(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記延長吸引において、母乳の吸引量を確保しつつ最大吸引圧力の保持時間を短くするため、前記最大吸引圧力まで到達させる増加速度を変化させる構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の電動搾乳器。
前記延長吸引において、前記増加速度は、吸引開始時は速く、その後、前記最大吸引圧力に近づくにつれて、徐々に前記増加速度が遅くなることを特徴とする請求項2に記載の電動搾乳器。
前記吸引サイクルの間には、吸引圧力を発生させない間隔部が形成され、この間隔部の時間は、直前及び又は直後の前記サイクルの前記延長吸引における前記増加速度に基づき変化する構成となっていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電動搾乳器。
前記吸引サイクルは、前記基本吸引及び前記増加吸引をそれぞれ2回繰り返し、その後、前記延長吸引を実行する構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電動搾乳器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、母親等の電動搾乳器の利用者は、適切な吸引圧力等を正確に把握していない場合が多く、このため、電動搾乳器を適切な吸引圧力等で動作させるのが困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、母親等の利用者にとって適切な吸引圧力で搾乳を行うことができる電動搾乳器、電動搾乳器の制御方法及び電動搾乳器の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は、本発明によれば、対象者の乳房及び乳首等の乳房部を配置する乳房配置部と、前記乳房配置部内に吸引圧力を発生させる吸引圧力発生部と、を備え、前記吸引圧力発生部は、複数の吸引からなる吸引サイクルを発生させ、前記吸引サイクルは、基本吸引と前記吸引圧力を増加させた増加吸引を含み、前記増加吸引において、増加する吸引圧力差は、利用者が、吸引圧力の変化を感知する境目の圧力差であり、前記吸引サイクルが、前記基本吸引及び前記増加吸引を、それぞれ同じ吸引圧力で連続して複数回繰り返し、さらに、前記吸引サイクルの少なくとも最後の吸引が、他の吸引より長い吸引時間の延長吸引となっていることを特徴とする電動搾乳器により達成される。
【0008】
前記構成によれば、吸引圧力発生部が発生させる吸引サイクルは、基本吸引及び増加吸引を有し、同じ種類の吸引圧力が、連続して生成される。
また、この増加吸引の増加の圧力は、利用者が、吸引圧力の変化を感知する境目の圧力差となっている。
すなわち、吸引サイクルは、増加吸引を含み、これらの増加の変化は、利用者が、吸引圧力の変化を感知する境目の変化となっている。
したがって、吸引圧力の適切な変動により、搾乳効率を維持したまま、使用者に対し乳頭や乳輪の痛みを抑制し、使用感を向上させることができる。
【0009】
また、前記構成では、吸引サイクルの少なくとも最後の吸引が、他の吸引より長い吸引時間の延長吸引となっている。
このため、この延長吸引により、母乳の搾乳量を確保することができる。
【0010】
ところで、従来から乳児の哺乳行為は、人工的ではなく自然である、という意味では理想的と考えられ、従来の搾乳器は、乳児の吸啜動作を真似しようと努力していた。
しかしながら、乳児の吸引動作だけを真似しても、搾乳器の吸引として、母親等の利用者にとって、必ずしも使用感が良くはならないことが分かった。
例えば、圧力変動パターンが不適切になると、搾乳効率が低下し、利用者である母親等に痛みや違和感を生じさせることになる。
この点、前記構成の吸引サイクルでは、「ゆらぎサイクル」のパターンを達成している。ここで、「ゆらぎサイクル」は、乳児の哺乳行為の要素を抽出し、それを含む吸引パターンを再現し、かつ、搾乳量や使用感を損なうことのない吸引パターンを意味する。
【0011】
また、前記構成では、「ゆらぎサイクル」で、使用者は、一定のリズムを伴う刺激を受け、使用者の生体にリラックスを与えることになる。
このリラックスは、副交感神経を亢進させ、母乳産生と射乳に必要なホルモン分泌を促進する。
以上から、前記構成によれば、上述の作用効果等を奏する「吸引サイクル」を自動的に動作させ、母親等の利用者にとって適切な吸引圧力で搾乳を行うことができる電動搾乳器となる。
