(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記改質部に改質触媒が充填されており、前記改質器本体内には、前記改質器本体の中心軸線に垂直な方向に伸びた1または複数の仕切壁を有し、前記凸部は前記内周面において、前記改質器本体の上端以外の位置に設けられている請求項1〜4のいずれか1つに記載の改質器。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、第1実施形態のセルスタック装置20の一例を示す構成図である。なお、以降の図において同一の部材については同一の番号を付するものとする。
図1に示すセルスタック装置20は、内部にガス流路を有する柱状の燃料電池セル22を複数個立設させた状態で配列し、間に集電部材(図示せず)を介して互いに電気的に接続したセルスタック23の上方に改質器1を配置したものである。
【0008】
セルスタック23を構成する燃料電池セル22の下端が、燃料電池セル22に改質ガス(水素含有ガス)を供給するマニホールド21に絶縁性の接着材によって固定されており、マニホールド21の端部に改質ガス供給管10の一方端が接続されている。また、改質ガス供給管10の他方端は後述する改質ガス送出口9に接続されている。なお、ここでいうマニホールド21の端部とは、マニホールド21の側面のうち燃料電池セル22の配列方向と直交する側面であり、改質器1の改質ガス送出口9の側と同じ側の側面を意味する。なお、マニホールド21を介して改質ガスが燃料電池セル22に供給されればよく、改質ガス供給管10の一方端は、マニホールド21の上面や下面に接続されていてもよい。
【0009】
なお、セルスタック23の両端部には、燃料電池セル22の発電により生じた電流を収集して外部に引き出すための、電流引き出し部を有する導電部材(図示せず)が配置されている。ここで、燃料電池セル22としては、例えば、内部を改質ガスが長手方向に流通する改質ガス流路を有する中空平板状で、支持体の表面に、燃料極層、固体電解質層および酸素極層を順に設けた固体酸化物形燃料電池セルが挙げられる。なお、燃料電池セル22として固体酸化物形燃料電池セルを用いる場合には、燃料電池セル22の発電温度が、600℃〜1000℃程度と非常に高温となる。なお、燃料電池セル22としては、いわゆる円筒型や横縞型を用いることもできる。
【0010】
上述のセルスタック装置20においては、後述する改質器1に天然ガスや灯油等の原燃料を供給して改質反応を行なう。この改質反応により得られる改質ガスを、改質ガス供給管10を介してマニホールド21に供給し、マニホールド21に供給された改質ガスが燃料電池セル22に供給される。さらに、燃料電池セル22の外側から酸素含有ガスとして空気が供給され、改質ガス(水素含有ガス)と空気(酸素含有ガス)とを用いて、燃料電池セル22において発電が行なわれる。
【0011】
また、セルスタック23と改質器1との間に位置する燃焼部24において、燃料電池セル22における発電に使用されなかった余剰の改質ガスを燃焼させる構成とする。これにより、余剰の改質ガスが燃焼することにより生じる燃焼熱によって改質器1の温度を上昇させることができる。それゆえ、改質器1において効率よく改質反応を行なうことができる。なお、
図1において、ガスの流れを図中の矢印を用いて示している。本実施形態の燃料電池モジュールは、上述のセルスタック装置20を収納容器内に収納したものであり、また本実施形態の燃料電池装置は、この燃料電池モジュールと、燃料電池モジュールを作動させるための補機と、燃料電池モジュールおよび補機を収容する外装ケースとを備えたものである。
【0012】
図2は、第1実施形態の改質器1の構成の一例を示す斜視図であり、改質器1の内部が見えるように一部を切り取って示した外観斜視図である。
図2の改質器1は、一方端部に原燃料ガスおよび水が供給される供給口7が設けられ、水平方向に延びた筒状の、改質器本体2を備えたものである。
【0013】
そして、この改質器本体2の内部に、供給口7から原燃料ガスと水とが供給される導入部13と、この水から水蒸気を発生させる気化部3と、気化部3で発生した水蒸気を原燃料ガスと改質反応させて改質ガスを生成する改質部5(第1改質部5aおよび第2改質部5b)と、を含んでいる。改質器1において、効率のよい改質反応である水蒸気改質を行なうにあたっては、導入部13に供給した水を気化部3にて水蒸気に気化させて原燃料ガスと混合し、水蒸気が混合した原燃料ガスを第1改質部5aに供給する。なお、導入部13は、導入された水の一部が気化する場合があることから、気化部としての機能も有している。また、第1改質部5aと第2改質部5bとに区分することなく、1つの改質部5としてもよい。また、改質器本体2の他方端部には、改質ガスを送出する改質ガス送出口9が設けられている。
【0014】
ここで
図2に示す改質器1は、改質器本体2の中心軸線14に垂直な方向に延びた、改質器本体2を区画している、3つの仕切壁11をさらに有している。この仕切壁11はそれぞれが、原燃料ガスおよび水蒸気ならびに改質ガスが流通可能な流通可能部12を、下方側に有している。ここで下方側とは、改質器1の内部の、高さ方向において下端からおよそ2/3の高さまでの領域である。また、仕切壁11の流通可能部12以外の部分は遮蔽されており、原燃料ガスおよび水蒸気ならびに改質ガスを流通させない流通不可部となっている。なお、仕切壁11を、伝熱性の高い部材によって形成することにより、改質器本体2の内部を流れる流体および改質触媒への伝熱を促進することができ、それによって改質効率を向上させることができる。
