【課題を解決するための手段】
【0014】
3D印刷デバイスを使用して物体を製造する方法が提案される。3D印刷デバイスは、少なくとも1つの放出デバイスを有する少なくとも1つの印刷ヘッドを有し、放出デバイスが、物体を付加により製造するために、目標位置に印刷材料を配置するように構成される。加えて、印刷ヘッドの位置が、位置測定により継続的に決定され、印刷材料が、継続的に決定された印刷ヘッドの位置に応じて、放出デバイスにより配置される。
【0015】
より具体的には、3D印刷デバイスにおける様々な印刷材料のための、技術的に異なる放出デバイスを有する複数の放出デバイスを提供することが可能であり、これらは、そのような手法で動作される。
【0016】
3D印刷デバイスは、少なくとも1つの印刷ヘッドの少なくとも1つの放出デバイスからの印刷材料の放出により物体が構築されるベースプレートを備える。本例におけるベースプレートと少なくとも1つの印刷ヘッドとは相互に動かされ、相対的な動きは3つの空間的方向X、YおよびZのすべてにおいて可能である。この目的において、例えば、少なくとも1つの印刷ヘッドがXおよびY方向に可動であるように、少なくとも1つの印刷ヘッドが配置され得、ベースプレートがZ方向に可動であるように、ベースプレートが構成されることが可能である。本例においてさらなる構成がさらに考えられ、例えば、ベースプレートがY方向に可動であるように構成され得、少なくとも1つの印刷ヘッドがXおよびZ方向に可動であるように構成され得る。代替的または追加的に、ベースプレートおよび/または印刷ヘッドは、旋回可能であるように構成され得るので、任意の所望の空間配置が可能である。
【0017】
それぞれの放出デバイスは、材料が放出デバイスから放出される方向を規定する放出軸を含む。典型的には、放出軸がベースプレートに対して直角であるように、ベースプレートを基準として放出軸が配向される。任意選択的に、3D印刷デバイスは、放出軸の位置合わせがベースプレートに対してさらに変更されることが可能であるように構成され得る。
【0018】
放出デバイスは、好ましくは、一連の液滴として個々の分離した液滴の形態で、または、放出軸の方向におけるストランドの形態で印刷材料を放射するように構成される。これらの形態間における流れの移行が可能である。本説明の場合において、放出デバイスから放出されて、ベースプレート上または物体上に位置する印刷材料の液滴は、ボクセルと呼ばれる。配置された印刷材料は、ボクセルまたはストランドを意味すると理解される。使用される印刷材料は、好ましくは、少なくとも処理中に自由に流れる形態の材料であり、放出後に硬化されることが可能である。
【0019】
個々の液滴の放射のために、放出デバイスは、インクジェット印刷機のノズルの手法と同様にベースプレートの方向に印刷材料の液滴を放射する1つまたは複数のノズルを備え得る。したがって、これらのノズルは、ジェッティングノズルとも呼ばれる。様々な実施形態が当業者に知られている。ジェッティングノズルが要求のみに応じて制御された手法で液滴を放射するように、ジェッティングノズルが構成される。ジェッティングノズルの好ましい実施形態において、印刷材料の放出時に液滴の体積が影響を受けることが可能であるので、異なる寸法の液滴が生成されることが可能である。
【0020】
例えばジェッティングノズル内の加熱要素を提供することが可能であり、加熱要素により印刷材料が加熱され、発生した蒸気泡の液滴がジェッティングノズルから外に追い出され、これはバブルジェット(登録商標)として知られる。
【0021】
さらなる選択肢は、電圧により変形する結果、ジェッティングノズルから液滴を吐出することが可能な圧電要素の構成である。この種類のインクジェット印刷方法は、従来の印刷から、および3D印刷と呼ばれるものから原理的に当業者に知られており、その中で三次元物品は、光重合可能インクにより層単位で構築される。この種類の印刷ヘッドは、インクジェット印刷において、またはマルチジェット3D印刷において使用されるように、例えば50mPa・s未満の粘度をもつものなど、典型的には低粘度の印刷インクまたは印刷材料を付与することが可能である。
【0022】
本発明の方法における印刷ヘッドにおいて、圧電要素を含むジェット弁に基づく放出デバイスを使用することが好ましい。これらは、液滴の数ピコリットル(pL)の液滴体積(2pLが約0.035μmの液滴直径に対応)が達成されることが可能な低粘度材料と、50から500μmの間のノズル直径をもつ圧電印刷ヘッドが好ましく、ナノリットルレンジ(1から100nL)の液滴体積が生成されることが可能な、シリコーンゴム材料などの中粘度材料および高粘度材料との両方を放出することを可能にする。低粘度材料(<100mPa・s)を使用する場合、これらの印刷ヘッドは、非常に高い付与周波数(約1−30kHz)で液滴を堆積させることが可能であるのに対し、より高粘度の材料(>100Pa・s)を使用する場合、流量学的性質(ずり流動化特性)に応じて、最大約500Hzの付与周波数が達成されることが可能である。適切なジェッティングノズルは、例えば、DE102011108799A1において説明される。
【0023】
印刷材料のストランドの放射の場合、印刷材料は、例えば、カートリッジ、シリンジ、またはバットから、貯蔵容器の加圧によりノズルを通してストランドとして送り出され、ベースプレート上に選択的に堆積されて物体を形成する。この種類の放出デバイスは、本説明の場合においてディスペンサーと呼ばれる。例えば空気圧によりまたは機械的手段により、例えば小さな押出機により、ピストンポンプにより、または偏心ねじにより圧力が高められることが可能である。様々な実施形態が当業者に知られている。
