(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6640260
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】ファンおよびエジェクタを組み合わせた冷却を用いた加圧装置、ならびに加圧の方法
(51)【国際特許分類】
B30B 5/02 20060101AFI20200127BHJP
F27B 17/00 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
B30B5/02 A
F27B17/00 301B
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-52458(P2018-52458)
(22)【出願日】2018年3月20日
(62)【分割の表示】特願2015-562068(P2015-562068)の分割
【原出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2018-126790(P2018-126790A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2018年4月11日
(31)【優先権主張番号】13/798,563
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510161026
【氏名又は名称】キンタス・テクノロジーズ・エービー
【氏名又は名称原語表記】Quintus Technologies AB
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】マッツ・ゲルディン
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−302587(JP,A)
【文献】
特表2012−509191(JP,A)
【文献】
特表2011−508671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 5/02
F27B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間等方圧加圧手段による少なくとも一つの物品の処理のための加圧装置であって、前記加圧装置は、
炉を備えている炉室(18)と、ここにおいて、前記炉室(18)は断熱ケーシング(3)によって少なくとも部分的に囲まれ、そして、前記炉室(18)は少なくとも一つの物品が処理されるように保持するように形成された積載区画(19)を含み、前記積載区画(19)は前記積載区画(19)を通る圧力媒体の流れが可能となるように構成され、そして、
前記積載区画内の圧力媒体の流れを生成するために構成された少なくとも二つの流れ発生器(51,52)と、ここにおいて、前記積載区画内の前記圧力媒体の流れは底部断熱部分(7b)の下方および底端部分(16)の上方の空間(26)から上方へ圧力媒体を輸送し、前記空間(26)内に配置された入口を有する輸送管と、入口と結合し前記底部断熱部分(7b)を通って延びる部分と、前記部分と結合した出口によって前記積載区画内に圧力媒体を注入することによって生成され、
ここにおいて、前記少なくとも二つの流れ発生器は、前記底部断熱部分(7b)の下方に配置された一次流れ発生器(51)と、前記一次流れ発生器(51)によって生成された圧力媒体の流れを受けて前記積載区画内の圧力媒体の流れを生成するように前記一次流れ発生器(51)と関連して配置された二次流れ発生器(52)と、を備え、前記二次流れ発生器(52)は前記底部断熱部分(7b)を通って配置され、前記一次流れ発生器(51)および前記二次流れ発生器(52)のそれぞれは少なくとも1つのエジェクタを備える、
を含む圧力容器(1)を備える、加圧装置。
【請求項2】
前記一次流れ発生器(51)は、前記圧力容器(1)の外壁の内面と断熱ケーシング(3)の間に形成された第一圧力媒体案内通路(10)内の冷却ループからの圧力媒体が前記一次流れ発生器(51)内に吸い込まれるように形成される、請求項1に記載の加圧装置。
【請求項3】
前記二次流れ発生器(52)は、前記一次流れ発生器(51)と整列される、請求項1に記載の加圧装置。
【請求項4】
前記一次流れ発生器(51)および前記二次流れ発生器(52)は、前記一次流れ発生器(51)によって生成された前記圧力媒体の流れが前記二次流れ発生器(52)によって生成された前記圧力媒体の流れと実質的に同じ方向に向けられるように互いに関して配置される、請求項1に記載の加圧装置。
【請求項5】
前記一次流れ発生器および前記二次流れ発生器は、前記一次流れ発生器によって生成された前記圧力媒体の流れは前記二次流れ発生器によって生成された前記圧力媒体の流れと比較して異なる方向に向けられるように互いに関して配置される、請求項1に記載の加圧装置。
【請求項6】
前記一次流れ発生器(51)は、圧力容器の外部に配置された噴射ガスシステム(22)に接続される、請求項1に記載の加圧装置。
【請求項7】
前記積載区画を通る圧力媒体の上方の流れを許容され、そしてさらに圧力容器(1)は、炉室(18)内の圧力媒体を循環させるための、内側の対流ループ増強するためのファン(30)を含み、圧力媒体は積載区画(19)を通る上向きの流れと炉室(18)の周辺部分(12)に沿った下向きの流れを有する、請求項1に記載の加圧装置。
【請求項8】
前記少なくとも二つの流れ発生器の1以上の出口(54)は、前記ファンの下流および半径方向にファンの外部に圧力媒体を注入するために、前記ファンに対しての下流の位置であり半径方向にファンの外部の位置に配置される、請求項7に記載の加圧装置。
【請求項9】
前記少なくとも二つの流れ発生器は、
前記圧力媒体をファンの下流の積載区画へと注入するように前記空間から上向きに圧力媒体を輸送するための少なくとも2つの輸送管(65a、65b)を備える、請求項7に記載の加圧装置。
【請求項10】
前記少なくとも二つの輸送管の各々は、前記積載区画内に配置された分配管(63a、63b)に接続され、前記分配管は圧力媒体を前記ファンの下流の前記積載区画へと注入するための少なくとも1つの出口(64a、64b)が設けられている、請求項9に記載の加圧装置。
【請求項11】
前記二次流れ発生器は、前記ファンのドライブシャフト(98)と同軸に配置された輸送管(95)を備え、圧力媒体を前記積載区画に注入するための少なくとも1つの出口(94)を備える、請求項7に記載の加圧装置。
【請求項12】
前記一次流れ発生器は、前記圧力容器の外部に配置された噴射ガスシステム(22)に接続され、ここにおいて、前記二次流れ発生器は、前記一次流れ発生器から供給されたガスを備える噴射ガス流が提供されるように配置される、請求項1に記載の加圧装置。
【請求項13】
前記二次流れ発生器は、前記積載区画内に配置された少なくとも1つの分配管(53)を備え、前記分配管は前記圧力容器の中心軸(40)のまわりに実質的に水平および半径方向に延在し、前記分配管は少なくとも1つの出口(54)を備える、請求項1に記載の加圧装置。
【請求項14】
前記積載区画内に配置された前記少なくとも1つの分配管は、前記圧力容器の前記中心軸のまわりに少なくとも半円部分を形成する、請求項13に記載の加圧装置。
【請求項15】
前記少なくとも一つの分配管の少なくとも1つの出口(54)は、積載区画内に注入される圧力媒体が実質的に前記積載区画の側壁(42)の方へ向けられるように、前記中心軸に対して角度をもって配置される、請求項13に記載の加圧装置。
【請求項16】
熱間等方圧加圧手段による少なくとも一つの物品の処理のための加圧装置のための方法であって、前記加圧装置は、炉を備えている炉室(18)を含む圧力容器(1)を備え、ここにおいて、前記炉室(18)は断熱ケーシング(3)によって少なくとも部分的に囲まれ、そして、前記炉室(18)は少なくとも一つの物品が処理されるように保持するように形成された積載区画(19)を含み、前記積載区画(19)は前記積載区画(19)を通る圧力媒体の流れが可能となるように構成され、前記方法は、
少なくとも二つの流れ発生器(51,52)を使用し、前記積載区画内の圧力媒体の流れを生成すること、ここにおいて、前記積載区画内の前記圧力媒体の流れは底部断熱部分(7b)の下方および底端部分(16)の上方の空間(26)から上方へ圧力媒体を輸送し、前記空間(26)内に配置された入口を有する輸送管と、入口と結合し前記底部断熱部分(7b)を通って延びる部分と、前記部分と結合した出口によって前記積載区画内に圧力媒体を注入することによって生成され、ここにおいて、前記少なくとも二つの流れ発生器は、前記底部断熱部分(7b)の下方に配置された一次流れ発生器(51)と、前記一次流れ発生器(51)によって生成された圧力媒体の流れを受けて前記積載区画内の圧力媒体の流れを生成するように前記一次流れ発生器(51)と関連して配置された二次流れ発生器(52)と、を備え、前記二次流れ発生器(52)は前記底部断熱部分(7b)を通って配置され、前記一次流れ発生器(51)および前記二次流れ発生器(52)のそれぞれは少なくとも1つのエジェクタを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットプレス法、好ましくは熱間等方圧加圧法による物品の処理のための装置、およびホットプレス法による物品の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
