特許第6640772号(P6640772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6640772
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 2/10 20060101AFI20200127BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20200127BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20200127BHJP
   H01G 4/32 20060101ALI20200127BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   H01G2/10 600
   H01G4/224 200
   H01G4/228 Q
   H01G4/228 S
   H01G4/32 531
   H01G4/32 540
   H01G4/38 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-37980(P2017-37980)
(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公開番号】特開2018-147909(P2018-147909A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2018年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022460
【氏名又は名称】株式会社指月電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】石田 真教
(72)【発明者】
【氏名】岡部 勇太
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 二紀
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−039982(JP,U)
【文献】 特開2004−235485(JP,A)
【文献】 特開2016−058688(JP,A)
【文献】 特開2010−021316(JP,A)
【文献】 特開平03−234011(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/091696(WO,A1)
【文献】 特開2011−155138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/10
H01G 4/224
H01G 4/228
H01G 4/236
H01G 4/32
H01G 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンデンサ素子(2)をケース(6)に収納し樹脂を充填してなるコンデンサであって、
複数のコンデンサ素子(2)は、リード線接続片(4d、5d)が設けられた電極板(3)によって接続されており、
リード線接続片(4d、5d)に接続されたリード線(8)が、ケース側壁(6b)に設けられた引き出し口(6d)から、引き出し口(6d)を閉塞する閉塞部材(7)を介して外部に引き出されており、
前記引き出し口(6d)が、ケース(6)の内面と、複数のコンデンサ素子(2)のR部との間に生じたデッドスペース(D)に位置し、
前記リード線接続片(4d、5d)が、ケース(6)の内面と、複数のコンデンサ素子(2)のR部との間に生じたデッドスペース(D)に位置していることを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
コンデンサ素子(2)の軸方向から見たとき、リード線接続片(4d、5d)からケース(6)内面までの距離が、コンデンサ素子(2)のケース(6)内面に最も近い部分からケース(6)内面までの距離よりも長い、請求項1記載のコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンデンサ素子をケースに収納し樹脂を充填してなるコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサ素子をケースに収納し樹脂を充填してなる、いわゆる樹脂モールド型コンデンサにおいて、外部機器と接続するための外部接続端子としてリード線を用いる場合、例えば特許文献1に示すように、ケース上方に設けられた開口からリード線を引き出すのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−235485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、ケース上方の開口からリード線を引き出した場合、外部機器と接続するにあたってリード線の引き回しに必要なスペースをケース上方に設ける必要がある。そのため、コンデンサを組み込む装置の大型化を招くことがあった。
【0005】
そこで本発明は、コンデンサを組み込む装置の小型化を図ることができるコンデンサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンデンサは、コンデンサ素子2をケース6に収納し樹脂を充填してなるコンデンサ1であって、コンデンサ素子2に接続されたリード線8が、ケース側壁6bに設けられた引き出し口6dから、引き出し口6dを閉塞する閉塞部材7を介して外部に引き出されていることを特徴とする。
【0007】
また、引き出し口6dがケース6の内面とコンデンサ素子2のR部との間に生じたデッドスペースDに位置していることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコンデンサは、リード線が、ケース側壁に設けられた引き出し口から、引き出し口を閉塞する閉塞部材を介して外部に引き出されているため、ケース上方にリード線を引き回すためのスペースを設ける必要が無い。そのため、コンデンサを組み込む装置の小型化を図ることができる。
