特許第6640377号(P6640377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6640377
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】三次元の物体を生成する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/30 20170101AFI20200127BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20200127BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20200127BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20200127BHJP
【FI】
   B29C64/30
   B29C64/124
   B29C64/264
   B33Y10/00
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-552096(P2018-552096)
(86)(22)【出願日】2016年12月21日
(65)【公表番号】特表2019-500254(P2019-500254A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】AT2016060133
(87)【国際公開番号】WO2017106895
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2018年8月15日
(31)【優先権主張番号】A51097/2015
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】518222424
【氏名又は名称】シュタッドルマン、クラウス
【氏名又は名称原語表記】STADLMANN,Klaus
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】シュタッドルマン、クラウス
【審査官】 神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−113294(JP,A)
【文献】 特表2009−542484(JP,A)
【文献】 特開2010−179496(JP,A)
【文献】 特表平06−503764(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0102531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性材料(9)が照射によって硬化される、ステレオリソグラフィのプロセスで三次元の物体(60,70)を生成する方法であって
参照層の表面で前記感光性材料(9)が照射によって硬化されて生成される層が、前記参照層と生成された層が付着すべき支持面との相対運動によって前記参照層から分離され、固化のための新たな感光性材料が直近に形成された材料と前記参照層との間に追加供給され、この追加供給された感光性材料を照射によって再度硬化し、これを繰り返して所望の三次元のオブジェクトを生成する方法において、
測定放射が参照層(80)へ入射され、内面反射によって大半の部分が前記参照層(80)の内部にとどまり、前記参照層(80)の変形により内部の反射が乱されて、前記測定放射が前記参照層(80)から外に出て、前記測定放射がセンサ(5)によって位置解像式かつ時間解像式に検出され、
前記参照層(80)は柔軟であり、前記測定放射に対して少なくとも部分的に透過性であり、
前記センサ(5)は前記参照層(80)の下方で前記測定放射を検出することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記センサ(5)は発生する前記測定放射を同時に複数の測定領域で検出することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記参照層(80)はシリコンからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記参照層(80)の内部で全反射が生じることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記測定放射として赤外放射が用いられることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記センサ(5)としてカメラが用いられることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記センサ(5)として、ステレオリソグラフィのプロセスで生じる重合熱を検出する赤外検出器が用いられることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記センサ(5)は前記参照層(80)全体を検出することを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、感光性材料の層ごとの硬化によって三次元の物体を製造するためのステレオリソグラフィ装置、および位置解像式・時間解像式の測定方式によって製造プロセスを迅速化する方法に関し、この装置は次のものを含む。
