特許第6641030号(P6641030)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641030
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20200127BHJP
【FI】
   F25D23/00 302Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-557355(P2018-557355)
(86)(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公表番号】特表2019-515235(P2019-515235A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】CN2017074603
(87)【国際公開番号】WO2017206556
(87)【国際公開日】20171207
【審査請求日】2018年11月1日
(31)【優先権主張番号】201610378927.8
(32)【優先日】2016年5月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516270865
【氏名又は名称】チンダオ ハイアール ジョイント ストック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER JOINT STOCK CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュ シァォビン
(72)【発明者】
【氏名】リィゥ ハオチュェン
(72)【発明者】
【氏名】ジァン ブォ
(72)【発明者】
【氏名】ワン リーイェン
【審査官】 山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−067380(JP,A)
【文献】 実開平03−010187(JP,U)
【文献】 特開平01−179676(JP,A)
【文献】 特開2004−036917(JP,A)
【文献】 特開平02−135115(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3148778(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫であって、
筐体と、吸着筒と、空気圧縮機と、窒素ガス貯蔵缶と、窒素発生ボックスとを備え、
前記筐体は、内部に収納コンパートメントが規定され、前記収納コンパートメント内には、密閉された収納スペースが設けられ、
前記吸着筒は、前記収納コンパートメント内に設けられ、その内部にカーボンモレキュラーシーブが設けられ、
前記空気圧縮機は、空気吸気管を介して直接前記吸着筒に接続され、且つ、前記カーボンモレキュラーシーブが圧縮空気を利用して窒素ガスを作製するように、制御可能に前記吸着筒へ前記圧縮空気を供給するように構成され、
前記窒素ガス貯蔵缶は、前記吸着筒に隣接して設けられ、その吸気端が前記吸着筒に接続されて前記カーボンモレキュラーシーブで作製された窒素ガスを受け取り、その排気端が前記収納スペースに連通して前記収納スペースへ窒素ガスを供給するように構成され
さらに前記空気圧縮機は、前記収納コンパートメント内に設けられ、前記吸着筒に隣接し、前記収納コンパートメント内から空気を吸い込んで圧縮し、前記吸着筒へ供給するように構成され、
前記窒素発生ボックスは、前記収納コンパートメント内に設けられて前記筐体の内壁に密着し、且つ、前記吸着筒、前記空気圧縮機及び前記窒素ガス貯蔵缶を収容するように、その内部に収容キャビティが規定されていることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
冷蔵庫であって、
筐体と、吸着筒と、空気圧縮機と、窒素ガス貯蔵缶とを備え、
前記筐体は、内部に収納コンパートメントが規定され、前記収納コンパートメント内には、密閉された収納スペースが設けられ、
前記吸着筒は、前記収納コンパートメント内に設けられ、その内部にカーボンモレキュラーシーブが設けられ、
前記空気圧縮機は、空気吸気管を介して直接前記吸着筒に接続され、且つ、前記カーボンモレキュラーシーブが圧縮空気を利用して窒素ガスを作製するように、制御可能に前記吸着筒へ前記圧縮空気を供給するように構成され、