熱間等方圧加圧法(HIP)は、ますます普及している使用法を見つける技術である。熱間等方圧加圧法は、たとえば、耐用年数と強度、特に疲労強度とを実質的に増加させるために、たとえばタービンブレードなどの鋳物における多孔性の除去を達成するのに使用される。用途の別の分野は、粉末を圧縮することによる、十分に高密度であり、孔のない表面を有することが必要とされる製品の製造である。
【0003】
熱間等方圧加圧法では、加圧による処理を受けることになる物品は、絶縁された圧力容器の積載区画(load compartment)内に置かれる。サイクルすなわち処理サイクルは、物品の積載、処理、および下載(unloading)のステップを備え、サイクルの全体的な持続時間は、本明細書では、サイクル時間と呼ばれる。処理は、順に、加圧フェーズ、加熱フェーズ、および冷却フェーズなどの、いくつかの部分すなわちフェーズに分割され得る。
【0004】
積載後、容器が密閉され、圧力媒体が圧力容器およびその積載区画に導入される。次いで、圧力媒体の圧力および温度が増加され、したがって、物品は、選択された時間期間の間、増加された圧力および増加された温度にさらされる。圧力媒体の、それによる物品の、温度増加は、圧力容器の炉室内に配置された発熱体または炉によってもたらされる。圧力、温度、および処理時間は、もちろん、処理される物品の材料特性、用途の分野、および処理される物品の必要とされる品質などの多くの要因に依存する。熱間等方圧加圧法における圧力および温度はそれぞれ、一般に、200から5000バール、好ましくは800から2000バール、および300℃から3000℃、好ましくは800℃から2000℃の範囲であり得る。
【0005】
今日、高度の温度精度および安定性を持ち、非常に急速で均一な冷却の可能性を有する処理サイクルを調整またはカスタマイズすることが可能なHIP装置顧客からの需要も増加しつつある。たとえば、第1の圧力レベルおよび第1の温度レベルに圧力と温度とを最初に増加させ、第1の時間期間中にこれらのレベルに温度と圧力とを維持することが望まれることがある。その後、積載区画内でのいかなる大きな温度変動も引き起こさずに制御された形で温度を急速に低下させ(すなわち、温度が均一に低下され)、高度の温度安定性で、第2の時間期間の間、温度を第2の温度レベルに保つことが望まれることがある。また、前述のように、多数の種類の冶金学的処理では、たとえば冷却中の加工品内での温度変動が冶金学的性質に負の形で影響を及ぼすので、材料におけるいかなる欠陥も避けるために、1つまたは複数の処理される加工品が均一または均質な形で冷却されることが重要である。
【0006】
物品の加圧が終了されると、物品は、圧力容器から取り除かれる、すなわち下載される前に、冷却される必要がある場合が多い。上述のように、冷却および冷却速度が冶金学的性質に影響を及ぼすことがある。たとえば、熱応力(または温度応力)および粒成長は、高品質な材料を得るために、最小限にされるべきである。したがって、材料を均質に冷却し、可能な場合、冷却速度を制御することが望ましい。当技術分野で知られている多数のプレスは、物品の徐冷を欠点として持ち、そのため、物品の冷却時間を短縮する努力がなされている。
【0007】
US5,123,832は、積載物のより一様な冷却を達成するための熱間等方圧加圧を開示し、その熱間等方圧加圧では、ガス混合は、エジェクタ内で、冷たいガスを炉室からの熱いガスと混合することによって達成される。積載空間へと排気されるガス混合物の温度は、積載空間内の現在の温度よりも約10%低い。エジェクタにおける冷たいガスと熱いガスの混合は、良好な混合効果を提供するために、かなりのスロットリング(throttling)または制限を必要とする。したがって、積載空間への混合ガスのための入口は非常に小さく、一般に直径は100mmであるが、積載空間の直径は、一般に約1.2mである。満足のゆく冷却が達成され得るが、この構造は短所も有する。加圧動作中に、炉室が加熱されることになるとき、発熱体が炉室側に設けられない限り、炉室、特に積載空間の加熱は、積載空間に対する入口面積が小さいために、非常に一様でなくなる。多くの場合、とりわけ、簡単および経費節約などの理由で、炉室の底部部分にのみ発熱体を有することが望ましい。したがって、良好な混合を提供し、上記の構造上の制約を持たない簡単な代替策が依然として必要とされている。
【0008】
他の従来技術の熱間等方圧加圧では、炉室内で圧力媒体を循環させ、内側の対流ループを増強するために、ファンが炉室内に取り付けられており、圧力媒体は、積載区画を通る上向きの流れと、炉室の周辺部分に沿った下向きの流れとを有する。一般に、ファンは、積載区画への圧力媒体のためのエントランス(entrance)開口に接続する積載区画の底部に取り付けられる。すなわち、ファンは、圧力媒体の流れが積載物を通過させることを達成するように、積載区画への圧力媒体エントランスにおいて積載物の下方に(垂直方向に)取り付けられる。それによって、異なる動作速度でファンを動作させることによって冷却に影響を及ぼすことが可能である。
【0009】
しかしながら、積載区画(すなわち積載物全体)内部での高度温度安定性を持ちながら、所与の温度に圧力媒体を保つ機能と組み合わせた、非常に急速な冷却を得るために、非常に大型のファンが必要とされ、ひいては強力なモータが必要とされる。これは、もちろん、加圧装置内部でのより多くの空間を必要とし、このことは、代わりに積載区画が小さくなることを必然的に伴う。さらに、この解決策は、圧力媒体のさらなる冷却を提供するために、熱交換器も必要とする。
【0010】
US5118289では、熱交換器を利用することによって加圧および熱処理を完了した後に物品を急速に冷却するように適合された熱間等方圧加圧が開示されている。熱交換器は、物品の冷却のための時間を短縮することを可能にするために、ホットゾーンの上方に設置される。それによって、圧力媒体は、圧力容器壁と接触する前に、熱交換器によって冷却される。したがって、熱交換器は、圧力容器の壁を過熱するリスクなしに、冷却能力の向上を可能にする。さらに、従来の熱間等方圧加圧と同様に、圧力媒体は、物品の冷却中に圧力容器壁と熱障壁の間隙を通過するとき、冷却される。冷却された圧力媒体が圧力容器の底部に到達したとき、圧力媒体は、熱障壁を通る通路を介してホットゾーン(ここには、冷却されることになる物品が設置されている)に再び入る。熱交換器が、急速な冷却速度と高度の精度で所与の温度を維持する機能とを得るために、大型のファンと組み合わされる場合、圧力媒体は、圧力媒体のためのエントランスに近い積載区画の底部に取り付けられたファンの動作によって、先頭(lead)区画を通ってさらに循環可能である。
【0011】
しかしながら、この解決策は欠点を伴う。たとえば、熱交換器は、圧力媒体および物品の冷却中に熱くなり、物品の冷却中にブースタとして機能するために、熱交換器は、加圧機(press)が物品の新しいセットを処理するように動作され得る前に、冷却されなければならない。したがって、その後のサイクル間の時間は、熱交換器の冷却時間に依存する。
【0012】
さらに別の手法は、ファンをエジェクタ(潜在的に、また、熱交換器上の)と組み合わせることであろう。エジェクタは、ファンの取入れ口において冷たいガス(すなわち、圧力媒体)を排気するために取り付け可能であり、それによって、暖かい圧力媒体と冷たい圧力媒体の混合が作り出され得る。積載区画へと輸送される冷たい圧力媒体の量は、エジェクタの給送(feeding)を制御することによって制御可能である。この手法による1つの問題は、(ファンを始動することによって)循環が開始されると直ちに、冷たい圧力媒体が常に内側の対流ループへと引き込まれることである。これは、必然的に電力の高い損失につながり、また、熱交換器の能力に、負の方向に影響を及ぼすことがある。さらに、また、冷たい圧力媒体がファンの取入れ口に提供されるように取り付けられたエジェクタを用いる場合、所望の急速な冷却と所与のレベルに温度を維持する機能とを得るために非常に大量の圧力媒体が先頭区画へと輸送されなければならないので、ファンは大型でなければならない。
【0013】
したがって、当技術分野でなされてきたあらゆる努力にもかかわらず、上記の欠点なしで所望の急速で均一または均質な冷却と、所与の温度レベルに温度を保つまたは維持する機能とを提供することができる改善された解決策が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】US5123832
【特許文献2】US5118289
【発明の概要】
【0015】
本発明の一般的な目的は、上述の問題のうちの少なくとも1つを解消するまたは少なくとも低減させる、改善された加圧装置を提供することである。
【0016】
特に、本発明の目的は、加圧装置と、積載物の急速で均一な冷却が可能なそのような装置のための方法とを提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、加圧装置と、改善された温度安定性が達成されることに加えて積載物の急速で均一な冷却が可能なそのような装置のための方法とを提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、加圧装置と、改善された温度安定性が圧力容器に対する低い熱負荷で達成されることに加えて積載物の急速で均一な冷却が可能なそのような装置のための方法とを提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、改善された温度安定性および急速で均一な冷却が可能な加圧装置の、小型で費用効果の高い設計を提供することである。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、改善された温度安定性および急速で均一な冷却が可能な加圧装置の頑丈な設計を提供することである。