【0024】
放出された印刷材料により物体を構築するために、印刷材料が規定のスキームに従ってベースプレート上に堆積されて、第1の材料層を形成する。第1の材料層が形成された後、例えば、放出デバイスとベースプレートとの間の距離が増やされ、次の材料層が配備される。これらに、さらなる材料層が続き、その各々が、所望の物体が完成されるまで規定のスキームに従って堆積される。
【0025】
印刷材料は、テンプレートに由来するスキームに従って放出される。テンプレートは概して、CAD(コンピュータ支援設計:Computer−Aided Design)ソフトウェアを使用して設計されるか、または、物品の三次元走査により形成される。材料の放出のためのスキームの導出のために、ソフトウェアが典型的にはテンプレートの水平断面を計算し、これらのセクションの各々が材料層に対応する。続いて、印刷材料が各層にどのように配置される必要があるかについて計算が行われる。本例において考慮されることは、印刷材料がボクセルの形態と、ストランドの形態と、またはボクセルとストランドとの組み合わせとのいずれで放出されるかである。
【0026】
適切な場合には、スキームの導出において、サポート材料の配置がさらに可能にされる。印刷材料は空間内で自由に浮遊した状態で配置されることが不可能なので、製造される物体が空洞、アンダーカット、張り出し、自立したまたは薄壁のパーツを含むときは、サポート材料の配置が必要であり得る。サポート材料は、印刷工程中に空洞を充填し、上に印刷材料を配置および硬化することができるように、基礎または足場として機能する。印刷工程が終了した後、サポート材料が再度除去されて、物体の空洞、アンダーカットおよび張り出し、自立したまたは薄壁の形状をきれいにする。概して、使用されるサポート材料は、印刷材料の材料とは異なる材料である。物体の形状に応じて、サポート材料の必要な形状が計算される。サポート材料の形状の計算において、例えば、最小量のサポート材料を使用するために、または、製品の大きさの忠実さを高めるために、様々な技法を使用することが可能である。
【0027】
水平断面からの材料の放出のためのスキームの導出において、様々な移動技法を使用することが可能であり、移動技法の選択は、製造される物体の性質に影響を与えることが可能である。ボクセルの形態での放出の場合、例えば、二重移動技法、クロッシング(「交差」)移動技法、または境界移動技法を使用することが可能である。
【0028】
二重移動技法において、少なくとも1つの印刷ヘッドは、ベースプレートに対して選択された主印刷方向に、ラインごとに往復して動かされ、印刷材料がラインごとに付与される。各ライン後、印刷ヘッドは、印刷されたラインに対して直角に1ライン幅ぶんさらに動かされ、次に、印刷材料の放出が繰り返される。工程は、従来のインクジェット印刷機の印刷と同様である。
【0029】
クロッシング移動技法は、二重移動技法にかなりの程度一致する。二重移動技法とは対照的に、主印刷方向が材料層ごとに、またはn個の材料層ごとに90°回転される(nは自然数である)。このことは、材料層の回転が印刷材料の一様な分布を確実なものとするので、物体の寸法安定性に対するより厳密な適合をもたらす。
【0030】
二重移動技法の、およびさらにはクロッシング移動技法の利点は、例えば物体の縁部の高い精度が達成されることが可能なことである。
【0031】
境界移動技法では、各材料層について、まず物体の外周が製造され、続いて、囲まれたエリアが例えば二重移動技法またはクロッシング移動技法により充填される。境界移動技法では、印刷される層の外周は、より小さなボクセルを使用して、印刷される層の内部または物体の内部ボリュームより高い分解能で生成されることが可能である。製造される物体の内部において、関係するより低い分解能が、幾何学的寸法、または製造される物体の表面品質の精度にどのような影響も与えることなく、充填するためのより大きなボクセルを使用することが可能である。
【0032】
上述の移動技法は、基本パターンである。基本パターンはまた、組み合わせまたは変更が適切と考えられる場合は同じ物体の範囲内で組み合わせられ、および変更されることが可能である。異なる移動技法間の混合された形態も考えられる。
【0033】
印刷材料がボクセルの形態をとる場合、移動技法の選択に加えて材料の放出のためのスキームの生成においてボクセルオフセットを含むことも可能である。この場合、ボクセルは、層内に直交パターンにおいて厳密に位置合わせされないが、相互にオフセットされて配置され得る。例えば、概ね球形のボクセルの場合、2ラインごとに、ボクセルの直径の半分ぶんオフセットされて配置されることが可能である。これは、直交グリッドと比べてライン間隔を小さくすることが可能である。ボクセルがより密に配置され、表面品質が向上する。ボクセルのオフセットは、縁部の鋭さを低下させることがありえる。
【0034】
ボクセルのオフセット配置に加えて、または代替的に、材料層の平面内において、互いにオフセットして2つの隣接した平面のボクセルを配置することが可能である。
【0035】
