特許第6640310号(P6640310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6640310エレベータ、およびエレベータの乗りかごの照明装置管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6640310
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】エレベータ、およびエレベータの乗りかごの照明装置管理方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20200127BHJP
   B66B 11/02 20060101ALI20200127BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   B66B3/00 R
   B66B11/02 E
   B66B5/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-212143(P2018-212143)
(22)【出願日】2018年11月12日
【審査請求日】2018年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】宮川 紘一
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−155019(JP,A)
【文献】 特開2013−028440(JP,A)
【文献】 特開2016−037387(JP,A)
【文献】 特開2010−195496(JP,A)
【文献】 特開2011−162282(JP,A)
【文献】 特開2017−220328(JP,A)
【文献】 特開2015−016942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00─ 3/02
B66B 5/00─ 5/28
B66B 11/00─11/08
B66B 1/00─ 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光源を用いた照明装置が設置された乗りかごと、
前記乗りかご内を、上部から床面方向に撮影する撮像装置と、
前記撮像装置で撮影された撮像情報を解析して、前記乗りかご内の照度を検知する照度検知手段と、
前記乗りかご内に利用者がいるか否かを示す情報、および前記乗りかごのかご扉が閉状態であるか否かを示す情報を、かご内状況情報として取得するかご内状況情報取得手段と、
前記照度検知手段で検知された前記乗りかご内の照度と、前記かご内状況情報取得手段で取得されたかご内状況情報とに基づいて、前記乗りかご内に利用者がいなく、前記乗りかごの扉が閉状態であり、且つ、前記照明装置が点灯しているときに、前記照度検知手段により検知された前記乗りかご内の照度が、予め設定された第1照度閾値より低いと判定すると、前記LED光源を交換すべきことを示す通知情報を出力し、
前記乗りかご内に利用者がいなく、前記乗りかごの扉が閉状態であり、且つ、前記照明装置が消灯された状態で、前記照度検知手段により検知された前記乗りかご内の照度が、予め設定された第2閾値以上であるときに、前記撮像装置のコントラスト調整処理に異常があると判定し、前記撮像装置のコントラスト設定を調整すべきことを示す通知情報を出力する制御装置と
を備えることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記乗りかごの扉は、光透過性部材で構成された第1光透過エリアを有し、
前記制御装置は、前記乗りかご内に利用者がいなく、前記乗りかごの扉が閉状態であるときに、エレベータ乗場の照明装置の光が前記第1光透過エリアから前記乗りかご内に光が入らないようにするために前記乗りかごを階間に移動させ、前記照明装置が点灯しているときに、前記照度検知手段により検知された前記乗りかご内の照度が、前記第1照度閾値より低いと判定すると、前記LED光源を交換すべきことを示す通知情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記乗りかごの、建物の外部空間に面した方向の側板が、光透過性部材で構成された第2光透過エリアを有し、
前記制御装置は、前記照度検知手段により検知された前記乗りかご内の照度が、予め設定された適正範囲内にないと判定すると、適正範囲内になるように、前記LED光源の出力強度を調整する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータ。
【請求項4】
LED光源を用いた照明装置が設置された乗りかごと、
前記乗りかご内を、上部から床面方向に撮影する撮像装置と、
