特許第6641002号(P6641002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641002
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】ガスを浄化するための分離手段
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/04 20060101AFI20200127BHJP
   B04B 5/12 20060101ALI20200127BHJP
   B04B 9/06 20060101ALI20200127BHJP
   B04B 15/00 20060101ALI20200127BHJP
   B01D 45/02 20060101ALI20200127BHJP
   B01D 45/08 20060101ALI20200127BHJP
   B01D 50/00 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   F01M13/04 Z
   B04B5/12
   B04B9/06 A
   B04B15/00
   B01D45/02
   B01D45/08 Z
   B01D50/00 501F
   B01D50/00 501G
   B01D50/00 501H
   B01D50/00 502A
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-519297(P2018-519297)
(86)(22)【出願日】2016年10月4日
(65)【公表番号】特表2018-532070(P2018-532070A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(86)【国際出願番号】EP2016073633
(87)【国際公開番号】WO2017063914
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2018年6月12日
(31)【優先権主張番号】15189745.1
(32)【優先日】2015年10月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517431148
【氏名又は名称】アルフデックス・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロニー・ヤンナーシュタット
(72)【発明者】
【氏名】マッツ−オリヤン・ポゲン
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ・ヘルナンデス・フラチェク
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02426491(FR,A1)
【文献】 米国特許第05912368(US,A)
【文献】 米国特許第04311494(US,A)
【文献】 国際公開第2006/132577(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/04
B01D 45/02
B01D 45/08
B01D 50/00
B04B 5/12
B04B 9/06
B04B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心分離機と予備分離ユニットとを備えた、汚染物質を含んだガスを浄化するための分離手段であって、前記遠心分離機は、
分離空間を包含し、該分離空間を通じてガスが流れることを可能にした固定筐体と、
該固定筐体を通じて延び、前記予備分離ユニットからの前記ガスの供給を可能にしたガス入口と、
前記分離空間内に配列された分離部材を備え、回転軸(X)の周りを回転するように配置された回転部材と、
該回転部材を回転させるための駆動部材と、
浄化されたガスの排出が可能なように構成され、前記固定筐体の壁を通じた出口開口部を備えたガス出口と、
前記浄化されるガスから分離された液体不純物の排出が可能なように構成された排液口と、を備え、
前記予備分離ユニットは、前記遠心分離機の前記ガス入口の上流に配置され、前記予備分離ユニットは、
断面積A2を有し、浄化されるガスの供給を可能にした予備分離入口であって、前記断面積A2は前記遠心分離機のガス入口の断面積A1よりも大きい、予備分離入口と、
前記予備分離ユニットから前記遠心分離機のガス入口へのガスの供給を可能にするための予備分離出口と、
第1チャンバおよび該第1チャンバの下流に配置された第2チャンバであって、前記予備分離ユニットのこれらのチャンバは、少なくとも1つの貫通穴を備えた少なくとも1つの中間壁により離間された第1チャンバおよび第2チャンバと、
を備えている、分離手段。
【請求項2】
前記第2チャンバは、前記第1チャンバよりも大きい容積を有する、請求項1に記載の分離手段。
【請求項3】
前記予備分離ユニットは、該予備分離ユニットのチャンバ内で分離されたオイルのための排液口をさらに備えている、請求項1または2に記載の分離手段。
【請求項4】
前記遠心分離機の駆動部材は、前記遠心分離機のタービン筐体内に配置されたタービンホイールを備え、前記予備分離入口は、前記タービン筐体に面しており、これにより浄化されるガスは、前記タービン筐体から前記予備分離ユニットへと導かれる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の分離手段。
【請求項5】
前記第2チャンバは、前記回転軸(X)と同じ方向に延びている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の分離手段。
【請求項6】