【0012】
好ましくは、前記電動搾乳器は、前記延長吸引において、母乳の吸引量を確保しつつ最大吸引圧力の保持時間を短くするため、前記最大吸引圧力まで到達させる増加速度を変化させる構成となっていることを特徴とする。
【0013】
前記構成によれば、吸引圧力を最大吸引圧力まで到達させる増加速度(例えば、ライジングスピード)を変化(例えば、速く又は遅く)させる。
このため、吸引圧力を最大吸引圧力まで到達させた状態で、圧力を維持するピークホールドの時間を短くすることができるので、使用者に痛みを感じさせる時間を最小限度とすることができる。
また、母乳の搾乳量を確保するためには、吸引圧力を最大吸引圧力まで高め、その状態で圧力を維持することが好ましいが、前記構成では、吸引圧力の増加速度を一定ではなく、変化させることで、母乳の吸引量も確保可能となっている。
【0014】
好ましくは、前記電動搾乳器の前記延長吸引において、前記増加速度は、吸引開始時は速く、その後、前記最大吸引圧力に近づくにつれて、徐々に前記増加速度が遅くなることを特徴とする。
【0015】
前記構成によれば、増加速度は、開始時は速く、その後、最大吸引圧力に近づくにつれて、徐々に速度が遅くなる。
このため、その変化をグラフ等にプロットすると、その変化は、なだらかな勾配となり、リニアに圧力を増加させ、目標圧力でピークホールドする場合と比較しても、同様の母乳の搾乳量を確保することができる。
また、ピークホールドを短くすることができるので、使用者に痛みを感じさせる時間を短くすることもできる。
【0016】
好ましくは、前記電動搾乳器の前記吸引サイクルの間には、吸引圧力を発生させない間隔部が形成され、この間隔部の時間は、直前及び又は直後の前記サイクルの前記延長吸引における前記増加速度に基づき変化する構成となっていることを特徴とする。
【0017】
間隔部の時間が短いときに、当該間隔部の直前及び又は直後における吸引サイクルの延長吸引の増加速度が、例えば、速いと、使用者の使用感として、一定のリズムが崩れ、各吸引サイクル間が短く感じられ、慌ただしい感じの反復リズムとなる。
これに対し、前記構成では、間隔部の時間は、直前及び又は直後の延長吸引における増加速度に基づき変化する構成となっている。
すなわち、増加速度に合わせて、間隔部の時間を調整することができる。従って、前記構成では、使用者に安定感のある吸引サイクルの反復リズム感を感じさせることができる。
また、間隔部の時間の長さを調整することで、吸引サイクルの繰り返しに一定のリズム感を生じさせることができ、使用者にリズミカルな心地よさを感じさせることができる。
【0018】
好ましくは、前記電動搾乳器の前記吸引サイクルは、前記基本吸引及び前記増加吸引をそれぞれ2回繰り返し、その後、前記延長吸引圧力を実行する構成となっていることを特徴とする。
【0019】
前記構成によれば、基本吸引及び増加吸引が、それぞれ2つの連続した吸引となっている。
これに対し、基本吸引及び増加吸引を1つずつ発生させると、徐々に吸引圧力が強くなる効果が弱くなり、母親等の利用者にとって、適切な吸引圧力で搾乳を行うことが困難となる。
逆に基本吸引、増加吸引を5回ずつ発生させると、弱い圧力が連続するところでは、若干、利用者が「ものたりなさ」を感じることがあり、強い圧力が連続するところでは「痛み」を感じる可能性もある。
この点、基本吸引及び増加吸引が、それぞれ2つの連続した吸引とすると、上述の弊害を発生させることなく、母親等の利用者にとって適切な吸引圧力で搾乳を行うことができる電動搾乳器となる。
【0020】
前記構成によれば、前記電動搾乳器の前記吸引圧力差が、2.5kPa乃至3.5kPaであることを特徴とする。
【0021】
前記目的は、本発明によれば、対象者の乳房及び乳首等の乳房部を配置する乳房配置部と、前記乳房配置部内に吸引圧力を発生させる吸引圧力発生部と、とを備える電動搾乳器の制御方法であって、前記吸引圧力発生部は、基本吸引、利用者が、前記吸引圧力の変化を感知する境目の圧力差である増加する吸引圧力差を有する増加吸引を含む吸引サイクルを発生させ、前記吸引サイクルが、前記基本吸引及び前記増加吸引を、それぞれ同じ吸引圧力で連続して複数回繰り返し、さらに、前記吸引サイクルの最後の吸引が、他の吸引より長い吸引時間の延長吸引を含むことを特徴とする電動搾乳器の制御方法により達成される。
【0022】