放出デバイスが異なる寸法のボクセルを配置するように構成された場合、特に、物体の縁部の領域内において、縁部の鋭さをより高めるために、配置された印刷材料の寸法を変えることがさらに可能である。好ましくは、ボクセルが配置される場所とボクセルの寸法とが、正確さを最大にして物体の縁部が再現されるように選択される。例えば、縁部の領域内において、個々のボクセルではなく、複数のより小さなボクセルが配置される。その結果、達成可能な縁部の鋭さおよび/または表面品質が向上する。
【0036】
本方法において、印刷ヘッドの位置が位置測定ユニットにより継続的に決定されることが好ましい。結果として、ベースプレートに対する、およびしたがって、製造される物体に対する印刷ヘッドの相対位置が確立される。好ましくは、この目的において、3つの空間的方向X、Y、およびZの各々について、位置が決定される。少なくともベースプレートに平行な平面内における空間的方向について、位置が決定される。
【0037】
例えば、物体の製造が中断されなければならない場合に、印刷ヘッドの位置の継続的な決定が有益である。この種類の中断は、例えば、使用される放出デバイスをクリーニングするために必要になり得る、この目的において、印刷ヘッドは、既に部分的に形成された物体から離れた安全位置に運ばれ得、安全位置において、印刷ヘッドがクリーニングされ得る。例えばクリーニング中に印刷ヘッドに伝達された力による、クリーニング時における印刷ヘッドの位置の任意の変化は、以前と同様に継続的に決定され、印刷動作が再度継続されたときに考慮される。好ましい実施形態において、3D印刷デバイスは、自動クリーニングを可能にするクリーニングステーションを備える。クリーニング間隔は、好ましくはプログラム可能であるので、クリーニング間隔は、処理される印刷材料に応じて調節されることが可能である。きれいなノズルの場合に限り、所望のボクセル、すなわちストランド形状が確実となるので、クリーニングが品質保証に役立つ。
【0038】
中断のさらなる理由は、安全デバイスのトリガであり得る。印刷ヘッドは可動部品であり、例えば、ユーザーの手が可動部品に接近した場合に、3D印刷デバイスのユーザーが負傷する危険が存在する。したがって、従来技術では、使用される配置ユニットへの電源を停止する非常用オフスイッチが一般的である。印刷ヘッドの慣性に起因して、または、印刷ヘッドに印加される外力に起因して、電源が停止した後でも印刷ヘッドが移動し続ける可能性があるので、印刷ヘッドの実際の位置は最後の知られた目標位置と異なる可能性がある。有益には、位置測定ユニットの動作が続くので、非常用オフスイッチがトリガされたときでも、印刷ヘッドの位置が依然として連続的に決定される。この目的において、好ましくは、位置測定ユニットのための電源は、配置ユニットのための電源から分離される。これは、印刷ヘッドが、配置ユニットの電源の回復後、印刷ヘッドの目標位置に戻るように案内されるという点で、物体の製造のシームレスな継続を可能にする。したがって、有益には、特に、別のやり方であれば非常用スイッチのオフ後に廃棄されることになる、複雑なまたは高価な3D物体を完成および保全することが可能である。
【0039】
印刷ヘッドの実際の位置の継続的な決定のさらなる利点は、規定の位置に達しないことが認識されることが可能なことである。決定された印刷ヘッドの実際の位置が所与の公差を上回る程度に異なるとき、規定の目標位置がまだ到達されていないとみなされる。これは、例えば0.1から0.5mmの範囲で、例えば決定されることが可能である。例えば実質的に球形のボクセルの直径またはストランドの直径に基づいて、ボクセルまたはストランドの寸法に対する公差を規定することが同様に考えられる。例えば、測定された位置が規定の期間内における任意の時点で、公差の範囲内で目標位置に対応しないとき、位置が「到達されていない」とみなされることが可能である。到達されていない位置は、例えば制御ユニットに戻すように通信され、次に、情報がさらに処理され、例えば、印刷動作の残りを制御するために記録および使用される。
【0040】
本方法において、印刷材料が、継続的に決定された印刷ヘッドの位置に応じて、放出デバイスにより配置されることにもなっている。印刷材料は、各場合において、確認された実際の位置を考慮し、想定される目標位置に基づかずに、放出デバイスを通して放出される。
【0041】
有益には、配置された印刷材料の実際の位置の知識が取得される。印刷される物体の質の改善のために、配置された印刷材料の実際の位置の知識が大きく関連することが認識されている。この知識を使用して、制御された手法で印刷中におけるボクセルのボリュームおよび寸法、および/またはストランドの直径を調節することが可能である。本発明の場合において、配置されたボクセルおよびストランド実際の位置に応じて、移動技法、硬化技法、および/または、例えば、ボクセルの変位を調節することにより質を改善することも可能である。本発明の方法により製造された物体が、したがって、射出成形された物体の質と同等の、または、射出成形された物体の質を上回る質をもつことが可能であることが見出された。
【0042】
配置されたボクセルおよびストランドの実際の位置の知識は、特に印刷材料を放出するために使用されるスキームの決定において考慮されることが可能である。好ましくは、スキームは、決定された印刷ヘッドの位置に従って継続的に更新される。加えて、配置されたボクセルおよびストランドの実際の位置の知識は、サポート材料の計画および配置において考慮されることが可能である。
【0043】
