特許第6640239号(P6640239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファイバ リーインフォースト サーモプラスティックス ベー.フェー.の特許一覧

特許6640239一方向繊維強化テープを作製するための開繊機要素
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6640239
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】一方向繊維強化テープを作製するための開繊機要素
(51)【国際特許分類】
   D02J 1/18 20060101AFI20200127BHJP
   C08J 5/04 20060101ALN20200127BHJP
【FI】
   D02J1/18 Z
   !C08J5/04CES
   !C08J5/04CFG
【請求項の数】5
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2017-547162(P2017-547162)
(86)(22)【出願日】2016年3月10日
(65)【公表番号】特表2018-512515(P2018-512515A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】IB2016000392
(87)【国際公開番号】WO2016142781
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2017年9月6日
(31)【優先権主張番号】62/131,002
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517309928
【氏名又は名称】ファイバ リーインフォースト サーモプラスティックス ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】プリンス リナス
(72)【発明者】
【氏名】デ ヴェールト ジェラルト
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−076193(JP,A)
【文献】 特公昭45−032364(JP,B1)
【文献】 実公昭47−014169(JP,Y1)
【文献】 米国特許第06021548(US,A)
【文献】 実公昭44−027143(JP,Y1)
【文献】 特公昭45−035382(JP,B1)
【文献】 国際公開第2013/094742(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02J 1/18
C08J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開繊機要素の長軸に対して垂直にとられた輪郭;
該輪郭の凸部を画定する、楕円形の第1の表面;および
該輪郭の直線部または凹部を画定する第2の表面
を含み、
該第1および第2の表面がエッジで出会う、
複数の繊維を有する繊維束を開繊繊維層へと開繊するように構成された開繊機要素。
【請求項2】
第2の表面が平面または凹形である、
請求項1記載の開繊機要素。
【請求項3】
開繊機要素の長軸が、該開繊機要素の第1および第2の長軸方向端部ならびに該第1および第2の長軸方向端部の中間にある該開繊機要素の一部を通って延びる、請求項1または2記載の開繊機要素。
【請求項4】
バーまたはプレートを含む、1または2記載の開繊機要素。
【請求項5】
開繊機要素が、該開繊機要素の長軸に沿って配置された2つ以上のローブを含み;
該ローブのうちの第1のローブは、前記輪郭、前記第1および第2の表面、および前記エッジを有し;
該ローブのうちの該第1のローブ以外のそれぞれは:
該開繊機要素の長軸に対して垂直にとられた各々の輪郭;
該各々の輪郭の凸部を画定する、楕円体形の各々の第1の表面;および
該各々の輪郭の直線部または凹部を画定する各々の平面または凹状の第2の表面
を有し、
該各々の第1および第2の表面が各々のエッジで出会い、
該2つ以上のローブが、該2つ以上のローブの第2の表面が隣接するように長軸に沿って配置されている、
請求項1〜4のいずれか一項記載の開繊機要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年3月10日に出願された「UNIDIRECTIONAL FIBER-REINFORCED TAPES HAVING A UNIFORMLY DENSE FIBER LAYER AND APPARATUSES AND METHODS FOR MAKING THE SAME」と題する米国特許仮出願第62/131002号に対する優先権を主張し、その内容の全体が、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
A.技術分野
本発明は、概して、一方向(UD)繊維強化複合材ならびにその製造のための装置および方法に関する。特に、いくつかのUD繊維強化複合材は、ポリマーマトリックス内に分散した複数の連続繊維を含む不織繊維領域または層を有し、不織繊維領域は、平均相対繊維占有面積率(RFAC)(%)および関連する変動係数(COV)(%)により定義される実質的に均一な密度を有する。ポリマーマトリックスは、熱可塑性または熱硬化性ポリマーマトリックスであり得る。
【背景技術】
【0003】
B.関連技術の説明
複合材料は、樹脂/ポリマーマトリックス内に分散した繊維を含むことができる。このような複合材料は、例えば、家電、バリスティック(ballistics)、航空宇宙、および運輸産業など、様々な産業において有用である。UD複合材は、実質的に一方向に延びる繊維を有する複合材である。異方性を有する複数のUD複合材を使用して、一つまたは複数の方向または次元で異なる特性を有する製造物品を製造することができる。
【0004】
UD複合材の一例は、ポリマー樹脂を含浸させた連続UD繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、および/または同種のもの)の薄いストリップまたはバンドとして特徴付けることができるUDテープまたはプリプレグである。このようなUDテープは、1〜15cm、おそらくそれ以上の幅、および1mm未満の厚さを有することができる。このようなUDテープは、スプールまたはリールで供給することができる。UDテープは、Bompardらの米国特許第6919118号(特許文献1)およびLiらの米国特許出願公開第2014/0147620号(特許文献2)に記載されている。
【0005】
理論的には、UD複合材中のすべての繊維が、均一で、平行で、かつ連続的であるべきである;しかし、実際には、このような特性を実現することは困難である。例えば、一般に利用できるUDテープは、繊維の不均一な配置、エアポケットもしくはボイド、切れた繊維、および/または同種のものを含む繊維領域または層を有することがある。これらの問題に対処する数多くの試みがなされてきた。
【0006】
Waiの米国特許第5496602号(特許文献3)は、一対のエポキシ熱硬化性樹脂フィルムの間にUD繊維を配置し、繊維とフィルムを加熱することによりUDテープを形成することによって、これらの問題を解決しようと試みている。繊維の間の隙間を埋めるために、UDテープには後でポリマーが注入される。フィルムを適用している間に繊維が動くため、得られるUDテープは、繊維の不均一な配置ならびにエアポケットまたはボイドを含むことがある。さらに、Waiの方法は、いくつかの比較的複雑な工程、およびエポキシなど望ましくない可能性がある材料の導入を含む。
【0007】
これらの問題を解決するいくつかの試みは、開繊装置の使用を含む。Narihitoの米国特許第5101542号(特許文献4)には、その中心が膨らんだ連続的に凸状の外面をそれぞれ有する複数のローラ要素を含む、そのような開繊装置が記載されている。Meyerの米国特許第8191215号(特許文献5)には、断面が連続的に凸状である最も外側に広がる縁部をそれぞれ有するウイング(wing)を含む回転開繊装置が記載されている。Jungらの米国特許第8470114号(特許文献6)および米国特許出願公開第2013/0164501号(特許文献7)にはそれぞれ、一連の凸形バーに繊維を通すことによって開繊する方法が記載されている。Bompardらの米国特許第6585842号(特許文献8)には、一連の湾曲した(例えば、バナナ型)ローラに繊維を通すことによって開繊する方法が記載されている。
【0008】
上記の問題を解決するいくつかの試みは、含浸装置の使用を含む。典型的な含浸プロセスには、繊維層がそれを通って移動することができるポリマー溶液の浴の使用が含まれる。そのようなプロセスにおいて、ポリマー溶液は、ローラを用いて繊維層に圧入されてもよい。上述のWaiのプロセスは、層の反対側のポリマーフィルムを層に圧入することによって繊維層を含浸させる。これらのプロセスのそれぞれは、ポリマー樹脂材料を繊維層に圧入して繊維層の含浸を実現することを含むという点で類似している。
【0009】
このような開繊および含浸用装置およびプロセスは、UDテープを調製するために使用され得るが、このようなUDテープは、マトリックス材料内に不均一な繊維配置およびエアポケットまたはボイドを依然として有する。例えば、図1は、走査型電子顕微鏡を用いて得られた市販のUD複合材の断面画像を含む。これらの市販のUD複合材は、不均一な繊維配置を有する繊維領域を持ち、したがって、ポリマーマトリックス内に、不均一な密度、ならびにボイドおよびエアポケットを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6919118号
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0147620号
【特許文献3】米国特許第5496602号
【特許文献4】米国特許第5101542号
【特許文献5】米国特許第8191215号
【特許文献6】米国特許第8470114号
【特許文献7】米国特許出願公開第2013/0164501号
【特許文献8】米国特許第6585842号
【発明の概要】
【0011】
UD複合材テープにおける、繊維の不均一な分布、ボイドおよびエアポケットならびに/または同種のものの問題を解決するか、あるいは少なくとも軽減する発見がなされた。特に、本開示の繊維強化複合材は、ポリマーマトリックス内に分散した複数の連続繊維を含む不織繊維領域または層を有することができる。ポリマーマトリックスは、熱硬化性、またはより好ましくは、熱可塑性ポリマーマトリックスであり得る。熱可塑性ポリマーのマトリックスは、ある温度より上で型成形できかつ柔軟であってもよく、その温度未満で固化してもよい。一旦硬化または架橋されると、熱硬化性ポリマーのマトリックスは、温度上昇によって型成形できたりまたは柔軟になる能力を失う傾向がある。ポリマーのマトリックスは、熱可塑性または非熱可塑性ポリマー、添加剤、および/または同種のものを有する組成物に含めることができる。不織繊維領域は、65〜90の平均相対繊維占有面積率(RFAC)(%)および3〜20の変動係数(COV)(%)、好ましくは69〜90の平均RFAC(%)および3〜15のCOV(%)、またはより好ましくは75〜90の平均RFAC(%)および3〜8のCOV(%)により定義される実質的に均一な密度を有することができる。少なくともこのような実質的に均一な密度を有することにより、本開示の繊維強化複合材が含むボイドの体積率は、5%未満、好ましくは3%未満、またはより好ましくは1%未満であり得る。本開示の繊維強化複合材は、様々な製造物品において使用することができる。
【0012】
