(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0014】
本発明の表示システム1の構成を
図1に示す。
【0015】
図1(a)は、表示システム1を構成する表示装置11〜19の設定及び配線を示している。
【0016】
表示装置11〜19には、LAN(Local Area Network)ケーブルやRS−232C(Recommended Standard 232 version C)ケーブル等の通信ケーブルがデイジーチェーンで接続されている。また、画像信号を伝送するディスプレイケーブルも、通信ケーブルと同様にデイジーチェーンで接続されている。表示装置11には、あらかじめ識別番号ID(Identification)として「1」が付与されている。この表示装置11は、表示システム1におけるマスターディスプレイとして動作する。表示装置11に対して通信ケーブル及びディスプレイケーブルがデイジーチェーンで接続された表示装置12〜19には、接続されている順に、IDとして「2」〜「9」が付与されている。表示装置12〜19は、表示システム1におけるスレーブディスプレイとして動作する。
【0017】
表示システム1を構成する表示装置11〜19は、
図1(a)に示すように、垂直に3台、水平に3台となるように配置されている。これらの数は、「3×3」として表示装置11〜19に設定されている。そして、配置番号POSITIONとして、左上の表示装置17には「1」が付与されている。その他の表示装置11〜16,18,19には、配置に基づいて、POSITIONとして「2」〜「9」が付与されている。
【0018】
図1(b)は、表示システム1の外観を示している。表示装置11〜19には、画像Iの画像信号が入力され、表示装置11〜19全体で画像Iが表示されている。このような表示は、表示装置11〜19の上記の設定により、実現されている。例えば、表示装置11は、垂直及び水平に配置された表示装置の数「3×3」及びPOSITION「7」の設定により、画像Iを垂直及び水平にそれぞれ3分割した部分画像のうち、左下の部分画像を表示している。同様に、表示装置12〜19も、それぞれの設定により、画像Iの部分画像を表示している。
【0019】
なお、通信ケーブルやディスプレイケーブルは、必ずしもデイジーチェーンで接続されている必要はない。表示装置11〜19は、それぞれ設定情報や画像信号を受信できればよい。
【0020】
図2に、表示装置11〜19のブロック図を示す。表示装置11〜19の各々のブロック図は、一部を除き、共通している。表示装置11〜19は、制御部21、メモリ22、画像入力部23、画像出力部24、画像処理部25、表示駆動部26、表示パネル27、送受信部28を備える。表示装置11は、さらに、座標取得部29を備える。
【0021】
制御部21は、表示装置11〜19における様々な処理を行う。例えば、制御部21は、メモリ22に記憶された設定情報を参照し、画像処理部25にその設定情報に基づいた設定を行う。制御部21は、例えば、MPU(Micro−Processing Unit)である。
【0022】
メモリ22は、少なくとも表示装置の設定情報を記憶する。例えば、表示装置11のメモリ22は、表示装置11の設定情報を記憶する。また、表示装置11のメモリ22は、表示装置11以外の表示装置の設定情報をさらに記憶してもよい。メモリ22は、例えば、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリである。
【0023】
画像入力部23には、画像信号が入力される。画像入力部23には、ディスプレイケーブルが接続される。画像信号出力装置等が出力した画像信号が、ディスプレイケーブルにより伝送され、画像入力部23に入力される。
【0024】
画像出力部24は、通常、画像入力部23に入力された画像信号と同じ画像信号を出力する。画像出力部24にもディスプレイケーブルが接続され、このディスプレイケーブルは、後段の表示装置の画像入力部23に接続される。なお、画像出力部24は、画像入力部23に入力された画像信号とは異なる画像信号を出力してもよい。
【0025】
画像処理部25は、画像入力部23に入力された画像信号に基づく画像の画像処理を行う。この画像処理は、輝度や色等の画質調整や解像度変換等の信号処理であり、制御部21により設定された設定情報等に基づいて行われる。また、画像処理部25は、制御部21からOSD(On Screen Display)画像(設定画像)を表示する旨の指示を受けつけると、OSD画像を含む画像を生成する。その他、後述する配置画像も生成する。
【0026】
表示駆動部26は、画像処理部25から受け取った画像を表示パネル27に表示させる。具体的には、表示駆動部26は、表示パネル27を駆動するための信号を生成し、表示パネル27に出力する。
【0027】
