特許第6640343号(P6640343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6640343
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】ガスケットの取り扱い方法
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/02 20060101AFI20200127BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20200127BHJP
   H01M 8/0271 20160101ALI20200127BHJP
   F16J 15/00 20060101ALI20200127BHJP
   H01M 8/0286 20160101ALI20200127BHJP
【FI】
   B23P19/02 C
   F16J15/10 N
   H01M8/0271
   F16J15/00 C
   H01M8/0286
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-519117(P2018-519117)
(86)(22)【出願日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】JP2017013174
(87)【国際公開番号】WO2017203832
(87)【国際公開日】20171130
【審査請求日】2018年11月6日
(31)【優先権主張番号】特願2016-103490(P2016-103490)
(32)【優先日】2016年5月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【弁理士】
【氏名又は名称】桐山 大
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】由井 元
(72)【発明者】
【氏名】大場 健一
(72)【発明者】
【氏名】西村 拓朗
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−159552(JP,A)
【文献】 特開平06−050431(JP,A)
【文献】 特開2005−024084(JP,A)
【文献】 特開2006−164881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00−15/14
H01M 8/00− 8/0297
H01M 8/08− 8/2495
B23P 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム状弾性体であるガスケット本体と、このガスケット本体に粘着され前記ガスケット本体を凹形状のガスケット保持体に収納して保持するキャリアフィルムと組合せガスケットの取り扱い方法であって、
前記キャリアフィルムを固定する固定冶具の固定面に対して、前記ガスケット本体を収納している前記ガスケット保持体を前記固定面に設けられた逃げ溝内に配置して前記キャリアフィルムを固定し、
記ガスケット本体と同一の形状吸着溝が設けられた吸着面を有する吸引冶具と前記固定冶具とを接近させて前記ガスケット本体に前記吸着溝を密接させ、
記吸着溝に設けられた複数の吸引路に吸引力を発生させて前記ガスケット本体の厚み方向一方の面を前記吸着溝に吸着させ
前記固定冶具と前記吸引冶具とを離隔して前記ガスケット本体を前記キャリアフィルムから分離する、
ことを特徴とするガスケットの取り扱い方法。
【請求項2】
請求項1に記載のガスケットの取り扱い方法であって、
前記ガスケット本体の厚み方向一方の面には、シールリップが形成されており、
前記吸着溝は、前記シールリップの断面形状と対応する形状をなすことを特徴とするガスケットの取り扱い方法。
【請求項3】
請求項1に記載のガスケットの取り扱い方法であって、
前記ガスケット本体の厚み方向一方の面には、シールリップが形成されており、
前記吸着溝は、前記シールリップを収容し、その周縁部にてガスケット本体と密接することを特徴とするガスケットの取り扱い方法。
【請求項4】
請求項1に記載のガスケットの取り扱い方法であって、
前記吸引治具には、通気性を有する弾性変形可能な多孔質材が前記吸引路を閉塞するように前記吸着溝の全周にわたって装着されており、
前記吸引治具に形成された吸引路からの吸引力によって前記ガスケット本体の厚み方向一方の面を多孔質材に吸着させることを特徴とするガスケットの取り扱い方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール技術に係るガスケットに関し、さらに詳しくは、ゴム状弾性体からなるガスケット本体及びこのガスケット本体を保持するキャリアフィルムの組合せよりなるキャリアフィルム付きガスケットの取り扱い方法に関する。本発明に係るガスケットは、例えば、燃料電池用ガスケットとして用いられ、又は、その他用途の一般的なガスケットとして用いられる。
【背景技術】
【0002】
