特許第6640946号(P6640946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6640946エレベータ制御装置およびエレベータ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6640946
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置およびエレベータ制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20200127BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   B66B3/00 P
   B66B5/02 G
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-176040(P2018-176040)
(22)【出願日】2018年9月20日
【審査請求日】2018年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】原 英敬
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−144021(JP,A)
【文献】 特開2008−019041(JP,A)
【文献】 特開2005−022864(JP,A)
【文献】 特開2005−255404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00− 3/02
B66B 11/00−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかご内の移動体の状態情報を取得する移動体情報取得手段に接続され、
前記移動体情報取得手段から前記乗りかご内の移動体の状態情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記乗りかご内に存在する、前記乗りかごのかごドアに向かって所定値以上の移動速度で移動する移動体を、前記かごドアに衝突する移動体として検出する移動体動作検出部と、
前記移動体動作検出部で、前記かごドアに衝突する移動体が検出されると、前記かごドアに対し、戸閉方向に、所定時間以下の短時間に戸閉方向に加えることが可能な最大値の力を加えるための指示を出力するドア制御指示出力部と
を備えることを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記移動体動作検出部は、検出した移動体から前記かごドアまでの距離および当該移動体の移動速度から当該移動体と前記かごドアとが衝突するタイミングを予測し、
前記ドア制御指示出力部は、前記移動体動作検出部で予測されたタイミングが到来する以前に、前記かごドアに対し、戸閉方向に前記最大値の力を加えるための指示を出力することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
エレベータの乗りかご内の移動体の状態情報を取得する移動体情報取得手段に接続され、
前記移動体情報取得手段から前記乗りかご内の移動体の状態情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記乗りかご内に存在する、前記乗りかごのかごドアに接触している移動体、または、前記かごドアとの距離が所定値以下の複数の移動体を、前記かごドアに近接する移動体として検出する移動体動作検出部と、
前記移動体動作検出部で、前記かごドアに近接する移動体が検出されると、前記かごドアに対し、戸閉方向に、所定時間以下の短時間に戸閉方向に加えることが可能な最大値よりも小さい力を加えるための指示を出力するドア制御指示出力部と
を備えることを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記移動体動作検出部は、前記かごドアとの距離が所定値以下の移動体が、戸開方向に移動しているか否かを判定し、
前記ドア制御指示出力部は、前記移動体動作検出部で、前記かごドアとの距離が所定値以下の移動体が、戸開方向に移動していると判定されたときには、前記かごドアに対し、戸閉方向に前記最大値の力を加えるための指示を出力する
ことを特徴とする請求項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記移動体動作検出部は、前記移動体情報取得手段としてのカメラ装置で撮影された前記乗りかご内の移動体の状態情報を含む撮像情報を取得し、取得した撮像情報を解析することで、前記乗りかご内の移動体を検出する
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
エレベータの乗りかご内の移動体の状態情報を取得する移動体情報取得手段から前記乗りかご内の移動体の状態情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記乗りかご内に存在する、前記乗りかごのかごドアに向かって所定値以上の移動速度で移動する移動体を、前記かごドアに衝突する移動体として検出すると、前記かごドアに対し、戸閉方向に、所定時間以下の短時間に戸閉方向に加えることが可能な最大値の力を加えるための指示を出力する
ことを特徴とするエレベータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置およびエレベータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータの制御において、走行中の乗りかごの戸開を防止するための処理として、所定距離(例えば2mm)の戸開を検出すると、かご扉に、戸閉方向に所定の大きさの力(例えば50N)を一時的に加えるようにしている。このように処理を行うことで、走行中に乗りかごが戸開して急停止する事態が発生することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−137755号公報
【特許文献2】特開2011−63416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かご内からかごドアをこじ開けた場合や、衝突により戸開が生じた場合には、戸開が生じてからかご扉に力を加えても戸開を防止できない場合があるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、エレベータの乗りかごの走行中の戸開を、精度よく防止することが可能なエレベータ制御装置およびエレベータ制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータ制御装置は、エレベータの乗りかご内の移動体の状態情報を取得する移動体情報取得手段に接続され、移動体動作検出部とドア制御指示出力部とを備える。移動体動作検出部は、乗りかごのかごドアに向かって所定値以上の移動速度で移動する移動体を、前記かごドアに衝突する移動体として検出する。ドア制御指示出力部は、前記移動体動作検出部で、前記かごドアに衝突する移動体が検出されると、前記かごドアに対し、戸閉方向に、所定時間以下の短時間に戸閉方向に加えることが可能な最大値の力を加えるための指示を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態によるエレベータ制御装置を利用したエレベータの構成を示す全体図。