【0021】
本発明のこれらおよび他の目的は、独立請求項で定義される特徴を有する圧力容器と、そのような容器のための方法によって達成される。本発明の実施形態は、従属請求項で特徴付けられる。
【0022】
本発明の文脈では、「冷たい、コールド」および「熱い、ホット」または「暖かい、ウォーム」という用語(たとえば、冷たい圧力媒体および暖かい圧力媒体もしくは熱い圧力媒体、または冷たい温度および暖かい温度もしくは熱い温度)は、圧力容器内の平均温度の意味で解釈されるべきである。同様に、「低い」温度および「高い」温度という用語も、圧力容器内の平均温度の意味で解釈されるべきである。
【0023】
そのうえ、本発明の文脈では、「熱交換器ユニット」という用語は、熱エネルギーを蓄積し、その熱エネルギーを周囲環境と交換することが可能なユニットを指す。
【0024】
本発明の第1の態様によれば、断熱ケーシングと物品を保持するように適合された炉とを備える炉室と、処理されることになる物品を保持するように適合された積載区画と、この積載区画は、積載区画を通る圧力媒体の流れが可能であるように構成されている、を含む圧力容器を備える、熱間等方圧加圧法による物品の処理のための加圧装置が提供される。そのうえ、炉室内で圧力媒体を循環させるための、および内側の対流ループを増強するためのファンが積載区画に配置され、内側の対流ループ圧力媒体は、積載区画を通る上向きの流れと、炉室の周辺部分に沿った下向きの流れとを有する。少なくとも1つの流れ発生器が、内側の対流ループを増強するために積載区画への圧力媒体の流れを生成するように構成される、この流れは、内側の対流ループを増強するために、底部断熱部分の下方および底端部分の上方の空間から上向きに圧力媒体を輸送し、圧力媒体を積載区画へと注入することによって生成される。
【0025】
本発明による加圧装置は、有利には、物品の処理に関連して熱間等方圧加圧法のために使用される。
【0026】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの流れ発生器は、少なくとも1つの一次流れ発生器と二次流れ発生器と備え、好ましくはエジェクタを備える。少なくとも1つの一次流れ発生器は、圧力容器の外部に配置された噴射ガスシステムに接続され、二次流れ発生器は、少なくとも1つの第1の流れ発生器からのガスを備える噴射ガス流を有して構成される。それによって、エジェクタによって提供される冷却効果は、著しく増強可能である。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、二次流れ発生器の輸送管は、圧力容器の中心に、好ましくは同軸に、およびファンのドライブシャフトのまわりに、配置され、積載区画内のドライブシャフト近傍に配置された少なくとも1つの排気開口すなわち出口が設けられる。すなわち、ドライブシャフトは二次エジェクタの輸送管の内部に配置され、輸送管の少なくとも1つの出口はファンのドライブシャフトの近くに配置される。ドライブシャフトは、たとえば、スポークなどのいくつかの接続要素によってファンに接続されてよい。たとえば、3つのスポークが、ファンにドライブシャフトを接続するために使用される場合、輸送管は3つの出口を有する。
【0028】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの流れ発生器は、内側の対流ループを増強するようにファンの下流の積載区画への圧力媒体の流れを生成するように構成され、この流れは、内側の対流ループを増強するために、底部断熱部分の下方および底端部分の上方の空間から上向きに圧力媒体を輸送し、圧力媒体をファンの下流の積載区画へと注入することによって生成される。
【0029】
本発明の別の態様によれば、熱間等方圧加圧法による物品の処理のための加圧装置のための方法が提供され、この加圧装置は、断熱ケーシングと物品を保持するように適合された炉とを備える炉室と、処理されることになる物品を保持するように適合された積載区画と、この積載区画は、少なくとも1つの上部開口と少なくとも1つの底部開口とを有して構成されている、ここにおいて、積載区画を通る圧力媒体の流れが可能にされる、を含む圧力容器を備える。この方法は、内側の対流ループを増強するためのファンを使用して炉室内で圧力媒体の循環流を提供することと、内側の対流ループ圧力媒体は、積載区画を通る上向きの流れと、炉室の周辺部分に沿った下向きの流れとを有する、少なくとも1つの流れ発生器を使用して内側の対流ループを増強するために積載区画への圧力媒体の流れを生成することと、この流れは、内側の対流ループを増強するために、底部断熱部分の下方および底端部分の上方の空間から上向きに圧力媒体を輸送し、圧力媒体を積載区画へと注入することによって生成される、を備える。
【0030】
本発明による方法は、好ましくは、本発明の第1の態様による加圧装置において実装および実行される。このために、制御モジュールは、この方法を達成および実行するために加圧装置の機器を制御するように構成され得る。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、炉室内での圧力媒体の循環流は、内側の対流ループを増強するためのファンを使用して提供され、内側の対流ループ圧力媒体は、積載区画を通る上向きの流れと、炉室の周辺部に沿った下向きの流れとを有し、ファンの下流の積載区画への圧力媒体の流れは、少なくとも1つの流れ発生器を使用して内側の対流ループを増強するために生成される。圧力媒体の流れは、底部断熱部分の下方および底端部分の上方の空間から上向きに圧力媒体を輸送し、圧力媒体をファンの下流の積載区画へと注入することによって生成される。
【0032】
一般に、圧力容器内で、圧力容器内で処理される物品の冷却を達成するために、圧力媒体は、炉室と、炉室の外部の中間空間などの圧力容器の冷却領域とを通って循環される。したがって、炉室に含まれる圧力媒体の量はほぼ一定であるが、炉室内の物品から出る熱の正の正味の流れ(positive net flow)が存在する。
【0033】
本発明は、全体的なレベルで、この冷却過程をどのように増強およびスピードアップするか、ならびに改善された温度安定性と温度精度とをどのように提供するかに関する。
【0034】
本発明は、冷たい圧力媒体を積載区画へと注入するように構成された、好ましくは少なくとも1つのエジェクタを含む、積載区画および流れ発生器における圧力媒体の循環のために使用されるファンからの複合効果は、積載区画全体を通しての非常に効率の良い冷却を得るために、および積載区画内での非常に安定した温度を得るために使用可能であるという洞察に基づいている。循環ファンおよび流れ発生器、たとえばエジェクタは、圧力媒体を、積載区画を通って上向きに、およびさらなる案内通路を通って下向きに、強制的に押す。その結果、内側の、活発な(active)対流ループが作り出され、非常に正確なやり方で制御される。たとえば、積載物の均一なまたは一様な温度分布が作り出されることが可能であり、温度安定性は非常に正確である。ファンの近く、ファンの上流、または下流への冷たい圧力媒体の注入によって、積載区画内のエジェクタの出口のところで過剰圧力が生じ、これによって、内側の慣用(convention)ループが増強される。
【0035】
さらに、冷却速度は、従来技術の加圧装置と比較して実質的に増加可能である。エジェクタは、圧力媒体が冷たい底部断熱材部分の下方の空間から圧力媒体を吸引し、その冷たい圧力媒体を積載区画へと注入するように構成される。それによって、冷却効果は、通常のエジェクタ冷却と比較して5〜7倍増加可能である。
【0036】
そのうえ、循環ファンは、冷却ファン、すなわちファンが積載区画を冷却するために使用される装置が設けられた加圧装置と比較して著しく小型のモータとともに動作可能である。モータは、電力が約15〜50分の1、たとえば、30〜100kWの代わりに約2kWの電力であるようになされ得る。
【0037】
さらに、循環ファンは、積載区画内の圧力媒体の循環を提供するように連続的に動作可能であり、エジェクタは、必要に応じて冷たい圧力媒体を積載区画へと所望の量で注入するために使用可能であるので、冷却プロセスは、たとえば冷却速度および温度安定性に関して非常に正確な形で制御可能である。
【0038】
ウォームゾーン内での均一な温度は、循環ファンは圧力媒体の循環のために使用されるので、定常状態中と温度が減少または増加した後の両方で、非常に迅速に達成可能である。
【0039】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの流れ発生器は、一次流れ発生器と二次流れ発生器と備え、好ましくはエジェクタを備える。一次流れ発生器は、圧力容器の外部に配置された噴射ガスシステムに接続され、二次流れ発生器は、第1の流れ発生器からのガスを備える噴射ガス流を有して構成される。それによって、エジェクタによって提供される冷却効果は、著しく増強可能である。
