(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
規制部は、前記配線・配管材の外面への係合手段、摩擦手段、接着手段、突刺手段及び挟圧手段のいずれか1つ又はこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1に記載の配線・配管材支持具。
前記対をなす挟持片は、互いに交差するように前記各可動片から対向方向にそれぞれ延出し、前記各挟持片は、前記各可動片が対向する前記ワイヤの側面と反対側の側面に当接可能であり、
前記対をなす挟持片は、前記一対の可動片が離隔位置に変位すると前記ワイヤを両側から挟持し、前記一対の可動片が近接位置に変位すると前記ワイヤの挟圧を緩めるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の配線・配管材支持具。
前記保持体は、前記取着体に回動式に連結される基端、及び、前記取着体に着脱自在に連結される自由端を有し、前記保持体の自由端が前記取着体のロック部にロックされたときに前記保持体及び前記取着体が協働して前記配線・配管材を周方向に包囲して前記配線・配管材を吊下げ保持することを特徴とする請求項4に記載の配線・配管材支持具。
前記保持体は、前記ロック部にロックされたときに弾性変形するように構成され、前記保持体及び前記取着体が前記配線・配管材を包囲して前記保持体が前記ロック部にロックされた状態で、前記保持体の弾性復帰力によって、前記ワイヤの挟圧力を高める方向に前記可動片が付勢されることを特徴とする請求項5に記載の配線・配管材支持具。
長尺のワイヤと、前記ワイヤに沿って配管され、長尺方向に交互に連続する凹凸を有する波付管と、前記ワイヤに取着されるとともに前記波付管を吊持つ配線・配管材支持具とからなる配設装置であって、
前記配線・配管材支持具は、前記ワイヤの所定位置に固定される取着体と、前記取着体に連結されて波付管を吊り持つ保持体とからなり、
前記取着体は、前記ワイヤを挟んで互いに対向するとともに対向方向に相対的に変位可能な一対で構成された可動片、及び、前記可動片の変位に従って変位するように前記可動片のそれぞれに連設され、前記可動片の変位に従って挟持部でワイヤ外面を挟圧する挟持片を備え、
前記保持体は、前記配線・配管材を保持する保持部、及び、吊り持つ前記波付管外面の凹凸に係合し、前記波付管の長尺方向への移動を規制する規制部を備え、
前記規制部による規制を維持した状態で前記挟持部による前記ワイヤの挟圧を緩めることが可能であることを特徴とする配設装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来の配線・配管装置では、配線・配管材(ケーブル)が張架線に対して固定されないので、螺旋状ハンガ内の環の間で配線・配管材のたるみが発生し易い。そして、張架線に配線・配管材を添設した後、このたるみを解消するために配線・配管材を長尺方向に引っ張ることが行われる。しかしながら、螺旋状ハンガと配線・配管材との間に少なからず摩擦力が発生し、配線・配管材を螺旋状ハンガや張架線に対して、長尺方向に滑らかに移動させることができない。それ故、このようなたるみを解消する作業は非常に厄介なものであった。特には、配線・配管材が波付管(保護管)である場合、波付管の外面の凹部が螺旋状ハンガに嵌まり込んで、配線・配管材の長尺方向への移動が螺旋状ハンガによって規制される。そのため、波付管と螺旋状ハンガとの係合を解除すべく、波付管を持ち上げなくてはならず、たるみの解消作業がより一層困難であった。さらには、このように波付管と螺旋状ハンガとが係合した状態で、波付管を強く引っ張ると、螺旋状ハンガが変形して、配線・配管材構造自体が損傷する虞もあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、配線・配管材を空中で配設し、配線・配管材のたるみを容易に解消可能とする配線・配管材支持具、及び、配設装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の配線・配管材支持具は、長尺のワイヤの所定位置に固定される取着体と、取着体に連結されて配線・配管材を吊り持つ保持体とからなる配線・配管材支持具であって、
取着体は、
ワイヤを挟んで互いに対向するとともに対向方向に相対的に変位可能な一対で構成された可動片、及び、可動片の変位に従って変位するように可動片のそれぞれに連設され、可動片の変位に従って挟持部でワイヤ外面を挟圧する挟持片を備え、
保持体は、配線・配管材を保持する保持部、及び、吊り持つ配線・配管材の外面に作用して配線・配管材の長尺方向への移動を規制する規制部を備え、
規制部による規制を維持した状態で挟持部によるワイヤの挟圧を緩めることが可能であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の配線・配管材支持具は、請求項1又は2に記載の配線・配管材支持具において、規制部は、保持部に一体的に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の配線・配管材支持具は、請求項1から3のいずれか一項に記載の配線・配管材支持具において、取着体は、変位可能に構成された可動片、及び、前記挟持部が形成されるとともに、可動片の変位に従って変位するように可動片に連設された挟持片を備え、
可動片は、ワイヤを挟んで互いに対向するとともに対向方向に相対的に変位可能な一対で構成され、一対の可動片に挟持片がそれぞれ形成され、
対をなす挟持片は、互いに交差するように各可動片から対向方向にそれぞれ延出し、各挟持片は、各可動片が対向するワイヤの側面と反対側の側面に当接可能であり、
対をなす挟持片は、一対の可動片が離隔位置に変位するとワイヤを両側から挟持し、一対の可動片が近接位置に変位するとワイヤの挟圧を緩めるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の配線・配管材支持具は、請求項1から3のいずれか一項に記載の配線・配管材支持具において
、
対をなす挟持片は、互いに交差するように各可動片から対向方向にそれぞれ延出し、各挟持片は、各可動片が対向するワイヤの側面と反対側の側面に当接可能であり、
対をなす挟持片は、一対の可動片が離隔位置に変位するとワイヤを両側から挟持し、一対の可動片が近接位置に変位するとワイヤの挟圧を緩めるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の配線・配管材支持具は、請求項5に記載の配線・配管材支持具において、メッセンジャーワイヤは、鋼製の軸部と、該軸部を被覆する軟質合成樹脂製の被覆部とからなり、
保護管は、屈曲可能な可撓性を有する合成樹脂製の長尺体であり、
結合手段は、メッセンジャーワイヤがガイド部により保護管に添設された状態で被覆部と保護管とを接着することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の配設装置は、長尺のワイヤと、ワイヤに沿って配管され、長尺方向に交互に連続する凹凸を有する波付管と、ワイヤに取着されるとともに波付管を吊持つ配線・配管材支持具とからなる配設装置であって、