前記撮像装置で撮影された撮像情報を解析して、前記乗りかごの床面を分割した複数の床部分エリアごとの照度を検知する照度検知手段と、
前記乗りかご内に利用者がいるか否かを示す情報、および前記乗りかごのかご扉が閉状態であるか否かを示す情報を、かご内状況情報として取得するかご内状況情報取得手段と、
前記照度検知手段で検知された前記乗りかご内の照度と、前記かご内状況情報取得手段で取得されたかご内状況情報とに基づいて、前記乗りかご内に利用者がいなく、前記乗りかごの扉が閉状態であり、且つ、前記照明装置が点灯しているときに、各床部分エリアの平均照度に対する、最小照度を有する床部分エリアの照度の比率が、予め設定された閾値以下であると判定すると、前記LED光源を交換すべきことを示す通知情報を出力する制御装置と
を備えることを特徴とするエレベータ。
【請求項5】
LED光源を用いた照明装置が設置された乗りかごと、
前記乗りかご内を、上部から床面方向に撮影する撮像装置と、
前記撮像装置で撮影された撮像情報を解析して、前記乗りかご内の照度を検知する照度検知手段と、
前記乗りかご内に利用者がいるか否かを示す情報、および前記乗りかごのかご扉が閉状態であるか否かを示す情報を、かご内状況情報として取得するかご内状況情報取得手段とを備えたエレベータが、
前記照度検知手段で検知された前記乗りかご内の照度と、前記かご内状況情報取得手段で取得されたかご内状況情報とに基づいて、前記乗りかご内に利用者がいなく、前記乗りかごの扉が閉状態であり、且つ、前記照明装置が点灯しているときに、前記照度検知手段により検知された前記乗りかご内の照度が、予め設定された第1照度閾値より低いと判定すると、前記LED光源を交換すべきことを示す通知情報を出力し、
前記乗りかご内に利用者がいなく、前記乗りかごの扉が閉状態であり、且つ、前記照明装置が消灯された状態で、前記照度検知手段により検知された前記乗りかご内の照度が、予め設定された第2閾値以上であるときに、前記撮像装置のコントラスト調整処理に異常があると判定し、前記撮像装置のコントラスト設定を調整すべきことを示す通知情報を出力する
ことを特徴とするエレベータの乗りかごの照明装置管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ、およびエレベータの乗りかごの照明装置管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの照明装置に使用する光源として、従来は蛍光灯が用いられていたが、近年はLED(light emitting diode)が主流になっている。一般的に、蛍光灯の寿命が8,000時間程度であるのに対し、LEDの寿命は40,000時間程度であり蛍光灯に比べて長いため、照明装置の光源をLEDに切り替えることで交換頻度が減り、管理をし易くなるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−211968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、エレベータの乗りかご内は、所定値以上の照度を確保する必要があることが法令で定められている。そのため、光源の寿命がきて乗りかご内の照度が当該所定値より低くなったときには、当該光源を交換しなければならない。上述したように、LED光源は寿命が長いが、エレベータの寿命はさらに長く20年以上であるため、乗りかごの照明装置にLED光源を用いてもその交換作業は必要になる。
【0005】
ここで、蛍光灯は寿命がくると点灯しなくなり急激に照度が低くなるため交換時期を判定し易いが、LED光源は寿命がくると照度が徐々に低下するため交換時期の判定をし難いという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、LED光源を用いた照明装置が設置された乗りかご内の照度を適切に保つことが可能なエレベータ、および乗りかご内の照度を適切に保つためのエレベータの乗りかごの照明装置管理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータは、LED光源を用いた照明装置が設置された乗りかごと、乗りかご内を上部から床面方向に撮影する撮像装置と、撮影された撮像情報を解析して乗りかご内の照度を検知する照度検知手段と、乗りかご内に利用者がいるか否かを示す情報および乗りかごのかご扉が閉状態であるか否かを示す情報を、かご内状況情報として取得するかご内状況情報取得手段と、制御装置とを備える。制御装置は、乗りかご内の照度情報とかご内状況情報とに基づいて、乗りかご内に利用者がいなく、乗りかごの扉が閉状態であり、且つ、照明装置が点灯しているときに検知された乗りかご内の照度が、予め設定された第1照度閾値より低いと判定すると、LED光源を交換すべきことを示す通知情報を出力する。また制御装置は、乗りかご内に利用者がいなく、乗りかごの扉が閉状態であり、且つ、照明装置が消灯された状態で検知された乗りかご内の照度が、予め設定された第2閾値以上であるときに、撮像装置のコントラスト調整処理に異常があると判定し、撮像装置のコントラスト設定を調整すべきことを示す通知情報を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1および第2実施形態によるエレベータの構成を示す全体図。