燃料電池用のガスケットには、ゴム状弾性体からなるラバーオンリーガスケット、ゴム状弾性体からなるガスケットをセパレータに一体成形したセパレータ一体ガスケット、ゴム状弾性体からなるガスケットをGDL(ガス拡散層)に一体成形したGDL一体ガスケット等といった様々な構成のガスケットがある。
【0003】
これらのガスケットは、それぞれ特徴を備えるものであるが、近年、低コスト化の要求が強いことから、この要求を満足できるラバーオンリーガスケットが注目されている。そして、このラバーオンリーガスケットとして、例えば図13に示すものが知られている。
【0004】
図13(a)に示すラバーオンリーガスケット(以下、単にガスケットとも言う。)510は、全体として平面状(平板状)をなし、燃料電池の反応面の周りを全周にわたってシールするための外周シール部521が平面長方形状の枠状に設けられており、各マニホールドの周りをシールするために外周シール部の長手方向両端には、それぞれマニホールド用シール部522が一体に設けられている。そして、ガスケットの断面形状は、図13(b)に示すように断面円形状をなすものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014ー60133(図1等におけるガスケット3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のラバーオンリーガスケット510は、以下の点について更なる改善の余地がある。
【0007】
すなわち、このガスケット510は、一般的に断面形状(線径)が1mmないし数mm程度と小さく設定されているため、運搬時やスタッキング時にガスケットに捩れが生じやすく、その取り扱い作業性(ハンドリング性)がよくない。
【0008】
そのため、図14(a),(b)に示すようにゴム状弾性体からなるガスケット本体520と、このガスケット本体520に粘着されることで前記ガスケット本体520を保持するキャリアフィルム530との組合せよりなるキャリアフィルム付きガスケット(以下、単にガスケットともいう。)510を提案している。このキャリアフィルム付きガスケット510は、ゴム状弾性体からなるガスケット本体520がこれよりも強度の高いキャリアフィルム530によって保持されるため、捩れが生じにくく、取り扱い作業性を向上させることができる。
【0009】
このキャリアフィルム付きガスケット510は、以下のような方法により製造されるものである。すなわち、所定の大きさの平面形状に裁断した平面状のキャリアフィルム530を用意し、このキャリアフィルム530を不図示の金型に挟み込んだ状態で型締めする。金型は上型および下型の組み合わせよりなり、両型には、それぞれ不図示のキャビティが一部ずつ対応して設けられている。次いで、キャビティへガスケット本体520を成形するための成形材料を充填し加熱する等して、ガスケット本体520を成形する。キャビティへ成形材料を充填したとき、キャリアフィルム530はその平面上一部が成形材料充填圧力によって下型のキャビティの内面に押し付けられ、キャビティの内面に沿った形に変形(塑性変形)し、ガスケット保持部531が成形される。そして、ガスケット本体の成形後、型開きする。これにより、ガスケット本体520は、キャリアフィルム530によって粘着された状態とされ、この粘着された状態で製品の搬送や保管などを行う。そして、このガスケット510を燃料電池のセパレータ等に装着する際には、キャリアフィルム530からガスケット本体520を分離し、このガスケット本体520をセパレータ等に装着する。
【0010】
ところで、上記キャリアフィルム530からガスケット本体520を分離するに際しては、ガスケット本体520を不図示のパッドや吸引治具で吸着する手法が考えられる。
【0011】
しかし、上記パッドや吸引治具は、ワークを吸着する際に一定の吸着面積を確保する必要があるため、断面形状(線径)が1mmないし数mm程度と小さく設定されているガスケット本体520では、吸引漏れが生じ、ワークの吸引・分離が困難な場合がある。
【0012】
ャリアフィルムからガスケット本体を分離することができるガスケットの取り扱い方法を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ム状弾性体であるガスケット本体と、このガスケット本体に粘着され前記ガスケット本体を凹形状のガスケット保持体に収納して保持するキャリアフィルムと組合せガスケットの取り扱い方法であって、前記キャリアフィルムを固定する固定冶具の固定面に対して、前記ガスケット本体を収納している前記ガスケット保持体を前記固定面に設けられた逃げ溝内に配置して前記キャリアフィルムを固定し、前記ガスケット本体と同一の形状吸着溝が設けられた吸着面を有する吸引冶具と前記固定冶具とを接近させて前記ガスケット本体に前記吸着溝を密接させ、前記吸着溝に設けられた複数の吸引路に吸引力を発生させて前記ガスケット本体の厚み方向一方の面を前記吸着溝に吸着させ、前記固定冶具と前記吸引冶具とを離隔して前記ガスケット本体を前記キャリアフィルムから分離する。
【発明の効果】
【0017】