本発明の好ましい実施形態において、誤って適切に配置されていない印刷材料が決定される。規定の位置が印刷ヘッドにより到達されていない場合、印刷材料が規定の位置に目的通りに放出されることは不可能である。このことは、物体において、誤って適切に配置されていない印刷材料として現れる。誤って適切に配置されていない印刷材料が認識された場合、このことが、好ましくは、印刷材料が配置されなければならない位置と一緒に記録される。適切に配置されていない印刷材料を再印刷するために、印刷ヘッドが、記録された位置に戻るように動かされ、放出が反復される。
【0044】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、誤って適切に配置されていない印刷材料が決定されて、印刷材料の硬化前に再印刷され得る。硬化前の適切に配置されていない印刷材料の再印刷は、まだ未硬化の印刷材料が、依然としてシームレスに相互に連結することが可能であるという利点をもつ。使用される印刷材料は、好ましくは、適用後に依然として自由に流れるので、配置された印刷材料が互いに融合することにより、その結果、配置された印刷材料間の滑らかな移行がもたらされることが可能である。
【0045】
適切に配置されていない印刷材料の再印刷に代えて、または追加的に、エラーメッセージまたは警告メッセージが発せられ得る。未到達位置が印刷ヘッドの配置のために使用される配置ユニットにおける問題を示しうるので、これは望ましい。
【0046】
好ましい実施形態において、放出デバイスの機能が監視される。この目的において、放出デバイスから放出された印刷材料を認識するセンサーユニットが提供され得る。センサーユニットは、好ましくは非接触形態で、例えば遮光体による光学形態で構成されることが可能である。到達された位置に放出されない印刷材料は、放出デバイスにおける問題を示しうる。このような問題は、例えば閉塞したノズル、または、印刷ヘッドへの印刷材料の供給物内の気泡であり得る。3D印刷デバイスがクリーニングステーションを具備する場合、閉塞したノズルの認識が発生した場合、洗浄作業が自動的に開始されることが可能である。
【0047】
好ましくは、印刷材料の硬化は、放射により、または熱的手段により、より好ましくは、位置選択的手法により、または全エリアにわたって放射または熱的手段により実行される。したがって、提案される工程において、配置された後に放射または熱の作用により硬化されることが可能な印刷材料を使用することが好ましい。
【0048】
位置選択的な曝露は、熱または放射源がベースプレートに対して可動な形態で配置されること、および、物体の選択された領域にのみ作用することを意味すると理解される。エリア的な曝露は、熱または放射源が物体全体または物体の材料層全体にわたって一度に作用することを意味すると理解される。
【0049】
例えば、提案される工程の場合、化学線放射の作用により、好ましくは、UV/VIS放射の作用により硬化されることが可能な印刷材料が使用される。UV放射またはUV光は、100nmから380nmの範囲の波長をもち、可視光(VIS(visible)放射)は、380nmから780nmの範囲の波長をもつ。好ましくは、印刷材料に対するUV/VIS放射の作用は、曝露ユニットを介して実現される。
【0050】
熱的手段により硬化する印刷材料の場合、位置選択的またはエリア的な熱処理を実行するために、赤外線源(IR:infrared)を使用することが可能である。
【0051】
本発明の方法において、使用される印刷材料は、より好ましくは、UV/VIS誘起付加反応により架橋するシリコーンゴム材料である。UV/VIS誘起架橋は、熱架橋を上回る利点をもつ。まず、UV/VIS放射の強度、作用時間、および作用場所が正確に判断されることが可能であると同時に、放出された印刷材料の加熱(および、印刷材料の後続の冷却)が、比較的低い熱伝導率に起因して常に遅らされる。シリコーンの本来的に非常に高い熱膨張係数に起因して、熱架橋において必然的に存在する温度勾配は、形成される物体の大きさの忠実さに悪影響を与える機械的応力をもたらし、このことが、極端な場合には、許容できない形状のひずみをもたらす可能性がある。
【0052】
UV/VIS誘起付加架橋シリコーンゴム材料は、例えば、DE102008000156A1、DE102008043316A1、DE102009002231A1、DE102009027486A1、DE102010043149A1、およびWO2009/027133A2において説明される。架橋は、白金の錯体であることが好ましい感光性ヒドロシリル化触媒のUV/VIS誘起活性化により発生する。技術文献は、光を当てなければ主に不活性であり、室温で活性な白金触媒に対する250−500nmの波長をもつ光の照射により変換されることが可能な多くの感光性白金触媒について説明する。これらの例は、(η−ジオレフィン)(σ−アリール)白金錯体(EP0122008A1;EP0561919B1)、Pt(II)−β−ジケトナート錯体(EP0398701B1)および(η5−シクロペンタジエニル)トリ(σ−アルキル)白金(IV)錯体(EP0146307B1、EP0358452B1、EP0561893B1)である。特に、MeCpPtMe
3、および例えば、EP1050538B1およびEP1803728B1において説明されるような白金上に存在する基の置換によりそこから誘導される錯体が好ましい。UV/VIS誘起手法により架橋する印刷材料は、1成分または多成分形態で定式化されることが可能である。
【0053】