図2】第1および第2実施形態によるエレベータの乗りかごを示す横断面図。
図3】第1、第3〜第5実施形態によるエレベータのかご制御装置および撮像装置の構成を示すブロック図。
図4】第1実施形態によるエレベータのかご制御装置の動作を示すフローチャート。
図5】第2実施形態によるエレベータのかご制御装置および撮像装置の構成を示すブロック図。
図6】第2実施形態によるエレベータのかご制御装置の動作を示すフローチャート。
図7】第3実施形態によるエレベータの構成を示す全体図。
図8】第3実施形態によるエレベータのかご制御装置の動作を示すフローチャート。
図9】第3実施形態によるエレベータの乗りかごの移動状態を示す説明図。
図10】第4実施形態によるエレベータの構成を示す全体図。
図11】第4実施形態によるエレベータの乗りかごを示す横断面図。
図12】第4実施形態によるエレベータのかご制御装置の動作を示すフローチャート。
図13】第5実施形態によるエレベータの乗りかごの構成を示す外観斜視図。
図14】第5実施形態によるエレベータの乗りかごの床面の分割状態を示す説明図。
図15】第5実施形態によるエレベータのかご制御装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるエレベータの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態によるエレベータ1Aは建物内に設置され、昇降路2上部に設置された巻上げ機3にメインロープ4が掛け渡され、その両端部にそれぞれ乗りかご5と釣り合いおもり6とがつるべ式に吊り下げられている。また、昇降路2上部にはエレベータ制御盤7が設置され、通信線を介して巻上げ機3に接続されるとともに、テールコード8を介して乗りかご5に接続されている。また、エレベータ制御盤7は、外部の監視センタ等に設置された監視センタ装置9に接続されている。図1内においては、乗りかご5を斜視図で示す。
【0010】
乗りかご5は、図1の斜視図および図2の横断面図で示すように、側板51と、床面52と、天井面53とで構成され、当該建物内の乗場側の側板51にはかご扉54が設置されている。また、天井面53には複数のLED光源55−1〜55−36を有する照明装置55が設置されている。また、かご扉54の上部には、乗りかご5内を上部から床面52方向に撮影する撮像装置56が設置されている。また、乗りかご5の天井面53の上部には、照明装置55および撮像装置56に接続されたかご制御装置57Aが設置されている。
【0011】
撮像装置56およびかご制御装置57Aの詳細な構成について、図3を参照して説明する。撮像装置56は、撮影処理を行って撮像情報を生成する撮像部561と、画像解析部562とを有する。画像解析部562は、かご内状況情報取得部562aと、照度検知部562bとを有する。かご内状況情報取得部562aは、撮像部561で生成された撮像情報を解析し、乗りかご5内に利用者がいるか否かを示す情報、およびかご扉54が閉状態であるかを示す情報を、かご内状況情報として取得してかご制御装置57Aに送信する。照度検知部562bは、撮像部561で生成された撮像情報を解析して乗りかご5内の照度を検知し、照度情報を生成してかご制御装置57Aに送信する。
【0012】
かご制御装置57Aは、設定情報記憶部571と、解析情報取得部572と、判定部574と、通知情報生成部575と、照明制御部573とを有する。設定情報記憶部571は、LED光源55−1〜55−36を点灯させた状態で、乗りかご5内の床面において法令で定められた照度(必要照度)が確保されているか否かを判定するための第1照度閾値情報を記憶する。
【0013】
解析情報取得部572は、撮像装置56から送信されたかご内状況情報および照度情報を取得する。照明制御部573は、照明装置55のLED光源55−1〜55−36の発光状態を制御する。判定部574は、解析情報取得部572で取得された情報と、照明制御部573によるLED光源55−1〜55−36の制御情報と、設定情報記憶部571に記憶された第1照度閾値情報とに基づいて、「乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であり、照明装置55が点灯しているときに、乗りかご5内の照度が第1照度閾値より低い」か否かを判定する。
