特許第6640355号(P6640355)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許66403552接合型薄膜ソーラーセルアセンブリおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6640355
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0725 20120101AFI20200127BHJP
【FI】
   H01L31/06 410
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-525555(P2018-525555)
(86)(22)【出願日】2016年11月1日
(65)【公表番号】特表2018-534785(P2018-534785A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】CN2016104203
(87)【国際公開番号】WO2017084491
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2018年5月16日
(31)【優先権主張番号】201510809748.0
(32)【優先日】2015年11月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518137368
【氏名又は名称】ベイジン チュアング テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グ シーハイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン チンチャオ
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−501349(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0218813(US,A1)
【文献】 特表2012−503340(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0068226(US,A1)
【文献】 特表2015−520524(JP,A)
【文献】 特表2016−509376(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/135944(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0079408(US,A1)
【文献】 特表2010−533989(JP,A)
【文献】 特開2001−085723(JP,A)
【文献】 特開2016−066769(JP,A)
【文献】 特開平08−139350(JP,A)
【文献】 特開2013−089770(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3193193(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/055600(WO,A1)
【文献】 WOJTCZUK, S.J. et al.,GaAs/Ge tandem-cell space concentrator development,IEEE Transactions on Electron Devices,IEEE,1990年 2月,Volume: 37 , Issue: 2,pp.455-463,DOI: 10.1109/16.46383,URL,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=46383
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルユニットを直列に接続してなり、
各セルユニットは、選択成長基板、ボトムセルおよびトップセルを備え、
前記トップセルの上に前面金属電極層が設けられている2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリであって、
前記選択成長基板は、金属ベース、パターニングされた絶縁層およびN型微結晶ゲルマニウムシード層を含み、
前記絶縁層は前記金属ベース上に形成され、
前記パターニングされた絶縁層は開口を有し、
前記N型微結晶ゲルマニウムシード層は、前記絶縁層の開口内にあり、
前記ボトムセルは多結晶ゲルマニウムボトムセル層であり、
前記トップセルはGaAsセルであり、
前記多結晶ゲルマニウムボトムセル層から前記トップセルまで、N型の拡散層、N型のバッファ層、トンネル接合N型領域およびトンネル接合P型領域が順に成長され、前記前面金属電極層上に反射防止層が形成されている、ことを特徴とする2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリ。
【請求項2】
