(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
耐水性支持体上に無機微粒子とアセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びほう酸またはその塩を含有するインク受容層塗布液を塗布、乾燥した後、グリオキシル酸塩及びカチオンポリマーを含有し、粘度が12mPa・s未満であるオーバーコート液をインク受容層に付与することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、無機微粒子とアセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びほう酸またはその塩を含有するインク受容層を有するインクジェット記録材料の製造方法であって、インク受容層を形成した後に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールのアセトアセチル基と反応するグリオキシル酸塩とカチオンポリマーを含有する塗布液を該インク受容層に付与することを特徴とする。インク受容層塗布液にグリオキシル酸塩やカチオンポリマーを混合した場合には、塗布液の増粘ゲル化が進行し、生産性への悪影響や
インク受容層に塗布欠陥が生じる。本発明ではこのような問題を、インク受容層を形成した後にグリオキシル酸塩及びカチオンポリマーを含有する塗布液を付与することで塗布欠陥を低減できることを見出した。
【0017】
また、本発明において、グリオキシル酸塩及びカチオンポリマーを含有するオーバーコート液の粘度が12mPa・s以上の場合には、
インク受容層全体にオーバーコート液が充分に浸透せずにインク受容層全体でアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとグリオキシル酸塩が反応しないため、充分な耐化学薬品性が得られない。また、インク受容層上部にオーバーコート液固形物が分布することにより、インク吸収性に悪影響を与える。特に好ましいオーバーコート液の粘度としては4mPa・s未満である。
【0018】
さらに本発明において、該カチオンポリマーが4級カチオンポリマーであることで、特にアルカリ性薬品処理時に高いカチオン性を保持できるために良好な耐化学薬品性が得られ、本発明の目的がより達せられることを見出した。以下、本発明のインクジェット記録材料の製造方法について詳細に説明する。
【0019】
まず、本発明に用いるインク受容層塗布液が含有する成分について説明する。インク受容層塗布液が含有する無機微粒子としては、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種微粒子が挙げられるが、印字濃度、画像の鮮明性の点で非晶質合成シリカ、アルミナまたはアルミナ水和物が好ましい。
【0020】
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカはケイ酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカはケイ酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
【0021】
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
【0022】
本発明には、気相法シリカが好ましく使用できる。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は30nm以下が好ましい。さらに好ましくは平均一次粒子径が3〜15nm(特に3〜10nm)でかつBET法による比表面積が200m
2/g以上(好ましくは250〜500m
2/g)のものを用いることである。なお、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径としてその平均値を求めたものである。また本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
【0023】
気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散したものが好ましく使用できる。気相法シリカの平均二次粒子径は好ましくは500nm以下、より好ましくは10〜300nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。なお、本発明でいう平均二次粒子径とは、得られた記録材料のインク受容層を電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば(株)堀場製作所製LA920)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
【0024】
本発明では、湿式法シリカも好ましく使用できる。ここで用いられる湿式法シリカとしては沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、特に沈降法シリカが好ましい。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均二次粒子径が500nm以下である湿式法シリカ粒子が好ましく、さらには平均二次粒子径が20〜300nmである湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。
【0025】
湿式法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散・粉砕することが好ましい。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。本発明に用いられる湿式法シリカ微粒子を粉砕する好ましい方法について説明する。まず、水を主体とする分散媒中にシリカ粒子とカチオン性化合物を混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも一つを用いてシリカ予備分散液を得る。必要であれば水分散媒中に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散液の固形分濃度は高い方が好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、シリカ予備分散液をより強い剪断力を持つ機械的手段にかけてシリカ粒子を粉砕し、湿式法シリカ微粒子分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