配線・配管材支持具は、ワイヤの所定位置に固定される取着体と、取着体に連結されて波付管を吊り持つ保持体とからなり、
取着体は、ワイヤ外面を挟圧する挟持部を備え、
保持体は、配線・配管材を保持する保持部、及び、吊り持つ波付管外面の凹凸に係合し、波付管の長尺方向への移動を規制する規制部を備え、
規制部による規制を維持した状態で挟持部によるワイヤの挟圧を緩めることが可能であることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の配設装置は、長尺のワイヤと、ワイヤに沿って配管され、長尺方向に交互に連続する凹凸を有する波付管と、ワイヤに取着されるとともに波付管を吊持つ配線・配管材支持具とからなる配設装置であって、
配線・配管材支持具は、ワイヤの所定位置に固定される取着体と、取着体に連結されて波付管を吊り持つ保持体とからなり、
取着体は、
ワイヤを挟んで互いに対向するとともに対向方向に相対的に変位可能な一対で構成された可動片、及び、可動片の変位に従って変位するように可動片のそれぞれに連設され、可動片の変位に従って挟持部でワイヤ外面を挟圧する挟持片を備え、
保持体は、配線・配管材を保持する保持部、及び、吊り持つ波付管外面の凹凸に係合し、波付管の長尺方向への移動を規制する規制部を備え、
規制部による規制を維持した状態で挟持部によるワイヤの挟圧を緩めることが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の配線・配管材支持具によれば、取着体が挟持片を介してワイヤに取着された状態で保持体が配線・配管材を吊り持つことで、配線・配管材がワイヤに対して添設される。そして、規制部によって、保持体が吊り持つ配線・配管材の長尺方向への移動が規制される。これにより、配線・配管材が配線・配管材支持具に対して長尺方向に相対移動することを防止し、結果として、ワイヤに対して配線・配管材が後発的に相対移動してたるみ等が発生する虞を軽減することができる。さらに、設置時又は設置後に配線・配管材のたるみが発生したとしても、簡単且つ迅速にたるみの解消を行うことが可能である。特には、保持体の規制部による規制と、挟持部によるワイヤの挟圧とが互いに独立している。それ故、配線・配管材支持具に対するワイヤの長尺方向への移動を規制部で規制した状態で、ワイヤの挟圧を緩めることができる。そして、配線・配管材支持具のワイヤの挟圧を緩めて、配線・配管材を規制状態で吊持つ配線・配管材支持具をワイヤに沿ってスライドさせることにより、配線・配管材支持具の長手方向の位置を調整又は変更し、結果として、配線・配管材のゆるみを簡単且つ迅速に解消することが可能である。
【0015】
請求項2に記載の配線・配管材支持具によれば、請求項1の発明の効果に加えて、規制部を配線・配管材の外面への係合手段、摩擦手段、接着手段、突刺手段、挟圧手段又はこれらの組み合わせからなる簡易な構造とすることができる。
【0016】
請求項3に記載の配線・配管材支持具によれば、請求項1又は2の発明の効果に加えて、規制部を保持部と一体的に構成することにより、配線・配管材の保持と規制とを同時的に行うことが可能であり、構造を簡易化することができる。
【0017】
請求項4に記載の配線・配管材支持具によれば、請求項1から3のいずれかの発明の効果に加えて、施工者が可動片を操作することにより、可動片を変位させてワイヤの挟圧を緩めることができる。さらに、挟持片の対が互いに交差するように各可動片から対向方向にそれぞれ延出していることにより、可動片の対を近接位置に変位させるように取着体の側方を押圧することによって、ワイヤの挟圧を緩めることが可能である。つまり、配線・配管材支持具を手で摘まむように力を加えることにより、配線・配管材支持具の長手方向の位置を簡単に調整又は変更することが可能であり、操作が容易となる。
【0018】
請求項5に記載の配線・配管材支持具によれば、請求項4の発明の効果に加えて、保持体を回動操作して取着体にロックすることにより、配線・配管材を簡単に保持体で吊持つことが可能である。
【0019】
請求項6に記載の配線・配管材支持具によれば、請求項5の発明の効果に加えて、保持体及び取着体が配線・配管材を包囲して保持体がロック部にロックされた状態で、保持体が可動片の対を挟持片の対でワイヤを挟圧する方向に付勢する。すなわち、保持体が配線・配管材を保持及び規制した状態で、取着体のワイヤへの取着がより一層強固なものとなるため、ワイヤと配線・配管材とを安定的に連結することが可能である。さらに、ロックされたときに弾性変形した保持体自身の弾性復帰力によって、可動片の対を挟持片でワイヤを挟圧する方向に効果的に付勢することができる。
【0020】
請求項7に記載の配設装置によれば、取着体が挟持部を介してワイヤに取着された状態で保持体が波付管を吊り持つことで、波付管がワイヤに対して添設される。そして、規制部が波付管外面の凹凸に係合することにより、保持体が吊り持つ波付管の長尺方向への移動が規制される。これにより、波付管が配線・配管材支持具に対して長尺方向に相対移動することを防止し、結果として、ワイヤに対して波付管が後発的に相対移動してたるみ等が発生する虞を軽減することができる。さらに、設置時又は設置後に波付管のたるみが発生したとしても、簡単且つ迅速にたるみの解消を行うことが可能である。特には、保持体の規制部による規制と、挟持部によるワイヤの挟圧とが互いに独立している。それ故、配線・配管材支持具に対するワイヤの長尺方向への移動を規制部で規制した状態で、ワイヤの挟圧を緩めることができる。そして、配線・配管材支持具のワイヤの挟圧を緩めて、波付管を規制状態で吊持つ配線・配管材支持具をワイヤに沿ってスライドさせることにより、配線・配管材支持具の長手方向の位置を調整又は変更し、結果として、波付管のゆるみを簡単且つ迅速に解消することが可能である。
【0021】
請求項8に記載の配設装置によれば、請求項1から7のいずれかの発明の効果を配設装置として発揮することができる。すなわち、本発明の配設装置は、配線・配管材支持具のワイヤの挟圧を緩めて、配線・配管材を規制状態で吊持つ配線・配管材支持具をワイヤに沿ってスライドさせることにより、配線・配管材支持具の長手方向の位置を調整又は変更し、結果として、配線・配管材のゆるみを簡単且つ迅速に解消することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0024】
[第1実施形態]
図1乃至
図6を参照して、本発明の一実施形態である第1実施形態の配線・配管材支持具100を説明する。
図1(a)、(b)は、本実施形態の配線・配管材支持具100の上方から見た斜視図、及び、下方から見た斜視図である。
図2(a)〜(d)は、該配線・配管材支持具100の正面図、平面図、右側面図及び左側面図である。
図3は、該配線・配管材支持具100のA−A断面図である。
【0025】