前記予備分離ユニットの少なくとも1つの中間壁は、分離された液体不純物のための少なくとも1つの排液口を備え、該少なくとも1つの排液口は、前記中間壁の貫通穴の断面積よりも小さい断面積を有する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の分離手段。
【請求項7】
前記予備分離入口は前記第1チャンバの壁に配置され、前記予備分離出口は前記第2チャンバの壁に配置されている、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の分離手段。
【請求項8】
前記予備分離ユニットは、前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間に配置された第3チャンバを備えている、請求項7に記載の分離手段。
【請求項9】
前記第3チャンバは、前記第1チャンバの容積よりも大きいが、前記第2チャンバの容積よりも小さい容積を有する、請求項8に記載の分離手段。
【請求項10】
前記第2チャンバは円錐形であり、これにより内側断面積は下流方向に向かうに従って減少している、請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の分離手段。
【請求項11】
前記第2チャンバと前記第2チャンバの上流のチャンバとを区切った前記中間壁は、それ自身が円錐形であり、当該円錐形の最も狭い部分にガスのための貫通穴を備えており、前記中間壁は前記第2チャンバ内に延びている、請求項10に記載の分離手段。
【請求項12】
汚染物質を含んだガスを浄化するための遠心分離機のための、該遠心分離機の上流に配置された予備分離ユニットであって、該予備分離ユニットは、
断面積A2を有し、浄化されるガスの供給を可能にした予備分離入口と、
前記予備分離ユニットから前記遠心分離機の入口へのガスの供給を可能にするための、断面積A3を有する予備分離出口であって、断面積A2は断面積A3よりも大きい、予備分離出口と、
少なくとも第1チャンバおよび該第1チャンバの下流に配置された第2チャンバであって、該第1チャンバおよび第2チャンバは、前記予備分離ユニットを通じたガスの貫流を可能にするように配置されており、前記第2チャンバは、前記第1チャンバよりも大きい容積を有し、これにより前記予備分離ユニットを通じたガスの貫流を可能にしたすべてのチャンバは、チャンバが自身の上流に隣接して配置されたチャンバよりも大きい容積を有するように配置された、少なくとも第1チャンバおよび第2チャンバと、を備え、
前記予備分離ユニットのチャンバは、少なくとも1つの貫通穴を備えた少なくとも1つの中間壁により離間されている、予備分離ユニット。
【請求項13】
汚染物質を含んだガスを浄化するための方法であって、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の分離手段を設けるステップと、
汚染物質を含んだガスを前記分離手段の前記予備分離ユニットの予備分離入口内へと導入するステップと、
浄化されたガスを前記遠心分離機のガス出口を通じて排出し、且つ前記ガスから分離された汚染物質を前記遠心分離機の排液口を通じて排出するステップと、を含んでいる方法。
【請求項14】
前記汚染物質を含んだガスは燃焼機関のクランクケースガスであり、前記汚染物質はオイルを含んでいる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記汚染物質を含んだガスは、少なくとも毎分200リットルの吹き抜け流量において、前記分離手段の前記予備分離ユニットの予備分離入口内に導入される、請求項13または請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体不純物を含んだガスを浄化するための遠心分離機の分野に関する。特に、本発明は、燃焼機関のクランクケースガスのオイル粒子からの浄化に関する。
【背景技術】
【0002】
異なった密度を有する流体の混合物が、遠心分離機の使用を通じて互いから分離され得ることは周知である。そのような分離機の1つの特別な使用は、内燃機関の一部を形成したクランクケースから排出されたガスからのオイルの分離である。
【0003】
分離機のこの特別な使用に関して、内燃機関の燃焼チャンバ内に見られる高圧ガスは、関連したピストンリングを通過して、機関のクランクケース内へと漏れる傾向が見受けられる。このクランクケース内へのガスの連続的な漏れは、クランクケース内の不測の圧力増大につながり、結果的に、クランクケースからガスを排出する必要がある。クランクケースから排出されるそのようなガスは、一般的に(液滴または微細ミストとして)多量のエンジンオイルを担持しており、そのオイルはクランクケース内に設けられたオイルのリザーバから取り込まれる。
【0004】
不要のオイルを(特に、圧縮機の効率がオイルの存在により不利に影響され得る過給機システム内に)誘導することもなく入口システム内にガスが導入されることを可能にするために、ガスが入口システム内に導入される前に、排出されたガスを浄化すること(すなわち、ガスにより運搬されたオイルを除去すること)が必要である。この浄化工程は、クランクケース上またはそこに隣接して搭載され、浄化されたガスを入口システムに導き、且つ分離されたオイルをクランクケースに導く遠心分離機により請け負われ得る。そのような分離機の例は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
しかしながら、浄化される汚染ガスが、多量の大きく且つ重いオイル粒子等の過度に多量のオイルを含んでいた場合、遠心分離機の分離効率は低下され得る。
【0006】