【0015】
流通可能部12は仕切壁11の開口部に取り付けられた網目状の部材によって構成されてもよい。あるいは、1方向に細長く延びた複数の開口部として、仕切壁11に設けられた複数のスリット状の切り込みによって構成されてもよい。改質器1の内部は、3つの仕切壁11によって、供給口7の側から改質ガス送出口9の側にかけて、導入部13、気化部3、第1改質部5a、および第2改質部5bの順に区画されている。なお、導入部13また気化部3を設けない構成とすることもできる。改質器1が備える仕切壁11は、1つまたは2つでもよく、4つ以上でもよい。なお上記の仕切壁11において、下方側にのみ流通可能部12を設けた例を示したが、高さ方向全体に流通可能部12を設けてもよい。ただし、この場合であっても、後述するように最上部は流通不可部とすることができる。
【0016】
ここで、供給管8は、原燃料供給管と水供給管の二重管とすることも可能である。なお、二重管とする場合においては、原燃料供給管の内側に水供給管を設けるほか、水供給管の内側に原燃料供給管を設ける形状とすることもできる。ただし、原燃料供給管と水供給管とを別々に設けることももちろん可能である。
【0017】
図3は、第1実施形態の改質器1の構成の一例を示す断面図であり、
図1のA部を拡大して断面視した図である。図示していないが、気化部3にはセラミックボールを備えることができる。それにより、気化部3内の表面積を増加させることができ、効率的に原燃料ガスの温度を上昇させることができるほか、第1改質部5aおよび第2改質部5bにて水蒸気改質を行うにあたり供給された水を効率よく水蒸気に気化させることができる。
【0018】
第1改質部5aおよび第2改質部5bの内部には、
図2および
図3においては図示されていない、改質反応に用いられる改質触媒が備えられている。なお改質触媒としては改質効率や耐久性に優れた改質触媒を用いることができる。例えば、γ−アルミナやα−アルミナやコージェライト等の多孔質担体にRu、Pt等の貴金属やNi、Fe等の卑金属を担持させた改質触媒等を用いることができる。また改質触媒は第1改質部5aおよび第2改質部5bにおいて行う改質反応に合わせて適宜一般的に知られている改質触媒を用いることができる。仕切壁11は、図示されない、気化部3内のセラミックボールと、第1改質部5aおよび第2改質部5b内の改質触媒に、偏りが生じることを防いでいる。
【0019】
このとき、改質触媒は自重により沈み込んで下方に偏在し、上方において改質器本体2の内面との間に隙間が生じる。このため仕切壁11の全体が流通可能部12となっている場合には、原燃料ガスや水蒸気が加熱されて温度上昇し上方を流れることによって、原燃料ガスや水蒸気と改質触媒との接触効率が低下し、十分な改質反応を行なうことができないおそれがある。この場合、改質ガスを生成する効率が低下するだけでなく、改質が十分に行なわれていない改質ガスが燃料電池セル22に供給されると、燃料電池セル22に炭素析出が生じ、燃料電池セル22が劣化するおそれがある。
【0020】
これに対して、本実施形態の改質器1は、流通可能部12を仕切壁11の下方側に有しているので、改質器1内で流体が下方を流れて改質触媒との接触効率が向上し、効率よく原燃料ガスと水蒸気とを改質反応させて改質ガスを生成することができる。なお、原燃料ガスおよび水蒸気ならびに改質ガスを流通させない流通不可部を仕切壁11の上方側に有している場合には、改質器1内で流体が下方をさらに流れやすくすることが可能である。また、改質反応が十分に行なわれていない改質ガスが燃料電池セル22に供給されることを抑制することができるので、燃料電池セル22の発電効率の低下や、燃料電池セル22の劣化を抑制することができる。
【0021】
ここで、
図1,2,3に示すように、供給口7は、改質器本体2の一方端部において、中心軸線14よりも上側に設けられている。燃料電池モジュール内に改質器1が配置された場合に、燃料電池モジュールの内部においては、燃料電池セル22における発電および燃焼部24における燃焼によって、上方が高温となっている。このため、燃料電池モジュールの上方に配置される改質器1においては、供給口7が上方に位置していることによって、改質器1に供給される原燃料ガスや水の温度が上昇し、改質器1において効率よく水蒸気を生成できるほか、原燃料ガスと水蒸気とを改質反応させて改質ガスを生成することができる。
【0022】
またここで、改質器1は、改質器1の下方に位置する燃焼部24における燃焼によって加熱されるので、改質器1の燃焼部24に近い部分は、熱により応力が加わりやすい。このため、供給口7が下方に位置している場合には、供給管8の改質器本体2への溶接部分が燃焼部24に近い位置になるため、溶接部分に応力が集中してクラックが生じるおそれがある。しかしながら、これに対して、上述のように、供給口7が上方に位置していることによって、原燃料供給管8の改質器本体2への溶接部分が燃焼部24から離れることで、応力が緩和され、クラックの発生を抑制することができる。