前記目的は、本発明によれば、対象者の乳房及び乳首等の乳房部を配置する乳房配置部と、前記乳房配置部内に吸引圧力を発生させる吸引圧力発生部と、とを備える電動搾乳器に、基本吸引と、利用者が、前記吸引圧力の変化を感知する境目の圧力差である増加する吸引圧力差を有する増加吸引を含む吸引サイクルを発生させる機能、前記吸引サイクルが、前記基本吸引及び前記増加吸引を、それぞれ同じ吸引圧力で連続して複数回繰り返す機能、前記吸引サイクルの最後の吸引として、他の前記吸引より長い吸引時間の延長吸引を発生させる機能、を実行させる電動搾乳器の制御プログラムにより達成される。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、母親等の利用者にとって適切な吸引圧力で搾乳を行うことができる電動搾乳器、電動搾乳器の制御方法及び電動搾乳器の制御プログラムを提供することができるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0026】
図1は、本発明の電動搾乳器1の主な構成を示す概略図である。
図1に示すように、電動搾乳器1は、搾乳器10とポンプユニット50を有し、搾乳器10とポンプユニット50は、チューブ13で接続されている。
また、搾乳器10は、
図1に示すように、搾乳器本体11及びボトル30、電動搾乳器1の使用者である母親等の乳房を配置する乳房配置部12等を有している。
【0027】
図2は、搾乳器10の内部構造等を示す概略断面図である。
図2に示すように、搾乳器10には、ケース31を有し、このケース31内には、変形可能な変形部材32が配置されている。
この変形部材32は、
図1のポンプユニット50の起動で、該ポンプユニット50に内蔵されたモータが回転し、該ユニット50のシリンダ内の負圧が変化し、この変化がチューブ13を介して、変形部材32に伝わり、変形部材32の内部の気圧が低下し、変形部材32を変形させる。
【0028】
このように変形部材32が、ケース31内で大きく体積を減らすと、変形部材32とケース31の間の空間と連通している密閉空間23は、気圧が大きく減じられる。
すなわち、密閉空間23内で負圧が増大すると、
図2の乳房配置部12に配置された乳房から母乳が吸引され、搾乳された母乳は、通気路22内を通って、小室24を介して、ボトル30に収納される構成となっている。
【0029】
したがって、搾乳器本体11及びポンプユニット50等が、乳房配置部12内に吸引圧力を発生させる吸引圧力発生部の一例となっている。
【0030】
(電動搾乳器1の動作例)
本実施の形態にかかる電動搾乳器1を用いて、母親が乳児のために母乳を搾乳する例を用いて以下、説明する。
先ず、母乳の搾乳を実行しようとする母親は
図1の搾乳器10の乳房配置部12に自己の乳房を挿入し、配置する。
次いで、
図2のポンプユニット50のスイッチを操作し、自己の希望する吸引圧力を選択する。
吸引圧力としては、基本吸引の吸引圧力が、例えば−10kPa乃至−31kPaの間で開始される範囲で、利用者である母親等が選択することができる構成となっている。
本実施の形態では、母親等が基本吸引の吸引圧力として、例えば、−10kPa又は−31kPaを選択した場合を例に以下説明する。
【0031】
図3は、基本吸引の吸引圧力として、−10kPaを選択した場合の電動搾乳器1の吸引サイクルAを示す概略説明図である。
また、
図4は、基本吸引の吸引圧力として、−31kPaを選択した場合の電動搾乳器1吸引サイクルBを示す概略説明図である。
【0032】
図3に示す吸引サイクルAは、例えば、1サイクルが5つの吸引からなっている。
具体的には、
図3で(1)で示す、「吸引(1)」、(2)で示す「吸引(2)」、(3)で示す「吸引(3)」、(4)で示す「吸引(4)」、そして、(5)で示す「吸引(5)」を有している。
このうち、「吸引(1)」乃至「吸引(4)」は、
図3に示すように、吸引時間はほぼ同様となっているが、後述するように、「吸引(5)」は、他の吸引より吸引時間が長い、「延長吸引」となっている。
【0033】
この1サイクルのうち、「吸引(1)」乃至「吸引(4)」の吸引時間は、例えば、「0.75秒乃至1.32秒」なっている。
「吸引(5)」の吸引時間は、その前の「吸引(4)」等より、1.7倍乃至1.9倍程度長く、例えば、1.20秒乃至2.10秒である。
【0034】
一方、
図4に示す吸引サイクルBは、「吸引(a)」から始まる5つの吸引を有する。これら「吸引(a)」乃至「吸引(e)」で1サイクルを成す。
【0035】
ここで、本実施の形態の特徴である、「延長吸引」について説明する。
図5は、本実施の形態の「延長吸引」の具体的内容を示す概略図である。