したがって、先行技術を改良した、オイルのような液体不純物を含んだガスのためのより都合の良い浄化手段が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第8,657,908号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主目的は、汚染ガスを分離するための改良された分離手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の第1態様として、遠心分離機と予備分離ユニットとを備えた、汚染物質を含んだガスを浄化するための分離手段が提供されており、この遠心分離機は、
分離空間を包含し、この分離空間を通じてガスが流れることを可能にした固定筐体と、
固定筐体を通じて延び、予備分離ユニットからのガスの供給を可能にしたガス入口と、
分離空間内に配列された分離部材を備え、回転軸(X)の周りを回転するように配置された回転部材と、
回転部材を回転させるための駆動部材と、
浄化されたガスの排出が可能なように構成され、固定筐体の壁を通じた出口開口部を備えたガス出口と、
浄化されるガスから分離された液体不純物の排出が可能なように構成された排液口と、を備え、
予備分離ユニットは、遠心分離機のガス入口の上流に配置され、この予備分離ユニットは、
断面積A2を有し、浄化されるガスの供給を可能にした予備分離入口であって、断面積A2は遠心分離機ガス入口の断面積A1よりも大きい、予備分離入口と、
予備分離ユニットから遠心分離機のガス入口へのガスの供給を可能にするための予備分離出口と、
第1チャンバおよび第1チャンバの下流に配置された第2チャンバであって、予備分離ユニットのこれらのチャンバは、少なくとも1つの貫通穴を備えた少なくとも1つの中間壁により離間された第1チャンバおよび第2チャンバと、を備えている。
【0010】
ガス内の汚染物質は、オイルおよび煤のような液体不純物を含み得る。
【0011】
結果的に、分離手段は、オイルのような液体不純物をガスから分離するためのものであり得る。ガスは、燃焼機関のクランクケースガスであり得る。しかしながら、分離手段は他の発生源からのガス、例えばオイル液滴またはオイルミストの形式の多量の液体不純物を高頻度で含んだ工作機械の周囲環境からのガスを浄化することにも適し得る。分離手段は2つのユニット、オイルミストのような主に小さい体積の液体不純物をガスから分離するための遠心分離機、および遠心分離機の上流に配置されて、オイルのより大きい液体粒子のような、主に大きい体積の液体不純物を分離するための予備分離ユニット、を備えている。したがって、予備分離ユニットは、約10μm超の直径を有する大きいおよび中間サイズの粒子を分離するためとし得る。したがって、予備分離機能は遠心分離機に追加されている。このことは、分離手段を単一ユニットとしてエンジンブロック上に直接搭載することに寄与している。このことは、エンジンの製造に関して空間およびコストの両方を節約する。代替的に、予備分離ユニットは、部分的にまたは完全に分離機と一体化されてもよく、例えばこれにより分離機の固定筐体は予備分離ユニットの外壁のような予備分離ユニットの筐体も形成し、したがって分離手段は単一ユニットを形成する。
【0012】
結果的に、予備分離ユニットは、液体不純物のガスからの分離を促進し得る。それは、予備分離ユニットが、遠心分離機の分離空間への入口の断面積よりも大きい断面積の入口を有するためである。チャンバの配列と組み合わせた断面積のこの関係により、圧力降下、ガス速度、および乱流は予備分離ユニット内で低く維持され、これにより、予備分離ユニットの内壁および中間壁に当たった場合に、より大きいオイル粒子が分離され得る。
【0013】
従来の設定においては、例えばモータの内側面にも存在し得る液体オイルは、モータの内側面に沿って遠心分離機へと搬送され得る。そのような液体オイルは、分離機がタービンホイールにより駆動された場合、例えばエンジンのクランクケースの内側面、または遠心分離機のタービン筐体の内側面にも存在し得る。分離機内のそのような液体オイルの存在は、分離機の分離能力を低下させ得る。しかしながら、本開示の分離手段においては、そのような液体オイルは予備分離ユニットにより捕捉され、結果的にそのような液体オイルが遠心分離機に進入する危険性は、減少され得る。
【0014】
遠心分離機の固定筐体は、周囲側壁ならびに第1および第2端壁を備え得る。固定筐体は、回転軸(X)から周囲側壁までの半径Rを有する円形断面を備えた円筒形状を有し得る。この半径Rは、少なくとも周囲側壁の外周の大部分に関して一定とされ得る。固定筐体は、わずかに円錐形であってもよい。したがって、第1および第2端壁は、円筒形筐体の上側端壁および下側端壁を形成している。
【0015】
遠心分離機のガス入口は、第1端壁を通じて、または第1端壁の近くの周囲壁を通じて、したがって分離機の上部に配置されてもよく、これにより、ガス入口を通じて進入したガスは分離空間に進入し、一方で排液口は第2端壁、例えば分離機の底部に配置されてもよい。ガス入口の断面積A1として示されている。
【0016】
実施形態においては、A1は分離空間の断面積とほぼ同じであり、分離空間はディスクスタックのディスク間の空間またはギャップへの領域である。A1は、分離空間の断面積よりも大きくてもよい。
【0017】
回転部材の分離部材は、汚染物質のガスからの分離を促進する面拡張インサートの一例である。分離部材は、分離ディスクのスタックであってもよい。スタックの分離ディスクは、円錐台形であってもよい。円錐台形のディスクは、回転軸に直交した平面内に広がった平坦部と、上向きまたは下向きに広がり得る円錐部と、を備えていてもよい。平坦部は、円錐部よりも回転軸に接近し得る。さらに、スタックのディスクはラジアルディスクであってもよく、ほぼディスク全体が、回転軸に直交した平面内に広がっていてもよい。
【0018】