【0023】
また、
図2に示すように、改質ガス送出口9は、改質器本体2の他方端部において、中心軸線14の左側または右側に設けられている。改質ガス送出口9を上方に配置した場合には、改質触媒が充填されていないところを通った改質ガスが改質ガス送出口9から改質ガス供給管10へと供給され、改質不十分な改質ガスが燃料電池セル22に供給されるおそれがある。また、改質ガス送出口9を下方に配置した場合には、上述の供給口7の場合と同様に、改質ガス供給管10の改質器本体2への溶接部に応力が集中する。
【0024】
これに対して、本実施形態のように、改質ガス送出口9を中心軸線14の左側または右側に設けた場合には、改質不十分な改質ガスが改質ガス送出口9に流入することを抑制することができる。さらに、改質ガス供給管10の改質器本体2への溶接部が燃焼部24から離れることによって応力集中を抑制することができる。なお、改質ガス送出口9を左右方向の中央部に設けてもよい。
【0025】
ここで、
図3に示すように、改質器本体2は、一方端部および他方端部に蓋体15を有している。蓋体15は、蓋体外周部16に、中心軸線14の方向に改質器本体2の外側へと延びる蓋体折り返し部17を有しており、蓋体折り返し部17は改質器本体2の内面に接している。このような構成によって、蓋体15と改質器本体2の内面との接触面積が大きくなり、燃焼部24による加熱によって熱勾配が発生した場合や、熱膨張、熱収縮が生じた場合においても、改質器本体2の変形が抑制される。さらに、蓋体15の改質器本体2への溶接部に加わる応力を緩和することができる。なお、蓋体折り返し部17を有さず、改質器本体2に直接溶接されていてもよい。
【0026】
図4は第1実施形態の一例の改質器1の、中心軸線14に垂直な断面の断面図であり、
図3のX−X部の断面図である。
図3および
図4に示されるように、本実施形態の改質器1が備える改質器本体2は、内周面25に凸部27を有し、外周面26に他の部位よりも表面粗さの粗い粗部28を有している。なお、本実施形態の改質器1が備える改質器本体2は、凸部27または粗部28の、少なくともいずれか一方が設けられていればよい。また、凸部27が外周面26に設けられてもよく、粗部28が内周面25に設けられてもよい。
【0027】
このような構成によって、改質器本体2の内周面25および外周面26の表面積が増加し、改質器1が外部から熱を吸収する面積、および吸収した熱を気化触媒や改質触媒に放熱する面積を増加させることができる。すなわち、改質器1が外部から熱を吸収する効率、および吸収した熱を気化触媒や改質触媒に放熱する効率を高めることができる。これらの熱効率を高めることによって、気化反応や改質反応を促進することが可能となり、効率よく水を気化させるとともに原燃料ガスと水蒸気とを改質反応させて改質ガスを生成することができる。
【0028】
また、
図4に示されるように、本実施形態においては、凸部27の表面が粗部28となっている。これにより、改質器本体2の内側の表面積がさらに増加し、熱効率をさらに高めることができる。ここで、
図3に示されるように、本実施形態においては凸部27が気化部3に設けられている。これによって、気化部3における気化反応の効率を高めることができる。なお、凸部27または粗部28のどちらかが気化部3に設けられてもよく、凸部27と粗部28との両方が気化部3に設けられてもよい。また、同じく
図3に示されるように、本実施形態においては凸部27および粗部28は改質器本体2の中心軸線14方向に延在している。これによって、改質器本体2の表面積がさらに増加して熱効率をさらに高めることができる。なお、凸部27および粗部28は、それぞれ異なる位置に設けてもよく、また複数個設けてもよい。凸部27および粗部28を異なる位置に設けた場合には、外部からの熱を吸収する部位や、吸収した熱を放熱する部位が特定個所に集中することを避けることができる。また、凸部27および粗部28を複数個設けた場合には、さらに気化反応や改質反応を効率よく行うことができる。
【0029】
本実施形態の改質器本体2は、例えば、1枚の板材を変形させて円筒状にし、この板材の辺同士を溶接することによって製造することができる。本実施形態においては、内周面25に設けられた凸部27と、外周面26に設けられた粗部28とは、改質器本体2の同一部位においてそれぞれの反対側の面に設けられている。このような構成は、改質器本体2を製造する際に、1枚の板材を溶接することで、板材の辺同士の溶接部分に凸部27と粗部28とが同時に生成することができる。なお、本実施形態の改質器本体2は溶接以外の方法にて設けることもできる。その際に、凸部27や粗部28が適宜できるようにすればよい。例えば、製造時に凸部27ができるような金型等を用いて押し出し成型にて作成してもよく、出来上がった改質器本体の表面の一部を粗面化する工程(例えばブラスト加工等)を有していてもよい。
【0030】