【0026】
上記気相法シリカ及び湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーを好ましく使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号公報、特開昭59−33176号公報、特開昭59−33177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−11389号公報、特開昭60−49990号公報、特開昭60−83882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−49478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平1−40371号公報、特開平6−234268号公報、特開平7−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性及び分散液粘度の面で、これらのカチオン性ポリマーの質量平均分子量は2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。
【0027】
本発明に用いられるアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で粉砕したものが使用できる。アルミナの平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましく、より好ましくは20〜300nmである。
【0028】
本発明に用いられるアルミナ水和物はAl
2O
3・nH
2O(n=1〜3)の構成式で表される。本発明に使用されるアルミナ水和物はアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は好ましくは500nm以下、より好ましくは20〜300nmである。
【0029】
本発明に用いられる上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散されたものが好ましく用いられる。
【0030】
上記した無機微粒子の中から2種以上の無機微粒子を併用することもできる。例えば、微粉砕した湿式法シリカと気相法シリカとの併用、微粉砕した湿式法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用、気相法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用等が挙げられる。
【0031】
本発明に用いるインク受容層塗布液が含有するアセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとジケテンの反応等の公知の方法によって製造することができる。アセトアセチル化度は0.1〜20モル%が好ましく、さらに1〜15モル%が好ましい。ケン化度は80モル%以上が好ましく、さらに85モル%以上が好ましい。重合度としては、500〜5000のものが好ましく、特に2000〜4500のものがさらに好ましい。このようなアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとしては市販品を入手し使用することも可能であり、例えば日本合成化学工業(株)からゴーセネックスZシリーズとして市販されている。
【0032】
本発明ではアセトアセチル変性ポリビニルアルコールに加えて、さらに他の公知の高分子バインダーを併用してもよい。例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉や各種変性澱粉、ゼラチンや各種変性ゼラチン、キトサン、カラギーナン、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を必要に応じて併用することができる。さらに、バインダー樹脂として各種ラテックスを併用してもよい。
【0033】
他の高分子バインダーを併用する際、塗布後の表面光沢の点で、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールと相溶性の高い高分子バインダーを併用することが好ましく、完全または部分ケン化ポリビニルアルコール、またはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましく併用できる。特に、ケン化度が80%以上で、平均重合度200〜5000のものが好ましく使用できる。また、他の高分子バインダーの含有量は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールに対して100質量%未満であることが好ましい。
【0034】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールが例示される。
【0035】
また、インク受容層中におけるバインダーの含有量は、無機微粒子に対して3〜50質量%の範囲が好ましい。
【0036】
本発明のインク受容層塗布液は無機微粒子、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの他に、ほう酸またはその塩を含有する。本発明で使用されるほう酸は、オルトほう酸、メタほう酸、次ほう酸等が、ほう酸塩としてはそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。ほう酸またはほう酸塩の添加量はアセトアセチル変性ポリビニルアルコールに対して0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
【0037】