前記バッファ層は、N型のInGaAs−GaAsグレーデッドバッファ層であり、インジウムの割合は1%から0%に漸次変化する、ことを特徴とする請求項1に記載の2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリ。
【請求項3】
前記反射防止層は、MgF2又はZnS反射防止層である、ことを特徴とする請求項1
に記載の2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリ。
【請求項4】
前記GaAsセルは、前記トンネル接合P型領域にP型のAlGaAs裏面電界、P型のGaAsベース領域、N型のAlGaAsエミッタ電極、N型のAlGaAs窓層およびN+型のGaAs前面接触層を順にエピタキシャル成長させてなり、前記前面金属電極層が前記前面接触層上にある、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリ。
【請求項5】
前記窓層は、前記前面接触層から露出し、かつその表面にウェット・エッチング処理された粗い構造が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリ。
【請求項6】
2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリの製造方法であって、
金属ベース上に絶縁層を堆積させ、絶縁層をパターニングするステップ1と、
パターニングされた前記絶縁層の表面に微結晶ゲルマニウムシード層を堆積させ、前記絶縁層の表面の余剰な微結晶ゲルマニウム材料を除去して、前記微結晶ゲルマニウムシード層を有する選択成長基板を製造するステップ2と、
前記微結晶ゲルマニウムシード層を有する前記選択成長基板の表面に多結晶ゲルマニウムボトムセル層を堆積させて、多結晶ゲルマニウムボトムセルを製造するステップ3と、
前記多結晶ゲルマニウムボトムセル層の表面に、エピタキシャル成長により拡散層、バッファ層、トンネル接合およびトップセル構造を順に形成して、2接合セル構造を製造するステップ4と、
前記トップセル構造上に、パターニングされた前面金属電極層を形成するステップ5と、
前記多結晶ゲルマニウムボトムセル層よりも上方にエピタキシャル成長した前記2接合セル構造を複数の独立したセルユニットに分離するステップ6と、
前記前面金属電極層上に反射防止層を形成し、前記反射防止層、多結晶ゲルマニウムボトムセル層および選択成長基板を順に切断し、各セルユニットを完全に分離するステップ
7と、
前記各セルユニットを直列に接続した後、上下2つのフレキシブル基板の間に置いて封止を行うことで、薄膜セルアセンブリを製造するステップ8と、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項7】
前記ステップ1では、前記金属ベース上に前記絶縁層を堆積させ、前記絶縁層をパターニングする具体的な方法は、前記金属ベースの表面に厚さ1〜5μmの前記絶縁層を堆積させ、塗布、現像および露光方法により前記絶縁層の表面にパターンを形成し、そして、ウェット・エッチングプロセスにより前記絶縁層の余剰材料を除去して前記絶縁層のパターニングを実現することである、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ステップ2では、PECVD装置を用いて、パターニングされた前記絶縁層の表面に高濃度ドープP型微結晶ゲルマニウムシード層を堆積させ、純ゲルマンおよびジボランを導入し、400〜700℃まで加熱し、反応圧力10-2〜10Pa、ドーピング濃度1×1019〜3×1019cm-3にて前記P型微結晶ゲルマニウムシード層を成長形成し、化学エッチング研磨プロセスにより、前記絶縁層の表面における余剰な前記P型微結晶ゲルマニウムシード層を除去して、前記P型微結晶ゲルマニウムシード層を有する前記選択成長基板を製造する、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ステップ4では、前記多結晶ゲルマニウムボトムセル層の表面に、エピタキシャル成長により前記拡散層、バッファ層、トンネル接合およびトップセル構造を順に形成する具体的な方法は、前記多結晶ゲルマニウムボトムセル層の表面にN型のInGaP拡散層を成長させ、P元素を高温で前記多結晶ゲルマニウムボトムセル層の内部へ拡散させることで、浅い拡散PN接合を形成し、PH3の雰囲気で前記InGaP拡散層に対してアニ
ール処理を行い、一定温度条件下で前記バッファ層、トンネル接合、トップセル構造の裏面電界、ベース領域、エミッタ電極、窓層および前面接触層を順に成長させることである、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ステップ5では、前記2接合セル構造の前記前面接触層上に、電気めっきおよびウェット・エッチング方法により、パターニングされた前記前面金属電極層を形成し、そして、ウェット・エッチング方法により前記前面金属電極層で覆われていない前記前面接触層を除去し、前記窓層を露出させるとともに、前記窓層の表面に粗い構造を形成する、ことを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記ステップ8では、分離した前記各セルユニットを銅箔で直列に接続した後、上下2層のPET薄膜の間に置いて、ラミネータにより封止を行って薄膜フレキシブルセルアセンブリを形成する、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III−V族2接合型薄膜セルアセンブリの製造方法に関し、より具体的には、選択成長基板を有する2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願
