(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、理解を容易にするために図示を省略または簡略化した部分がある。また、以下の各図における各部の形状や寸法比は、必ずしも正確なものではない。
【0022】
まず、本実施形態に係る攪拌装置1の構造について説明する。
図1は、攪拌装置1の一例を示した図である。同図に示されるように、攪拌装置1は、被攪拌物100を攪拌する領域である攪拌領域10と、攪拌領域10内に配置された攪拌用回転体20と、攪拌領域10内に少なくとも一部が配置されたバッフル体30と、を備えている。
【0023】
攪拌領域10は、各種流体である被攪拌物100を、少なくとも攪拌を行っている間、収容する領域である。本実施形態では、攪拌領域10は、有底円筒状の容器12によって形成されており、略鉛直方向の中心軸C1を中心軸とする円柱状に構成されている。また、本実施形態の攪拌領域10は、容器12の側壁12aおよび底壁12bによって側部および底部が仕切られ、上部が開放された状態となっている。
【0024】
なお、攪拌領域10の形状は、円柱形に限定されるものではなく、例えば多角柱状や球状等、他の任意の形状を採用することができる。また、攪拌領域10は、閉塞または密閉された領域であってもよい。また、攪拌領域10は、攪拌を行っている期間以外においても被攪拌物100を貯留するものであってよい。また、攪拌領域10を形成する容器12は、例えば各種槽やタンクとして恒常的に設置されるものであってもよいし、例えばドラム缶やバケツ、ビーカー等の仮設的なものであってもよい。
【0025】
攪拌用回転体20は、攪拌領域10内に収容された被攪拌物100中で中心軸C2周りに回転することで攪拌力を発生させるものである。攪拌用回転体20には、駆動軸40を介してモータ等の駆動装置50が接続されている。駆動装置50は、容器12の上縁12c上に橋渡すようにして配置された支持部材52によって支持されている。そして、攪拌用回転体20は、この駆動装置50から下方に向けて延びる駆動軸40の先端部に接続されることで、攪拌領域10内の所定の高さの位置に配置されている。また、本実施形態では、攪拌用回転体20および駆動装置50は、攪拌用回転体20の中心軸C2が攪拌領域10の中心軸C1と略一致するように配置されている。
【0026】
図2(a)は、攪拌用回転体20の平面図であり、同図(b)は、攪拌用回転体20の正面図(側面図も同一)である。攪拌用回転体20の本体21は、略砲弾形状、詳細には円柱の上面21aを平面状に、底面21bを球面状に構成した形状に構成されている。換言すれば、本体21は、円柱と半球を組み合わせた形状に構成されている。本体21を構成する材質は、特に限定されるものではなく、例えば金属やセラミックス、樹脂、ゴム、木材等、使用条件に応じた適宜の材質を採用することができる。
【0027】
本体21の表面には、複数の吸入口22および複数の吐出口24が設けられ、本体21の内部には、吸入口22と吐出口24を繋ぐように形成された流通路26が設けられている。また、本体21の上面21aの中心には、駆動軸40が接続される接続部28が設けられている。なお、図示は省略するが、この接続部28は、例えば螺合や係合、クランプ等、既知の適宜の接続機構によって駆動軸40を接続可能に構成されている。
【0028】
吸入口22は、接続部28の反対側、すなわち攪拌用回転体20の先端側となる球面状の底面21bに設けられている。本実施形態では、4つの略円形状の吸入口22を、中心軸C2を中心とする円周上に等間隔に並べて配置している。吐出口24は、吸入口22に対して本体21の半径方向(遠心方向)外側となる位置(中心軸C2から中心軸C2に垂直な方向に離れた位置)に設けられている。本実施形態では、各吸入口22に対応させた4つの略円形状の吐出口24を、側面21cにそれぞれ配置している。
【0029】
流通路26は、1つの吸入口22と1つの吐出口24を繋ぐトンネル状の通路として形成されている。従って、本体21の内部には、4つの流通路26が形成されている。本実施形態では、各流通路26は、吸入口22から中心軸C2方向に沿って直進した後に直角に曲がり、本体21の遠心方向に向けて直進した後に吐出口24に到達するように形成されている。すなわち、本実施形態の流通路26は、中心軸C2方向に形成された軸方向部分26a、および遠心方向に形成された遠心方向部分26bを備えている。また、本実施形態では、流通路26をこのように形成することで、吸入口22の向きが中心軸C2方向となり、吐出口24の向きが遠心方向(中心軸C2に垂直な方向)となるようにしている。