【0014】
通知情報生成部575は、判定部574で、「乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であり、且つ、照明装置55が点灯しているときに、乗りかご5内の照度が第1照度閾値より低い」と判定されると、LED光源55−1〜55−36を交換すべきことを示す通知情報を生成し、エレベータ制御盤7を介して外部の監視センタ装置9に送信する。
【0015】
〈第1実施形態によるエレベータの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1Aの動作について説明する。本実施形態において、エレベータ1Aの稼動中、撮像装置56の撮像部561により乗りかご5内が上部から床面52方向に撮影され、撮影により生成された撮像情報が画像解析部562に送出される。画像解析部562では、取得された撮像情報がかご内状況情報取得部562aにおいて解析され、乗りかご5内に利用者がいるか否かを示す情報、およびかご扉54が閉状態であるか否かを示す情報が、かご内状況情報として取得される。
【0016】
また、画像解析部562で取得された撮像情報は照度検知部562bにおいても解析されて乗りかご5内の照度が検知され、照度情報が生成される。当該撮像情報は、乗りかご5内を上部から床面52方向に撮影して生成されているため、照度検知部562bでは、照明装置55から発光された光が乗りかご5の側板51や床面52で反射された反射光も含めた乗りかご5内の床面52の照度が検知される。かご内状況情報取得部562aで取得されたかご内状況情報、および照度検知部562bで生成された照度情報はかご制御装置57Aに送信される。この撮影処理および撮像情報の解析処理は、エレベータ1Aの稼動中は、所定時間間隔で繰り返し実行される。
【0017】
撮像装置56からかご内状況情報および照度情報が送信されている状況で、かご制御装置57Aで実行される処理について図4のフローチャートを参照して説明する。撮像装置56から送信されたかご内状況情報および照度情報は、かご制御装置57Aの解析情報取得部572で取得される(S1)。そして、撮像装置56から取得された情報と、設定情報記憶部571に記憶された第1照度閾値情報と、照明制御部573によるLED光源55−1〜55−36の制御情報とに基づいて、「乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であり、且つ、照明装置55が点灯しているときに、乗りかご5内の照度が第1照度閾値より低い」か否かが判定部574において判定される(S2)。
【0018】
ここで、「乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であり、照明装置55が点灯しているときに、乗りかご5内の照度が第1照度閾値より低い」と判定されると(S2の「YES」)、通知情報生成部575において、LED光源55−1〜55−36を交換すべきことを示す通知情報が生成され、エレベータ制御盤7を介して外部の監視センタ装置9に送信される(S3)。監視センタ装置9では、取得された通知情報が出力され、保守員により、当該エレベータ1Aの乗りかご5に設置された照明装置55のLED光源55−1〜55−36を交換すべきことが認識される。
【0019】
以上の第1実施形態によれば、エレベータの乗りかごにおいて、LED光源を用いた照明装置を点灯させた状態で床面が必要照度を満たしているか否かを自動で判定することで、LEDの寿命がきたか否かを乗りかごの形状や老朽度(汚れ度)に関わらず効率よく且つ精度よく、監視することができる。これにより、利用者が不便を感じることなく、サービスを向上させることができるとともに、保守員のメンテナンス作業の負荷を低減させることができる。
【0020】
《第2実施形態》
〈第2実施形態によるエレベータの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータの構成について、図1および図5を参照して説明する。本実施形態によるエレベータ1Bは、かご制御装置57Aに替えてかご制御装置57Bを有する他は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0021】