分離ディスクのような分離部材は、必ずしもスタック内に配置される必要がないことも理解される。分離空間は、例えば回転軸の周りに広がった軸方向ディスクまたはプレートを備えていてもよい。軸方向ディスクまたはプレートは平坦であってよく、すなわち回転軸に平行な面内に広がっていてもよい。軸方向ディスクまたはプレートは、弓状のまたは径方向面内で見てらせん形状のような、わずかにまたは大きく湾曲した形状を有してもよい。
【0019】
作動時に、浄化されるガスは分離部材の中心を通じて、例えば分離ディスクのスタックの中心を通じて導かれ得る。そのような設定において、回転部材は、各分離ディスクの少なくとも1つの貫通穴により形成された中央空間をさらに形成し得る。この中央空間はガス入口に連結されており、浄化されるガスをガス入口から分離ディスクのスタックのギャップへと搬送するように構成されている。
【0020】
そのような場合、分離空間の断面積は、ディスクのスタック内の最上部のディスクの貫通穴の面積の和である。
【0021】
分離ディスクは、回転軸に直交した中央の、基本的に平坦な部分を備え得る。この部分は、中央空間を形成した貫通穴を備え得る。分離ディスクは、回転軸に直交していない方向に広がった円錐部をさらに備え得る。
【0022】
したがって、中央空間は平坦部の貫通穴により形成されてもよく、これにより分離空間の断面積は、ディスクスタックの上側分離ディスクの平坦部の貫通穴の総和となり得る。
【0023】
駆動部材は、例えば逆流ディスクを備えた燃焼機関または自由ジェットホイールの潤滑油システムからのオイル噴流を利用して回転されるタービンホイールを、備えていてもよい。しかしながら、駆動部材は燃焼機関から独立して、電気モータ、油圧モータ、または空気圧モータを備えていてもよい。
【0024】
遠心分離機の排液口は、固定筐体の複数の貫通穴形状のスポットにより形成され得る。排液口は、自身を通じてまたは自身に入口が配置された端壁の反対側の端壁の中央に配置され得る。排液口は、回転軸に配置されてもよく、または回転軸に中心を合わせて配置されてもよい。排液口は、固定筐体の内側端壁の環状収集壁内にも配置され得る。
【0025】
予備分離ユニットは、浄化されるガスを予備分離ユニット内に供給することを可能にするための予備分離入口を備えている。予備分離入口の断面積はA2により示され、A1により示された遠心分離機のガス入口の断面積よりも大きい。A2はA1よりも25%より大きい、50%より大きい、または100%より大きいといったように、10%よりも大きい。これは主に構造的制限に依存している。
【0026】
さらに、予備分離ユニットは第1および第2チャンバを備え、第2チャンバは第1チャンバの下流に、すなわち予備分離出口のより近傍に配置されている。
【0027】
予備分離ユニットのチャンバは、予備分離ユニットを通じて浄化されるガスが流れることを可能にするように配置されており、すなわちガスは、予備分離入口から予備分離ユニットのチャンバを通じ、予備分離出口から遠心分離機への経路へと出ていく。
【0028】
分離ユニットのチャンバは中間壁により、すなわち予備分離ユニットの内側壁により区切られている。中間壁は貫通穴を備え、汚染されたガスが壁に当たった場合、大きい汚染粒子はガスから分離され、一方でガスは貫通穴を通じて下流のチャンバへと流れ得る。少なくとも1つの貫通穴を備えた中間壁は、内側壁からガスの流れ経路内へと延びたバッフルとし得る。したがって、貫通穴は、そのときバッフルにより邪魔されることの無い流れ経路の一部である。したがって、そのようなバッフルまたは中間壁は、別のチャンバから1つのチャンバを離間し得る。
【0029】
第1態様の実施形態においては、第2チャンバは第1チャンバよりも大きい容積を有する。第2チャンバが第1チャンバよりも大きい容積を有する場合、大きいおよび中間のサイズのオイル粒子への揚力は減少され得る。次に、オイル粒子は例えば第2チャンバの底部に落下し、そこからオイル粒子は予備分離ユニットから排出され得る。
【0030】
第1態様の実施形態においては、予備分離ユニットは、予備分離ユニットのチャンバ内で分離されたオイルのための排液口をさらに備えている。
【0031】
排液口は、予備分離入口と同じであってもよい。
【0032】
第1態様の実施形態においては、遠心分離機の駆動部材は、遠心分離機のタービン筐体内に配置されたタービンホイールを備え、予備分離入口は、タービン筐体に面しており、これにより浄化されるガスは、タービン筐体から予備分離ユニットへと導かれる。
【0033】
したがって、タービンホイールは、燃焼機関のオイルシステムからのオイル噴流を利用して回転されるように配置され得る。したがって、予備分離ユニットはタービン筐体と一体化され、これにより分離手段内の浄化されるガスは、タービン筐体から予備分離入口を通じて予備分離ユニットのチャンバへと直接導かれる。タービン筐体は、遠心分離機の固定筐体の軸方向下側に配置され得る。さらに、遠心分離機の排液口は、分離されたオイルがタービン筐体へと排出されるように設けられ得る。
【0034】
第1態様の実施形態においては、分離手段は単一の、取り外し可能なユニットである。したがって、完成した分離ユニットは単一の、小型のユニットであり、エンジンの単一ユニットとして取り付けられ且つ取り外され得る。このことは、コストおよび空間の両方を節約する。
【0035】
第1態様の実施形態においては、第2チャンバは、回転軸(X)と同じ方向に延びている。
【0036】
分離手段は、回転軸Xが垂直となるようにエンジンに搭載されるために設けられている。第2チャンバも垂直方向に延び、すなわちこれにより、第2チャンバを通じたガスの流れ経路は、垂直方向となる。このことは、より重い液体不純物のガスからの分離をさらに促進しており、すなわち重力が、そのように大きいおよび中間サイズの粒子への揚力をさらに減少させる。
【0037】