表示パネル27は、画像を表示する領域として、表示領域を有する。その表示領域に、表示駆動部26から入力された信号に基づいた画像を表示する。つまり、表示パネル27は、画像処理部25が生成した画像を表示し、OSD画像を表示する。なお、表示パネル27は、例えば、液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル、プラズマディスプレイパネル等である。
【0028】
送受信部28は、表示装置の設定情報を送信又は受信する。送受信部28には、LANケーブルまたはRS−232Cケーブル等の通信ケーブルが接続される。この通信ケーブルは、後段の表示装置の送受信部28に接続される。
【0029】
座標取得部29は、表示パネル27の表示領域における座標又はこれに対応する座標を取得する。座標取得部29は、例えば、タッチパネルを備え、タッチパネルのタッチ操作に基づいて座標を取得する。また、座標取得部29は、例えば、電波を受信する電波受信部を備え、動きや位置等に応じた情報を電波で発信するリモコンから受信する電波に基づいて座標を取得する。その他、座標取得部29は、例えば、赤外光受光部を備え、リモコンが発する赤外光を受光し、受光した赤外光に基づいて座標を取得してもよい。
【0030】
図3に、表示システム1におけるマスターディスプレイの動作フローチャートを示す。なお、表示システム1におけるマスターディスプレイは、表示装置11である。この動作フローチャートは、表示システム1を構成する表示装置11〜19のうち、特定の表示装置についてのみ設定を変更したい場合に用いられる設定変更モードが選択されていることを前提とする。つまり、この動作フローチャートは、「開始」において、設定変更モードが選択されているものとする。
【0031】
まず、配置画像を表示する(ステップS31)。具体的には、マスターディスプレイの表示駆動部26は、配置画像を表示パネル27に表示させる。配置画像は、表示システムを構成する複数の表示装置の配置を示す画像である。配置画像は、例えば、画像入力部23に入力された画像信号に基づく画像全体に相当する画像である。
【0032】
次に、座標を取得したか否かを判定する(ステップS32)。具体的には、座標取得部29が座標を取得した場合には、制御部21は座標を取得したと判定する(ステップS32−YES)。また、座標取得部29が座標を取得しなかった場合には、制御部21は座標を取得しなかったと判定する(ステップS32−NO)。
【0033】
座標を取得した場合には(ステップS32−YES)、座標により特定される表示装置の設定画像を表示する(ステップS33)。具体的には、表示装置11〜19のうち、座標により特定される表示装置(すなわち、選択された表示装置)のOSD画像を、マスターディスプレイの表示パネル27に表示させる。このOSD画像は、特定された表示装置の設定情報に基づいて、マスターディスプレイの画像処理部25が生成する。選択された表示装置の送受信部28は、マスターディスプレイからの要求を受信した場合に、設定情報をマスターディスプレイへ送信する。マスターディスプレイからの要求は、表示装置を選択した際、またはそれ以前に送信される。なお、選択された表示装置のOSD画像は、選択された表示装置等、マスターディスプレイ以外の表示装置が生成してもよい。
【0034】
なお、座標取得部29により取得される座標は、表示パネル27に表示された配置画像における位置に対応する座標である。この座標は、例えば、配置画像における座標である。また、タッチパネル等における位置を示す座標であってもよい。
【0035】
次に、設定情報が変更されたか否かを判定する(ステップS34)。マスターディスプレイの表示パネル27に表示されたOSD画像には、特定された表示装置の設定情報が含まれている。ユーザは、このOSD画像を見ながら座標を入力する等により、この設定情報を変更することができる。S34において、マスターディスプレイの制御部21は、設定情報が変更されたか否かを判定する。
【0036】
設定情報が変更された場合には(ステップS34−YES)、特定された表示装置へ、変更された設定情報を送信する(ステップS35)。具体的には、マスターディスプレイの制御部21は、送受信部28に変更された設定情報を送信させる。送信される設定情報には、特定された表示装置を示す情報が添付される。
【0037】
一方、設定情報が変更されなかった場合には(ステップS34−NO)、S35を行わない。
【0038】
次に、設定情報の変更が終了したか否かを判定する(ステップS36)。マスターディスプレイの制御部21は、例えば、設定情報の変更を終了する旨の指示を受けつけた場合に、設定情報の変更が終了したと判定する。その他、表示装置11の制御部21は、表示されていたOSD画像を非表示にする旨の指示を受けつけた場合に、設定情報の変更が終了したと判定してもよい。
【0039】
設定情報の変更は終了した場合(ステップS36−YES)、設定画像を非表示にする(ステップS37)。具体的には、マスターディスプレイの表示パネル27に表示していたOSD画像を非表示にする。
