Reff & Heard, 2001 ; Reiter et al., 1996; and Young et al., 1995の各々は、有効な抗体フラグメントをさらに記載しており、その生成を可能とするものである。
【0019】
天然抗体において、2つの重鎖がジスルフィド結合によって互いに連結されており、各重鎖はジスルフィド結合によって軽鎖に連結されている。2種の軽鎖、すなわちラムダ(l)及びカッパ(k)がある。抗体分子の機能活性を決定する、5つの主要な重鎖クラス(又はアイソタイプ):IgM、IgD、IgG、IgA及びIgEがある。各々の鎖は、別個の配列ドメインを含む。軽鎖は、2つのドメイン、すなわち可変ドメイン(VL)及び定常ドメイン(CL)を含む。重鎖は、4つのドメイン、すなわち可変ドメイン(VH)及び3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3、まとめてCHと呼ぶ)を含む。軽(VL)及び重(VH)鎖双方の可変領域が、抗原に対する特異性及び結合認識を決定する。軽(CL)及び重(CH)鎖の定常領域ドメインは、抗体鎖会合、分泌、胎盤通過移動性、補体結合、及びFcレセプター(FcR)への結合などの重要な生物学的特性を与える。Fvフラグメントは、免疫グロブリンのFabフラグメントのN末端部分であって、1つの軽鎖及び1つの重鎖の可変部分からなる。抗体の特異性は、抗体結合部位と抗原決定基との間の構造的相補性に存する。抗体結合部位は、本来は超可変又は相補性決定領域(CDR)からの残基で構成される。場合によって、非超可変又はフレームワーク領域(FR)からの残基が、全体のドメイン構造に、したがって結合部位に影響を及ぼす。相補性決定領域又はCDRは、ネイティブな免疫グロブリン結合部位の天然のFv領域の特異性及び結合親和性を共に規定するアミノ酸配列を称する。免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖は各々3つのCDRを有し、それぞれL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3及びH−CDR1、H−CDR2、H−CDR3と命名されている。抗原結合部位はそれゆえ6つのCDRを含み、重鎖及び軽鎖V領域の各々からのCDRセットを含んでいる。フレームワーク領域(FR)は、CDR間に介在するアミノ酸配列を称する。加えて、抗体におけるCDR領域の決定は、充分に当該技術分野の技術の範囲内である。CDRを決定するための技術として少なくとも2つ:(1)異種間配列変異性に基づくアプローチ(すなわち、Kabat et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, (5th ed., 1991, National Institutes of Health, Bethesda Md.));及び(2)抗原−抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Chothia et al. (1989) Nature 342:877; Al-lazikani et al (1997) J. Molec. Biol. 273:927-948))が挙げられる。本願明細書で使用する場合、CDRは、いずれかのアプローチ又は両方のアプローチの組み合わせによって定義されるCDRを称し得る。
【0020】
「Fab」の用語は、約50,000の分子量及び抗原結合活性を有する抗体フラグメントを意味し、プロテアーゼ、パパインでIgGを処理することにより得られるフラグメントのうち、H鎖のN末端側のおよそ半分とL鎖全体とが、ジスルフィド結合を介して結び付けられている。
【0021】
「F(ab’)2」の用語は、約100,000の分子量及び抗原結合活性を有する抗体フラグメントであって、プロテアーゼ、ペプシンでIgGを処理することにより得られるフラグメントのうち、ヒンジ領域のジスルフィド結合を介して結合されるFabよりもわずかに大きいものを称する。
【0022】
「Fab’」の用語は、約50,000の分子量及び抗原結合活性を有する抗体フラグメントであって、F(ab’)2のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断することにより得られるものを称する。
【0023】
単鎖Fv(「scFv」)ポリペプチドは、ペプチドをコードするリンカーにより連結される、VH及びVLをコードする遺伝子を含む遺伝子融合体から通常発現されている、共有結合されたVH::VLヘテロ二量体である。「dsFv」は、ジスルフィド結合によって安定化されたVH::VLヘテロ二量体である。二価び多価抗体フラグメントは、一価のscFvsの会合により自発的に形成できるか、又は二価のsc(Fv)2など、ペプチドリンカーによる一価のscFvのカップリングによって生成され得る。
【0024】
「ダイアボディ」の用語は、2つの抗原−結合部位を持つ小さい抗体フラグメントを言い、このフラグメントは、同じポリペプチド鎖(VH−VL)において軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖での2つのドメイン間の対合させるには短すぎるリンカーを使用することによって、それらのドメインは別の鎖の相補性ドメインと対合せざるを得ず、2つの抗原−結合部位を作る。
【0025】
モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein (Nature, 256:495, 1975)の方法を用いて生成され得る。本発明において有用なモノクローナル抗体を調製するために、マウス又は他の適切な宿主動物が好適な間隔(たとえば、週2回、週1回、月2回又は月1回)で、関連する抗原型(たとえば、IL−20サイトカイン又はレセプター)を用いて免疫付与される。動物には屠殺の1週間以内に抗原の最終「追加免疫」が投与されてもよい。免疫化の際、免疫アジュバントを使用するのが望ましいことが多い。好適な免疫アジュバントとして、フロインド不完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、ミョウバン、Ribiアジュバント、Hunter’s Titermax、QS21若しくはQuil Aなどのサポニンアジュバント、又はCpG含有免疫促進性オリゴヌクレオチドが挙げられる。他の好適なアジュバントは、当該技術分野において周知である。動物は、皮下、腹腔内、筋肉内、静脈内、鼻腔内又は他の経路によって免疫付与され得る。所定の動物は、複数の経路により複数の形態の抗原で免疫付与され得る。
【0026】
簡潔に言えば、リコンビナント抗原(たとえば、IL−20サイトカイン又はレセプター)は、リコンビナント細胞株での発現によって提供され得る。たとえば、レセプター(たとえば、IL−20R1又はIL−20R2)は、そのレセプターをそれら細胞の表面に発現するヒト細胞の形態で提供され得る。リコンビナント型のサイトカイン又はレセプターは、これまでに記載された任意の方法を使用して提供され得る。免疫レジメン後、動物の脾臓、リンパ節又は他の器官からリンパ球を単離し、ポリエチレングリコールなどの薬剤を使用して適切な骨髄腫細胞株と融合してハイブリドーマを形成する。融合後、記載されているように(Coding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice: Production and Application of Monoclonal Antibodies in Cell Biology, Biochemistry and Immunology, 3rd edition, Academic Press, New York, 1996)、標準的な方法を使用して、ハイブリドーマの成長を許容するが融合パートナーの成長は許容しない培地中に細胞を置く。ハイブリドーマの培養後、所望の特異性の(すなわち、抗原に選択的に結合する)抗体の存在について細胞上清を分析する。適切な分析技術としては、ELISA、フローサイトメトリー、免疫沈降及びウエスタンブロッティングが挙げられる。他のスクリーニング技術は、当技術分野で周知である。好ましい技術は、コンフォメーションがインタクトな、ネイティブでフォールディングされた抗原に対する抗体の結合を確認する技術、たとえば、非変性ELISA、フローサイトメトリー及び免疫沈降である。