引治具における吸着溝にガスケット本体を吸着することができるため、キャリアフィルムからガスケット本体を分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1一ないし第三実施形態に係るガスケットを示す図であって、(a)はその平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
図2一ないし第三実施形態に係る吸引治具の平面図である。
図3】(a)は図2におけるB−B断面図であり、(b)は図2におけるC−C断面図である。
図4一実施形態に係るガスケット本体を吸着する前の状態を示す要部断面図である。
図5一実施形態に係るガスケット本体を吸着中の状態を示す要部断面図である。
図6一実施形態に係るキャリアフィルムからガスケット本体を分離した状態を示す要部断面図である。
図7二実施形態に係るガスケット本体を吸着する前の状態を示す要部断面図である。
図8二実施形態に係るガスケット本体を吸着中の状態を示す要部断面図である。
図9二実施形態に係るキャリアフィルムからガスケット本体を分離した状態を示す要部断面図である。
図10三実施形態に係るガスケット本体を吸着する前の状態を示す要部断面図である。
図11三実施形態に係るガスケット本体を吸着中の状態を示す要部断面図である。
図12三実施形態に係るキャリアフィルムからガスケット本体を分離した状態を示す要部断面図である。
図13】従来技術に係るガスケットを示す図であって、(a)はその平面図、(b)は(a)のD−D断面図である。
図14】参考例に係るガスケットを示す図であって、(a)はその平面図、(b)は、(a)のE−E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一実施形態に係るガスケット10について図面に基き詳細に説明する。図1、第一ないし第三実施形態に係るガスケット10を示す図であって、(a)はその平面図、(b)は(a)のA−A断面図であり、図2、第一ないし第三実施形態に係る吸引治具40の平面図であり、図3(a)は図2におけるB−B断面図であり、図3(b)は図2におけるC−C断面図である。
【0020】
図1に示すように本実施形態に係るガスケット10は、所要のゴム状弾性体(例えば、VMQ、PIB、EPDM、FKMなど)からなり、プレートの一種である燃料電池用のセパレータの平面上に組みつけられるガスケット本体20と、このガスケット本体20に剥離可能に粘着された樹脂フィルムからなるキャリアフィルム30との組合せよりなる。
【0021】
ガスケット本体20は、図1(a)に示すように、全体として平面状(平板状)に成形され、燃料電池の反応面の周りを全周にわたってシールする外周シール部21が平面長方形の枠状に設けられており、また、燃料電池の反応面と各マニホールド部を仕切るため、外周シール部21の長手方向両端部にそれぞれマニホールド用シール部22が一体に設けられている。そして、ガスケット本体20は図1(b)に示すように、断面長方形をなすシール基部23が形成されていると共に、このシール基部23の厚み方向一方の面25a中央及び厚み方向他方の面25b中央には、それぞれ、断面略円弧形、又は凸状のシールリップ24が形成されている。
【0022】
キャリアフィルム30は、ガスケット本体20全体よりも一回りほど大きな平面長方形をなす樹脂フィルムよりなる。このキャリアフィルム30の平面上一部には、ガスケット本体20に粘着されることでガスケット本体20を保持するガスケット保持部31が設けられているとともに、ガスケット本体20に粘着されていないキャリアフィルム片32が設けられている。樹脂フィルムとしては、例えば、厚さ0.2mmのポリプロピレンフィルムを使用し、これを所定の平面形状に裁断して使用する。樹脂フィルムとしてはポリプロピレンの他に、ポリエチレン、ポリスチレンなど一般樹脂材が使用可能である。フィルムの厚さについては、ガスケット本体20の線径や断面形状にもよるが、0.1mm〜0.3mm程度とするのが好ましい。
【0023】
次に、本実施形態に係るガスケット10の製造方法について説明する。製造に際しては、ゴム状弾性体からなるガスケット本体20を射出成形する金型(ゴム成形型)を用いる。
【0024】
まず、所定の大きさの平面形状に裁断した平面状のキャリアフィルム30を用意し、このキャリアフィルム30を不図示の金型に挟み込んだ状態で型締めする。金型は上型および下型の組み合わせよりなり、両型には、それぞれ不図示のキャビティが一部ずつ対応して設けられている。次いで、キャビティへガスケット本体20を成形するための成形材料を充填し加熱する等して、ガスケット本体20を成形する。キャビティへ成形材料を充填したとき、キャリアフィルム30はその平面上一部が成形材料充填圧力によって下型のキャビティの内面に押し付けられ、キャビティの内面に沿った形に変形(塑性変形)し、ガスケット保持部31が成形される。そして、ガスケット本体20の成形後、型開きし、ガスケット本体20およびキャリアフィルム30を同時に金型から取り出す。
【0025】
これにより、ガスケット10は、ガスケット本体20がキャリアフィルム30に粘着された状態とされ、この粘着された状態で製品の搬送や保管などを行う。
