(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6640368
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】RF発生器における制御されたオーバーシュートのための装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20200127BHJP
H03F 1/02 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H03F1/02 144
【請求項の数】21
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-543626(P2018-543626)
(86)(22)【出願日】2017年1月29日
(65)【公表番号】特表2019-512150(P2019-512150A)
(43)【公表日】2019年5月9日
(86)【国際出願番号】US2017015529
(87)【国際公開番号】WO2017142695
(87)【国際公開日】20170824
【審査請求日】2018年10月19日
(31)【優先権主張番号】15/046,563
(32)【優先日】2016年2月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519027693
【氏名又は名称】エーイーエス グローバル ホールディングス, プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バンジル, ギデオン
【審査官】
右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開平9-148098(JP,A)
【文献】
特表平10-511430(JP,A)
【文献】
特開平11-333244(JP,A)
【文献】
特表2003-526980(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0231062(US,A1)
【文献】
米国特許第6920312(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H03F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)発生器であって、前記RF発生器は、
RF電力増幅器と、
前記RF電力増幅器に電力を供給するために前記RF電力増幅器と電気的に接続されている直流(DC)電力供給部と
を備え、
前記DC電力供給部は、
一次DC電力供給部と、
補助DC電力供給部と、
ハーフブリッジ回路であって、前記ハーフブリッジ回路は、第1の切り替え状態において、直列に、前記補助DC電力供給部を前記一次DC電力供給部に電気的に接続し、第2の切り替え状態において、前記補助DC電力供給部を前記一次DC電力供給部から電気的に接続解除する、ハーフブリッジ回路と、
制御回路と
を含み、
前記制御回路は、前記ハーフブリッジ回路を前記第1の期間にわたって前記第1の切り替え状態に置き、前記ハーフブリッジ回路を第2の期間にわたって前記第2の切り替え状態に置き、第1の期間にわたって前記RF発生器によって産出される電力において制御されたオーバーシュートを産出し、
前記第1の期間は、前記RF発生器によって産出される電力パルスの前縁で始まり、前記第2期間は、前記第1の期間に直ちに続く、RF発生器。
【請求項2】
前記RF電力増幅器は、平衡RF電力増幅器である、請求項1に記載のRF発生器。
【請求項3】
前記一次DC電力供給部と前記補助DC電力供給部とのうちの少なくとも1つは、可変型である、請求項1に記載のRF発生器。
【請求項4】
前記RF発生器は、直接的または間接的に、1つ以上の整合ネットワークを通して電力をプラズマ負荷に供給する、請求項1に記載のRF発生器。
【請求項5】
前記RF発生器によって産出される電力における前記制御されたオーバーシュートは、プラズマ点火のために使用される、請求項1に記載のRF発生器。
【請求項6】
前記第1および第2の期間の後、0、1つ、または複数の追加の期間が続き、前記追加の期間中、前記RF発生器は、前記第1および第2の期間中とは異なる量の電力を産出する、請求項1に記載のRF発生器。
【請求項7】
前記第1、第2、および任意の追加の期間は、事前決定されたパターンで反復し、パルス列を形成する、請求項1に記載のRF発生器。
【請求項8】
前記制御回路は、前記RF発生器の出力と接続された負荷の特性における変化を観察することによって、前記第1の期間を決定するように構成されている、請求項1に記載のRF発生器。
【請求項9】
無線周波数(RF)発生器であって、前記RF発生器は、
RF電力増幅器と、
前記RF電力増幅器に電力を供給するために前記RF電力増幅器と電気的に接続されている直流(DC)電力供給部と
を備え、
前記DC供給部は、
一次DC電力供給部と、
補助DC電力供給部と、
