(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結工程の後、前記桟橋桁ユニットの先端側に幅方向に並ぶ一対の杭として、一対の前記本杭、又は前記本杭設置後に撤去される仮設の杭である一対の第2仮杭を設け、一対の前記杭で前記地盤との間で前記桟橋桁ユニットを支持する、請求項1に記載の桟橋構造の構築方法。
前記連結工程の後、前記既設桟橋桁に連結された前記桟橋桁ユニットに対して前記本杭を打設する本杭打設工程を更に備える、請求項1又は2に記載の桟橋構造の構築方法。
前記連結工程の後、前記既設桟橋桁に連結され、一対の前記第2仮杭で支持された前記桟橋桁ユニットに対して前記本杭を打設する本杭打設工程を更に備える、請求項5に記載の桟橋構造の構築方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、桟橋構造を構築する際には、更に施工性を向上することが要請されていた。従って、従来から、施工性を向上できる桟橋構造の構築方法、及び桟橋構造が求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、施工性を向上できる桟橋構造の構築方法、及び桟橋構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る桟橋構造の構築方法は、本杭で支持された桟橋桁を備える桟橋構造を構築する桟橋構造の構築方法であって、桟橋桁の一部を構成する桟橋桁ユニットを揚重する揚重工程と、既設桟橋桁の延伸方向における端部に、桟橋桁ユニットを連結する連結工程と、を備え、揚重工程では、桟橋桁ユニットの延伸方向における中央側の位置に第1仮杭が設けられた状態で、桟橋桁ユニットを揚重し、連結工程では、第1仮杭の下端を地盤に支持させ、第1仮杭に沿って桟橋桁ユニットの高さ調整を行う。
【0007】
本発明に係る桟橋構造の構築方法は、桟橋桁の一部を構成する桟橋桁ユニットを揚重する揚重工程と、既設桟橋桁の延伸方向における端部に、桟橋桁ユニットを連結する連結工程と、を備えている。これにより、既設桟橋桁に対して新たな桟橋桁ユニットを追加することができる。連結工程では、第1仮杭の下端を地盤に支持させ、第1仮杭に沿って桟橋桁ユニットの高さ調整を行う。第1仮杭を用いることによって、既設桟橋桁に対する桟橋桁ユニットの高さ位置を揃えた上で、既設桟橋桁に対する桟橋桁ユニットの連結を容易に行うことができる。更に、揚重工程では、桟橋桁ユニットの延伸方向における中央側の位置に第1仮杭が設けられた状態で、桟橋桁ユニットを揚重する。このように延伸方向における中央側の位置に第1仮杭を設けることで、桟橋桁ユニットをバランス良く揚重することができる。以上により、桟橋構造を構築する際の施工性を向上することができる。
【0008】
連結工程の後、桟橋桁ユニットの先端側に幅方向に並ぶ一対の杭を設け、一対の杭で地盤との間で桟橋桁ユニットを支持してよい。一対の杭を仮杭又は本杭に用いることができる。
【0009】
桟橋構造の構築方法は、連結工程の後、既設桟橋桁に連結された桟橋桁ユニットに対して本杭を打設する本杭打設工程を更に備えてよい。これにより、新たなに既設桟橋桁に連結された桟橋桁ユニットに対して、本杭を設けることができる。
【0010】
一対の杭は、一対の第2仮杭であり、第2仮杭の下端部は、地盤に対して差し込まれてよい。これにより、第2仮杭は、桟橋桁ユニットの先端側を強固に支持することができる。
【0011】
本発明に係る桟橋構造の構築方法は、本杭で支持された桟橋桁を備える桟橋構造を構築する桟橋構造の構築方法であって、桟橋桁の一部を構成する桟橋桁ユニットを揚重する揚重工程と、既設桟橋桁の延伸方向における端部に、桟橋桁ユニットを連結する連結工程と、を備え、連結工程の後、桟橋桁ユニットの先端側に幅方向に並ぶ一対の杭を設け、一対の杭で地盤との間で桟橋桁ユニットを支持する。
【0012】