UV/VIS誘起付加架橋のレートは、多くの因子に、特に、白金触媒の性質および濃度に、UV/VIS放射の強度、波長、および作用時間に、シリコーンゴム材料の透明度、反射率、層厚、および組成、ならびに温度に依存する。
【0054】
白金触媒は、好ましくは、室温で十分に急速な架橋を可能にするために、触媒として十分な量で使用される。全シリコーンゴム材料に対するPt金属の含有量に基づいて、重量比で0.1から500ppm、好ましくは、重量比で0.5から200ppm、より好ましくは、重量比で1から50ppmの触媒を使用することが好ましい。
【0055】
UV/VIS誘起手法により付加架橋されるシリコーンゴム材料の硬化の場合、波長240nmから500nm、さらに好ましくは250nmから400nm、より好ましくは、350nmから400nm、特に好ましくは、365nmの光を使用することが好ましい。20分未満、好ましくは、10分未満、より好ましくは、1分未満である室温での架橋時間を意味すると理解される急速な架橋を達成するために、出力が10mW/cm
2から20000mW/cm
2の間、好ましくは、30mW/cm
2から15000mW/cm
2の間であり、線量が150mJ/cm
2から20000mJ/cm
2の間、好ましくは、500mJ/cm
2から10000mJ/cm
2の間であるUV/VIS放射源を使用することが望ましい。これらの出力および線量値の範囲内において、最大2000s/cm
2から最小8ms/cm
2の間のエリアに応じた照射時間を達成することが可能である。
【0056】
硬化の実現のために、硬化技法が使用される。好ましくは、印刷材料の硬化は、印刷材料の1つの層の配置または印刷材料の複数の層の配置の後に行われるか、または印刷中に直接実行される。
【0057】
印刷中の直接的な印刷材料の硬化は、直接硬化技法と呼ばれる。UV/VIS放射により硬化可能な印刷材料が使用される場合、他の硬化技法と比べて、UV/VIS源は、非常に長い期間にわたって活性であるので、非常に低い強度で動作することが可能であり、このことが、物体にわたる架橋をより遅くする。これは、物体の加熱を制限し、温度ピークに起因した物体の膨張が発生しないので、正確な寸法の物体をもたらす。
【0058】
層単位の硬化技法では、完全な材料層の各々の配置の後に、配置された材料層の放射誘起架橋が続く。この動作中、新たに印刷された層は、下方の硬化した印刷された層に連結されることになる。硬化が印刷材料の配置直後に行われないので、硬化前に印刷材料が弛緩する時間がある。それが意味することは、印刷材料が互いに融合して、直接硬化技法の場合より滑らかな表面を達成することが可能である。
【0059】
n層単位の硬化技法では、手順は、nを自然数としてn個の材料層の配置後にのみ硬化が実行されることを除いて、層単位の硬化技法の場合と同様である。印刷材料の弛緩のために利用可能な時間がさらに延ばされ、そのことが、表面品質をさらに改善する。しかし、印刷材料の流れに起因して、達成しうる縁部の鋭さの低下がありえる。
【0060】
好ましい実施形態において、硬化技法は、適切に配置されていない印刷材料の再印刷に整合される。例えば、材料層の印刷の後、各場合において、配置された材料層の架橋が層単位の硬化技法またはn層単位の硬化技法により実行される前に、誤って適切に配置されていない印刷材料の再印刷が続き得る。
【0061】
製造される物体の性質は、印刷材料の配置に使用されるパラメータ、特に放出デバイスのパラメータの適切な選択により影響を受ける可能性がある。影響を受ける可能性のある物体の性質の例は、縁部の鋭さ、表面品質、および寸法安定性である。製造される物体の性質は、印刷の開始前に放出デバイスの構成により規定される。
【0062】
いくつかのジェッティングまたはディスペンサーの動作パラメータは、本発明の場合において、例えば、1つまたは複数の材料層後、またはさらには、ボクセルごとに、ストランドごとに、ボクセルからストランドになる、またはストランドからボクセルになる各場合に、より具体的には、既に配置されたボクセルおよびストランドの知られた実際の位置に応じて印刷中にも変えられることが可能であるので、製造される物体の性質の再調節が可能となる。
【0063】
好ましくは、ボクセルの形態における印刷材料の場合、物体の縁部の鋭さがボクセル寸法の調節により再調節され、および/または、物体の表面品質が、ボクセルオフセットの調節により再調節され、および/または、物体の寸法安定性が、放出デバイスの移動技法の調節により再調節される。ボクセル寸法は、ジェッティングパラメータの構成により本明細書において説明されるように変えられることが可能である。
【0064】
好ましくは、ストランドの形態における印刷材料の場合、物体の表面品質および縁部の鋭さは、体積流量の調節により再調節され、および/または物体の寸法安定性は、放出デバイスの移動技法の調節により再調節される。体積流量は、ディスペンサーパラメータの構成により本明細書において説明されるように変えられることが可能である。
【0065】
縁部の鋭さは、印刷材料が配置されない物体の外部の領域に対する、印刷材料が配置される物体に属する領域の限界の鮮明さを意味すると理解される。移行がより急激であるほど、縁部の鋭さがより高くなる。典型的には、ボクセルの寸法またはストランドの直径が小さくなると、縁部の鋭さが向上する。逆に、ボクセルの寸法またはストランドの直径が大きくなると、縁部の鋭さが落ちる。加えて、縁部の鋭さの態様下では、物体境界の半径は、さらに精度の測定基準として扱われることが可能である。