ここで、凸部27および粗部28は、中心軸線14よりも上側に設けられることが好ましい。燃焼部24による加熱によって改質器本体2の中心軸線14より下方は高温となり、上方よりも熱膨張や熱収縮が生じやすい。そのため、凸部27および粗部28が中心軸線14よりも下側に設けられていると、凸部27および粗部28に熱による応力が集中し、クラックを生じるおそれがある。凸部27および粗部28を中心軸線14よりも上側に設けることによって、凸部27および粗部28が燃焼部24から離れ、このような応力集中を抑制し、凸部27および粗部28に加わる応力を緩和することができる。
【0031】
また、凸部27は内周面25において、改質器本体2の上端以外の位置に設けられることが好ましい。
図4に示されるように、仕切壁11には、凸部27との機械的な干渉を避けるため、切欠き部を設けることができ、この切欠き部を有している場合には、改質器本体2の内面との間に隙間が生じる。このとき、凸部27が内周面25において改質器本体2の上端の位置に設けられている場合には、上端部において仕切壁11と改質器本体2の内面との間に隙間が生じ、また、改質触媒が自重で沈み込むことで、同じく上端部において改質器本体2の内面との間に隙間が生じる。そのため、原燃料ガスや水蒸気が加熱されて温度上昇し上方を流れることによってこの隙間を通って仕切壁11を通過し、触媒との接触効率が低下するおそれがある。これに対して、凸部27を上端以外の位置に設けることによって、仕切壁11と改質器本体2の内面との間の隙間は、改質触媒の隙間とは異なる位置になるので、このような接触効率の低下を避けることができる。本実施形態においては、凸部27は改質器本体2の斜め上方であって、上端から45度程度回転した位置に設けられている。なお、回転角度は適宜設定することができるが、上端から左右90度の範囲とすることができる。
【0032】
次に、第2実施形態の改質器について説明する。
図5は、第2実施形態の改質器1Aの構成の一例を示す断面図である。本実施形態の改質器1Aは、第1実施形態の改質器1と仕切壁の構造が異なっており、これ以外の構造は同じであるので、同じ部位には同じ参照符号を付して説明は省略する。なお、図示しないセラミックボールについても第1実施形態と同様に気化部3に備えることができる。
【0033】
第1改質部5aおよび第2改質部5bの内部には、改質反応に用いられる改質触媒4が備えられている。なお改質触媒4としては改質効率や耐久性に優れた改質触媒4を用いることが好ましく、例えば、γ−アルミナやα−アルミナやコージェライト等の多孔質担体にRu、Pt等の貴金属やNi、Fe等の卑金属を担持させた改質触媒等を用いることができる。また改質触媒4は、第1改質部5aおよび第2改質部5bにおいて行う改質反応に合わせて適宜一般的に知られている改質触媒を用いることができる。仕切壁11Aは、気化部3内のセラミックボールと、第1改質部5aおよび第2改質部5b内の改質触媒に、偏りが生じることを防いでいる。
【0034】
図6は第2実施形態の一例の改質器1Aの、中心軸線14に垂直な断面の断面図であり、
図5のY−Y部の断面図である。第1改質部5aおよび第2改質部5b内において、改質触媒4は自重により沈み込んで下方に偏在し、上方において改質器本体2の内面との間に隙間が生じる。本実施形態の仕切壁11Aは、仕切壁のおおよそ全体に原燃料ガスおよび水蒸気ならびに改質ガスが流通可能な開口が設けられており、中心軸線14よりも下方側の開口面積が、中心軸線14よりも上方側の開口面積より大きくなっている。
図6に示す例では、仕切壁11Aには、左右方向に延びるスリット状の開口(単に「スリット」)110が壁全体に設けられている。中心軸線14よりも上方側は、例えば仕切壁11Aの上方側の半円部分であり、中心軸線14よりも下方側は、例えば仕切壁11Aの下方側の半円部分である。上方側の半円部分に設けられた複数のスリット110による開口の面積の和と、下方側の半円部分に設けられた複数のスリット110による開口の面積の和とを比較したときに、下方側の複数のスリット110による開口の面積の和のほうが大きい。原燃料ガスおよび水蒸気は、開口面積が大きな仕切壁の下方側を流過しやすい。改質触媒4は自重により沈み込んで下方に偏在するが、仕切壁11Aによって改質器1内で流体が下方側を多く流れて改質触媒4との接触効率が向上し、効率よく原燃料ガスと水蒸気とを改質反応させて改質ガスを生成することができる。また、上方側も開口されているので、仕切壁11Aを通過する際の不要な圧力損失の増加を抑えることができる。
【0035】
改質器本体2内に設けられる全てがこのような仕切壁11Aであってもよく、少なくとも1つの仕切壁がこのような仕切壁11Aであってもよい。仕切壁11Aに設けられる開口は、左右方向に延びるスリットに限らず、上下方向に延びるスリットであってもよく、斜め方向に延びるスリットであってもよい。開口の形状は、スリット状に限らず、円形状、矩形状、多角形状およびスリット状を含む複数の形状を組み合わせたものであってもよい。また、1つの開口が上方側の半円部分と下方側の半円部分とにわたって設けられている場合は、上方側の半円部分にかかる開口部分の面積を上方側の開口面積とし、下方側の半円部分にかかる開口部分の面積を下方側の開口面積とすればよい。
【0036】
仕切壁11Aは、下方側の開口面積のほうが上方側の開口面積よりも大きい。言い換えれば、上方側の半円部分は、開口以外の実部分の面積が、下方側の半円部分の実部分の面積よりも大きい。上方側の実部分の大きさを利用して、例えば、実部分に鞘管を接続し鞘管内に熱電対を挿入して、改質器1内の温度を測定するようにしてもよい。