ハーフブリッジ回路であって、前記ハーフブリッジ回路は、第1の切り替え状態において、直列に、前記補助DC電力供給部を前記一次DC電力供給部に電気的に接続し、第2の切り替え状態において、前記補助DC電力供給部を前記一次DC電力供給部から電気的に接続解除する、ハーフブリッジ回路と、
方法を実施するための命令でエンコードされた非一過性、有形、機械読み取り可能な媒体を含む制御回路と
を含み、
前記方法は、
前記ハーフブリッジ回路を前記RF発生器によって産出される電力パルスの前縁で始まる前記第1の期間にわたって前記第1の切り替え状態に置き、前記第1の期間全体を通して、前記RF発生器によって産出される電力において制御されたオーバーシュートを産出することと、
前記ハーフブリッジ回路を前記第2の期間にわたって前記第2の切り替え状態に置くことと
を含み、
前記第2の期間は、前記第1の期間に直ちに続く、RF発生器。
【請求項10】
前記第1および第2の期間の後、0、1つ、または複数の追加の期間が続き、前記追加の期間中、前記RF発生器は、前記第1および第2の期間中とは異なる量の電力を産出する、請求項9に記載のRF発生器。
【請求項11】
前記第1、第2、および任意の追加の期間は、事前決定されたパターンで反復し、パルス列を形成する、請求項9に記載のRF発生器。
【請求項12】
第1の期間は、固定されている、請求項9に記載のRF発生器。
【請求項13】
前記方法は、前記RF発生器の出力と接続された負荷の特性における変化を観察することによって、前記第1の期間を決定することをさらに含む、請求項9に記載のRF発生器。
【請求項14】
前記RF発生器は、直接的または間接的に、1つ以上の整合ネットワークを通して電力をプラズマ負荷に供給し、前記RF発生器によって産出される電力における前記制御されたオーバーシュートは、プラズマ点火のために使用される、請求項9記載の前記RF発生器。
【請求項15】
無線周波数(RF)発生器であって、前記RF発生器は、
RF電力を増幅させる手段と、
前記RF電力を増幅させる手段に直流(DC)電力を供給する手段であって、前記DC電力を供給する手段は、DC電力を供給する一次手段と、DC電力を供給する補助手段とを含む、手段と、
切り替える手段であって、前記切り替える手段は、
第1の切り替え状態において、直列に、前記DC電力を供給する補助手段を前記DC電力を供給する一次手段と電気的に接続し、第2の切り替え状態において、前記DC電力を供給する補助手段を前記DC電力を供給する一次手段から電気的に接続解除する、切り替える手段と、
前記切り替える手段を制御する手段と
を備え、
前記制御する手段は、前記RF電力を増幅させる手段によって産出された電力パルスの前縁で始まる第1の期間にわたって前記切り替える手段を前記第1の切り替え状態に置き、前記第1の期間に直ちに続く第2の期間にわたって前記切り替える手段を前記第2の切り替え状態に置き、前記第1の期間全体を通して、前記RF発生器によって産出される電力において前記制御されたオーバーシュートを産出する、RF発生器。
【請求項16】
前記切り替える手段を制御する前記手段は、前記第1および第2の期間の後、0、1つ、または複数の追加の期間が続くようにするよう構成され、前記追加の期間中、前記RF発生器は、前記第1および第2の期間中とは異なる量の電力を産出する、請求項15に記載のRF発生器。
【請求項17】
前記切り替える手段を制御する前記手段は、前記第1、第2、および任意の追加の期間が事前決定されたパターンで反復し、パルス列を形成することをもたらすように構成されている、請求項15に記載のRF発生器。
【請求項18】
前記第1の期間は、固定されている、請求項15に記載のRF発生器。
【請求項19】
前記切り替える手段を制御する前記手段は、前記RF発生器の出力に接続された負荷の特性における変化を観察することによって、前記第1の期間を決定するように構成されている、請求項15に記載のRF発生器。
【請求項20】
前記RF発生器は、直接的または間接的に、1つ以上の整合ネットワークを通して電力をプラズマ負荷に供給する、請求項15に記載のRF発生器。
【請求項21】
前記RF発生器によって産出される電力における前記制御されたオーバーシュートは、プラズマ点火のために使用される、請求項15に記載のRF発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、無線周波数(RF)発生器に関し、より具体的には、プラズマ処理チャンバに電力を供給するための平衡電力増幅器を採用するRF発生器の性能を改善するための装置と技術とに関する。
【背景技術】
【0002】
平衡増幅器は、例えば、1965年10月のBell System Technical JournalのK.Kurokawaの「Design theory of balanced transistor amplifiers」によって説明されるように、多くの場合、プラズマ処理チャンバのための電力供給部システムにおいて使用される。伝統的な単一増幅器とは異なり、平衡増幅器は、プラズマを持続させるためにパルス電力を使用するとき、より望ましいパルス形状を提供する。平衡増幅器はまた、より良好なプラズマ安定性も提供し、負荷インピーダンスから独立した順方向電力をさらに産出する。言い換えると、電力増幅器への所与の制御入力に対して、順方向電力は、負荷インピーダンス変化(例えば、プラズマ密度または他のプラズマ特性における変化に起因する)の結果として変化しない。