本発明においてインク受容層塗布液には、前述の非晶質合成シリカのカチオン化に使用されるものと同様のカチオン性ポリマーを、品質に悪影響を与えない範囲でさらに添加してもよい。また、インク受容層塗布液には、耐水性向上等のため水溶性多価金属化合物を含有してもよい。水溶性多価金属化合物としては水溶性アルミニウム化合物が好ましく利用できる。
【0038】
水溶性アルミニウム化合物としては例えば、無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られている。
【0039】
これらの水溶性アルミニウム化合物の中でも、インク受容層を形成する塗布液に安定に添加できるものが好ましく、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の式1、2または3で示され、例えば[Al
6(OH)
15]
3+、[Al
8(OH)
20]
4+、[Al
13(OH)
34]
5+、[Al
21(OH)
60]
3+等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0040】
[Al
2(OH)
nCl
6−n]
m ・・式1
[Al(OH)
3]
nAlCl
3 ・・式2
Al
n(OH)
mCl
(3n−m) 0<m<3n ・・式3
【0041】
これらのものは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学工業(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードのものが容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。
【0042】
上記した水溶性多価金属化合物の含有量は、インク受容層が含有する無機微粒子に対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0043】
インク受容層には、さらに着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。また、本発明のインク受容層の塗布液のpHは3.3〜6.5の範囲が好ましく、特に3.5〜5.5の範囲が好ましい。
【0044】
また、インク受容層には、チオエーテル化合物、カルボヒドラジド及びその誘導体を含有させることによって印字後の保存性を改良することができる。
【0045】
本発明で用いられるカルボヒドラジド誘導体は、同一分子中に同構造を一つまたは二つ以上有する化合物であっても、あるいは同構造を分子主鎖または側鎖に有するポリマーであってもよい。
【0046】
本発明に用いられるチオエーテル化合物には、硫黄原子の両側に芳香族基が結合した芳香族チオエーテル化合物、硫黄原子を挟んだ両端にアルキル基を有する脂肪族チオエーテル化合物等がある。これらの中でも特に親水性基を有する脂肪族チオエーテル化合物が好ましい。
【0047】
なおこれらの化合物は既知の合成法や、特開2002−321447号公報、特開2003−48372号公報に記載の合成法などを参考に合成できる。また、一部の化合物については、市販の化成品をそのまま使用することができる。
【0048】
本発明において、インク受容層の塗布方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
【0049】
本発明において、インク受容層の固形分塗布量は10〜60g/m
2であることが好ましい。
【0050】
次に本発明のオーバーコート液について説明する。本発明のオーバーコート液に含有されるグリオキシル酸塩はインク受容層のアセトアセチル変性ポリビニルアルコールと反応し、インク受容層の耐化学薬品性を改善する。
【0051】
本発明のグリオキシル酸塩とは、グリオキシル酸のアルカリ金属塩、グリオキシル酸のアルカリ土類金属塩、グリオキシル酸のアミン塩等が挙げられ、好ましくは、グリオキシル酸のアルカリ金属、およびアルカリ土類金属塩が用いられる。かかるアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属としては
、カルシウムを代表的なものとして挙げることができる。
【0052】
本発明のオーバーコート液のグリオキシル酸塩の含有量としては、オーバーコート液中の固形分濃度で0.1〜5質量%の範囲が好ましい。
【0053】
また、本発明のオーバーコート液には、他の架橋剤を適宜使用しても構わない。他の架橋剤としては、以下の化合物が挙げられる。
【0054】
(1)ポリアミン類
脂肪族ポリアミン類;
・アルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)。
・ポリアルキレンポリアミン(例えば、ジエチレントリアミン、イミノビス(プロピルアミン)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど)。
・これらのアルキルまたはヒドロキシアルキル置換体(例えば、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビス(プロピルアミン)など)。
・脂環または複素環含有脂肪族ポリアミン(例えば、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど)。
・芳香環含有脂肪族アミン類(例えば、キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)。
【0055】
C4〜C15の脂環式ポリアミン;
例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、4,4′−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等。
【0056】
C4〜C15の複素環式ポリアミン;
例えば、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノピペラジン等。
【0057】
C6〜C20の芳香族ポリアミン類;