前記窒素ガス貯蔵缶は、前記吸着筒に隣接して設けられ、その吸気端が前記吸着筒に接続されて前記カーボンモレキュラーシーブで作製された窒素ガスを受け取り、その排気端が前記収納スペースに連通して前記収納スペースへ窒素ガスを供給するように構成され、
さらに前記空気圧縮機は、前記冷蔵庫の圧縮機室内に設けられ、前記圧縮機室内から空気を吸い込んで圧縮し、前記吸着筒へ供給するように構成されていることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
前記空気吸気管の少なくとも一部は、前記冷蔵庫の通風路に沿って延在して前記吸着筒に繋がっていることを特徴とする請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
仕切り板を更に備え、
前記仕切り板は、前記筐体内に設けられて前記収納コンパートメントを区切り、
前記吸着筒は、前記筐体の内壁と前記仕切り板とで形成された角部に密着して設けられていることを特徴とする請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記空気圧縮機は、窒素ガスを作製している過程において、間欠的に起動して前記吸着筒へ圧縮空気を供給するように構成され、
前記吸着筒は、さらに、前記カーボンモレキュラーシーブで脱着された酸素富化ガスが外部環境へ排出されるように、前記空気圧縮機の一時停止期間において前記吸着筒の外部環境に連通するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
三方電磁弁を更に備え、
前記三方電磁弁は、前記空気吸気管に設けられ、第1ガス輸送ポートと第2ガス輸送ポートと第3ガス輸送ポートとの3つのガス輸送ポートを有し、前記第1ガス輸送ポートが前記空気圧縮機に連通し、前記第2ガス輸送ポートが前記吸着筒に連通し、前記第3ガス輸送ポートが前記外部環境に連通し、
さらに前記三方電磁弁は、前記空気圧縮機が前記吸着筒へ圧縮空気を供給するように、前記第1ガス輸送ポートと前記第2ガス輸送ポートとを連通させ、且つ、前記吸着筒で脱着された酸素富化ガスが前記第3ガス輸送ポートを介して前記外部環境に排出されるように、前記空気圧縮機の一時停止期間において、前記第1ガス輸送ポートを閉鎖し、前記第2ガス輸送ポートと前記第3ガス輸送ポートとを連通させるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
二方電磁弁を更に備え、
前記二方電磁弁は、前記吸着筒と前記窒素ガス貯蔵缶とを接続する接続配管に設けられ、且つ、窒素ガスの逆流が防止されるように、前記空気圧縮機の一時停止期間において前記吸着筒と前記窒素ガス貯蔵缶とを接続する接続配管を閉鎖することを特徴とする請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
流量調整弁を更に備え、
前記流量調整弁は、前記窒素ガス貯蔵缶の前記収納スペースへ向かう配管に設けられ、前記窒素ガス貯蔵缶の気体出力流量を調整するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵冷凍機器に関し、特に冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、鮮度保持(保鮮)は、食品または他の物品の品質を出来るだけ長く保証するためである。一般的には、果物・野菜食品の品質の低下が主に果物・野菜自身の有酸素呼吸と微生体の食品での繁殖とに起因するため、果物・野菜の鮮度保持には、果物・野菜自身の有酸素呼吸と微生体の生体活性との低減が必要とされる。
【0003】
保鮮冷蔵庫(冷凍キャビネット)の貯蔵装置による常用保鮮手段が主に低温処理を含むが、このような手段は、果物・野菜自身の有酸素呼吸と微生体の生長とを有効に抑圧できないとともに、低すぎる温度が食品の栄養損失を引き起こしてしまう。したがって、従来の冷蔵庫は、保鮮時間が短くて長期間の食品貯蔵の需要を満たせず、その鮮度保持性能がユーザのニーズに応じられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題に鑑みて、上記問題を克服するまたは上記問題を少なくとも部分的に解決する冷蔵庫を提供するように、本発明の提出に至る。
【0005】
本発明の別の目的は、冷蔵庫の鮮度保持性能を向上させることである。
【0006】