【0003】
しかし、平衡増幅器は、伝統的な単一増幅器に関連付けられる問題をもたらし、増幅させもする。例えば、負荷不整合があるとき(例えば、インピーダンスが大幅に変化するプラズマの点火または再点火中)、電力放散は、平衡増幅器を構成している2つの増幅器の間に非均一に分配され、それは、より多くの電力を放散するものを損傷させ得る。この問題の伝統的な解決策は、より多くの電力を放散する増幅器が損傷されないように、平衡増幅器の電力プロファイルを低減させる(例えば、高負荷反射係数の規模で負荷電力を低減させる)ことである。プラズマ点火用途では、プラズマ点火は、通常、かなりの電力を非整合負荷内に送達する増幅器を要求するので、これは、大きな欠点である。
【0004】
したがって、電力をプラズマ処理チャンバに供給する改善されたRF発生器のための技術の必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
図面に示される、本発明の例示的実施形態は、以下に要約される。これらおよび他の実施形態は、発明を実施するための形態の節で、より完全に説明される。しかしながら、本発明を、発明の概要または発明を実施するための形態で説明される形式に限定する意図はないことを理解されたい。当業者は、請求項で表現されるように、本発明の精神および範囲に該当する、多数の修正、均等物、および代替構成があることを認識することができる。
【0006】
ある側面は、その電力出力において制御されたオーバーシュートを産出する無線周波数(RF)発生器として特徴付けられ得る。RF発生器は、RF電力増幅器と、一次DC電力供給部と、補助DC電力供給部と、ハーフブリッジ回路と、制御回路とを含む。一次および補助DC電力供給部は、電力をRF電力増幅器に提供する。制御回路は、ハーフブリッジ回路を、第1の切り替え状態に置き、一次および補助DC電力供給部を直列に接続し、第1の期間全体を通して、RF発生器の出力電力において制御されたオーバーシュートを産出する。制御回路は、第2の期間全体を通して、一次DC電力供給部から補助DC電力供給部を接続解除する第2の切り替え状態に置く。
【0007】
別の側面は、電力を、プラズマ処理チャンバ内のプラズマ負荷に直接的に、または1つ以上の整合ネットワークを介して間接的に供給するRF発生器として、特徴付けられ得る。プラズマ点火のために、RF発生器の出力電力における制御されたオーバーシュートを使用することは、この側面に関連する。
【0008】
別の側面は、制御回路を含むRF発生器として特徴付けられ得、制御回路は、方法を実施するためのプログラム命令を記憶する非一過性、有形、機械読み取り可能な媒体を含む。方法は、ハーフブリッジ回路を、第1の期間にわたって第1の切り替え状態に置き、第1の期間全体を通してRF発生器によって産出される電力において制御されたオーバーシュートを産出することと、ハーフブリッジ回路を、第2の期間にわたって第2の切り替え状態に置くこととを含む。
【0009】
別の側面では、RF発生器の制御回路は、負荷の1つ以上の特性における変化を観察することによって、制御されるオーバーシュートの持続時間を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態によるプラズマ処理システムのブロック図を示す。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による無線周波数(RF)発生器の概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態によるRF発生器の動作を図示する電力−波形図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態によるRF発生器を制御する方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は、本開示の別の実施形態によるRF発生器を制御する方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、本明細書で説明される制御回路の実施形態を実現するために使用され得る構成要素を描写するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
無線周波数(RF)発生器(特に、平衡RF増幅器を採用するもの)は、RF発生器による電力出力が制御されたオーバーシュートを含む場合、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを点火または再点火する等の用途において、より効果的に性能を発揮することができる。「制御されたオーバーシュート」は、ある期間にわたり、公称レベルを超える事前決定された電力のレベルをRF発生器が出力することを意味する。いくつかの実施形態では、制御されたオーバーシュートは、RF発生器によって産出される電力パルスの前縁で発生する。