【0027】
重要なことに、当技術分野で周知のように、抗体分子の小部分(パラトープ)のみが、抗体のそのエピトープへの結合に関与する(一般には、Clark, W. R. (1986) The Experimental Foundations of Modern Immunology Wiley Sons, Inc., New York; Roitt, I. (1991) Essential Immunology, 7th Ed., Blackwell Scientific Publications, Oxfordを参照のこと)。たとえば、Fc’領域及びFc領域は、補体カスケードのエフェクターであるが、抗原結合に関与しない。pFc’領域が酵素切断されたか又はpFc’領域を有さずに産生された抗体(F(ab’)2フラグメントと称される)は、インタクトな抗体の抗原結合部位の両方を保持する。同様に、Fc領域が酵素切断されたか又はFc領域を有さずに産生された抗体(Fabフラグメントと称される)は、インタクトな抗体分子の抗原結合部位の一方を保持する。さらにいうと、Fabフラグメントは、共有結合した抗体軽鎖及び抗体重鎖の一部(Fdと称される)からなる。Fdフラグメントは、抗体特異性の主要な決定基であり(単一のFdフラグメントは、抗体特異性を変化させることなく、最大10個の異なる軽鎖に結合され得る)、Fdフラグメントは、単独でエピトープ結合能を保持する。
【0028】
当技術分野で周知のように、抗体の抗原結合部分内に、抗原のエピトープと直接相互作用する相補性決定領域(CDR)、及びパラトープの三次構造を維持するフレームワーク領域(FR)が存在する(一般には、Clark, 1986; Roitt, 1991を参照のこと)。IgG免疫グロブリンの重鎖Fdフラグメント及び軽鎖の両方において、3つの相補性決定領域(CDR1〜CDRS)によってそれぞれ分断された4つのフレームワーク領域(FR1〜FR4)が存在する。CDR、特にCDRS領域、より具体的には重鎖CDRSは、抗体特異性の大部分を担う。
【0029】
元の抗体のエピトープ特異性を維持しながら、哺乳動物抗体の非CDR領域を同種特異的又は異種特異的抗体の類似領域で置換し得ることは、現在では当技術分野で十分に確立されている。これは、機能的抗体を生成するために、非ヒトCDRをヒトFR及び/又はFc/pFc’領域に共有結合する「ヒト化」抗体の開発及び使用において最も明確に認められる。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記抗体はヒト化抗体である。本願明細書で使用する場合、「ヒト化」は、CDR領域の外側のアミノ酸の一部、大部分又は全部がヒト免疫グロブリン分子由来の対応するアミノ酸で置換された抗体を示す。ヒト化の方法としては、米国特許第4,816,567号、米国特許第5,225,539号、米国特許第5,585,089号、米国特許第5,693,761号、米国特許第5,693,762号及び米国特許第5,859,205号(これらは、参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。上記米国特許第5,585,089号及び米国特許第5,693,761号並びに国際公開第90/07861号はまた、ヒト化抗体を設計するのに使用することができる4つの可能な基準を提案している。第1の提案は、アクセプターについて、ヒト化するべきドナー免疫グロブリンに対して非常に相同な特定のヒト免疫グロブリン由来のフレームワークを使用するか、又は多くのヒト抗体由来のコンセンサスフレームワークを使用することであった。第2の提案は、ヒト免疫グロブリンのフレームワークのアミノ酸が通常のものではなく、その位置のドナーアミノ酸がヒト配列に典型的なものである場合、アクセプターではなくドナーアミノ酸を選択し得ることであった。第3の提案は、ヒト化免疫グロブリン鎖における3つのCDRに直接隣接する位置において、アクセプターアミノ酸ではなくドナーアミノ酸を選択し得ることであった。第4の提案は、そのアミノ酸が、三次元抗体モデルにおけるCDRの3A内に側鎖原子を有すると予測され、CDRと相互作用することができると予測されるフレームワーク位置において、ドナーアミノ酸残基を使用することであった。上記方法は、当業者がヒト化抗体を作製するのに用いることができる方法の一部の単なる例示である。当業者であれば、抗体をヒト化するための他の方法を熟知しているであろう。
【0031】
いくつかの実施形態では、CDR領域の外側のアミノ酸の一部、大部分又は全部をヒト免疫グロブリン分子由来のアミノ酸で置換したが、1つ以上のCDR領域内の一部、大部分又は全部のアミノ酸は変更しない。アミノ酸のわずかな付加、欠失、挿入、置換又は修飾は、所定の抗原に結合する抗体の能力を無効化しない限り許容され得る。適切なヒト免疫グロブリン分子としては、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgM分子が挙げられる。「ヒト化」抗体は、元の抗体と同様の抗原特異性を保持する。しかしながら、Wu et al., /. Mol. Biol. 294:151, 1999(この内容は、参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているように、ある特定のヒト化法を使用して、抗体の結合の親和性及び/又は特異性は、「定向進化」の方法を使用して増加され得る。
【0032】
完全ヒトモノクローナル抗体はまた、ヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖遺伝子座の大部分がトランスジェニックなマウスを免疫することによって調製され得る。たとえば、米国特許第5,591,669号、米国特許第5,598,369号、米国特許第5,545,806号、米国特許第5,545,807号、米国特許第6,150,584号及びそれらで引用されている参照文献を参照のこと(これらの内容は、参照により本明細書に組み入れられる)。これらの動物は、内因性(たとえば、マウス)抗体の産生において機能的欠陥が存在するように遺伝子修飾されている。動物は、これらの動物を免疫すると目的の抗原に対する完全ヒト抗体が産生されるよう、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有するようにさらに修飾される。これらのマウス(たとえば、XenoMouse(Abgenix)、HuMAbマウス(Medarex/GenPharm))の免疫後、モノクローナル抗体は、標準的なハイブリドーマ技術に従って調製され得る。これらのモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリンアミノ酸配列を有するので、ヒトに投与した場合にヒト抗マウス抗体(KAMA)応答を誘起しないであろう。ヒト抗体を生産するためのin vitro方法も存在する。これらとしては、ファージディスプレイ技術(米国特許第5,565,332号及び米国特許第5,573,905号)及びヒトB細胞のin vitro刺激(米国特許第5,229,275及び米国特許第5,567,610号)が挙げられる。これらの特許の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0033】