・非置換芳香族ポリアミン(例えば1,2−,1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4′−および4,4′−ジフェニルメタンジアミン、ポリフェニルポリメチレンポリアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン,チオジアニリン,ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリアミン、ナフチレンジアミンなど)。
・核置換アルキル基(例えばC1〜C4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミン(例えば、2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン,4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、4,4′−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、3,3′,5,5′−テトライソプロピルベンジジン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトライソプロピル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラブチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3′−メチル−2′,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3′−メチル−2′,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−2,2′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトライソプロピル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトライソプロピル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホンなど)。
【0058】
ポリアミドポリアミン;
例えば、ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類:(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量(例えば分子量200〜5000)ポリアミドポリアミンなど)。
【0059】
ポリエーテルポリアミン;
例えば、分子量100〜5000のポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など)。
【0060】
(2)ジシアンジアミド誘導体;
ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物など。
【0061】
(3)ヒドラジン化合物;
ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ヒドラジンの無機塩類(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、チオシアン酸、炭酸などの無機塩類)、ヒドラジンの有機塩類(例えば、ギ酸、シュウ酸などの有機塩類)。
【0062】
(4)ポリヒドラジド化合物(ジヒドラジド、トリヒドラジド);
カルボヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド等。
【0063】
(5)アルデヒド類;
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド等のモノアルデヒド、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、1,8−オクタンジアール、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、両末端アルデヒド化PVA等のジアルデヒド類、アリリデン酢酸ビニルジアセテート共重合体をケン化して得られる側鎖アルデヒド含有共重合体、ジアルデヒド澱粉、ポリアクロレイン等。
【0064】
(6)メチロール化合物;
メチロールホスフィン、ジメチロール尿素、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、尿素樹脂初期重合物、メラミン樹脂初期重合物等。
【0065】
(7)活性化ビニル化合物;
ジビニルスルホン系化合物、β−ヒドロキシエチルスルホン系化合物等。
【0066】
(8)エポキシ化合物;
エピクロルヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、ポリエポキシ化合物等。
【0067】
(9)イソシアネート系化合物;
トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス−4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0068】
(10)フェノール系化合物;
フェノール系樹脂初期縮合物、レゾルシノール系樹脂等。
【0069】
(11)多価金属塩;
・ジルコニウム塩(硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、フッ化ジルコニウム化合物等)。
・チタン塩(4塩化チタン、乳酸チタン、テトライソプロピルチタネート等)。
・アルミニウム塩(塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム等)。
・カルシウム塩(塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等)。
・マグネシウム塩(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等)。
・亜鉛塩(塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛等)。
【0070】
本発明のオーバーコート液が含有するカチオンポリマーとしては、種々のカチオンポリマーを用いることができる。カチオンポリマーとしては、例えば昭和電工(株)からポリフィックス、(株)センカからパピオゲンやユニセンスといった各種製品が市販されている。