【0012】
そのような制御されたオーバーシュートを産出するための効率的かつ安価な1つの方法は、2つのDC電力供給部を直列に接続し、所望される期間にわたって、制御されているが通常より高いレベルの電力をRF増幅器に供給し、その後、RF増幅器からDC電力供給部のうちの1つを接続解除し、供給されたDC電力を公称レベルに戻すことである。いくつかの実施形態において、RF増幅器は、平衡増幅器である。
【0013】
ここで図面を参照すると、いくつかの図全体を通して、同様または類似の構成要素が同じ参照番号を伴って示されており、特に、
図1を参照すると、それは、本開示の実施形態によるプラズマ処理システムのブロック図である。
図1では、プラズマ処理システム100は、RF発生器105を含み、電力を、1つ以上の整合ネットワーク110を介して直接的または間接的にプラズマ処理チャンバ115内のプラズマ負荷に出力する。
【0014】
図2は、本開示の実施形態によるRF発生器105の概略図である。
図2では、一次DC電力供給部205と補助DC電力供給部210とが、ハーフブリッジ回路215を介してRF電力増幅器220と電気的に接続される。いくつかの実施形態では、一次DC電力供給部205と補助DC電力供給部210とのうちのいずれか一方または両方は、可変型である。1つの実施形態では、RF電力増幅器は、当業者に公知の平衡増幅器によって実現され得る。
【0015】
ハーフブリッジ回路215は、スイッチとしての役割を果たすトランジスタ230および235の対と、ダイオード240および245の対とを含む。1つの実施形態では、トランジスタ230および235は、50−V/50−Aの金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)であり、ダイオード240および245は、MOSFETの固有ボディダイオードである。他の実施形態では、例えば、MOSFETが、固有ボディダイオードを有していないGaN HEMTデバイスによって取って代わられる場合、ダイオード240および245は、省略されることができる。トランジスタ230が、その「オン」状態に切り替えられ、トランジスタ235が、その「オフ」状態に切り替えられるとき、一次DC電力供給部205と補助DC電力供給部210とは、直列に、電気的に接続され、それらの組み合わせられた電力をRF電力増幅器220に供給する。この切り替え状態は、本明細書では、ハーフブリッジ回路215の「第1の切り替え状態」と称されるであろう。トランジスタ230が、その「オフ」状態に切り替えられ、トランジスタ235が、その「オン」状態に切り替えられるとき、補助DC電力供給部210は、回路から接続解除され、一次DC電力供給部のみが、RF電力増幅器220に電力を供給する。この切り替え状態は、本明細書では、ハーフブリッジ回路215の「第2の切り替え状態」と称されるであろう。
【0016】
制御されたオーバーシュートは、ハーフブリッジ回路215を、オーバーシュートの所望される持続時間に対応した第1の期間にわたって第1の切り替え状態に置くことによって、RF発生器の電力出力において産出されることができる。第2の期間の間、ハーフブリッジ回路215は、第2の切り替え状態に置かれ、RF発生器105による電力出力を公称レベルに戻す。1つの実施形態では、制御されたオーバーシュートは、電力パルスの前縁で発生し、公称出力電力に対応する第2の期間が、即座に、制御されたオーバーシュートに続く(以下の
図3を参照)。
【0017】
図2に示される実施形態では、制御回路225は、ハーフブリッジ回路215の切り替え状態を制御し、所望される制御されたオーバーシュートを産出する。図面に示されるように、制御回路225は、トランジスタ230および235のゲートと電気的に接続され、トランジスタを必要に応じて「オン」と「オフ」とに切り替える。制御回路225は、制御されたオーバーシュートの持続時間を測定および制御するためのタイミング回路または論理(
図2に図示せず)と、トランジスタ230および235を駆動するためのゲート駆動回路(
図2に図示せず)とを含む。特定の実施形態に応じて、制御回路225は、個別的な構成要素;有形、非一過性、機械読み取り可能な記憶媒体に記憶されたプログラム命令を実行するマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ;フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA);または他のアーキテクチャを使用して実装されることができる。
【0018】
図3は、本開示の実施形態によるRF発生器105の動作を図示する電力―波形
図300である。
図3では、プラズマ処理チャンバ115に供給された電力パルスは、持続時間t
pkの制御されたオーバーシュートを含む。期間t
pkの間、RF発生器105は、P
pk(オーバーシュート)だけ公称電力レベル310を超過する電力を出力する。公称電力レベル310は、制御されたオーバーシュート305に続いて、期間t
nにわたって維持される。期間t
pkは、したがって、