したがって、当業者には明らかであるように、本発明はまた、F(ab’)2、Fab、Fv及びFdフラグメント;Fc及び/若しくはFR並びに/又はCDR1及び/若しくはCDR2及び/若しくは軽鎖CDR3領域が相同なヒト若しくは非ヒト配列で置換されたキメラ抗体;FR並びに/又はCDR1及び/若しくはCDR2及び/若しくは軽鎖CDR3領域が相同なヒト若しくは非ヒト配列で置換されたキメラF(ab’)2フラグメント抗体;FR並びに/又はCDR1及び/若しくはCDR2及び/若しくは軽鎖CDR3領域が相同なヒト若しくは非ヒト配列で置換されたキメラFabフラグメント抗体;並びにFR並びに/又はCDR1及び/若しくはCDR2領域が相同なヒト若しくは非ヒト配列で置換されたキメラFdフラグメント抗体を提供する。本発明はまた、いわゆる単鎖抗体を含む。
【0034】
種々の抗体分子及びフラグメントは、IgA、分泌性IgA、IgE、IgG及びIgMを非限定的に含む一般的に公知の免疫グロブリンクラスのいずれかに由来し得る。IgGサブクラスも当業者に周知であり、これらとしては、ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4が挙げられるが限定されない。
【0035】
抗体の結合親和性は、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、又は約50pMのいずれか未満、約2pM相当までであり得る。結合親和性は、KDすなわち解離定数で表されることができ、結合親和性の増加はKDの減少に対応する。抗体の結合親和性を求める一つの手段は、抗体の一官能性のFabフラグメントの結合親和性を測定することによる。一官能性のFabフラグメントを得るために、抗体(たとえば、IgG)はパパインで切断されるか又は組換えにより発現され得る。抗体の抗IL−20Fabフラグメントの親和性は、表面プラスモン共鳴により求められ得る(BIAcore3000(商標)表面プラスモン共鳴(SPR)システム、BIAcore, INC, Piscaway N.J.)。動的会合速度(kon)及び解離速度(koff)(通常、25℃で測定)を得て、平衡解離定数(KD)値をkoff/konとして計算する。
【0036】
抗IL−20抗体の例としては、米国特許第7,435,800号;7,115,714号;7,119,175号;7,151,166号;及び7,393,684号;及びPCT国際公開公報第2007/081465号;国際公開公報第99/27103号;国際公開公報第2004/085475号;及び国際公開公報第2005/052000号にに開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本願明細書に記載される抗IL−20抗体は抗IL−20抗体7Eであり、これはモノクローナル抗体mAb7E及びその機能性変種を称する。MAb7Eは、American Type Culture Collection, 10801 University Boulevard, Manassas, Va. 20110-2209, U.S.A.に寄託され、寄託番号PTA−8687を与えられたハイブリドーマ細胞系により生成される。このハイブリドーマ細胞系は、本願の米国特許が付与されれば、変更不可で無制限/無条件に、公に開放され、その特許の有効期間(enforceable life)に対する寄託の日から少なくとも30年間にわたり、又は直近の日以降(after the date of the most recent)5年間にわたり、ATCCにて維持されることになる。mAb7Eの機能性変種(等価物)は、mAb7Eと実質的に同じエピトープ結合特異性を有し、mAb7Eに対して、IL−20により媒介されるシグナル伝達経路を中和するその活性の少なくとも20%(たとえば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上)を呈する。いくつかの実施形態では、mAb7Eの機能性変種は、CDRの同じ特異性決定残基又はCDR全体などの、mAb7Eと同じ抗原結合を担う領域/残基を含む。抗原結合を担う領域/残基は、当該技術分野で公知の方法によって、上記したmAb7GW又はmAb51Dの重鎖/軽鎖配列のアミノ酸配列から同定され得る。たとえば、www.bioinf.org.uk/abs; Almagro, J. Mol. Recognit. 17:132-143 (2004);及びChothia et al., J. Mol. Biol. 227:799-817 (1987)を参照されたい。
【0037】
いくつかの実施形態では、本願明細書に記載される方法において使用される抗IL20R1抗体は、モノクローナル抗体mAb7GW又はmAb51Dのものと同じ重鎖及び軽鎖可変領域(VH及びVL)を有する抗体、当該モノクローナル抗体、その抗原結合フラグメント、又は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許公開第2011/0256093号に開示されるmAb7GW若しくはmAb51Dのいずれかの機能的等価物である。mAb7GW又はmAb51Dの機能的等価物は、mAb7GW又はmAb51Dと同じエピトープ−結合特異性を有し、mAb7GW又はmAb51Dに対して、IL−20R1により媒介されるシグナル伝達経路を中和するその活性の少なくとも20%(たとえば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上)を呈する。いくつかの実施形態では、mAb7GW又はmAb51Dの機能性等価物は、CDRの同じ特異性決定残基又はCDR全体などの、mAb7GW又はmAb51Dと同じ抗原結合を担う領域/残基を含む。抗原結合を担う領域/残基は、当該技術分野で公知の方法によって、上記したmAb7GW又はmAb51Dの重鎖/軽鎖配列のアミノ酸配列から同定され得る。たとえば、www.bioinf.org.uk/abs; Almagro, J. Mol. Recognit. 17:132-143 (2004);及びChothia et al., J. Mol. Biol. 227:799-817 (1987)を参照されたい。
【0038】
いくつかの実施形態では、IL−20サイトカイン類のアンタゴニストはポリペプチドである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、IL−20レセプター(すなわちIL−20R1、IL−20R2、及びIL−22RI)の機能的等価物を含む。本願明細書で使用する場合、a「IL−20レセプターの機能的等価物は、IL−20サイトカインに結合し、それによりIL−20レセプターとの相互作用を妨げることができる化合物である。「機能的等価物」という用語は、IL−20レセプターのフラグメント、突然変異体及び突然変異タンパク質を含む。従って、「機能的に等価な」という用語は、タンパク質類似体がIL−20サイトカイン結合能を保持するように、たとえば、1つ以上のアミノ酸の欠失、置換又は付加によってアミノ酸配列を変化させることによって得られる任意のIL−20レセプター等価物を含む。アミノ酸置換は、たとえば、アミノ酸配列をコードするDNAの点突然変異によって行うことができる。機能的等価物としては、IL−20サイトカインに結合し、IL−20レセプターの細胞外ドメインの全部又は一部を含み、これによりIL−20サイトカインを捕捉することができる可溶性レセプターを形成する分子が挙げられる。したがって、機能的等価物としては、可溶性形態のIL−20レセプターが挙げられる。適切な可溶性形態のこれらのタンパク質又はその機能的等価物は、たとえば、化学的、タンパク質分解又はリコンビナント方法によって膜貫通ドメインが除去された短縮形態のタンパク質を含み得る。典型的には、機能的等価物は、対応するタンパク質に少なくとも80%相同である。好ましい実施形態では、機能的等価物は、任意の従来の分析アルゴリズムによって評価した場合に、少なくとも90%相同である。本願明細書で使用する場合、「機能的等価フラグメント」の用語は、IL−20サイトカインに結合するIL−20レセプターのフラグメントの任意のフラグメント又はアセンブリをも意味し得る。したがって、本発明はIL−20サイトカインへのIL−20レセプターの結合を阻害することができるポリペプチドを提供するものであり、このポリペプチドは、IL−20レセプターの細胞外ドメインの少なくとも一部の配列に対応する配列を有する連続したアミノ酸を含み、この部分がIL−20サイトカインに結合する。いくつかの実施形態では、前記ポリペプチドは、IL−20レセプターの細胞外ドメインに対応する。いくつかの実施形態では、前記ポリペプチドはIL−22RIの機能的等価物を含まない。
