特許第6640352号(P6640352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6640352
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】飛体のための機体
(51)【国際特許分類】
   B64C 1/00 20060101AFI20200127BHJP
【FI】
   B64C1/00 A
   B64C1/00 B
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-524326(P2018-524326)
(86)(22)【出願日】2016年11月8日
(65)【公表番号】特表2018-533522(P2018-533522A)
(43)【公表日】2018年11月15日
(86)【国際出願番号】GB2016053486
(87)【国際公開番号】WO2017081450
(87)【国際公開日】20170518
【審査請求日】2018年7月4日
(31)【優先権主張番号】1520030.6
(32)【優先日】2015年11月13日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】15196707.2
(32)【優先日】2015年11月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390038014
【氏名又は名称】ビ−エイイ− システムズ パブリック リミテッド カンパニ−
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】プライス、ハワード・ジェームス
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0082708(US,A1)
【文献】 実開平04−136968(JP,U)
【文献】 実開平05−094100(JP,U)
【文献】 米国特許第03934845(US,A)
【文献】 特表2012−507428(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0217470(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101811575(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛体のための機体であって、
前記飛体の胴体を規定する支持層と外皮層とを備え、
前記支持層には、前記支持層から外向きに延びる複数の支柱が設けられ、
前記外皮層は、前記複数の支柱によって支持されるとともに、前記複数の支柱によって前記支持層に磁気的に結合される、機体。
【請求項2】
前記磁気的に結合されることは、前記外皮層に内蔵された、または、その他の方法によって前記外皮層により組み込まれた磁気的感受性のある材料に少なくとも部分的によって与えられる、請求項1に記載の機体。
【請求項3】
前記磁気的感受性のある材料は、前記外皮層に内蔵される、または、前記外皮層の中または上にその他の方法で与えられるシート状の強磁性材料の挿入物の配列を備える、請求項2に記載の機体。
【請求項4】
前記強磁性材料は、前記外皮層の中または上に組み込まれた磁気的感受性の粒子を備える、請求項3に記載の機体。
【請求項5】
前記強磁性材料は、分散された微粒子配列を備える、請求項4に記載の機体。
【請求項6】
前記磁気的感受性のある材料は、永久磁石材料である、請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の機体。
【請求項7】
1つまたは複数の磁性コンポーネントが、前記支持層の中または上に設けられる、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の機体。
【請求項8】
前記1つまたは複数の磁性コンポーネントは、電磁石を備える、請求項7に記載の機体。
【請求項9】
前記電磁石は、超電導巻線を備える、請求項8に記載の機体。
【請求項10】
更に、前記外皮層を前記支持層に結合するように、前記外皮層の中または上の前記磁性コンポーネントに対して引力を発生するために、前記1つまたは複数の電磁石に電力を供給するための手段を備える、請求項8または請求項9に記載の機体。
【請求項11】
更に、前記支持層から前記外皮層を取り外すように、前記1つまたは複数の電磁石に供給される前記電力を選択的に停止または逆転するための手段を備える、請求項10に記載の機体。
【請求項12】