図2に関連して上で議論された「第1の期間」(ハーフブリッジ回路215の第1の切り替え状態)に対応し、期間t
nは、上で議論された「第2の期間」(ハーフブリッジ回路215の第2の切り替え状態)に対応する。
【0019】
図3に示されるように、RF発生器105による電力出力は、種々の時間において、制御されたオーバーシュート305と公称電力レベル310とにそれぞれ対応する出力電力レベルとは異なり得る。例えば、315と標識された電力波形の部分は、制御されたオーバーシュート305および公称電力レベル310の両方のそれとは異なる電力レベルを表す。他の実施形態では、オーバーシュート305と公称電力レベル310とにそれぞれ対応する2つの電力レベルのみが、RF発生器305によって出力される。言い換えると、RF発生器105の出力に対応する電力波形において、期間t
pk(制御されたオーバーシュート305)およびt
n(公称電力レベル310)の後、0、1つ、または2つ以上の追加の期間が続き得、その期間中、RF発生器105は、t
pk(制御されたオーバーシュート305)とt
n(公称電力レベル310)との両者の間に産出されたものとは異なる量の電力を産出する。
図3に描写された実施形態では、制御されたオーバーシュート305は、電力パルスの前縁で発生することにも留意されたい。さらに、
図3は、いくつかの実施形態では、第1、第2、および追加の期間は、パルス列を形成するために、事前決定されたパターンで反復するように作製されることができることを図示する。
【0020】
図4は、本開示の実施形態によるRF発生器を制御する方法400のフローチャートである。この実施形態では、方法400は、制御回路225によって実施される。ブロック405では、制御回路225は、期間t
pk(
図3を参照)にわたってハーフブリッジ回路215を第1の切り替え状態(上記
図2の議論を参照)に置くことによって、RF発生器105の出力電力において、制御されたオーバーシュート305を産出する。ブロック410では、制御回路225は、ハーフブリッジ回路215を第2の切り替え状態に置くことによって、期間t
nにわたって出力電力レベルを公称電力レベル310に戻す。
【0021】
図5は、本開示の別の実施形態によるRF発生器105を制御する方法500のフローチャートである。ブロック505では、制御回路225は、ハーフブリッジ回路215を第1の切り替え状態に置き、RF発生器105の電力出力において、制御されたオーバーシュート305を産出する。この特定の実施形態では、固定期間t
pkにわたって継続する制御されたオーバーシュート305の代わりとして、制御回路225が、負荷の1つ以上の特性(例えば、プラズマ負荷から反射された電力)を監視し、制御されたオーバーシュート305が終結されるべきことを示す観察された特性または複数の特性における変化を識別する。これは、ブロック510内に反射されている。例えば、
図1に示される実施形態等のプラズマ処理チャンバ実施形態では、制御回路225は、プラズマ負荷から反射された電力における急速な減少を観察することによって、プラズマの点火または再点火が発生したことを検出することができる。点火または再点火が、このように検出されたとき、制御されたオーバーシュート305は、終わらせられることができる。決定ブロック515において、制御回路225は、監視された特性または複数の特性が、プラズマ処理チャンバ115内でプラズマ点火が発生したこと(すなわち、点火または再点火を示すであろう、特性における予期された変化が発生したこと)を示すかどうかを決定する。該当しない場合、制御回路225は、負荷特性または複数の特性の監視を継続する。該当する場合、制御回路225は、ブロック520において、ハーフブリッジ回路215を第2の切り替え状態に置くことによって、制御されたオーバーシュート305を終わらせ、RF発生器105の電力出力を公称電力レベル310に戻す。
【0022】
1つの例証的実施形態では、平衡RF電力増幅器を採用するRF発生器105は、一次DC電力供給部205が、160Vレールおよび50A電流を供給するとき、第2の切り替え状態において6kWを産出する。この実施形態では、30−V補助DC電力供給部210は、制御されたオーバーシュート305中、RF電力において40%の増加をもたらすために十分である。この追加の電力がその時の10%を必要とされるとき、30−V補助DC電力供給部210から要求される電力は、約177Wのみである。この特定の実施形態では、補助DC電力供給部210は、接地から200Vの絶縁を要求し(いくつかの用途において、一次DC供給電圧は、160から200Vに増加されることができると仮定)、補助DC電力供給部210を分路するキャパシタが十分に大きい場合、補助DC電力供給部210は、6Ampのみを供給することを必要とする。
【0023】
本明細書に開示される実施形態と関連して説明される方法は、直接的に、ハードウェア、非一過性機械読み取り可能な媒体にエンコードされた命令を実行可能なプロセッサ、またはその2つの組み合わせの中で具現化され得る。例えば、