【0002】
−参照層、
−硬化のために必要な固有の放射を生成するための放射源、
−センサ、および
−測定放射を生成するための少なくとも1つの受動的な放射源。
【0003】
さらに具体的には、本発明は、感光性材料が放射によって硬化される、ステレオリソグラフィのプロセスで三次元の物体を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ステレオリソグラフィ設備では、感光性の液体が、たとえば紫外放射などの適当な放射の作用によって、三次元の物体の層へと転換される。たとえば特許文献1を参照。本発明は、このような種類の設備で採用することができる光学式の測定法によって、このようなステレオリソグラフィのプロセスの迅速化に取り組む。
【0005】
ステレオリソグラフィとは、通常、個々の層フォーメーションを並べ合わせることで、三次元の物体を生成することを可能にするプロセスを意味する。このような基本的な原理は、ラピッドプロトタイピング、3Dプリント、ジェネレーティブ製造などの概念でも知られる。
【0006】
ステレオリソグラフィのプロセスでは、制御可能なレーザ源の他、デジタル式のマスク露光システム、いわゆるMEMSチップやDLPチップ、あるいはディスプレイの利用によって層フォーメーションを生成する放射源も利用される。ピクセルベースの露光システムにおける利点は、全体の層フォーメーションが1回で生成されることにあり、レーザベースのシステムでは、レーザビームが層のジオメトリを巡回しなければならない。このとき感光性材料の硬化は参照層または参照平面で行われる。これは底面の表面またはその他の適当な定義された面であってよく、その面は用途に応じて固体状に、柔軟に、または液体状に構成されていてよい。層を固化させた後、この層を、参照層と、生成された層が付着するべき支持面との間の相対運動によって、できる限り保全的に参照層から分離しなければならない。生成された層の分離が成功した後、固化のために適当な新しい材料が、参照層と、直近に形成された層との間へ追加供給される。このことは、たとえば支持面の単純な往復運動によって確保することができる。次いで、追加流入した感光性材料を照射によって再度硬化させることができる。所望の三次元のオブジェクトを生成するために、物体またはオブジェクトを形成するのに必要なすべての層が生成されるまで、上述した個々の方法ステップが繰り返される。
【0007】
このようなステレオリソグラフィプロセスの欠点は、長いプロセス時間と、層の分離中に発生する待機時間にある。これらの時間がプロセス時間全体の大半を占める。さらに、露光エラーを認識することができず、支持面への付着を生じさせることができないという欠点がある。また、設備のスタート地点およびゼロ地点の設定にも問題がある。
【0008】
従来技術より、ステレオリソグラフィプロセスでの生成された層の分離中における参照層からの剥離力を、支持体プラットフォームで積分測定することが知られている。このような種類の方法の一例が特許文献2に記載されており、製作プラットフォームまたは支持体プラットフォームに力測定センサが取り付けられる。このセンサは、形成されたばかりのコンポーネント層またはコンポーネントが、参照層から外されるときに生じる剥離力の測定を可能にする。それにより、製作プロセスを迅速化することができる。たとえば歪ゲージとして施工することができる特許文献2に記載された力センサは、記載されている構造では、生起された層で剥離時に生成される力の合計を測定する。その場合の欠点は、複数のコンポーネント層の分離時に生じる力の合計しか検出することができず、特定のコンポーネントまたは特定の層の分離力は検出できないことにある。また、全体として発生する分離力を時間の関数として検出することしかできない。さらに、個々の物体の層ジオメトリに対する力の依存性に関する情報提供や帰納を行うことができず、そのため、複数の物体が同時に生起されるケースでは、すべての物体が確実かつ全面的に作成されているか否かに関する情報提供も行えない。その上、公知の方法では、層または物体の重合プロセスに関する帰納を導き出すことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第2173538B1号明細書
【特許文献2】欧州特許第2043845B1号明細書
【発明の概要】
【0010】