【0039】
いくつかの実施形態では、前記ポリペプチドは、免疫グロブリン定常ドメイン(Fc領域)に融合されてイムノアドヘシンを形成する、IL−20レセプターの機能的等価物を含む。イムノアドヘシンは、ヒト抗体のかけがえのない化学的及び生物学的特性の多くを保有することができる。イムノアドヘシンは適切なヒト免疫グロブリンヒンジ及び定常ドメイン(Fc)配列に連結される、所望の特異性を持つヒトタンパク質配列から構築されることができるので、全体的にヒトの成分を用いて、注目する結合特異性を、もたらすことができる。このようなイムノアドヘシンは、患者への免疫原性が最低限であり、また慢性及び反復使用に安全である。いくつかの実施形態では、Fc領域はネイティブな配列のFc領域である。いくつかの実施形態では、Fc領域が変種Fc領域である。さらに別の実施形態では、Fc領域が機能性Fc領域である。本願明細書で使用する場合、「Fc領域」の用語は、ネイティブな配列のFc領域及び変種Fc領域を含め免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するのに使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変動するかもしれないが、ヒトIgG重鎖Fc領域は普通、Cys226の位置のアミノ酸残基から、又はPro230から、そのカルボキシル末端まで伸びるものと定義される。イムノアドヘシンの接着部位及び免疫グロブリン配列部位は、最小のリンカーによって連結され得る。免疫グロブリン配列は、必須ではないが典型的には、免疫グロブリン定常ドメインである。本発明のキメラにおける免疫グロブリン部分は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4亜型、IgA、IgE、IgD又はIgMから、典型的にはIgG1又はIgG3から得られ得る。いくつかの実施形態では、IL−20レセプターの機能的等価物とイムノアドヘシンの免疫グロブリン配列部分とが最小リンカーによって連結されている。本願明細書で使用する場合、「リンカー」の用語は、本発明のポリペプチドと免疫グロブリン配列部分とを連結する少なくとも1つのアミノ酸の配列を称する。このようなリンカーは、立体障害を防止するのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは4;5;6;7;8;9;10;11;12;13;14;15;16;17;18;19;20;21;22;23;24;25;26;27;28;29;30アミノ酸残基を有する。しかしながら、その上限は臨界的でなく、たとえばこのようなポリペプチドのバイオ医薬品の製造に関する利便性の理由で選択される。リンカー配列は、天然に存在する配列、又は天然に存在しない配列であり得る。治療目的で使用されるのであれば、リンカーは典型的には、イムノアドヘシンが投与される被験者において非免疫原性である。リンカー配列の1つの有用な群は、国際公開第96/34103号及び国際公開第94/04678号に記載されるような、重鎖抗体のヒンジ領域由来のリンカーである。他の例として、ポリ−アラニンリンカー配列が挙げられる。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記ポリペプチドは、共に共有結合されたIL−20R1ポリペプチドの細胞外ドメイン及びIL−20RIIの細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、一方の細胞外ドメインはそのカルボキシ末端に融合された免疫グロブリンの重鎖の定常領域を有し、他の細胞外ドメインはそのカルボキシ末端に融合された免疫グロブリンの定常軽鎖(Ig)を有しており、2つのポリペプチドが合わさって可溶性レセプターを形成し、また重Ig鎖と軽Ig鎖との間にジスルフィド結合が形成されるようになる。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは細胞外ドメインの2つのカルボキシ末端に融合可能で、共有結合された可溶性レセプターを形成する。
【0041】
当業者には明らかになるように、本発明のポリペプチドは、任意の適切な手段によって生産することができる。本発明に従って使用するのに十分な量のIL−20レセプター又はその機能的等価物を生産するために、本発明のポリペプチドを含有するリコンビナント宿主細胞を適切な条件下で培養することによって、発現を好都合に成し遂げることができる。典型的には、ポリペプチドは、リコンビナント手段によって、コード核酸分子からの発現によって生産される。様々な異なる宿主細胞におけるポリペプチドのクローニング及び発現のための系が周知である。リコンビナント形態で発現される場合、ポリペプチドは、典型的には、宿主細胞におけるコード核酸からの発現によって生成される。特定の系の個々の要件に応じて、任意の宿主細胞を使用することができる。適切な宿主細胞としては、細菌、哺乳動物細胞、植物細胞、酵母及びバキュロウイルス系が挙げられる。異種ポリペプチドの発現のための当技術分野で利用可能な哺乳動物細胞株としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓細胞及び多くの他のものが挙げられる。また、細菌は容易に操作及び成長させることができるので、リコンビナントタンパク質の生産に好ましい宿主である。一般的な好ましい細菌宿主はE coliである。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明の治療方法において使用されるポリペプチドは、それらの治療有効性を改善するために修飾され得ると意図される。治療用化合物のこのような修飾は、毒性を減少させ、循環時間を増加させ、又は生体内分布を改変するために使用することができる。たとえば、潜在的に重要な治療用化合物の毒性は、生体内分布を改変する様々な薬物担体ビヒクルとの組み合わせによって有意に減少させることができる。例では、ジペプチドを付加することにより、眼内の循環薬剤が内因性トランスポーターを使用して血液網膜関門を通って浸透するのを改善することができる。薬物バイアビリティーを改善するための戦略は、水溶性ポリマーの利用である。様々な水溶性ポリマーは、生体内分布を改変し、細胞取り込みの様式を改善し、生理学的バリアを通る透過性を変化させ、及び身体からのクリアランス速度を改変することが示されている。ターゲティング効果又は持続放出効果のいずれかを達成するために、末端基として、骨格の一部として、又はポリマー鎖上のペンダント基として薬物部分を含有する水溶性ポリマーが合成されている。ポリエチレングリコール(PEG)は、その高度な生体適合性及び修飾の容易性を考慮して薬物担体として広く使用されている。様々な薬物、タンパク質及びリポソームに付着させることにより、滞留時間を改善し、毒性を減少することが示されている。PEGは、鎖の末端のヒドロキシル基を通じて、及び他の化学的方法を介して活性薬剤にカップリングすることができる;しかしながら、PEGそれ自体は、1分子当たり多くとも2つの活性薬剤に限定される。