さらに開示されているのは、繊維束またはトウを開繊繊維層へと開繊し、かつ/または開繊繊維層にマトリックス材料を含浸させて、本開示の繊維強化複合材を製造するためのシステムおよび方法である。いくつかのシステムは、開繊ユニットおよび含浸ユニットの両方を含み、含浸ユニットは、開繊ユニットの下流に位置する。このような開繊ユニットは、(例えば、丸みのある)エッジで出会う2つの異なる表面(例えば、凸面および凹面または平面)を有する開繊要素を利用して、繊維を繊維束から効率的かつ均一に開繊または扁平化繊維層へと開繊することができる。そのような含浸ユニットは、少なくとも2つの開繊または扁平化繊維層を受け入れ、熱可塑性または熱硬化性ポリマー樹脂を2つの繊維層の間に位置するようにし、そして2つの繊維層を樹脂に圧入し、それによって、本開示の複合材の不織繊維領域を形成するように構成されてもよい。2つの開繊または扁平化繊維層のそれぞれは、一つまたは複数の繊維束、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の繊維束などからの繊維を含むことができる。
【0013】
一つの局面において、ポリマーマトリックスと、ポリマーマトリックス内に分散した複数の連続繊維を含む不織繊維領域とを含む繊維強化複合材が開示されており、不織繊維領域は、65〜90の平均RFAC(%)および3〜20のCOV(%)により定義される実質的に均一な密度を有する。さらに好ましい態様において、不織繊維領域は、69〜90の平均RFAC(%)および3〜15のCOV(%)を有する。さらに別の好ましい態様において、不織繊維領域は、75〜90の平均RFAC(%)および3〜8のCOV(%)を有する。不織繊維領域の幅および長さは、繊維強化複合材の幅および長さそれぞれと実質的に同様であることができ、複数の連続繊維は、一方向に配向し、かつ第1の軸と実質的に平行であることができ、繊維強化複合材は、体積で少なくとも35〜70%、好ましくは40〜65%、またはより好ましくは45〜55%の複数の連続繊維を含むことができる。繊維強化複合材は、最大6メートルの幅および最大10,000メートルの長さを有することができる。
【0014】
いくつかの繊維強化複合材において、第1の繊維層および第2の繊維層が一緒に加圧または押し付けられて、不織繊維領域を形成する。不織繊維領域は、それぞれの束が1,000〜60,000本の個々のフィラメントを含む複数の繊維束からの繊維を含むことができる。個々のフィラメントの平均断面積は、7μm2〜800μm2であり得る。連続繊維の非限定的な例には、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、バサルト繊維、スチール繊維、またはこれらの組み合わせが含まれる。このようなガラス繊維は、75μm2〜460μm2の平均フィラメント断面積を有することができ、このような炭素繊維は、7μm2〜60μm2の平均フィラメント断面積を有することができる。
【0015】
いくつかの繊維強化複合材において、ポリマーマトリックスは、熱可塑性マトリックスまたは熱硬化性マトリックスであることができ、熱可塑性マトリックスが好ましい。繊維強化複合材のポリマーマトリックスは、繊維強化複合材が、第1のポリマーリッチ領域および第2のポリマーリッチ領域を有し、不織繊維領域が、第1および第2のポリマーリッチ領域の間に位置するように構造化することができる。ポリマーリッチ領域は、体積で10%未満、5%未満、または1%未満の連続繊維を有するものを含む。ポリマーリッチ領域の幅および長さは、それぞれの繊維強化複合材の幅および長さそれぞれと実質的に同様であり得る。一つの態様において、第1のポリマーリッチ領域の厚さおよび第2のポリマーリッチ領域の厚さは同じであるか、または互いの10%、好ましくは5%、より好ましくは1%以内である。一つの態様において、第1および第2のポリマーリッチ領域の厚さは、互いに10、15、または20%を超えて異なる。第1および第2のポリマーの領域のそれぞれは、ポリマーリッチ領域全体にわたって実質的に均一な密度(例えば、単位体積当たりの質量)を有することができる。
【0016】
本開示の繊維強化複合材のポリマーマトリックスは、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、これらのコポリマー、またはこれらのブレンドを含むことができる。熱可塑性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ(1,4-シクロヘキシリデンシクロヘキサン-1,4-ジカルボキシレート)(PCCD)、グリコール変性ポリシクロヘキシルテレフタレート(PCTG)、ポリ(フェニレンオキシド)(PPO)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンイミンもしくはポリエーテルイミド(PEI)またはこれらの誘導体、熱可塑性エラストマー(TPE)、テレフタル酸(TPA)エラストマー、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリスルホンスルホネート(PSS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、アクリロニトリルブチルジエンスチレン(ABS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、これらのコポリマー、あるいはこれらのブレンドが含まれる。さらに好ましい熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(フェニレンオキシド)(PPO)、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、これらのコポリマー、またはこれらのブレンドを含む。さらにより好ましい熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリカーボネート(PC)、これらのコポリマー、またはこれらのブレンドを含む。
【0017】
本繊維強化複合材におけるマトリックス材料としての使用に適した熱硬化性ポリマーの非限定的な例には、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ベークライト、duroplast、尿素ホルムアルデヒド、フタル酸ジアリル、エポキシ樹脂、エポキシビニルエステル、ポリイミド、ポリシアヌレートのシアン酸エステル、ジシクロペンタジエン、フェノール類、ベンゾオキサジン、これらのコポリマー、またはこれらのブレンドが含まれる。本繊維強化複合材のうちの一つのポリマーマトリックスは、一種または複数種の添加剤と共に組成物に含めることができる。このような添加剤の非限定的な例には、ポリマーマトリックスと連続繊維との間の接着を促進するカップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、流れ調整剤、難燃剤、UV安定剤、UV吸収剤、耐衝撃性改良剤、架橋剤、着色剤、またはこれらの組み合わせが含まれる。
【0018】
本繊維強化複合材のいくつかは、ポリプロピレンを含まず、ガラス繊維を含まない。本繊維強化複合材のいくつかは、ポリエチレンを含まず、ガラス繊維を含まない。本繊維強化複合材のいくつかは、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンを含むが、ガラス繊維は含まない。本繊維強化複合材のいくつかは、ガラス繊維を含むが、ポリプロピレンまたはポリエチレンは含まない。
【0019】
さらに開示されているのは、本開示の繊維強化複合材を含むラミネートである。このようなラミネートは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のプライを含むことができ、一つのプライは、本開示の一つの繊維強化複合材からなっていてもよい。いくつかのラミネートにおいて、少なくとも2つのプライは、これらそれぞれの繊維が第1の軸と実質的に平行であるように位置する。いくつかのラミネートにおいて、少なくとも2つのプライは、これらそれぞれの繊維が互いに平行でないように位置する。本開示の繊維強化複合材およびラミネートは、例えば、ワインディングおよび/またはレイアップ技術によるなどして、二次元または三次元構造に組み立てたり加工したりすることができる。
【0020】
さらに開示されているのは、本開示の繊維強化複合材またはラミネートのいずれかを含む製造物品である。このような製造物品の非限定的な例には、自動車部品(例えば、ドア、フード、バンパー、Aビーム、Bビーム、バッテリーケース、ホワイトボディ、補強材、クロスビーム、シート構造物、サスペンション部品、ホース、および/または同種のもの)、編組構造物、織構造物、フィラメントワインディング構造物(例えば、パイプ、圧力容器、および/または同種のもの)、航空機部品(例えば、翼、胴体、尾部、安定板、および/または同種のもの)、風力タービンブレード、船体、ボートデッキ、鉄道車両、スポーツ用品、ウィンドウ・リニアル(window lineal)、パイル、ドック、補強木造梁、後付けのコンクリート構造物、補強押出または射出成形品、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)ケース、TVフレーム、スマートフォンミッドフレーム、スマートフォンユニボディケース、タブレットミッドフレーム、タブレットユニボディケース、TVスタンドまたはテーブル、ラップトップコンピュータケース、ロープ、ケーブル、防護衣料(例えば、耐切創手袋、ヘルメット、および/または同種のもの)、装甲、プレート、および/または同種のものが含まれる。
【0021】
本開示は、複数の繊維をそれぞれ有する一つまたは複数の繊維束を、一つまたは複数の開繊繊維層へと開繊するように構成された開繊ユニットを含む。繊維束は、繊維束の長さ寸法に対して垂直である方向に開繊することができ、それによって、開繊または扁平化繊維層を形成する。開繊ユニットは、凸状の第1の輪郭を持つ第1の表面と第1の輪郭とは異なる第2の輪郭を持つ第2の表面とを含む少なくとも一つのローブを有する開繊要素を含むことができ、第1および第2の表面が出会って(例えば、丸みのある)エッジを形成し、ローブは、複数の繊維が第1の表面およびエッジに接触するときに繊維束からの複数の繊維を横方向に開繊するように構成される。このような第2の輪郭は、実質的に直線または凹形であり得る。開繊要素は、複数の繊維が第2の表面に接触し、(例えば、エッジを越えて)第1の表面に移行するように位置することができる。開繊要素は、複数の繊維が第1の表面に接触し、(例えば、エッジを越えて)第2の表面に移行するように位置することができる。2つ以上のローブを含む開繊要素の場合、2つ以上のローブの第2の表面は、例えば、第2の表面が平面状である場合、第2の表面が協同して連続した平坦な表面を形成するように隣接することができる。
【0022】
いくつかの開繊ユニットにおいて、開繊要素は、開繊要素によって開繊されつつある複数の繊維に対して、かつ開繊要素の長軸の周りを、回転することができる;このような回転は振動方式であり得る。開繊要素は、開繊要素によって開繊されつつある複数の繊維に対して、かつ複数の繊維の長さ寸法に対して実質的に垂直である方向に、振動するように構成することができる。このような振動は、0.1〜20mm、好ましくは0.1〜10mmの振幅、および0.1〜5Hz、好ましくは0.5〜2Hzの周波数であり得る。
【0023】
いくつかの開繊ユニットにおいて、一つまたは複数の把持要素は、開繊要素の上流および/または下流に位置することができ、各把持要素は、複数の繊維が開繊要素によって開繊されるときに複数の繊維の横方向の動きを低減するように構成される。このような把持要素はそれぞれ、複数の繊維を受け入れるように構成された一つまたは複数の溝を含むことができる。
【0024】
本開示の開繊ユニットは、少なくとも第1および第2の開繊要素を含むことができ、第2の開繊要素は、第1の開繊要素の下流に位置する。第2の開繊要素のローブは、第1の開繊要素のローブよりも(例えば、長さ、幅、高さ、半径、横断寸法、および/または同種のものにおいて)(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10%またはそれ以上)大きくてもよい。第1および第2の開繊要素が協同して一つまたは複数の繊維束を一つまたは複数の繊維層へと開繊してもよい。第1の開繊要素は、少なくとも第1および第2のローブを含むことができ、第2の開繊要素は、少なくとも第3および第4のローブを含むことができ、第1および第3のローブは、第1の繊維束を開繊するように構成され、第2および第4のローブは、第2の繊維束を開繊するように構成される。このような開繊ユニットは