本発明の更に別の目的は、冷蔵庫の構造をコンパクト化し、使用空間を節約することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様によれば、本発明は、冷蔵庫を提供する。当該冷蔵庫は、筐体と、吸着筒と、空気圧縮機と、窒素ガス貯蔵缶と、窒素発生ボックスとを備え、筐体は、内部に収納コンパートメントが規定され、収納コンパートメント内には、密閉された収納スペースが設けられ、吸着筒は、収納コンパートメント内に設けられ、その内部にカーボンモレキュラーシーブが設けられ、空気圧縮機は、空気吸気管を介して直接吸着筒に接続され、且つ、カーボンモレキュラーシーブが圧縮空気を利用して窒素ガスを作製するように、制御可能に吸着筒へ圧縮空気を供給するように構成され、窒素ガス貯蔵缶は、吸着筒に隣接して設けられ、その吸気端が吸着筒に接続されてカーボンモレキュラーシーブで作製された窒素ガスを受け取り、その排気端が収納スペースに連通して当該収納スペースへ窒素ガスを供給するように構成され、さらに前記空気圧縮機は、前記収納コンパートメント内に設けられ、前記吸着筒に隣接し、前記収納コンパートメント内から空気を吸い込んで圧縮し、前記吸着筒へ供給するように構成され、前記窒素発生ボックスは、前記収納コンパートメント内に設けられて前記筐体の内壁に密着し、且つ、前記吸着筒、前記空気圧縮機及び前記窒素ガス貯蔵缶を収容するように、その内部に収容キャビティが規定されている。
【0010】
また、本発明は、別の観点での冷蔵庫を提供する。当該冷蔵庫は、筐体と、吸着筒と、空気圧縮機と、窒素ガス貯蔵缶とを備え、筐体は、内部に収納コンパートメントが規定され、収納コンパートメント内には、密閉された収納スペースが設けられ、吸着筒は、収納コンパートメント内に設けられ、その内部にカーボンモレキュラーシーブが設けられ、空気圧縮機は、空気吸気管を介して直接吸着筒に接続され、且つ、カーボンモレキュラーシーブが圧縮空気を利用して窒素ガスを作製するように、制御可能に吸着筒へ圧縮空気を供給するように構成され、窒素ガス貯蔵缶は、吸着筒に隣接して設けられ、その吸気端が吸着筒に接続されてカーボンモレキュラーシーブで作製された窒素ガスを受け取り、その排気端が収納スペースに連通して当該収納スペースへ窒素ガスを供給するように構成され、さらに空気圧縮機は、冷蔵庫の圧縮機室内に設けられ、圧縮機室内から空気を吸い込んで圧縮し、吸着筒へ供給するように構成されている。
【0012】
また、本発明は、別の観点での冷蔵庫を提供する。当該冷蔵庫は、筐体と、吸着筒と、空気圧縮機と、窒素ガス貯蔵缶と、仕切り板とを備え、前記筐体は、内部に収納コンパートメントが規定され、前記収納コンパートメント内には、密閉された収納スペースが設けられ、前記吸着筒は、前記収納コンパートメント内に設けられ、その内部にカーボンモレキュラーシーブが設けられ、前記空気圧縮機は、空気吸気管を介して直接前記吸着筒に接続され、且つ、前記カーボンモレキュラーシーブが圧縮空気を利用して窒素ガスを作製するように、制御可能に前記吸着筒へ前記圧縮空気を供給するように構成され、前記窒素ガス貯蔵缶は、前記吸着筒に隣接して設けられ、その吸気端が前記吸着筒に接続されて前記カーボンモレキュラーシーブで作製された窒素ガスを受け取り、その排気端が前記収納スペースに連通して前記収納スペースへ窒素ガスを供給するように構成され、仕切り板は、筐体内に設けられて収納コンパートメントを区切り、吸着筒は、筐体の内壁と仕切り板とで形成された角部に密着して設けられている。
【0013】
好ましくは、空気圧縮機は、窒素ガスを作製している過程において、間欠的に起動して吸着筒へ圧縮空気を供給するように構成され、吸着筒は、さらに、カーボンモレキュラーシーブで脱着された酸素富化ガスが外部環境へ排出されるように、空気圧縮機の一時停止期間において吸着筒の外部環境に連通するように構成されている。
【0014】
好ましくは、上記冷蔵庫は、三方電磁弁を更に備え、三方電磁弁は、空気吸気管に設けられ、第1ガス輸送ポートと第2ガス輸送ポートと第3ガス輸送ポートとの3つのガス輸送ポートを有し、第1ガス輸送ポートが空気圧縮機に連通し、第2ガス輸送ポートが吸着筒に連通し、第3ガス輸送ポートが外部環境に連通し、さらに三方電磁弁は、空気圧縮機が吸着筒へ圧縮空気を供給するように、第1ガス輸送ポートと第2ガス輸送ポートとを連通させ、且つ、吸着筒で脱着された酸素富化ガスが第3ガス輸送ポートを介して外部環境に排出されるように、空気圧縮機の一時停止期間において、第1ガス輸送ポートを閉鎖し、第2ガス輸送ポートと第3ガス輸送ポートとを連通させるように構成されている。
【0015】