異なるアプローチでは、PEGの生体適合特性を保持するが、1分子当たりの付着点が多い(より大きな薬物ローディングを提供する)というさらなる利点を有する新規生体材料であって、様々な用途に適するように合成的に設計され得る新規生体材料として、PEGとアミノ酸とのコポリマーが探索された。当業者であれば、薬物の有効な修飾のためのPEG化技術を認識している。たとえば、PEGと三官能性モノマー(たとえば、リシンなど)との交互ポリマーからなる薬物送達ポリマーが、VectraMed (Plainsboro, N.J.)によって使用されている。PEG鎖(典型的には2000ダルトン以下)が、安定したウレタン連結を介してリシンのa−及びe−アミノ基に連結されている。このようなコポリマーは、ポリマー鎖に沿って、厳密にコントロールされた既定の間隔で反応性ペンダント基(リシンのカルボン酸基)を提供しながら、PEGの望ましい特性を保持する。反応性ペンダント基を、誘導体化、架橋又は他の分子とのコンジュゲーションに使用することができる。これらのポリマーは、ポリマーの分子量、PEGセグメントの分子量、及び薬物とポリマーとの間の開裂可能な連結を変化させることによって、安定した長期循環プロドラッグを生産するのに有用である。PEGセグメントの分子量は、薬物/連結基複合体の間隔及びコンジュゲートの分子量当たりの薬物の量に影響を与える(より小さいPEGセグメントはより大きな薬物ローディングを提供する)。一般に、ブロックコポリマーコンジュゲートの全分子量を増加させることによって、コンジュゲートの循環半減期が増加するであろう。それにもかかわらず、コンジュゲートは易分解性であるか、又は閾値を限定する糸球体ろ過を下回る分子量(たとえば、60kDa未満)を有しなければならない。循環半減期及び生体内分布を維持するのに重要なポリマー骨格に加えて、リンカーを使用して、ターゲット組織における特定のトリガー、典型的には酵素活性によって骨格ポリマーから放出されるまで治療剤をプロドラッグ形態に維持し得る。たとえば、この型の組織活性化薬物送達は、生体内分布の特定部位への送達が必要とされ、治療剤が病変部位に又はその近くに放出される場合に特に有用である。活性化薬物送達において使用するための連結基ライブラリーは当業者に知られており、酵素反応速度、活性酵素の分布、及び選択された疾患特異的酵素の切断特異性に基づくものであり得る。このようなリンカーは、治療送達のために、本明細書に記載されるタンパク質又はタンパク質部分を修飾するのに使用することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、IL−20サイトカイン類のアンタゴニストは、発現のインヒビターである。「発現のインヒビター」は、遺伝子発現を阻害する生物学的効果を有する天然又は(すなわち、IL−19、IL−20、IL−24、IL−20R1又はIL−20R2)を称する。いくつかの実施形態では、前記遺伝子発現のインヒビターは、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はリボザイムである。たとえば、アンチセンスRNA分子及びアンチセンスDNA分子を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RIP2 mRNAに結合することによってRIP2 mRNAの翻訳を直接遮断し、それによりタンパク質の翻訳を妨げるか、又はmRNAの分解を増加させ、それにより細胞におけるIL−20サイトカイン又はそのレセプターサブユニットのレベル及び活性を低下させるように作用する。たとえば、RIP2をコードするmRNA転写配列の固有領域に相補的な少なくとも約15塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、たとえば、従来のホスホジエステル技術によって合成することができる。配列が公知の遺伝子の遺伝子発現を特異的に阻害するためにアンチセンス技術を用いる方法は、当該技術分野で周知である(たとえば、米国特許第6,566,135号;6,566,131号;6,365,354号;6,410,323号;6,107,091号;6,046,321号;及び5,981,732号を参照されたい)。低分子阻害性RNA(siRNA)もまた、本発明において使用するための発現のインヒビターとして機能することができる。遺伝子発現は、遺伝子発現が特異的に阻害されるように(すなわち、RNA干渉又はRNAi)、被験者又は細胞を低分子二本鎖RNA(dsRNA)、又は低分子二本鎖RNAの生成を引き起こすベクター若しくは構築体と接触させることによって低減可能である。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA及びリボザイムは、単独、又はベクターと合わせてin vivoで送達され得る。広義では、「ベクター」は、細胞への、典型的にはRIP2を発現している細胞へのアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA又はリボザイム核酸の移送を円滑にすることができる任意のビヒクルである。典型的には、ベクターは、分解が当該ベクターが存在しなければ起こるであろう分解の程度に対して低減する細胞へ核酸をトランスポートする。一般に、本発明において有用なベクターとしては、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA又はリボザイム核酸配列の挿入又は取り込みによって操作されているウイルス又は細菌のソースに由来するプラスミド、ファージミド、ウイルス、他のビヒクルが挙げられるが、これらに限定されない。ウイルスベクターが好ましいタイプのベクターであり、以下のウイルス:モロニーマウス白血病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳房腫瘍ウイルス、及びラウス肉腫ウイルスなどのレトロウイルス;アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス;SV40タイプウイルス;ポリオーマウイルス;エプスタイン−バーウイルス;乳頭腫ウイルス;ヘルペスウイルス;牛痘ウイルス;ポリオウイルス;及びレトロウイルスなどのRNAウイルスからの核酸配列が挙げられるが、これらに限定されない。名付けられていないが当該技術分野で公知の他のベクターを用いることも容易である。
【0044】
「治療上有効量」によって意味するのは、任意の医療処置に適用可能な、妥当な効果/リスク比でCOPDの急性増悪の処置方法において使用するための、防止に十分な量のポリペプチド(又はポリペプチドをコードする核酸)である。本発明の化合物及び組成物の1日の合計使用量は、信頼できる医学的判断の範囲で担当医により決定されることになるのは理解されるはずである。任意の特定被験者に対する、具体的な治療上有効である用量レベルは、被験者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別及び食生活;投与の時間、投与経路、及び用いられる具体的な化合物の排泄速度;処置の継続期間;用いられる特定のポリペプチドと組み合わせて又は同時に使用される薬物;及び医学分野で周知の類似因子を含め、様々な因子に依存することになる。たとえば、所望の治療効果を成し遂げるのに必要な化合物の用量よりも低レベルで開始して、所望の効果が成し遂げられるまで徐々に投薬量を高めることは当該分野の技術において周知である。しかしながら、製品の1日の投薬量は、成人1人に対して1日あたり0.01から1,000mgまでの広い範囲にわたって変動され得る。典型的には、処置すべき被験者への投薬量の症状の調整のために、組成物は0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、250及び500mgの有効成分を含有する。医薬は、典型的には約0.01mgから約500mgの有効成分、典型的には1mgから約100mgの有効成分を含有する。薬物の有効量は普通、1日あたり0.0002mg/kg体重から約20mg/kg体重まで、とりわけ1日あたり約0.001mg/kg体重から7mg/kg体重までの投薬量レベルで供給される。