本発明出願は、2015年11月20日にて出願した、出願番号が201510809748.0で、発明の名称が「2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリおよびその製造方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容を全て参照により本願に組み込むものとする。
【0003】
1954年、GaAs材料が光起電力効果をもつことを世界で始めて発見し、20世紀60年代、Gobatらが最初の亜鉛ドープGaAsソーラーセルを開発し、変換率はわずか9%〜10%であり、27%の理論値より遥かに低い。最も初期の単結晶GaAsセルの製造方法は、現在の単結晶シリコンの製造方法とほぼ同じであるが、しかし、直接遷移型半導体として、吸收層の厚さが数ミクロンであれば十分であり、結晶GaAsは間違いなく大きな浪費である。
【0004】
20世紀70年代、IBM社および旧ソ連のIoffe技術物理所などを代表とした研究機構は、LPE(液相エピタキシャル)技術を用いてGaAlAsヘテロ窓層を導入することで、GaAs表面の再結合率を低減し、GaAsソーラーセルの効率を16%にする。その後すぐに、アメリカのHRL(Hughes Research Lab)およびSpectrolabは、LPE技術を改良することでセルの平均効率を18%にするとともに、大量生産を実現し、高効率ガリウムヒ素ソーラーセルの新しい時代を創造した。
【0005】
前世紀の80年代以来、GaAsソーラーセル技術は、LPEからMOCVDへ、ホモエピタキシャルからヘテロエピタキシャルへ、単接合から多接合積層構造へ、LM構造からIMM構造へ等、いくつかの発展段階を経て、その発展速度が加速しつつあり、効率も継続的に高められる。現在、最大効率は、単接合の場合28.8%(alta devices)に達し、3接合の場合44.4%(Sharp IMM)に達し、4接合の場合実験室で最高50%(Fhg−ISE)に近い。
【0006】
ゲルマニウム基板の3接合型GaAsセルは現在の研究の重点であり、2接合型GaAsセルに対する研究がまだ少なく、2接合セルは、GaAsおよびInGaPをボトムセルおよびトップセルとし、電気的および光学的に低損失のトンネル接合を接続してなるものを使うのが一般的である。2接合型の場合、ボトムセルおよびトップセルのバンドギャップの幅が整合しているか否かの問題を考えなければならず、AM0にとって、最適のバンドギャップの幅は1.23eVおよび1.97eVであり、理論効率が35.8%に達することが可能である。現在、技術上実現可能なのは、格子整合する材料を使うことで、バンドギャップの幅Egへの要求を緩和することである。同時に、ボトムセルのバンドギャップの幅が1.42eVであり、トップセルのバンドギャップの幅が1.9eV程度であり、両者の差はわずか0.48eV程度であり、かつボトムセルのバンドギャップの幅が大きすぎて、900nm以上の波長の光線を吸収することができず、最終的には、ボトムセルの光生成電流密度がトップセルの電流密度よりも小さくなるため、両者の光生成電流が整合しなくなり、セルの内部量子効率をひどく低下させる。
【0007】
2接合型GaAsセルは、GaAsを基板とし、GaAsおよびInGaPをそれぞれボトムセルおよびトップセルとする2接合セルを使うのがほとんどであり、このような2接合セルのコストは単接合型GaAsセルよりも高く、エピタキシャルコストは単接合型のほぼ2倍であるが、その効率は、単接合型の効率よりやや高く、現在、単接合型の最大効率は28.8%であり、2接合型の最大効率は30.8%であり、大量のインジウムを原材料として使用する必要がある。
【0008】
また、2接合型GaAsおよびGaInPの吸収層の厚さはいずれも大きいため、セル全体の厚さが10μmを超えている。一方、フレキシブル薄膜セルの厚さは、一般的には1〜10μmの間に制御されることが要求されるため、このような2接合セルはフレキシブル化を実現することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
2接合型III−V族セルのフレキシブル化を実現し、2接合セルの製造コストを低減し、セルの発電効率を向上させるために、本発明は、選択成長基板を有する2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリおよびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下の構成となる。
【0011】