好ましくは、上記冷蔵庫は、二方電磁弁を更に備え、二方電磁弁は、吸着筒と窒素ガス貯蔵缶とを接続する接続配管に設けられ、且つ、窒素ガスの逆流が防止されるように、空気圧縮機の一時停止期間において吸着筒と窒素ガス貯蔵缶とを接続する接続配管を閉鎖する。
【0016】
好ましくは、上記冷蔵庫は、流量調整弁を更に備え、流量調整弁は、窒素ガス貯蔵缶の収納スペースへ向かう配管に設けられ、窒素ガス貯蔵缶の気体出力流量を調整するように構成されている。
【0017】
本発明は、冷蔵庫を提供する。当該冷蔵庫は、吸着筒、空気圧縮機および窒素ガス貯蔵缶を備える。冷蔵庫の収納コンパートメント内には、密閉された収納スペースが設けられている。吸着筒は、収納コンパートメント内に設けられ、その内部にカーボンモレキュラーシーブが設けられている。空気圧縮機は、空気吸気管を介して直接吸着筒に接続され、カーボンモレキュラーシーブが圧縮空気を利用して窒素ガスを作製するように、制御可能に吸着筒へ圧縮空気を供給するように構成される。窒素ガス貯蔵缶は、吸着筒に隣接して設けられ、その吸気端が吸着筒に接続されてカーボンモレキュラーシーブで作製された窒素ガスを受け取り、その排気端が収納スペースに連通して当該収納スペースへ窒素ガスを供給する。本発明の冷蔵庫では、その収納コンパートメント内に食品の鮮度保持のための収納スペースが設けられ、吸着筒が窒素ガスを作製し、窒素ガス貯蔵缶が作製された窒素ガスを収納スペースへ供給して収納スペース内の酸素ガス含有量を低減することにより、冷蔵庫の鮮度保持性能を向上させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の冷蔵庫では、窒素ガス作製システムに対する小型化設計により、少なくとも吸着筒及び窒素ガス貯蔵缶を収納コンパートメント内に置くため、収納スペースへの窒素ガスの供給が容易になる。また、窒素ガス貯蔵缶が吸着筒に隣接して設けられているため、冷蔵庫の内部構造がコンパクト化され、冷蔵庫の使用空間が節約される。
【0019】
さらに、本発明の冷蔵庫では、空気圧縮機が収納コンパートメント内に設けられるとともに、吸着筒に隣接し、空気圧縮機が収納コンパートメント内から空気を吸い込んで圧縮し、吸着筒へ供給する。本発明の冷蔵庫では、空気圧縮機、吸着筒が何れも収納コンパートメント内に設けられるため、構造がコンパクト化され、使用空間が節約される。また、空気圧縮機は直接収納コンパートメント内から空気を吸い込んで圧縮するため、吸い込まれた空気の温度が低く、生成された窒素ガスの温度が同様に低いため、窒素ガスを収納スペース内に導入したとき、収納スペースの内部温度の大幅な変動を引き起こすことはなく、食品の鮮度保持に役立つ。
【0020】
図面に合わせて後述する本発明の具体的な実施例の詳細な記述によれば、本発明の上記および他の目的、メリットと特徴は、当業者により良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
後文は、図面を参照しながら限定的ではなく例示的に本発明の幾つかの具体的な実施例を詳細に記述する。図面における同じ符号は、同じまたは類似する部品や部分を示す。当業者であれば分かるように、これらの図面が必ずしも比例に準じて描かれるものとは限らない。図面において、
【0022】
図1】本発明の1つの実施例に係る冷蔵庫の模式図である。
図2】本発明の1つの実施例に係る冷蔵庫の収納コンパートメント内部の模式図である。
図3】本発明に係る別の実施例の冷蔵庫の収納コンパートメント内部の模式図である。
図4】本発明に係る別の実施例の冷蔵庫の模式図である。
図5】本発明に係る別の実施例の冷蔵庫の三方電磁弁の模式図である。
図6】本発明に係る別の実施例の冷蔵庫の制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施例は、まず冷蔵庫を提供する。図1は、本発明の1つの実施例に係る冷蔵庫の模式図である。冷蔵庫は、筐体10、吸着筒20、空気圧縮機30および窒素ガス貯蔵缶50を備える。
【0024】
冷蔵庫の筐体10内には、収納コンパートメントが規定され、収納コンパートメント内には、密閉された収納スペース11が設けられている。当該収納スペース11は、長時間の鮮度保持を必要とする食品、例えば、野菜、果物等を貯蔵する。吸着筒20は、収納コンパートメント内に設けられ、吸着筒20の内部には、カーボンモレキュラーシーブが設けられている。空気圧縮機30は、空気吸気管40を介して直接吸着筒20に接続され、且つ、カーボンモレキュラーシーブが圧縮空気を利用して窒素ガスを作製するように、制御可能に吸着筒20へ圧縮空気を供給する。窒素ガス貯蔵缶50は、吸着筒20に隣接して設けられ、その吸気端が吸着筒20に接続されてカーボンモレキュラーシーブで作製された窒素ガスを受け取り、その排気端が収納スペース11に連通して窒素ガスを供給するように構成されている。