第1態様の実施形態においては、予備分離ユニットの少なくとも1つの中間壁は、分離された液体不純物のための少なくとも1つの排液口を備え、この少なくとも1つの排液口は、中間壁の貫通穴の断面積よりも小さい断面積を有する。
【0038】
したがって、排液口は、チャンバから上流に配置されたチャンバへと分離されたオイルを排出するためのものである。このようにして、異なったチャンバから分離されたオイルは、予備分離ユニットの同じ排液口から排出され得る。
【0039】
第1態様の実施形態においては、予備分離入口は第1チャンバの壁に配置され、予備分離出口は第2チャンバの壁に配置されている。したがって、第1チャンバは予備分離入口に隣接していてもよく、第2チャンバは予備分離出口に隣接していてもよい。
【0040】
さらに、予備分離ユニットは、第1チャンバと第2チャンバとの間に配置された第3チャンバを備え得る。
【0041】
予備分離ユニットは、第1チャンバと第2チャンバとの間に配置されたさらなるチャンバさえも備え得ることも理解される。
【0042】
例として、第3チャンバは、第1チャンバの容積よりも大きいが、第2チャンバの容積よりも小さい容積を有し得る。
【0043】
したがって、予備分離ユニットのチャンバは、チャンバが、その上流に配置されたチャンバの容積よりも大きい容積を有するように配列され得る。このようにして、ガスの速度は、予備分離ユニットを貫流する間に減少され得る。
【0044】
例として、第2チャンバは円錐形であってよく、これにより内側断面積は下流方向に向かうに従って減少している。
【0045】
予備分離出口が第2チャンバの壁に配置された場合、そのような予備分離出口は、円錐形の最も狭い部分に配置され得る。したがって、円錐形状の第2チャンバは、予備分離ユニットから遠心分離機の入口への円滑な移送を促進し得る。
【0046】
さらなる例として、第2チャンバと第2チャンバの上流のチャンバとを区切った中間壁は円錐形であり、円錐形の最も狭い部分にガスのための貫通穴を備えており、中間壁は第2チャンバ内に延びている。
【0047】
そのような円錐形状の中間壁は、ガスが円錐形状の第2チャンバに進入した場合に、ガスの速度を減少させることを補助し、それにより例えばオイル粒子のガスからの除去を促進し得る。
【0048】
本発明の第2態様として、汚染物質を含んだガスを浄化するための遠心分離機のための予備分離ユニットが提供されており、この予備分離ユニットは、
断面積A2を有し、浄化されるガスの供給を可能にした予備分離入口と、
予備分離ユニットから遠心分離機の入口へのガスの供給を可能にするための、断面積A3を有する予備分離出口であって、断面積A2は断面積A3よりも大きい、予備分離出口と、
少なくとも第1チャンバおよび第1チャンバの下流に配置された第2チャンバであって、第1チャンバおよび第2チャンバは、予備分離ユニットを通じたガスの貫流を可能にするように配置されており、第2チャンバは、第1チャンバよりも大きい容積を有し、これにより予備分離ユニットを通じたガスの貫流を可能にしたすべてのチャンバは、チャンバが自身の上流に隣接して配置されたチャンバの容積よりも大きい容積を有するように配置された、少なくとも第1チャンバおよび第2チャンバと、を備え、
予備分離ユニットのチャンバは、少なくとも1つの貫通穴を備えた少なくとも1つの中間壁により離間されている。
【0049】
本発明の第2態様に関連して使用された用語および定義は、前述の本発明の第1態様に関連して論じられている。さらに、予備分離ユニットは、前述の第1態様の予備分離ユニットに関連して、任意の例および実施形態において論じられ得る。
【0050】
したがって、第2態様の予備分離ユニットは、クランクケースガスのようなガスを浄化するための既存の遠心分離機に装着され得るユニットを提供している。入口の断面積A2が出口の断面積A3よりも大きいので、ガスの速度は予備分離ユニット内で低く維持され、それにより不純物のガスからの分離を促進している。
【0051】
予備分離出口は、クランクケースガスの分離のための遠心分離機のような、遠心分離機の入口に接続して配置され得る。
【0052】
本発明の第3態様として、汚染物質を含んだガスを浄化するための方法が提供されており、この方法は、
前述の第1態様による分離手段を設けるステップと、
汚染物質を含んだガスを、分離手段の予備分離ユニットの予備分離入口内へと導入するステップと、
浄化されたガスを遠心分離機のガス出口を通じて排出し、且つガスから分離された汚染物質を遠心分離機の排液口を通じて排出するステップと、を含んでいる。
【0053】
本発明の第2態様に関連して使用された用語および定義は、前述の本発明の第1態様に関連して議論されている。
【0054】
遠心分離機を設けるステップは、遠心分離機の回転部材を回転させるステップも含んでいる。
【0055】
ガスは、少なくとも毎分200リットル(lpm)の吹き抜け流量で導入され、例えば少なくとも400lpm、例えば少なくとも500lpmとし得る。
【0056】
本方法は、予備分離ユニットの排液口を通じた、予備分離ユニット内の分離された汚染物質の排出をさらに含み得る。
【0057】
第3態様の実施形態においては、汚染物質を含んだガスは燃焼機関のクランクケースガスであり、汚染物質はオイルを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】遠心分離機の実施形態の断面を示した図である。
図2】予備分離ユニットの実施形態の断面を示した図である。
図3】予備分離ユニットのさらなる実施形態の断面を示した図である。
図4】分離手段の実施形態の断面を示した図である。
図5a】遠心分離機内において使用され得る分離部材の多様なタイプを示した図である。
図5b】遠心分離機内において使用され得る分離部材の多様なタイプを示した図である。
図5c】遠心分離機内において使用され得る分離部材の多様なタイプを示した図である。