本実施形態の配線・配管材支持具100は、1又は複数の電柱や構造物に対して高所に張設されたワイヤWに対して、例えばケーブルを内包する波付管P(配線・配管材)を空中で吊下げ支持するものである。なお、本実施形態の配設装置は、長尺のワイヤWと、ワイヤWに沿って配管され、長尺方向に交互に連続する凹凸を有する波付管Pと、ワイヤWに取着されるとともに波付管Pを吊持つ配線・配管材支持具100とからなる装置である。また、本実施形態の支持構造10は、空中に架設されたワイヤWと、該ワイヤWに取着された1又は複数の配線・配管材支持具100と、該配線・配管材支持具100によって保持された波付管P(配線・配管材)と、を備え、上記配設装置が設置された構造である。
【0026】
図1〜
図3に示すように、配線・配管材支持具100は、ワイヤWに取着される取着体110と、該取着体110に回動式に連結され、波付管Pを吊下げ保持する保持体120とを備えてなる。
【0027】
取着体110は、金属製の板材を折曲げして形成されている。取着体110は、頂部に位置する矩形板状の基部111、該基部111の左右両側の縁辺から下方に傾斜して延びる一対の可動片112、及び、該一対の可動片112にそれぞれ形成され、該可動片112の変位に従ってワイヤWを挟持するように変位する挟持片113を備える。
【0028】
基部111には、その略中央に孔111aが穿設されている。該孔111aは、必要に応じて、配線・配管材支持具100を天井等の構造物にビスなどで固定することに用いられるが、本実施形態では使用しない。
【0029】
一対の可動片112は、互いに対向するとともに、基部111に対して回動するように対向方向に沿って弾性的に変位可能に構成されている。すなわち、一対の可動片112は、(変形していない)原形態から互いに近接する方向及び離隔する方向の両方に弾性変形可能である。換言すると、一対の可動片112は、対向方向に沿って相対的に離隔又は近接するように変位可能である。可動片112は、側面視において基部111と同様に矩形板形状を有している。そして、一対の可動片112は、
図2(a)の左側に位置する第1可動片112−1と、
図2(a)の右側に位置する第2可動片112−2とからなる。
【0030】
一対の可動片112のうちの一方の第1可動片112−1には、保持体120の基端121を回動自在に連結する連結部114が形成されている。連結部114は、一対の孔からなり、該一対の孔を介して保持体120の基端121が回動自在に取着体110に連結されている。さらに、第1可動片112−1には、幅方向(
図2(b)の上下方向)の略中央且つ下縁近傍に貫通孔118が穿設されている。
【0031】
一対の可動片112のうちの他方の第2可動片112−2には、保持体120の自由端122(被係止部124)を連結した状態でロックするロック部115が形成されている。
図2(c)及び
図3に示すように、ロック部115は、第2可動片112−2に形成されたコ字状の切り欠き115aの内側の壁部が内方(対向方向)に屈折した折曲片115bによって形成されてなる。換言すると、ロック部115は、保持体120のコ字状の被係止部124を係止可能な形状を有する。また、ロック部115の切り欠き115aの上方には隆起部119が形成されている。なお、該隆起部119は、ロック部115にドライバを差し入れて解除する際の案内(ドライバを入れる際の空間形成)として機能する。さらに、第2可動片112−2には、幅方向の略中央且つ下縁近傍に貫通孔118が穿設されている。第1可動片112−1及び第2可動片112−2の貫通孔118は、互いに対向して連通するように位置している。該貫通孔118は、割りピンを通して万が一の落下防止する際に用いられる(ただし、本実施形態では使用せず)。
【0032】
挟持片113は、各可動片112−1,112−2の幅方向の両縁辺が略直角に屈折されるようにして、可動片112に連設されている。つまり、挟持片113は、1つの可動片112−1,112−2に対して2つ形成されているため、取着体110には合計4つの(2対の)挟持片が設けられている。そして、一対の可動片112のうちの一方(他方)に形成された挟持片113は、他方(一方)の可動片112に近接する方向(対向方向)に延出している。つまり、対をなす挟持片113は互いに対向する方向に延出している。各挟持片113は、その延出方向の先端の幅が狭まって下方に屈折し、鉤爪状に形成された爪部113bを有している。また、爪部113bの内方(基端側)には、円弧状の凹曲面を有する挟持部113aが形成されている。対をなす挟持片113の挟持部113aは、各可動片112が対向するワイヤWの側面と反対側の側面に当接するように構成されている。換言すると、挟持片113は、可動片112からそれぞれワイヤWの反対側まで延出するとともに、同可動片112の反対側からそれぞれ挟持するように構成されている。
【0033】
対向する対となる挟持片113は、互いに交差して部分的に重なるように構成されている。すなわち、
図2(b)に示すように、挟持片113の対は、互いに当接しないように幅方向(
図2(b)の上下方向)において僅かにずれている。これにより、挟持片113の対は、可動片112の変位に伴って、互いに重なった状態で近接又は離隔する方向に変位可能である。
【0034】
図4は、基部111に対して一対の可動片112を変位させた状態を示す模式図である。
図4の仮想線が取着体110の(弾性変形していない)原形態を示し、実線が可動片112が互いに近接する方向に変位した形態を示している。原形態において、挟持片113の対が交差し、爪部113bが重なっている。このとき、爪部113bによって挟持部113aが下方に開放されておらず、対をなす挟持部113a間のワイヤWの配置空間が閉塞されている。また、原形態では、挟持部113a間の空隙は、ワイヤWの径よりも小さい。つまり、挟持部113a間にワイヤWを配置した際、一対の可動片112の弾性復帰力によって、ワイヤWを挟圧可能である。
【0035】
そして、
図4の実線で示されているように、可動片112に近接方向(
図4の矢印参照)の外力が加わることにより、基部111に対して可動片112が弾性的に回動して近接方向に変位する。一対の可動片112の近接方向への変位に伴って、対をなす爪部113b先端及び挟持部113aが互いに離隔するように変位する。その結果、この変位によって開口部116が形成され、当該開口部116を介して挟持部113aが下方に臨んでいる。すなわち、
図4のように取着体110が弾性変形した状態で、ワイヤWが、対向する挟持部113aの間に開口部116を介して進入可能である。他方、原形態から一対の可動片112が離隔する方向に変位するように取着体110が弾性変形することも可能である。その場合、対向する挟持部113aの間の空間がより一層狭まるように挟持片113が変位する。
【0036】