【0071】
本発明において、特に4級カチオンポリマーを好ましく用いることができる。4級カチオンポリマーとは、カチオンポリマーのカチオン基が4級アンモニウム塩主体で構成されているカチオンポリマーのことであり、例えば、ジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン付加重合物、エピクロルヒドリン・アンモニア・ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重縮合物及びその共重合物、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重縮合物などが挙げられる。中でもエピクロルヒドリン・ジメチルアミン付加重合物やエピクロルヒドリン・アンモニア・ジメチルアミン付加重合物が好ましく用いられ、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン付加重合物が特に好ましい。このようなエピクロルヒドリン・ジメチルアミン付加重合物としては市販品を入手し使用することも可能であり、例えば(株)センカからユニセンスKHE104Lとして市販されている。なお、ここでいう4級アンモニウム塩主体とは、カチオンポリマー中のカチオン基の少なくとも50%以上が4級アンモニウム塩である。
【0072】
本発明のオーバーコート液カチオンポリマーの含有量としては、オーバーコート液中の固形分濃度で1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0073】
また、本発明のオーバーコート液には、他の添加剤として界面活性剤、親水性バインダー、無機微粒子等を含有することができる。
【0074】
本発明において、オーバーコート液は、インク受容層を塗布乾燥した後に付与する。本発明において「塗布乾燥した後」とはインク受容層塗布液を塗布・乾燥し、インク受容層の含水率が10質量%以下である状態を指す。オーバーコート液を付与する手段としてはスライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等の塗布方式が好適であるが、オーバーコート液の湿潤塗布量はインク受容層の空隙容量以下とすることが好ましいため、予め所定の塗布量となるように計量しておいた塗布液を塗布する方式である、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式等が好ましい。中でも、オーバーコート液へ与えるせん断力の大きさの観点からグラビアロール方式が特に好ましい。
【0075】
本発明のインクジェット記録材料の支持体としては、耐水性支持体であれば特に制限はないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、セロファン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の樹脂フィルム支持体や、ポリプロピレン樹脂に無機充填材を配合して、二軸延伸フィルム成形法によって製造された合成紙(例えば、ユポ(登録商標):株式会社ユポ・コーポレーション社製)や、基紙の少なくとも一方の面をポリオレフィン樹脂で被覆した樹脂被覆紙支持体が好ましく用いられる。
【0076】
本発明に好ましく用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙支持体(以降、ポリオレフィン樹脂被覆紙と称す)について詳細に説明する。本発明に用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙は、その含水率は特に限定しないが、カール性より好ましくは5.0〜9.0質量%の範囲であり、より好ましくは6.0〜9.0質量%の範囲である。ポリオレフィン樹脂被覆紙の含水率は、任意の水分測定法を用いて測定することができる。例えば、赤外線水分計、絶乾重量法、誘電率法、カールフィッシャー法等を用いることができる。
【0077】
ポリオレフィン樹脂被覆紙を構成する基紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。基紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この基紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
【0078】
さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0079】
また、基紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性のよいものが好ましく、その坪量は30〜250g/m
2が好ましい。
【0080】
基紙を被覆するポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの二つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0081】
また、ポリオレフィン樹脂被覆紙の樹脂中には、二酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、ヒンダードフェノール系化合物などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
【0082】
ポリオレフィン樹脂被覆紙の主な製造方法としては、走行する基紙上にポリオレフィン樹脂を加熱溶融した状態で流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、基紙の両面が樹脂により被覆される。また、樹脂を基紙に被覆する前に、基紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。樹脂被覆層の厚みとしては、5〜50μmが適当である。
【0083】
本発明に用いられる耐水性支持体のインク受容層が塗設される側は、下引き層を有することが好ましい。この下引き層は、インク受容層が塗設される前に、予め耐水性支持体の表面に塗布乾燥されたものである。この下引き層は、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。これらの水溶性ポリマーの付着量は、10〜500mg/m