【0025】
開繊ユニットは、少なくとも第5および第6のローブを有する第3の開繊要素ならびに少なくとも第7および第8のローブを有する第4の開繊要素を含むことができ、第5および第7のローブは、第3の繊維束を開繊するように構成され、第6および第8のローブは、第4の繊維束を開繊するように構成される。開繊ユニットは、第1および第2の繊維束から第1の扁平化繊維層を、第3および第4の繊維束から第2の扁平化繊維層を形成するように構成することができる。
【0026】
繊維束の開繊中に一つまたは複数の繊維束に張力をかけるようにそれぞれ構成された一つまたは複数のテンショナーが、開繊ユニットの上流に位置することができる。開繊ユニットの上流および/または下流に熱源を備えることができ、熱源は、開繊ユニットによって開繊されつつある複数の繊維を加熱するように構成される。熱源は、赤外線熱源、加熱された開繊要素、加熱された把持要素、および/または同種のものを含んでもよい。繊維束フィードユニットは、開繊ユニットの上流に位置することができ、繊維束フィードユニットは、一つまたは複数の繊維束を開繊ユニットに供給するように構成される。
【0027】
さらに開示されているのは、複数の繊維をそれぞれ有する一つまたは複数の繊維束から、少なくとも一つの扁平化繊維層を製造するための方法である。このような繊維束は、1,000本、2,000本、3,000本、4,000本、5,000本、10,000本、20,000本、30,000本、40,000本、50,000本、60,000本またはそれ以上の個々のフィラメントを含むことができる。このような扁平化繊維層は、1〜50m/分、好ましくは2〜25m/分、より好ましくは8〜15m/分の速度で製造することができる。
【0028】
さらに開示されているのは、熱可塑性または熱硬化性ポリマーマトリックス材料内に複数の繊維を分散させるための含浸ユニットである。含浸ユニットは、第1の扁平化繊維層を含む第1の扁平化繊維層フィード、第2の扁平化繊維層を含む第2の扁平化繊維層フィード、熱可塑性または熱硬化性ポリマーマトリックス材料を含みかつマトリックス材料を第1および第2の扁平化繊維層の間に配するように構成された熱可塑性または熱硬化性ポリマーマトリックス材料フィード、ならびに第1および/または第2の扁平化繊維層をマトリックス材料に圧入するように構成されたプレス装置を含むことができる。このような含浸ユニットは、開繊繊維層がマトリックス材料に圧入された後に、第1および第2の開繊繊維層のうちの少なくとも一つに接触して、開繊繊維層の長さ寸法に対して実質的に垂直である方向に振動するように構成された、1つ、2つ、3つまたはそれ以上のラビング(rubbing)要素を含むことができる。このようなラビング要素は、0.1〜20mm、好ましくは0.1〜10mmの振幅、および0.1〜5Hz、好ましくは0.5〜2Hzの周波数で振動してもよい。各ラビング要素は、その長軸に沿って側方に位置する複数の丸みのあるセグメント、ローブ、または凸部を含むことができる。
【0029】
ポリマーマトリックス材料フィードは、(例えば、シートまたはフィルムとして;例えば、スリットダイから)マトリックス材料を第1および第2の扁平化繊維層の間に押し出すように構成された押出機を含むことができる。このような押出機は、ドリップに関連する廃棄物を低減させ得る。押出機は、第1および/または第2の扁平化繊維層の上に材料を直接供給するように構成されてもよい。
【0030】
さらに開示されているのは、複数の繊維を熱可塑性または熱硬化性ポリマーマトリックス材料内に分散させるための方法である。いくつかの方法は、第1の扁平化繊維層、第2の扁平化繊維層、および第1と第2の扁平化繊維の間に配置された熱可塑性または熱硬化性ポリマーマトリックス材料の積層を得る工程、ならびに第1および/または第2の扁平化繊維層をマトリックス材料に圧入する工程を含む。このようなプレスは、固定もしくは回転ローラ、ピン、ロッド、プレート、および/または同種のものを用いて実施されてもよい。
【0031】
本システムおよび本方法を使用して、本開示の繊維強化複合材を1〜50m/分、好ましくは2〜25m/分、より好ましくは8〜15m/分の速度で製造してもよい。
【0032】
さらに開示されているのは、第1の繊維束からの複数の繊維を含む第1の扁平化繊維層、第2の繊維束からの複数の繊維を含む第2の扁平化繊維層、ならびに第1および第2の扁平化繊維層の間に位置する熱可塑性または熱硬化性ポリマーマトリックス材料を含む組成物であり、第1および/または第2の扁平化繊維層は、本開示の開繊要素を使用して形成されている。熱可塑性または熱硬化性ポリマーマトリックス材料は、第1および第2の開繊繊維層が圧入されて繊維強化複合材を形成することができるシートまたはフィルムを含むことができる。
【0033】
「結合された」という用語は、必ずしも直接的にではなく、必ずしも機械的にではないが、接続されたと定義される;「結合された」2つの品物は、互いに単体であってもよい。「一つの(a)」および「一つの(an)」という用語は、本開示が明示的に別途要求しない限り、一つまたは複数と定義される。「実質的に」という用語は、当業者には理解されるように、必ずしも全体ではないが、指定されるものの大部分と定義される(かつ、指定されるものを含む;例えば、「実質的に90度」は90度を含み、「実質的に平行」は平行を含む)。任意の開示されている態様において、「実質的に」、「およそ」、および「約」という用語は、指定されるもの「の[パーセント]以内」で置き換えられてもよく、パーセントは、0.1、1、5、および10パーセントを含む。
【0034】
「扁平化した」および「開繊した」という用語は、本出願において同義である。本開示において用いられるとき、「扁平化した」、「を扁平化する」、「開繊した」、および「を開繊する」はそれぞれ、例えば、側面から見たときに繊維束がより薄くなるように、繊維束が、横方向に、または繊維束の長さ寸法に対して実質的に垂直である方向に広げられるプロセスに関連して用いられてもよい。典型的には、繊維束は、得られる扁平化または開繊繊維層が、平均で、1〜8フィラメント、好ましくは3〜6フィラメント、より好ましくは4〜5フィラメントの厚さまたは深さを有するように扁平化または開繊することができる。とはいうものの、他の厚さまたは深さも企図される。
【0035】
「不織」という用語は、織構造を持たない連続繊維でできた構造を表すために用いられる。本開示の繊維強化複合材において、不織繊維領域は、他のフィラメントと交差するフィラメントを含んでもよい。このような交差は、繊維領域の密度に影響することはあるが、繊維領域の不織の性質は変化させない。
【0036】
「プライ(ply)」という用語は単層を指し、「プライ(plies)」はプライの複数形である。
【0037】
「ボイド」という用語は、繊維強化複合材中の気孔を指す。複合材のボイド体積率は、(例えば、走査型電子顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、光学画像化、または他の画像化技術を用いて)複合材の断面画像を撮り、マトリックス材料の断面積を複合材の断面積で割ることによって求めてもよい。繊維領域中の繊維は、マトリックス材料の断面積に含めてもよい。マトリックス材料の同定を容易にするために、有色および/または蛍光染料をマトリックス材料に加えてもよい。
【0038】
「を含む(comprise)」(ならびに「comprises」および「comprising」などのcompriseの任意の形態)、「を有する(have)」(ならびに「has」および「having」などのhaveの任意の形態)、ならびに「を含む(include)」(ならびに「includes」および「including」などのincludeの任意の形態)という用語は、非限定的な連結動詞である。結果として、一つまたは複数の要素を「含む(comprises)」、「有する(has)」、または「含む(includes)」装置は、それらの一つまたは複数の要素を持つが、それら一つまたは複数の要素のみを持つことに限定されない。同じく、一つまたは複数の工程を「含む」、「有する」、または「含む」方法は、それら一つまたは複数の工程を持つが、それら一つまたは複数の工程のみを持つことに限定されない。
【0039】
装置、システム、および方法のいずれかの任意の態様は、記載された工程、要素、および/または特徴のいずれかを含む/有する/含むのではなく、これらからなるか、またはこれらから本質的になることができる。したがって、任意の請求項において、「からなる」または「から本質的になる」という用語は、所与の請求項の範囲を、そうでなければ非限定的な連結動詞を用いるであろう範囲から変更するために、上記の非限定的な連結動詞のいずれかを代替することができる。「から本質的になる」という用語に関連して、本開示の繊維強化複合材の基本的かつ新規な特性は、その平均RFAC(%)およびCOV(%)により定義される、その実質的に均一な密度である。
【0040】
さらに、ある特定の方法で構成された装置またはシステムは、少なくともその方法で構成されるが、具体的に説明された方法以外の方法で構成することもできる。
【0041】
一つの態様の特徴は、本開示によってまたは態様の本質によって明示的に禁止されていない限り、説明または例示されていなくても他の態様に適用されてもよい。
[本発明1001]
開繊機要素の長軸に対して垂直にとられた輪郭;
該輪郭の凸部を画定する第1の表面;および
該輪郭の直線部または凹部を画定する第2の表面
を含み、
該第1および第2の表面がエッジで出会う、
複数の繊維を有する繊維束を開繊繊維層へと開繊するように構成された開繊機要素。
[本発明1002]
第1の表面が楕円形であり;かつ
第2の表面が平面または凹形である、
本発明1001の開繊機要素。
[本発明1003]
楕円形の第1の表面;および凹形または平面の第2の表面をそれぞれ有する、開繊機要素の長軸に沿って配置された2つ以上のローブを含み、
該2つ以上のローブの該第2の表面が隣接するように、該2つ以上のローブが該長軸に沿って配置されている、
複数の繊維を有する繊維束を開繊繊維層へと開繊するように構成された開繊機要素。
[本発明1004]
2つ以上のローブのそれぞれについて、第1および第2の表面がエッジで出会う、本発明1003の開繊機要素。
[本発明1005]
開繊機要素の長軸が、該開繊機要素の第1および第2の長軸方向端部ならびに該第1および第2の長軸方向端部の中間にある該開繊機要素の一部を通って延びる、本発明1001〜1004のいずれかの開繊機要素。
[本発明1006]
バーまたはプレートを含む、本発明1001〜1004のいずれかの開繊機要素。
[本発明1007]
複数の繊維をそれぞれ有する1つまたは複数の繊維束を受け入れかつ1つまたは複数の開繊繊維層を製造するように構成された開繊ユニット
を含むシステムであって、
該開繊ユニットが、
フレーム;および
該1つまたは複数の繊維束が該開繊ユニットによって受け入れられるとき、開繊機要素の長軸が該1つまたは複数の繊維束のうちの少なくとも1つの長さ寸法に対して実質的に垂直であるように、該フレームにそれぞれ結合されている本発明1001〜1004のいずれかの1つまたは複数の開繊要素であって、該1つまたは複数の繊維束を該1つまたは複数の開繊繊維層へと開繊するように構成された、1つまたは複数の開繊要素
を含む、
システム。
[本発明1008]
開繊要素が、フレームに対して、該開繊要素の長軸と実質的に整合している方向に移動可能なように、1つまたは複数の開繊要素のうちの少なくとも1つが該フレームに結合されている、本発明1007のシステム。
[本発明1009]
開繊要素が、フレームに対して、該開繊要素の長軸の周りを回転可能なように、1つまたは複数の開繊要素のうちの少なくとも1つが該フレームに結合されている、本発明1007のシステム。
[本発明1010]
開繊ユニットが、フレームに結合された1つまたは複数の把持要素を含み、それぞれの把持要素が、1つもしくは複数の繊維束のうちの少なくとも1つまたは1つもしくは複数の開繊繊維層のうちの少なくとも1つを受け入れるように構成された1つまたは複数の溝を画定している、本発明1007のシステム。