保持体120は、配線・配管材である波付管Pを保持可能に形成された弾性変形可能な金属製の線材(鋼線)からなる。保持体120は、正面視U字曲線形状をなし、取着体110に回動可能に連結される基端121、及び、その反対端に位置する自由端122を有している。該保持体120は、基端121と自由端122との間に、波付管Pを保持するためのU字曲線状の保持部123を有する。そして、保持体120は、波付管Pが通過可能な幅を有するU字形状の開口端を有する。本実施形態では、保持体120の開口端の幅(基端121と自由端122の対向距離)は、原形態の取着体110における第1可動片112−1(連結部114)と第2可動片112−2(ロック部115)との距離よりも大きい。すなわち、開口幅は、自由端122がロック位置にあるときに、保持体120が可動片112の近接方向に弾性変形して離隔方向に弾発力を生じるように定められている。さらに、該開口幅が波付管Pの径よりも僅かに小さく定められ、且つ、U字曲線部のアールが波付管Pの凹部P2の外径よりも僅かに小さく定められている。そして、保持体120を弾性変形させて開口端の幅及び全体形状を拡げることにより、波付管Pを保持部123に配置して把持することができる。
【0037】
また、保持体120は、1本の線材を自由端122で略直角に屈折してなり、その基端121で開放されており、その自由端122で閉塞されている。そして、保持部123において、対をなすU字曲線部分の両方が規制部126として波付管Pの凹部P2に嵌合可能であるように、U字曲線部分の幅方向の距離が定められている。つまり、保持部123は、幅方向(
図2(b)の前後方向)に整列した2つのU字曲線部分を、波付管Pの外面に作用する規制部126として一体的に形成するように構成されている。該規制部126が波付管Pの凹部P2に嵌まり込んで外面に係合することにより、保持部123(配線・配管材支持具100)に対する波付管Pの長尺方向への移動が規制される。後述するとおり、取着体110によるワイヤWの挟持機構と、保持体220による波付管Pの保持及び規制機構とは互いに別々に動作するため、規制部126による規制を維持した状態で挟持片113によるワイヤWの挟圧を緩めるように可動片112が変位可能である。
【0038】
保持体120の基端121には、J字状に屈曲した被連結部124が設けられている。該被連結部124は、基端121に対で設けられており、取着体110の一対の孔からなる連結部114に挿入されている。連結部114及び被連結部124は、互いに脱抜しないように保持体120を取着体110に回動式に連結している。被連結部124が円弧を描くようにして屈曲しているので、保持体120が取着体110に対して滑らかに回動する。他方、保持体120の自由端122には、その先端で幅方向にコ字状に屈折した被係止部125が設けられている。被係止部125は、取着体110のロック部115に係止されるように構成されている。より具体的には、コ字状の被係止部125の内方にロック部115の折曲片115bが入り込み可能に構成されている。
【0039】
図5は、取着体110のロック部115に保持体120の自由端122(被係止部125)がロックされた状態の配線・配管材支持具100の斜視図である。
図6は、
図5の状態の配線・配管材支持具100のB−B断面図である。
図5に示すとおり、取着体110及び保持体120が協働して波付管Pを周方向に包囲する環が形成されている。
図6に示すとおり、第2可動片112−2の内側に延びるロック部115の折曲片115bの外面と第2可動片112−2の内面との間に、コ字状の被係止部125が嵌まり込むことにより、保持体120の自由端122が取着体110のロック部115にロックされている。そして、保持体120が僅かに円弧の内方(つまり、基端121と自由端122が接近する方向)に向けて弾性変形することにより、その自由端122がロック位置に到達している。すなわち、ロック状態では、保持体120の弾性復帰力がロック部115に作用し、第2可動片112−2が外方に付勢される。また、保持体120の被係止部125は、その弾性復帰力により折曲片115bの傾斜する外面に沿って外方に付勢されているため、逆方向(
図6の斜め左上方向)の強い力を与えない限り、ロック状態が安定的に維持される。その結果、ロック部115による保持体120のロックが維持されつつ、一対の可動片112が互いに離隔する方向に付勢される。他方、ロック部115に位置する被係止部125に所定方向の強い力を加えることにより、被係止部125をロック部115から離脱させ、取着体110及び保持体120のロック解除を簡単に行うことができる。
図9で後述する保持体120に波付管Pを配置した状態では、保持体120の弾性変形量がより一層大きくなるため、付勢力がより大きくなる。
【0040】
なお、本実施形態の配線・配管材支持具100(取着体110及び保持体120)は、金属材料(鋼材)からなる。しかしながら、本発明は当該実施形態に限定されず、その目的を達成可能であれば、合成樹脂等の任意の材料を選択することが可能である。また、金属材料と合成樹脂材料を組み合わせて構成することも可能である。さらに、本発明の配線・配管材支持具は、上記形状・寸法に限定されず、本発明の技術思想の下で当業者であれば任意に改変可能である。
【0041】
次に、本実施形態で用いられる波付管P(配線・配管材)の構成を説明する。ワイヤWは、長尺方向に直線状に張設される長尺体である。ワイヤWは、芯材として鋼製の軸部と、該軸部を被覆する軟質合成樹脂製の被覆部とからなる(
図9参照)。軸部は、複数の鋼線が束ねて構成されて十分な強度を有している。被覆部は、挟持部113aが食い込み可能な厚みを有している。ワイヤWは、例えば、電柱(図示せず)に両端が固定されて空中で張架可能である。あるいは、ワイヤWの一端が電柱に固定され、他端が建造物等の他の構造物に固定されることにより、空中で張設される。該ワイヤWは、電柱等の構造物の間に架設な長さを有しているが、その長さは任意に定められる。また、ワイヤWは、設置に際して十分な強度な発揮し得る径で構成されるが、その径は挟持部113aが挟持可能な範囲で任意に定められる。
【0042】
本実施形態で用いられるワイヤWの構成を説明する。ワイヤWは、長尺方向に直線状に張設される長尺体である。波付管Pは、長尺方向に延びる可撓性の合成樹脂製の配線・配管材である。すなわち、波付管Pは、巻回又は屈曲自在な柔軟性を有している。そして、該波付管Pは、その内部にケーブル等(図示せず)を内挿して保護するように構成されている。波付管Pは、所定厚の管壁を有し、該管壁には凸部P1及び凹部P2が交互に長尺方向に連続している。なお、波付管Pの長さ及び径は、内部に配設するケーブル等の線材の径又は長さに応じて、任意に定められる。また、凸部P1外面と凹部P2外面との距離(即ち、凸部P1の高さ)や、凸部P1外面及び凹部P2外面の長尺方向の幅も任意に定めることが可能であり、本発明の配線・配管材は、本実施形態の波付管Pの形状・寸法に限定されない。
【0043】
次いで、
図7乃至
図9を参照して、本実施形態の配線・配管材支持具100を複数用いて波付管PをワイヤWに対して吊下げ配設した支持構造10について説明する。
図7は、該支持構造10の概略斜視図である。
図8は、該支持構造10の部分拡大図である。
図9は、
図8の支持構造10のC−C断面図である。
【0044】