【0066】
表面品質は、表面の滑らかさを意味すると理解される。高品質の表面は、完全に連続的で滑らかである。この種類の表面は理想的には、例えば射出成形により実現される。
【0067】
寸法安定性は、物体の幾何学的寸法の大きさの忠実さを意味し、幾何学的寸法が、存在するとしてもテンプレートの寸法からの小さなずれしか含まないと理解される。
【0068】
決定された印刷ヘッドの位置に応じたスキームの更新に加えて、または代替的に、印刷ヘッドおよび/または物体が上に位置するベースプレートの位置は、正確な位置を推測するために、継続的に決定された印刷ヘッドの位置に応じて再調節されることが可能である。この目的において、印刷ヘッドまたはベースプレートの配置のために使用される配置ユニットは、継続的に測定された印刷ヘッドの位置、すなわち実際の位置が、規定の目標位置を追跡するために継続的に使用されるように作動される。この目的において、目標位置からの実際の位置のずれが最小化されるように配置ユニットが作動される閉ループ制御システムを使用することが可能である。
【0069】
その結果、配置ユニット内のステッピングモーターを使用して、発生する任意のステップの欠落を認識し、欠落を直接補償することが可能である。その結果、同様にステッピングモーターの使用をなくすことと、配置ユニットのための駆動器として異なる電動モーター、例えばDCモーターを使用することとが可能である。両方の場合において、印刷ヘッドの正確な配置が有益なことに確実とされる。
【0070】
好ましくは、印刷ヘッドの位置に加えて、印刷ヘッドの瞬間速度が継続的に決定され、印刷材料が継続的に決定された印刷ヘッドの位置と、継続的に決定された印刷ヘッドの瞬間速度とに応じて配置される。ストランドの形態における印刷材料の場合、これは、好ましくは、体積流量の設定により行われる。
【0071】
体積流量は、本例では、単位時間当たりに放出された印刷材料の体積を表す。ストランドの配置時に、ベースプレートまたは物体に対するストランドの放出中、印刷ヘッドが放出デバイスとともに動く。ベースプレートまたは物体上に配置されたストランドの形状は、体積流量および印刷ヘッドの瞬間速度に依存し、および、ベースプレートからの距離に依存し、または、最後の層内へのノズルの侵入深さに依存する。したがって、規定量の印刷材料の配置の場合において、配置されたストランドの形状が所望の形状に対応するように、体積流量を瞬間速度に整合させることが有益である。
【0072】
ボクセルの場合、同様に、印刷ヘッドの瞬間速度を継続的に決定することが望ましい。ボクセルは、放出デバイスから放出された後に放出デバイスからベースプレートまたは物体上に落ちる、放出された印刷材料の液滴である。本例における液滴は、印刷ヘッドの瞬間速度に依存した飛行経路を説明する。続いて、液滴またはボクセルが実際に配置されるベースプレートまたは物体上の位置が、飛行経路に依存する。したがって、ボクセルの形態における印刷材料の場合でも、瞬間速度を考慮することが有益である。
【0073】
好ましくは、提案される方法は、エラストマ製パーツ、特にシリコーンエラストマ製パーツである物体の製造における使用法を示す。エラストマ製パーツの製造の場合、上記の提案される印刷材料のうちの1つを使用することが好ましい。エラストマ、特にシリコーンエラストマといった材料は、例えば、熱可塑性樹脂と比べて弾性をもち、物体の製造中に変形される可能性があるので、エラストマ、特にシリコーンエラストマは、3D印刷工程について特定の要求をする。加えて、未架橋材料は、それらが硬化されるまで自由に流れるので、液体からねばりのある状態までの3D印刷中に配置された印刷材料が流れることが可能である。より具体的には、放出デバイスにおける極小体積のこれらの材料の信頼性の高い付与は困難であるので印刷材料の信頼性の高い配置が、提案される方法によってのみ保証されることが可能であり、さらに、誤って適切に配置されていない印刷材料が提案されるように再印刷されない場合、例えば不完全に連続的で不均一な、および/または粗い面、または捕獲された空気またはガスボリュームの形態で現れる可能性があり、物体内のギャップまたは欠陥が発生する。
【0074】
本発明は、さらに、提案される工程により製造されたエラストマ製パーツ、特にシリコーンエラストマ製パーツに関する。エラストマ製パーツは、好ましくは、上述の印刷材料のうちの1つを使用して構築される。
【0075】
提案される工程により製造されたエラストマ製パーツは、射出成形により製造されたエラストマ製パーツの質に対応することが可能であるか、または、上回りさえする質という点で際立つ。同時に、表面は、所望により調節されることが可能である。表面は、例えば、構造化されることが可能であり、特に規則的構造が設けられるか、または、滑らかであり、および/または完全に連続的であることが可能である。多くの射出成形された物体と比べて、本発明によって製造されたエラストマ製パーツはさらに、捕獲された空気またはガスの気泡を一切含まない。したがって、例えば医療用途にも適した、信頼性の高い物理的性質をもち機械的にストレスを受けることが可能な物体が製造されることが可能である。例えば、弾性または滑らかな性質、または光学レンズの場合の等方性の光透過性を確実にすることが可能である。加えて、エラストマ製パーツの形状が鋳造方法において使用される鋳型により限定されないことが、エラストマ製パーツの特徴である。したがって、エラストマ製パーツは、アンダーカットおよび/または囲まれた空洞を含むことが可能である。エラストマ製パーツは同様に、特に半分の鋳型の分離部分、および湯道システムにおいて、射出成形されたパーツに発生するバリを含まない。