【0037】
改質器本体2内に設けられる複数の仕切壁は、上記のような仕切壁11A以外に、下方側の開口面積のほうが上方側の開口面積よりも小さいもの、下方側の開口面積と上方側の開口面積とが同じものを含んでいてもよい。
図7は、第2実施形態の一例の改質器1Aの、中心軸線14に垂直な断面の断面図であり、
図5のZ−Z部の断面図である。本例に示す仕切壁11Bは、下方側の開口面積と上方側の開口面積とが同じ場合である。例えば、上方側の半円部分に設けられたスリット110と下方側の半円部分に設けられたスリット110とが、中心軸線14を挟んで対称となっている。スリット110が上下で対称であるので、開口面積が上下で同一である。なお、スリット110が上下で対称となっている必要はなく、開口面積が同じであれば、スリット110の配置、大きさ、形状などが異なっていてもよい。仕切壁11Bは、開口面積が上下で同一であるので、仕切壁11Bを通過するガスは、特に仕切壁11Bによって流れが偏向されることはない。
【0038】
本実施形態では、仕切壁として、下方側の開口面積が大きな仕切壁11Aと、開口面積が上下で同一の仕切壁11Bとを含んでいる。異なる種類の仕切壁を組み合わせることで、改質器本体2内を流れるガスの流れを意図的に偏向させることができ、例えば改質触媒4との接触効率を向上させることができる。
【0039】
図8Aは、中心軸線方向から見た蓋体15を示す図であり、
図8Bは、蓋体15の断面図である。改質ガス送出口9が設けられた蓋体15は、改質部5に面しており、改質部5に収納された改質触媒4のうち比較的粒径が小さいものは、改質ガス送出口9通って改質ガス供給管10へと流出してしまうおそれがある。本実施形態の改質器1Aは、
図8A、
図8Bに示すように、改質触媒4が改質ガス送出口9から流出することを防止する流出防止部材90を備える。流出防止部材90は、改質ガス送出口9から所定の間隔をあけて設けられる帯状部91と、帯状部91の両端部を、改質器本体2の内面(蓋体15の内面)に固定する固定部92と、を含む。
【0040】
本実施形態では、帯状部91は2本で、2本が平行に上下方向に延びている。帯状部91の両端部には、それぞれ固定部92が接続されており、固定部92を介して帯状部91が、蓋体15の内面に接続されている。この固定部92によって、帯状部91は、改質ガス送出口9から内方に所定の間隔をあけた状態で保持される。ここで、所定の間隔は、収納される改質触媒4の最小となる粒径よりも小さくしている。さらに、帯状部91同士の間隔も収納される改質触媒4の最小となる粒径よりも小さくしている。これにより、改質触媒4が流出防止部材90を通り抜けてしまうことを抑制することができる。また、改質触媒4が、帯状部91によって改質ガス送出口9から離隔されるので、改質ガス送出口9が改質触媒4によって塞がれたり、送出される改質ガスの量が減少することを抑制することができる。
【0041】
流出防止部材90を構成する材料は、改質触媒4との接触などによっても変形しないような強度を有し、高温高湿環境下においても腐食などが生じない材料であればよく、たとえば、耐食性のあるステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。
【0042】
なお、流出防止部材90は、改質ガス送出口9から改質触媒4が流出することを抑制できる構成であれば、上下方向に延びる帯状部91に限らず、左右方向の延びるものであってもよく、斜め方向に延びるものであってもよい。さらに、帯状部91は、改質ガス送出口9の大きさおよび帯状部91の大きさを適宜設定することで、1本の帯状部91であってもよく、3本以上の帯状部91であってもよい。
【0043】
次に、第3実施形態の改質器について説明する。
図9は、第3実施形態の改質器1Bの構成の一例を示す断面図である。本実施形態の改質器1Bは、第1実施形態の改質器1と蓋体15の構造が異なっており、これ以外の構造は同じであるので、同じ部位には同じ参照符号を付して説明は省略する。なお、図示しないセラミックボールについても第1実施形態と同様に気化部3に備えることができる。
【0044】
図10は、本実施形態の一例の改質器1Bが備える、改質器本体2と蓋体15との結合部の構成の一例を示す断面図であり、
図9のB部を拡大して示した図である。
図10に示すように、蓋体外周部16において、蓋体折り返し部17を改質器本体2に溶接した溶接部の表面は粗面となっており、蓋体外周部16の表面に粗部19を有している。このような構成によって、燃料電池セル22における発電や燃焼部24における燃焼によって発生する熱を用いて改質器1Bを加熱する際に、改質器1Bがその外部から熱を受容する表面積が増大し、改質器1の内部の温度が上昇して、効率よく改質ガスを生成することができる。
【0045】
図11は、燃料電池モジュール40の中心軸線14に垂直な断面における断面図である。燃料電池モジュール40は、上記のセルスタック装置20と、セルスタック装置20を収納する収納容器41と、を備えている。収納容器41は、一面が開口した箱体31と、箱体31の開口31aを塞ぐ容器蓋体32とからなる。本実施形態では、箱体31は、直方体形状であり、直方体の6面のうち、最も面積の大きな一対の面の一方の面が開口している。開口31aに対向する他方の面31bが、箱体31の底面31bであり、その他の4つの面が箱体31の側面である。