【0030】
流体中に攪拌用回転体20を浸漬して回転させると、流通路26内に進入した流体も攪拌用回転体20と共に回転することとなる。すると、流通路26内の流体に遠心力が作用し、
図2(a)および(b)に示されるように、流通路26内の流体は攪拌用回転体20の半径方向外側に向けて流動する。
【0031】
吐出口24は、吸入口22よりも攪拌用回転体20の半径方向外側に設けられているため、吐出口24では吸入口22よりも強い遠心力が働くこととなる。従って、流通路26内の流体は、攪拌用回転体20の回転に伴って吸入口22から吐出口24に向けて流動し、流通路26内の流体が吐出口24から噴出すると共に、外部の流体が吸入口22から流通路26内に吸引される。これにより、攪拌用回転体20の周囲の流体には、吐出口24のある側面21cから放射状に広がる流動と、吸入口22のある攪拌用回転体の先端部に向かう流動が発生することとなる。
【0032】
このうち、側面21cから放射状に広がる流動は、吐出口24の位置が攪拌用回転体20の回転に伴って周期的に変化することにより、脈動を含んだものとなる。すなわち、攪拌用回転体20の外周側の流体には、周方向の位置ごとに周期的に吐出口24から動圧が付加されることとなるため、放射状に広がる脈動流が生成されることとなる。また、吸入口22に向かう流動は、吸入口22の回転に追随して旋回流となる。
【0033】
また、攪拌用回転体20の表面(すなわち、本体21の表面である上面21a、底面21bおよび側面21c)近傍では、粘性の影響により流体が攪拌用回転体20と共に回転することとなるため、この遠心力によっても攪拌用回転体20の周囲の流体は、中心軸Cから放射状に広がるように流動することとなる。従って、攪拌用回転体20は、吸入口22への流体の流入および吐出口24からの流体の流出に加え、粘性による表面近傍の流体の連れ回りにより、周囲の流体に複雑な流動(乱流)を発生させ、従来にない攪拌力を得ることが可能となっている。
【0034】
なお、本実施形態では、攪拌用回転体20の本体21を略砲弾形状に構成しているが、本体21の形状はこれに限定されるものではなく、例えば球状や半球状、円柱状や多角柱状等、その他の任意の形状を採用することができる。また、吸入口22および吐出口24の形状(断面形状)は略円形状に限定されるものではなく、例えば楕円形状や多角形状等、その他の形状であってもよい。また、流通路26の断面形状は、特に限定されるものではなく、吸入口22および吐出口24の形状や位置、または加工方法等に応じて適宜の形状に構成することができる。
【0035】
また、本実施形態では、加工のしやすさから流通路26を略直角に曲折するL字状に構成しているが、滑らかに湾曲した曲線状の通路として流通路26を構成するようにしてもよいし、吸入口22と吐出口24を直線的に繋ぐようにしてもよい。また、本実施形態では、本体21の流通路26以外の部分を中実に構成することで、本体21の強度を高めるようにしているが、本体21の流通路26以外の部分を中空状に構成するようにしてもよい。
【0036】
図1に戻って、バッフル体30は、攪拌用回転体20の生成する脈動流に起因して被攪拌物100の上面102に発生するうねり(波)を低減するためのものである。
図3(a)は、容器12およびバッフル体30の平面図であり、
図3(b)は、
図3(a)のA−A線断面図である。これらの図に示されるように、バッフル体30は、平面視が扇形状の平板であり、攪拌用回転体20の吐出口24よりも遠心方向外側において、水平面と略平行に配置されている。また、バッフル体30は、下面30aが吐出口24の中心軸C3よりも上方となる位置に配置されており、この下方に向けられた下面30aが、被攪拌物100中において上方に向かう流動の力(圧力)を受け止めるバッフル面32として機能するようになっている。
【0037】
なお、吐出口24の中心軸C3とは、吐出口24の中心を通過し、吐出口24の向きと平行な直線、より具体的には、吐出口24に繋がる流通路26における直近の直線部分(本実施形態では、遠心方向部分26b)の方向と平行な直線のことを意味している。