【0045】
典型的には本発明の有効成分(すなわち、IL−20サイトカイン類のアンタゴニスト)は、薬学的に許容できる賦形剤、及び任意に生分解性ポリマーなどの持続放出マトリクスと組み合わせられて、医薬組成物を形成する。「薬学的に」又は「薬学的に許容できる」の用語は、哺乳動物に、とりわけヒトに、適宜投与された場合に有害な、アレルギー性の、又はその他の副作用を生じない分子部分及び組成物を称する。薬学的に許容できる担体又は賦形剤は、任意なタイプの無毒な固体、半固体又は液体充填剤、希釈剤、封入材料又は製剤化助剤を称する。担体は、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、これらの好適な混合物、及び植物油をを含有する溶媒又は分散媒体であることもできる。適当な流動性は、たとえば、レシチンなどのコーティングの使用によって、ディスパーションの場合には必要な粒径の維持によって、また界面活性剤の使用によって、維持されることができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌性薬及び抗真菌薬、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサルなどによってもたらされ得る。多くの場合、たとえば、糖又は塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが好ましいであろう。注射用組成物の吸収の長期化は、吸収を遅延する薬剤、たとえば、アルミニウムモノステアレート及びゼラチンを、その組成物に使用することによってもたらされ得る。本発明の医薬組成物において、本発明の有効成分は、従来の医薬支持剤(support)との混合物として、単位投与形態で投与され得る。好適な単位投与形態としては、錠剤、ジェルカプセル剤、散剤、顆粒剤及び経口懸濁剤又は液剤などの経口経路形態、舌下及び口腔内投与形態、エアロゾル、インプラント、皮下、経皮、局所、腹腔内、筋肉内、静脈内、真皮下、経皮、髄腔内及び鼻腔内投与形態及び直腸投与形態が挙げられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、IL−20サイトカイン類のアンタゴニストは、抗生物質又は抗ウイルス剤などの抗菌剤と組み合わせて被験者に投与される。前記アンタゴニストと組み合わせて共投与され得る好適な抗生物質としては、セフトリアキソン、セフォタキシム、バンコマイシン、メロペネム、セフェピム、セフタジジム、セフロキシム、ナフシリン、オキサシリン、アンピシリン、チカルシリン、チカルシリン/クラブラン酸(clavulinic acid)(Timentin)、アンピシリン/スルバクタム(Unasyn)、アジスロマイシン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、クリンダマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、シナシッド、アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラン酸(Augmentin)、セフロキシム,トリメトプリム/スルファメトキサゾール、アジスロマイシン、クリンダマイシン、ジクロキサシリン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、セフィキシム、セフポドキシム、ロラカルベフ、セファドロキシル、セファブチン(cefabutin)、セフジニル、及びセフラジンからなる群より選択される少なくとも1つの抗生物質が挙げられるが、これらに限定されない。抗ウイルス剤の例としては、アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル;アマンタジン、リマンタジン;リバビリン;ザナマビル及び/又はオセルタマビル;インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル及び/又はサキナビルなどのプロテアーゼインヒビター;ジダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジンなどのヌクレオシド逆転写酵素インヒビター;ネビラピン、エファビレンツなどの非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
併用治療には、呼吸刺激薬も含んでよい。コルチコステロイドは、急性COPDの増悪に有益であり得る。本発明のアンタゴニストと組み合わせて使用され得るコルチコステロイドの例としては、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメサゾン、ナフロコート(naflocort)、デフラザコート、ハロプレドン酢酸塩、ブデソニド、ベクロメタゾン二プロピオン酸塩、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、クロコルトロンピバル酸塩、メチルプレドニゾロンアセポナート、デキサメサゾンパルミチン酸塩(palmitoate)、チプレダン(tipredane)、ヒドロコルチゾンアセポナート、プレドニカルバート、アルクロメタゾン(alclometasone)二プロピオン酸塩、ハロメタゾン、メチルプレドニゾロンスレプタナート(suleptanate)、モメタゾンフロ酸塩、リメキソロン、プレドニゾロンファルネシル酸塩、シクレソニド、デプロドンプロピオン酸塩、フルチカゾンプロピオン酸塩、ハロベタゾールプロピオン酸塩、ロテプレドノールエタボン酸塩、ベタメタゾン酪酸塩プロピオン酸塩、フルニソリド、プレドニゾン、デキサメサゾンリン酸ナトリウム塩、トリアムシノロン、ベタメタゾン17−吉草酸塩、ベタメタゾン、ベタメタゾン二プロピオン酸塩、ヒドロコルチゾン酢酸塩、ヒドロコルチゾンナトリウムコハク酸塩、プレドニゾロンリン酸ナトリウム塩及びヒドロコルチゾンプロブタートが挙げられる。本発明で特に好ましいコルチコステロイドは、デキサメタゾン、ブデソニド、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、モメタゾン、シクレソニド、フルチカゾン、フルニゾリド、リン酸デキサメタゾンナトリウム及びそのエステル、並びに6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソアンドロスタン−1,4−ジエン−17β−チオカルボン酸(S)−フルオロメチルエステルである。本発明でさらにより好ましいコルチコステロイドは、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フロ酸モメタゾン、シクレソニド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド及びプロピオン酸フルチカゾンの、所望によりそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびそれらの混合物、および所望によりそれらの薬理学的に適合する酸付加塩の形態である。さらにより好ましくは、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フロ酸モメタゾン、シクレソニド及びプロピオン酸フルチカゾンである。本発明の最も好ましいコルチコステロイドは、ブデソニドおよびジプロピオン酸ベクロメタゾンである。
【0048】