【0009】
また、引き出し口がケースの内面とコンデンサ素子のR部との間に生じたデッドスペースに位置していれば、リード線とコンデンサ素子とを接続するためのスペースを別途確保する必要が無く、ケースの小型化を図ることができる。また、引き出し口を設けるとその部分の耐湿性能が低下するが、デッドスペースは他の部分に比べて樹脂の厚みが厚く、耐湿性能が向上しているため、耐湿性能を確保するためにケースのサイズを大きくする必要が無く、装置の小型化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の一実施形態に係るコンデンサを示す斜視図である。
図2】コンデンサの平面図である。
図3】コンデンサの分解斜視図である。
図4】閉塞部材と引き出し口を示す斜視図である。
図5】別の閉塞部材を用いたコンデンサの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この発明のコンデンサの一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明のコンデンサ1は、図1〜3に示すように、複数のコンデンサ素子2と、これらコンデンサ素子2に接続される電極板3と、コンデンサ素子2と電極板3とを収納する、側壁6bに引き出し口6dが設けられたケース6と、側壁6bの引き出し口6dを閉塞する閉塞部材7と、コンデンサ素子2(電極板3)に接続されるとともに閉塞部材7を介してケース6外に引き出されるリード線8とを備えている。また、図示はしていないが、ケース6内にはコンデンサ素子2をモールドするための樹脂が充填される。以下、各構成部材について説明していく。
【0012】
コンデンサ素子2は、例えば絶縁性のフィルム上に金属が蒸着された金属化フィルムを巻回することでなるフィルムコンデンサであって、軸方向両端部には、金属を溶射してなるメタリコン電極2a、2bが形成されている。このコンデンサ素子2は、軸方向の両端面の形状が長円状(2本の平行な直線とその両端同士を繋ぐ半円:陸上競技のトラック状)とされており、側面には、「2本の平行な直線」に該当する部分に平坦面2cが形成され、「半円」に該当する部分に、外側に凸な湾曲面(R部)2dが形成されている。
【0013】
電極板3は、コンデンサ素子2の一方のメタリコン電極2aに接続される第1電極板4と、コンデンサ素子2の他方のメタリコン電極2bに接続される第2電極板5とからなる。電極板3の材質としては例えば銅やアルミニウムを用いるが、これに限らず、導電性であれば種々の材質のものを使用可能である。
【0014】
第1電極板4は、図3に示すように、複数並設されたコンデンサ素子2のメタリコン電極2aを覆うことができる大きさとされた基板部4aと、基板部4aの長辺から上方に向かって延出された3つの外部接続部4bとを備えている。基板部4aには、コンデンサ素子2のメタリコン電極2aとはんだ付けし易いように舌状の接続片4cが設けられている。また、基板部4aの外部接続部4bが延設された側とは反対側の長辺には、リード線8と接続するための舌状のリード線接続片4dが設けられている。このリード線接続片4dは、複数のコンデンサ素子2と第1電極板4とを接続させた状態において、平面視、互いに隣接するコンデンサ素子2のR部間に位置するよう設けられている(図2参照)。
【0015】
第2電極板5は、図3に示すように、コンデンサ素子2の下側に配置されるため、第1電極板4と異なり、基板部5aが側面視略L字状とされている。ただ、その他の構成については、第1電極板4と略同様であるため、同添え字を付して詳細な説明は省略する。
【0016】
ケース6は、矩形状の底部6aと、底部6aの4辺からそれぞれ立ち上がる側壁6bとを備えており、全体としては、上方に開口部6cを有する中空の略直方体状である。また、1つの側壁6bには閉塞部材7を嵌め込むための切欠(引き出し口6d)が設けられている。この切欠は、ケース6内に複数のコンデンサ素子2を収納した場合において、ケース6の内面とコンデンサ素子のR部との間に生じたデッドスペース、具体的には、互いに隣接するコンデンサ素子2のR部間に位置する(対向する)ように設けられている(図2参照)。切欠の幅Wは、互いに隣接するコンデンサ素子2の中心間距離Cよりも少なくとも小幅となるように、好ましくは1/4以下となるように設定する。切欠の形状は、下端から上方に向かって徐々に幅が広がりつつも上端近傍が窄んだ形状とされており、この窄んだ部分で、切欠からの閉塞部材7の抜けが規制できるようになっている。このケース6は例えば硬質の合成樹脂からなるが、コンデンサ素子2や電極板3との絶縁性を確保できるのであれば金属製であっても良い。
【0017】
閉塞部材7は、例えばゴムや軟質で可撓性を有する合成樹脂など、切欠の形状に合わせてある程度変形することが可能な材質のものからなり、切欠に嵌め込むことで切欠からの樹脂漏れを規制できるようになっている(切欠と閉塞部材7との間に意図した隙間を生じないようになっている)。この閉塞部材7は、図4に示すように、切欠よりも大きな一対の板状体7a、7aと、板状体7a、7aの間に位置し、切欠に嵌め込まれる嵌め込み部7bと、板状体7aと嵌め込み部7bとを貫通する挿通孔7cとを備えている。
【0018】
板状体7aは略矩形状であって、ケース6の外側に位置する外体7a1と、ケース6の内側に位置する内体7a2とからなり、外体と内体とがケース6の側壁6bの厚みと同じ若しくはやや小さな幅を開けて互いに対向している。
【0019】
嵌め込み部7bは切欠の形状と略同形状であって、下端から上方に向かって徐々に幅が拡がりつつも上端近傍で狭幅とされている。大きさは、切欠と同じか若しくは切欠よりもやや大きめにすることが、樹脂漏れ防止の観点から好ましい。
【0020】