図5d】遠心分離機内において使用され得る分離部材の多様なタイプを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本開示による分離手段および方法は、添付図を参照した以下の記載により、さらに説明される。
【0060】
図1は、分離手段の遠心分離機1の断面を示している。遠心分離機1は固定筐体2を備え、この固定筐体は、燃焼機関の上部または燃焼機関の側部のような、適切な位置において燃焼機関(図示略)、特にディーゼルエンジンに搭載されるように構成されている。
【0061】
遠心分離機1は、燃焼機関以外の他の発生源、例えばオイル液滴またはオイルミストの形式の多量の液体不純物を高頻度で含んだ工作機械の周囲環境からのガスを浄化することにも適していることが留意される。
【0062】
固定筐体2は分離空間3を包含し、この空間を通じてガスが流れることを許容している。固定筐体2は、周囲側壁4、第1端壁5(開示された実施形態においては上端壁)、および第2端壁6(開示された実施形態においては下端壁)を備えているか、またはそれらにより形成されている。
【0063】
遠心分離機は、回転軸の周りに回転するように配置された回転部材7を備えている。固定筐体2は回転部材7に関して、好適に固定筐体が搭載され得る燃焼機関に関して静止していることが、留意されるべきである。
【0064】
固定筐体2は、回転軸Xから周囲側壁4までの半径を有し、それは少なくとも周囲側壁4の周囲の大部分に関して一定である。したがって、周囲側壁4は円形、または略円形の断面を有する。
【0065】
回転部材7はスピンドル8、およびスピンドル8に取り付けられた、分離ディスク9のスタックの形式の分離部材を備えている。分離ディスク9のスタックのすべての分離ディスク9は、第1エンドプレート10(開示された実施形態においては上側エンドプレート)と第2エンドプレート11(開示された実施形態においては下側エンドプレート)との間に設けられている。
【0066】
スピンドル8、ひいては回転部材7は、第1軸受12(開示された実施形態においては上側軸受)および第2軸受13(開示された実施形態においては下側軸受)を用いて、固定筐体2内に回転可能に支持されている。
【0067】
分離ディスク9は円錐台形であり、スピンドル8から外向き且つ上向きに広がっている。したがって、分離ディスクは、回転軸Xに直交して広がった平坦部9a、および平坦部9aから外向き且つ上向きに広がった円錐部9bを備えている。
【0068】
分離ディスク9は、外向き且つ上向きに、または径方向にさえも広がり得ることが、留意されるべきである。
【0069】
分離ディスク9は、隔離部材(図示略)を用いて互いに所定の距離において設けられており、これは隣り合った分離ディスク9の間にギャップ14、すなわち隣接した分離ディスク9の各対の間にギャップ14を形成するためである。各ギャップ14の軸方向幅は、例えば1〜2mmのオーダーとし得る。
【0070】
分離ディスク9は、プラスチック製または金属性とし得る。分離ディスク9の数は、通常は図1に示されているよりも多く、遠心分離機のサイズによって、例えば50〜100とし得る。
【0071】
回転部材7は、中央空間15を形成している。中央空間15は、各分離ディスク9の穴により形成されている。図1の実施形態においては、中央空間15は複数の貫通穴24により形成され、各穴は第1エンドプレート10を通じて、且つ各分離ブレート9を通じて延びているが、第2エンドプレート11を通じていない。貫通穴は、分離ディスクの平坦部9aに配置されている。
【0072】
貫通穴24はA1´の面積を有し、分離空間の入口への断面積は、図1の分離ディスクのスタック内の、上側ディスクのすべてのA1´の和である。分離ディスクは、この実施形態においては同じ形状であり、すなわちA1´はディスクスタックを通じて同じである。
【0073】
ディスクの平坦部9aは大きい貫通穴を備え、これにより面積A1は平坦部9aの断面積と略同一である。
【0074】
遠心分離機1は、浄化されるガスの供給のためのガス入口16を備えている。ガス入口16は固定筐体2を通じて、より詳細には第1端壁5を通じて延びている。ガス入口16は中央空間15と連通しており、これにより浄化されるガスは、入口16から中央空間15を通じて分離ディスク9のスタックのギャップ14へと搬送される。ガス入口16は、燃焼機関のクランクケースまたは他の任意の発生源と入口導管17を通じて連通するように構成されており、入口導管は、クランクケースからのクランクケースガスをガス入口16へと、さらには先に説明された中央空間15およびギャップ14へと供給することを許容している。ガス入口16は、A1で示された断面積を有し、その面積は入口導管17の断面積と同じである。
【0075】
遠心分離機1は、回転部材7を回転させるための駆動部材18をさらに備えている。駆動部材は、この実施形態においては、遠心分離機1のタービン筐体20内に配置されたタービンホイールである。作動時に、タービンホイールは、燃焼機関のオイルシステムからのオイル噴流を利用して回転される。オイル噴流は、ノズル19を通じて供給される。それとは異なり、駆動部材18は燃焼機関から独立して、電気モータ、油圧モータ、または空気圧モータを備えてもよい。
【0076】
遠心分離機は、ガスから分離された液体不純物の排出を可能とするように構成された排液口22、および浄化されたガスの排出を可能とするように構成されたガス出口23を備えている。ガスの液体不純物は、ギャップ14内でガスから分離され、浄化されたガスは外側の分離空間3へと、さらにガス出口23へと、ギャップ14に搬送される。遠心分離機を通じたガスの経路は、図1の矢印「A」により示されている。重い成分は、周囲側壁4の内壁面25上を環状収集溝21内へと下向きに流れ、且つ排液口22を通じてタービン筐体20内へと流出する。しかしながら、排液口22は下側端壁6の中央に配置された貫通穴の形式であってもよく、これにより分離された液体不純物は、第2軸受13を通じてタービン筐体20内へと下向きに流れ得る。