【0040】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの流れ発生器の出口は、循環ファンの下流および半径方向にファンの外部に圧力媒体を注入するために、循環ファンに対しての下流の位置に設置され、半径方向にファンの外部に設置される。他の実施形態では、出口は、下流、半径方向のファンの外部、および垂直方向に見られるファンの上方に設置される。
【0041】
本発明の実施形態によれば、各流れ発生器は、積載区画内に配置された少なくとも1つの分配管を備える。実施形態では、分配管は、圧力容器の中心軸のまわりに実質的に水平および半径方向に延在し、圧力媒体の注入のための少なくとも1つの出口を備える。
【0042】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの分配管は、圧力容器の中心軸のまわりに少なくとも半円部分を形成する。他の実施形態では、少なくとも1つの分配管は、中心軸のまわりに循環部分を形成する。したがって、積載区画の上部部分から見られるとき、分配管(または複数の管)は、ドーナツ状の形状を有する。
【0043】
本発明の実施形態によれば、各分配管は、中心軸に対して圧力媒体が実質的に積載区画の側壁の方へ注入されるまたは向けられるような角度で配置された少なくとも1つの出口を備える。したがって、出口は、循環ファンによって作り出される乱流の風下(lee)側またはファンから見られる半径方向の外部に配置または設置される。それによって、圧力媒体の注入によって作り出される過剰圧力は、(ファンの動作中に)ファンのすぐ下流において静圧−動圧に近づくように減少される。
【0044】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの流れ発生器は、圧力媒体を積載区画へと注入するように底部断熱材部分の下方の空間から上向きに圧力媒体を輸送するための少なくとも2つの輸送管を備える。
【0045】
本発明の好ましい一実施形態では、輸送管は、2つの分岐を有する。したがって、エジェクタは、底部断熱部分の下方の空間内に配置され、輸送管は、輸送管が積載区画に入る前に2つの分岐に分けられる。積載区画では、各輸送管分岐は、積載区画内の分配管に接続される。各分配管は、積載区画の上部から見られるとき、半円形の形状を有してよく、2つの分配管はともにドーナツ状の形状を有するが、互いに接続されない。それぞれの分配管の出口は、外部(半径方向に見られる)または循環ファンによって作り出される乱流の風下側(動作されるとき)に配置または設置される。
【0046】
本発明の実施形態では、圧力媒体の冷却のための熱交換器ユニットは、より急速で効率の良い冷却プロセスを達成するように炉および底部断熱部分の下方の圧力容器の領域内に配置される。発明者は、冷却プロセスは、積載区画内に配置された循環ファンと、ファンの上流または下流に圧力媒体を注入するためのエジェクタ(または複数のエジェクタ)と、底部断熱部分の下方に配置された熱交換器とを組み合わせることによって、なお一層効率良くおよび正確になされ得ることを見出した。
【0047】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの第1の入口は、圧力媒体の通過のために断熱ケーシングの下部において断熱ケーシング内に配置され、少なくとも1つの第2の入口は、圧力媒体の通過のために断熱ケーシングの下部において断熱ケーシング内に配置され、少なくとも1つの第2の入口は、少なくとも1つの第1の入口の下方に配置される。
【0048】
上側入口および下側入口のそれぞれ、すなわち入口のセットの入念な設計および配置と熱交換器ユニットの配置は、異なるフェーズ中に、たとえば熱交換器ユニットの冷却中に、熱交換器ユニットによる効率的なポンピング効果を作り出すように協働する。熱交換器ユニットが暖かい、すなわち下方から入る圧力媒体よりも暖かい場合、ポンピング効果は強力であり、その逆も同様である。
【0049】
圧力容器の壁が熱間等方圧加圧法プロセスの高温と高圧とを持続させるために、熱い対流加圧機には、好ましくは、圧力容器を冷却するための手段が設けられる。たとえば、冷却するための手段は、水などの冷媒であってよい。冷媒は、壁の温度を適切なレベルに保つために、管システムまたは冷却チャネル内で圧力容器の外壁に沿って流れるように構成され得る。
【0050】
さらに、炉室の断熱ケーシングは底部断熱部分を備え、熱交換器ユニットはケーシングの底部断熱部分の下方に設置される。したがって、熱交換器ユニットは、炉室内の物品から分離され、断熱される。それによって、炉室内のホットゾーンは、熱間等方圧加圧法装置の下側部分内のコールドゾーンから効果的に断熱される。
【0051】
圧力媒体が圧力容器壁と接触させられると、圧力媒体と壁との間で熱エネルギーが交換され、壁は、圧力容器の外部から冷媒によって冷却される。このようにして、加圧装置は、有利には、圧力容器内で圧力媒体を循環させるように構成され、それによって、外側の不活発な(passive)対流ループを作り出す。外側の対流ループの目的は、物品の冷却中に圧力媒体の冷却を可能にし、物品の加熱中に熱交換器ユニットの冷却を可能にすることである。これによって、物品の加圧および加熱中に熱交換器ユニットを冷却することが可能になる。すなわち、熱が、物品の冷却中に圧力媒体から熱交換器ユニットに、ならびに物品の加圧および加熱中に熱交換器ユニットから圧力媒体に、伝達される。このようにして、物品の冷却後、加圧機が物品の新しいセットを加圧および加熱するように直ちに動作され得るので、サイクル時間は短縮され得る。
【0052】
外側の対流ループでは、圧力媒体は、圧力容器の外壁で、すなわち圧力容器の内面で冷却され、ここで、圧力媒体は、加圧装置の底部の方へ流れる。加圧装置の底部で、圧力媒体の一部分は、炉室へと強制的に戻され得、炉室内で、急速冷却中に物品(すなわち積載物)によって加熱される。
【0053】
本発明の実施形態では、断熱ケーシングは、ハウジング部と断熱部分との間に形成された案内通路を備え、案内通路は、熱交換器ユニットから上側入口および/または下側入口を介して圧力媒体を案内するように構成される。本発明の実施形態では、案内通路は、圧力容器の上部の方へ、または圧力容器の壁の方に、圧力媒体を案内する。この案内通路は、たとえば定常状態中に上向きに向けられる圧力媒体の流れを増大させる。
【0054】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの第2の入口は、熱交換器ユニットと同じ高さに配置される。
【0055】
本発明の実施形態によれば、熱交換器ユニットは、少なくとも1つの第2の入口すなわち下側入口の上方に配置される。下側入口の上方に熱交換器ユニットを配置することによって、熱交換器ユニットを通って第2の案内通路へと入る圧力媒体の流れが、急速冷却フェーズ中に作り出される。それによって、より効率が良く、より急速な冷却プロセスが、熱交換器ユニットを通って下降して流れる圧力媒体からの効率の良い熱の伝達により得られ得る。
【0056】
本発明の実施形態では、熱交換器ユニットは、実質的に、少なくとも1つの第1の入口と少なくとも1つの第2の入口との間に配置される。それによって、熱交換器ユニットは、定常状態中、および中程度の冷却フェーズ中にも、冷たい状態で保持可能である。これは、急速冷却フェーズは熱交換器ユニットの低い初期温度で開始可能であるので、容器壁の低い熱負荷で必要な場合急速冷却が達成可能であることを伴う。したがって、かなりの熱エネルギーが圧力媒体から熱交換器ユニットに伝達可能であり、したがって、圧力室の所定の温度に到達するために容器の壁に伝達されなければならない熱エネルギーの量を減少させる。
【0057】
本発明の実施形態によれば、底部断熱部分は、少なくとも1つの第1の入口と実質的に同じ高さに配置される。
【0058】
ヒートシンクユニットまたは熱交換器ユニットは、圧力容器の完全に内側に配置され、いかなる外部冷却媒体も供給されない。したがって、熱交換器ユニットは、圧力容器の外部の環境との物理的接続を持たない。
【0059】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明、添付の従属請求項から、および添付の図面から明らかになろう。
【0060】
その特定の特徴と利点とを含む本発明のさまざまな態様が、以下の詳細な説明および添付の図面から容易に理解されよう。以下の図では、同じ参照番号は、全体を通して、本発明の実施形態の同じ要素または特徴を示す。さらに、対称的に設置された部材、要素、または特徴標識のための参照番号は、図において一度しか示されない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】本発明の一実施形態による加圧装置の側面図。
【
図2】本発明の別の実施形態による加圧装置の側面図。
【
図3】本発明のさらなる実施形態による加圧装置の側面図。
【
図4】本発明のさらに別の実施形態による加圧装置の側面図。
【
図5a】本発明のさらなる実施形態による加圧装置の下部の詳細な側面図。
【
図5b】
図5aに示される加圧装置の実施形態の上部から見られる図。
【
図6】動作中の、
図1に示される本発明の実施形態の概略図。
【
図7】動作中の、
図3に示される本発明の実施形態の概略図。
【
図8】急速冷却中の、
図3に示される本発明の実施形態の概略図。