図5の破線L1は、圧力の増加速度である所謂「ライジングスピード」を一定にし、「吸引圧力」が目標圧力に達した時点P1から圧力減少を開始する時点P2まで維持する「ピークホールド」状態を示すものである。
【0036】
このように、目標圧力に達し状態で圧力を維持するピークホールドを長く設けると、その分、対象者である例えば、母親等の乳首等を長い時間、吸引することができるので、その分、多くの搾乳量を確保することができる。
一方、ピークホールドが長いと、長い時間、乳首等が高い圧力で吸引されるため、使用者に痛みを感じさせる時間が長くなるという問題がある。
【0037】
そこで、本実施の形態では、「ライジングスピード」を一定にせず、増加速度を変化させる。例えば、吸引開始時は、しばらく増加速度を「速く」設定し、その後、目標圧力に近づくにつれて、徐々に増加速度を「遅く」する。そして、目標圧力に到達した直後に、吸引圧力を減少させる。
このように制御することで、本実施の形態では、
図5の実線L2で示すように「吸引圧力」が「なだらかな勾配」を示す「延長吸引」とすることができる。
【0038】
また、このように「吸引圧力」を制御することで、目標圧力に到達した後の「ピークホールド」の時間を最短とすることができる。
従って、使用者である母親等の乳首等に痛みを与える時間を最短とすることができるため破線L1のように、ピークホールドを長く設定する場合と同様の母乳の搾乳量を、母親等の痛みを少なくしつつ、確保できる。
【0039】
なお、
図5の一点鎖線L3は、ピークホールドを短くするために、「吸引圧力」を一定の増加速度で高めた状態を示すものであり、この場合、ピークホールドを短くすることはできるが、搾乳量を確保することができないという、問題がある。
この点、本実施の形態の実線L2の「延長吸引」では、使用者の痛みを小さくすると共に、母乳の搾乳量も確保できる構成となっている。
【0040】
さらに、
図3の「吸引(5)」の「延長吸引」は、その前の「吸引(1)」乃至「吸引(4)」よりも「吸引時間」が長く、これら普通吸引との組み合わせによって、後述のように、使用者に心地良い「ゆらぎ」を与えるものである。
しかし、「吸引(5)」の「延長吸引」の吸引開始時に、「ライジングスピード」の速度が「遅すぎる」と、使用者である母親等は、吸引速度が急に弱く、止まったように感じられるおそれがある。
この点、本実施の形態では、上述のように、「延長吸引」の吸引開始時に、「ライジングスピード」の速度が「速い」ため、使用者にとって吸引の変化を「ゆらぎ」として感じることができる。
【0041】
以下、吸引サイクルを、
図3の例で説明する。
電動搾乳器1の動作が開始されると、先ず、第1の吸引が開始される。すると、基本吸引である「吸引(1)」が実行される。
この「吸引(1)」の吸引圧力は、−10kPaである
また、この「吸引(1)」の吸引時間は例えば、約0.7秒であり、少なくとも同一の吸引圧力の吸引は同一の時間に設定されている。
【0042】
また、吸引の後には、吸引圧力が発生しないインターバルがあり、
時間は全て同一であり、例えば、0.15秒乃至0.25秒となっている。
【0043】
「吸引(1)」の後は、インターバル「I(1)」が設けられ、次に「吸引(1)」と同じ吸引圧力(−10kPa)の「吸引(2)」が実行される。
【0044】
次いで、インターバル「I(2)」を介して、増加吸引である「吸引(3)」が実行される。
この「吸引(3)」の吸引圧力は、「吸引(1)」や「吸引(2)」の吸引圧力(−10kPa)より、例えば、3kPa大きな吸引圧力である−13kPaとなっている。
吸引圧力の増加は、2.5kPa乃至3.5kPaの範囲内で変更しても構わないが、好ましくは、3kPaである。
この「2.5kPa乃至3.5kPa」が、「利用者が吸引圧力の変化を感知する境目の圧力差」である。
【0045】
このように、吸引圧力の増加を「3kPa」としたのは、以下の理由による。
この「3kPa」の圧力増加は、電動搾乳器1を利用する母親等の使用感が変化する境目であり、圧力差が3kPaより大きく、例えば、6kPaとなると、母親等が痛みを感じるだけでなく、圧力が弱くなると、物足りなさを感じる可能性がある。
すなわち、弱い圧力と強い圧力の差が大きすぎるため、強い圧力を基準とすると、弱い圧力が弱すぎるように感じ、逆に、弱い圧力を基準とすると、強い圧力が痛く感じることとなり、適切な強さに調整することが困難となる。
【0046】
一方、吸引圧力の増加が3kPaより小さく、例えば、2kPa程度となると、母親等が圧力をあまり感じず、「ものたりなさ」を感じることになる。