前記複数の支柱は、前記複数の支柱の中または上に配置された電磁石が設けられ、
前記外皮層は、磁気的感受性のある材料を備え、
前記外皮層は、前記電磁石と磁気的感受性のある材料によって前記支持層に磁気的に結合される、請求項に記載の機体。
【請求項13】
前記複数の支柱は、剛体の延伸する円筒状または管状の部材を備え、
前記電磁石が、前記複数の支柱の中に含まれる、請求項10または11に記載の機体。
【請求項14】
請求項1ないし請求項1のいずれか一項に記載の機体を含む飛体。
【請求項15】
飛体のための機体を製造する方法であって、
前記飛体の胴体を規定する支持層であって、前記支持層から外向きに延びる複数の支柱が設けられ、磁気的手段が前記複数の支柱の中に含まれる前記支持層を提供すること、
磁気的手段を含む外皮層を提供すること、および、
前記外皮層を前記支持層の面の上に磁気的に結合すること、
のステップを備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的に、飛体のための機体、および、それを製造する方法に関し、特にではあるが必ずしも排他的にではなく、高速の航空機および航空宇宙用途における使用に好適な、機体、および、それを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機や航空宇宙機器の設計の分野では、多くの継続中の研究および開発が、機体が飛行の間に発生される空気力を適切に支持し得ることを確実にするような機体の設計に進んでいる。
【0003】
従来、モノコックアプローチがこの目的のために採用されており、それによって、シャシーが本体と一体であり、空気力または負荷は、飛体の外板(外皮:skin)を通して支持される。
【0004】
他の既知のアプローチは、セミモノコックと呼ばれ、モノコックであるが、複合フレーム構造の一部を形成するコンポーネントを有する構造を提供する。
【0005】
例えば、ツェッペリン(Zeppelin)飛行船において使用される、第3の設計アプローチは、外側の殻と本体との間のフレーム構造の形態で支持層を利用し、フレーム構造は、主たる負荷支持構造を形成する。この場合、支持層は、(支持層の一方の側で)フレーム支持部材または支柱(strut)の各々の一端を外側の殻の内側の面にボルト留めし、または、その他の方法で固着し(例えば、接着によって)、(支持層の他方の側で)支柱の反対側の端部を本体の外側の面(または、その上に設けられた層)にボルト留めする、または、その他の方法で固着することによって、外側の殻と本体との間に搭載される。
【0006】
航空機の外側の殻は、一般的に、その外皮(skin)と呼ばれ、航空宇宙機器においては、通常、エアロシェル(aeroshell)として知られる。双方の場合において、外側の殻は、飛行中に発生される空気力から内側の飛体構造を保護するように設計され、航空宇宙用途では、エアロシェルは、加えて、大気圏への再突入または非常に高速の大気圏飛行に関連する強烈な熱から内側の構造を保護するための熱バリアとして働くことを必要とされる。航空機設計における使用のための上記されたフレーム構造は、飛体の全重量の潜在的な削減を含む、かなりの利点を有し得るが、外側の殻と、殻をフレーム構造に取付ける手段との両方の限られた寿命に少なくとも部分的に起因して、飛体の運用寿命が、そのような設計の中で、悪影響を及ぼされ得る。加えて、取付け手段の特性や複雑性に因り、外側の殻の機体からの大規模な分解は、困難となるか、事実上不可能にさえなり得る。
【0007】
従って、外側の殻と飛体本体との間で支持構造の使用を可能にし、一方で、更に、保守、修理、または、交換のために外側の殻を機体から大規模に分解することを容易にする機体設計を提供し、それによって、飛体の運用寿命を追加的に増やすことができる、比較的に軽量で、効率の良い機体設計を潜在的に可能にすることが望まれる。
【発明の概要】
【0008】
これらの課題の少なくともいくつかに対処することが本発明の態様の目的であり、本発明の第1の態様に従って、飛体のための機体が提供され、機体は、飛体の胴体を規定する支持層と外皮層とを備え、外皮層は、支持層に磁気的に結合される。
【0009】
例示の実施形態では、支持層はフレーム構造を備え、フレーム構造は、内側フレームと、外側フレームと、内側フレームと外側フレームとの間に伸びる複数の支柱(strut)とを規定する、複数の相互に連結されたフレーム部材を備える。支持層は、複数のトラス構成を含むトラス構造を備え得、各トラス構成は、頂部(apex)を形成するために一端において共に結合され、内側フレームと外側フレームとの間に伸びる1対の支柱を備える。各トラス構成は、頂部が外皮層の内側の面に向かって向けられるように配置され、構成され得る。