挿通孔7cは、互いに異極となる2本のリード線8を挿通するために、2つ設けられている。ただ、リード線8の本数に合わせて適宜設ける数を変更しても良い。径としてはリード線8と同じか若しくはリード線8よりやや小さめにすることが、樹脂漏れ防止の観点から好ましい。
【0021】
閉塞部材7に挿通されるリード線8は、銅やアルミニウムといった導電性材料の単線又は撚り線の表面を、可撓性を有する合成樹脂で被覆した、いわゆる被覆リード線である。但し、被覆リード線に限らず、無被覆のリード線を用いても良い。
【0022】
次に、本発明のコンデンサ1の製造方法について説明する。まず、複数のコンデンサ素子2を、メタリコン電極2a、2bが上下方向に向くように、且つ平坦面2c同士が互いに対向するようにして並設する。
【0023】
次に、各コンデンサ素子2の一方(図3において上方)のメタリコン電極2aを第1電極板4で共通接続する。同じように、各コンデンサ素子2の他方(図3において下方)のメタリコン電極2bを第2電極板5で共通接続する。接続に際しては、はんだ付けやスポット溶接など、種々の接続方法を採用し得る。
【0024】
次に、2本のリード線8、8をそれぞれ閉塞部材7の挿通孔7c、7cに挿通させるとともに、各リード線8を電極板3のリード線接続片4d、5dにそれぞれ接続する。これにより、各リード線8は電極板3を介してコンデンサ素子2と接続されることになる。図2に示すように、リード線接続片4d、5dは、平面視、互いに隣接するコンデンサ素子2のR部間に位置している。そのため、この状態において、閉塞部材7は平面視、互いに隣接するコンデンサ素子2のR部間に位置することになる。
【0025】
そして、電極板3の外部接続部4b、5bをケース上方の開口部6cからケース6外に突出させるようにして、コンデンサ素子2と電極板3をケース6内に収納するとともに、閉塞部材7をケース6の切欠に嵌め込む。その後、コンデンサ素子2や電極板3、リード線8が樹脂面下に位置するまでケース6内に樹脂を充填し硬化させることでコンデンサ1の製造を完了する。
【0026】
上記構成のコンデンサ1は、リード線8をケース側壁6bから引き出しているため、リード線8をインバータなどの外部機器と接続するにあたって、リード線8を引き回す空間をケース開口部6c側に設ける必要が無く、コンデンサ1を組み込む装置の小型化を図ることができる。
【0027】
また、ケース側壁6bにリード線8を引き出すための引き出し口6dを設けているが、引き出し口6dを設ける位置を、ケース6の内面とコンデンサ素子2のR部との間のデッドスペースD、すなわち、ケース6の内面とコンデンサ素子2の側面とが他の部分に比べて離れている位置であって、樹脂の厚みが他の部分よりも厚くなっている部分としているため、樹脂のみで十分な耐湿性能を確保することができる。そのため、引き出し口6dを設けたことによる耐湿性能の低下を補うためにケース6をサイズアップする必要も無い。加えて、樹脂のみで十分な耐湿性能を確保できることから、閉塞部材7として透湿性の高い材質のものを使用することもでき、可撓性やシール性といった他の性能に重点をおいた材質選択が可能となる。特に軟質な材質を採用すれば、ケース外に引き出されたリード線8の根元(閉塞部材7)近傍での断線を抑制することができる。
【0028】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施形態では、引き出し口6dとして上端が開放した切欠を設けていたが、図5に示すように孔を設けても良い。この場合であっても、孔の位置をコンデンサ素子2のR部間(デッドスペースD)に設けることで、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。孔の形状については丸に限らず、矩形状や多角形状など種々の形状を採用し得る。閉塞部材7の形状は孔の形状に合わせれば良い。また、閉塞部材7は孔に挿し込むことで取り付けられるが、挿し込み側の先端に「かえし」を設けて、孔から抜けを規制するようにしても良い。
【0029】
また、上記実施形態では、メタリコン電極2a、2bを上下方向に向けて並設させていたが、左右方向に向けても良い。また、引き出し口6dを設ける位置をR部間ではなく、側壁6bとR部との間や底部6aとR部との間のデッドスペースDにしても良い。コンデンサ素子2の数も複数である必要は無く、1つであっても良い。また、電極板3は必ずしも設ける必要は無く、コンデンサ素子2とリード線8とを直接接続しても良い。
【0030】
閉塞部材7の材質としては、硬質な合成樹脂や金属などを用いても良い。引き出し口6dとの間に隙間が生じる場合は、別途、樹脂や接着剤などで埋めるようにしても良い。ケース6内に充填される樹脂としては、エポキシ樹脂に限らず、ウレタン樹脂など種々の合成樹脂を使用可能である。
【0031】
コンデンサ素子2としては、フィルムコンデンサに限らず、電解コンデンサやセラミックコンデンサなど公知の種々のコンデンサを使用可能である。また、軸方向両端面の形状についても、長円状に限らず円形や楕円形、矩形の角部にR部が形成された形状であっても良い。要はケース6に収納した際、ケース6の内面から所定量以上離れる面を部分的に備えていれば良い。ケース6の内面形状についても、矩形状(直方体状)の他に、コンデンサ素子2のR部と曲率の異なるR部を備えていても良い。
【符号の説明】
【0032】
1 コンデンサ
2 コンデンサ素子
2a 一方のメタリコン電極
2b 他方のメタリコン電極
2c 平坦面
2d 湾曲面(R部)
3 電極板
4 第1電極板
4a 基板部
4b 外部接続部
4c 接続片
4d リード線接続片
5 第2電極板
5a 基板部
5b 外部接続部
5c 接続片
5d リード線接続片
6 ケース
6a 底部
6b 側壁
6c 開口
6d 引き出し口
7 閉塞部材
7a 板状体
7a1 外体
7a2 内体
7b 嵌め込み部
7c 挿通孔
8 リード線
W 切欠の幅
C 隣接するコンデンサ素子の中心間距離
D デッドスペース
図1
図2
図3
図4
図5