【0046】
燃料電池モジュール40における酸素含有ガスおよび排ガスの流れについて、それぞれの流路の構成とともに説明する。本実施形態では、酸素含有ガスは、燃料電池モジュール40の外部に存在する空気である。この空気を外部から燃料電池モジュール内へと供給するための管状の導入部33が容器蓋体32の外表面に設けられている。
【0047】
容器蓋体32は、酸素含有ガスおよび収納室より排出される排ガスのうちいずれか一方のガスが流れる第1ガス流路と、第1ガス流路と隣接して配設され、酸素含有ガスおよび排ガスのうちいずれか他方のガスが流れる第2ガス流路とを備えている。本実施形態においては、内方側、すなわち箱体31側に設けられるガス流路を第1ガス流路34とし、第1ガス流路34には、排ガスが流れる。また、外方側に設けられるガス流路を第2ガス流路35とし、第2ガス流路35には、酸素含有ガスである空気が流れる。なお、図において、容器蓋体32の内側(箱体31側)に第1ガス流路34、外側(外面側)に第2ガス流路35を設けた例を示しているが、第1ガス流路と第2ガス流路とを容器蓋体32の内側(箱体31側)または、容器蓋体32の外側(外面側)に設けた構成とすることもできる。なお、後述する第2断熱材46を第1ガス流路34と隙間を空けて配置することで、第1ガス流路34に代えて該隙間を酸素含有ガスおよび排ガスのうちいずれか他方のガスが流れる第5ガス流路とすることもできる。
【0048】
容器蓋体32は、箱体31の開口31aを塞ぐための平板状の蓋体本体32aと、蓋体本体32aの、箱体31に臨む内面側に設けられ、第1ガス流路34を規定する第1流路部材34aと、蓋体本体32aの、外方に臨む外面側に設けられ、第2ガス流路35を規定する第2流路部材35aと、によって構成されている。第1流路部材34aおよび第2流路部材35aは、いずれも略矩形板状の部材であり、4辺において、第2流路部材35aの第1面(一方の主面)側および第1流路部材34aの第1面(一方の主面)に流路幅分だけ立設する部分が設けられている。立設する4辺部分を蓋体本体32aの内面または外面に接合することにより、蓋体本体32aと第1流路部材34aとの間隙が第1ガス流路34となり、蓋体本体32aと第2流路部材35aとの間隙が第2ガス流路35となる。つまり本実施形態において、蓋体本体32aが第1ガス流路34と第2ガス流路35とを区画する流路区画部となる。
【0049】
本実施形態の燃料電池モジュール40では、平板状の蓋体本体32aに、第1流路部材34aと第2流路部材35aを、間隙を設けるように重ね合わせて接合することにより、容易に空気の流路と排ガスの流路とを形成することができる。また、容器蓋体32に、ガス流路を設けたことにより、箱体31に設けられるガス流路を少なくすることができ、箱体31の構成を簡単な構成とすることができる。
【0050】
本実施形態では、空気を導入するための導入部33は、第2ガス流路35に連通されている。導入部33は、例えば、容器蓋体32の下方端部に設けられ、導入部33から導入された空気は、第2ガス流路35を下方から上方に向かって流れる。なお、第2ガス流路35を蛇行流路にすることもできる。そして、第2ガス流路35の上方端部において、収納容器41の内部、すなわち容器蓋体32よりも内方に空気を流入させるために、蓋体本体32aの上方端部には、厚み方向(左右方向)に貫通する孔、スリットなどの流入口32bが設けられる。本実施形態においては、流入口32bとして、セルスタック23の燃料電池セル22の配列方向に沿って並列に配置された複数の貫通孔が設けられている。複数の貫通孔を設けた構成とすることによって、機械的強度の低下を抑制し、十分な量の空気を容器蓋体32よりも内方に流入させることができる。
【0051】
流入口32bから収納容器41の内部に流入した空気は、改質器1の上方において、箱体31内に形成された第3ガス流路36を介して、改質器1、セルスタック23を超えて箱体31の底面31b側へと流れる。なお、第3ガス流路36は、箱体31の内側面のうち、改質器1に対向する内側面、すなわち動作時に上部に位置する内側面に平行な板状部材からなる流路壁である第3流路部材36aによって規定される。
【0052】
第3ガス流路36は、流れ方向下流側であって、改質器1およびセルスタック23と底面31bとの間の位置において、酸素含有ガス導入板37に接続される。酸素含有ガス導入板37は、例えば、2つの板状部材を、隙間を空けて外周を接合したものであって、第3ガス流路36と連通する部分とセルスタック23に対して酸素含有ガスである空気を供給するための酸素含有ガス導入口37aのみが開放され、それ以外は閉塞されている。
【0053】
第3ガス流路36は、燃料電池セル22の長手方向一端側である上方側に設けられており、導入部33および酸素含有ガス導入口37aは、燃料電池セル22の長手方向他端側である下方側に設けられている。
【0054】
酸素含有ガス導入板37は、第3流路部材36aに設けられた連通孔36bにおいて、第3ガス流路36と接続され、第3ガス流路36を流れる空気が連通孔36bを通って、酸素含有ガス導入板37内に流入する。