一態様によれば、本発明は、2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリを提供し、複数のセルユニットを直列に接続してなり、各セルユニットは、選択成長基板、ボトムセルおよびトップセルを備え、前記トップセルの上に前面金属電極層が設けられており、前記選択成長基板は、金属ベース、パターニングされた絶縁層およびN型微結晶ゲルマニウムシード層を含み、前記絶縁層は前記金属ベース上に形成され、前記N型微結晶ゲルマニウムシード層は、前記絶縁層が形成されているパターン内にあり、前記ボトムセルは多結晶ゲルマニウムボトムセル層であり、前記トップセルはGaAsセルであり、前記多結晶ゲルマニウムボトムセルから前記トップセルまで、N型の拡散層、N型のバッファ層、トンネル接合N型領域およびトンネル接合P型領域が順に成長され、前記前面金属電極層上に反射防止層が形成されている。
【0012】
前記バッファ層は、N型のInGaAs−GaAsグレーデッドバッファ層であり、インジウムの割合は1%から0%に漸次変化する。
【0013】
前記反射防止層は、MgF2又はZnS反射防止層である。
【0014】
前記GaAsセルは、前記トンネル接合P型領域にP型のAlGaAs裏面電界、P型のGaAsベース領域、N型のAlGaAsエミッタ電極、N型のAlGaAs窓層およびN+型のGaAs前面接触層を順にエピタキシャル成長させてなり、前記前面金属電極層が前記前面接触層上にある。
【0015】
前記窓層は、前記前面接触層から露出し、かつその表面に粗い構造が形成されている。
【0016】
他の一態様によれば、本発明は、2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリの製造方法をさらに提供し、前記方法は、
金属ベース上に絶縁層を堆積させ、絶縁層をパターニングするステップ1と、
パターニングされた絶縁層の表面に微結晶ゲルマニウムシード層を堆積させ、絶縁層の表面の余剰な微結晶ゲルマニウム材料を除去して、微結晶ゲルマニウムシード層を有する選択成長基板を製造するステップ2と、
微結晶ゲルマニウムシード層を有する選択成長基板の表面に多結晶ゲルマニウムボトムセル層を堆積させて、多結晶ゲルマニウムボトムセルを製造するステップ3と、
多結晶ゲルマニウムボトムセル層の表面に、エピタキシャル成長により拡散層、バッファ層、トンネル接合およびトップセル構造を順に形成して、2接合セル構造を製造するステップ4と、
トップセル構造上に、パターニングされた前面金属電極層を形成するステップ5と、
多結晶ゲルマニウムボトムセル層よりも上方にエピタキシャル成長した2接合セル構造を複数の独立したセルユニットに分離するステップ6と、
前面金属電極層上に反射防止層を形成し、反射防止層、多結晶ゲルマニウムボトムセル層および選択成長基板を順に切断し、各セルユニットを完全に分離するステップ7と、
各セルユニットを直列に接続した後、上下2つのフレキシブル基板の間に置いて封止を行うことで、薄膜セルアセンブリを製造するステップ8と、を含む。
【0017】
前記ステップ1では、金属ベース上に絶縁層を堆積させ、絶縁層をパターニングする具体的な方法は、金属ベースの表面に厚さ1〜5μmの絶縁層を堆積させ、塗布、現像および露光方法により絶縁層の表面にパターンを形成し、そして、ウェット・エッチングプロセスにより絶縁層の余剰材料を除去して絶縁層のパターニングを実現することである。
【0018】
前記ステップ2では、PECVD装置を用いて、パターニングされた絶縁層の表面に高濃度ドープP型微結晶ゲルマニウムシード層を堆積させ、純ゲルマン(水素化ゲルマニウム)およびジボランを導入し、400〜700℃まで加熱し、反応圧力10-2〜10Pa、ドーピング濃度1×1019〜3×1019cm-3にてP型微結晶ゲルマニウムシード層を成長形成し、化学エッチング研磨プロセスにより、絶縁層の表面における余剰な微結晶ゲルマニウムシード層を除去して、微結晶ゲルマニウムシード層を有する選択成長基板を製造する。
【0019】
前記ステップ4では、多結晶ゲルマニウムボトムセル層の表面に、エピタキシャル成長により拡散層、バッファ層、トンネル接合およびトップセル構造を順に形成する具体的な方法は、多結晶ゲルマニウムボトムセル層の表面にN型のInGaP拡散層を成長させ、P元素を高温で多結晶ゲルマニウムボトムセル層の内部へ拡散させることで、浅い拡散PN接合を形成し、PH3の雰囲気でInGaP拡散層に対してアニール処理を行い、一定温度条件下でバッファ層、トンネル接合、トップセルの裏面電界、ベース領域、エミッタ電極、窓層および前面接触層を順に成長させることである。
【0020】
前記ステップ5では、2接合セル構造の前面接触層上に、電気めっきおよびウェット・エッチング方法により、パターニングされた前面金属電極層を形成し、そして、前面金属電極層で覆われていない前面接触層を除去し、窓層を露出させるとともに、窓層の表面に粗い構造を形成する。
【0021】
前記ステップ8では、分離した各セルユニットを銅箔で直列に接続した後、上下2層のPET薄膜の間に置いて、ラミネータにより封止を行って薄膜フレキシブルセルアセンブリを形成する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は従来技術に対して以下の有益な効果を有する。