[本発明1011]
1つまたは複数の開繊要素が、第1の開繊要素および該第1の開繊要素の下流に配置された第2の開繊要素を含み;かつ
該第1および第2の開繊要素が、1つまたは複数の繊維束のうちの少なくとも1つを、1つまたは複数の開繊繊維層のうちの少なくとも1つへと開繊するように構成されている、
本発明1007のシステム。
[本発明1012]
1つもしくは複数の繊維束のうちの少なくとも1つまたは1つもしくは複数の開繊繊維層のうちの少なくとも1つを加熱するように構成された熱源を含む、本発明1007のシステム。
[本発明1013]
1つまたは複数の開繊要素のうちの少なくとも1つが、加熱されるように構成されている、本発明1007のシステム。
[本発明1014]
1つまたは複数の開繊繊維層の少なくとも第1および第2のものを開繊機ユニットから受け入れかつ該第1および第2の開繊繊維層をマトリックス材料内に分散させるように構成された含浸ユニット
を含むシステムであって、
該含浸ユニットが、
該マトリックス材料のシートまたはフィルムを該第1および第2の開繊繊維層の間に供給するように構成された押出機;
該押出機の下流に配置され、該第1の開繊繊維層を該マトリックス材料に圧入するように構成された凸面を有する第1のプレス要素;ならびに
該押出機の下流に配置され、該第2の開繊繊維層を該マトリックス材料に圧入するように構成された凸面を有する第2のプレス要素
を含む、
本発明1007のシステム。
[本発明1015]
1つまたは複数の開繊繊維層のうちの少なくとも1つを開繊機ユニットから受け入れかつ該開繊繊維層をマトリックス材料内に分散させるように構成された含浸ユニット
を含むシステムであって、
該含浸ユニットが、
該マトリックス材料のシートまたはフィルムを供給するように構成された押出機;
該押出機の下流に配置され、該1つまたは複数の開繊繊維層のうちの少なくとも1つを該マトリックス材料に圧入するように構成された凸面をそれぞれ有する、1つまたは複数のプレス要素;
フレーム;および
該フレームに結合された1つまたは複数のラビング要素であって、ラビング要素の長軸に沿って配置された1つまたは複数の凸部をそれぞれ有する、1つまたは複数のラビング要素
を含み、
該1つまたは複数のラビング要素のそれぞれが、該フレームに対して、該ラビング要素の該長軸と実質的に整合している方向に移動可能であり;かつ
該開繊繊維層が該マトリックス材料に圧入された後に、該1つまたは複数のラビング要素のそれぞれが、該1つまたは複数の開繊繊維層のうちの少なくとも1つに接触するように構成されている、
本発明1007のシステム。
[本発明1016]
少なくとも第1および第2の開繊繊維層を受け入れかつ該第1および第2の開繊繊維層をマトリックス材料内に分散させるように構成された含浸ユニットであって、
該第1および第2の開繊繊維層の間に該マトリックス材料のシートまたはフィルムを供給するように構成された押出機;
該押出機の下流に配置され、該第1の開繊繊維層を該マトリックス材料に圧入するように構成された凸面を有する第1のプレス要素;ならびに
該押出機の下流に配置され、該第2の開繊繊維層を該マトリックス材料に圧入するように構成された凸面を有する第2のプレス要素
を含む、含浸ユニット。
[本発明1017]
第2のプレス要素が第1のプレス要素の下流に配置されている、本発明1016の含浸ユニット。
[本発明1018]
フレーム;および
該フレームに結合された1つまたは複数のラビング要素であって、ラビング要素の長軸に沿って配置された1つまたは複数の凸部をそれぞれ有する、1つまたは複数のラビング要素
を含み、
該1つまたは複数のラビング要素のそれぞれが、該フレームに対して、該ラビング要素の該長軸と実質的に整合している方向に移動可能であり;かつ
開繊繊維層がマトリックス材料に圧入された後に、該1つまたは複数のラビング要素のそれぞれが、第1および第2の開繊繊維層のうちの少なくとも1つに接触するように構成されている、
本発明1016の含浸ユニット。
[本発明1019]
1つまたは複数の開繊繊維層を受け入れかつ該1つまたは複数の開繊繊維層をマトリックス材料内に分散させるように構成された含浸ユニットであって、
該マトリックス材料のシートまたはフィルムを供給するように構成された押出機;
該押出機の下流に配置され、該1つまたは複数の開繊繊維層のうちの少なくとも1つを該マトリックス材料に圧入するように構成された凸面をそれぞれ有する、1つまたは複数のプレス要素;
フレーム;および
該フレームに結合された1つまたは複数のラビング要素であって、ラビング要素の長軸に沿って配置された1つまたは複数の凸部をそれぞれ有する、1つまたは複数のラビング要素
を含み、
該1つまたは複数のラビング要素のそれぞれが、該フレームに対して、該ラビング要素の該長軸と実質的に整合している方向に移動可能であり;かつ
該開繊繊維層が該マトリックス材料に圧入された後に、該1つまたは複数のラビング要素のそれぞれが、該1つまたは複数の開繊繊維層のうちの少なくとも1つに接触するように構成されている、
含浸ユニット。
[本発明1020]
押出機が、マトリックス材料のシートまたはフィルムを、1つまたは複数の開繊繊維層の第1および第2のものの間に供給するように構成され、かつ、
1つまたは複数のプレス要素が、
該第1の開繊繊維層を該マトリックス材料に圧入するように構成された第1のプレス要素;および
該第2の開繊繊維層を該マトリックス材料に圧入するように構成された第2のプレス要素
を含む、
本発明1019の含浸ユニット。
[本発明1021]
第2のプレス要素が第1のプレス要素の下流に配置されている、本発明1020の含浸ユニット。
[本発明1022]
1つまたは複数のラビング要素のそれぞれについて、1つまたは複数の凸部のそれぞれが楕円形の表面を含む、本発明1018〜1021のいずれかの含浸ユニット。
[本発明1023]
1つまたは複数のラビング要素のそれぞれがバーまたはプレートを含む、本発明1018〜1021のいずれかの含浸ユニット。
[本発明1024]
1つまたは複数のラビング要素のうちの少なくとも1つが、加熱されるように構成されている、本発明1018〜1021のいずれかの含浸ユニット。
[本発明1025]
1つまたは複数のプレス要素のそれぞれがバーまたはプレートを含む、本発明1016〜1021のいずれかの含浸ユニット。
[本発明1026]
1つまたは複数のプレス要素のうちの少なくとも1つが、加熱されるように構成されている、本発明1016〜1021のいずれかの含浸ユニット。
[本発明1027]
マトリックス材料のシートまたはフィルムを溶融させるように構成された熱源を含む、本発明1016〜1021のいずれかの含浸ユニット。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下の図面は、限定ではなく例として示すものである。簡潔かつ明確にするために、所与の構造のすべての特徴が、その構造が現れるすべての図において必ずしもラベルされるとは限らない。同一の参照番号が必ずしも同一の構造を示すとは限らない。そうではなく、異なる参照番号と同様に、同一の参照番号が、類似の特徴または類似の機能を有する特徴を示すために使用されてもよい。図は、(特に記載のない限り)原寸に比例して描かれており、これは、少なくとも図に描かれた態様において、描かれた要素のサイズが互いに対して正確であることを意味する。
【0043】
図1】先行技術の一方向繊維強化複合材の断面画像を含む。
図2】本開示の一方向繊維強化複合材の断面共焦点顕微鏡像である。
図3】本開示の一方向繊維強化複合材の概略図であり、複合材の長さ、幅、および厚さは、軸E1、E2、およびE3それぞれに沿って測定されてもよい。
図4図4Aは、3つの複合材の繊維が互いに実質的に平行である3つの一方向繊維強化複合材の積層またはレイアップの概略図である。図4Bは、2つの複合材の繊維が異なる方向に配向した2つの一方向繊維強化複合材の積層またはレイアップの切断概略図である。図4Cは、保護被覆を含む一方向繊維強化複合材の積層またはレイアップの概略図である。
図5】本開示の一方向繊維強化複合材を製造するためのシステムの概略図である。
図6A】本開示の開繊ユニットの斜視図である。
図6B図6Aの線6B-6Bに沿った、図6Aの開繊ユニットの側断面図である。
図6C図6Aの開繊ユニットの側面図である。
図6D図6Aの開繊ユニットの上面図である。
図6E図6Aの開繊ユニットの底面図である。
図6F図6Aの開繊ユニットの正面図である。
図6G図6Aの開繊ユニットの背面図である。
図7A】本開示の開繊要素の斜視図である。
図7B図7Aの線7B-7Bに沿った、図7Aの開繊要素の端断面図である。
図7C図7Aの開繊要素の正面図である。
図7D図7Aの開繊要素の上面図である。
図7E図7Aの開繊要素の底面図である。
図7F図7Aの開繊要素の斜視図である。
図8A】本開示の開繊要素を使用して開繊されつつある繊維束の概略図である。
図8B】本開示の開繊要素を使用して開繊されつつある繊維束の概略図である。
図8C】本開示の開繊要素を使用して開繊されつつある繊維束の概略図である。
図8D】本開示の開繊ユニットを使用して開繊されつつある繊維束の斜視図である。
図8E】本開示の開繊ユニットを使用して開繊されつつある繊維束の斜視図である。
図9】開繊繊維層を加工して一方向繊維強化複合材を形成するための一つの態様を示す概略図である。
図10図10Aおよび10Bは、それぞれ、本開示のラビング要素の斜視図および正面図である。
図11】開繊繊維層を加工して一方向繊維強化複合材を形成するための一つの態様を示す概略図である。
図12】本開示の一方向繊維強化複合材の断面共焦点顕微鏡像である。
図13】本開示の一方向繊維強化複合材の断面共焦点顕微鏡像である。
図14】本開示の一方向繊維強化複合材の断面共焦点顕微鏡像である。
図15】本開示のものと比較される一方向繊維強化複合材の断面共焦点顕微鏡像である。
図16】本開示のものと比較される一方向繊維強化複合材の断面共焦点顕微鏡像である。
図17】本開示のものと比較される一方向繊維強化複合材の断面共焦点顕微鏡像である。
図18】本開示の一方向テープから形成されたラミネートをそれぞれ含む試験サンプルの正面図である。
図19】本開示の一方向テープから形成されたラミネートをそれぞれ含む試験サンプルの側面図である。
図20図18および図19の試験サンプルを試験するのに適した装置を示す。
図21】試験後の図18および図19の試験サンプルを示す。
図22】試験後の図18および図19の試験サンプルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
詳細な説明
現在利用できる繊維強化複合材は繊維の不均一な配置およびボイドを有することがあり、これは、複合材を弱くし、最終的にはこのような複合材を含む部品、構成要素、デバイスなどの故障につながる可能性がある割れおよび破損を起こしやすくする可能性がある。これに対して、本開示の繊維強化複合材は、平均相対繊維占有面積率(RFAC)(%)および変動係数(COV)(%)により定義される実質的に均一な密度を有する不織繊維領域を含む。本開示の複合材は、現在利用できる複合材と比較したとき、改善された構造特性を有する。
【0045】
繊維を開繊および/または含浸させるための従来の装置は、繊維の十分に均等な間隔をもたらすことができず、かつ/または含浸中に繊維が移動するのを十分に防ぐことができない。このような均等でない間隔および繊維の移動は、得られる複合材において不均一な繊維配置およびボイドをもたらす可能性がある。対照的に、本開示の開繊ユニットおよび含浸ユニットを使用して、上述の通り、実質的に均一な密度を有する繊維強化複合材を調製することができる。
【0046】
本発明のこれらおよび他の非限定的な局面を、以下の項でより詳しく論じる。
【0047】
A.繊維強化複合材
本開示の繊維強化複合材は、熱可塑性または熱硬化性ポリマーマトリックスと、ポリマーマトリックス内に分散した複数の連続繊維を含む不織繊維領域とを有することができる。典型的には、不織繊維領域の幅および長さは、繊維強化複合材の幅および長さそれぞれと実質的に同様である。このような繊維強化複合材は、体積で少なくとも35〜70%の複数の連続繊維を含むことができる。