図7に示すように、ワイヤWが電柱などの構造物(図示)に張設されて、空中で直線状に延びている。ワイヤWは、設置に際して十分な強度な発揮し得る径で構成され、その径は任意に定められる。ワイヤWには、複数の配線・配管材支持具100が任意の距離で隔てて取着されている。そして、配線・配管材支持具100の保持体120によって、配線・配管材としての波付管PがワイヤWに添設されるように、直線状に吊下げ支持されている。
【0045】
より詳細には、
図8に示すように、ワイヤWが配線・配管材支持具100を長尺方向に貫通するように、配線・配管材支持具100の取着体110がワイヤWに取着されている。
図9に示すように、対をなす挟持片113が、互いに交差するように一対の可動片112から対向方向にそれぞれ延出し、各挟持片113の挟持部113aが、各可動片112が対向するワイヤWの側面と反対側の側面に当接している。
図4で説明したように、取着体110の原形態で挟持部113a間の空隙がワイヤWの径よりも小さいため、挟持部113aでワイヤWを挟持した状態では、可動片112が近接する方向に弾性変形している。そのため、可動片112が離隔する方向(つまり、挟持部113aがワイヤWを挟圧する方向)に復帰しようとする弾性復帰力が発生し、当該弾性復帰力がワイヤWの挟圧力に寄与している。すなわち、ワイヤWは、取着体110の2対の挟持部113aによって挟圧され、挟持部113aの端面がワイヤWの合成樹脂製の被覆部にしっかりと食い込んでいる。このように、ワイヤWの長尺方向における2点で取着体110がワイヤWに連結されているため、取着体110がワイヤWの長尺方向から傾動するように捻れることが抑えられている。換言すると、2対の挟持部113aが傾動規制手段として機能している。
【0046】
また、
図9に示すとおり、取着体110及び保持体120が協働して波付管Pを包囲している。そして、保持体120の保持部123が波付管Pの凹部P2に嵌まり込むようにして、波付管P外面に当接している。この状態で、保持体120の自由端122の被係止部125が取着体110のロック部115によってロックされている。保持体120の保持部123が波付管Pの外周に沿って屈曲している一方で、保持体120が強引に屈折して被係止部125がロック部115に配置されている。つまり、保持体120は、その基端121及び自由端122近傍において円弧の内方に向けて(基端121及び自由端122が近接する方向に)比較的大きな力で弾性変形している。この保持体120の弾性復帰力が取着体110に作用することで、ロック状態で一対の可動片112が互いに離隔する方向に付勢されている。一対の可動片112の離隔方向への付勢により、挟持部113aがワイヤWを挟持する方向に付勢されるので、保持体120の弾性復帰力がワイヤWの挟圧力に寄与している。すなわち、取着体110の弾性復帰力及び保持体120の弾性復帰力の両方がワイヤWに作用し、ワイヤWを強固に挟圧している。したがって、本実施形態の支持構造10は、ワイヤWに対して確実且つ安定的に波付管Pを吊下げ支持するものである。
【0047】
続いて、
図10乃至
図12を参照して、支持構造10を構築する工程、及び、ワイヤWに対する配線・配管材のたるみを解消する方法を説明する。まず、張設体としてのワイヤW、配線・配管材としての波付管P、及び、複数の配線・配管材支持具100(ただし、構成に応じて1つでもよい)を準備する。
【0048】
次に、
図10(a)に示すように、ロック解除状態の配線・配管材支持具100の一対の可動片112を近接方向に手で摘まむように押圧して、対をなす爪部113b間に開口部116を形成する。一対の可動片112を近接方向に押圧した状態で、開口部116を介して挟持部113a間の空隙にワイヤWを挿入させるように、取着体110及びワイヤWを相対的に近接させる。挟持部113a間の空隙にワイヤWを配置した後、力を緩めて可動片112への押圧を解除することにより、
図10(b)に示すように、可動片112が離隔方向に弾性復帰し、挟持部113aでワイヤWを挟持することができる。
【0049】
次いで、取着体110がワイヤWを挟持した状態で、保持体120の円弧の内方に波付管Pを挿入する。このとき、保持部123の対となるU字曲線部分(規制部126)の両方を波付管Pの凹部P2に嵌め込む。これにより、保持部123(配線・配管材支持具100)に対して波付管Pが長尺方向にスライドしないように波付管Pを規制状態で保持可能である。そして、保持体120で波付管Pを保持した状態で、保持体120を連結部114及び被連結部124を軸として回動させ、保持体120を円弧の内方に弾性変形させつつ、その自由端122をロック部115に嵌め付ける。保持体120の被係止部125が取着体110の折曲片115bを乗り越えるまで、自由端122を上方に強引に押し込むことにより、被係止部125が折曲片115b及び第2可動片112−2内壁との間に嵌合することができる。その結果、取着体110がワイヤWを掴持するとともに保持体120が波付管Pを保持して、配線・配管材支持具100でワイヤWに波付管Pを連結支持することができる。
【0050】
上記連結支持作業を複数の配線・配管材支持具100においても同様に行う。配線・配管材支持具100の間隔は、負担する重量を分散するという点で等間隔であることが好ましいが、状況に応じて任意に定められる。また、上記各工程を複数の配線・配管材支持具100で同時並行して実施してもよい。こうして、各部材が連結された配設装置が構成される。
【0051】
そして、複数の配線・配管材支持具100を介してワイヤWを波付管Pに連結した状態で、ワイヤWを電柱などの構造体(図示せず)に固定して張設することにより、支持構造10を構築することができる。なお、ケーブルを波付管P内に配設する作業は、支持構造10の構築後又は構築前のいずれであってもよい。
【0052】
さらに、
図12(a)に示すように、波付管Pを吊持つ配線・配管材支持具100の間で、波付管Pにたるみが生じたときには、配線・配管材支持具100を操作することにより、波付管Pのたるみを簡単に解消することが可能である。より具体的には、
図12(a)の状態から、一対の可動片112を弾性力に抗して内方に押圧して、挟持部113aによる挟圧を緩めることにより、配線・配管材支持具100がワイヤWに対して長尺方向に沿ってスライド可能となる。このとき、取着体110(挟持部113a)によるワイヤWの挟圧(又は挟圧解除)とは別個独立して、保持体120(規制部126)が波付管P外面に係合しているので、取着体110のワイヤWに対するスライドが許容されているとともに、波付管Pの取着体110に対する長尺方向への相対移動が規制されている。そして、波付管Pのたるみを解消すべく、隣接する配線・配管材支持具100を離隔させるように、配線・配管材支持具100の取着体110をワイヤWの長尺方向に沿ってスライドさせる。すると、保持体120に一体的に保持された波付管Pの被保持部分が取着体110と一緒に長尺方向に移動する。その結果、