したがって本発明の課題は、改良された技術(装置、方法)によって上に挙げた欠点を取り除き、簡素で迅速で障害がなく連続的で経済的かつ自己検証型の、三次元の物体の生成を可能にすることにある。
【0011】
さらに具体的には本発明の課題は、プロセス状態に関する正確な情報提供が継続して可能であり、1回のステレオリソグラフィのプロセスで複数の物体の生成が同時に可能となり、個々のプロセスまたは生成される物体/層の状態もそのつど可能となる、冒頭に述べた方法を提供することにある。さらに具体的には、参照面/参照層と、そのつど形成される層との間の相互作用を検出できるようにすることが意図される。
【0012】
本発明によると、三次元の物体を生成する本方法は、特に、測定放射が参照層へ入力結合され、内面反射によって大半の部分が参照層の内部にとどまり、測定放射がセンサによって位置解像式かつ時間解像式に検出されることを特徴とする。このような方式により、層生成プロセスを、すなわち3D印刷法またはその進行を、事実上、点状または領域ごとに継続して監視して検出し、その際に、特に不必要な待機時間も回避することが可能である。
【0013】
このとき、参照層の変形によって内面反射が乱されて、測定放射が参照層から外に出ると特別に好ましい。このようにして、特別に正確なプロセス進行の検出を、特に領域ごとにも可能である。
【0014】
測定を改善するために、センサが、発生する測定放射を同時に複数の測定領域で検出するとさらに好都合である。
【0015】
測定の実施のために、参照層が柔軟であり、測定放射に対して少なくとも部分的に透過性であるのも好ましい。参照層の柔軟な構成の帰結として、力が作用したときにこの参照層の変形がもたらされ、それによって測定放射が正確な測定の観点から影響を受ける。
【0016】
さらに、参照層がシリコンからなると特別に好ましい成果を得ることができる。また、参照層の内部で全反射が生じると測定の実施にとって好都合である。
【0017】
最後に、本方法の1つの特別に好ましい実施形態は、測定放射として赤外放射が用いられることを特徴とする。このようにして、少なくとも1つの物体の層の固化中に参照層で生じる熱放射を検出するためにセンサが追加的に設計されていれば、硬化を好ましくコントロールすることができる。
【0018】
本方法またはこれに対応するステレオリソグラフィ装置では、少なくとも2つの測定放射源、すなわち受動的な放射源と、少なくとも1つの付属の測定センサとが設けられていてよい。
【0019】
さらに本発明によると、参照層から出力結合される位置依存的かつ時間依存的な測定放射が検出されることで、光反応性物質の内部での中間段階の存在を少なくとも定性的に帰納することができる。少なくとも1つの阻害剤(たとえば酸素)によって少なくとも部分的に反応性を有さないか、または非常にわずかな反応性しか有さないこの中間段階は、一種の「内部の」潤滑膜を構成する。それにより、プロセス中に通常発生する付着力を大幅に低減し、および/またはほぼ完全に低減することができる。外に出る測定放射は付着力と関連しているので、本発明の方式により、プロセス中に中間段階の存在を位置解像式かつ時間解像式に帰納することができる。
【0020】
次に、好ましい実施例を参照しながら、図面を援用した上で本発明をさらに詳しく説明する。具体的には、図面には模式的な形で次のものが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本方法を図解するためにステレオリソグラフィ設備の一例を示す模式図である。
図2】上記に対して改変されたステレオリソグラフィ設備を示す図である。
図3】散乱放射の測定を図解する目的のために1つの構造を示す原理図である。
図3a図3に対して簡素化された構造である。
図4】受動的な(測定)放射源の変化した位置を有する別の実施形態である。
図4a図4に示す実施形態であるが、別個の底面がない。
図5】センサにより検出される放射情報の一例を模式的に示す図である。
図6】設備の一部の断面を改良された測定構造とともに模式的に示す図である。
図7a】中間段階の存在を決定するための測定構造の原理図であり、たとえば力が非常に小さいことを想定することができる。
図7b】中間段階が高さhを有している原理図であり、このときh<Hであり、測定放射が出力結合される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、一例として、ステレオリソグラフィ設備1の実施例を部分的に断面図で示しており、この設備1は、1つまたは複数の三次元の物体3(図2図4も参照)を個々の層から製造する役目を果たすものであり、これらの層は、収容スペース14を形成する液槽2の中にある感光性材料9の領域ごとの固化により、化学線の放射によって硬化される。収容スペース14にある感光性材料9は液体状であり、ここでは「液体状」という概念は、懸濁液やペースト状の物質も含めて、任意の粘性を有する液体を意味する。
【0023】