【0038】
本実施形態では、バッフル体30を容器12に固定し、容器12の上縁12cのやや下側の側壁12aから内側に向けて突出させるように配置している。また、本実施形態では、静止状態(すなわち、攪拌用回転体20が停止しており、攪拌を行っていない状態)の被攪拌物100の上面102に対して、下面30aがやや上方に位置するようにバッフル体30を配置している。すなわち、バッフル体30は、攪拌用回転体20の回転に伴って被攪拌物100の上面102にうねりが発生した場合にのみ、バッフル面32が被攪拌物100と接触するようになっている。
【0039】
また、本実施形態では、攪拌領域10内においてバッフル体30が攪拌領域10の周方向に占める範囲が約10%となるようにしている。具体的には、攪拌領域10の中心軸C1周りの角度θが約36°となるようにバッフル体30の周方向寸法を設定している。さらに、本実施形態では、バッフル体30の厚み、すなわち上下方向寸法Tを、攪拌領域10の高さ(上下方向寸法)Hの約2%に設定し、バッフル体30の側壁12aからの突出量Pを、攪拌領域10の直径Dの約10%に設定している。
【0040】
次に、攪拌装置1の作用について説明する。
図4ならびに
図5(a)および(b)は、攪拌装置1の作用の一例を示した図である。被攪拌物100中で攪拌用回転体20を回転させると、被攪拌物100内に複雑な循環流が発生することとなる。具体的には、
図4に示されるように、吐出口24からの噴出等によって攪拌用回転体20から遠心方向に放射状に広がる流動は、ある程度広がった後容器12の側壁12a近傍で上下に分かれ、一方が上方から上面21aに向かう比較的弱い旋回流となり、他方が吸入口22の吸引力等によって下方から底面21bに向かう比較的強い旋回流となる。
【0041】
この循環流により、攪拌領域10の略全域に攪拌力が及ぼされるため、被攪拌物100を効率的に攪拌することができる。また、上述のように、攪拌用回転体20から遠心方向に放射状に広がる流動は脈動流となるため、この脈動により循環流が適度に乱され、攪拌効率はさらに向上することとなる。
【0042】
但し、攪拌用回転体20の回転数ならびに被攪拌物100および容器12等の固有振動数によっては、この脈動流に起因して共振が発生することとなる。
図5(a)および(b)は、共振が発生した場合を示しており、
図5(a)はバッフル体30を設けていない場合、
図5(b)はバッフル体30を設けた場合の例を示している。
【0043】
共振が発生した場合、
図5(a)に示されるように、主に容器12の側壁12a近傍において上方に向かう流動が強くなり、被攪拌物100の上面102に大きなうねり(波)が発生する。このうねりは、側壁12aの近傍に複数の盛り上がり部104を生成し、被攪拌物100が容器12外に漏洩する可能性が高まることとなる。また、被攪拌物100の上面102の変動が激しい場合には、被攪拌物100が容器12の周囲に飛散することとなる。
【0044】
本願発明者の研究によれば、バッフル体30を設けることで、このような大きなうねりの発生を防止することが可能となる。すなわち、側壁12aの近傍において上方に向かう流動の圧力をバッフル面32で受け止め、流動を下方に向けて押し返すことで、大きな盛り上がり部104の発生を防止することができる。さらに、このバッフル面32による押し返し効果は、被攪拌物100の上部側に生じた旋回流と共に被攪拌物100の上部側の略全域に伝播するため、攪拌領域10内の少なくとも1箇所に、適宜の面積のバッフル面32を設けることで、被攪拌物100の上面102のうねりを全体的に低減することが可能となっている。
【0045】
このように、本実施形態の攪拌装置1では、吸入口22、吐出口24および流通路26を備える攪拌用回転体20に特有の脈動流に起因するうねりを、効果的に低減することが可能となっている。このため、容器の密閉や遮蔽物の設置といった漏洩、飛散対策が不要となるだけでなく、攪拌する被攪拌物100の量に対して攪拌領域10の容積を小さめに設定することが可能となるため、攪拌装置1の設備コストを削減することができる。また、駆動軸40や容器12等に作用する外力を低減することが可能となるため、攪拌装置1の設備コストを削減すると共に、設計を容易にすることができる。