本発明に係る桟橋構造の構築方法は、桟橋桁の一部を構成する桟橋桁ユニットを揚重する揚重工程と、既設桟橋桁の延伸方向における端部に、桟橋桁ユニットを連結する連結工程と、を備えている。これにより、既設桟橋桁に対して新たな桟橋桁ユニットを追加することができる。ここで、連結工程の後、桟橋桁ユニットの先端側に幅方向に並ぶ一対の杭を設け、一対の杭で地盤との間で桟橋桁ユニットを支持する。これにより、既設桟橋桁に対して新たに設けられた桟橋桁ユニットは、先端側で一対の杭で支持されるため、安定した状態での作業が可能となる。以上により、桟橋構造を構築する際の施工性を向上することができる。
【0013】
一対の杭は、一対の第2仮杭であり、連結工程の後、既設桟橋桁に連結され、一対の第2仮杭で支持された桟橋桁ユニットに対して本杭を打設する本杭打設工程を更に備えてよい。この場合、本杭打設工程では、一対の第2仮杭で支持した状態で、本杭を打設することができる。
【0014】
一対の杭は、一対の第2仮杭であり、第2仮杭の下端部は、地盤に対して差し込まれてよい。これにより、第2仮杭は、桟橋桁ユニットの先端側を強固に支持することができる。
【0015】
本発明に係る桟橋構造は、複数の桟橋桁ユニットを連結することで構成された桟橋桁と、桟橋桁ユニットの第1挿入孔に上端部が挿入され、下端部で地盤に支持された本杭と、を備え、本杭は、桟橋桁ユニットの幅方向において、当該幅方向の中央位置に一本設けられている。
【0016】
本発明に係る桟橋構造において、本杭は、桟橋桁ユニットの第1挿入孔に上端部が挿入され、下端部で地盤に支持されている。例えば、本杭が幅方向において二本設けられている場合、桟橋桁が横からの暴風などを受けたときに、両方の本杭の押し引きの関係を考慮する必要がある。すなわち、幅方向における一方から暴風などを受けた場合に、手前側の本杭が引き抜かれないように、各本杭を深く根入れする必要がある。これに対し、本発明に係る本杭は、桟橋桁ユニットの幅方向において、当該幅方向の中央位置に一本設けられている。このように、桟橋桁が幅方向の中央位置で一本の本杭に支持されている場合、前述のような本杭の押し引き効果による影響が発生しない。従って、幅方向に2本の本杭を設ける場合に比して、根入れ長を短くすることができる。これにより、施工性を向上することができる。
【0017】
桟橋桁ユニットの延伸方向における中央側の位置に、第1仮杭を挿入するための第2挿入孔が形成されてよい。この場合、施工時に、第2挿入孔に第1仮杭を挿入することができるため、上述の桟橋構造の構築方法のような第1仮杭による効果を得ることができる。
【0018】
桟橋桁には、幅方向において第1挿入孔を挟むように、第2仮杭を挿入するための一対の第3挿入孔が形成されてよい。この場合、施工時に、第3挿入孔に第2仮杭を挿入することができるため、上述の桟橋構造の構築方法のような第2仮杭による効果を得ることができる。
【0019】
桟橋桁ユニットは、箱桁によって構成されていてよい。この場合、桟橋桁ユニットの強度を確保しながら重量を軽くすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、施工性を向上できる桟橋構造の構築方法、及び桟橋構造を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る桟橋構造100を示す側面図である。桟橋構造100は、架設開始位置から所定の方向へ向かって延びる桟橋である。桟橋構造100は、架設開始位置から桟橋桁ユニット10を順次設けて延長することによって構成される手延べ桟橋である。新たな桟橋桁ユニット10を架設する時は、クレーンなどの建設機械は、既設桟橋桁上で作業を行う。このような桟橋構造100は、例えば、小島の海岸に臨港道路を設ける際に適用され、その他、水上や海上の本設橋梁や、本設橋梁を施工する際に用いる仮設桟橋などで適用される。本実施形態では、海岸で水上に設けられた桟橋構造100について説明を行う。
図1に示すように、桟橋構造100は、桟橋桁1と、本杭2と、床構造3と、を備える。
【0024】