本実施形態において、かご制御装置57Bは図5に示すように、かご制御装置57Aの構成に加え、設定調整情報指示部576を有する。本実施形態において設定情報記憶部571は、予め設定された、照明装置55が消灯されていると判定するための第2照度閾値情報を記憶する。また、判定部574は、解析情報取得部572で取得された情報と、照明制御部573によるLED光源55−1〜55−36の制御情報と、設定情報記憶部571に記憶された第2照度閾値情報とに基づいて、「乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であり、照明装置55が消灯されているときに、第2照度閾値より高い照度が検知されている」か否かを判定する。設定調整情報指示部576は、判定部574で、「乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であり、且つ、照明装置55が消灯されているときに、乗りかご5内で第2照度閾値より高い照度が検知されている」と判定されると、撮像装置56のコントラスト設定の調整指示情報を生成し、撮像装置56に送信する。
【0022】
〈第2実施形態によるエレベータの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1Bの動作について説明する。エレベータ1Bの稼動中は、第1実施形態と同様に、撮像装置56により乗りかご5内が撮影される。そして、所定時間間隔で、撮影により生成された撮像情報が解析されてかご内状況情報が取得されるとともに照度情報が生成され、かご制御装置57Bに送信される。
【0023】
撮像装置56から所定時間間隔でかご内状況情報および照度情報が送信されている状況で、かご制御装置57Bで実行される処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。撮像装置56から送信されたかご内状況情報および照度情報は、かご制御装置57Bの解析情報取得部572で取得される(S11)。そして、予め設定された照明装置55の点検タイミングが到来すると(S12の「YES」)、判定部574により、撮像装置56から取得された最新の情報に基づいて、乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であるか否かが判定される(S13)。ここで、乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であると判定されると(S13の「YES」)、照明制御部573により照明装置55のLED光源55−1〜55−36が消灯される(S14)。
【0024】
次に、判定部574により、LED光源55−1〜55−36が消灯された後に撮像装置56から取得された最新の情報と、設定情報記憶部571に記憶された第2照度閾値情報とに基づいて、乗りかご5内の照度が第2照度閾値より高いか否かが判定される(S15)。ここで、乗りかご5内の照度が第2照度閾値よりも高いと判定されると(S15の「YES」)、通知情報生成部575において、撮像装置56のコントラスト調整処理に異常があると判定され、撮像装置56のコントラスト設定を調整すべきことを通知する通知情報が生成されて撮像装置56に送信される(S17)。撮像装置56では、取得した通知情報に基づいて、コントラスト設定が自動調整される。
【0025】
また、ステップS15において、乗りかご5内の照度が第2照度閾値より低いと判定されたときには(S15の「NO」)、呼びの発生等により戸開が指示されるまで照明装置55の消灯が継続され(S17の「NO」)、戸開が指示されると(S17の「YES」)、照明制御部573によりLED光源55−1〜55−36が点灯される(S18)。
【0026】
以上の第2実施形態によれば、エレベータの乗りかごにおいて、LEDを用いた照明装置を消灯した状態で、乗りかご内を撮影した撮像情報に基づいて乗りかご内の照度が所定値以上であるか否かを自動で判定することで、該当する撮像装置のコントラスト設定の調整が必要であるか否かを簡易に監視することができる。また、撮像装置のコントラスト設定の調整が必要であると判定されたときには、自動で調整処理が実行されるため、保守員の作業負荷を低減させることができる。
【0027】
上述した第2実施形態を、第1実施形態と組み合わせて実施する場合、第2照度閾値は、第1実施形態で説明した第1照度閾値よりも低い値としてもよいし、第1照度閾値に関わらず別箇に設定してもよい。
【0028】
《第3実施形態》
〈第3実施形態によるエレベータの構成〉
本発明の第3実施形態によるエレベータの構成について、図7および図3を参照して説明する。本実施形態によるエレベータ1Cは、乗りかご5のかご扉54が光透過性部材で構成された第1光透過エリア54aを有し、かご制御装置57Aに替えてかご制御装置57Cを有する他は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態においてかご制御装置57Cの判定部574は、解析情報取得部572で取得された情報と、照明制御部573によるLED光源55−1〜55−36の制御情報と、設定情報記憶部571に記憶された第1照度閾値情報とに基づいて、「乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態である」と判定すると、乗りかご5を階間に移動させる指示をエレベータ制御盤7に送信し、送信した指示に基づいて乗りかご5が移動した後、照明装置55が点灯しているときに、乗りかご5内の照度が第1照度閾値より低いか否かを判定する。