1つまたは複数の受動的な放射源10,11は、参照層80の変形によって生じる放射差を少なくとも1つのセンサ5により検出できるように配置されている。図1によると、底面8と参照層80とが付属の壁部を含めて、感光性の液体状の材料9のための収容スペース14としての役目を果たす液槽2を形成する。「受動的な放射源」とは、ここでは測定手段としての役目を果たす放射源を意味し、その放射は強度および/または適用される波長によって、感光性材料9を固化させることができない。制御可能な放射源、特に光源60はたとえば液槽2の下方に配置され、光源60の放出されるビームがたとえばミラー7により方向転換される。このときミラー7は、光源60の放射だけを反射するが、それ以外の波長領域については透過性であるように施工されていてよい。放射源60には、図1では一例として光学素子61が、たとえばレンズが前置されており、こうして形成される放射ユニットが全体として符号6で表されている。放射源60は、たとえば通常の光、あるいは赤外放射または紫外放射を放出することができる。
【0024】
支持面4は、たとえばステッピングモータ駆動装置などのアクチュエータ12によって、収容スペース14に対して動かすことができる。液槽12は、たとえば1つまたは複数の受動的な光源10,11に対して、および放射ユニット6に対して、ステレオリソグラフィ設備へ組み込まれたときに正確にアライメントされてセンタリングされ、測定方式にとって好ましい特定の位置を、設備スペース15にある1つまたは複数の受動的な光源10,11に対して占めることができるように施工されるのが好ましい。センサ5も、測定方式にとって有意義な任意の位置を設備スペース15の内部で占めることができるのが好ましい。液槽2そのものが、同じく、受動的な光源10または11の光路を方向転換させることができるように構成されていてもよい。図6も参照。それは、そのようにしてたとえば特定の実施形態で、受動的な光源10,11の省スペースな配置を可能にするためである。
【0025】
図1によれば、受動的な放射は側方から参照層80へ入力結合され、それにより、たとえば内部の全反射(図3参照)によって参照層80の内部で均等に伝搬する。制御装置13、たとえば制御コンピュータが、支持面4の運動を制御し、かつ設備1で物体3を製造するために必要であるプロセス進行全体を、光源60または6を含めて制御し、少なくとも1つのセンサ5を通じて受動的な測定放射を検出し、これを評価する。
【0026】
図2は、図1と対比させた上で、受動的な放射源110,111が液槽2の下方で設備スペース15にあり、液槽2の下面を照射し、かつ好ましくは均等に照明する、ステレオリソグラフィ設備101の実施態様を示している。ここでは少なくとも1つのセンサ5は同じく設備スペース15にあり、少なくとも参照面80および場合により底面8により形成される液槽2の下面からの反射または散乱放射を検出する。この実施形態では、受動的な放射は必ずしも参照層80または液槽2へ入力結合されるわけではなく、液槽2は受動的な放射に対して完全に透過性でなくてもよく、受動的な放射についてある程度の参照層80の反射能力が与えられているだけでよい。
【0027】
図1および図2の実施形態とは異なり、たとえば設備1は、放射源5により誘起される発熱固化プロセスを検出することができるセンサ5を有することもできる。このことは、たとえば形成される層30,31,32の重合状態の少なくとも部分的な検出を可能にし、センサ5による放射の記録によって、たとえば生成される層30,31,32の考えられる分離プロセスの帰納を得ることができる。
【0028】
図3は、2つの物体60,70が生成される収容スペース14のディテール断面図を示す。この図3では、より良い理解のために、参照層80およびこれに入力結合されて内部の全反射により搬送される受動的な放射源10,11の受動的な放射が、一例としてのジグザグ状の幾何学的な光路を用いて模式的に図示されている。図3は、分離力F1およびF2によって物体60または61で生成される、弾性的な参照層80の変形も示している。ここでは−任意選択の−底面8は、弾性的な参照面80の支持部としての役目を果たすにすぎない。分離力F1およびF2は、図示した図面では等しくない。物体60は物体70よりもはるかに大きい断面積を有するからであり、それに伴って本例ではF1>F2が成り立ち、その帰結として参照層80の変形もそれぞれ相違する。
【0029】
このように相違する変形によって、参照層80の内部での全反射も位置依存的に乱され、それに応じて参照層80からの放射40,50は、そのつど生じている分離力F1,F2に対して何らかの比率で出力結合される。ここでは受動的な光源10,11の位置は、参照層80の内部での全反射の最善の調整のために、たとえば角度αだけ設備スペース15で位置決めすることができるが、当然ながら、受動的な放射源10,11をあらゆる空間座標で自由に位置決めすることもできる。このときセンサ5は、たとえばそれぞれの力F1またはF2に依存する散乱放射40または50の位置および時間的挙動(強度推移)を検出する。