【0077】
図2は、分離手段内において使用され得る予備分離ユニット26の断面を示している。予備分離ユニット26は、第1チャンバ29、第2チャンバ30、および第1チャンバと第2チャンバとの間に配置された第3チャンバ35を備えている。予備分離入口27は、第1チャンバ29の外壁に形成され、一方で予備分離出口28は、第2チャンバ30の外壁に形成されている。予備分離入口の断面積はA2であり、一方で予備分離出口の断面積はA3である。断面積A2は断面積A3よりも大きく、たとえばA3の2倍よりも大きい面積、例えばA3の4倍よりも大きい面積である。予備分離ユニット26のチャンバは、中間壁により離間されている。この実施形態においては、中間壁31aは第1チャンバ29と第3チャンバ35とを離間し、中間壁31bは第3チャンバ35と第2チャンバ30とを離間している。中間壁31bの部分36は、第2チャンバ30から第1チャンバ29を離間している。中間壁は、液体不純物を含んだガスがチャンバ間を通過するための貫通穴を備えている。貫通穴32aは中間壁31aに形成され、一方で貫通穴32bは中間壁31bに形成されている。貫通穴32aは中間壁31aの上部に軸方向に形成され、中間壁31aの面積の10%よりも大きい面積を有するような、中間壁31aの面積の25%よりも大きいような、大きい断面積を有し得る。
【0078】
さらに、中間壁には排液穴が形成されており、これにより分離された液体不純物は、予備分離ユニット26のチャンバから排出され得る。排液穴の断面積は、同じ中間壁に形成されたガスのための貫通穴の断面積よりも小さく、例えば3分の1よりも小さく、例えば5分の1よりも小さい。
【0079】
排液穴34aは中間壁31aに形成され、これにより分離された液体不純物は、第3チャンバ35から第1チャンバ29へと排出され得る。第3チャンバ35の外壁の部分37は、排液穴34aに向かってさらに傾斜され、排液穴34aに向かって、分離された液体不純物の搬送を促進している。さらに、排液穴34bは、第1チャンバ29から第2チャンバ30を離間した中間壁31bの部分36に形成され、これにより分離された液体不純物は、第2チャンバ30から第1チャンバ29へと排出され得る。第2チャンバと第3チャンバとの間の中間壁31bにも排液穴が形成されてもよく、これにより第2チャンバ30内の分離された液体不純物は、第3チャンバ35を通じて第1チャンバ29へと排出され得る。予備分離ユニット26からの排液口33も形成されて、分離された液体不純物を予備分離ユニット26から排出する。この実施形態においては、排液口33は予備分離入口27と同じである。
【0080】
第2チャンバ30はさらに円錐形状であり、これにより内側断面積は下流方向に向かうに従って減少している。予備分離ユニットは、円錐形状の第2チャンバ30が方向X1に延びるように配置されている。したがって、予備分離ユニットに関する「軸方向」との用語は、X1の軸方向を参照している。したがって、第2チャンバ30は、軸方向下部39および軸方向上部40を備えると考えられてもよく、軸方向上部は軸方向下部の下流、すなわち予備分離出口により接近して配置されている。第2チャンバ30の底部、すなわち軸方向下部39における断面積は、軸方向上部40の断面積よりも大きい。断面積は、円錐形状の第2チャンバの下流または軸方向において漸次的に減少している。さらに、第2チャンバ30と第3チャンバ35とを区切った中間壁31bの部分38は、それ自身円錐形状であり、ガスのための貫通穴32bは、円錐形状の狭小部に形成されている。中間壁31bの円錐形状部分38は、第2チャンバ30内に延びている。
【0081】
さらに、予備分離ユニットのチャンバの容積は、下流方向に向かうに従って減少している。このことは、第1チャンバが容積V1、第3チャンバが容積V3、および第2チャンバが容積V2を有する場合、V1<V2<V3であることを意味している。
【0082】
作動時に、オイル等の液体不純物を含んだガスは、予備分離入口27を通じて第1チャンバ29へと予備分離ユニット26に進入する。より大きい粒子のオイルおよび純粋なオイルの大部分は内壁および中間壁31aに当たり、大きい排液口33を通じて予備分離ユニット26から出ていく。次に、ガス流れは、貫通穴32aを通じて第3チャンバ35に進入する。この開口部は大きく、圧力降下およびガス速度を低いままに維持する。第3チャンバのより大きい容積V3は、大きいおよび中間のサイズのオイル粒子への揚力を減少させ、それらの粒子は底部に落下して、より小さい排液穴34aを通じて、およびさらに排液口33を通じて外部へと排出される。次に、ガス流れは円錐形状の第2チャンバ30に進入し、このチャンバ内で、より小さい粒子は揚力の減少により底部に落下する。第2チャンバ30内に蓄積されたオイルは、排液穴34bを通じて第1チャンバ29へと、さらに排液口33を通じて外部へと排出される。次に、減少された量の液体不純物を含んだガスは、予備分離出口28から出ていく。
【0083】
作動時に、吹き抜け流量は、200lpmよりも大きく、例えば400lpmよりも大きく、例えば約500lpmである。
【0084】
図2に示された実施形態においては、予備分離ユニットは3つのチャンバを備えている。しかしながら、予備分離ユニットは、3つよりも多くのチャンバを備えてもよく、または第1および第2チャンバのみを含んでいてもよい。そのような実施形態は、図3に示されている。容積V1を有する第1チャンバ29および第2容積V2を有する第2チャンバ30を備え、V2>V1であることを除いて、予備分離ユニット26は図2の予備分離ユニットとほとんど同一である。さらに、第1および第2チャンバは、ガスのための貫通穴32を備えた中間壁31により区切られている。