【0048】
このような不織繊維領域は、65〜90の平均相対繊維占有面積率(RFAC)(%)および3〜20の変動係数(COV)(%)、好ましくは69〜90の平均RFAC(%)および3〜15のCOV(%)、最も好ましくは75〜90の平均RFAC(%)および3〜8のCOV(%)により定義される実質的に均一な密度を有することができる。
【0049】
1.密度の均一性の測定
本開示の複合材の密度の均一性は、以下の手順を用いることにより測定される:
1.熱可塑性または熱硬化性繊維強化テープ/複合材の断面画像を光学顕微鏡法(例えば、共焦点顕微鏡法)により得る。断面画像は、繊維の長軸に対して垂直に撮影され、少なくとも1500μmの長さおよび少なくとも160μmの幅(例えば、テープ/複合材の厚さに沿って測定される)を有する。実施例では、50倍のレンズ(Keyence VK-X200、Elmwood、New Jersey、米国)を備えたKeyence VK-X200カメラを使用した;しかし、他のカメラまたは撮像装置を使用することができる。
2.断面画像の長さおよび幅を二等分するクロスヘアーを描く。
3.最初の正方形のボックスは、クロスヘアーの中央に描かれ、テープ/複合材の厚さの40%に等しい辺を有する。
4.各組が、最初の正方形のボックスと隣り合う垂直または横のクロスヘアーのそれぞれの脇、および水平または縦のクロスヘアーの中央にあるように、最初の正方形のボックスと同じ寸法をそれぞれ有する5つの隣り合う正方形のボックスの2つの組が描かれる。合計で11個のボックスが存在することになり、それによって、11個のデータポイントが与えられる。
5.11個の正方形のボックスのそれぞれにおける繊維表面積または繊維が占める面積が測定され、各正方形のボックスについて、占有面積率(AC)(%)と呼ぶ正方形のボックスの総面積のパーセントとして表される。
6.11個の正方形のボックスのそれぞれの相対繊維占有面積率(RFAC)(%)は、正方形のボックスのACを、円形のフィラメントの最密充填を仮定することができる理論的に可能な最大ACで割り、100を掛けることによって求められる。平均RFAC(%)は、11個の正方形のボックスのRFACを平均することによって求められる。
7.変動係数(COV)(%)は、ACの標準偏差(σ)をACの平均で割り、100を掛けることによって求められる。
【0050】
上述の手順を実施例の項で用いて、本開示の繊維強化複合材および3つの比較可能な市販の複合材の平均RFAC値およびCOV値を計算した。
【0051】
2.繊維強化複合材の寸法
図2および図3は、一方向繊維強化複合材200を示す。繊維強化複合材(例えば、200)は、任意の幅(例えば、軸E2に沿って測定される。)および任意の長さ(例えば、軸E1に沿って測定される。)を有することができる。例えば、繊維強化複合材(例えば、200)は、最大6mもしくはそれ以上、または0.01〜6m、0.5〜5m、または1〜4m、またはそれらの間の任意の範囲の幅、および最大10,000mもしくはそれ以上、または5〜1,000m、10〜100m、またはそれらの間の任意の範囲の長さを有することができる。複合材(例えば、200)の幅は、0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0mまたはそれ以上であり得る。複合材(例えば、200)の長さは、1、10、100、500、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000メートルまたはそれ以上であり得る。
【0052】
3.繊維領域
繊維強化複合材200は、ポリマーマトリックス204内に分散した不織繊維領域202を含む。不織繊維領域202は、複数の繊維206を含み、これらは一方向に配向され、第1の軸(例えば、軸E1図3)と実質的に平行である。複合材(例えば、200)の繊維(例えば、206)は、体積で複合材の35〜70%、好ましくは40〜65%、より好ましくは45〜55%、またはそれらの間の任意の範囲を占める。繊維領域202は、(例えば、図9に示し、図9に関して説明される通り)マトリックス材料に圧入された第1の扁平化繊維層および第2の扁平化繊維層から形成することができる。繊維206は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、セラミック繊維、バサルト繊維、またはスチール繊維、あるいはこれらの組み合わせであり得る。繊維206は、7μm2〜800μm2の平均フィラメント断面積を有することができ、これは、円形の繊維の場合、3〜30ミクロンの平均フィラメント径に相当する。
【0053】
複合材(例えば、200)の繊維(例えば、206)は、束(例えば、炭素、セラミック、炭素前駆体、セラミック前駆体、ガラス、および/または同様の繊維の束)で提供されてもよい。このような束は、例えば、400本、750本、800本、1,375本、1,000本、1,500本、3,000本、6,000本、12,000本、24,000本、50,000本、60,000本またはそれ以上の繊維など、任意の数の繊維を含んでもよい。束中の繊維は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24ミクロンまたはそれ以上(例えば、5〜24ミクロン、10〜20ミクロン、12〜15ミクロン、またはそれらの間の任意の範囲)の平均フィラメント径を有することができる。繊維には、被覆(例えば、オルガノシランなどの有機ポリマーの被覆)、顔料、および/または同種のものを施すことができる。
【0054】
ガラス繊維束(例えば、繊維ガラスヤーン束)は、HYBON(登録商標)の商品名でPPG Industries(Pittsburg、PA、米国)から、Jushi Group Co., Ltd.(中国)から、およびKripa International(インド)から市販されている。ガラス繊維束は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24ミクロンまたはそれ以上(例えば、10〜24ミクロン、12〜20ミクロン、13〜15ミクロン、またはそれらの間の任意の範囲)の平均フィラメント径を有することができる。炭素繊維または改質炭素繊維束(例えば、炭素繊維トウ)は、ACP Composites(Livermore、CA、米国)から、Toray Industries, Inc.(日本)から、およびPanex(登録商標)の商品名でZOLTEK(Bridgeton、MO、米国)から市販されている。炭素繊維束は、3〜8ミクロン、6〜7ミクロン、またはそれらの間の任意の範囲の平均フィラメント径を有することができる。
【0055】
アラミド繊維束(例えば、アラミド繊維ヤーン束)は、KEVLAR(登録商標)の商品名でDuPont(商標)(Wilmington、DE、米国)により販売されている。セラミック繊維束(例えば、金属酸化物繊維束)は、3M(商標)Nextel(商標)Continuous Ceramic Oxide Fibersの商品名で3M(米国)から市販されている。バサルト繊維束は、Basfiber(登録商標)の商品名でKamenny Vek(Moscow、ロシア)から、またはSudaglassの商品名でSudaglass Fiber Technology(ロシア)から市販されている。ポリエステル繊維束、ポリアミド繊維束、ポリフェニレンスルフィド繊維束、およびポリプロピレン繊維束は、TORAYCA(商標)の商品名でToray Industriesから市販されている。理論によって制限されることは本意ではないが、繊維強化複合材を形成するために本開示の方法および装置を使用して繊維を加工するとき、繊維の物理特性は実質的に変化しないと考えられる。
【0056】
ポリマーマトリックス(例えば、204)は、例えば、熱可塑性ポリマーおよび/または熱硬化性ポリマーなどの任意の適した材料を含むことができる。このような熱可塑性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ(1,4-シクロヘキシリデンシクロヘキサン-1,4-ジカルボキシレート)(PCCD)、グリコール変性ポリシクロヘキシルテレフタレート(PCTG)、ポリ(フェニレンオキシド)(PPO)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンイミンもしくはポリエーテルイミド(PEI)またはこれらの誘導体、熱可塑性エラストマー(TPE)、テレフタル酸(TPA)エラストマー、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリスルホンスルホネート(PSS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、アクリロニトリルブチルジエンスチレン(ABS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、これらのコポリマー、あるいはこれらのブレンドが含まれる。このような熱硬化性ポリマーの非限定的な例には、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ベークライト、duroplast、尿素ホルムアルデヒド、フタル酸ジアリル、エポキシ樹脂、エポキシビニルエステル、ポリイミド、ポリシアヌレートのシアン酸エステル、ジシクロペンタジエン、フェノール類、ベンゾオキサジン、これらのコポリマー、またはこれらのブレンドが含まれる。
【0057】
繊維領域202は、上で定義した実質的に均一な密度を有する。示す通り、複合材200が有するボイドの体積率は、5%未満、例えば、4、3、2、または1%未満、0〜5%、0.1〜4%、または1〜3%などである。複合材200などのいくつかの繊維強化複合材は、実質的にボイドのないものであり得る。対照的に、図1の先行技術の複合材は、一貫した密度部分102を含む一方で、一貫しない密度部分104およびボイド106を有する繊維領域を有する。
【0058】
4.ポリマーリッチ領域
示す通り、不織繊維領域202は、第1のポリマーリッチ領域208および第2のポリマーリッチ領域210の間に位置する。ポリマーリッチ領域208および210は、体積で10%未満の繊維206を含む。ポリマーリッチ領域(例えば、208、210、および/または同種のもの)は、体積で9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、または0.1%未満の繊維(例えば、206)を含むことができる。第1および第2のポリマーリッチ領域208および210のそれぞれの幅および長さは、繊維強化複合材200の幅および長さそれぞれと実質的に同様である。繊維強化複合材200の場合、第1のポリマーリッチ領域208の厚さおよび第2のポリマーリッチ領域210の厚さの合計は、複合材の厚さの15〜25%である。第1および第2のポリマーリッチ領域208および210は、実質的に同じ厚さ(例えば、厚さは互いの10%以内である)を有する;しかし、他の態様において、ポリマーリッチ領域(例えば、208および210)は、異なる厚さ(例えば、互いに対して10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20%またはそれ以上を超えて異なる厚さ)を有してもよい。第1および第2のポリマーリッチ領域208および210のそれぞれは、ポリマーリッチ領域全体にわたって実質的に均一な密度を有することができる。このようなポリマーリッチ領域(例えば、208および210)は、繊維(例えば、206)を適所に保持するのに十分なポリマーマトリックス(例えば、204)を提供することによって複合材(例えば、200)強度を向上させ、ならびに(例えば、複合材中に繊維を重ね合わせて含むことによって)複合材の取り扱い、および他の複合材または構造物への複合材の接合を容易にしてもよい。
【0059】
5.プライから作られる繊維強化複合材