気管支拡張薬の投薬量は、急性増悪の間に増加させ、急性気管支痙攣を低減させてもよい。気管支拡張薬の例としては、β2−アゴニスト(たとえば、サルブタモール、ビトルテロールメシル酸塩、ホルモテロール、イソプロテレノール、レバルブテロール、メタプロテレノール、サルメテロール、ターブタリン、及びフェノテロール)、抗コリン作用薬(たとえば、チオトロピウム又はイプラトロピウム)、メチルキサンチネド(methylxanthined)、及びホスホジエステラーゼインヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
いくつかの実施形態では、本発明のアンタゴニストは、ウイルス又は細菌に対する免疫応答を誘発することができる抗原又は抗原性組成物を含有するワクチンと組み合わせて被験者に投与される。典型的には、ワクチン組成物は、Streptococcus pneumoniae、Staphylococcus aureus、Burkholderis ssp.、Streptococcus agalactiae、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Klebsiella pneumoniae、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Moraxella catarrhalis、Chlamydophila pneumoniae、Mycoplasma pneumoniae、Legionella pneumophila、Serratia marcescens、Mycobacterium tuberculosis、Bordetella pertussisからなる群より選択される少なくとも1つの細菌に対する免疫応答を誘発するために使用される。特に、ワクチン組成物は、Streptococcus pneumonia又はHaemophilus influenzaに対して作られる。より具体的には、ワクチン組成物は、型決定不可能な(Non-typeable)Haemophilus influenzae(NTHi)に対して作られる。典型的には、ワクチン組成物は典型的に、殺傷されたか、又は不活性化された(たとえば、弱毒化された)全細菌単離物(1以上)を含有する。しかしながら、外細胞膜及び/若しくは表面抗原を含むか又はそれからなる可溶性抗原又は微粒子抗原もまた好適であり得、又は殺傷された生物全体の代わりになり得る。一つ以上の実施形態では、選択された単離物(1以上)の外細胞膜画分又は膜タンパク質(1以上)が使用される。たとえば、NTHi OMP P6は、高度に保存された16kDaのリポタンパク質であって(Nelson, 1988)、これはヒト殺菌性抗体のターゲットであり、またヒト及び動物モデルの双方において保護を誘導する。慢性閉塞性肺疾患(COPD)で、OMP P6は、NTHi感染からの相対的な保護に関連するリンパ球増殖応答を惹起することが示されている(Abe, 2002)。したがって、OMP P6又は他の好適な任意の外膜NTHiタンパク質、ポリペプチド(たとえば、P2、P4及びP26)又はこのようなタンパク質又はポリペプチドの抗原性フラグメントは、NTHiワクチンに応用され得る。可溶性の及び/又は微粒子抗原は、殺傷された又は選択された生存単離物(1以上)を崩壊させることによって調製され得る。ワクチンにおいて使用するための画分は次いで、遠心分離、濾過及び/又は当該技術分野で公知のその他の適切な技術によって調製され得る。超音波処理、又は適切な界面活性剤を利用した溶解及び攪拌、並びにこのような技術の組み合わせを含め、必要なレベルの細胞分布を達成する任意の方法を採用できる。超音波処理が採用される場合、必要とされる程度の細胞分布、又は可溶性物質及び/又は特定のサイズ若しくはサイズ範囲の微粒子状物質の生成を成し遂げるために、単離物はいくつかの超音波処理工程に付され得る。いくつかの実施形態では、ワクチン組成物は、アジュバント、特にTLRアゴニストを含む。1つの実施形態では、TLRアゴニストは、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12、又はTLR13アゴニストからなる群より選択される。
【0050】
特定の実施形態では、酸素要求性を高め、酸素補給が提供されてもよい。
【0051】
本発明は、以下の図面及び実施例によってさらに例証されるであろう。しかしながら、これらの実施例及び図面は、本発明の範囲を多少なりとも限定するものとして解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】COPD患者は、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae(Sp))に対して反応欠損(defective response)がある。IL−17及びIL−22の生成を、非喫煙の健康な被験者(対照)、喫煙の健康な被験者及びCOPD患者由来の単核細胞からの上清におけるELISAによって評価した。結果を平均±SEMで表した。*:対照に対し、p<0.05。
【
図2】IL−19、IL−20及びIL−24の発現は、タバコ煙(CS)への曝露、及びS. pneumoniae(SP)での感染により、野生型マウスの肺における両方の刺激間の相加効果を伴って誘導された。
【
図3】ヒト気道上皮細胞(AEC)BEAS−2B細胞におけるIL−19及びIL−24のmRNA発現は、CS抽出物(CSE)への曝露によって誘導されたが、S. pneumoniae(SP1)での感染による誘導はなされなかった。CSEは、1/30又は1/60希釈のいずれか(CSE30対CSE60)で添加された。
【
図4】気管支肺胞洗浄液(BAL)、及びS. pneumoniae(SP1)で感染させてアイソタイプ対照(IgG)又は抗IL−20Rβ抗体のいずれかで処置したCOPDマウスからの肺溶解液中の細菌量を測定した。BAL及び肺は、感染の3日後に採集された。
【
図5】気管支肺胞洗浄液(BAL)、及び型決定不可能なHaemophilus influenza(NTHi)で感染させてアイソタイプ対照(IgG)又は抗IL−20Rβ抗体のいずれかで処置したCOPDマウスからの肺溶解液中の細菌量を測定した。BAL及び肺は、感染の1日後に採集された。**:それぞれ、空気に曝露されたか、又はCSに曝露された(COPD)感染マウスを比較して、p<0.01。
【
図6】型決定不可能なH. influenza(NTHI)で感染させて、アイソタイプ対照(NTHI+PBS)又は抗IL−20Rβ抗体のいずれかで処置したCOPDマウスからの肺細胞においてIL−22の分泌を測定した。肺細胞は、感染の1日及び2日後に採集され、培地単独中、又は熱殺菌した細菌(HK)の存在下に37℃で3日間インキュベーションされた。
【
図7】S. pneumoniae(Sp1)で感染させて、アイソタイプ対照(IgG)又は抗IL−20Rβ抗体のいずれかで処置したCOPDマウスからの肺組織における、抗微生物ペプチドS100A8及びREG3GをコードするmRNAの発現。肺は、感染の3日後に採集された。
【
図8】IL−20サイトカイン及び抗IL−20Rβ抗体での処置が、S. pneumoniae(Sp1)による活性化に応答したT細胞のIL−17及びIL−22生成を単球由来樹状細胞(MDDC)が刺激する能力を異なる態様で改変させた。実施例
【0053】