【0023】
A.本発明では、GaAsを基板とし、多結晶ゲルマニウムおよびGaAsをそれぞれボトムセルおよびトップセルとする2接合セルを採用し、まず、多結晶ゲルマニウムボトムセルのバンドギャップが0.65eVであり、トップセルであるGaAsのバンドギャップが1.4eVであり、この組み合わせは、太陽光スペクトルの分割に有利であり、より適切な電流整合を形成するとともに、波長が900〜2000nmの範囲内の光線をさらに吸収することができ、セルの変換効率が32%(AM1.5)に達することができる。
【0024】
B.本発明では、二次選択成長プロセスにより、金属ベース上に多結晶ゲルマニウム/ガリウムヒ素薄膜電池構造を成長させ、より適切なバンドギャップ整合の設計によりセルの効率を向上させ、大量生産により基板をより安価にし、より薄くて浅い接合の多結晶Geをボトムセルとし、より少量のインジウム材料を使用し金属基板そのものを裏面金属電極層として利用し、前面電極を電気めっきで製造する等の技術により、フレキシブル2接合型GaAsセルの製造コストを低減し、これにより、多結晶ゲルマニウムをボトムセルとする2接合型III−V族セルの低コスト化、高効率化およびフレキシブル化を実現する。
【0025】
C.本発明に用いられる多結晶ゲルマニウムボトムセルの製造コストは、GaAsをボトムセルとする場合よりも低く、拡散接合の厚さによって、ボトムセルの厚さを1ミクロン未満にすることができ、かつ複雑なセル構造を成長させる必要がなく、高温で拡散させれば、PN接合を形成することができ、製造プロセスが簡単である。同時に、多結晶ゲルマニウムをボトムセルとする価格は、GaAsをボトムセルとする場合よりも低く、かつ該セルは、バッファ層のみに材料比率<1%のインジウムを用いる必要があり、インジウムという原料の制限を緩和することができるため、セルの製造コストを大幅に低減することができる。
【0026】
D.本発明における2接合型薄膜ソーラーセルの製造方法は、従来技術における製造方法と逆な製造過程を採用し、従来技術は、いずれもセル構造をまず最初に形成してから、前面金属電極層および裏面金属電極層を形成するようにしているが、本発明では、まず金属ベースとパターニングされた絶縁層の作成を済ませておき、パターニングされた絶縁層は、絶縁および反射の作用を担う一方、パターニングされた金属ベースは裏面金属電極層として機能することができ、セルの製造過程を簡素化する。
【0027】
E.本発明では、微結晶ゲルマニウムシード層は、主として、多結晶ゲルマニウムボトムセル層の成長のために一定の数の核形成センターを提供する作用を担い、これにより、より優れた多結晶ゲルマニウム材料を形成し、つまり、二次選択成長であり、金属ベースの表面に従来の成長技術では微結晶ゲルマニウム材料しか取得できず、多結晶ゲルマニウムを取得するには、二次選択成長技術を使用しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の内容をより明瞭に理解してもらうために、以下、本発明の具体的な実施例に基づいて図面を結合して、本発明をさらに詳しく説明する。
図1】本発明に提供される多結晶Ge/GaAs2接合セルのエピタキシャル構造模式図である。
図2】パターニングされた絶縁層を有する金属ベースの構造平面図である。
図3】パターニングされた絶縁層を有する金属ベースの構造正面図である。
図4】絶縁層の表面に成長された微結晶ゲルマニウムシード層の正面図である。
図5】本発明に提供される選択成長基板の構造模式図である。
図6】選択成長基板上に形成された多結晶ゲルマニウムボトムセル層の構造模式図である。
図7】多結晶Ge/GaAs2接合セル上に形成された前面金属電極層の構造模式図である。
図8】多結晶Ge/GaAs2接合セルの構造模式図である。
図9】本発明に提供される2接合型ソーラーセルアセンブリの製造方法ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の目的、技術案および利点をより明瞭にするために、以下、図面を結合して本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。
【0030】
本発明において、多結晶Ge(ゲルマニウム)をボトムセルとし、GaAs(ガリウムヒ素)をトップセルとする2接合フレキシブル薄膜セルの製造方法が提供され、図1および図9を結合して、具体的な製造方法は以下の通りである。
【0031】
ステップ1:金属ベース100上に絶縁層102を堆積させ、絶縁層102をパターニングする。
【0032】
PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、プラズマ強化化学気相成長法)装置を用いて、大型金属基板から、適切なサイズの金属ベース100を大量に生産する。このサイズの金属ベース100(長さおよび幅は、いずれも切断後の基板のサイズの整数倍である)をPECVD装置に投入し、該金属ベース100は、ステンレス鋼箔、Cu箔のいずれかであることができ、金属ベース100の表面に厚さ1〜5μmの絶縁層102を堆積させ、絶縁層102の材料として、SiO2、Al23、SiNXなどの酸化物及び窒化物のいずれかを使用することができる。