【0010】
発明の第1の例示の実施形態において、外皮層は、強磁性材料または永久磁石材料の形態で、磁気的感受性のある材料で形成される、そのような材料を組み込む、または、そのような材料を内蔵する。外皮層を十分に強磁性にし、外皮層を放射線吸収性にするという(潜在的な)追加の利点を有するように、例えば、十分な比率の磁気的感受性のある粒子(例えば、鉄、または、マルテンサイト(martensitic)、または、デルタフェライト(delta-ferrite)タイプのステンレススティール、または、コバルト、または、任意の他の認識される強磁性材料)が、(例えば、分散された微粒子配列の形態で)外皮層に組み込まれ/内蔵され得る。外皮層が、上述の物などの磁気的感受性のある材料で形成されることも可能である。代替の例示的な実施形態において、磁性材料の1つまたは複数の部品が、外皮層の中または上に与えられてもよい。選択肢として、強磁性材料の1つまたは複数の部分が、強磁性材料または永久磁石材料の形態で、外皮層の中または上に与えられてもよい。1つの例示的な実施形態において、強磁性のシート状材料の挿入物の配列が、外皮層の中または上に、内蔵される、または、その他で提供されることであってもよい。外皮層は、レーダー波吸収性材料を組み込むか、または、レーダー波吸収性材料でコーティングされてもよい。
【0011】
本発明の例示の実施形態において、1つまたは複数の磁気コンポーネントが、支持層の中または上に与えられ得る。該1つまたは複数の磁気コンポーネントは、電磁石を備え得る。電磁石は、超電導巻線を備えてもよい。選択肢として、機体は、更に、外皮層を支持層に結合するように、外皮層の中または上に磁性材料に対して引力を生成するために、1つまたは複数の電磁石に電力を供給するための手段を備え得る。実際、機体は、更に、支持層から外皮層を取り外すように、1つまたは複数の電磁石に供給される電力を選択的に逆転する手段を備え得る。機体は、更に、それによって発生される磁力を変えるように、1つまたは複数の電磁石に供給される電力を選択的に変えるための手段を備える。
【0012】
例示の実施形態において、支持層は、外皮層を指示するために、その外面に複数の指示部材を備え得、磁気コンポーネントが、支持部材の少なくともいくつかの中または上に与えられる。選択肢として、機体は、更に、その中に支持部材が伸びるように、支持層と外皮層との間に設けられた隔離層を備え得る。
【0013】
本発明の他の態様に従って、実質的に上述されたような機体を含む飛体が提供される。
【0014】
本発明の更なる他の態様に従って、飛体のための機体を製造する方法が提供され、方法は、 飛体の胴体を規定し、その中に磁気的な手段を含む支持層を提供すること、 磁気的な手段を含む外皮層を提供すること、および、 支持層の表面上に外皮層を磁気的に結合すること、 のステップを備える。
【0015】
本発明のこれらのおよび他の態様は、本発明の実施形態が例示のみとして記載される以下の明細書から、および、添付の図面を参照して明瞭になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の第1の例示の実施形態に従った機体の概略の一部の断面図である。
図2図2は、本発明の第2の例示の実施形態に従った機体の概略の一部の断面図である。
【詳細な説明】
【0017】
図面の図1図2を参照して、本発明の例示の実施形態に従った機体10は、外皮層12と支持層13とを備える。支持層13は、空間的に離れ、ほぼ平行な関係で配置された内側フレーム14と外側フレーム16を備え、内側と外側のフレーム14、16の外形(profile)は、航空機の胴体の総体的な形状を規定する。内側と外側のフレーム14、16は、本発明はこの点に限定されることを必ずしも意図されないが、概略、管状または円筒状であってよい、複数の相互接続される延伸する支持部材から形成され得る。支持部材は、本発明はこの点に限定されることを必ずしも意図されないが、炭素繊維で強化されたプラスチック合成物またはシリコンカーバイドで強化されたチタン合成物などの任意の好適な材料で形成され得るが、使用される材料は、特定の用途や必要とされる負荷を担う能力についての設計要件に大きく依存し、垂直方向や横方向のせん断力、垂直方向や横方向の曲げモーメント、および、胴体のトルク配分などのパラメータの考慮を含む。更に、相互接続される支持部材の構成は、これらのおよび他の設計パラメータに依存し得る。例えば、各フレーム14、16は、間隔があけられ、ほぼ直交する複数の支柱を間に有する、長手方向と横方向の複数の延伸する支持部材で形成され得る。しかし、代替の例示の実施形態では、各フレーム14、16は、間隔が開けられた複数のトラス構成を間に有する隣り合った支持部材の各対を用いて、延伸する、平行な長手方向または横方向の複数の支持部材からなるトラス構造を備え得、各トラス構成は、第1の端部において間隔をあけられ、頂部を形成するために第2の反対側の端部において共に結合される、1対の延伸する支柱を備える。