【0076】
コンピュータプログラムが、本発明によってさらに提案され、プログラム可能コンピュータデバイスにおいてコンピュータプログラムが実行されるときに、本明細書において説明される方法の制御を実施する。コンピュータプログラムは、例えば、3D印刷デバイスの作動のためのアプリケーションまたはプログラムモジュールであり得る。コンピュータプログラムは、機械可読記憶媒体に、例えば永久的なまたは書き換え可能記憶媒体に、またはコンピュータデバイスまたは取り外し可能なCD−ROM、DVD、ブルーレイディスク、またはUSBスティックへの割り当てに格納され得る。追加的または代替的に、コンピュータプログラムは、例えばダウンロードのためのサーバー上で、例えばインターネットなどのデータネットワーク、または通信接続、例えば電話線または無線接続を介して、コンピュータデバイスに提供され得る。
【0077】
本発明のさらなる一態様は、3D印刷方法による物体の製造のために3D印刷デバイスを提供する。3D印刷デバイスは、少なくとも1つの放出デバイスを有する少なくとも1つの印刷ヘッドを有し、放出デバイスは、物体を付加により製造するために目標位置に印刷材料を配置するために、制御ユニットを有する。3D印刷デバイスは、位置測定ユニットをさらに有し、位置測定ユニットにより、印刷ヘッドの位置が継続的に決定されることが可能であり、位置測定ユニットが、放出デバイスの制御ユニットに接続され、放出デバイスが、継続的に決定された印刷ヘッドの位置に応じて、印刷材料を配置するように構成される。
【0078】
3D印刷デバイスは、本明細書において説明される方法のうちの1つを実行するように設計および/または構成される。したがって、本方法に関連して説明される特徴は、3D印刷デバイスに対応して開示され、逆に、3D印刷デバイスに関連して説明される特徴は、本方法に対応して開示される。
【0079】
放出デバイスは、制御ユニットを有する。制御ユニットは、決定された印刷ヘッドの位置に応じて、放出デバイスによる印刷材料の配置を制御する。加えて、制御ユニットは、この目的において、さらなる入力パラメータ、例えば、印刷ヘッドの瞬間速度をさらに使用することが可能である。印刷ヘッドの位置が2つの局面において決定され、決定された位置間の差が形成されて、2つの局面間の経過期間で割られるという点で、本例における瞬間速度は、例えば継続的に決定された印刷ヘッドの位置から制御ユニットにより計算されることが可能である。
【0080】
制御ユニットは、例えば、位置測定ユニットと放出デバイスとに接続されたマイクロ制御装置を備え得る。制御ユニットは、独立したユニットとして実現されるか、そうでなければ、3D印刷デバイスの機械制御システムと組み合わされ得る。機械制御システムは、マイクロ制御装置を同様に備え得、この場合において、マイクロ制御装置は配置ユニットに接続される。
【0081】
配置ユニットは、ベースプレートに対して少なくとも1つの印刷ヘッドを配置するように構成され、相対位置は、少なくとも3つの空間軸X、Y、およびZに沿って調節可能であり、場合によっては回転可能でもある。配置ユニットは、少なくとも1つのモーターを備え、典型的には調節可能な空間軸ごとに提供される少なくとも1つの独立したモーターを含む。モーターは、例えば、電動モーターとして、特にステッピングモーターとして実現される。
【0082】
放出デバイスは、制御ユニットにより作動されるジェッティングノズルまたはディスペンサーを有する。一実施形態において、3D印刷デバイスは、継続的に決定された印刷ヘッドの位置に応じて印刷材料を配置するように構成された、印刷ヘッドに割り当てられた複数の構成された放出デバイスを有する。本例における印刷ヘッドは、複数の異なる放出デバイス、例えば、1つまたは複数のジェッティングノズル、および1つまたは複数のディスペンサーを有し得る。この場合、例えば、印刷材料は、ディスペンサーにより物体の内部に配置されることが可能であり、物体の表面は、ジェッティングノズルを使用して高品質に製造されることが可能である。代替的に、印刷ヘッドが複数の同等の放出デバイスを備えることが考えられる。このように、例えば、複数の物体が同時に付加により製造されることが可能であるか、または、単一の物体の構築において並行して複数の放出デバイスで作業することが可能である。両方の場合において、全体として必要な印刷時間が短くなる。
【0083】
放出デバイスとしてのジェッティングノズルの場合、制御ユニットは、ジェッティングノズルがボクセルをいつ放出するかを規定する。加えて、制御ユニットは、ボクセルの寸法を規定し得る。
【0084】
放出デバイスとしてのディスペンサーの場合、制御ユニットは、ディスペンサーがストランドの形態での印刷材料の放出をいつ開始するか、および放出がいつ終了するかを規定する。加えて、体積流量、すなわち、どの時点で、どれだけの印刷材料が放出されるかが、制御ユニットにより規定され得る。
【0085】
サポート材料が使用される場合、印刷ヘッドは、サポート材料に対して1つまたは複数のさらに放出デバイスを有し得る。代替的または追加的に、適切な放出デバイスを有するさらなる印刷ヘッドがサポート材料の放出のために提供されることも可能である。