【0026】
次に、本実施形態に係るガスケット10の取り扱い方法について説明する。本実施形態に係るガスケット10は、図3、及び図4に示すように、キャリアフィルム片32を固定する固定治具50と、ガスケット本体20を吸着することで、ガスケット本体20をキャリアフィルム30から分離する吸引治具40とによって分離される。
【0027】
固定治具50には、キャリアフィルム30を固定する固定面51が設けられており、また、この固定面51に凹設され、キャリアフィルム片32を固定したときにガスケット本体20のシールリップ24を逃がすための逃げ溝52が形成されていてもよい。
【0028】
吸引治具40は、金属又は樹脂からなり、不図示の真空発生装置等に取り付けられるものであって、不図示の吸気管等が接続され、後述する吸引路45と連通する吸引孔41aが形成された台座41と、この台座41の下面に装着される吸着プレート42からなる。
【0029】
吸着プレート42の下端には、吸着面43が形成されており、吸着面43には、図3(a)、(b)、及び図4に示すように、断面形状がシールリップ24の断面形状と同等の形状をなし、かつ、図3に示すように、平面形状がガスケット本体20と同一の形状をなす吸着溝44が吸着面43の全体にわたって形成される。また、図3に示すように、吸着溝44には、その全周にわたって所要の間隔をもって複数形成される吸引路45が形成されている。そして、真空発生装置等を作動させることによって、吸引路45に吸引力が発生し、この吸引力によって、ガスケット本体20における厚み方向一方の面25a側のシールリップ24を吸着する。
【0030】
次に、ガスケット本体20をキャリアフィルム30から分離する手順を説明する。図4、第一実施形態に係るガスケット本体20を吸着する前の状態を示す要部断面図であり、図5、第一実施形態に係るガスケット本体20を吸着中の状態を示す要部断面図であり、図6、第一実施形態に係るキャリアフィルム30からガスケット本体20を分離した状態を示す要部断面図である。
【0031】
まず、図4に示すように、キャリアフィルム片32の一部を固定治具50の固定面51に固定し、ガスケット本体20及びガスケット保持部31を固定治具50の逃げ溝52の中央に配置する。次に、図5に示すように、固定治具50と吸引治具40とを接近させ、ガスケット本体20におけるシールリップ24を吸着溝44に密接させる。このとき、吸着溝44の形状とシールリップ24の形状が同等の形状をなすため、シールリップ24は、吸着溝44に丁度嵌め込まれ、吸引路45を閉塞することになる。そして、吸引路45は、矢印方向Pに向けて吸引力を発揮することで、吸引路45内部の圧力がガスケット本体20の外側に対して負圧となり、シールリップ24が吸着溝44に吸着される。その後、図6に示すように、固定治具50と吸引治具40とを離隔させることにより、ガスケット本体20は、キャリアフィルム30におけるガスケット保持部31から分離されることとなる。
【0032】
以上により、本実施形態に係るガスケット10の取り扱い方法によれば、断面形状がシールリップ24の断面形状と同等の形状をなし、かつ、平面形状がガスケット本体20と同一の形状をなす吸着溝44にガスケット本体20のシールリップ24が密接し、吸着されるため、断面形状(線径)が小さく設定されているガスケット本体20であっても、キャリアフィルム30から分離することができる。
【0033】
次に、第二実施形態に係るガスケット10の取り扱い方法について説明する。図7、第二実施形態に係るガスケット本体20を吸着する前の状態を示す要部断面図であり、図8、第二実施形態に係るガスケット本体20を吸着中の状態を示す要部断面図であり、図9、第二実施形態に係るキャリアフィルム30からガスケット本体20を分離した状態を示す要部断面図である。
【0034】
本実施形態に係るガスケット10の取り扱い方法は、第一実施形態と比較して、吸引治具40の構成が相違する。
【0035】
本実施形態に係る吸引治具40に形成された吸着溝は、吸着面43に凹設される収容部46aであり、本実施形態では、収容部46aの幅がガスケット本体20におけるシールリップ24の幅よりも大きく、かつ、シール基部23の幅よりも小さく設定されている。
【0036】
次に、ガスケット本体20をキャリアフィルム30から分離する手順を説明する。
【0037】
まず、図7に示すように、キャリアフィルム片32の一部を固定治具50の固定面51に固定し、ガスケット本体20及びガスケット保持部31を固定治具50の逃げ溝52の中央に配置する。次に、図8に示すように、固定治具50と吸引治具40とを接近させ、ガスケット本体20における厚み方向一方の面25aを収容部46aに密接させる。このとき、収容部46aは、シールリップ24を収容し、かつ、収容部46aの周縁部46bにて厚み方向一方の面25a側のシール基部23と密接するため、ガスケット本体20は、吸引路45を閉塞することになる。そして、吸引路45は、矢印方向Pに向けて吸引力を発揮することで、吸引路45内部の圧力がガスケット本体20の外側に対して負圧となり、シール基部23が収容部46aの周縁部46bに吸着される。その後、図9に示すように、固定治具50と吸引治具40とを離隔させることにより、ガスケット本体20は、キャリアフィルム30におけるガスケット保持部31から分離されることとなる。