図12(b)に示すように、波付管Pのたるみを解消し、波付管PをワイヤWに沿って直線状に添設することができる。なお、規制部126による規制は、保持体120が完全にロックされた完全保持でなく、保持部123に波付管Pが配置されただけの仮保持の状態であっても発揮される。すなわち、ロックしない仮保持状態で、配線・配管材のたるみを解消してもよい。
【0053】
ここで説明した方法は、一例にすぎず、当業者であれば、各工程の順序を入れ替え、又は、状況に応じて不要な工程を省略又は変更することも可能である。例えば、ワイヤWを予め張設した後に、ワイヤWに配線・配管材支持具100を介して波付管Pを取着してもよい。つまり、施工者は、波付管PとワイヤWとを予め配線・配管材支持具100で一体化した状態で張架すること(つまり、製造・出荷時に一体組立)、及び、予め張架したワイヤWに波付管Pを配線・配管材支持具100で組み付けること(つまり、現場での一体組立)の両方の工程を選択可能である。さらに、波付管Pのたるみの解消作業は、ワイヤWをワイヤWを張設して支持構造10を構築した後に行ってもよく、あるいは、ワイヤWを張設する前にワイヤWと波付管Pを連結したときに行ってもよい。
【0054】
以下、本発明に係る一実施形態の配線・配管材支持具100の作用効果について説明する。
【0055】
本実施形態の配線・配管材支持具100によれば、波付管Pの外面に係合する規制部126(係合手段)によって、保持体120が吊り持つ波付管Pの長尺方向への移動が規制される。これにより、波付管Pが配線・配管材支持具100に対して長尺方向に相対移動することを防止し、結果として、ワイヤWに対して波付管Pが後発的に相対移動してたるみ等が発生する虞を軽減することができる。さらに、設置時又は設置後に波付管Pのたるみが発生したとしても、施工者が取着体110の可動片112を操作することにより、簡単且つ迅速にたるみの解消を行うことが可能である。特には、保持体120の規制部126による規制機構と、挟持部113によるワイヤPの挟圧機構とが互いに独立して作動する。それ故、配線・配管材支持具100に対するワイヤWの長尺方向への移動を規制部126で規制した状態で、可動片112を変位させてワイヤWの挟圧を緩めることができる。そして、配線・配管材支持具100のワイヤWの挟圧を解除して、波付管Pを規制状態で吊持つ配線・配管材支持具100をワイヤWに沿ってスライドさせることにより、保持部123の保持した波付管Pが連れ動き、波付管Pにテンションをかけることが簡単にできる。すなわち、可動片112の操作によって配線・配管材支持具100の長手方向の位置を調整又は変更し、結果として、波付管Pのゆるみを簡単且つ迅速に解消することが可能である。
【0056】
また、本実施形態の配線・配管材支持具100によれば、取着体110の挟持片113によってワイヤWを挟持し、且つ、取着体110に連結された保持体120によって配線・配管材としての波付管Pを包囲して保持することにより、ワイヤWに対して波付管Pを簡単且つ確実に添設することが可能である。特には、一対の挟持片113の延出端が互いに交差するまで各可動片112から対向方向にそれぞれ延出している。そして、一対の可動片112を近接位置に弾性変位させるように取着体110の側方を押圧して、ワイヤWを受け入れる開口部116を簡単に形成可能である。該開口部116を介して、取着体110の一対の挟持片113の間にワイヤWを配置可能である。この状態で、一対の可動片112を離隔方向に変位させるように弾性復帰させることにより、一対の挟持片113の挟持部113aでワイヤWを両側から挟圧して、取着体110をワイヤWに簡単に取り付けることが可能である。そして、波付管Pを取着体110及び保持体120で包囲するように保持体120の自由端を取着体110のロック部115にロックすることにより、波付管PをワイヤWに対して簡単に吊下げ支持することが可能である。さらに、保持体120及び取着体110が波付管Pを包囲して保持体120がロック部115にロックされた状態で、保持体120が内方に弾性変形しているので、その弾発力によって、保持体120が一対の可動片112を離隔方向に付勢する。すなわち、保持体120が波付管Pを保持した状態で、取着体110のワイヤWへの取着がより一層強固なものとなるため、ワイヤWと波付管Pとを安定的に連結することが可能である。
【0057】
[第2実施形態]
図13乃至
図17を参照して、本発明の一実施形態である第2実施形態の配線・配管材支持具200を説明する。なお、本実施形態において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0058】
配線・配管材支持具200は、
図13に示すとおり、ワイヤWに取着される取着体210と、該取着体210に回動式に連結され、配線・配管材を吊下げ保持する保持体220とを備えてなる。
【0059】
取着体210は、頂部に位置する矩形板状の屈折した基部211、該基部211の左右両側の縁辺から下方に傾斜して延びる一対の可動片212、及び、該一対の可動片212にそれぞれ形成され、ワイヤWを挟持するための対をなす挟持片213を備える。
【0060】
一対の可動片212は、互いに対向するとともに基部211に対して対向方向に弾性的に変位可能に構成されている。可動片212は、側面視において矩形板形状を有している。そして、一対の可動片212は、互いに対向する第1可動片212−1及び第2可動片212−2からなる。第1可動片212−1と第2可動片212−2は同じ形状を有しているが、第1可動片212−1に保持体220の基端221が回動式に接続され、第2可動片212−2に保持体220の自由端222がロックされる。
【0061】
一対の可動片212のうちの一方の第1可動片212−1は、保持体220の基端221を回動自在に連結する連結部214を有する。連結部214は、第1実施形態の連結部114と同様に、一対の孔として形成されている。他方、一対の可動片212のうちの他方の第2可動片212−1には、保持体220の自由端222(被係止部224)を連結した状態でロックするロック部215が形成されている。該ロック部215の構成は、第1実施形態のロック部115と異なる。すなわち、
図13に示すように、ロック部215は、第2可動片212−2の下縁辺から下方に延在し、その外方且つ上方に折り返されるようにフック状に延在している。ロック部215は、上方が開口し、第2可動片212−2外面との間に保持体220の被係止部225を配置可能である。換言すると、ロック部215は、保持体220のコ字状の被係止部224を係止可能な形状を有している。さらに、第1及び第2可動片212−1、212−2の略中央には、矩形状の貫通孔218が穿設されている。
【0062】
挟持片213は、各可動片212−1,212−2の幅方向の両縁辺が略直角に屈折されることによって形成されている。挟持片213の形態は、第1実施形態の挟持片113の形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0063】