【0033】
次に、リソグラフィーとウェット・エッチング技術を用いて、金属ベース100上に、パターニングされた絶縁層102を作成する。塗布、現像および露光により、絶縁層102の表面にパターンを形成してから、ウェット・エッチングプロセスを用いて絶縁層102の余剰材料を除去するとともに、硬化したフォトレジストをアセトンで除去し、金属ベース100上におけるパターニングされた絶縁層102の作成を完成し、かつ該パターニングされた絶縁層102の形状は、最終のセルの裏面金属電極層のパターン構造となる。このように、金属ベース100は、裏面金属電極層として機能するとともに、その上には絶縁層102が堆積されているため、絶縁および反射の作用も担う。
【0034】
ステップ2:パターニングされた絶縁層102の表面に微結晶ゲルマニウムシード層104を堆積させ、絶縁層102の表面の余剰な微結晶ゲルマニウム材料を除去して、微結晶ゲルマニウムシード層104を有する選択成長基板105を製造する。
【0035】
PECVD装置を用いて、パターニングされた絶縁層102の表面に、選択成長した高濃度ドープP型微結晶ゲルマニウムシード層104を堆積させ、化学エッチング研磨プロセスにより絶縁層102の表面の余剰な微結晶ゲルマニウム材料を除去した後、微結晶ゲルマニウムシード層104を有する選択成長基板105を製造する。
【0036】
図2に示すように、レーザ切断技術を用いて、選択成長基板105をA方向に沿って分離し、選択成長基板105の作成を完成する。
【0037】
該高濃度ドープした微結晶ゲルマニウムシード層104は、次のステップで多結晶ゲルマニウムボトムセル層106を成長させる基盤であると同時に、セル底部でキャリアを伝送するチャネルでもある。
【0038】
ステップ3:微結晶ゲルマニウムシード層104を有する選択成長基板105の表面に多結晶ゲルマニウムボトムセル層106を堆積させ、多結晶ゲルマニウムボトムセルを製造する。LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition、低圧化学気相成長法)装置を用いて、微結晶ゲルマニウムシード層104を有する選択成長基板105の表面に、厚さが5μm程度の低濃度ドープP型多結晶ゲルマニウムボトムセル層106を堆積させ、図6に示すように、多結晶ゲルマニウムボトムセルを製造する。
【0039】
ステップ4:多結晶ゲルマニウムボトムセル層106の表面に、エピタキシャル成長により拡散層108、バッファ層110、トンネル接合およびトップセル構造126を順に形成して、2接合セル構造127を製造する。
【0040】
MOCVD(Metal-organic Chemical Vapor DePosition、有機金属気相成長法)などのエピタキシャル装置を用いて、ボトムセル上に、エピタキシャル成長により2接合セル構造127を形成する。エピタキシャル温度が630〜670℃であり、圧力が50〜100torrであり、好ましくはエピタキシャル温度が650℃であり、圧力が76torrである。
【0041】
具体的には、まず、多結晶ゲルマニウムボトムセル層106の表面に浅い接合ボトムセルを拡散により形成し、主な拡散元素はリンであり、拡散層108に対してアニール処理を行い、界面欠陥を解消し、拡散層108の表面の結晶品質を保証し、さらにエピタキシャル成長によりトンネル接合およびトップセル126を形成することに寄与する。
【0042】
その後、一定温度条件下で拡散層108上にバッファ層110、トンネル接合、トップセル126の裏面電界116、ベース領域118、エミッタ電極120、窓層122および前面接触層124を順に成長させて、エピタキシャル層の成長を完成した後、常温まで降温させることにより、図8に示すように、2接合セル構造127を製造する。
【0043】
上記製造方法にアニール処理技術が導入されることで、トンネル接合およびトップセルの結晶品質をさらに向上させることができ、トップセル構造にGaAsおよびAlGaAs材料を使うことにより、In原料の使用量を低減すると同時に、全過程に温度を変化させる必要がなく、一定温度条件下でエピタキシャル層の成長を完成する。
【0044】
ステップ5:トップセル構造上に、パターニングされた前面金属電極層200を形成する。
【0045】
全面めっき技術を用いて、前面接触層124上に金属層をめっきして、前面金属電極層200を形成し、ウェット・エッチングプロセスにより前面金属電極層200の一部を除去して、前面パターニングされた電極構造を形成し、金属層が銅電極層である場合、そのエッチング液はFeCl3とHClの混合液である。ウェット・エッチングプロセスを用いて、電極で覆われていない前面接触層124を除去し、窓層122を露出させるとともに、窓層122の表面に粗い構造を形成し、エッチング液は、NH4OHとH22の混合物であり、常温で腐食が起こる。
【0046】
ステップ6:多結晶ゲルマニウムボトムセル層106よりも上方にエピタキシャル成長した2接合セル構造127を複数の独立したセルユニットに分離する。