【0040】
一方、設定情報の変更は終了していない場合(ステップS36−NO)、S34に戻る。
【0041】
次に、表示システムの調整は終了したか否かを判定する(ステップS38)。具体的には、マスターディスプレイの制御部21が、設定変更モードを終了する旨の指示を受けつけた場合に、表示システム1の調整は終了したと判定する(ステップS38−YES)。
【0042】
表示システムの調整が終了した場合には(ステップS38−YES)、割り当てられた画像を表示する(ステップS39)。具体的には、マスターディスプレイの表示パネル27には、画像信号に基づく画像の一部に相当する画像を表示する。
【0043】
一方、表示システムの調整が終了していない場合には(ステップS38−NO)、S32に戻る。
【0044】
なお、上記のS32,S34,S36,S38において、それぞれの判定は行わなくてもよい。判定を行わない場合も、判定を行う場合と同様に、S32,S34,S36,S38のそれぞれの条件にしたがって、
図3の動作フローチャートに記載された後続の動作を行うものとする。
【0045】
次に、
図4に、表示システム1においてスレーブディスプレイの動作フローチャートを示す。表示システム1におけるスレーブディスプレイは、表示装置12〜19である。
【0046】
この動作フローチャートは、表示装置11において上記の設定変更モードが選択されていることを前提とする。つまり、この動作フローチャートは、「開始」において、設定変更モードが選択されたものとして説明する。なお、スレーブディスプレイにおいて、設定変更モードはなくてもよい。スレーブディスプレイにおいて設定変更モードがなくても、スレーブディスプレイは
図4の動作フローチャートにしたがって動作すればよい。
【0047】
まず、設定情報を受信したか否かを判定する(ステップS41)。具体的には、上記のS35において送信された設定情報を、スレーブディスプレイの送受信部27が受信したか否かを判定する。
【0048】
設定情報を受信した場合には(ステップS41−YES)、特定された表示装置であるか否かを判定する(ステップS42)。具体的には、上記のS35において送信された設定情報に添付された情報に基づいて、スレーブディスプレイの制御部21は、特定された表示装置であるか否かを判定する。
【0049】
特定された表示装置である場合には(ステップS42−YES)、設定情報を変更する(ステップS43)。具体的には、スレーブディスプレイの制御部21は、送受信部28が受信した設定情報をメモリ22に記憶させ、さらに画像処理部25にその設定情報に基づいた設定を行う。その結果、スレーブディスプレイは、受信した設定情報に基づいて表示パネル27に画像を表示する。
【0050】
なお、設定情報を受信しなかった場合(ステップS41−NO)や、特定された表示装置ではない場合には(ステップS42−NO)、S41に戻る。
【0051】
図5に、表示システム1の動作例を示す。以下では、表示装置11の座標取得部29は、タッチパネルを備えているものとして説明する。
【0052】
図5(a)に、設定変更モードが選択された場合の初期状態を示す。
【0053】
マスターディスプレイである表示装置11は、配置画像を表示している(ステップS31)。配置画像は、表示システム1全体で表示する画像Iと同じ画像に、ガイド線が重畳された画像である。このガイド線は、表示システム1において垂直及び水平に配置された表示装置の数「3×3」に基づいて、垂直及び水平にそれぞれ3分割するガイド線である。
【0054】
表示装置11に表示された画像Iのうち、「4」の表示された領域11aを指Fでタッチ操作した場合には(ステップS32)、表示装置11の制御部21は、表示装置16が特定されたものと判断する。
【0055】
図5(b)に、設定変更モードにおいて、表示装置16が特定された状態を示す。この状態においては、表示装置11の領域11aに、表示装置16のOSD画像50が表示されている(ステップS33)。なお、表示装置16にはOSD画像が表示されていないが、表示されていてもよい。
【0056】
OSD画像50には、表示装置16の設定情報が含まれている。この設定情報は、表示装置16の送受信部28が送信し、表示装置11の送受信部28が受信した情報である。ユーザは、表示装置11へのタッチ操作等により、OSD画像50を見ながら、表示装置16の設定情報を変更することができる。
【0057】
表示装置16の設定情報が変更されると(ステップS34−YES)、表示装置11の送受信部28は、特定された表示装置である表示装置16へ、変更された設定情報を送信する(ステップS35)。送信された設定情報には、特定された表示装置である表示装置16を示す情報が添付される。
【0058】
スレーブディスプレイである表示装置12〜19の送受信部28は、表示装置11が送信した設定情報を受信する(ステップS41−YES)。設定情報に添付された情報から、表示装置16のみが特定された表示装置であると判定する(ステップS42−YES)。一方、表示装置12〜15、17〜19は、特定された表示装置ではないと判定する(ステップS42−NO)。