【0029】
〈第3実施形態によるエレベータの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1Cの動作について説明する。エレベータ1Cの稼動中は、第1実施形態と同様に、撮像装置56により乗りかご5内が撮影される。そして、所定時間間隔で、撮影により生成された撮像情報が解析されてかご内状況情報および照度情報が生成され、かご制御装置57Cに送信される。
【0030】
撮像装置56から所定時間間隔でかご内状況情報および照度情報が送信されている状況で、かご制御装置57Cで実行される処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。撮像装置56から送信されたかご内状況情報および照度情報は、かご制御装置57Cの解析情報取得部572で取得される(S21)。そして、予め設定された照明装置55の点検タイミングが到来すると(S22の「YES」)、判定部574により、撮像装置56から取得された最新の情報に基づいて、乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であるか否かが判定される(S23)。ここで、乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であると判定されると(S23の「YES」)、図9に示すように、乗りかご5の現在着床している乗場10−1の乗場照明装置11−1の光がかご扉54の第1光透過エリア54aから乗りかご5内に入らないようにするため、乗りかご5を階間に移動させる指示が生成される。生成された指示はエレベータ制御盤7に送信され(S24)、これに基づいて乗りかご5が乗場10−1と、当該乗場10−1に隣接する階床の乗場10−2との間の階間に移動される。
【0031】
その後、乗りかご5の照明装置55が消灯状態であれば照明制御部573により点灯され(S25)、乗りかご5が階間に移動された後に撮像装置56から取得された最新の情報と、設定情報記憶部571に記憶された第1照度閾値情報とに基づいて、乗りかご5内の照度が第1照度閾値より低いか否かが判定される(S26)。ここで、乗りかご5内の照度が第1照度閾値より低いと判定されると(S26の「YES」)、通知情報生成部575において、LED光源55−1〜55−36を交換すべきことを示す通知情報が生成され、エレベータ制御盤7を介して外部の監視センタ装置9に送信される(S27)。
【0032】
以上の第3実施形態によれば、乗りかごのかご扉が光透過性部材で構成されたエリアを有する場合であっても、LEDの寿命がきたか否かを効率よく且つ精度よく、監視することができる。
【0033】
《第4実施形態》
〈第4実施形態によるエレベータの構成〉
本発明の第4実施形態によるエレベータの構成について、図10図11、および図3を参照して説明する。本実施形態によるエレベータ1Dは、乗りかご5の所定方向の側板51に光透過性部材で構成された第2光透過エリア51aと、乗りかご5の照明装置55内に設置された調光器551とを有し、かご制御装置57Aに替えてかご制御装置57Dを有する他は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。第2光透過エリア51aは建物の外部空間に面しており、当該第2光透過エリア51aを通して乗りかご5内に外光が差し込むように構成されている。調光器551は、かご制御装置57Dの指示に基づいて、LED光源55−1〜55−36の出力強度を調整する。
【0034】
かご制御装置57Dは、第1実施形態で説明したかご制御装置57Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態において設定情報記憶部571は、予め設定された、乗りかご5内の照度の適正範囲Xの情報を記憶する。判定部574は、乗りかご5内の照度が当該適正範囲X内にあるか否かを判定する。照明制御部573は、判定部574で乗りかご5内の照度が適正範囲X内にないと判定されると、適正範囲X内になるようにLED光源55−1〜55−36の出力を調整するための指示を送出する。
【0035】