桟橋桁1は、複数の桟橋桁ユニット10を連結することで構成されている。桟橋桁1は、水面WFから上方へ離間した位置において、所定の方向へ延びるように配置されている。本杭2は、桟橋桁1を支持している。本杭2の上端部は、桟橋桁ユニット10に固定されており、本杭2の下端部は、海底の地盤Gに差し込まれて支持されている。本杭2は、地盤Gの表面層G1よりも深い位置に存在する硬い支持層G2まで達している。桟橋桁ユニット10及び本杭2の詳細な説明は後述する。
【0025】
床構造3は、桟橋桁1の上面に複数の床版を敷設することによって構成される。床版は、高耐久性材料によって構成された平板状部材である。このような高耐久性材料として、超高強度繊維補強コンクリート(UFC)が採用される。超高強度繊維補強コンクリートは、特殊鋼繊維がコンクリート中に混入されているため、通常のコンクリートよりも圧縮強度及び引張強度が高く、ひび割れ発生後も鋼繊維の補強効果により、変形性能が高い。なお、床版を構成する材料は超高強度繊維補強コンクリートに限定されず、他のコンクリートを採用してもよい。
【0026】
次に、
図2及び
図3を参照して、桟橋桁ユニット10について詳細に説明する。
図2は、本実施形態に係る桟橋構造100を示す斜視図である。なお、
図2では、桟橋桁の構造を示すために、床構造3が省略されている。
図3は、一つの桟橋桁ユニット10を示す斜視図である。なお、以降の説明においては、桟橋桁ユニット10が延びる方向を延伸方向D1と称し、延伸方向D1と直交する水平方向を幅方向D2と称する。
図2及び
図3に示すように、桟橋桁ユニット10は、一対の箱桁11A,11Bと、継手部12A,12B,12Cと、補強部13と、を備える。なお、桟橋桁ユニット10は、高耐久材料(ステンレスクラッド等)又は高耐久材料で被覆された鋼材によって構成されてよい。なお、本杭2も同様な鋼材で構成されてよい。
【0027】
箱桁11A,11Bは、断面矩形状の箱型部材であり、内部に空間を有している。箱桁11A,11Bは、桟橋桁ユニット10の幅方向D2の両端部において、延伸方向D1に延びている。箱桁11A,11Bは、延伸方向D1の端部11a,11bを有している。桟橋桁ユニット10を既設桟橋桁に追加するときは、既設桟橋桁の桟橋桁ユニット10の端部11aに対して、新たな桟橋桁ユニット10の端部11bが連結される。なお、桟橋桁ユニット10同士の連結は、ボルトや溶接などによってなされる。
【0028】
継手部12A,12B,12Cは、箱桁11A,11B間で幅方向D2に延び、箱桁11A,11B同士を連結する。継手部12Aは、箱桁11A,11Bの延伸方向D1における端部11a側の位置に設けられる。継手部12Bは、箱桁11A,11Bの延伸方向D1における中央位置付近に設けられる。継手部12Cは、箱桁11A,11Bの延伸方向D1における端部11b側の位置に設けられる。継手部12A,12Bは、断面矩形状の箱型の部材によって構成される。継手部12Cは、断面I型の鋼材によって構成される。補強部13は、延伸方向D1に延びて継手部12A,12B,12Cに接続される。補強部13は、幅方向D2において桟橋桁ユニット10の中央位置に設けられる。
【0029】
継手部12Aの幅方向D2における中央位置には、本杭2を挿入させる(
図2参照)第1挿入孔21が形成されている。第1挿入孔21は、継手部12Aの中途位置に筒状の部材を設けることによって形成されている。本杭2は、円管状の鋼管によって構成されている。本杭2の上端部は、第1挿入孔21に挿入された状態で固定される。これにより、一つの桟橋桁ユニット10は、幅方向D2における中央位置及び延伸方向D1における端部10a側の位置にて、一本の本杭2によって支持される。端部10a側の位置とは、延伸方向D1における中央位置よりも端部10a寄りの位置である。このように、本杭2は、桟橋桁ユニット10の幅方向D2において、当該幅方向D2の中央位置に一本設けられている。すなわち、桟橋桁1の延伸方向D1に沿って複数の本杭2が設けられるが、延伸方向D1の同位置には、幅方向D2において一本だけ本杭2が設けられる。
【0030】
継手部12Bの幅方向D2における中央位置には、第1仮杭6を挿入させる(