【
図10】本発明のさらなる実施形態による加圧装置の下部の詳細な側面図。
【
図11】
図10に示される加圧装置の実施形態の上部から見られる図。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下は、本発明の実施形態を例示する説明である。この説明は、説明の目的のみを意図したものであり、限定的な意味に取られるべきではない。図面は概略的であることと、説明される実施形態の加圧装置は、簡単にするために図面に示されていない特徴と要素とを備え得ることに留意されたい。
【0063】
本発明による加圧装置の実施形態は、いくつかの異なる可能な材料から作製された物品を、プレス法によって、特に熱間等方圧加圧法によって処理するために使用され得る。
【0064】
図1は、本発明の一実施形態による加圧装置を示す。物品の加圧のために使用されることを意図された加圧装置100は、1つまたは複数のポート、入口、および出口などの、圧力媒体を供給および排出するための手段(図示せず)を有する圧力容器1を備える。圧力媒体は、処理されることになる物品に対して低い化学的親和性を有する液体またはガス状の媒体であってよい。圧力容器1は、処理サイクルの加圧フェーズ中の圧力媒体の加熱のための炉(またはヒーター)(図示せず)すなわち発熱体を備える炉室18を含む。炉は、たとえば
図1に示されるように、炉室18の下側部分に設置されてもよいし、炉室18の側面に設置されてもよい。当業者は、炉室の側面および底部に設置された炉を達成するように側面の発熱体と底部の発熱体を組み合わせることも可能であることを理解する。明らかに、当技術分野で知られているように、発熱体の置き方に関する炉のいかなる実装形態も、本明細書に示される実施形態に適用され得る。「炉」という用語は、加熱するための手段を指し、「炉室」という用語は、積載物および炉が設置されるボリューム(volume)を指すことに留意されたい。炉室18は、圧力容器1全体を占めるのではなく、炉室18のまわりに中間の空間10を残す。加圧装置100の通常の動作中に、中間の空間10は、一般に、炉室18よりも冷たいが、等しい圧力である。
【0065】
炉室18は、処理されることになる物品を受け入れ保持するための積載区画19をさらに含む。炉室18は、加熱フェーズ中にエネルギーを節約する可能性が高い断熱ケーシング3によって囲まれる。また、より整った(ordered)形で対流が起こることも保証されることがある。特に、炉室18の垂直方向に細長い形状により、断熱ケーシング3は、監視および制御が困難な水平方向温度勾配の形成を防止し得る。
【0066】
圧力媒体の最適な流れを得るために、主に冷却フェーズ中、第1の流れ発生器30および第2の流れ発生器31は、加圧機の炉室18の積載区画19の下端に配置される。第1の流れ発生器30および第2の流れ発生器31は、冷却されることになる物品を含む積載区画19と、断熱ケーシング3と容器壁との間の空間10、すなわち圧力容器の外壁の内側とケーシング3との間に形成される第1の案内通路10を通る圧力媒体の所望の制御された流れが作り出されるようなやり方で配置される。
【0067】
本発明の好ましい一実施形態では、第1の流れ発生器は、モータ35によって駆動される、炉室18内で圧力媒体を循環させるための、および内側の対流ループを増強するためのファン30を含み、圧力媒体は、積載区画19を通る上向きの流れと、炉室の周辺部分12に沿った下向きの流れとを有する。ファン30は、積載区画19の下部の開口21の中に配置される。
【0068】
第2の流れ発生器は、底部断熱部分7bの下方に配置されたエジェクタ31を備える。エジェクタ31は、加圧機の外部に配置された噴射ガスシステム22に接続される。輸送管43は、底部断熱部分7bの下方の空間26から積載区画19に圧力媒体を輸送するために底部断熱部分7bのバイアホールの中に配置される。エジェクタ31の少なくとも1つの出口33は、圧力媒体がファン30の下流に注入されるように、積載区画19内のファン30の下流に配置される。
【0069】
本発明の実施形態では、少なくとも出口33は、輸送管43に接続され積載区画19内に配置された分配管41上に設置され、その出口33は、ファン30の動作によって引き起こされる圧力媒体中の乱流に対して風下側または保護される側に設けられる。すなわち、出口33は、積載区画19の側壁42の方へ向けられる。したがって、出口33は、ファン30の動作によって作り出される乱流の風下側に配置される。
【0070】
エジェクタ31は、底部断熱部分7bの下方の空間26の中に配置され、噴射ガス流によって駆動される。圧力容器の外壁の内側とケーシング3との間に形成された第1の案内通路10内の冷却ループからのガスは、第1のエジェクタ31に吸い込まれる。第1の案内通路10は、圧力容器1の上部からその底部に圧力媒体を案内するために使用される。
【0071】
ファン30とエジェクタ31の組み合わされた行為によって、炉18への冷却ガス流が作り出され得る。ファン30とエジェクタ31は、互いとは無関係に動作される。使用可能であるファン30とエジェクタ31の組み合わされた行為は、高い精度で所与の温度レベルに積載区画19内の温度を維持するために、たとえば、依然として動いていない(standing)圧力媒体状態、すなわち定常状態を作り出す。
【0072】
さらに、圧力容器1の外壁は、冷却するための冷媒が設けられ得るチャネルまたは管(図示せず)が設けられ得る。このようにして、容器壁は、それを有害な熱から守るために冷却され得る。冷媒は、好ましくは水であるが、他の冷媒も企図される。冷媒の流れは、図では、圧力容器の外部の矢印によって示されている。
【0073】
図には示されていないが、圧力容器1は、圧力容器1内の物品が取り出され得るように、開けられ得る。したがって、この目的のために、圧力容器は、底端閉鎖具16および/または上端閉鎖具17を含むことがある。しかしながら、これは、いくつかの異なる形で実現されてよく、そのすべては、当業者には明らかである。
【0074】
さらに、断熱ケーシング3は、断熱部分7と、断熱部分7を囲むように構成されたハウジング2とを備え、ハウジング2は、熱損失を減少させるために、圧力容器1の内部を熱的に封止する。
【0075】
さらに、第2の案内通路11が、炉室18のハウジング2と炉室18の断熱部分7との間に形成される。第2の案内通路11は、圧力容器の上部の方へ圧力媒体を案内するために使用される。開口14は、その下部の断熱部分7の中に配置される。
【0076】
図2に示される本発明の別の実施形態によれば、圧力容器1は、炉室18ならびに底部断熱部分7bの下で、圧力容器1の底部に設置された熱交換器ユニット15も備える。
図1に関して上記で説明された同じまたは類似の部分は同じ参照番号で示されており、その説明は省略される。
【0077】
熱交換器ユニット15は、熱エネルギーを圧力媒体と交換する、放散する、および/または吸収するように構成される。
【0078】
加圧装置200は、加圧機の炉室18の積載区画19の下端に配置された第1の流れ発生器30と第2の流れ発生器31とをさらに含む。第1の流れ発生器30および第2の流れ発生器31は、冷却されることになる物品を含む積載区画19と、断熱ケーシング3と容器壁との間の空間10、すなわち圧力容器の外壁の内側とケーシング3との間に形成される第1の案内通路10を通る圧力媒体の所望の制御された流れが作り出されるようなやり方で配置される。
【0079】
本発明の好ましい一実施形態では、第1の流れ発生器は、モータ35によって駆動される、炉室18内で圧力媒体を循環させるための、および内側の対流ループを増強するためのファン30を含み、圧力媒体は、積載区画19を通る上向きの流れと、炉室の周辺部分12に沿った下向きの流れとを有する。ファン30は、積載区画19の下部の開口21の中に配置される。
【0080】
第2の流れ発生器は、底部断熱部分7bの下方に配置されたエジェクタ31を備える。エジェクタ31は、加圧機の外部に配置された噴射ガスシステム22に接続される。輸送管43は、空間26から積載区画19に圧力媒体を輸送するために底部断熱部分7bのバイアホールの中に配置される。エジェクタ31の少なくとも1つの出口33は、圧力媒体がファン30の下流に注入されるように、積載区画19内のファン30の下流に配置される。本発明の実施形態では、少なくとも出口33は、輸送管43に接続され積載区画19内に配置された分配管41上に設置され、その出口33は、ファン30の動作によって引き起こされる圧力媒体中の乱流に対して風下側または保護される(sheltered)側に設けられる。すなわち、出口33は、積載区画19の側壁42の方へ向けられる。
【0081】
エジェクタ31は、底部断熱部分7bの下方の空間26の中に配置され、噴射ガス流によって駆動される。圧力容器の外壁の内側とケーシング3との間に形成された第1の案内通路10内の冷却ループからのガスは、第1のエジェクタ31に吸い込まれる。第1の案内通路10は、圧力容器1の上部からその底部に圧力媒体を案内するために使用される。
【0082】
ファン30とエジェクタ31は、互いとは無関係に動作される。ファン30とエジェクタ31の組み合わされた行為によって、正確に制御可能な、炉18への効率の良い冷却ガス流が作り出される。それによって、急速冷却プロセスおよび正確な温度安定性が達成可能である。この急速冷却プロセスおよび温度安定性は、熱交換器15によって提供される冷却効果によってさらに増強され、改善される。