〈第4実施形態によるエレベータの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1Dの動作について説明する。エレベータ1Dの稼動中は、第1実施形態と同様に、撮像装置56により乗りかご5内が撮影される。そして、所定時間間隔で、撮影により生成された撮像情報が解析されて照度情報が生成され、かご制御装置57Dに送信される。
【0036】
撮像装置56から所定時間間隔で照度情報が送信されている状況で、かご制御装置57Dで実行される処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。撮像装置56から送信された照度情報は、かご制御装置57Dの解析情報取得部572で取得される(S31)。そして、判定部574により、撮像装置から取得された最新の照度情報に基づいて、乗りかご5内の照度が、予め設定された適正範囲Xの上限値を超えているか否かが判定される。
【0037】
ここで、建物外部から第2光透過エリア51aを介して乗りかご5内に光が差し込んでいることにより、判定部574で乗りかご5内の照度が適正範囲Xの上限値を超えていると判定され(S32の「YES」)、超えている時間が所定時間以上維持されると(S33の「YES」)、照明制御部573により、照度が適正範囲X内になるようにLED光源の出力を下げるための指示が調光器551に送出される(S34)。そして、送出された指示に基づいて、調光器551によりLED光源55−1〜55−36の出力が下げられる。
【0038】
また、判定部574により、乗りかご5内の照度が適正範囲Xの下限値を下回っていると判定され(S32の「NO」→S35の「YES」)、下回っている時間が所定時間以上維持されると(S36の「YES」)、照明制御部573により、照度が適正範囲X内になるようにLED光源の出力を上げるための指示が調光器551に送出される(S37)。そして、送出された指示に基づいて、調光器551によりLED光源55−1〜55−36の出力が上げられる。
【0039】
ステップS33において乗りかご5内の照度が適正範囲Xの上限値を超えている時間が所定時間以上維持されていないと判定されたとき(S33の「NO」)、ステップS34においてLED光源の出力を下げるための指示が送出されたとき、ステップS35において乗りかご5内の照度が適正範囲Xの下限値を下回っていない(適正範囲X内である)と判定されたとき(S35の「NO」)、ステップS36において乗りかご5内の照度が適正範囲Xの下限値を下回っている時間が所定時間以上維持されていないと判定されたとき(S36の「NO」)、および、ステップS37においてLED光源の出力を上げるための指示が送出されたときには、ステップS31に戻って処理が繰り返される。
【0040】
以上の第4実施形態によれば、乗りかご5内の必要照度を確保しつつ、外光が取り入れられるときにはLED光源の不要な出力を削減することで、LED光源の寿命を長期化させることができる。
【0041】
《第5実施形態》
〈第5実施形態によるエレベータの構成〉
本発明の第5実施形態によるエレベータの構成について、図3を参照して説明する。本実施形態によるエレベータ1Eは、かご制御装置57Aに替えてかご制御装置57Eを有する他は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態において撮像装置56の画像解析部562の照度検知部562bは、撮像部561で生成された撮像情報を解析して、乗りかご5の床面52を分割した複数の床部分エリアごとの照度を検知し、各床部分エリアの照度情報を生成してかご制御装置57Eに送信する。
【0042】
本実施形態においてかご制御装置57Eの判定部574は、解析情報取得部572で取得された情報と、照明制御部573によるLED光源55−1〜55−36の制御情報とに基づいて、「乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であり、照明装置55が点灯しているときに、各床部分エリアの平均照度に対する、最小照度を有する床部分エリアの照度の比率が、予め設定された閾値以下である」か否かを判定する。通知情報生成部575は、判定部574で、「乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であり、照明装置55が点灯しているときに、各床部分エリアの平均照度に対する、最小照度を有する床部分エリアの照度の比率が、予め設定された閾値以下である」と判定されると、LED光源55−1〜55−36を交換すべきことを示す通知情報を生成し、エレベータ制御盤7を介して外部の監視センタ装置9に送信する。
【0043】