図4参照)第2挿入孔22が形成されている。なお、本明細書において「仮杭」とは、本設杭を施工するために必要となる仮設の杭のことを意味する。第2挿入孔22は、延伸方向D1における中央側の位置に配置されている。第2挿入孔22は、継手部12Bの幅方向における中央位置に筒状の部材を設けることによって構成されている。
図4に示すように、第1仮杭6は、円管状の鋼管によって構成されている。第1仮杭6は、本杭2よりも径が小さい。第1仮杭6の上端部側の部分は第2挿入孔22に挿入され、下端部は地盤Gに支持される。第1仮杭6の上端部は、桟橋桁ユニット10よりも上方へ延びる。第1仮杭6は、新たな桟橋桁ユニット10を既設桟橋桁に連結させる際に、新たな桟橋桁ユニット10の高さ調整に用いるための仮杭である。桟橋桁ユニット10は、幅方向D2における中央位置及び延伸方向D1における中央側の位置にて、第1仮杭6に支持された状態で、当該第1仮杭6に沿って上下方向に移動することができる。なお、中央側の位置とは、両端部よりも中央位置寄りの位置である。本実施形態では、第1仮杭6は、幅方向D2における中央位置及び延伸方向D1における中央位置に配置される。
【0031】
図2及び
図3に示すように、継手部12Aと箱桁11Aとの連結部には、第2仮杭7A,7Bを挿入させる(
図5参照)第3挿入孔23A,23Bが形成されている。第3挿入孔23A,23Bは、箱桁11A,11Bの端部11a側の位置に配置されている。第3挿入孔23A,23Bは、幅方向D2において第1挿入孔21を挟むように配置されている。
図5に示すように、第2仮杭7A,7Bは、円管状の鋼管によって構成されている。第2仮杭7A,7Bは、本杭2よりも径が小さい。第2仮杭7A,7Bの上端部側の部分は第3挿入孔23A,23Bに挿入され、下端部は地盤Gに支持される。第2仮杭7A,7Bの下端部は、地盤G表面で支持されていてもよく、地盤G中に差し込まれた状態で支持されていてもよい。第2仮杭7A,7Bの上端部は、桟橋桁ユニット10よりも上方へ延びる。第2仮杭7A、7Bは、新たな桟橋桁ユニット10を既設桟橋桁に連結させ、本杭2を打設する際に、桟橋桁ユニット10を端部10a側で支持するための仮杭である。桟橋桁ユニット10は、幅方向D2における両端部及び延伸方向D1における端部10a側の位置にて、一対の第2仮杭7A,7Bに支持された状態で、本杭2が打設される。本実施形態では、第2仮杭7A,7Bは、延伸方向D1において本杭2と同位置に配置される。
【0032】
次に、桟橋構造100の構築方法について
図6〜
図14を参照して説明する。
図6〜
図13は、桟橋構造100の構築方法における各工程における内容を示す模式図である。
図14は、桟橋構造100の構築方法を示す工程図である。
図14に示すように、桟橋構造100の構築方法は、揚重工程S10と、連結工程S20と、支持工程S30と、本杭打設工程S40と、を備える。ここでは、既設桟橋桁200の先端部分に対して、新たな桟橋桁ユニット10を追加する際の手順について説明する。
【0033】
揚重工程S10は、桟橋桁1の一部を構成する桟橋桁ユニット10を揚重する工程である。
図6に示すように、揚重工程S10では、既設桟橋桁200上のクレーン20が、桟橋桁ユニット10を略水平に保った状態にて吊り下げる。このとき、桟橋桁ユニット10の第2挿入孔22には、第1仮杭6が挿入されている。第1仮杭6は、第2挿入孔22の上方にて昇降ジャッキ30に支持されている。すなわち、揚重工程S10では、クレーン20が、桟橋桁ユニット10の延伸方向D1における中央側の位置に第1仮杭6が設けられた状態で、桟橋桁ユニット10を揚重する。また、第1仮杭6は、第1仮杭6の上方へ大きく延びた状態である。桟橋桁ユニット10を既設桟橋桁200の桟橋桁1に近接させたとき、第1仮杭6の下端部は、地盤Gから上方へ離間した状態である。
【0034】
連結工程S20は、既設桟橋桁200の延伸方向D1における端部10aに、桟橋桁ユニット10を連結する工程である。