これは、「圧力をあまり感じない」からではなく、圧力変化をあまり感じないため、「ゆらぎ」の体感のなさによる「ものたりなさ」である。
【0047】
次いで、インターバル「I(3)」を介して、「吸引(3)」と同じ吸引圧力で、「吸引(4)」が実行される。
次いで、インターバルI「(4)」を介して、「延長吸引」である「吸引(5)」が実行される。
この「吸引(5)」の吸引圧力は、増加吸引である「吸引(3)」や「吸引(4)」の吸引圧力(−13kPa)と同様であるが、吸引時間が、これらの増加吸引より1.7倍乃至1.9倍程度長くなっている。
これら「吸引(1)」乃至「吸引(5)」による吸引サイクルが、利用者である母親等にとって適切な圧力変動となり、使用者に「心地良さ」を感じさせ、母乳の射乳反射が誘発される。そして、これにより円滑な搾乳が可能となる。
【0048】
また、このように、同じ吸引圧力を連続して複数回、実行するのは、以下の理由による。
吸引圧力を1回ごとに増加させ圧力差を発生させる場合は、徐々に吸引圧力が強くなるのではなく、急激に強くなっていくので、母親等に不快感を与えるおそれがある。
但し、同じ吸引圧力を5回以上続けた後、圧力を増加させるのでは、母親等は、圧力変化の無い単調な吸引サイクルとして「ものたりなさ」を感じる場合がある。
したがって、本実施の形態では、同じ吸引圧力を連続して2回連続して発生させ、その後、吸引圧力を3kPa変化させている。
【0049】
このようにして、吸引サイクルAの1サイクルが終了し、同じく再び、吸引サイクルAが開始される。
その際、間隔部である、
図3に示す例えば、ポーズPを介して、次の吸引サイクルAが開始される。
このポーズPは、吸引圧力を加えず、吸引されない部分である。
また、このポーズPは、各「圧力変動吸引パターンA」のサイクルの間に設けられるが、このポーズPの長さは、例えば、直前及び又は直後のサイクルの「延長吸引」、例えば、
図3の「第5の吸引(5)」の増加速度である例えば、「ライジングスピード」に合わせてポーズPの長さを変更する構成となっている。
【0050】
例えば、「ライジングスピード」が速いときは、ポーズPの長さを長くし、「ライジングスピード」が遅いときは、ポーズPの長さを短くする。
【0051】
このように、ポーズPの長さを変化させるのは、以下の理由による。
例えば、短い時間のポーズPに、速い「ライジングスピード」が続くと、使用者の使用感として、一定リズムが崩れ、各吸引サイクル間の感覚が短く、慌ただしい感じの反復リズムに感じられる。
【0052】
そこで、本実施の形態では、「ライジングスピード」に合わせて、ポーズPの長さを調整することで、使用者に安定感のあるサイクル反復のリズム感を感じさせることができる。
また、ポーズPの長さを調整することで、吸引サイクルの繰り返しに、一定のリズム感を生じさせることができ、使用者にリズミカルな心地よさを感じさせることができる。
【0053】
このように、本実施の形態では、ポーズPやインターバルI(1)〜(4)を設けることで、吸引圧力が発生するタイミングと、吸引圧力が発生しないタイミングが交互に生じるので、利用者は、リズム感良く搾乳を行うことができる。
【0054】
以上のように、
図3に示す吸引サイクルAの1サイクルが実施され、必要な回数、繰り返し実施され、母親等の利用者は、搾乳を行うことになる。
【0055】
したがって、本実施の形態では、以下のような作用効果等を奏する。
本実施の形態では、急に強い吸引圧力をかけることなく、3kPaずつ強くし、最大圧力に到達させることができる。このため、母親等の利用者の乳頭、乳輪を急激に伸ばすことがなく、その負担を軽減させることができる。
【0056】
さらに、例えば、3kPaという適切な差圧の吸引サイクルが、母親等に「ゆらぎ」を与える「ゆらぎサイクル」となり、母親等に対して使用感に違和感を与えない構成となっている。
また、本実施の形態では、吸引に変動があり、単調なリズムとはならない。このため、吸引サイクルの吸引が適度な「ゆらぎサイクル」となっているので、強弱のリズムがあり、母親等に自然な感じを与えることができる。
そして、母親等によっては、吸って、休んで、というリズムにも感じられ、心地よくリラックスして搾乳することができる。
【0057】
さらに、毎日、何度も、長期間、搾乳する高頻度の電動搾乳器1の利用者である母親等における、長期間にわたる乳頭の引っ張られすぎを軽減し、乳頭の腫れを防ぐことができる。