【0047】
ウェット・エッチングプロセスを用いて、図7に示すように、セルをB方向に沿って予備分離し、多結晶ゲルマニウムボトムセル層106まで腐食が起こり、異なる割合のH3PO4とH22の混合液、HClとC262の混合液などの腐食液を用いた腐食を順に起こす。
【0048】
ステップ7:PECVDなどの装置を用いて、前面金属電極層200上に反射防止層300を形成し、レーザ切断プロセスにより、ウェット・エッチングした位置に沿って反射防止層300、多結晶ゲルマニウムボトムセル層106および選択成長基板105を順に切断し、各セルユニットを完全に分離する。
【0049】
ステップ8:各セルユニットを直列に接続した後、上下2つのフレキシブル基板間に置いて封止を行うことで、薄膜セルアセンブリを製造する。隣り合うセルを銅箔で直列に接続し、ラミネータを用いて封止を行うことができる。
【0050】
上述した製造方法で形成される2接合型薄膜ソーラーセルアセンブリは、図8および図1に示すようなものである。
【0051】
セルアセンブリは、複数のセルユニットを直列に接続してなり、各セルユニットは、選択成長基板105、ボトムセルおよびトップセル126を備え、トップセル126上に前面金属電極層200が設けられており、ボトムセルは、多結晶ゲルマニウムボトムセル層106であり、選択成長基板105は、パターニングされた金属ベース100、パターニングされた絶縁層102およびN型微結晶ゲルマニウムシード層104を含み、絶縁層102は金属ベース100上に形成され、N型微結晶ゲルマニウムシード層104は、絶縁層102が形成されているパターン内にある。トップセル126は、ガリウムヒ素(GaAs)セルであり、多結晶ゲルマニウムボトムセル層106からトップセル126まで、N型の拡散層108、N型のバッファ層110、トンネル接合N型領域112およびトンネル接合P型領域114が順に成長され、前面金属電極層200上に反射防止層300が形成されている。バッファ層110は、N型のInGaAs−GaAsグレーデッドバッファ層であり、そのうち、インジウムの割合は1%から0%に漸次変化する。反射防止層300はMgF2又はZnS反射防止層である。
【0052】
GaAsセルは、トンネル接合P型領域114にP型のAlGaAs裏面電界116、P型のGaAsベース領域118、N型のAlGaAsエミッタ電極120、N型のAlGaAs窓層122およびN+型のGaAs前面接触層124を順にエピタキシャル成長させてなり、前面金属電極層200が前面接触層124上にあり、窓層122は前面接触層124から露出し、かつその表面に粗い構造が形成されている。
【0053】
以下、具体的な実施例によって2接合型薄膜セルアセンブリの製造方法を説明する。
【0054】
ステップ1:PECVD装置を用いて、ウェット・エッチング技術により金属ベース100を大量に生産し、ここでの金属ベース100は、方形、円形又は長方形など、特定の形状を有する。まずPECVD装置を用いて金属ベース100の表面に絶縁層102を堆積させ、該絶縁層102は、光線の反射作用を有する。該絶縁層102の材料は、SiO2、Al23、SiNX等であることができ、本実施例ではSiO2絶縁層を使用する。5Paに達するように真空化してから、温度が300℃になるように加熱し、そして、ArおよびTEOSを導入し、Ar:200sccm、TEOS:30sccmで、気圧が50Paである。RF電圧をオンにし、パワーを300Wに調整する。薄膜を厚さが5μmになるように堆積させる。
【0055】
フォトレジストの塗布、現像および露光を順次行うことで絶縁層102の表面にパターンを形成し、ウェット・エッチングプロセスにより絶縁層102の余剰材料を除去し、硬化したフォトレジストを脱ガム液で除去して、パターニングされた絶縁層102を図3に示すように形成する。
【0056】
SU−8ポジ型フォトレジストをスピンコートにより塗布し、厚さが約5μm、線幅が1〜2μm、線間隔が5〜10μmである。脱イオン水で洗浄する。腐食液が濃硫酸腐食液であり、絶縁層を20〜60℃にて10分間腐食してから、硬化したポジ型フォトレジストをアセトンで去除し、脱ガム後に洗浄する。
【0057】
ステップ2:図4に示すように、PECVD装置を用いて、絶縁層102が形成されているパターン内に微結晶ゲルマニウムシード層104を堆積させ、400〜700℃まで加熱し、成長チャンバへ純ゲルマンおよびジボランを導入し、純ゲルマンおよびジボランの流量比を制御し、反応チャンバ内の圧力が10-2〜10Paであり、厚さが2μmのN型微結晶ゲルマニウムシード層を成長させ、ドーピング濃度が1×1019〜3×1019cm-3である。
【0058】
図5に示すように、化学エッチング研磨プロセスにより、絶縁層102の表面の余剰な微結晶ゲルマニウム材料を除去して、微結晶ゲルマニウムシード層104を有する選択成長基板105を製造する。腐食液は、過酸化水素と水酸化ナトリウムを混合した腐食液である。
【0059】
レーザ切断技術を用いて、選択成長基板105をA方向に沿って分離し、図2に示すように、選択成長基板105の作成を完成する。
【0060】