【0046】
さらに、既存の各種容器や槽等を容易に攪拌装置1に転用することができるため、既存の各種設備やプラント等への攪拌装置1の設置が容易となっている。また、被攪拌物100の性状および量、攪拌用回転体20の仕様および回転数ならびに攪拌領域10の形状および大きさといった各種条件が共振によって制限されないため、各種条件の変更に伴う攪拌力の低下や所要電力の上昇といった問題が生じにくく、効率的な攪拌を低コストで安定的に行うことが可能となっている。
【0047】
なお、攪拌領域10内においてバッフル体30が周方向に占める範囲(角度θ)、ならびにバッフル体30の上下方向寸法Tおよび突出量Pの大きさは、特に限定されるものではなく、被攪拌物100中の流動状態やうねりの発生状況等に応じて適宜に設定すればよい。また、バッフル体30の形状は、特に限定されるものではなく、任意の形状を採用することができる。
【0048】
但し、攪拌用回転体20による高い攪拌効率を維持しつつ効果的にうねりを低減するためには、バッフル体30の形状は、少なくとも攪拌領域10内において攪拌領域10の上下方向に占める範囲が、攪拌領域10の周方向に占める範囲以下となる形状であることが好ましい。
【0049】
すなわち、バッフル体30は、うねりの低減に必要なバッフル面32の面積を確保しながらも、被攪拌物100中に生じる旋回流を阻害しにくい形状であることが好ましい。このようにすることで、被攪拌物100中の流動状態を適切に維持して攪拌効率の低下を防止するだけでなく、バッフル面32の効果を周方向に適切に伝播させることができるため、1つのバッフル体30のみで効果的にうねりを低減することが可能となる。
【0050】
従って、本実施形態では、バッフル体30を平板状に構成し、上下方向寸法Tを小さくすることで、被攪拌物100中に生じている旋回流が阻害されにくいようにしている。また、本実施形態ではさらに、静止状態の被攪拌物100の上面102の上方にバッフル体30を配置することで、攪拌中に生じた盛り上がり部104とのみバッフル面32が接触するようにし、バッフル体30の旋回流に及ぼす影響が最小限となるようにしている。
【0051】
本実施形態ではまた、角度θおよび突出量Pを上述のように比較的小さく設定することで、攪拌領域10内への被攪拌物100の投入や容器12の清掃といった作業を容易にすると共に、被攪拌物100の攪拌状態の目視による確認が容易となるようにしている。換言すれば、本実施形態の攪拌装置1では、作業性や視認性等を悪化させることなく、共振により発生するうねりを低減することが可能となっている。
【0052】
次に、攪拌装置1のその他の形態について説明する。
図6(a)〜(c)、
図7(a)〜(c)および
図8(a)〜(d)は、バッフル体30のその他の配置例を示した図である。なお、
図6(a)〜(c)および
図7(a)〜(c)は容器12の平面図、
図8(a)〜(c)は容器12の断面図である。
【0053】
図6(a)に示されるように、バッフル体30は、複数が攪拌領域10の周方向に配列されるものであってもよい。また、
図6(b)に示されるように、バッフル体30は、攪拌領域10の全周にわたって配置されるものであってもよい。また、
図6(c)に示されるように、バッフル体30は、攪拌領域10を横断するように設けられるものであってもよい。
【0054】
被攪拌物100の性状や被攪拌物100中の流動状態等に応じて、適宜にバッフル体30を配置することで、より効果的にうねりを低減することが可能となる。なお、配置するバッフル体30の個数が限定されないことはいうまでもない。また、
図6(c)に示す例では、バッフル体30に駆動軸40を挿通する貫通孔34を設けるようにしているが、バッフル体30を駆動軸40からずらした位置で横断させるようにしてもよい。
【0055】
また、攪拌領域10を、例えば多角柱状等、外周部10aに平面部10a1および角部10a2を有する形状に構成した場合には、バッフル体30は、
図7(a)に示されるように、攪拌領域10の平面部10a1に設けられるものであってもよいし、
図7(b)に示されるように、角部10a2に設けられるものであってもよいし、
図7(c)に示されるように、平面部10a1および角部10a2の両方に設けられるものであってもよい。
【0056】