図6を参照すると、例示的実施形態による制御回路225を実現するために利用され得る物理的構成要素を描写するブロック図が示されている。示されるように、この実施形態では、表示部612と非揮発性メモリ620とは、バス622に結合され、バス622は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)624と、処理部(N個の処理構成要素を含む)626と、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)627と、N個の送受信機を含む送受信機構成要素628とにも結合されている。
図6に描写された構成要素は、物理的構成要素を表しているが、
図6は、詳細ハードウェア図であるようには意図されてはおらず、したがって、
図6に描写された構成要素の多くのものは、一般的な構造体によって実現されるか、または追加の物理的構成要素の中に分散され得る。そのうえ、他の既存および未開発の物理的構成要素とアーキテクチャとが、
図6を参照して説明される機能的構成要素を実装するために利用され得ると考えられる。
【0024】
この表示部612は、概して、ユーザのためのユーザインターフェースを提供するために動作し、いくつかの実装では、表示は、タッチスクリーンディスプレイによって実現される。概して、不揮発性メモリ620は、データと機械読み取り可能な(例えば、プロセッサ実行可能な)コード(本明細書に説明される方法をもたらすことに関連付けられる、実行可能なコードを含む)とを記憶する(例えば、永続的に記憶する)ために機能する非一過性メモリである。いくつかの実施形態では、例えば、不揮発性メモリ620は、本明細書にさらに説明される
図4および5を参照して説明される方法の実行を促進するための、ブートローダコードと、オペレーティングシステムコードと、ファイルシステムコードと、非一過性プロセッサ実行可能コードとを含む。
【0025】
多数の実装では、不揮発性メモリ620は、フラッシュメモリ(例えば、NANDまたはONENANDメモリ)によって実現されるが、他のメモリタイプも、利用され得ると考えられる。不揮発性メモリ620からのコードを実行することが可能であり得るが、不揮発性メモリ内の実行可能コードは、典型的には、RAM624内にロードされ、処理部626内のN個の処理構成要素の1つ以上のものによって実行される。
【0026】
動作時、RAM624に関連したN個の処理構成要素は、概して、制御回路225の機能性を実現するために、不揮発性メモリ620内に記憶された命令を実行するために動作する。例えば、
図4および5を参照して説明される方法をもたらすための命令を実行可能な非一過性プロセッサは、不揮発性メモリ620内に永続的に記憶され、RAM624に関連するN個の処理構成要素によって実行され得る。当業者が、理解するであろうように、処理部626は、ビデオプロセッサと、デジタル信号プロセッサ(DSP)と、グラフィック処理ユニット(GPU)と、他の処理構成要素とを含み得る。
【0027】
加えて、または代替として、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)627は、本明細書に説明される方法論(例えば、
図4および5を参照して説明される方法)の1つ以上の側面をもたらすように構成され得る。例えば、非一過性のFPGA構成命令は、不揮発性メモリ620内に永続的に記憶され、FPGA627によってアクセスされ(例えば、ブートアップの間)、制御回路225の機能をもたらすFPGA627を構成し得る。
【0028】
入力構成要素は、出力電力(例えば、
図3で描写される電力―波形図)の1つ以上の側面を指示する信号(例えば、センサを介したRFPA220の出力時)を受信するために動作し得る。入力構成要素で受信された信号は、例えば、電圧と、電流と、順方向電力と、反射電力と、プラズマ負荷インピーダンスとを含み得る。出力構成要素は、概して、発生器の動作側面をもたらすために、1つ以上のアナログまたはデジタル信号を提供するために動作する。例えば、出力部は、トランジスタ230および235への駆動信号をゲートし、トランジスタ230および235によって形成された導電路を開放および閉鎖し得る。
【0029】
描写された送受信機構成要素628は、無線または有線ネットワークを介して外部デバイスと通信するために使用され得る、N個の送受信機チェーンを含む。N個の送受信機チェーンの各々は、特定の通信スキーム(例えば、WiFi、イーサネット(登録商標)、Profibus等)に関連付けられる送受信機を表し得る。
【0030】
開示された実施形態の上記説明は、いかなる当業者もが本発明を作製または使用することを可能にするために提供される。これらの実施形態への種々の修正は、当業者に容易に明白となり、本明細書に定義される包括的原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用され得る。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されないことが意図され、本明細書に開示される原理と新しい特徴とに一貫した、最も幅広い範囲と調和されるべきである。