【0086】
位置測定ユニットが、少なくとも1つの印刷ヘッドの位置を継続的に決定するように構成される。この目的において、位置測定ユニットは、規定速度で印刷ヘッドの位置の測定を実行して、位置を制御ユニットに送信し得る。
【0087】
位置測定ユニットは、好ましくは、各軸に対する位置または配置ユニットにより調節可能な空間的方向の測定を実行するように構成される。
【0088】
位置測定ユニットは、少なくとも、ベースプレートに平行な平面内における印刷ヘッドの位置を決定するように構成される。位置測定ユニットは、好ましくは、空間内における印刷ヘッドの位置を決定するように構成される。
【0089】
位置測定ユニットは、好ましくは、モーター内における少なくとも1つのステップカウンター、ロータリーエンコーダ、光学スケール、特にガラススケール、GPSセンサー、レーダーセンサー、超音波センサー、LIDARセンサー、および/または少なくとも1つの遮光体を含む。モーター内のステップカウンターは、特に非接触スイッチとして、例えば磁気センサー、特にホールセンサーとして構成され得る。
【0090】
3D印刷デバイスは、好ましくは、印刷される物体のテンプレートまたはコンピュータモデルを含む主制御装置をさらに有し、主制御装置および放出デバイスの制御ユニットは、互いに双方向通信のために構成される。
【0091】
主制御装置は、例えばデータネットワーク、例えばイーサネット(登録商標)またはWLANを介して、または接続、例えばシリアル接続またはUSBを介して、制御ユニットと通信する例えばコンピュータとして実現され得る。
【0092】
コンピュータモデルは、任意のファイル形式で主制御装置に記録され得る。標準的なファイル形式として、例えば、STL、OBJ、CLI/SLC、PLY、VRML、AMF、STEP、IGESが挙げられる。説明される方法の実行時に、主制御装置は、(スライシングと呼ばれる)モデルを通した仮想水平スライスを生成する。これらの水平断面は続いて、物体の付加構築のために印刷材料がどのように配置される必要があるかを記述するスキームを計算するために使用される。本例において考慮されることは、印刷材料が、ボクセルの形態、ストランドの形態、またはボクセルとストランドとの組み合わせた形態のいずれで放出されるかである。物体の形状がサポート材料の配置を必要とする場合、主制御装置は、好ましくは、同様にサポート材料の配置のためのスキームを生成するように構成される。サポート材料の計算および配置は、さらに分離された手法で実行されることが可能である。
【0093】
物体の製造中、主制御装置と制御ユニットとが互いに通信するので、主制御装置は、決定された印刷ヘッドの位置、および任意選択的にさらに決定されたパラメータに応じてスキームを更新することが可能である。主制御装置は、同様に、発生するエラーに関する、および/または、相応に考慮されることが可能な誤って適切に配置されていない印刷材料に関するメッセージを受信することが可能である。
【0094】
主制御装置に対する印刷ヘッドの位置の直接的フィードバックは、主制御装置が印刷ヘッドの移動経路に直接影響を与えることを可能にする。例えば、物体の外部で印刷ヘッドを加速および減速することが可能であるので、印刷ヘッドは、印刷材料が配置される実際の印刷動作中、物体に対して一定速度で動く。したがって、特に高速では、共鳴または振動を避けること、または減らすことが可能であり、結果として、より質の高い物体をもたらす。物体の外部における加速がアイドル状態の運転におけるより短い無駄時間をもたらし、このことが印刷に必要な時間を短くし、その結果、物体当たりの印刷コストを下げる。
【0095】
UV/VISにより硬化する印刷材料が使用される場合、3D印刷デバイスは、好ましくは、UV/VIS源を含む。位置選択的な曝露の場合、UV/VIS源は、ベースプレートに対して可動であるように、および物体の選択された領域のみを照らすように構成される。全エリアの曝露の場合、一変形例において、物体全体または物体の材料層全体が一度にすべて曝露されるように、UV/VIS源が構成される。好ましい変形例において、UV/VIS源の光の強さまたはUV/VIS源のエネルギーが可変的に調節されることが可能であるように、および、UV/VIS源が任意の時点で物体のサブ領域のみを曝露するようにUV/VIS源が設計され、任意選択的に異なる強度で、物体全体がUV/VIS光に曝露されることが可能であるような手法で、物体に対してUV/VIS源を動かすことが可能である。例えば、UV/VIS源は、この目的において、UV/VIS LEDバーとして構成され、物体に対してまたは印刷された物体上で動かされる。
【0096】
好ましくは、3D印刷デバイスは、少なくとも1つの印刷ヘッドの放出デバイスの自動クリーニングを可能にするクリーニングステーションを備える。印刷ヘッドの位置の継続的な決定の結果として物体の製造中に、クリーニングがさらに実行されることが可能である。この目的において、印刷が中断され、印刷ヘッドがクリーニングステーションまで動かされる。洗浄作業を実行した後、印刷ヘッドは、印刷材料が配置される次の位置まで正確に案内されて、印刷動作が継続される。
【0097】
図は本発明の実用的な例を示すが、図は本発明の主題を概略的に示すにすぎない。図を参照しながら以下で提示および説明される実用的な例は、本発明の主題に関する限定とみなされてはならない。請求項の範囲内において可能な多数の変更が当業者に明らかである。