また、乳頭に吸引をかけて伸ばされることに慣れていない電動搾乳器1の利用の初心者である母親等にとっても、少しずつ無理のない吸引として、搾乳の吸引圧力に慣れていくことができる構成となっている。
【0058】
また、従来から乳児の哺乳行為は、人工的ではなく自然である、という意味では理想的と考えられ、従来の搾乳器は、乳児の吸啜を真似しようと努力していた。
しかしながら、乳児の吸引だけを真似しても、電動搾乳器の吸引として、母親等の利用者にとって、必ずしも使用感が良くはならないことが分かった。
また、吸引パターンが不適切になると、搾乳効率が低下し、利用者である母親等に痛みや違和感を生じさせることになる。
この点、吸引パターンAでは、「ゆらぎ」のパターンを達成している。ここで、「ゆらぎ」は、乳児の哺乳行為の要素を抽出し、それを含む吸引パターンを再現し、かつ、搾乳量や使用感を損なうことのない吸引パターンを意味する。
【0059】
このように、本実施の形態では、「ゆらぎサイクル」で、母親等は、一定のリズムを伴う刺激を受け、利用者の生体にリラックスを与えることになる。
また、このリラックスは、副交感神経を亢進させ、母乳産生と射乳に必要なホルモン分泌を促進する。
【0060】
さらに、本実施の形態では、1サイクルに、
図3の「吸引(5)」のような「延長吸引」が含まれるので、上述のように、使用者に痛みを感じさせにくく、かつ、十分な搾乳量を確保することができる。
【0061】
以上から、上述の作用効果等を奏する吸引サイクルを自動的に動作させ、母親等の利用者にとって適切な吸引圧力で搾乳を行うことができる電動搾乳器1となっている。
【0062】
なお、
図4の吸引サイクルBは、基本吸引の吸引圧力が、−31kPaから開始される点および、吸引時間を除き、上述の吸引サイクルAとほぼ同様である。
また、本実施の形態では、
図3、
図4に示すように、基本吸引を連続して2回実行し、次に、3kPa分だけ、圧力を増加した増加吸引を連続して2回実行し、その後、延長吸引を1回実行しているが、本発明はこれに限らず、「延長吸引」を2回連続して実行しても構わない。
【0063】
また、本発明はこれに限らず、以下のような吸引サイクルであってもよい。
1)3回連続の吸引サイクル
本吸引サイクルでは、上述の実施の形態と異なり、基本吸引を3回実行し、次に、圧力を増加した増加吸引を3回実行し、
その後、「延長吸引」を1回乃至3回実行する。
【0064】
2)2回と3回の混合の吸引サイクル
本サイクルでは、上述の実施の形態と異なり、基本吸引を2回実行し、次に、圧力を増加した増加吸引を3回実行し、その後、延長吸引1回乃至3回実行する。
【0065】
3)第2の増加吸引を有する吸引サイクル
本サイクルでは、上述の実施の形態と異なり、基本吸引を2回実行し、次に、圧力を増加した第1の増加吸引を2回実行し、さらに3圧力を増加した、第2の増加吸引を2回実行し、その後、延長吸引を1回乃至3回実行する。
【0066】
以上説明した本実施形態においては、装置として実現される場合を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されず、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納され頒布されてもよい。
【0067】
また、記憶媒体は、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であればよい。記憶媒体の記憶形式は、特には限定されない。
【0068】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
【0069】
さらに、本発明における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体には限定されず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0070】
また、本発明におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づいて本実施形態における各処理を実行すればよく、1つのパソコン等からなる装置であってもよいし、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等であってもよい。
【0071】
また、本発明におけるコンピュータとは、パソコンには限定されず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。