【0083】
本発明のこの実施形態では、第2の案内通路11は、それに圧力媒体を供給するための、少なくとも第1の入口すなわち上側入口24と少なくとも第2の入口すなわち下側25入口と、ならびに第1の案内通路10への圧力媒体の流れを可能にするための、圧力容器の上部にある開口13が設けられる。好ましくは、第2の案内通路11は、熱交換器ユニット15に対してほぼ同じ垂直方向の高さに設置された、たとえば列をなして配置された、いくつかの第1の入口24といくつかの第2の入口25が設けられる。入口の第1のセット24および第2のセット25は、熱交換器ユニット15に隣接した断熱ケーシング3の下部26に配置される。
【0084】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの第1の入口の開口断面積は、少なくとも第2の入口の開口断面積よりも小さい。
【0085】
第1の入口24は、好ましくは第2の入口25の上方に配置され、第2の入口25よりも小さい総断面開口面積を有する。熱交換器ユニット15は、
図2に示されるように第1の入口24と第2の入口25との間に、底部断熱部分7bの下方に配置されるような位置に、好ましくは配置される。
【0086】
入口の第1のセット24は、好ましくは、底部断熱部分7bとほぼ同じ高さに、すなわち熱交換器ユニット15の上方に、設置される。それによって、外側の対流ループは、第1の案内通路10および第2の案内通路11によって、ならびに圧力容器1の下側部分に、すなわち底部断熱部分7bの下方に、形成される。
【0087】
次に
図3を参照して、本発明による他の実施形態が説明される。
図1または
図2に関して上記で説明された同じまたは類似の部分は同じ参照番号で示されており、その説明は省略される。この実施形態では、加圧装置300は、底部断熱部分7bの下方に配置された一次エジェクタ51と底部断熱部分7bを通って配置された二次エジェクタ52とを備える第2の流れ発生器を含む。一次エジェクタ51は、加圧機の外部に配置された噴射ガスシステム22に接続される。輸送管55は、積載区画19に圧力媒体を輸送するための底部断熱部分7bのバイアホールの中に配置され、積載区画19では、一次エジェクタ51および二次エジェクタ52の少なくとも1つの出口54はそれぞれ、圧力媒体がファン30の下流に注入されるように、積載区画19内のファン30の下流に配置される。
【0088】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの出口54は、輸送管55に接続され積載区画19内に配置された分配管53上に設置され、その出口54は、ファン30の動作によって引き起こされる圧力媒体中の乱流に対して風下側または保護される側に設けられる。すなわち、出口54は、積載区画19の側壁42の方へ向けられる。
【0089】
一次エジェクタ51は、底部断熱部分7bの下方の空間26の中に配置され、噴射ガス流によって駆動される。圧力容器の外壁の内側とケーシング3との間に形成された第1の案内通路10内の冷却ループからのガスは、第1のエジェクタ51に吸い込まれる。第1の案内通路10は、圧力容器1の上部からその底部に圧力媒体を案内するために使用される。一次エジェクタ51は、二次エジェクタ52に噴射ガス流を提供する。
【0090】
ファン30と一次エジェクタ51と二次エジェクタ52の組み合わされた行為によって、炉18への冷却ガス流が作り出され得る。ファン30と一次エジェクタ51と二次エジェクタ52は、互いとは無関係に動作される。
【0091】
図4において、熱交換器15と2つの(一次および二次)注入器51および52とを含む加圧装置400の一実施形態が示されている。
図1〜
図3に関して上記で説明された同じまたは類似の部分は同じ参照番号で示されており、その説明は省略される。
【0092】
ここで
図5aおよび
図5bを参照すると、本発明の他の実施形態が示されている。
図1〜
図4に関して上記で説明された同じまたは類似の部分は同じ参照番号で示されており、その説明は省略される。
【0093】
図5aを参照すると、一次エジェクタ61および二次エジェクタ62がそれぞれ、底部断熱部分7bの下方に配置されている。一次エジェクタ61は、加圧機の外部に配置された噴射ガスシステム22に接続される。
【0094】
一次エジェクタ61は、底部断熱部分7bの下方の空間の中に配置され、噴射ガス流によって駆動される。圧力容器の外壁の内側とケーシング3との間に形成された第1の案内通路10内の冷却ループからのガスは、第1のエジェクタ61に吸い込まれる。第1の案内通路10は、圧力容器1の上部からその底部に圧力媒体を案内するために使用される。一次エジェクタ61は、二次エジェクタ62に噴射ガス流を提供する。
【0095】
第1の輸送管65aおよび第2の輸送管65bは、底部断熱部分7bの下方の空間26から積載区画19に圧力媒体を輸送するために底部断熱部分7bのバイアホールの中に配置される。各輸送管65a、65bは、積載区画19内に配置された分配管63a、63bに接続され、圧力媒体がファン30の下流に注入されるように、積載区画19内のファン30の下流に配置された少なくとも1つの出口64a、64bが設けられる。
【0096】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの出口65a、65bが、ファン30の動作によって引き起こされる圧力媒体中の乱流に対して風下側または保護される側にある分配管63a、63b上に設置される。すなわち、出口63a、63bは、積載区画19の側壁42の方へ向けられる。
【0097】
次に
図5bを参照すると、
図5bは、
図5aの矢印68の方向の(すなわち、上方で上端閉鎖具から底端閉鎖具16の方へ見られる)概略図である。理解できるように、分配管63aおよび63bは、圧力容器1の中心軸40のまわりに半円部分を形成する。
【0098】
本発明の実施形態によれば、流れ発生器は、ジェットポンプすなわち電気的にまたは液圧で(hydraulically)駆動されるポンプとして実現可能である。
【0099】
次に、本発明の実施形態による例示的な加圧装置の動作が、一般的に記述される。
【0100】
以下の説明では、処理サイクルは、積載フェーズ、加圧および/または加熱フェーズ、冷却フェーズ、急速冷却フェーズ、ならびに下載フェーズなどのいくつかのフェーズを備え得る。
【0101】
最初に、炉室18およびその積載区画19がアクセスされ得るように、圧力容器1が開かれる。これは、当技術分野で知られているいくつかの異なる形で達成可能であり、そのさらなる説明は、本発明の原理を理解するために必要とされない。
【0102】
次いで、加圧されることになる物品が積載区画19内に置かれ、圧力容器1が閉じられる。
【0103】
物品が圧力容器1の積載区画19内に置かれたとき、圧力媒体は、たとえば圧縮器、加圧貯蔵タンク(圧力供給部)、極低温ポンプなどによって、圧力容器1に送り込まれる。所望の圧力が圧力容器1の内部で得られるまで、圧力容器1への圧力媒体の給送は継続する。
【0104】
圧力媒体を圧力容器1へと送り込む間、またはその後、炉室18の炉(発熱体)が活発化され、積載区画の内部の温度が増加される。必要な場合、加圧プロセスのための所望の圧力を下回る圧力レベルが得られるまで、所望の加圧温度を下回る温度で圧力媒体の給送が継続し、圧力が増加される。次いで、圧力は、所望の加圧圧力が到達されるように、炉室18内の温度を増加させることによって、最終的な量が増加される。あるいは、所望の温度および圧力が同時に到達される、または、所望の温度が到達された後、所望の圧力が到達される。当業者は、所望の加圧圧力と温度とに到達するために、当技術分野で知られているいかなる適切な方法も利用されてよいことを理解する。たとえば、圧力容器と高圧供給部内の圧力を等しくし、次いで圧縮器によって圧力容器をさらに加圧し、同時に圧力媒体をさらに加熱することが可能である。内側の慣用ループは、一様な温度分布を達成するために、循環ファン30ならびにエジェクタ(または複数のエジェクタ)31、51、52、61、および62によって活発化され得る。
【0105】
温度および圧力が維持される選択された時間期間、すなわち実際の加圧フェーズの後、圧力媒体の温度は減少されるべきであり、すなわち、冷却のフェーズが開始される。加圧装置100の実施形態では、冷却フェーズは、以下で説明されるように、たとえば、1つまたは複数の急速冷却フェーズを備えることがある。
【0106】
加圧フェーズ中に使用される圧力媒体は、温度が十分に低減されたとき、圧力容器1から排出可能である。いくつかの圧力媒体に関しては、リサイクルのために、タンクなどに圧力媒体を排出することが好都合なことがある。
【0107】
減圧後、加圧された物品5が積載区画19から下載され得るように、圧力容器1が開けられる。
【0108】
ここで
図6〜
図8を参照すると、定常状態と、特に中程度で急速な冷却フェーズとを含む、プロセスの異なるフェーズが、より詳細に説明されている。繰り返しになるが、「熱い、ホット」または「暖かい、ウォーム」および「冷たい、コールド」という用語は、圧力容器内の圧力媒体の平均温度に関して解釈されるべきである。さらに、矢印は、圧力媒体の流れの方向を示す。
【0109】
最初に、
図6を参照すると、
図1に示される本発明の一実施形態における圧力媒体の流れの方向が示されている。