攪拌領域10を外周部10aに角部10a2を有する形状に構成した場合、バッフル体30を角部10a2に設けることで、より邪魔にならない位置にバッフル体30を配置することが可能となる。さらに、バッフル体30を角部10a2に設ける場合、
図7(b)に示されるように、バッフル体30の平面視の形状を三角形またはこれに類似する形状に構成することで、バッフル体30をより邪魔にならないようにすることができる。
【0057】
なお、図示は省略するが、角部10a2は、丸みが付けられたものであってもよいことはいうまでもない。また、攪拌領域10は、外周部に角部10a2と共に曲面部を有する形状であってもよく、この場合、バッフル体30を曲面部に配置するようにしてもよい。
【0058】
また、
図8(a)に示されるように、バッフル体30は、静止状態の被攪拌物100の上面102よりも下方となる位置、すなわち静止状態の被攪拌物100中に配置されるものであってもよい。被攪拌物100の性状や被攪拌物100中の流動状態等に応じてバッフル体30の上下方向の位置を調整することで、被攪拌物100中の流動に対するバッフル体30の抵抗の度合いを適宜に調整することができるため、より効果的にうねりを低減することが可能となる。
【0059】
また、
図8(b)〜(d)に示されるように、バッフル体30は、複数が上下方向に配列されるものであってもよい。この場合、
図8(b)に示されるように、上下方向に略一列に複数のバッフル体30を配置するようにしてもよいし、
図8(c)および(d)に示されるように、周方向の位置をずらした複数のバッフル体30を配置するようにしてもよい。
【0060】
上下方向の位置の異なる複数のバッフル体30を設けることで、被攪拌物100中の流動に対するバッフル体30の抵抗の度合いを増大させることが可能となるため、共振の程度が大きいような場合にも効果的にうねりを低減することが可能となる。また、例えば被攪拌物100の量の変動によって上面102の位置が変化するような場合にも、上面102の位置の変化に合わせて予め複数のバッフル体30を配置しておくことで、適切にうねりを低減することが可能となる。
【0061】
図9(a)〜(c)は、バッフル体30の攪拌用回転体20に対する上下方向の位置の例を示した図であり、容器12の断面図である。バッフル体30の攪拌用回転体20に対する上下方向の位置は、特に限定されるものではなく、被攪拌物100の性状や被攪拌物100中の流動状態等に応じて、適宜の位置に配置すればよい。但し、より効果的にうねりを低減するためには、バッフル体30は、吐出口24の中心軸C3よりも上方にバッフル面32が配置される位置に設けられることが好ましく、より詳細には、
図9(a)に示されるように、少なくとも吐出口24の中心軸C3とバッフル面32が接する位置よりも上方に設けられることが好ましい。この点は、
図9(b)および(c)に示されるように、吐出口24が上斜め方向または下斜め方向に向けられている場合においても同様であるが、吐出口24が上斜め方向に向けられている場合には、吐出口24の中心軸C3とバッフル面32が交差する位置にバッフル体30を設けることも好ましい。
【0062】
上述のようにバッフル体30は、バッフル面32で被攪拌物100中において吐出口24から流出した後に上方に向かう流動の力を受け止めることで、被攪拌物100の上面102のうねりを低減するものであることから、このようにバッフル体30を配置することで、より効果的にうねりを低減することが可能となる。なお、図示は省略するが、吐出口24の中心軸C3の上方および下方の両方にバッフル体30を配置するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0063】
図10(a)〜(d)は、バッフル面32のその他の形態の例を示した図であり、容器12の断面図である。バッフル面32は、上述の例のように水平面と略平行な平面に限定されるものではなく、その他の面から構成されるものであってもよい。
【0064】
例えば、
図10(a)に示されるように、バッフル面32は、攪拌領域10の周方向に沿って漸次高さが変化するように水平面に対して傾斜した面であってもよい。バッフル面32をこのように傾斜させることで、被攪拌物100中において上方に向かう流動を周方向のいずれか一方に誘導することができるため、被攪拌物100中の旋回流を促進または抑制することによって、より効果的にうねりを低減することが可能となる。