2が好ましく、20〜300mg/m
2がより好ましい。さらに、下引き層には、他に界面活性剤や硬膜剤を含有するのが好ましい。耐水性支持体に下引き層を設けることによって、インク受容層塗布時のひび割れ防止に有効に働き、均一な塗布面が得られる。
【0084】
本発明のインクジェット記録材料のインク吸収性を有する側と耐水性支持体に対して反対側には、カール防止や印字直後に重ね合わせた際のくっつきやインク転写をさらに改善させるために種々の種類のバック層を設けてもよい。
【実施例】
【0085】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部及び%は質量基準である。
【0086】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して0.2%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m
2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の基紙とした。抄造した基紙に、密度0.918g/cm
3の低密度ポリエチレンの樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出被覆し、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し表面とした。もう一方の面には密度0.962g/cm
3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cm
3の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し裏面とした。
【0087】
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/m
2となるように塗布乾燥して耐水性支持体を作製した。
【0088】
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100質量部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2質量部
クロム明ばん 10質量部
【0089】
<気相法シリカ分散液の作製>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9000)4質量部と気相法シリカ(平均一次粒径7nm、BET法による比表面積300m
2/g)100質量部を添加し予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザー処理して、固形分濃度20質量%の気相法シリカ分散液を作製した。気相法シリカの平均二次粒子径は135nmであった。
【0090】
<インク受容層塗布液1の作製>
気相法シリカ分散液100質量部に、ほう酸水溶液4質量部、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール水溶液(ゴーセネックスZ−410:日本合成化学工業株式会社製)25質量部を添加混合し、最終的に固形分濃度14質量%に調節した
インク受容層塗布液1を得た。
【0091】
<インク受容層塗布液2の作製>
気相法シリカ分散液100質量部に、ほう酸水溶液4質量部、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール水溶液(ゴーセネックスZ−410:日本合成化学工業株式会社製)25質量部、グリオキシル酸ナトリウム水溶液1質量部を添加混合し、最終的に固形分濃度14質量%に調節した
インク受容層塗布液2を得た。
【0092】
<インク受容層塗布液3の作製>
気相法シリカ分散液100質量部に、ほう酸水溶液4質量部、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール水溶液(ゴーセネックスZ−410:日本合成化学工業株式会社製)25質量部、ユニセンスKHE104L(4級カチオンポリマー:センカ株式会社製)6質量部を添加混合し、最終的に固形分濃度14質量%に調節した
インク受容層塗布液3を得た。
【0093】
<インク受容層塗布液4の作製>
気相法シリカ分散液100質量部に、ほう酸水溶液4質量部、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール水溶液(ゴーセネックスZ−410:日本合成化学工業株式会社製)25質量部、グリオキシル酸ナトリウム水溶液1質量部、ユニセンスKHE104L(4級カチオンポリマー:センカ株式会社製)6質量部を添加混合し、最終的に固形分濃度14質量%に調節した
インク受容層塗布液4を得た。
【0094】
<オーバーコート液1の作製>
3質量%エタノール水溶液に、グリオキシル酸ナトリウム水溶液1質量%、ユニセンスKHE104L(4級カチオンポリマー:センカ株式会社製)6質量%を添加混合し、固形分濃度7質量%のオーバーコート液1を得た。B型粘度は2mPa・sであった。
【0095】
<オーバーコート液2の作製>
3質量%エタノール水溶液に、グリオキシル酸ナトリウム水溶液1質量%、ポリフィックス301(カチオンポリマー:昭和電工株式会社製)6質量%を添加混合し、固形分濃度7質量%のオーバーコート液2を得た。B型粘度は6mPa・sであった。
【0096】
<オーバーコート液3の作製>
3質量%エタノール水溶液に、グリオキシル酸ナトリウム水溶液1質量%、ポリフィックス301(カチオンポリマー:昭和電工株式会社製)9質量%を添加混合し、固形分濃度10質量%のオーバーコート液3を得た。B型粘度は9mPa・sであった。
【0097】
<オーバーコート液4の作製>
3質量%エタノール水溶液に、グリオキシル酸ナトリウム水溶液1質量%を添加混合し、固形分濃度1質量%のオーバーコート液4を得た。B型粘度は1mPa・sであった。
【0098】
<オーバーコート液5の作製>