図7に示すように、クレーン20が、既設桟橋桁200の桟橋桁1の端部10a付近に桟橋桁ユニット10を配置したら、昇降ジャッキ30は第1仮杭6を降ろして、下端を地盤G上に設置する。連結工程S20では、第1仮杭6の下端を地盤Gに支持させ、第1仮杭6に沿って桟橋桁ユニット10の高さ調整を行う。当該高さ調整は、第1仮杭6の下端を地盤Gで支持させた状態で、昇降ジャッキ30で第1仮杭6を相対的に上下動させることで行われる。これにより、桟橋桁ユニット10は、第1仮杭6を基準として上下方向に移動する。既設桟橋桁200の桟橋桁1と桟橋桁ユニット10の高さ位置が同一となったら、桟橋桁ユニット10の端部10bは、既設桟橋桁200の端部10aに対して固定される。
【0035】
支持工程S30は、連結工程S20の後、桟橋桁ユニット10の先端側に幅方向D2に並ぶ一対の第2仮杭7A,7Bを設け、一対の第2仮杭7A,7Bで地盤Gとの間で桟橋桁ユニット10を支持する工程である。
図8に示すように、クレーン20は、第2仮杭7A,7Bを吊り下げて、第3挿入孔23A,23Bに上方から挿入する。第2仮杭7A,7Bには、昇降ジャッキ35が取り付けられている。従って、昇降ジャッキ35は、第2仮杭7A,7Bを降ろして、下端を地盤G上に設置する。
図9に示すように、第2仮杭7A,7Bで桟橋桁ユニット10を支持した後、第1仮杭6をクレーン20で撤去する。なお、支持工程S30では、第2仮杭7A,7Bの下端部は、地盤Gに対して差し込まれてよい。すなわち、第2仮杭7A,7Bの下端部は、地盤Gの表面よりも下方まで延びる。第2仮杭7A,7Bを地盤Gに対して差し込む方法としては、あらゆる方法を採用してよく、例えば、打撃工法、バイブロハンマ工法等の打込み杭工法、中掘り杭工法、プレボーリング杭工法、鋼管ソイルセメント杭工法、回転杭工法などを採用してよい。
図8では、例えば、第2仮杭7A,7Bを地盤Gに対して差し込む際は、昇降ジャッキ35が第2仮杭7A,7Bを地盤Gに押し込む。あるいは、昇降ジャッキ35に代えて若しくは加えて第2仮杭7A,7Bの上端部を叩く機構を追加してよい。
【0036】
本杭打設工程S40は、連結工程S20及び支持工程S30の後、既設桟橋桁200に連結された桟橋桁ユニット10に対して本杭2を打設する工程である。ここでは、本杭2を打設する地盤Gの位置に対して先行削孔を行った後、本杭2の打設を行う。
図10に示すように、第1挿入孔21対して全周回転装置41を設置し、削孔を行う。また、クレーン40のハンマーグラブ42で掘削した土を除去する。なお、本杭2を打設する工法は特に限定されず、第2仮杭7A,7Bを地盤Gに差し込むために例示した工法を採用してよい。例えば、本杭2をクレーン等を用いて打込み工法などにより施工する場合には、支持工程S30は不要となる。その後、
図11に示すように、クレーン20は、本杭2を吊り下げながら、第1挿入孔21に上方から本杭2を挿入し、地盤Gの穴へ打設する。本杭2を打設した後、
図12に示すように、第2仮杭7A,7Bをクレーン20で撤去する。その後、
図13に示すように、新設の桟橋桁ユニット10に対して床構造3を設ける。以上により、
図14に示す工程が終了する。
【0037】
次に、本実施形態に係る桟橋構造100の構築方法、及び桟橋構造100の作用・効果について説明する。
【0038】
本実施形態に係る桟橋構造100の構築方法は、本杭2で支持された桟橋桁1を備える桟橋構造100を構築する桟橋構造100の構築方法であって、桟橋桁1の一部を構成する桟橋桁ユニット10を揚重する揚重工程S10と、既設桟橋桁200の延伸方向D1における端部に、桟橋桁ユニット10を連結する連結工程S20と、を備え、揚重工程S10では、桟橋桁ユニット10の延伸方向D1における中央側の位置に第1仮杭6が設けられた状態で、桟橋桁ユニット10を揚重し、連結工程S20では、第1仮杭6の下端を地盤Gに支持させ、第1仮杭6に沿って桟橋桁ユニット10の高さ調整を行う。
【0039】
本実施形態に係る桟橋構造100の構築方法は、桟橋桁1の一部を構成する桟橋桁ユニット10を揚重する揚重工程S10と、既設桟橋桁200の延伸方向D1における端部10aに、桟橋桁ユニット10を連結する連結工程S20と、を備えている。これにより、既設桟橋桁200に対して新たな桟橋桁ユニット10を追加することができる。連結工程S20では、第1仮杭6の下端を地盤Gに支持させ、第1仮杭6に沿って桟橋桁ユニット10の高さ調整を行う。第1仮杭6を用いることによって、既設桟橋桁200に対する桟橋桁ユニット10の高さ位置を揃えた上で、既設桟橋桁200に対する桟橋桁ユニット10の連結を容易に行うことができる。