図6に示すように、LPCVD装置を用いて、選択成長基板の表面に多結晶ゲルマニウムボトムセル層106を堆積させる。選択成長基板105を500〜800℃まで加熱し、成長チャンバへ純ゲルマンおよびジボランを導入し、純ゲルマンおよびジボランの流量比を制御し、成長チャンバ内の圧力が1〜200torrであり、厚さが1〜5μmのN型多結晶ゲルマニウムボトムセル層106を成長させ、そのドーピング濃度が1×1017cm-3である。
【0061】
ステップ3:MOCVDなどのエピタキシャル装置を用いて、多結晶ゲルマニウムボトムセル層106上に、エピタキシャル成長により2接合セル構造127を図8および図1に示すように製造する。エピタキシャル温度が630〜670℃、圧力が50〜100torrであり、実施例では、エピタキシャル温度を650℃とし、圧力を76torrとする。
【0062】
(1)650℃まで昇温させ、多結晶ゲルマニウムボトムセル層106の表面に20nmのN型のInxGa1-xP拡散層108を成長させ、x≒0.5である。その後、750℃まで昇温させ、しばらく保持してから、650℃まで降温させ、PH3の雰囲気でアニールを行い、拡散層108の表面における結晶品質を向上させる。
【0063】
(2)拡散層108の表面に80nm〜200nmのN型のInGaAsグレーデッドバッファ層110を成長させ、Inの割合は1%から0%に漸次減少する。
【0064】
(3)バッファ層110の表面に20nmのN+型のGaAsトンネル接合N型領域112を成長させる。
【0065】
(4)トンネル接合N型領域112の表面に20nmのP+型のAlxGa1-xAsトンネル接合P型領域114を成長させ、x≒0.7である。
【0066】
(5)トンネル接合P型領域114の表面に40nmのP型のAlxGa1-xAs裏面電界116を成長させ、x≒0.7である。
【0067】
(6)裏面電界116の表面に3000nmのP型のGaAsベース領域118を成長させる。
【0068】
(7)ベース領域118の表面に50nmのN型のAlxGa1-xAsエミッタ電極120を成長させ、x≒0.3である。
【0069】
(8)エミッタ電極120の表面に20nmのN型の(AlxGa1-xyIn1-yP窓層122を成長させ、x≒0.7、y≒0.5である。
【0070】
(9)窓層122の表面に20nmのN+型のGaAs前面接触層124を成長させる。
【0071】
ステップ5:トップセル126の構造上に、パターニングされた前面金属電極層200を図7に示すように形成する。
【0072】
セルの前面を洗浄し、電気めっきプロセスを用いて、前面接触層124の表面上に前面金属電極層200を堆積させ、電極層の厚さは1〜10μmであり、材料として銅又は銅ニッケル合金を選択する。リソグラフィープロセスおよびウェットプロセスを用いて、不要な金属電極層200を除去して、パターニングされた前面電極パターンを形成し、エッチング液は、30%のFeCl3+4%のHCl+H2Oであり、常温でエッチングを行う。ウェット・エッチングプロセスを用いて、電極で覆われていない前面接触層を除去し、窓層122を露出させるとともに、窓層122の表面に粗い構造を形成し、エッチング液はNH4OHとH22の混合物であり、常温で腐食が起こる。
【0073】
ステップ6:ウェット・エッチングプロセスを用いて、特定の位置のエピタキシャル構造層125をB方向に沿って予備分離し、図2に示すように、多結晶ゲルマニウムボトムセル層106まで腐食が起こることで、エピタキシャル構造層が分離され、腐食液として異なる割合のH3PO4とH22の混合液、HC1とC262の混合液を使用して腐食を順に起こす。
【0074】
ステップ7:PECVD装置を用いて、セルの前面にMgF2又はZnS反射防止層300を堆積させる。レーザ切断プロセスにより、反射防止層300、ボトムセルである多結晶ゲルマニウムボトムセル層106および選択成長基板105を分割し、個別のセルへの分離を実現する。
【0075】
ステップ8:隣り合うセルを銅箔で直列に接続し、直列接続済みのセルを上下2層のPETの間に置き、ラミネータを用いて薄膜フレキシブルセルアセンブリとなるように封止を行う。
【0076】
上述した実施例は、挙げられた例を明瞭に説明するためのものに過ぎず、実施形態を限定するものではないのは、言うまでもない。当業者にとって、以上の説明に基づいて、他の異なる形での変化又は変動も可能である。ここでは、すべての実施形態を一々挙げる必要がないし、そもそも不可能である。これによる自明な変化又は変動は、依然として本発明の権利範囲内にある。
【符号の説明】
【0077】
100…金属ベース、102…絶縁層、104…微結晶ゲルマニウムシード層、105…選択成長基板、106…多結晶ゲルマニウムボトムセル層、108…拡散層、110…バッファ層、112…トンネル接合N型領域、114…トンネル接合P型領域、116…裏面電界、118…ベース領域、120…エミッタ電極、122…窓層、124…前面接触層、125…エピタキシャル構造層、126…トップセル、127…2接合セル構造、200…前面金属電極層、300…反射防止層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9