【0038】
以上により、本実施形態に係るガスケット10の取り扱い方法によれば、凹状をなす収容部46aにシールリップ24を収容し、収容部46aの周縁部46bにてシール基部23が密接し、吸着されるため、断面形状(線径)が小さく設定されているガスケット本体20であっても、キャリアフィルム30から分離することができる。
【0039】
次に、第三実施形態に係るガスケット10の取り扱い方法について説明する。図10、第三実施形態に係るガスケット本体20を吸着する前の状態を示す要部断面図であり、図11、第三実施形態に係るガスケット本体20を吸着中の状態を示す要部断面図であり、図12、第三実施形態に係るキャリアフィルム30からガスケット本体20を分離した状態を示す要部断面図である。
【0040】
本実施形態に係るガスケット10の取り扱い方法は、第一、第二実施形態と比較して、吸引治具40の構成が相違する。
【0041】
本実施形態に係る吸引治具40に形成された吸着溝は、吸着面43に凹設される装着溝46cであり、本実施形態では、装着溝46cの幅がガスケット本体20の幅よりもわずかに小さく設定されている。また、この装着溝46cには、例えば、ウレタンスポンジ等といったガスケット本体20よりも硬度の低い通気性の素材からなる多孔質材47が配置されており、この多孔質材47は、装着溝46cに圧入、接着、又は粘着により固定されている。
【0042】
次に、ガスケット本体20をキャリアフィルム30から分離する手順を説明する。
【0043】
まず、図10に示すように、キャリアフィルム片32の一部を固定治具50の固定面51に固定し、ガスケット本体20及びガスケット保持部31を固定治具50の逃げ溝52の中央に配置する。次に、図11に示すように、固定治具50と吸引治具40とを接近させ、ガスケット本体20における厚み方向一方の面25aを多孔質材47に密接させる。このとき、ガスケット本体20よりも硬度の低い多孔質材47は、ガスケット本体20に押圧されることで、シールリップ24の形状と同じ形状に変形する。そして、吸引路45は、矢印方向Pに向けて吸引力を発揮することで、シールリップ24が多孔質材47に吸着される。その後、図12に示すように、固定治具50と吸引治具40とを離隔させることにより、ガスケット本体20は、キャリアフィルム30におけるガスケット保持部31から分離されることとなる。
【0044】
以上により、本実施形態のガスケット10の取り扱い方法によれば、多孔質材47がシールリップ24と密接することによって、シールリップ24と同じ形状に変形した上で多孔質材47と吸着する。そのため、断面形状(線径)が小さく設定されているガスケット本体20であっても、キャリアフィルム30から分離することができる。
【0045】
また、本実施形態に係るガスケット10の取り扱い方法によれば、上述の通り多孔質材47は、シールリップ24の形状と同じ形状に変形することができる。したがって、ガスケット10と吸引治具40との間に多少の位置ずれが生じたとしても、多孔質材47がガスケット本体20を吸着することができるため、ガスケット本体20の幅寸法の設定に関係なくガスケット本体20をキャリアフィルム30から分離することができる。特に、本実施形態に係るガスケット10は、キャリアフィルム30の変形や吸引治具40を固定治具50にセットさせた際の幅方向のずれによって、ガスケット10と吸引治具40との位置ずれが生じることがあるため有効である。
【0046】
また、第一、第二、第三実施形態に係るガスケット本体20は、金属製又は樹脂製の吸引治具40に形成された吸着溝44(収容部46aの周縁部46b又は多孔質材47)に密接し、吸引されることで、キャリアフィルム30から分離される。このうち、第一、第二実施形態に係るガスケット本体20は、金属製の吸引治具40に直接密着し、吸引されるため、吸引治具40の吸着後に吸着溝44(収容部46aの周縁部46b)に貼りつく可能性がある。しかし、第三実施形態に係るガスケット10の取り扱い方法によれば、ガスケット本体20とキャリアフィルム30とを分離するときにガスケット本体20が密接するのは、多孔質材47であるため、ガスケット本体20と、吸引治具40が貼りつくことを防止することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 ガスケット
20 ガスケット本体
21 外周シール部
22 マニホールド用シール部
23 シール基部
24 シールリップ
25a 厚み方向一方の面
25b 厚み方向他方の面
30 キャリアフィルム
31 ガスケット保持部
32 キャリアフィルム片
40 吸引治具
41 台座
41a 吸引孔
42 吸着プレート
43 吸着面
44 吸着溝
45 吸引路
46a 収容部
46b 周縁部
46c 装着溝
47 多孔質材
50 固定治具
51 固定面
52 逃げ溝
P 吸引力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14