【0030】
図3aは、別個の底面8のない設備1の実施形態を、同じく模式的な断面図として示している。ここでは弾性的な参照層80が、同時に液槽2の底面を形成する。このことは、この図3に示す散乱放射40,50が他の層によって減衰されないという利点を提供する。それに加えて、参照層80をその弾性と厚みに関して、感光性の液体9に対して液槽2(図1および図2)の所望の支持力が生じるように施工することができ、すなわちそれは、物体60,70の分離を促進して分離力F1,F2を最小化する、参照層80の同時の「隔膜状の」挙動においてである。たとえば比較的厚い参照層80を通しても、受動的な放射をこの参照層80へいっそう容易に入力結合することができ、設備スペース15(図2参照)における液槽2または受動的な放射源10,11の位置を、いっそう低い精度で調整すればよくなる。
【0031】
図4は、受動的な放射源110,111が液槽2の下方で設備スペース15の位置に配置され、少なくとも参照層80および任意選択の底面8を程度の差こそあれ均等に照明する、設備の収容スペース14の同じく断面図を図示している。1つまたは複数の形成される物体60または70の断面積に依存する分離力F1,F2により、少なくとも図示しているように弾性的な参照層80が変形する。図面では、物体60が物体70よりも大きい断面積を有しており、それに伴って、分離力F1が分離力F2よりも大きいと想定できることが、一例として同じく図示されている。分離力F1,F2によって、弾性的な参照層80が同じく位置依存的に変形し、少なくとも参照層80の変形の大きさに応じて、受動的な放射源110,111による照明の変化が生じる。変形により、液槽2または参照層80および/もしくは底面8の異なる時間的および位置依存的な反射挙動が引き起こされ、これを同じくセンサ5によって検出することができる。
【0032】
図4aは、図4の設備を前提とする実施態様を示しており、図3との対比における図3aのケースと同じく、やはり底面8は省略されている。ここでも、参照層80は液体9および成形される物体60,70を支持するために十分に安定的であることが同じく前提とされる。さらに、図4の場合と同様に、放射源110および111のビームが符号202および203で模式的に図示されている。最後に、それぞれの放射50または40も同じく図示されている。
【0033】
図5は、センサ5により検出される、たとえば力F1,F2の作用およびそれによって生じる時間依存的かつ位置依存的な参照層80および場合により液槽2の底面の変形によって引き起こされる、受動的な放射の強度分布の位置依存的かつ時間依存的な変化を、少なくとも1つのセンサ5で検出される測定スペース15で出力結合される放射(図3図3a参照)によって、または反射(図4および図4a参照)の変化によって、一例として図示している。ここでは一例として、センサ5で検出される領域に、弾性的な参照層80の発生する変形に依存して領域61,71が生じており、これらの領域は、それぞれの物体60,70とは相違する強度分布にそれぞれ依存する。これらの強度分布が位置依存的かつ時間依存的にセンサ5により検出されて、生じている分離力F1,F2と関連付けられる。たとえばセンサ5が赤外カメラとして施工されていて、受動的な放射として赤外放射が利用される場合、センサ5は測定スペース15の特定の測定領域を画像情報またはビデオ情報として検出し、これらが横断面の幾何学的な特徴、すなわち生じている分離力F1,F2に応じた強度分布を所定の時間解像された各段階で表すか、または連続的に表す。このとき、たとえば変形が生じていない、または少しの変形しか生じていない領域72では、少ない受動的な放射がセンサ5により検出され、したがって、この放射はたとえばセンサ5により検出される全体画像の中で、たとえば弾性的な参照層80の変形が生じている領域61,71よりも暗く見える。
【0034】
ここに開示されている本発明の実施形態から、当業者が種々の改変や補足を容易に行えることは自明である。
【0035】
図6には、液槽2の下方に設けられた放射源210,211が放射を上方に向かって、同じく参照層80により形成される液槽2の底面8へ入力結合する実施形態が、部分的に図示されている液槽2とともに模式的に示されている。この参照層80では、放射源210,211の光路に、好ましくは参照面の材料から直接形成される、傾いて配置されたミラーまたは光案内部材212または213が取り付けられ、または形成され、それにより、放射源207,211から放出される測定放射を方向転換させ、その際に、底面8または参照層80へと入力結合する。このことは図6には図示されていないが、その際にこの入力結合は図3に示すのと同様に角度をもって行われ、その結果、参照層80の全反射が生じることになる(図6には図示せず)。
【0036】