保持体220は、配線・配管材を保持可能に形成された弾性変形可能な金属製の帯状体からなる。保持体220は、正面視U字曲線形状をなし、取着体210に連結される基端221、及び、その反対端に位置する自由端222を有している。該保持体220は、基端221と自由端222の間に、配線・配管材を保持するためのU字曲線状の保持部223を有する。そして、保持体220は、配線・配管材が通過可能な幅を有する開口端を有する。本実施形態では、保持体220の開口端の幅(基端221と自由端222の対向距離)は、原形態の取着体210における第1可動片212−1(連結部114)と第2可動片212−2(ロック部215)との距離よりも大きい。すなわち、開口幅は、自由端222がロック位置にあるときに、保持体220が可動片212の近接方向に弾性変形して離隔方向に弾発するように定められている。
【0064】
保持体220の基端221には、取着体210の連結部214に回動式に連結される、フック状の被連結部224が設けられている。他方、保持体220の自由端222には、その先端近傍で開口して形成された被係止部225が設けられている。被係止部225は、開口縁で取着体210のロック部215に係止されるように矩形状の開口として構成されている。より具体的には、被係止部225の開口にロック部215の先端が挿通し、ロック部215の底部に被係止部225の開口縁が係合可能に構成されている。
【0065】
さらに、本実施形態では、保持体220の保持部223内面に、保持体220をロックしたときに配線・配管材の外面に当接して配線・配管材の長尺方向への移動を規制する規制部226が形成されている。本実施形態では、規制部226は、配線・配管材外面との間に高い摩擦力を発生させるゴムシート(摩擦手段)である。さらに、本実施形態では、保持体220の円弧の径が配線・配管材の外径よりも小さいので、(内面にシートを形成しない場合であっても)配線・配管材を挟持して規制可能な挟圧手段(規制部)として保持部223が機能する。つまり、本実施形態では、規制部は、摩擦手段及び挟圧手段の組み合わせからなる。
【0066】
次いで、
図14乃至
図16を参照して、本実施形態の配線・配管材支持具200を複数用いて波付管PをワイヤWに対して吊下げ配設した支持構造20について説明する。
図14は、該支持構造10の概略斜視図である。
図15は、該支持構造20の部分拡大図である。
図16は、
図15の支持構造20のD−D断面図である。
【0067】
図14に示すように、ワイヤWが電柱などの構造物(図示)に張設されて、空中で直線状に延びている。ワイヤWは、設置に際して十分な強度な発揮し得る径で構成され、その径は任意に定められる。ワイヤWには、複数の配線・配管材支持具200が任意の距離で隔てて取着されている。そして、配線・配管材支持具200の保持体220によって、配線・配管材としてのケーブルQがワイヤWに添設されるように、直線状に吊下げ支持されている。ケーブルQは、鋼製の芯材と、柔軟な合成樹脂製の被覆材とからなる。
【0068】
より詳細には、
図15に示すように、ワイヤWが配線・配管材支持具200を長尺方向に貫通するように、配線・配管材支持具200の取着体210がワイヤWに取着されている。また、
図16に示すように、ワイヤWは、取着体210の2対の挟持部213aによって挟圧され、挟持部213aの端面がワイヤWの合成樹脂製の被覆部にしっかりと食い込んでいる。そして、取着体210及び保持体220が協働してケーブルQを包囲している。この取着状態で、保持体220の自由端222の被係止部225が取着体210のロック部215によってロックされている。すなわち、第2可動片212−2の外側に延びるフック状のロック部215と第2可動片212−2外面との間に、コ字状の被係止部225が嵌まり込むことにより、保持体220の自由端222が取着体210のロック部215にロックされている。このとき、保持部223が弾性変形してケーブルQ外面を押圧しているとともに、保持部223内面の規制部226がケーブルQ外面に当接(又は圧接)している。そして、該規制部226によって生じる挟圧力及び摩擦力によって、ケーブルQが長尺方向に移動することが規制されている。
【0069】
また、保持体220は、その基端221及び自由端222近傍において円弧の内方に向けて(基端221及び自由端222が近接する方向に)比較的大きな力で弾性変形している。この保持体220の弾性復帰力が取着体210に作用することで、ロック状態で一対の可動片212が互いに離隔する方向に付勢されている。一対の可動片212の離隔方向への付勢により、挟持部213aがワイヤWを挟持する方向に付勢されるので、保持体220の弾性復帰力がワイヤWの挟圧力に寄与している。すなわち、取着体210の弾性復帰力及び保持体220の弾性復帰力の両方がワイヤWに作用し、ワイヤWを強固に挟圧している。したがって、本実施形態の支持構造20は、ワイヤWに対して確実且つ安定的にケーブルQを吊下げ支持するものである。
【0070】
本実施形態において、支持構造20の構築前又は構築後、ケーブルQを吊持つ配線・配管材支持具200の間で、ケーブルQにたるみが生じたときには、配線・配管材支持具200を操作することにより、ケーブルQのたるみを簡単に解消することが可能である。より具体的には、一対の可動片212を弾性力に抗して内方に押圧して、挟持部213aによる挟圧を緩めることにより、配線・配管材支持具200がワイヤWに対して長尺方向に沿ってスライド可能となる。このとき、取着体210(挟持部213a)によるワイヤWの挟圧(又は挟圧解除)とは別個独立して、保持体220(保持部223)がケーブルQを高い摩擦力が生じるよう挟圧しているので、取着体210のワイヤWに対するスライドが許容されているとともに、ケーブルQの取着体210に対する長尺方向への相対移動が規制されている。そして、ケーブルQのたるみを解消すべく、隣接する配線・配管材支持具200を離隔させるように、配線・配管材支持具200の取着体210をワイヤWの長尺方向に沿ってスライドさせる。すると、保持体220に一体的に保持されたケーブルQの被保持部分が取着体210と一緒に長尺方向に移動する。その結果、ケーブルQのたるみを解消し、ケーブルQをワイヤWに沿って直線状に添設することができる。
【0071】
したがって、本実施形態の配線・配管材支持具200は、該配線・配管材支持具200のワイヤWに対する長手方向の位置を調整又は変更し、結果として、配線・配管材のゆるみを簡単且つ迅速に解消することが可能である。
【0072】
[第3実施形態]
図17及び
図18を参照して、本発明の一実施形態である第3実施形態の配線・配管材支持具300を説明する。なお、本実施形態において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0073】
配線・配管材支持具300は、
図17に示すとおり、ワイヤWに取着される取着体310と、該取着体310に回動式に連結され、配線・配管材を吊下げ保持する保持体320とを備えてなる。なお、本実施形態の配線・配管材支持具300において、取着体310の形態が第2実施形態の取着体210の形態とほぼ共通し、保持体320の規制部326の形態が第2実施形態の保持体220の規制部226の形態と相違する。よって、取着体310及び保持体320の一部構成の説明を省略する。