【0040】
ここで、比較例について説明する。例えば、クレーンが、桟橋桁ユニット10の延伸方向D1の端部10a側の位置に仮杭(例えば、前述のような一対の第2仮杭7A,7B)を設けた状態で桟橋桁ユニット10を揚重する場合、桟橋桁ユニット10の揚重時のバランスが悪くなるため、桟橋桁ユニット10のスパンを短くする必要が生じる。また、一対の第2仮杭7A,7Bを設けた状態で桟橋桁ユニット10を揚重しようとした場合、二本分の仮杭の重量がかかる。クレーンの吊り下げ可能重量に対して、二本分の仮杭の重量分だけ、桟橋桁ユニット10のスパンを短くする必要が生じる。
【0041】
これに対し、本実施形態における揚重工程S10では、桟橋桁ユニット10の延伸方向D1における中央側の位置に第1仮杭6が設けられた状態で、桟橋桁ユニット10を揚重する。このように延伸方向D1における中央側の位置に第1仮杭6を設けることで、揚重時の桟橋桁ユニット10のバランスを良くすることができる。すなわち、桟橋桁ユニット10の安定性が向上する分、桟橋桁ユニット10のスパンを長くすることができる。また、第1仮杭6は一本だけであるので、揚重時の重量を軽くすることができ、その分、桟橋桁ユニット10のスパンを長くすることができる。桟橋桁ユニット10のスパンが長くなれば、桟橋桁ユニット10の取付回数を低減できる。以上により、桟橋構造100を構築する際の施工性を向上することができる。
【0042】
連結工程S20の後、桟橋桁ユニット10の先端(端部10a)側に幅方向に並ぶ一対の杭を設け、一対の杭で地盤Gとの間で桟橋桁ユニット10を支持する。一対の杭を第2仮杭7A,7Bに用いることができる。
【0043】
桟橋構造100の構築方法は、連結工程S20の後、既設桟橋桁200に連結された桟橋桁ユニット10に対して本杭2を打設する本杭打設工程S40を更に備える。これにより、新たなに既設桟橋桁200に連結された桟橋桁ユニット10に対して、本杭2を設けることができる。
【0044】
一対の杭は、一対の第2仮杭7A,7Bであり、第2仮杭7A,7Bの下端部は、地盤Gに対して差し込まれている。これにより、第2仮杭7A,7Bは、桟橋桁ユニット10の先端(端部10a)側を強固に支持することができる。
【0045】
本実施形態における桟橋構造100の構築方法は、本杭2で支持された桟橋桁1を備える桟橋構造100を構築する桟橋構造100の構築方法であって、分割された桟橋桁ユニット10を揚重する揚重工程S10と、既設桟橋桁200の延伸方向D1における端部10aに、桟橋桁ユニット10を連結する連結工程S20と、を備え、連結工程S20の後、桟橋桁ユニット10の先端(端部10a)側に幅方向D2に並ぶ一対の杭を設け、一対の杭で地盤Gとの間で桟橋桁ユニット10を支持する。
【0046】
本実施形態に係る桟橋構造100の構築方法は、桟橋桁1の一部を構成する桟橋桁ユニット10を揚重する揚重工程S10と、既設桟橋桁200の延伸方向D1における端部10aに、桟橋桁ユニット10を連結する連結工程S20と、を備えている。これにより、既設桟橋桁200に対して新たな桟橋桁ユニット10を追加することができる。ここで、連結工程S20の後、桟橋桁ユニット10の先端(端部10a)側に幅方向D2に並ぶ一対の杭を設け、一対の杭で地盤Gとの間で桟橋桁ユニット10を支持する。これにより、既設桟橋桁200に対して新たに設けられた桟橋桁ユニット10は、先端側で一対の杭で支持されるため、安定した状態での作業が可能となる。以上により、桟橋構造100を構築する際の施工性を向上することができる。
【0047】
一対の杭は、一対の第2仮杭7A,7Bであり、桟橋構造100の構築方法は、連結工程S20の後、既設桟橋桁200に連結され、一対の第2仮杭7A,7Bで支持された桟橋桁ユニット10に対して本杭2を打設する本杭打設工程S40を更に備える。この場合、本杭打設工程S40では、一対の第2仮杭7A,7Bで支持した状態で、本杭2を打設することができる。