その他、図1図5に示すような下側のセンサ5がやはり設けられていてよく、同様に、図1および図2に示すような制御装置13が取り付けられていてよい。
【0037】
図7aは、2つの物体60,70が生成される収容スペース14のディテール断面図を示している。感光性材料9は、図7aに示すように、中間段階9’を有している。この中間段階9’は材料9に比べて低い反応性を有する。感光性材料9における中間段階9’の形成につながるこのような反応性差は、たとえば、たとえば酸素のような化学的な阻害剤によって実現することができる。このとき中間層9’の厚みHは、図7aに示すとおり、中間層9’が分離力F1,F2の形成を完全には抑圧/阻止しないとしても、少なくとも可能な限り妨げる値(たとえば30マイクロメートル,50マイクロメートル,100マイクロメートルなど)を有する。分離力の欠如により、理想的な場合には測定放射の出力結合が生じない。したがって、十分な中間層の存在の帰納を得ることができる。
【0038】
図7bは、図7aと同じように収容スペース14のディテール断面図を示しており、この原理図では、中間層9’が厚みhを有するケースが図示されている。このとき、hはHよりも小さい(h<H)。すなわち図示した原理図では、たとえば阻害剤の消費やプロセス量によって中間層9’が限界値hまで低下した、考えられる限界事例が一例として示されており、それにより初めて測定可能な分離力F1およびF2が発生する。それにより帰納として−場合により位置解像式かつ時間解像式に−、中間層厚みの限界事例にどこで達したのかを決定することができ、それは、場合によりプロセス工学的なステップを開始して、中間層9’を相応に再生し、および/または能動的に再形成するためである。たとえばこのことは、少なくとも1つの阻害剤の追加の供給および/または増やされた供給によって、阻害剤濃度の変更(たとえば酸素が増量された空気)によって、露光エネルギー、待機時間、往復運動速度などのプロセス量の相応の変化によって、および/または休止の的確な導入によって行うことができる。
【0039】
これらの変更は単独で、または組合せで、中間層9’の高さ伸長の増加に貢献する。上述した測定方式によって、位置解像式かつ時間解像式に中間層9’の変化を検出することもでき、それは、中間層が的確に増加または再生されるべき領域でのみ行われる、たとえば阻害剤の的確な位置解像式の供給によってである。このような的確な供給は、物体の幾何学的な伸長に依存して行うこともでき、または露光面積に応じて行うこともできる。そのようにして上述した測定方式により、生起されるべき物体の伸長に依存して中間層9’の厚みを的確に、場合により局所的に検出して増やすことができる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 感光性材料(9)が放射によって硬化される、ステレオリソグラフィのプロセスで三次元の物体(60,70)を生成する方法において、測定放射が参照層(80)へ入力結合され、内面反射によって大半の部分が前記参照層(80)の内部にとどまり、測定放射がセンサ(5)によって位置解像式かつ時間解像式に検出されることを特徴とする方法。
[2] 前記参照層(80)の変形により内部の反射が乱されて、測定放射が前記参照層(80)から外に出ることを特徴とする、[1]に記載の方法。
[3] 前記センサ(5)は発生する測定放射(80)を同時に複数の測定領域で検出することを特徴とする、[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記参照層(80)は柔軟であり、測定放射に対して少なくとも部分的に透過性であることを特徴とする、[1]から[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5] 前記参照層(80)はシリコンからなることを特徴とする、[1]から[4]のいずれか1項に記載の方法。
[6] 前記参照層(80)の内部で全反射が生じることを特徴とする、[1]から[5]のいずれか1項に記載の方法。
[7] 測定放射として赤外放射が用いられることを特徴とする、[1]から[6]のいずれか1項に記載の方法。
[8] センサ(5)としてカメラ、特にCCDカメラが用いられることを特徴とする、[1]から[7]のいずれか1項に記載の方法。
[9] センサ(5)として、ステレオリソグラフィのプロセスで生じる重合熱を検出する赤外検出器が用いられることを特徴とする、[1]から[8]のいずれか1項に記載の方法。
[10] 重合熱を基礎としてプロセス状態が帰納されることを特徴とする、[9]に記載の方法。
[11] 前記センサ(5)は前記参照層(80)全体を検出することを特徴とする、[1]から[10]のいずれか1項に記載の方法。
[12] 前記センサ(5)は前記参照層(80)の下方で測定放射を検出することを特徴とする、[1]から[11]のいずれか1項に記載の方法。
図1
図2
図3
図3a)】
図4
図4a)】
図5
図6
図7a
図7b