図4A〜4Cは、本発明の繊維強化複合材の積層またはレイアップの概略図であり、これを使用してラミネートを形成してもよい。このような積層またはレイアップは、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)の繊維強化複合材(例えば、200)を含むことができ、このような繊維強化複合材は、積層またはレイアップ内で任意の適した形で互いに対して配向させることができる。例えば、図4Aの積層400は、3つのUD繊維強化複合材200、402、および404を含む。示す通り、各UD複合材200、402、および404の繊維406は、互いに、および軸E1と、実質的に平行である(例えば、積層400は、UD積層として特徴付けられてもよい)。別の例の場合、図4Bの積層400は、2つのUD繊維強化複合材200および402を含む。示す通り、UD複合材200の繊維206は、UD複合材402の繊維406に対して角度を付けて(例えば、90度で)配置される。複合材、プライ、積層、およびラミネートには、保護被覆が施されてもよい。例えば、図4Cは、保護被覆または層412および414を有する2つのUD繊維強化複合材408および410の積層を示す。非繊維もしくは非UDの層、プライ、またはフィルムを有するレイアップまたは積層も企図される。このような層、プライ、またはフィルムの例には、ニートの熱可塑性樹脂、様々な添加剤とコンパウンドした熱可塑性ポリマー、および/または同種のものが含まれる。
【0060】
6.添加剤
開示されているポリマー組成物およびマトリックスは、例えば、マトリックス材料と繊維との間の接着を促進するカップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、流れ調整剤、難燃剤、UV安定剤、UV吸収剤、耐衝撃性改良剤、架橋剤、着色剤、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される一種または複数種の添加剤を含む一種または複数種の任意選択の添加剤成分をさらに含むことができる。開示されている組成物における添加剤成分としての使用に適したカップリング剤の非限定的な例には、Chemturaから市販されているPolybond(登録商標)3150無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン、DuPontから市販されているFusabond(登録商標)P613無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン、無水マレイン酸エチレン、またはこれらの組み合わせが含まれる。開示されている組成物における添加剤成分としての使用に適した例示的な流れ調整剤には、非限定的に、Polyvel Inc.から市販されているCR20P過酸化物マスターバッチを含むことができる。開示されている組成物における添加剤成分としての使用に適した非限定的で例示的な安定剤には、非限定的に、BASFから市販されているIrganox(登録商標)B225を含むことができる。さらに別の局面において、ニートのポリプロピレンを任意選択の添加剤として導入することができる。難燃剤の非限定的な例には、ハロゲン系および非ハロゲン系ポリマー改質剤および添加剤が含まれる。UV安定剤の非限定的な例には、ヒンダードアミン光安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、シアノアクリレート、オキサニリド、ヒドロキシフェニルトリアジン、およびこれらの組み合わせが含まれる。UV吸収剤の非限定的な例には、4-置換-2-ヒドロキシベンゾフェノンおよびその誘導体、アリールサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエートなどのジフェノールのモノエステル、2-(2-ヒドロキシアリール)-ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、2-(2-ヒドロキシアリール)-1,3,5-トリアジンおよびその誘導体、またはこれらの組み合わせが含まれる。耐衝撃性改良剤の非限定的な例には、例えば、バルクHIPS、バルクABS、リアクター改質PP、Lomod、Lexan EXL、および/または同種のものなどのマトリックス形成モノマーに溶解させたエラストマー/ソフトブロック、例えば、ジ-、トリ-、およびマルチブロックコポリマー、(官能化)オレフィン(コ)ポリマー、および/または同種のものなどをコンパウンドすることによってマトリックス材料内に分散させた熱可塑性エラストマー、例えば、MBS、ABS-HRG、AA、ASA-XTW、SWIM、および/または同種のものなどをコンパウンドすることによってマトリックス材料中に分布させたあらかじめ定義されたコア-シェル(基質-グラフト)粒子、あるいはこれらの組み合わせが含まれる。架橋剤の非限定的な例には、ジビニルベンゼン、過酸化ベンゾイル、例えば、グリコールビスアクリレートおよび/または同種のものなどのアルキレンジオールジ(メタ)アクリレート、アルキレントリオールトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルアジペート、クエン酸のトリアリルエステル、リン酸のトリアリルエステル、あるいはこれらの組み合わせが含まれる。
【0061】
B.繊維強化複合材を製造するためのシステム、方法、および装置
図5は、本開示の繊維強化複合材200を製造するためのシステム500の概略図である。システム500には、繊維束のスプール502、巻出ユニット504、繊維準備部506、開繊部508、含浸部510、成形ユニット512、および巻取機514を含むことができる。繊維束のスプール502は、繊維束を繊維準備部506に供給することができるようにスプールから繊維束516を巻き出すことができる巻出ユニット504上に位置することができる。場合によっては、スプールなしで、巻かれた繊維束が(例えば、供給業者から)提供されてもよい;このような場合、巻かれた繊維束を巻出ユニット504上に位置付ける前に、巻かれた繊維束にスプールを挿入してもよい。繊維束516は、いかなる開繊操作にも供されていない繊維束でもよい。繊維準備部506は、繊維束516を開繊用に準備するための当技術分野において公知のユニットを含むことができる。例えば、繊維準備部506は、繊維束516に張力をかけ、これを安定化し、場合によってはこれを導くための一つまたは複数のテンショナー(例えば、ダンサー張力制御システム、一つまたは複数のローラ、および/または同種のもの)を含んでもよい。このようなテンショナーは、開繊要素604A〜604Dとの接触中に、繊維束516に張力を与えてもよく、これは、繊維束を開繊または扁平化する間、繊維束を適所に保持するのに役立ち得る。場合によっては、例えば、繊維束516の重量が繊維束に張力をかける役目を果たすように、巻出ユニット504は、繊維準備部506および/または開繊部508から(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10mまたはそれ以上)離してもよい。別の例では、繊維準備部506は、繊維束516を加熱しかつ/または(例えば、繊維束上に存在する可能性のある何らかの被覆を除去するために)繊維束に噴霧するように構成されてもよい。
【0062】
開繊部508において、繊維束516を(以下でより詳しく説明する)開繊繊維層518へと開繊または扁平化することができる。開繊繊維層518は含浸部510に供給されてもよく、ここで、繊維層をマトリックス材料内に分散させて、繊維強化複合材520(例えば、図2の繊維強化複合材200)を形成することができる。含浸部510は、押出機、浴、被覆システム、および/または同種のものを含むことができる。繊維強化複合材520は成形ユニット512に入ることができ、ここで、繊維強化複合材がテープ522またはシートへと形成されてもよい。テープ522は巻取機514に供給されてもよく、これが、(例えば、テープの保管、輸送、および/または同種のものを容易にするために)スプールにテープを巻き取ってもよい。
【0063】
1.開繊部
開繊部508は、一つまたは複数の繊維束516を一つまたは複数の開繊繊維層518へと開繊するようにそれぞれ構成された一つまたは複数の開繊ユニット600を含んでもよい。開繊部508はまた、開繊ユニット600の動作に必要な一つまたは複数のローラ、モータ、電気接続、および/または同種のものを含んでもよい。
【0064】
i.開繊ユニット
図6A図6Gを参照すると、開繊ユニット600が示してある。以下でより詳しく説明するように、開繊ユニット600は、例えば、一つまたは複数の把持要素(例えば、602A〜602D)、一つまたは複数の開繊要素(例えば、604A〜604D)、一つまたは複数の熱源(例えば、加熱された開繊要素など)、および、任意で一つまたは複数のローラ(例えば、606)など、様々な構成要素を含むことができる。開繊ユニット600の構成要素は、腐食に対して耐性がありかつ/または繊維層もしくは繊維強化複合材の製造に使用される材料(例えば、繊維、マトリックス材料、および/または同種のもの)に対して耐性がある材料、例えば、ステンレス鋼、他の合金、および/または同種のものなどで作ることができる。開繊ユニット600の構成要素は、フレーム608に結合することができる。開繊ユニット600の一つまたは複数の構成要素は、例えば、開繊ユニットのメンテナンスおよび/または再構成を容易にするために、(例えば、開繊要素を、異なるローブを有する他の開繊要素に置き換えること、把持要素を、異なる繊維把持部、半径、および/または同種のものを有する他の把持要素に置き換えること、および/または同種のことによって)フレーム608に取り外し可能に結合することができる。フレーム608は、開繊ユニット600の可搬性を高めるために、ホイールまたは他の特徴を含むことができる。
【0065】
ii.把持要素
把持要素602A〜602Dはそれぞれ、把持要素端部612(図6F)の間に配置された繊維把持部610を含む。各把持要素において、繊維把持部610は、複数の溝614または複数の突起616を含むものとして特徴付けられてもよい。示す通り、各繊維把持部610は、7本の溝614を含む;しかし、他の態様において、繊維把持部(例えば、610)は、任意の数の溝(例えば、614)を含んでもよく、溝の数は、開繊ユニット(例えば、600)によって開繊される繊維束(例えば、516)の数、開繊ユニットによって製造される開繊繊維層(例えば、518)の数、および/または同種のものに基づいて選択されてもよい。繊維把持部610の溝614はそれぞれ、互いに同じ、実質的に同様の、または互いに異なる寸法(例えば、幅および深さ)を有してもよい。把持要素602A〜602Dはそれぞれバーを含む(例えば、把持要素はロッド形状である);しかし、他の態様において、把持要素(例えば、602A〜602D)はプレートを含んでもよい。
【0066】
把持要素602A〜602Dはそれぞれ、複数の繊維が開繊ユニットに入るとき、開繊要素を通過するとき、開繊ユニットを出るとき、および/または同種のとき、(例えば、繊維束516または開繊繊維層518中の)複数の繊維の望まれない横方向の動きを低減するように構成されてもよい。例えば、繊維把持部610について、溝614はそれぞれ、繊維把持部が受け入れるように構成された複数の繊維の幅に対応する(例えば、それぞれの把持要素の長軸に沿って測定された)幅を有してもよい。繊維束516を受け入れるように構成された把持要素602Aおよび602Cの溝614はそれぞれ、開繊要素604Aおよび604Cからの開繊繊維を受け入れるように構成された把持要素602Bおよび602Dの溝614の幅よりも小さい幅を有してもよい。とりわけ、把持要素602Aおよび602Cの溝614はそれぞれ、4〜8mm、好ましくは約6mmの幅を有することができ、把持要素602Bおよび602Dの溝614はそれぞれ、8〜12mm、好ましくは約10mmの幅を有することができる。
【0067】
開繊ユニット600は、4つの把持要素602A〜602Dおよび4つの開繊要素604A〜604Dを含む。各開繊要素は、把持要素と対であることができ、それぞれの対について、把持要素は、開繊要素の上流に位置することができる。
【0068】
iii.開繊要素