【0065】
なお、この場合の水平面に対するバッフル面32の傾斜角度αは、特に限定されるものではないが、5〜30°であることが好ましい。また、図示は省略するが、上方に向かう流動を周方向以外の方向に誘導するようにバッフル面32を傾斜させるようにしてもよい。
【0066】
また、バッフル面32は、
図10(b)に示されるように曲面から構成されるものであってもよいし、
図10(c)に示されるように曲折した面から構成されるものであってもよい。また、図示は省略するが、バッフル面32に適宜の凹凸形状を設けるようにしてもよい。また、
図10(d)に示されるように、例えばバッフル体30を複数の丸棒から構成することで、バッフル面32を断続的に構成するようにしてもよい。
【0067】
このようにバッフル面32の構造を適宜に設定することで、被攪拌物100中の流動に対するバッフル面32の抵抗の度合いを調整したり、流動を適宜の方向に誘導したりすることができるため、より効果的にうねりを低減することが可能となる。
【0068】
なお、傾斜面、曲面、曲折面および凹凸形状等は、バッフル面32の全体に設けるようにしてもよいし、部分的に設けるようにしてもよい。また、バッフル体30をメッシュ状の部材から構成したり、バッフル体30に貫通孔を設けたりすることで、バッフル面32を断続的に構成するようにしてもよい。
【0069】
図11(a)〜(c)は、バッフル体30の固定方法のその他の例を示した図であり、容器12の断面図である。上述の例では、バッフル体30を容器12の側壁12aに固定する場合を示したが、バッフル体30の固定方法はこれに限定されるものではなく、その他の固定方法を採用してもよい。例えば、
図11(a)に示されるように、バッフル体30は、駆動装置50を支持する支持部材52に固定されるものであってもよい。また、
図11(b)に示されるように、バッフル体30に適宜のフック部36を設け、このフック部36を容器12の上縁12cに引っ掛けることによってバッフル体30を固定するようにしてもよい。また、
図11(c)に示されるように、複数のバッフル体30を適宜の連結部材38によって連結し、この連結部材38を適宜のフック部36等によって容器12に固定するようにしてもよい。
【0070】
このような固定方法を採用することで、既存の容器12を活用して容易に攪拌装置1を実現することが可能となる。また、バッフル体30の位置や個数の調整が容易となるため、より効果的にうねりを低減することが可能となる。なお、図示は省略するが、駆動装置50用の支持部材52とは別に、バッフル体30専用の支持部材を設けるようにしてもよい。
【0071】
その他、図示は省略するが、バッフル体30は、一部が攪拌領域10外に露出した状態で設けられるものであってもよい。すなわち、バッフル体30は、少なくとも一部が攪拌領域10内に配置されるものであればよい。また、バッフル体30は、
図11(a)および(c)に示されるように、攪拌領域10の外周部10aから離隔して配置されるものであってもよい。また、バッフル体30をフロート状に構成し、被攪拌物100の上面102に浮かせるようにしてもよい。また、容器12に設けられた補強用のリブ等をバッフル体30として兼用するようにしてもよい。
【0072】
また、上述の例では、攪拌領域10の中心軸C1と攪拌用回転体20の中心軸C2を略一致させた場合を示したが、攪拌領域10の中心軸C1に対して攪拌用回転体20の中心をずらすようにしてもよい。また、攪拌領域10内における攪拌用回転体20の上下方向の位置は、特に限定されるものではなく、適宜の高さに配置すればよい。
【0073】
また、攪拌用回転体20は、駆動軸40側に吸入口22が設けられたものであってもよいし、先端側と駆動軸40側の両方に吸入口22が設けられたものであってもよい。また、攪拌用回転体20は、外部の気体を攪拌領域10内に導入するように構成されたものであってもよい。また、攪拌領域10内に複数の攪拌用回転体20を配置するようにしてもよい。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係る攪拌装置1は、被攪拌物100を攪拌する攪拌領域10と、攪拌領域10内で回転する攪拌用回転体20と、攪拌領域10内に少なくとも一部が配置されるバッフル体30と、を備え、攪拌用回転体20は、回転軸(中心軸C2)を中心に回転する本体21と、本体21の表面に設けられる吸入口22と、本体21の表面において吸入口22よりも回転軸(中心軸C2)から遠心方向外側の位置に設けられる吐出口24と、吸入口22と吐出口24を繋ぐ流通路26と、を備え、バッフル体30は、下方に向けられたバッフル面32を備え、バッフル面32は、吐出口24よりも回転軸(中心軸C2)から遠心方向外側において少なくとも攪拌用回転体20の回転中に被攪拌物100と接触する位置に設けられている。