図3に示される本発明の実施形態の動作が類似しており、したがって、以下で説明しない。
【0110】
理解できるように、第1の案内通路10を下向きに通過した冷たい圧力媒体は、一部がエジェクタ31に吸い込まれ、上向きに輸送され、積載区画19へと注入され、一部が第2の案内通路11内で上向きに流れる。これらの2つの流れの関係は、主に、エジェクタ31の動作に依存する。定常状態中に積載区画19内で一様な温度を維持するために、内側の対流ループにおける、ファン30によって引き起こされる圧力媒体と、エジェクタ31から注入される冷たい圧力媒体の循環は、均衡が保たれる。この場合、エジェクタ31は、低電力で、冷たい圧力媒体の制限された流れを連続的に注入するようにのみ、または短い間隔の間、冷たい圧力媒体のバーストを注入するようにのみ動作される。これらの間隔の長さおよび動作電力は、たとえば、積載区画19内の所望の温度および/または定常状態フェーズの長さについて依存する。急速冷却または急速温度低下が望ましい場合、エジェクタ31は、より高い電力で、冷たい圧力媒体のより強い流れを積載区画19へと注入するように動作され、したがって、第1の案内通路を通る上向きの流れは、エジェクタ31に吸い込まれる流れに対して、より小さくなる。
【0111】
次に
図7を参照して、
図2に示される本発明の一実施形態における圧力媒体の流れの方向が説明される。
図4に示される本発明の実施形態の動作が類似しており、したがって、以下で説明しない。定常状態中に、第1の案内通路10を下向きに通過した冷たい圧力媒体は、一部がエジェクタ31に吸い込まれ、上向きに輸送され、積載区画19へと注入され、一部が熱交換器ユニット15を通って上昇し、熱交換器ユニット15を冷却する、または熱交換器ユニット15を低温に維持する。第1の案内通路10を下向きに通過した冷たい圧力媒体の一部は、第2の入口25を通って第2の案内通路11に流れ込む。熱交換器ユニット15を通って上昇した圧力媒体は、その後、第2の案内通路11の上側入口25を通って第2の案内通路11に流れ込む。第2の案内通路11内の圧力媒体は上昇し、さらに開口13を通る。したがって、上側入口24は、定常状態中の貫流または中程度の冷却を提供し、それによって、熱交換器ユニット15を冷却するまたは熱交換器ユニット15を低温に維持するのに十分に大きい開口面積を有して構成される。
【0112】
エジェクタ31に吸い込まれる流れと熱交換器15を通る流れの関係は、主に、エジェクタ31の動作に依存する。定常状態中に積載区画19内で一様な温度を維持するために、内側の対流ループにおける、ファン30によって引き起こされる圧力媒体と、エジェクタ31から注入される冷たい圧力媒体の循環は、均衡が保たれる。この場合、エジェクタ31は、低電力で、冷たい圧力媒体の制限された流れを連続的に注入するようにのみ、または短い間隔の間、冷たい圧力媒体のバーストを注入するようにのみ動作される。これらの間隔の長さおよび動作電力は、たとえば、積載区画19内の所望の温度および/または定常状態フェーズの長さについて依存する。急速冷却または急速温度低下が望ましい場合、エジェクタ31は、より高い電力で、冷たい圧力媒体のより強い流れを積載区画19へと注入するように動作され、したがって、熱交換器15を通り、さらに第1の案内通路を通る上向きの流れは、エジェクタ31に吸い込まれる流れに対して、より小さくなる。
【0113】
ここで
図8を参照して、急速冷却フェーズが説明される。急速冷却中に、エジェクタ31は、非常に高い電力で動作される、すなわち、定常状態中および中程度の冷却フェーズ中よりも著しく高く、冷たい圧力媒体の強い流れを積載区画19へと注入する。上側入口24は第2の案内通路11への暖かい圧力媒体の流れによって飽和されているので、通路12を通って下向きに流れる暖かい圧力媒体は、上側入口24を通って、および熱交換器ユニット15を通って流れる。熱交換器ユニット15を通って下向きに流れる圧力媒体は、圧力媒体から熱交換器ユニット15への熱または熱エネルギーの伝達により、熱交換器ユニット15によって冷却される。熱交換器ユニット15から流出する冷却された圧力媒体は、その後、下側入口25を通って第2の案内通路11に入る。第1の案内通路10を通って下降する冷たい圧力媒体は、下側入口25を通って第2の案内通路11に流れ込む。これは、大量の熱または熱エネルギーが、圧力容器1の外壁の熱の過負荷が回避可能であるのと同時に、圧力媒体から熱交換器ユニット15に伝達可能であることを伴う。
【0114】
ここで
図9を参照して、本発明による例示的な実施形態の方法が説明される。この方法は、好ましくは、
図1〜
図8を参照して上記で説明された実施形態のいずれか1つによる熱間等方圧加圧法による物品の処理のための加圧装置において実行される。全体的な一般的レベルでは、この方法は、圧力サイクル中に、ステップS900において、加圧装置内で処理を受けることになる物品が圧力容器1の積載区画19内に置かれることと、ステップS910において、圧力媒体がたとえば圧縮器、加圧貯蔵タンク(圧力供給部)、極低温ポンプなどによって圧力容器1に送り込まれることとを含む。所望の圧力が圧力容器1の内部で得られるまで、圧力容器1への圧力媒体の給送は継続する。ステップS920において、圧力媒体を圧力容器1へと送り込む間、またはその後、炉室18の炉(発熱体)が活発化され、積載区画の内部の温度が増加される(したがって、ステップS920は、ステップS910と同時に実行され得る)。必要な場合、ステップS920中、加圧プロセスのための所望の圧力を下回る圧力レベルが得られるまで、所望の加圧温度を下回る温度で圧力媒体の給送が継続し、圧力が増加される。次いで、圧力は、所望の加圧圧力が到達されるように、炉室18内の温度を増加させることによって、最終的な量が増加される。あるいは、所望の温度および圧力が同時に到達される、または、所望の温度が到達された後、所望の圧力が到達される。当業者は、所望の加圧圧力と温度とに到達するために、当技術分野で知られているいかなる適切な方法も利用されてよいことを理解する。たとえば、圧力容器と高圧供給部内の圧力を等しくし、次いで圧縮器によって圧力容器をさらに加圧し、同時に圧力媒体をさらに加熱することが可能である。内側の慣用ループは、一様な温度分布を達成するために、循環ファン30、90ならびにエジェクタ(または複数のエジェクタ)31、51、52、61、62、91、および92によって活発化され得る。
【0115】
ステップS930において、必要な場合、および生産サイクルの必要性に応じて、たとえば、短い間隔の間またはさまざまな程度の電力で、積載区画への圧力媒体の流れが、ステップS120において少なくとも1つの流れ発生器31;51、52;61、62、または91、92を使用して前記内側の対流ループを増強するために、ファン30、90の近くで、たとえばファンの下流で生成される。ファンによって引き起こされる流れを循環させることは、好ましくは、内側の対流ループを増強するために冷たい圧力媒体ファン30、90の注入中に連続的に保留される、内側の対流ループ圧力媒体は、前記積載区画19を通る上向きの流れと、炉室の周辺部分12に沿った下向きの流れとを有する。冷たい圧力媒体の流れは、内側の対流ループを増強するために、底部断熱部分7bの下方および底端部分16の上方の空間26から上向きに圧力媒体を輸送し、前記圧力媒体をファン30の下流の積載区画19へと注入することによって生成される。冷たい圧力媒体のこの流れはまた、冷却を達成するために使用され得る。
【0116】
ステップS940において、冷却のフェーズが開始される。加圧装置100の実施形態では、冷却フェーズは、以下で説明されるように、たとえば、1つまたは複数の急速冷却フェーズを備えることがある。加圧フェーズ中に使用される圧力媒体は、温度が十分に低減されたとき、圧力容器1から排出可能である。いくつかの圧力媒体に関しては、リサイクルのために、タンクなどに圧力媒体を排出することが好都合なことがある。減圧後、ステップS950において、加圧された物品5が積載区画19から下載され得るように、圧力容器1が開けられる。
【0117】
ここで
図10および
図11を参照して、本発明の別の実施形態が説明される。圧力容器1は、炉室18ならびに底部断熱部分7bの下で、圧力容器1の底部に設置された熱交換器ユニット15を備える。
図1および
図2に関して上記で説明された同じまたは類似の部分は同じ参照番号で示されており、その詳細な説明は省略される。
【0118】
加圧装置500は、積載区画19内に配置された第1の流れ発生器90を含む。この実施形態では、加圧装置500は、底部断熱部分7bの下方に配置されたある2つの一次エジェクタ91と底部断熱部分7bを通って配置された二次エジェクタ92とを備える第2の流れ発生器を含む。一次エジェクタ91は、加圧機の外部に配置された噴射ガスシステム22に接続される。二次エジェクタ92の輸送管95は、第1の流れ発生器90のドライブシャフト98と同軸に中心軸40に配置される。すなわち、ドライブシャフト98は、輸送管95の内部に配置される。輸送管95は、積載区画19に圧力媒体を輸送し、積載区画19では、一次エジェクタ91および二次エジェクタ92の少なくとも1つの出口94はそれぞれ、圧力媒体が積載区画19へと注入されるように、積載区画19内のファン90のドライブシャフト98の近傍に配置される。
【0119】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの出口94は、輸送管95に接続され積載区画19内に配置された分配管(図示せず)上に設置される。