図7A図7Fをさらに参照すると、示されているのは開繊要素604であり、これが開繊要素604A〜604Dを代表してもよい。開繊要素604は、(例えば、繊維束516の繊維を開繊するにせよ、開繊繊維層518の繊維をさらに開繊するにせよ)複数の繊維を開繊繊維層518へと開繊するように構成されている。開繊要素604は、開繊要素の長軸に対して垂直にとられた輪郭、輪郭の凸部を画定する第1の表面626、および輪郭の直線部または凹部を画定する第2の表面628を含む。第1の表面626は楕円形であり得、かつ/または第2の表面628は平面または凹形であり得る。第1の表面626および第2の表面628は、繊維がエッジを通過するときの繊維の引っ掛かりまたは断裂を緩和するために丸みがあってもよいエッジ630(例えば、エッジは面取りされていてもよい)で出会うことができる。これらおよび他の方法において、複数の繊維が開繊要素604を通過する(例えば、矢印632で示す方向に開繊要素に近づく)とき、繊維は、第1の表面626から(例えば、存在する場合、エッジ630を越えて)第2の表面628に移行し、それによって繊維が開繊されてよい。開繊要素604は概して直線である;例えば、開繊要素の長軸は、開繊要素端部622ならびに長軸方向の端部と端部の中間にある開繊要素の一部を通って延びる。開繊要素604はバーを含む(例えば、ロッド形状である);しかし、他の態様において、開繊要素(例えば、604A〜604D)はプレートを含んでもよい。
【0069】
開繊要素604は、開繊要素の長軸に沿って配置された2つ以上のローブ620を含む。各ローブ620は、(例えば、上述の)第1の表面626および第2の表面628を含むことができる。ローブ620は、2つ以上のローブの第2の表面628が隣接するように、開繊要素の長軸に沿って配置することができる。示す通り、開繊要素604は7つのローブを含む;しかし、他の態様において、開繊要素(例えば、604)は、例えば、1〜100、2〜50、3〜25、5〜20個のローブなど、任意の適した数のローブ(例えば、620)を含むことができ、5、6、7、8、9、または10個のローブが好ましい。
【0070】
開繊要素604A〜604Dはそれぞれ、開繊ユニット600によって開繊されつつある複数の繊維に対して、繊維の長さ寸法に対して実質的に垂直である方向に(例えば、概して矢印605で示す方向に)移動可能であり得、これは、繊維の開繊を向上させ得る。例えば、開繊要素が、フレームに対して、開繊要素の長軸と実質的に整合している方向に移動可能なように、開繊要素604A〜604Dのそれぞれがフレーム608に結合されてもよい。いくつかの態様において、フレーム(例えば、608)および開繊要素(例えば、604A〜604D)を含む開繊ユニット(例えば、600)全体が、開繊ユニットによって開繊されつつある複数の繊維に対して移動するように構成されてもよい。
【0071】
とりわけ、開繊要素604A〜604Dが、開繊ユニット600によって開繊されつつある複数の繊維に対して振動するように構成されてもよい。このような振動は、例えば、0.1〜20mm、0.1〜10mm、0.5〜8mm、1〜5mm、または0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20mmなどの任意の適した振幅であり得る。このような振動は、例えば、0.1〜5Hz、0.5〜2Hz、または0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、もしくは5.0Hzなどの任意の適した周波数であり得る。開繊要素604A〜604Dのこのような振動は、繊維が開繊要素を通過するときに、複数の繊維を並置するのに役立ち得る。開繊要素604A〜604Dのそれぞれは、同じまたは異なる振幅および/または周波数で振動させることができる。
【0072】
開繊要素604A〜604Dはそれぞれ、開繊ユニット600によって開繊されつつある複数の繊維に対して、開繊要素の長軸の周りを回転可能であり得る。例えば、開繊要素が、フレームに対して、開繊要素の長軸の周りを回転可能であるように、開繊要素604A〜604Dがフレーム608にそれぞれ結合されている。開繊要素のこのような回転によって、(例えば、第1の表面626もしくは第2の表面628に沿って、またはエッジ630で)複数の繊維が開繊要素と接触する位置を調整して、繊維の最適な開繊を提供することができる。いくつかの態様において、開繊要素のこのような回転は周期的であってもよく、または振動していてもよい。
【0073】
開繊要素(例えば、604A〜604D)の動き(例えば、平行移動および/または回転)は、任意の適した形で実現することができる。例えば、各開繊要素604A〜604Dの開繊要素端622は、モータまたは駆動装置(図示せず)に結合されるようにそれぞれ構成される結合要素618A〜618Dをそれぞれ含む。
【0074】
図8Aをさらに参照すると、開繊繊維層を製造するための方法が示されている。初期幅(Wi)を有する繊維束802は、開繊ユニット600に入ってもよく、場合によっては、把持要素(例えば、602A〜602D)を通過してもよい。繊維束802は、振動していてもよい開繊要素604Aと第1の表面626で接触して(例えば、矢印607で示す方向に進む)、(例えば、エッジ630を越えて)第2の表面628に移行してもよく、それによって、開繊繊維層804へと開繊される。開繊繊維層804は、場合によっては把持要素(例えば、602A〜602D)を通過した後、振動していてもよい開繊要素604Bと第1の表面626で接触して、(例えば、エッジ630を越えて)第2の表面628に移行することができ、それによって、繊維束802の初期幅よりも大きい幅(W1)を有する開繊繊維層806へと開繊される。
【0075】
図示していないが、開繊要素604Bの(例えば、ローブ620Cの)第1の表面626の(例えば、長および/または短)半径は、開繊要素604Aの(例えば、ローブ620Aの)第1の表面626の対応する半径よりも大きくてもよい。このような構成は、開繊要素604Bが、開繊要素604Aからの開繊繊維層804をさらに開繊するのを容易にし得る。開繊要素604Bの第1の表面626の半径は、開繊要素604Aの第1の表面626の対応する半径よりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10%またはそれ以上大きくてもよい。いくつかの態様において、第1の開繊要素(例えば、604A)の第1の表面(例えば、626)は、10〜50mm、20〜40mm、25〜35mm、または約30mmの半径を有することができ、第1の開繊要素の下流である第2の開繊要素(例えば、604B)の第1の表面(例えば、626)は、50〜100mm、50〜90mm、55〜65mm、または約60mmの半径を有することができる。
【0076】
いくつかの態様において、複数の繊維束(例えば、516)を使用して、単一の開繊繊維層(例えば、518)を作ることができる。例えば、図8B図8Eをさらに参照すると、繊維束802および808は、開繊ユニット600によって、(例えば、繊維束802について上述したのと同じかまたは同様の形で)開繊繊維層806および810へとそれぞれ開繊され得る。示す通り、開繊要素604Aおよび604B、とりわけ、これらのローブ620A〜620Dは、開繊繊維層806および810が単一の開繊繊維層812を形成するように、互いに対して位置してもよい。開繊繊維層812は、開繊繊維層806の幅および開繊繊維層810の幅(W2)の合計と同じかそれ以上の幅を有することができる。同様に、開繊繊維層812は、繊維束816および818から形成することができる(図8C)。場合によっては、繊維束802および808からの開繊繊維層812を、繊維束816および818からの開繊繊維層812と組み合わせて、繊維束802、808、816、および818からの繊維を有する開繊繊維層812を形成してもよい。
【0077】
このような開繊繊維層(例えば、806、810、812、および/または同種のもの)は、例えば、1〜50m/分、2〜25m/分、または8〜15m/分などの任意の適した速度で製造されてもよい。開繊部508からの開繊繊維層(例えば、806、810、812、および/または同種のもの)を含浸部510に供給して、マトリックス材料内に分散させてもよい。
【0078】
2.含浸部
含浸部510は、押出機906、一つもしくは複数のプレス要素(例えば、908、914、918、922、923、および/もしくは同種のもの)、一つもしくは複数のラビング要素(例えば、916、920、924、および/もしくは同種のもの)、一つもしくは複数の熱源(例えば、915、加熱されたプレス要素、加熱されたラビング要素、および/もしくは同種のもの)、ならびに/または同種のものを含んでもよい。含浸部510はまた、含浸部の動作に必要な一つもしくは複数のローラ、モータ、電気接続、および/または同種のものを含んでもよい。含浸部510の少なくともいくつかの構成要素は、たとえそのような構成要素が物理的に互いに結合されていなくても、まとめて含浸ユニットと呼んでもよい。
【0079】
図9を参照すると、開繊部508からの開繊繊維層が、(例えば、存在する場合、開繊部の構成要素および/または含浸部の構成要素と見なしてもよい)一つまたは複数のローラ606によって含浸部510に導かれてもよく、ここで、開繊繊維層がマトリックス材料内に分散されてもよい。例えば、含浸部510は、マトリックス材料のシートまたはフィルムを開繊繊維層に供給するように構成された押出機906を含む;しかし、他の態様において、任意の適した構造を利用して、マトリックス材料が開繊繊維層に供給されてもよい。
【0080】
含浸部510は、押出機906の下流にそれぞれ配置され、開繊繊維層のうちの少なくとも一つをマトリックス材料に圧入するように構成された一つまたは複数のプレス要素(例えば、908、914、918、922、923、および/または同種のもの)を含む。例えば、各プレス要素は、開繊繊維層がマトリックス材料と接触して、張力がかかった状態で凸面を通過するときに、開繊繊維層のうちの少なくとも一つをマトリックス材料に圧入するように構成された凸面を含むことができる。プレス要素によって開繊繊維層に加えられる圧力は、開繊繊維層がプレス要素に近づくもしくはプレス要素から離れる角度、開繊繊維層の張力、および/または同種のものを調整することによって変化させることができる。プレス要素(例えば、908、914、918、922、923、および/または同種のもの)は、場合によって、異なる温度に加熱されてもよい。これらおよび他の方法において、そのようなプレス要素は、一つまたは複数の開繊繊維層をマトリックス材料に圧入するのに十分な圧力および/または温度を提供し得る。場合によっては、(例えば、マトリックス材料および/または開繊繊維層を加熱することによって)プレスプロセスを容易にするために、熱源915、例えば、赤外線熱源などが備えられてもよい。プレス要素(例えば、908、914、918、922、923、および/または同種のもの)は、任意の適した構造、例えば、バー、プレート、ローラ(例えば、固定もしくは回転ローラ)、および/または同種のものなどを含んでもよい。回転するプレス要素-または繊維と接触するその他の任意の回転要素-が使用される場合、回転要素に繊維が巻き付くのを防ぐようにガード、バリヤ、またはブレードが回転要素に対して位置してもよい。
【0081】
含浸部510は、マトリックス材料中の一つまたは複数の開繊繊維層の分散を容易にするように構成された一つまたは複数のラビング要素(例えば、916、920、924、および/または同種のもの)を含む。図10Aおよび図10Bはラビング要素1200を示し、これらがラビング要素916、920、および924を代表してもよい。ラビング要素1200は、ラビング要素の長軸1204に沿って配置された2つ以上の凸部1206を含む。凸部1206により、ラビング要素1200は、長軸1204に対して平行に取られた、湾曲部分を含む輪郭を有することができ、これら湾曲部分は集合的に、(例えば、長軸からの距離における)変動および/または起伏として特徴付けられてもよい輪郭のさらに大きな部分を形成する。ラビング要素1200の凸部1206はそれぞれ楕円形の表面を含む;しかし、ラビング要素(例えば、1200)の凸部(例えば、1206)は、任意の適した形状を有してもよい。ラビング要素1200はバーを含む(例えば、ラビング要素はロッド形状である);しかし、他の態様において、ラビング要素はプレートを含んでもよい。