【0085】
予備分離ユニットは、例えば分離手段を形成するための導入のために獲得可能な空間により、多様な方法において遠心分離機と一体化され得る。
【0086】
図4は、遠心分離機1および予備分離ユニット26を備えた分離手段41の実施形態の断面を示している。この実施形態においては、遠心分離機1は図1に示された通りであり、予備分離ユニット26は図2に示された通りである。明確化のために、分離機1の外形のみが図4に示され、図1に関連して示されおよび論じられた構造は図示されていない。予備分離ユニット26は、遠心分離機に取り付けられ得る、単一の取り外し可能なユニットとして機能する。予備分離出口28は、接続部42を通じて遠心分離機1の入口導管17に取り付けられる。予備分離入口27の断面積A2は、遠心分離機のガス入口の断面積A1よりも大きい。図4に見られているように、予備分離出口28の断面積A3は、入口導管17の断面積とほぼ同じである。さらに、予備分離ユニット26は遠心分離機1に関連して配置され、これにより前述の図2に関連して議論された軸X1は、遠心分離機の回転軸Xとほぼ整列されている。さらに、予備分離ユニット26の入口27は、遠心分離機1のタービン筐体20と流体接続されており、このことは、浄化されるガスが、図4の矢印「B」により示されたように、予備分離出口28を出て遠心分離機1の分離機入口導管17に進入する前に、予備分離入口27を通じて、続いて予備分離ユニット26の第1チャンバ29、第3チャンバ35、および第2チャンバ30を通じて遠心分離機1のタービン筐体20から導入されることを意味している。代替的には、予備分離ユニット26の入口27は、エンジンのエンジンブロックに直接搭載され得る。
【0087】
さらに、図4に示された実施形態の代替として、予備分離ユニット26の円錐形の第2チャンバ30は、遠心分離機1の固定筐体2と一体化され得る。
【0088】
分離手段41はエンジンに搭載されて、これにより開口部43はエンジンブロックに、またはエンジンブロックの接続部に面し得る。
【0089】
図1に示された実施形態においては、ガス浄化のための回転部材7には、従来の種類の円錐形分離ディスクのスタックが設けられている。しかしながら、本発明は、厳密にこの種の回転部材または遠心ロータに限定されるのではなく、ガス中に浮遊した粒子をガスから除去するための任意の適切な遠心ロータに関連して使用され得る。
【0090】
図5a〜図5dは、本開示の遠心分離機において使用され得る分離部材のいくつかの例を示している。明確化の理由のために、少数のディスクのみが図示されているが、実際には、より多数のディスクが存在し、これによりディスク間の距離はさらに小さいことが理解される。
【0091】
図5aは、平坦部9aおよび円錐部9bを備えた円錐台形ディスク44の例を示している。平坦部9aは、回転軸(X)に直交した平面内に広がっており、円錐部9bは、この実施形態においては上向きに広がっている。平坦部9aは、円錐部9bよりも回転軸に接近している。平坦部9aおよび/または円錐部9bは、ガスのための貫通穴を備え得る。
【0092】
図5bは、平坦部9aおよび円錐部9bを備えた円錐台形ディスク44の例を示している。平坦部9aは、回転軸(X)に直交した平面内に広がっており、円錐部9bは、この実施形態においては下向きに広がっている。平坦部9aは、円錐部9bよりも回転軸に接近している。平坦部9aおよび/または円錐部9bは、ガスのための貫通穴を備え得る。
【0093】
図5cはディスクスタックの例を示しており、すべてのディスク45は平坦であり、すなわちすべてのディスク45は、回転軸(X)に直交した平面内に広がっている。ディスク45は、ガスのための貫通穴を備え得る。
【0094】
図5dは、軸方向ディスクまたはプレート46の例を示している。これらのプレート46はわずかに湾曲され、すなわち径方向平面内で見て湾曲形状を有する。換言すると、それらは回転軸に直交した平面内で見て湾曲されている。軸方向ディスク46は、ガスのための貫通穴を備え得る。
【0095】
本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、以下に提示された特許請求の範囲内において変化され、および改良され得る。本発明は、図に開示された回転軸(X)の向きに限定されない。「遠心分離機」との用語は、略水平に向けられた回転軸を備えた遠心分離機も含んでいる。
【符号の説明】
【0096】
1 ・・・遠心分離機
2 ・・・固定筐体
3 ・・・分離空間
4 ・・・周囲側壁
5 ・・・第1端壁
6 ・・・第2端壁
7 ・・・回転部材
8 ・・・スピンドル
9 ・・・分離ディスク
9a ・・・平坦部
9b ・・・円錐部
10 ・・・第1エンドプレート
11 ・・・第2エンドプレート
12 ・・・第1軸受
13 ・・・第2軸受
14 ・・・ギャップ
15 ・・・中央空間
16 ・・・ガス入口
17 ・・・入口導管
18 ・・・駆動部材
19 ・・・ノズル
20 ・・・タービン筐体
21 ・・・環状収集溝
22 ・・・排液口
23 ・・・ガス出口
24 ・・・貫通穴
25 ・・・内壁面
26 ・・・予備分離ユニット
27 ・・・予備分離入口
28 ・・・予備分離出口
29 ・・・第1チャンバ
30 ・・・第2チャンバ
31、31a、31b ・・・中間壁
32、32a、32b ・・・貫通穴
33 ・・・排液口
34a、34b ・・・排液穴
35 ・・・第3チャンバ
36、37、38 ・・・部分
39 ・・・軸方向下部
40 ・・・軸方向上部
41 ・・・分離手段
42 ・・・接続部
44 ・・・円錐台形ディスク
45 ・・・ディスク
46 ・・・プレート
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d