【0055】
本実施形態では、第3ガス流路36は、第2ガス流路35から酸素含有ガス導入板37までを接続する主流路部分36cと、酸素含有ガス導入板37と主流路部分36cとが接続する位置からさらに箱体31の底面31b側へと延びる延設部分36dとを有している。なお、延設部分36dを設けずに、第3ガス流路36が、主流路部分36cのみで構成されるようにしてもよい。
【0056】
酸素含有ガス導入板37に流入した空気は、箱体31の底面31bに沿って下方に向かって流れ、流れ方向下流端部に設けられた酸素含有ガス導入口37aから吐出され、セルスタック23の燃料電池セル22間に供給される。
【0057】
燃料電池セル22間に供給された空気は、燃料電池セル22において、改質器1からマニホールド21を介して供給される改質ガスとともに発電反応に供され、各燃料電池セル22において発電される。
【0058】
発電反応で使用されなかった改質ガスと空気とは、セルスタック23と改質器1との間の燃焼部24において燃焼され、高温の排ガスを生じる。排ガスは、第1流路部材34aに上方に設けられた連通孔34bを介して第1ガス流路34に流入し、蓋体本体32aに沿って下方に流れる。前述のように、外部から流入した空気は、第2ガス流路35を上方に向かって流れ、排ガスは、第2ガス流路35に隣接する第1ガス流路34を下方に向かって流れ、この間に蓋体本体32aを挟んで比較的低温の空気と比較的高温の排ガスとの間で熱交換され、空気が暖められるとともに排ガスが冷却される。
【0059】
熱交換された排ガスは、第1ガス流路34の下流端部である下方側端部において、第2ガス流路35の流れ方向に直交するように第2ガス流路35を横切る排出部42を介して第2ガス流路35の外方へと排出される。
【0060】
排出部42から排出された排ガスは、熱交換器に供給される。熱交換器では、外部より供給される媒体とで熱交換を行い、加熱された媒体は、例えば直接または間接的に給湯装置に利用され、排ガスを熱交換することにより生じる凝縮水は、その後改質器1での水蒸気改質に再利用される。なお、本実施形態では、第2ガス流路35のさらに外方に第4ガス流路43が設けられており、排出部42から排出された排ガスは、第4ガス流路43に流入し、第4ガス流路43に沿って上方に流れる。第4ガス流路43には、例えば、燃焼部24でも燃焼されなかった未燃焼ガスを燃焼させるための燃焼触媒を配置し、未燃焼ガスが燃料電池モジュール40から外部へと排出されないようにすることもできる。第4ガス流路43は、第1ガス流路34、第2ガス流路35と同様に、第4流路部材43aによって規定される。
【0061】
第4ガス流路43に沿って上方に流れた排ガスは、第4ガス流路43の下流側端部である上方側端部において、熱交換器との接続管44と連通し、接続管44を介して熱交換器に供給される。
【0062】
また収納容器41内には、燃料電池モジュール40内の熱が極端に放散され、燃料電池セル22の温度が低下して発電量が低減しないよう、燃料電池モジュール40内の温度を高温に維持するための断熱材が適宜設けられている。
【0063】
第1断熱材45は、箱体31の底面31bと酸素含有ガス導入板37との間に、底面31b全体を覆うように設けられる。第2断熱材46は、セルスタック23と第1ガス流路34の第1流路部材34aとの間に設けられる。第3断熱材47は、動作時にマニホールド21の下方側となる位置に設けられる。セルスタック23は、動作時に左右側および下方側となる位置に設けられた第1断熱材45、第2断熱材46および第3断熱材47によって三方を囲まれ、さらに、上方には、燃焼部24が設けられるので、熱の放散による燃料電池セル22の温度低下が抑制される。
【0064】
さらに、酸素含有ガス導入板37とセルスタック23との間には、セルスタック23の配列方向に沿って延びる帯状の第4断熱材48が設けられる。第4断熱材48は、上下に間隔を空けて2本を平行に配置している。セルスタック23を挟んで、第4断熱材48とは反対側にも同様に第4断熱材48を、上下に間隔を空けて2本を平行に配置しており、第2断熱材46とセルスタック23との間に設けられる。酸素含有ガス導入板37とセルスタック23との間に設けられる第4断熱材48は、酸素含有ガス導入板37の、セルスタック23に対向する面に設けられた断熱材固定部材37bに配設され、高さ位置が位置決めされている。これにより、輸送状態もしくは稼動状態において、セルスタック装置20を、適切な位置で支持できるようになっている。
【0065】
さらに、第2断熱材46とセルスタック23との間に設けられる第4断熱材48は、第2断熱材46の、セルスタック23に対向する面に設けられた溝状凹部46aに嵌入されて、高さ位置が位置決めされている。これにより、輸送状態もしくは稼動状態において、セルスタック装置20を、適切な位置で支持できるようになっている。
【0066】