【0082】
一つまたは複数のラビング要素(例えば、916、920、924、および/または同種のもの)はそれぞれ、含浸部510によって加工されつつある開繊繊維層に対して、開繊繊維層の長さ寸法に対して実質的に垂直である方向に移動可能であってもよい。例えば、含浸部510は、一つまたは複数のラビング要素が結合されてもよいフレームを含むことができ、ラビング要素のそれぞれは、フレームに対して、ラビング要素の長軸と実質的に整合している方向に移動可能であり得る。ラビング要素は、例えば、開繊要素604A〜604Dに関して上述されている振幅および周波数のいずれかで振動するように構成されてもよい。各ラビング要素(例えば、916、920、924、および/または同種のもの)は、開繊繊維層がマトリックス材料に圧入された後に、一つまたは複数の開繊繊維層のうちの少なくとも一つに接触するように構成される。
【0083】
図9に示す通り、開繊繊維層901および902は、存在する場合は、ローラ606によって押出機906に導くことができる。開繊繊維層901および902は、同じまたは異なるタイプの繊維を含むことができ、同じまたは異なる幅を有することができる。押出機906は、開繊繊維層901および902のうちの少なくとも一つに、例えば、開繊繊維層902の上面などにマトリックス材料のシートまたはフィルムを供給して、被覆開繊繊維層910を形成してもよい。開繊繊維層901を被覆開繊繊維層910と接触させてもよく、プレス要素908を通過させることによってマトリックス材料に圧入してもよい。被覆開繊繊維層910をプレス要素914を通過させることによってマトリックス材料に圧入してもよい。マトリックス材料によって結合された開繊繊維層を、振動していてもよいラビング要素916を通過させ、マトリックス材料内への開繊繊維層の分散を容易にしてもよい。この例において、結合された開繊繊維層を、プレス要素918、ラビング要素920、プレス要素922、ラビング要素924、およびプレス要素923にさらに通過させてもよい。場合によっては、結合された開繊繊維層を、プレート925に通過させ、かつ/または一つまたは複数の統合ローラ928を含むプレス装置926に導いてもよい。含浸部510からの繊維強化複合材200は、成形ユニット512によって加工し、かつ/または巻取機514に供給することができる。いくつかの態様では、ただ一つの開繊繊維層(例えば、901または902)が含浸部510によって加工される。
【0084】
ここで図11を参照すると、いくつかの態様において、含浸部510はマトリックス材料浴1002を含む。示す通り、開繊繊維層902は、被覆開繊繊維層1008を形成するためにマトリックス材料浴1002を通過させることができ、これは、固定または回転ローラ(例えば、1004、1006、および/または同種のもの)によって容易にすることができる。被覆開繊繊維層1008は、例えば、(例えば、統合ローラ1010による)プレスによって統合されて、繊維強化複合材200を形成してもよい。繊維強化複合材200を、溶剤回収浴1004を通過させて、任意の遊離マトリックス材料を除去してもよく、これは、固定または回転ローラ(例えば、1012および/または同種のもの)によって容易にすることができる。
【実施例】
【0085】
具体例により、本発明をより詳細に説明する。以下の実施例は、例示のためにのみ提供され、いかなる形でも本発明を限定するものではない。本質的に同じ結果をもたらすように変更または修正することができる様々な重要ではないパラメータを、当業者は容易に理解されよう。
【0086】
実施例1
(本開示のサンプルテープおよび比較テープ)
上述の開繊ユニットおよび含浸ユニットを使用して、本開示の一方向ガラス繊維テープ(サンプル1〜3またはS1〜S3)を調製した。S1〜S3については、ガラス繊維は17μmの平均径を有する。S1については、マトリックスの形成に使用したポリマーはポリプロピレンであり、S2については、マトリックスの形成に使用したポリマーは高密度ポリエチレンであり、S3については、マトリックスの形成に使用したポリマーはポリアミド6(Aegis(登録商標)H8202NLB)であった。図12図14は、それぞれ、S1、S2、およびS3の断面共焦点顕微鏡像であり、画像は、50倍のレンズを備えたKeyence VK-X200カメラにより得られる。
【0087】
3つの市販の比較ガラス繊維テープ(比較例1〜3またはC1〜C3)も分析した。サンプルC1は13μmの平均フィラメント径を有し、サンプルC2およびC3は17μmの平均フィラメント径を有する。図15図17は、それぞれ、C1、C2およびC3の断面共焦点顕微鏡像である。
【0088】
「密度の均一性の測定」と題した本明細書の項において上で概説した方法で、S1〜S3およびC1〜C3の均一な密度を測定した。 S1において、RFAC(%)値およびCOV(%)値はそれぞれ、82.3および4.0である。S2において、RFAC(%)値およびCOV(%)値はそれぞれ、80.4および7.0である。S3において、RFAC(%)値およびCOV(%)値はそれぞれ、69.7および8.0である。C1において、RFAC(%)値およびCOV(%)値はそれぞれ、47.3および25.3である。C2において、RFAC(%)値およびCOV(%)値はそれぞれ、65.7および32.4である。C3において、RFAC(%)値およびCOV(%)値はそれぞれ、55.5および9.2である。
【0089】
表1〜表3は、それぞれ、S1〜S3のデータポイントを示し、表4〜表6は、それぞれ、C1〜C3のデータポイントを示す。正方形中の円形のフィラメントの最密充填を仮定した理論的に可能な最大占有率は78.5%であり、これは、円形のフィラメントの面積を正方形の面積で割ったものとして計算される。例えば、辺「2r」を有する正方形中の半径「r」を有する円形のフィラメントの場合、占有率はπr2/(2r)2に等しい。
【0090】
(表1)(サンプルS1のデータポイント)
ボックス1〜11の平均は64.6である。したがって、(64.6/78.5)×100=82.3のRFAC。ボックス1〜11の標準偏差は2.6である。したがって、(2.6/64.4)×100=4.0のCOV。
【0091】
(表2)(サンプルS2のデータポイント)
ボックス1〜11の平均は63.1である。したがって、(63.1/78.5)×100=80.4のRFAC。ボックス1〜11の標準偏差は4.4である。したがって、(4.4/63.1)×100=7.0のCOV。
【0092】
(表3)(サンプルS3のデータポイント)
ボックス1〜11の平均は54.7である。したがって、(54.7/78.5)×100=69.7のRFAC。ボックス1〜11の標準偏差は4.4である。したがって、(4.4/54.7)×100=8.0のCOV。
【0093】
(表4)(比較サンプルC1のデータポイント)
ボックス1〜11の平均は37.2である。したがって、(37.2/78.5)×100=47.3のRFAC。ボックス1〜11の標準偏差は9.4である。したがって、(9.4/37.2)×100=25.3のCOV。
【0094】
(表5)(比較サンプルC2のデータポイント)
ボックス1〜11の平均は51.6である。したがって、(51.6/78.5)×100=65.7のRFAC。ボックス1〜11の標準偏差は16.7である。したがって、(16.7/51.6)×100=32.4のCOV。
【0095】
(表6)(比較サンプルC3のデータポイント)
ボックス1〜11の平均は43.5である。したがって、(43.5/78.5)×100=55.5のRFAC。ボックス1〜11の標準偏差は4.0である。したがって、(4.0/43.5)×100=9.2のCOV。
【0096】
実施例2
(S1を調製するプロセス)
上述の開繊ユニットおよび含浸ユニットを使用してサンプルS1〜S3を調製した。以下は、サンプルS1の作製に用いた手順の非限定的な説明を含む。
【0097】
所望の数の繊維束をUDテープ製造ラインに導入する。製造ラインの末端に位置する引き寄せステーションにより、繊維束からの繊維を製造ラインに通して連続的に引き寄せる。繊維を2つのグループに分け、一方は、開繊ユニットの下部によって加工されて下側の開繊繊維層を生じ、他方は、開繊ユニットの上部によって加工されて上側の開繊繊維層を生じる。ポリマーマトリックス材料を、下側の開繊繊維層の上面と接触させる。上側および下側の開繊繊維層を合わせ、一連のピンを通過させることによってマトリックス材料に圧入する。合わせた開繊繊維層をUDテープへと統合し、これをスプールに巻き取る。サンプルS1の作製に用いたライン速度は8m/sであった。
【0098】
実施例3
(本開示のテープを含むラミネートの試験)
ここで図18〜22を参照して、本開示のテープを含むラミネートの圧縮試験を実施した。ラミネートの長さ寸法と整合している繊維を有するUDラミネート1120をそれぞれ含む4つの試験サンプル1104を調製した。ポリプロピレンマトリックス材料内に分散したガラス繊維をそれぞれ有する本開示のUDテープの4mm厚のレイアップから、各ラミネート1120を形成した。ウォータージェットカッターを使用して、各ラミネート1120を長さ140mm、幅12mmに切断した。試験用の各ラミネート1120を調製するために、3M Scotch-Weld DP8005を使用して、対向するラミネート端1112でアルミニウムタブ1116をラミネートに接着した。アルミニウムタブ1116の接着の前に、各ラミネート端1112をこすり、脱脂した。各試験サンプル1104について、対向するアルミニウムタブ1116の組の間でゲージ部1108を画定した。
【0099】
Zwick 250 kN試験装置1124(図20)を使用して、破損するまでサンプル1104を圧縮試験した。サンプル1104の平均圧縮強度は456MPa、標準偏差は45.4MPaであった。図21および図22に示す通り、各サンプル1104において、ゲージ部1108ではなくラミネート端1112のうちの一つで破損が起こった。これは、ラミネート端とそれぞれのアルミニウムタブ1116との間の剥離による可能性がある。より堅牢なタブ(例えば、ラミネートを用いたタブの形成、ラミネート上へのタブの成形、ラミネートへのタブの溶着、および/または同種のもの)の使用により、さらに高い圧縮強度試験結果が得られることが予想される。
【0100】
上述の明細書および実施例は、例示的態様の構造および使用を完全に説明している。ある程度の特殊性を伴って、あるいは一つまたは複数の個々の態様を参照して、特定の態様が上で説明されたが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、開示された態様に多くの変更を加えることができる。したがって、方法およびシステムの様々な例示的態様は、開示された特定の形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、それらは特許請求の範囲内に含まれるすべての修正および代替を含み、示されたもの以外の態様は、示された態様の特徴のいくつかまたはすべてを含み得る。例えば、要素は省略されてもよく、もしくは単一の構造として組み合わせられてもよく、かつ/または接続が置き換えられてもよい。さらに、適切な場合には、上述の例のいずれかの局面を、説明された他の例のいずれかの局面と組み合わせて、同等または異なる特性および/または機能を有し、同じまたは異なる問題に対処する別の例を形成してもよい。同様に、上述の利益および利点が、一つの態様またはいくつかの態様に関連し得ることが理解されるであろう。
【0101】
記載の請求項において、そのような限定が、それぞれ「のための手段」または「のための工程」という語句を使用して明示的に記載されていない限り、請求項は、ミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションの限定を含むことを意図するものではなく、これらを含むと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22