【0074】
規制部326は、保持体320に穿設された螺子孔326aと、保持部323と別体として、螺旋孔326aに螺着して配線・配管材の外面に当接する螺着体(ネジ)326bとからなる。本実施形態では、保持体320の保持部323の円弧の大きさが、保持する配線・配管材(ケーブルQ)よりも大きいので、保持部323自身によってケーブルQが挟圧されない。
図18に示すように、取着体310及び保持体320によって形成された環にケーブルQが内挿された状態で、規制部326の螺旋孔326aに螺着体326bが螺着し、ケーブルQの外面を押圧し、保持部323内面と協働してケーブルQを挟圧している。つまり、本実施形態では、規制部326は、挟圧手段として機能する。あるいは、本実施形態において、螺着体326bの代わりに、先の尖ったネジを採用することにより、規制部326を突刺手段として機能させることも可能である。該規制部326は、取着体310のケーブルQの挟持機構と独立して機能する。
【0075】
したがって、本実施形態の配線・配管材支持具300は、該配線・配管材支持具300のワイヤWに対する長手方向の位置を調整又は変更し、結果として、配線・配管材のゆるみを簡単且つ迅速に解消することが可能である。すなわち、本発明において、保持部と規制部とが別体であってもよく、また、保持体で配線・配管材を挟圧しなくてもよい。
【0076】
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形例を取り得る。以下、本発明の変形例を説明する。なお、各変形例において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0077】
(1)上記実施形態の規制部は一例にすぎず、本発明の規制部は、上記実施形態に限定されず、種々の形態をとり得る。例えば、規制部は、配線・配管材外面を接着又は粘着する接着シート(接着手段)であってもよい。また、規制部は、保持体内面に複数の突起を形成して、配線・配管材外面に食い込む、又は、突き刺さる突刺手段としてもよい。さらに、規制部は、配線・配管材の外面の凹凸に係合するように(例えば保持体内面から)突出するズレ止め突起(係合手段)であってもよい。すなわち、配線・配管材の外面形状に応じて、規制部は、配線配線・配管材を保持体で保持(又は仮保持)した状態で配線・配管材の長尺方向への移動を規制可能であればよい。すなわち、当業者であれば、吊り持つ配線・配管材の外面に作用して配線・配管材の長尺方向への移動を規制可能な種々の手段を規制部として採用可能である。
【0078】
(2)本発明の取着体は、上記実施形態の形態に限定されない。例えば、
図19に示した配線・配管材支持具400は、取着体410の挟持部413が当初状態で開口部416を形成し、且つ、挟持片413が互いに交差せずに対向する側面に挟持部413aが形成されている。そのため、第1実施形態とは、可動片412及び挟持片413の連動動作が逆である。当該形態においても、保持体420の規制部426で配線・配管材の移動を規制した状態で、可動片421を離隔方向に変位させて挟持片413による挟圧を緩めて取着体410をスライドさせることにより、配線・配管材のゆるみを簡単且つ迅速に解消することが可能である。すなわち、当業者であれば、本発明の技術的思想の下で、取着体の形態を任意に改変可能である。
【0079】
(3)上記実施形態では、取着体が弾性変形可能に構成されているが、本発明の取着体は、ワイヤを挟持可能であれば、取着体自身が弾性変形可能でなくてもよい。つまり、取着体を変形可能な柔軟な材料で構成してもよく、あるいは、塑性変形可能な材料で構成してもよい。このような場合、保持体の付勢力によって配線・配管材が挟持片で挟持されてもよい。
【0080】
(4)上記実施形態の配線・配管材支持具では、一対の可動片が基部に対して回動変形するように構成されているが、取着体に一方の可動片のみが変位可能に形成され、可動片に形成された1つの挟持片と、基部に固定された固定片とで配線・配管材を挟圧してもよい。さらには、本発明において、可動片を形成しなくてもよく、(可動片を介さずに)ワイヤ外面を挟圧し、且つ、その挟圧を緩めるよう操作できれば、挟持部(挟持片)のみを取着体に設けてもよい。
【0081】
(5)上記実施形態の配線・配管材支持具では、保持体の基端が取着体に対して回動式に連結されているが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、保持体の両端を取着体に脱着可能に連結してもよい。
図20の取着体510では、連結部514及びロック部515が同じ形状(第1実施形態のロック部115と同様の形状)を有する。また、保持体520の一端の被連結部524及び他端の被係止部525は同じ形状(第1実施形態の被係止部125と同様の形状)を有する。このような場合、
図20に示すように、保持体520を内方に弾性変形しつつ、その両端(被連結部524及び被係止部525)を連結部514及びロック部515にそれぞれ同時に嵌め込むことにより、取着体510及び保持体520で環を形成して、配線・配管材Pを(規制部526による)規制状態で保持することができる。つまり、配線・配管材Pを保持した状態で、保持体520を取着体510に直線的に近接させて、保持体520の両端を取着体510にロック又は連結することにより、配線・配管材Pを保持することができる。なお、当該変形例のような形態では、「連結」及び「ロック」は同じ意味をなす。
【0082】
(6)上記実施形態では、保持体が弾性変形可能に構成されているが、本発明の保持体は、保持体自身が弾性変形可能でなくてもよい。例えば、保持体が弾性変形不能な剛性を有し、あるいは、弾性変形しない柔軟性を有していてもよい。また、保持体は、規制部によって配線・配管材の長尺方向への移動を規制可能であればよく、ロック時にワイヤを挟圧する方向に付勢しなくてもよい。
【0083】
(7)上記実施形態では、保持体が取着体に回動式に連結部によって連結されるとともにロック部にロックされるように構成されているが、連結部及び/又はロック部を省略してもよい。例えば、保持体は、取着体に固定式に連結されたフック体であってもよい。このような場合では、保持体が閉塞されていない状態でも、配線・配管材の保持状態とみなされる。
【0084】
(8)上記実施形態の配線・配管材支持具では、配線・配管材の長尺方向に沿って2対の挟持片が設けられ、傾動規制手段として機能しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、配線・配管材支持具に1対の挟持片を設け、長尺方向に沿って、ワイヤを挟持しない当接片を設けてもよい。この場合、一対の挟持片がワイヤを挟持した状態で、当接片がワイヤ外面に当接して傾動規制手段として機能する。あるいは、当接片を設けずに、傾動規制手段を省略してもよい。
【0085】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。