【0018】
図面の図1を特に参照して、支持層13は、更に、内側と外側フレーム14、16の間に接続された延伸する直角の複数の支柱18を備える。ここで、支柱18は、炭素繊維で強化されたプラスチック合成物またはシリコンカーバイドで強化されたチタン合成物などの任意の好適な材料で形成され得るが、これは、考慮されるべき設計パラメータや負荷を担う指定された要件に依存し、本発明は、この点で限定されることを必ずしも意図されない。同様に、支柱18は、概略、円筒状または管状であってよいが、本発明は、この点で限定されることを必ずしも意図されない。
【0019】
図面の図1に示された例において、支柱18は、ほぼ平行で、間隔を開けられた構成で配置される。しかし、図面の図2を参照して、「Varvill, Richard and Bond, Alan, The Skylon Spaceplane: Progress to Realisation, JBIS, Vol. 61, pp. 412-418, 2008」に記載された代替の例示の構成において、支柱18aは、トラス配置で与えられ得、複数のトラス構成20が、内側と外側のフレーム14、16の間に、間隔があけられた関係でを与えられる。各トラス構成20は、一端において間隔をあけられ、頂部26を形成するために反対側の端部で共に結合される1対の支柱18aを備える。各トラス構成20の頂部26は、外側フレーム16に接続され、トラス構成の反対側の端部は内側のフレーム14に接続される。
【0020】
図面の図1図2とをそれぞれ参照して上述された両方の例示の実施形態において、複数の支柱22が、外側フレーム16から実質的に直角に外側に伸びる。支柱22は、以前に述べたように任意の好適な材料で形成され得、外側フレーム16に溶接され、または、その他の方法で連結され得る、剛体の延伸する円筒状または管状の部材を備える。例えばチタンまたは他の好適な断熱材料などの隔離層24が外側フレーム16上に与えられ、支柱22が、隔離層24の中に伸び、または、隔離層24の中に内蔵され得る。
【0021】
支柱22は、機体10が意図される用途に応じて、外皮またはエアロシェル12を支持するように構成され、例えば、ガラス繊維で強化されたガラスセラミック材料で形成されてもよいが、これは用途や設計仕様に大きく依存し、本発明はこの点で限定されることを必ずしも意図されない。外皮またはエアロシェル12は、支柱22を介して、支持層13に磁気的に結合される。発明の例示的な実施形態において、そのような磁気的な結合は、支柱22の中または上に設けられた一組の電磁石28と、外皮またはエアロシェル12の内側の面に内蔵されるか、または、上に搭載される、強磁性のシート状材料の挿入物(図示されず)などの強磁性または永久磁石材料の形態の磁気的感受性のある材料の部分とによって達成される。外皮またはエアロシェル12が、また、機体10が意図される用途に応じて、低い可観測性を達成するように、レーダー波吸収性材料またはレーダー波吸収性コーティングを使用し得ることが理解される。電源(図示されず)が、外皮またはエアロシェル12を支持層13上の所定位置に引きつけ、保持するように強磁性材料に対して引力を発生するために、電磁石28に電流を与える。本発明の全ての実施形態に必ずしも必須ではないが、高いレベルの力が達成されることを可能にし、与えられる力も飛行フェーズや空気力負荷に応じて変えられ得るので、電磁石28の使用は有益であると考えられる。また、冗長度を与え、そうして要求されるシステム信頼性を達成するために、独立に電力を供給される複数の電子回路が各電磁石に与えられ得る。
【0022】
本発明のいくつかの例示の実施形態において、電磁石28に供給される電力を逆転し、それによって、強磁性のシート状材料の挿入物に対して反発力を生成し、外皮またはエアロシェル12を支持層13から押し出すために、制御回路が電源について与えられる。他の例示の実施形態において、電源は、単に、スイッチオフまたは停止状態にされ得、(必要ならば)外皮またはエアロシェル12を支持層13から取り除くために力が加えられてもよい。電磁石28の数や仕様は、機体10の特定の設計仕様と機体の負荷を担う要件に従って変わり得ることが理解される。しかし、外皮またはエアロシェル12が、電子システムの部分的な故障の場合にも、依然として支持層13上の所定位置に維持されるように、ある量の冗長性が設計に盛り込まれ得ることが理解される。