緒言:細菌性合併症は、COPDなどの実に様々な肺炎症性障害の際の共通特徴である。COPDの患者では、急性増悪はほとんど、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)及び肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)に起因することが多い細菌感染に関連している。これらの 感染は、好中球動員により特徴付けられる強い炎症反応を誘起し、炎症誘発性サイトカインの生成を増加させ、疾患の進行を促進した。COPDの増悪の間の細菌感受性を担うメカニズムをより明確にするために、適切なモデルが必要とされている。本発明者らは、12週間にわたる、タバコ煙(CS)への慢性的な曝露によって、COPDのマウスモデルを既に開発している。この曝露は、肺における自然免疫反応と、インバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞の活性化とを強く改変させる(Pichavant M et al., Mucosal Immunol, 2014)。細菌感受性を担うメカニズムをより明確にするために、本発明者らは今や、CSに慢性的に曝露させ、次いでH. influenzae及びS. pneumoniaeの亜致死用量の局所投与によって感染させた、C57/BL6マウスにおけるCOPD増悪の実験モデルを開発している。
【0054】
細菌感染に対するIL−17及びIL−22応答は、COPDマウスにおいて改変される:
感染COPDマウスは、SPで強い肺感染(炎症反応の増加を伴う)をもたらすが、一方ナイーブなマウスは、その細菌を24時間以内に除去できる。細菌クリアランスにおけるこの欠陥は、BAL中、及び肺細胞の再刺激後のIL−17及びIL−22両者の生成の低下を伴う。IL−17及びIL−22における欠陥は、感染され空気に曝露されたマウスに比した、感染されたCOPDマウスの肺において、NK、NKT細胞のパーセンテージや、これらのサイトカインに陽性な自然リンパ球細胞(ILC)の低減に関連している。さらに、リコンビナントIL−22の補充は、COPDマウスにおける細菌のクリアランスを促進させ、またS. pneumoniaeによる感染の結果を限定する。COPDマウスにおいて、H. influenzaeでの感染は、IL−22の生成の欠陥を伴い、SPに対して観察されたと同じ細胞(ILC、NK及びNKT細胞)が関与していた。H. influenzaeによる感染の際のIL−22の役割は未知であるので、本発明者らは、IL−22−/−マウスが、COPDマウスの表現型と近いもの(感受性増大、高い炎症反応及び肺リモデリング)を再生することを観察した。これらのデータは、COPDマウスが対照マウスよりもH. influenzae及びS. pneumoniaeによる感染に、感受性がより高く、そしてIL−17及び/又はIL−22の生成欠損が、細菌で誘導されたCOPD増悪の発生を助け得ることを示す。
【0055】
細菌感染に対するIL−17及びIL−22応答は、COPD患者からの単核細胞において改変される:
IL−17及びIL−22の生成の欠陥は、COPDの際の細菌感染に対する感受性にある役割を果たすかもしれないが、AE−COPDの患者からの肺におけるこれらのサイトカインの濃度を報告しているデータはない。COPD患者が、細菌に応答してTh17サイトカインを生成する許容能力を見積もるために、本発明者らは先ず、健康な喫煙者及び非喫煙者と比較して、COPD患者からの血液単核細胞(MNC)のS. pneumoniaeに対する応答を分析する。フィトヘマグルチニン(PHA)の添加によって、MNC活性化の陽性対照も含められた。刺激なしの細胞におけるサイトカインの濃度は、3群の間で有意に異なっていなかった(
図1)。一方、非喫煙者(対照)及び喫煙者において両者の刺激が、IL−17及びIL−22のレベルを有意に増加させ、Spへの曝露はCOPD患者におけるこれらのサイトカインの分泌を有意に増幅させることはなかった。PHAに対する応答も、主にIL−17及びIL−22に対して、COPD患者において部分的に改変されていた。S. pneumoniaeに応答したこれらのサイトカインに対する細胞ソースを同定するために、本発明者らはこれらのMNCにおけるIL−17及びIL−22についての細胞内染色を分析した。喫煙者及び非喫煙者と比較して、IL−17及びIL−22の生成は、COPD患者からのLin−(潜在的にILC)、iNKT及びNK細胞において改変されたがTγδ細胞では改変されなかった(データ示さず)。
【0056】
タバコの煙への曝露後、及び細菌感染に応答したIL−20サイトカイン類の生成:
IL−20サイトカイン類はIL−22に関連しており、それらの生成はいくらかの細菌(黄色ブドウ球菌)によって誘導されるので、本発明者らは我々の実験モデルにおいてこれらのサイトカインの発現を評価した。CSへの慢性的な曝露後、対照(空気に曝露された動物)と比べて、COPDマウスの肺ではIL−19及びIL−20 mRNAの発現が増加していた(
図2)。加えて、S. pneumoniaeで感染された空気マウスは、IL−19及びIL−24を生成しなかったが、一方IL−20 mRNA発現はアップレギュレーションされた。COPDマウスにおいて、S. pneumoniaeでの感染は、非感染COPDマウスの結果と比較しても、IL−19、IL−20及びIL−24の発現を顕著に増強させた。
【0057】
型決定不可能なH. influenzae(NTHI)での感染後にも、同様の結果、すなわち、これらのサイトカインの発現に対するCS曝露及び細菌感染の付加的効果が得られた。
【0058】
本発明者らはまた、CS抽出物(CSE)及び/又は細菌によってin vitroで活性化された、ヒト樹状細胞(DC)及び気道上皮細胞(AEC)におけるこれらのサイトカインの発現を分析した。
図3に報告されるように、SP1での感染はIL−19及びIL−24の発現を有意に増加させなかった。対照的に、CSEへの曝露は、サイトカイン単独又はS. pneumoniaeの存在下の双方に対して強い効果があった。同様の結果が、単球由来DCでも得られた(データ示さず)。
【0059】
COPDの際の細菌感染に応答するIL−20サイトカイン類の機能:
Myles IA et al(Nat Immunol. 2013)は、IL−20レセプターを介するシグナル伝達がIL−17及びIL−22の生成を阻害して皮膚感染を促進することを報告していたので、本発明者らは、COPDマウスの細菌感染で観察されるIL−17及びIL−22応答の欠陥に、これらのレセプターが関係しているという仮定を立てた。これを立証するために、本発明者らはIL−20Rβサブユニットを認識する中和抗体を用いた。このレセプターは、IL−19、IL−20又はIL−24に結合する両レセプター(IL−20Rα/IL−20Rβ、IL−22Rα/IL−20Rβ)と共通である。この市販の抗体、抗IL−20Rβ(クローン20RNTC、ヒト及びマウスの両方を認識した)は、感染の1日前、及び翌日に腹腔内に投与される(50μg/注射/マウス)。これらの予備実験のために、本発明者らは、細菌量、及びTh17サイトカインの発現を分析した。
【0060】
図4に示すとおり、阻止的抗IL−20Rβ抗体での処置は、BAL中、及びS. pneumoniaeでの感染後の肺組織中の細菌量を強く低減させた。H. influenzaeでの感染後も、同様の結果が得られた(データ示さず)。対照的に、空気中で感染されたマウスでは、この処置は穏やかな効果であるか又は効果がなく、本抗体の活性がIL−20Rリガンドの発現レベルに関連することを示唆していた。
【0061】
平行して、本発明者らは、感染されたCOPDマウスの肺におけるTh17サイトカインの発現を評価した。
図5に示すとおり、NTHIでの感染の1日後でも2日後でも、アイソタイプ対照を与えたマウスと比べて、抗IL−20Rb抗体で処置したCOPDマウスからの胚細胞において、IL−22の分泌の増加が検出された。
【0062】
結論:まとめると、これらのデータで強調されるのは、IL20サイトカイン類のアンタゴニスト(たとえば、阻止的抗IL−20Rβ抗体)の興味対象を、潜在的にIL−22の生成の増加による、COPDマウスにおける感染への感受性に限定することである。
【0063】
参考文献:
本願全体にわたって、本発明が属する技術分野の状態を種々の参考文献が記載している。これらの参考文献の開示は、参照により本願の開示に組み入れられる。
【表1】