【0059】
そして、表示装置16の制御部21は、受信した設定情報をメモリ22に記憶させるとともに、画像処理部25に設定情報を設定する。その結果、表示装置16は、受信した設定情報に基づいて表示パネル27に画像を表示する。
【0060】
なお、表示装置16の設定情報の変更が終了した場合には(ステップS36−YES)、表示装置11に表示されていたOSD画像50は非表示となり(ステップS37)、
図5(a)に示した表示状態となる。さらに、表示システム1の調整が終了した場合(ステップS38−YES)、つまり、マスターディスプレイである表示装置11において設定変更モードが選択されなくなった場合には、表示装置11は割り当てられた画像を表示する(ステップS39)。つまり、
図1(b)に示した表示状態となる。
【0061】
なお、マスターディスプレイである表示装置11は、設定変更モードが選択された場合に、スレーブディスプレイである表示装置12〜19のそれぞれの設定情報に基づいて、画像を表示してもよい。この場合、表示装置11は、設定変更モードが選択された際またはそれ以前に、スレーブディスプレイである表示装置12〜19へ要求を送信し、それぞれの設定情報を受信する。そして、表示装置11は、画像Iを垂直及び水平にそれぞれ3分割した部分画像を、それぞれの設定情報又は変更された設定情報に基づいて表示する。
【0062】
このように、本発明の表示システム1においては、設定変更モードが選択された表示装置11は、表示システム1全体で表示する画像Iと同じ画像を表示する。また、表示装置11は、タッチパネル等を含む座標取得部29を有している。そのため、ユーザは、表示装置11に表示された画像を見ながら、表示装置11へのタッチ操作等により座標を指定すれば、設定変更したい表示装置を簡便に選択することができる。
【0063】
また、表示装置を選択すると、設定画像は表示装置11に表示される。そのため、ユーザは、表示装置11に表示された設定画像を見ながら、表示装置11へのタッチ操作等により、選択した表示装置の設定変更を行うことができる。
【0064】
さらに、選択した表示装置の設定画像は、選択した表示装置の配置に対応する表示領域に表示される。そのため、ユーザは、設定変更する表示装置を簡単に認識することができる。
【0065】
したがって、本発明の表示システムにより、表示システムを構成する複数の表示装置のうち、特定の表示装置の設定の変更を快適に行うことができる。
【0066】
次に、本発明の表示装置60について説明する。表示装置60は、表示システムを構成する複数の表示装置のうち、マスターディスプレイとして動作する表示装置である。
【0067】
図6に、表示装置60のブロック図を示す。表示装置60は、表示パネル61、受信部62、及び座標取得部63を備える。
【0068】
表示パネル61は、表示パネル27と同様のものである。表示パネル61は、画像を表示する。
【0069】
受信部62は、送受信部28と同様のものである。受信部62は、他の表示装置の設定情報を受信する。
【0070】
座標取得部63は、座標取得部29と同様のものである。座標取得部63は、座標を取得する。
【0071】
図7に、表示装置60の動作フローチャートを示す。
【0072】
まず、座標を取得する(ステップS71)。具体的には、座標取得部63が座標を取得する。
【0073】
次に、座標により特定される表示装置の設定情報を受信する(ステップS72)。具体的には、受信部62は、特定される表示装置の設定情報を受信する。
【0074】
なお、S71及びS72の順番は、逆であってもよい。つまり、座標を取得する前に、あらかじめ、表示システムを構成する複数の表示装置の設定情報を受信していてもよい。
【0075】
そして、座標により特定される表示装置の設定画像を表示する(ステップS73)。具体的には、表示パネル61は、特定された表示装置の設定情報を示す設定画像を表示する。
【0076】
このように、本発明の表示装置60は、表示装置60に指定した座標により特定される他の表示装置の設定画像を表示する。そのため、ユーザは、設定変更したい表示装置を簡便に選択でき、その設定情報を同じ表示装置において閲覧することができる。これにより、ユーザは、表示装置60に表示された画像を見ながら、表示装置60へのタッチ操作等により、選択した表示装置の設定変更を行うことができる。
【0077】
したがって、本発明の表示装置により、表示システムを構成する複数の表示装置のうち、特定の表示装置の設定の変更を快適に行うことができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について提示し、詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱しない限り、さまざまな変更及び修正が可能である。