【0023】
本発明の例示の実施形態において、電磁石28は、システムのための電力要件が最小にされ得るように、超電導巻線を使用し得る。この場合、超電導状態を達成するために必要とされる冷却が、ロケットモーターを推進するためにいくつかの飛体によって運ばれ得る格納された液体水素燃料または液体酸素によって与えられ得る。
【0024】
従って、外皮またはエアロシェルパネルが取り付けられ、また、損傷の場合、レーダー波吸収コーティングが交換される必要のある場合、新しい技術を用いて、パネルの更新されたバージョンへの交換を容易にするためであってさえ、それによって、飛体の運用寿命を更に増加するために、パネルの交換を容易にするように取り除かれる場合に、本発明の例示の実施形態の大きな利点がある。本発明の例示の実施形態の更なる利点は、外皮/エアロシェルを支持層に固着するための、任意の形態の機械的な装着手段の必要性が(潜在的に)除かれることである。機械的な装着具の必要性は、それ自身で、特に、レーダーから飛体を隠すこと(可観測性)、並びに、飛体上の空気流との潜在的な干渉といった点で、課題を提起し得る。本発明の態様は、これらの課題を未然に防ぐ可能性を有し、更に、外皮のパネルが、レーダーへの可観測性を最小限にする方法で結合されることを可能にする。
【0025】
添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく、変更や変形が記載された実施形態になされ得ることが、以上の説明から、本技術に技術を有する者により理解される。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 飛体のための機体であって、
前記飛体の胴体を規定する支持層と外皮層とを備え、
前記外皮層は、前記支持層に磁気的に結合される、
機体。
[2] 前記磁気的に結合されることは、前記外皮層に内蔵された、または、その他の方法によって前記外皮層により組み込まれた磁気的感受性のある材料に少なくとも部分的によって与えられる、
[1]に記載の機体。
[3] 前記磁気的感受性のある材料は、前記外皮層に内蔵される、または、前記外皮層の中または上にその他の方法で与えられるシート状の強磁性材料の挿入物の配列を備える、[2]に記載の機体。
[4] 前記強磁性材料は、前記外皮層の中または上に組み込まれた磁気的感受性の粒子を備える、[3]に記載の機体。
[5] 前記強磁性材料は、分散された微粒子配列を備える、[4]に記載の機体。
[6] 前記磁気的感受性のある材料は、永久磁石材料である、[2]ないし[5]のいずれか一項に記載の機体。
[7] 1つまたは複数の磁性コンポーネントが、前記支持層の中または上に与えられる、[1]ないし[6]のいずれか一項に記載の機体。
[8] 前記1つまたは複数の磁性コンポーネントは、電磁石を備える、[7]に記載の機体。
[9] 前記電磁石は、超電導巻線を備える、[8]に記載の機体。
[10] 更に、
前記外皮層を前記支持層に結合するように、前記外皮層の中または上の前記磁性コンポーネントに対して引力を発生するために、前記1つまたは複数の電磁石に電力を供給するための手段を備える、
[8]または[9]に記載の機体。
[11] 更に、
前記支持層から前記外皮層を取り外すように、前記1つまたは複数の電磁石に供給される前記電力を選択的に停止または逆転するための手段を備える、
[10]に記載の機体。
[12] 前記支持層は、前記支持層から外向きに伸びる複数の支柱を与えられ、
前記外皮層は、前記支柱によって支持されるとともに、前記支柱によって支持層に磁気的に結合される、
[1]ないし[11]のいずれか一項に記載の機体。
[13] 前記支柱は、前記支柱の中または上に配置された電磁石を与えられ、
前記外皮層は、磁気的感受性のある材料を備え、
前記外皮層は、前記電磁石と磁気的感受性のある材料によって前記支持層に磁気的に結合される、
[12]に記載の機体。
[14] 前記支柱は、剛体の延伸する円筒状または管状の部材を備え、
電磁石が、前記支柱の中に含まれる、
[12]に記載の機体。
[15] [1]ないし[14]のいずれか一項に記載の機体を含む飛体。
[16] 飛体のための機体を製造する方法であって、
前記飛体の胴体を規定し、磁気的手段を中に含む支持層を提供すること、
磁気的手段を含む外皮層を提供すること、および、
前記外皮層を前記支持層の面の上に磁気的に結合すること、
のステップを備える方法。
図1
図2