図2】一実施形態によるエレベータ制御装置の動作を示すフローチャート。
図3】一実施形態によるエレベータ制御装置に接続された監視カメラで撮影された撮像情報の一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈一実施形態によるエレベータの構成〉
本発明の一実施形態によるエレベータの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態によるエレベータ1は、昇降路内を昇降する乗りかご10と、当該乗りかご10に接続され、エレベータ1内の機器の動作を制御するエレベータ制御装置20とを備える。
【0009】
乗りかご10は、かごドア11と、移動体情報取得手段としての監視カメラ装置12と、戸開閉駆動機構13と、ドア制御装置14とを有する。監視カメラ装置12は、乗りかご10の上部に設置され、かごドア11近傍を含む乗りかご10内を撮影することで、乗りかご10内の移動体の状態情報を含む撮像情報を生成する。戸開閉駆動機構13は、かごドア11の戸開閉を駆動する。ドア制御装置14は、エレベータ制御装置20からの指示に基づいて、戸開閉駆動機構13によるかごドア11の戸開閉を制御する。
【0010】
エレベータ制御装置20は、移動体動作検出部21と、ドア制御指示出力部22とを有する。移動体動作検出部21は、監視カメラ装置12で撮影された撮像情報を解析することで、乗りかご10内に存在する、かごドア11に衝突する移動体またはかごドア11に近接する移動体を検出する。ドア制御指示出力部22は、移動体動作検出部21で、乗りかご10のかごドア11に衝突する移動体またはかごドア11に近接する移動体が検出されると、かごドア11に対し、戸閉方向に所定の大きさの力を一時的に加えるための指示を出力する。
【0011】
〈一実施形態によるエレベータの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1の動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、エレベータ1の乗りかご10の走行中は、監視カメラ装置12により乗りかご10内が撮影され、当該撮影処理により生成された撮像情報がエレベータ制御装置20で取得される。エレベータ制御装置20では、監視カメラ装置12から取得された撮像情報が移動体動作検出部21で解析され、乗りかご10内に存在する、乗りかご10のかごドア11に衝突する移動体またはかごドア11に近接する移動体が検出される。
【0012】
ここで、移動体動作検出部21により、かごドア11に向かって所定値以上の移動速度で移動する移動体、例えば図3に示すように、勢いよくかごドア11に向かって移動する利用者Xや、利用者Yがかごドア11に向かって強い力で投げた物品が検出された場合には(S1の「YES」)、当該移動体が、かごドア11に衝突する移動体として検出される。そして、ドア制御指示出力部22により、かごドア11に対し、戸閉方向に所定の大きさの力を一時的に加えるための指示が生成され、ドア制御装置14に出力される。ここで、戸閉方向に加える力の大きさは、当該かごドア11に対して予め設定された、所定時間以下の短時間に戸閉方向に加えることが可能な力の最大値である(S2)。
【0013】
また、移動体動作検出部21で、乗りかご10内の移動体の状態情報に基づいて、かごドア11に近接する移動体、例えば、図3に示すようにかごドアに接触している移動体Zまたはかごドアとの距離が所定値以下の複数の移動体が検出された場合には(S1の「NO」→S3の「YES」)、検出された移動体が戸開方向に移動しているか否かがさらに判定される。
【0014】
ここで、検出された移動体が戸開方向に移動していることが検出されているときには(S4の「YES」)、ドア制御指示出力部22により、かごドアに対し、上述した最大値に力を一時的に加えるための指示が生成され、ドア制御装置に出力される(S2)。
【0015】
ドア制御装置14では、エレベータ制御装置20から送信された指示に従って戸開閉駆動機構13の動作が制御され、かごドア11に、戸閉方向に上述した最大値の力が加えられる。
【0016】
また、ステップS4において検出された移動体が戸開方向に移動していることが検出されていないとき(S4の「NO」)には、ドア制御指示出力部22により、かごドア11に対し、上述した最大値よりも小さい力を一時的に加えるための指示が生成され、ドア制御装置14に出力される(S5)。
【0017】
ドア制御装置14では、エレベータ制御装置20から送信された指示に従って戸開閉駆動機構13の動作が制御され、かごドア11に、戸閉方向に所定値の力が加えられる。
【0018】
以上の実施形態によれば、エレベータ1の乗りかごの走行中に、乗りかご内の移動体の状態から戸開が発生する可能性を予測することで、精度よく戸開を防止することができる。
【0019】
上述した実施形態において、エレベータ制御装置20の移動体動作検出部21が、検出した移動体からかごドア11までの距離および当該移動体の移動速度から当該移動体とかごドア11とが衝突するタイミングを予測し、ドア制御指示出力部22が、当該タイミングが到来する以前にかごドア11に対し、戸閉方向に最大値の力を加えるための指示を出力するようにしてもよい。このように処理することにより、さらに高い精度で走行中の戸開を防止することができる。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0021】
1…エレベータ、10…乗りかご、11…かごドア、12…監視カメラ装置、13…戸開閉駆動機構、14…ドア制御装置、20…エレベータ制御装置、21…移動体動作検出部、22…ドア制御指示出力部
【要約】
【課題】 エレベータの乗りかごの走行中の戸開を、精度よく防止することが可能なエレベータ制御装置およびエレベータ制御方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によればエレベータ制御装置は、エレベータの乗りかご内の移動体の状態情報を取得する移動体情報取得手段に接続され、移動体動作検出部と、ドア制御指示出力部とを備える。移動体動作検出部は、移動体情報取得手段から取得した情報に基づいて、エレベータの乗りかご内に存在する、乗りかごのかごドアに衝突する移動体またはかごドアに近接する移動体を検出する。ドア制御指示出力部は、移動体動作検出部で、乗りかごのかごドアに衝突する移動体またはかごドアに近接する移動体が検出されると、かごドアに対し、戸閉方向に所定の大きさの力を一時的に加えるための指示を出力する。
【選択図】図1
図1
図2
図3