【0075】
このような構成とすることで、攪拌用回転体20に特有の共振により、被攪拌物100の上面102に発生するうねりを効果的に低減することが可能となるため、被攪拌物100の性状および量、攪拌用回転体20の仕様および回転数ならびに攪拌領域10の形状および大きさといった各種条件が制限されることなく、効率的な攪拌を行うことができる。
【0076】
また、バッフル面32は、吐出口24の中心軸C3よりも上方の位置、または中心軸C3と接するもしくは交差する位置に設けられている。このようにすることで、被攪拌物100中において吐出口24から流出した後に上方に向かう流動の力を確実に受け止めることが可能となるため、より効果的にうねりを低減することができる。
【0077】
また、バッフル体30は、攪拌領域10内において攪拌領域10の上下方向に占める範囲が攪拌領域10の周方向に占める範囲以下に構成されている。このようにすることで、被攪拌物100中に生じる旋回流がバッフル体30によって阻害されにくいようにすることが可能となるため、攪拌用回転体20による高い攪拌効率を維持しながらも、効果的にうねりを低減することができる。
【0078】
また、バッフル体30は、攪拌領域10内において攪拌領域10の周方向に占める範囲が攪拌領域10の全周の一部となっている。このようにすることで、バッフル体30が各種作業等の邪魔にならないようにすることが可能となるため、攪拌時の作業性や視認性等を悪化させることなく、うねりを低減することができる。
【0079】
また、バッフル面32は、攪拌領域10内の被攪拌物100に生じたうねりの盛り上がり部104とのみ接触する位置に設けられている。このようにすることで、被攪拌物100中に生じる流動がバッフル体30によって阻害されにくいようにすることが可能となるため、攪拌用回転体20による高い攪拌効率を維持しながらも、効果的にうねりを低減することができる。
【0080】
また、バッフル面32は、水平面に対して傾斜した部分を有するものであってもよい。このようにすることで、被攪拌物100中において上方に向かう流動を適宜の方向に誘導することが可能となるため、より効果的にうねりを低減することができる。
【0081】
また、バッフル面32は、攪拌領域10の周方向に沿って漸次高さが変化するように水平面に対して傾斜した部分を有するものであってもよい。このようにすることで、被攪拌物100中の旋回流を促進または抑制することが可能となるため、より効果的にうねりを低減することができる。
【0082】
また、攪拌領域10が外周部10aに角部10a2を有する形状に構成される場合、バッフル体30は、角部10a2に設けられるものであってもよい。このようにすることで、効果的にうねりを低減しながらも、バッフル体30を邪魔にならない位置に配置することができる。
【0083】
また、攪拌装置1は、攪拌領域10の周方向に配列された複数のバッフル体30を備えるものであってもよい。また、攪拌装置1は、攪拌領域10の上下方向に配列された複数のバッフル体30を備えるものであってもよい。このようにすることで、被攪拌物100中の流動に対するバッフル体30の抵抗の度合いを適宜に調整することが可能となるため、より効果的にうねりを低減することができる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の攪拌装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上記実施形態において示した作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したものに過ぎず、本発明による作用および効果は、これらに限定されるものではない。