図11に示すように、本実施形態では、セルスタック23と改質器本体2との距離をD1とし、改質器本体2と第3流路部材36aとの距離をD2としたとき、D1>D2である。すなわち、改質器本体2とセルスタック23との間隙よりも、改質器本体2と第3流路部材36aとの間隙のほうが狭い。収納容器41内において、相対的に温かい気体は、上方へと流れる。特に燃焼部24で燃焼された高温の排ガスは、改質器1の上方の第3流路部材36a側へと流れたのち、連通孔34bを介して第1ガス流路34に流入する。改質器本体2と第3流路部材36aとの間隙のほうが狭いことにより、排ガスは、改質器本体2と第3流路部材36aとの間隙に滞留する時間が、より長くなる。第3流路36を流れる空気は、第3流路部材36aを介して排ガスと熱交換し、加熱されるが、改質器本体2と第3流路部材36aとの間隙に排ガスが滞留する時間が長くなるほど第3流路部材36aを介した排ガスと空気との熱交換効率を高めることができる。すなわち、改質器本体2と第3流路部材36aとの間隙に排ガスが滞留する時間がより長くなることで、滞留した排ガスと第3流路部材36aを流れる空気との熱交換量が増え、滞留した排ガスの温度が低下する。それにより、改質器本体2の上方側における熱による応力を低減できる。特に、上述した凸部27または粗部28の、少なくともいずれか一方が、改質器本体2の上方側に設けられている場合に、より効果的に応力を低減できる。
【0067】
上記のように改質器本体2は、凸部27または粗部28の、少なくともいずれか一方が設けられており、外部から熱を吸収する効率、および吸収した熱を気化触媒や改質触媒に放熱する効率を高めることができる。さらに、D1>D2とすることにより、改質器本体2と第3流路部材36aとの間隙に排ガスが滞留する時間が長くなり、第3流路36を流れる空気をさらに暖めることができるほか、改質器本体2の上方側における応力を低下できる。
【0068】
図12は、他の実施形態の燃料電池モジュール40内を側方から見た概略図である。本実施形態では、
図12に示すように、改質器本体2が、セルスタック23の配列方向(紙面左右方向)に対して傾斜して設けられている。セルスタック23を構成する燃料電池セル22は、全て同じ外形状を有しており、したがって、各燃料電池セル22の上面は同じ高さに揃っている。改質器本体2が傾斜していることにより、改質器本体2とセルスタック23との距離が、改質器本体2の中心軸線14方向に沿って連続的に異なっている。
【0069】
気化部3と改質部5とは、改質器本体2の中心軸線14に沿って配置されており、改質器本体2の、改質部5が配置された側の端部とセルスタック23との距離をD1Aとする。また、改質器本体2の、気化部3が配置された側の端部とセルスタック23との距離をD1Bとする。このとき、D1A>D1Bとなるように、改質器本体2が傾斜している。すなわち、改質器本体2は、改質部5側の端部が、気化部3側の端部よりもセルスタック23から離れている。また、第3流路部材36aは、セルスタック23の配列方向に平行に設けられており、改質器本体2の、改質部5が配置された側の端部と第3流路部材36aとの距離をD2Aとし、改質器本体2の、気化部3が配置された側の端部と第3流路部材36aとの距離をD2Bとしたとき、D2A<D2Bである。
【0070】
改質部5は、改質反応が生じることで気化部3よりも内部が相対的に高温となる。さらに燃焼部24で生じた高熱の排ガスによって改質器本体2は加熱される。改質部5側の端部が、セルスタック23から離れることにより、燃焼部24からも離れることになるので、改質部5への応力集中を抑制し、改質器本体2の凸部27および粗部28に加わる応力を緩和することができる。
【0071】
また、相対的に温度が高温になり難い気化部3側の端部は、応力集中が生じ難いので、セルスタック23に近く、燃焼部24にも近いことで、加熱されやすく、効率よく水を水蒸気に気化させることができる。
【0072】
なお、D1AとD2Aとの大小関係およびD1BとD2Bとの大小関係は、特に限定されないが、
図11に示した実施形態と同様に、D1A>D2AおよびD1B>D2Bとすることができる。
【0073】
図13は、外装ケース50内に、収納容器41内にセルスタック装置20を収納した燃料電池モジュール40と、燃料電池モジュール40を動作させるための補機(図示せず)とを収納した、本実施形態の一例の燃料電池装置60の構成を示す分解斜視図である。なお、
図13においては一部構成を省略して示している。
【0074】
燃料電池装置60は、支柱51と外装板52から構成される外装ケース50内を仕切板53により上下に区画する。その上側を上述の燃料電池モジュール40を収納するモジュール収納室54とし、下側が燃料電池モジュール40を動作させるための補機を収納する補機収納室55として構成されている。なお補機収納室55に収納する補機を省略して示している。
【0075】
また、仕切板53には補機収納室55の空気をモジュール収納室54側に流すための空気流通口56が設けられており、モジュール収納室54を構成する外装板52の一部にモジュール収納室54内の空気を排気するための排気口57が設けられている。
【0076】
このような燃料電池装置60においては、改質器1で効率よく改質ガスを生成し、これにより発電効率の高い燃料電池装置60とすることができる。
【0077】
なお、本発明は以上の実施の形態の例および実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等支障ない。