【0120】
一次エジェクタ91は、底部断熱部分7bの下方の空間26の中に配置され、噴射ガス流によって駆動される。圧力容器の外壁の内側とケーシング(たとえば、
図4を参照する)との間に形成された第1の案内通路(たとえば、
図4を参照する)内の冷却ループからのガスは、第1のエジェクタ91に吸い込まれる。第1の案内通路は、圧力容器1の上部からその底部に圧力媒体を案内するために使用される。一次エジェクタ91は、二次エジェクタ92に噴射ガス流を提供する。
【0121】
ファン90と一次エジェクタ91と二次エジェクタ92の組み合わされた行為によって、炉18への冷却ガス流が作り出され得る。ファン30と一次エジェクタ91と二次エジェクタ92は、互いとは無関係に動作される。
【0122】
図11において、
図11は、
図10の断面A−Aに沿った、
図10の矢印100の方向の(すなわち、上方で上端閉鎖具から底端閉鎖具16の方へ見られる)概略図である。ドライブシャフトは、例に示されるように、数のスポーク105によってファン90に接続されてよい。図示の実施形態では、3つのスポーク105が、ドライブシャフト98をファンに接続するために使用され、輸送管95は、積載区画19への圧力媒体の注入のための3つの出口94を有する。当業者が理解するように、スポークの数は、原理上は任意であり、たとえば、2つ、4つ、または5つのスポークと、それに対応して、2つ、4つ、または5つの出口とを有することが考えられる。
【0123】
本明細書および図面は、構成要素、材料、温度範囲、圧力範囲などの選択を含む実施形態と例とを開示しているが、本発明は、これらの具体的な例に制限されない。多数の修正および変形が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、なされ得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 圧力容器(1)を備える、熱間等方圧加圧法による物品の処理のための加圧装置(100;200;300;400;500)であって、前記圧力容器(1)は、
断熱ケーシング(3)と前記物品を保持するように適合された炉とを備える炉室(18)と、
処理されることになる物品を保持するように適合された積載区画(19)であって、前記積載区画は、少なくとも1つの上部開口と少なくとも1つの底部開口とを有して構成される、ここにおいて、前記積載区画を通る圧力媒体の流れが可能にされる、積載区画(19)と、
前記炉室内で前記圧力媒体を循環させるための、および内側の対流ループを増強するためのファン(30;90)であって、内側の対流ループ圧力媒体は、前記積載区画を通る上向きの流れと、前記炉室の周辺部分(12)に沿った下向きの流れとを有する、ファン(30;90)と、
前記内側の対流ループを増強するために前記積載区画への圧力媒体の流れを生成するように構成された少なくとも1つの流れ発生器(31;51、52;61、62;91)であって、前記流れは、前記内側の対流ループを増強するために、底部断熱部分(7b)の下方および底端部分(16)の上方の空間(26)から上向きに圧力媒体を輸送し、前記圧力媒体を前記積載区画へと注入することによって生成される、少なくとも1つの流れ発生器(31;51、52;61、62;91)と、
を含む、加圧装置(100;200;300;400;500)。
[2] 前記少なくとも1つの流れ発生器は、一次流れ発生器(51;61;91)と、二次流れ発生器(52;62)とを備え、ここにおいて、前記一次流れ発生器は、前記圧力容器の外部に配置された噴射ガスシステム(22)に接続される、およびここにおいて、前記二次流れ発生器は、前記一次流れ発生器からのガスを備える噴射ガス流を有して構成される、[1]に記載の加圧装置。
[3] 前記少なくとも1つの流れ発生器は、前記内側の対流ループを増強するように前記ファンの下流の前記積載区画への圧力媒体の流れを生成するように構成され、前記流れは、前記内側の対流ループを増強するために、底部断熱部分(7b)の下方および底端部分(16)の上方の空間(26)から上向きに圧力媒体を輸送し、前記圧力媒体を前記ファンの下流の前記積載区画(19)へと注入することによって生成される、[1]に記載の加圧装置。
[4] 前記少なくとも1つの流れ発生器の出口(33;54;64a、64b)は、前記ファンの下流および半径方向に前記ファンの外部に前記圧力媒体を注入するために、前記ファンに対する下流の位置に、および前記半径方向に前記ファンの外部の位置に配置される、[1]から[3]のいずれか一項に記載の加圧装置。
[5] 各流れ発生器は、前記積載区画内に配置された少なくとも1つの分配管(41;53;63a、63b)を備え、前記分配管は、前記圧力容器の中心軸(40)のまわりに実質的に水平および半径方向に延在し、少なくとも1つの出口(33;54;64a、64b)を備える、[1]から[4]のいずれか一項に記載の加圧装置。
[6] 前記積載区画内に配置された前記少なくとも1つの分配管は、前記圧力容器の前記中心軸のまわりに少なくとも半円部分を形成する、[5]に記載の加圧装置。
[7] 前記分配管は、前記中心軸に対して前記注入された圧力媒体が実質的に前記積載区画の側壁(42)の方へ向けられるような角度で配置された少なくとも1つの出口(33;54;64a、64b)を備える、[5]または[6]に記載の加圧装置。
[8] 前記少なくとも1つの流れ発生器は、圧力媒体を前記ファンの下流の前記積載区画へと注入するように前記空間から上向きに前記圧力媒体を輸送するための少なくとも2つの輸送管(65a、65b)を備える、[1]から[7]のいずれか一項に記載の加圧装置。
[9] 各輸送管は、圧力媒体を前記ファンの下流の前記積載区画へと注入するための少なくとも1つの出口(64a、64b)が設けられた前記積載区画内に配置された分配管(63a、63b)に接続される、[8]に記載の加圧装置。
[10] 前記二次流れ発生器は、前記ファンのドライブシャフト(98)と同軸に配置された輸送管(95)を備え、圧力媒体を前記積載区画へと注入するための少なくとも1つの出口(94)を備える、[2]に記載の加圧装置。
[11] 前記ドライブシャフトは、少なくとも2つの接続要素(105)を用いて前記ファンに接続される、[10]に記載の加圧装置。
[12] 前記炉室の下方に配置され、圧力媒体が熱交換器ユニットを通過しているとき熱エネルギーを前記圧力媒体と交換するように適合された前記熱交換器ユニット(15)
をさらに備える、[1]から[11]のいずれか一項に記載の加圧装置。
[13] 圧力媒体の通過のために前記断熱ケーシングの下部(26)において前記断熱ケーシング内に配置された少なくとも1つの第1の入口(24)と、
圧力媒体の通過のために前記断熱ケーシングの前記下部において前記断熱ケーシング内に配置された少なくとも1つの第2の入口(25)と、前記少なくとも1つの第2の入口は、前記少なくとも1つの第1の入口の下方に配置される、
をさらに備える、[12]に記載の加圧装置。
[14] 前記断熱ケーシングは、ハウジング部(2)と断熱部分(7)との間に形成された案内通路(11)を備える、前記案内通路は、前記熱交換器ユニットから前記少なくとも第1の入口および前記少なくとも第2の入口を介して供給された圧力媒体を案内するように構成される、[13]に記載の加圧装置。
[15] 前記熱交換器ユニットは、前記少なくとも1つの第1の入口の下方に配置される、[13]または[14]に記載の加圧装置。
[16] 前記熱交換器ユニットは、前記少なくとも1つの第2の入口の上方に配置される、[13]または[14]に記載の加圧装置。
[17] 前記熱交換器ユニットは、実質的に前記少なくとも1つの第1の入口と前記少なくとも1つの第2の入口との間に配置される、[13]または[14]に記載の加圧装置。
[18] 圧力容器(1)を備える、熱間等方圧加圧法による物品の処理のための加圧装置(100;200;300;400;500)のための方法であって、前記圧力容器(1)は、
断熱ケーシング(3)と物品を保持するように適合された炉とを備える炉室(18)と、処理されることになる物品を保持するように適合された積載区画(19)と、を備え、前記積載区画は、少なくとも1つの上部開口と少なくとも1つの底部開口とを有して構成され、ここにおいて、前記積載区画を通る圧力媒体の流れが可能にされ、前記方法は、
内側の対流ループを増強するためのファン(30;90)を使用して前記炉室内での圧力媒体の循環流を提供することであって、内側の対流ループ圧力媒体は、前記積載区画を通る上向きの流れと、前記炉室の周辺部分(12)に沿った下向きの流れとを有する、前記炉室内での圧力媒体の循環流を提供することと、
少なくとも1つの流れ発生器(31;51、52;61、62;91)を使用して前記内側の対流ループを増強するために前記積載区画への圧力媒体の流れを生成することであって、前記流れは、前記内側の対流ループを増強するために、底部断熱部分(7b)の下方および底端部分(16)の上方の空間(26)から上向きに圧力媒体を輸送し、前記圧力媒体を前記積載区画へと注入することによって生成される、前記内側の対流ループを増強するために前記積載区画への圧力媒体の流れを生成することと、
を備える、圧力容器(1)を備える、熱間等方圧加圧法による物品の処理のための加圧装置(100;200;300;400;500)のための方法。