【0048】
一対の杭は、一対の第2仮杭7A,7Bであり、第2仮杭7A,7Bの下端部は、地盤Gに対して差し込まれる。これにより、第2仮杭7A,7Bは、桟橋桁ユニット10の先端(端部10a)側を強固に支持することができる。
【0049】
本実施形態に係る桟橋構造100は、複数の桟橋桁ユニット10を連結することで構成された桟橋桁1と、桟橋桁ユニット10の第1挿入孔21に上端部が挿入され、下端部で地盤Gに支持された本杭2と、を備え、本杭2は、桟橋桁ユニット10の幅方向D2において、当該幅方向D2の中央位置に一本設けられている。
【0050】
本実施形態に係る桟橋構造100において、本杭2は、桟橋桁ユニット10の第1挿入孔21に上端部が挿入され、下端部で地盤Gに支持されている。例えば、比較例として本杭2が幅方向D2において二本設けられている桟橋構造の場合(例えば、第2仮杭7A,7Bを本杭として用いる場合)、桟橋桁1が横からの暴風などを受けたときに、両方の本杭の押し引きの関係を考慮する必要がある。すなわち、幅方向D2における一方から暴風などを受けた場合に、手前側の本杭が引き抜かれないように、各本杭を深く根入れする必要がある。これに対し、本実施形態に係る本杭2は、桟橋桁ユニット10の幅方向D2において、当該幅方向D2の中央位置に一本設けられている。このように、桟橋桁ユニット10が幅方向D2の中央位置で一本の本杭2に支持されている場合、前述のような本杭の押し引き効果による影響が発生しない。従って、幅方向D2に2本の本杭を設ける場合に比して、根入れ長を短くすることができる。これにより、施工性を向上することができる。
【0051】
桟橋桁ユニット10の延伸方向D1における中央側の位置に、第1仮杭6を挿入するための第2挿入孔22が形成されている。この場合、施工時に、第2挿入孔22に第1仮杭6を挿入することができるため、上述の桟橋構造100の構築方法のような第1仮杭6による効果を得ることができる。
【0052】
桟橋桁1には、幅方向D2において第1挿入孔21を挟むように、第2仮杭7A,7Bを挿入するための一対の第3挿入孔23A,23Bが形成される。この場合、施工時に、第3挿入孔23A,23Bに第2仮杭7A,7Bを挿入することができるため、上述の桟橋構造100の構築方法のような第2仮杭7A,7Bによる効果を得ることができる。
【0053】
桟橋桁ユニット10は、箱桁11A,11Bによって構成されている。この場合、桟橋桁ユニット10の強度を確保しながら重量を軽くすることができる。
【0054】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0055】
例えば、上述の実施形態では、一対の杭として第2仮杭7A,7Bを設け、当該第2仮杭7A,7Bで支持した状態で本杭2を打設している。これに代えて、一対の杭自体を本杭としてもよい。
【0056】
また、第1仮杭6を用いた揚重工程S10及び連結工程S20と、第2仮杭7A,7Bを用いた支持工程S30とは、何れか一方のみが行われてもよい。
【0057】
また、上述の実施形態では、桟橋構造100内の全桟橋桁ユニット10の構造は、共通であった。これに代えて、一部の桟橋桁ユニット10について異なる構造を採用してもよい。例えば、船着き場付近の桟橋桁ユニット10について、本杭2を斜め方向に延びる斜杭としてもよい。また、一つあたりの桟橋桁ユニット10に設けられる本杭2の本数は限定されない。
【解決手段】桟橋構造100の構築方法は、本杭2で支持された桟橋桁1を備える桟橋構造100を構築する桟橋構造100の構築方法であって、桟橋桁1の一部を構成する桟橋桁ユニット10を揚重する揚重工程S10と、既設桟橋桁200の延伸方向D1における端部に、桟橋桁ユニット10を連結する連結工程S20と、を備え、揚重工程S10では、桟橋桁ユニット10の延伸方向D1における中央側の位置に第1仮杭6が設けられた状態で、桟橋桁ユニット10を揚重し、連結工程S20では、第1仮杭6の下端を地盤Gに支持させ、第1仮杭6に沿って桟橋桁ユニット10の高さ調整を行う。