〈第5実施形態によるエレベータの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1Eの動作について説明する。本実施形態において、エレベータ1Eの稼動中は撮像装置56により乗りかご5内が撮影される。そして、所定時間間隔で、撮影により生成された撮像情報が解析されてかご内状況情報が取得されるとともに照度情報が生成され、かご制御装置57Eに送信される。ここで、照度検知部562bにより照度情報が生成される際は、図13および図14に示すように乗りかご5の床面52が格子状に分割された9個の床部分エリア52−1〜52−9ごとに照度が検知され、各床部分エリア52−1〜52−9の照度情報が生成される。
【0044】
撮像装置56から所定時間間隔でかご内状況情報および各床部分エリア52−1〜52−9の照度情報が送信されている状況で、かご制御装置57Eで実行される処理について、図15のフローチャートを参照して説明する。撮像装置56から送信されたかご内状況情報および各床部分エリア52−1〜52−9の照度情報は、かご制御装置57Eの解析情報取得部572で取得される(S41)。そして、解析情報取得部572で取得された情報と、照明制御部573によるLED光源55−1〜55−36の制御情報とに基づいて、「乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であり、照明装置55が点灯しているときに、各床部分エリア52−1〜52−9の平均照度に対する、最小照度を有する床部分エリアの照度の比率が、予め設定された閾値以下である」か否かが、判定部574において判定される(S42)。
【0045】
ここで、「乗りかご5内に利用者がいなく、かご扉54が閉状態であり、照明装置55が点灯しているときに、各床部分エリア52−1〜52−9の平均照度に対する、最小照度を有する床部分エリアの照度の比率が、予め設定された閾値以下である」と判定されると(S42の「YES」)、通知情報生成部575において、LED光源55−1〜55−36を交換すべきことを示す通知情報が生成され、エレベータ制御盤7を介して外部の監視センタ装置9に送信される(S43)。
【0046】
以上の第5実施形態によれば、エレベータの乗りかごにおいて、LED光源を用いた照明装置を点灯させた状態で床面の照度がエリアごとに大きく異なる場合に、寿命がきたLEDがあることを自動で検出することができ、保守員のメンテナンス作業の負荷を低減させることができる。
【0047】
上述した第1〜第5実施形態においては、乗りかご内に利用者がいるか否かを示す情報を、乗りかご内を撮影した撮像情報を解析することで取得する場合について説明したが、これには限定されず、乗りかごに設置された荷重検知装置や人感センサ等で取得するようにしてもよい。また、かご扉が閉状態であるか否かを示す情報を、乗りかご内を撮影した撮像情報を解析することで取得する場合について説明したが、これには限定されず、かご扉の動作を制御するドア開閉装置から取得するようにしてもよい。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1A,1B,1C,1D,1E…エレベータ、2…昇降路、3…巻上げ機、4…メインロープ、5…乗りかご、6…釣り合いおもり、7…エレベータ制御盤、8…テールコード、9…監視センタ装置、10−1,10−2…乗場、11−1…乗場照明装置、51…側板、51a…第2光透過エリア、52…床面、52−1〜52−9…床部分エリア、53…天井面、54…かご扉、54a…第1光透過エリア、55…照明装置、55−1〜55−36…LED光源、56…撮像装置、57A,57B,57C,57D,57E…かご制御装置、551…調光器、561…撮像部、562…画像解析部、562a…かご内状況情報取得部、562b…照度検知部、571…設定情報記憶部、572…解析情報取得部、573…照明制御部、574…判定部、575…通知情報生成部、576…設定調整情報指示部
【要約】
【課題】LED光源を用いた照明装置が設置された乗りかご内の照度を適切に保つことが可能なエレベータを提供する。
【解決手段】実施形態によればエレベータは、LED光源を用いた照明装置が設置された乗りかごと、乗りかご内を上部から床面方向に撮影する撮像装置と、撮影された撮像情報を解析して乗りかご内の照度を検知する照度検知手段と、乗りかご内に利用者がいるか否かを示す情報および乗りかごのかご扉が閉状態であるか否かを示す情報を、かご内状況情報として取得するかご内状況情報取得手段と、制御装置とを備える。制御装置は、乗りかご内の照度情報とかご内状況情報とに基づいて、乗りかご内に利用者がいなく、乗りかごの扉が閉状態であり、且つ、照明装置が点灯しているときに検知された乗りかご内の照度が、予め設定された第1照度閾値より低いと判定すると、LED光源を交換すべきことを示す通知情報を出力する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15