3質量%エタノール水溶液に、ユニセンスKHE104L(4級カチオンポリマー:センカ株式会社製)6質量%を添加混合し、固形分濃度6質量%のオーバーコート液5を得た。B型粘度は2mPa・sであった。
【0099】
<オーバーコート液6の作製>
3質量%エタノール水溶液に、グリオキシル酸ナトリウム水溶液1質量%、ポリフィックス301(カチオンポリマー:昭和電工株式会社製)12質量%を添加混合し、固形分濃度13質量%のオーバーコート液6を得た。B型粘度は15mPa・sであった。
【0100】
(実施例1)
上記のように作製したポリオレフィン樹脂被覆紙の下引き層を設けた面に、上記インク受容層塗布液1を乾燥塗布量が25g/m
2となるようにスライドビードコーターで塗布した。塗布後10℃で20秒間冷却後、30〜55℃の加熱空気を吹き付けて乾燥した。乾燥後インク受容層の含水率は5質量%であった。さらに上記オーバーコート液1を、斜線グラビアロールを用いた塗布装置にて塗布を行い、45℃の温風を吹き付けて乾燥し、実施例1のインクジェット記録材料を得た。架橋剤塗布液の湿潤塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/m
2とした。なお、オーバーコート液の粘度測定はB型粘度計(60RPM)にて液温25℃で行った。
【0101】
(実施例2)
実施例1のオーバーコート液1をオーバーコート液2に変更した以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録材料を得た。
【0102】
(実施例3)
実施例1のオーバーコート液1をオーバーコート液3に変更した以外は実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記録材料を得た。
【0103】
(比較例1)
実施例1のオーバーコート液1をオーバーコート液4に変更した以外は実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録材料を得た。
【0104】
(比較例2)
実施例1のオーバーコート液1をオーバーコート液5に変更した以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録材料を得た。
【0105】
(比較例3)
実施例1のオーバーコート液1をオーバーコート液6に変更した以外は実施例1と同様にして比較例3のインクジェット記録材料を得た。
【0106】
(比較例4)
実施例1のオーバーコート液1を塗布しない以外は実施例1と同様にして比較例4のインクジェット記録材料を得た。
【0107】
(比較例5)
比較例4の
インク受容層塗布液1を
インク受容層塗布液2に変更した以外は比較例4と同様にして比較例5のインクジェット記録材料を得た。
【0108】
(比較例6)
比較例4の
インク受容層塗布液1を
インク受容層塗布液3に変更した以外は比較例4と同様にして比較例6のインクジェット記録材料を得た。
【0109】
(比較例7)
比較例4の
インク受容層塗布液1を
インク受容層塗布液4に変更した以外は比較例4と同様にして比較例7のインクジェット記録材料を得た。
【0110】
上記のようにして作製したインクジェット記録材料について下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0111】
<塗布欠陥>
作製したインクジェット記録材料の
インク受容層塗布面を観察し、以下の基準で評価した。◎の評価であれば塗布欠陥に問題が認められない。
◎:ひび割れ、亀裂が全く無い。
△:僅かにひび割れあるいは亀裂の発生が認められる。
×:ひび割れあるいは亀裂の発生が明確に認められる。
【0112】
<インク吸収性の評価>
作製したインクジェット記録材料に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターSC−PX5VII(用紙種類:EPSON写真用紙、印刷品質:スーパーフォト、双方向印刷:オン、カラー設定:色補正なし)を用いて画像を印刷した。インク吸収性について下記の基準にて評価を行った。なお、評価に用いた画像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ブルー、レッド、グリーンの各色ベタ印刷画像および各色ベタ画像部中に白抜き文字を組み入れたパターンからなる。本発明において、◎又は○の評価であればインク吸収性が優れるものとする。
◎:顕微鏡観察(25×)で各色輪郭部や抜き文字に、滲みが認められない。
○:顕微鏡観察(25×)で各色輪郭部や抜き文字に、僅かに滲みが認められる。目視観察では認められ難く、実使用上は問題無い。
△:顕微鏡観察(25×)で各色輪郭部や抜き文字に、滲みが認められる。目視観察でも僅かに認められ、実使用上は問題になる。
×:目視観察で各色輪郭部や抜き文字に明確な滲みが認められ、実使用上は問題になる。
【0113】
<耐化学薬品性の評価>
日本工業規格(JIS−X−6305 識別カードの試験方法−第1部:一般的特性)の耐化学薬品性試験に準拠した汚染試験用溶液(人工汗液−アルカリ性溶液、人工汗液−酸性溶液の2種類)を準備する。上記のインク吸収性の評価で印刷したものと同様の印刷サンプルを各々の人工汗液に24時間浸漬後、印刷部を指で強く擦過し、その後室温にて放置乾燥した。乾燥後、下記の基準にて耐化学薬品性の評価を行った。本発明において、◎又は○の評価であれば耐化学薬品性が優れるものとする。
◎:
インク受容層、インクジェットプリンター印刷部共に脱落が認められない。
○:
インク受容層、インクジェットプリンター印刷部、いずれかに僅かな脱落が認められるが、実使用上は問題無い。
△:
インク受容層、インクジェットプリンター印刷部、いずれかに明確な脱落が認められ、実使用上は問題になる。
×:
インク受容層、インクジェットプリンター印刷部、両方に明確な脱落が認められ、実使用上は問題になる。
【0114】
【表1】
【0115】
表1の結果から、本発明の方法によって製造したインクジェット記録材料は、塗布欠陥が低減され、かつインク吸収性と耐化学薬品性に優れていることがわかる。比較例1〜4では塗布欠陥は良好であったものの、インク吸収性や耐化学薬品性が充分ではなかった。また、比較例5〜7は塗布欠陥に問題が発生しており、インク吸収性や耐化学薬品性にも問題が見られた。