【0025】
本実施例の冷蔵庫は、PSA窒素発生方法を利用して、空気における酸素ガスを除去して純粋な窒素ガスを生成してから、窒素ガスを収納スペース11内に注入することにより、食品の鮮度保持の目的を果たす。圧力変動吸着PSA(Pressure Swing Adsorption)は、気体を生成する現在の主流技術の1つである。圧力変動吸着とは、具体的に、温度が変化しない場合に、混合気体を加圧し、余分な不純物気体を吸着剤で吸着することで純粋な単一気体を取得してから、吸着剤が再度利用できるように、減圧(真空化)或いは常圧の方法で吸着剤内の不純物気体を脱着することを指す。カーボンモレキュラーシーブは、酸素と窒素の分離を実現して空気から窒素ガスを抽出するための一般的な吸着剤である。吸着圧力が同じであるとき、カーボンモレキュラーシーブは、酸素に対する吸着量が窒素に対する吸着量よりも遥かに高くなる。PSA窒素発生方法では、この原理を利用し、空気を素材として、圧力変動吸着技術を用いて、酸素と窒素とに対するカーボンモレキュラーシーブの選択的な吸着により、空気における窒素と酸素との分離を実施して純粋な窒素ガスを生成する。従来のPSA窒素発生装置は、主に大規模な窒素発生に用いられ、空気缶及び油水分離装置を備え、空気圧縮機30の動作圧力が大きく、体積が大きく、構造が複雑であるため、冷蔵庫への窒素発生の要求を満たさない。
【0026】
本実施例では、空気圧縮機30の動作圧力が単に1.5から2の大気圧であり、大型の窒素発生装置よりも遥かに小さくなる。動作圧力が小さいため、本実施例の冷蔵庫は、大型の窒素発生装置において緩和作用を果たす空気缶を省略し、冷蔵庫の構造を簡素化する。また、大型の窒素発生装置において空気を浄化する役割を果たす油水分離装置も省略する。また、カーボンモレキュラーシーブの先端に空気乾燥剤が設けられて、油水分離装置に代わって空気に対する浄化の機能を実現する。そして、本実施例の吸着筒20および窒素ガス貯蔵缶50は、大型の窒素発生装置よりも、何れも小型化されており、プラスチックを製造材料として使用することが好ましい。こうして、吸着筒20および窒素ガス貯蔵缶50の体積と重量が効果的に低減されるため、冷蔵庫の内部に適用することが可能となる。
【0027】
本発明の冷蔵庫では、窒素ガス作製システムに対する小型化設計により、窒素ガス作製システムを冷蔵庫内に適用し、少なくとも吸着筒20及び窒素ガス貯蔵缶50を収納コンパートメント内に置くため、収納スペース11への窒素ガスの供給が容易になる。また、窒素ガス貯蔵缶50が吸着筒20に隣接して設けられているため、冷蔵庫の内部構造がコンパクト化され、冷蔵庫の使用空間が節約される。
【0028】
図2は、本発明の1つの実施例に係る冷蔵庫の収納コンパートメント内部の模式図である。空気圧縮機30は、収納コンパートメント内に設けられ、吸着筒20に隣接し、空気圧縮機30は、収納コンパートメント内から空気を吸い込んで圧縮し、吸着筒20へ供給するように構成される。本実施例では、収納スペース11が冷蔵庫の冷蔵室であることが好ましく、収納スペース11が冷蔵室内に設けられ、吸着筒20、空気圧縮機30と窒素ガス貯蔵缶50が何れも冷蔵室に設けられ、収納スペース11の後方に設けられることが好ましく、全体構造がコンパクト化され、冷蔵庫の使用空間が節約され、収納スペース11への窒素ガス輸送が容易になる。空気圧縮機30は収納コンパートメント内から空気を吸い込んで圧縮するため、吸い込まれた空気の温度が低く、生成された窒素ガスの温度が同様に低いため、窒素ガスを収納スペース11内に導入したとき、収納スペース11の内部温度の大幅な変動を引き起こすことはなく、食品の鮮度保持に役立つ。
【0029】
図3は、本発明に係る別の実施例の冷蔵庫の収納コンパートメント内部の模式図である。本実施例では、冷蔵庫は、窒素発生ボックス80(その前部パネルが内部部品を遮蔽するため、図示せず)を更に備える。窒素発生ボックス80は、収納コンパートメント内に設けられて筐体10の内壁に密着し、吸着筒20、空気圧縮機30、窒素ガス貯蔵缶50を収容するように、その内部に収容キャビティが規定されている。本実施例の冷蔵庫は、吸着筒20、空気圧縮機30、窒素ガス貯蔵缶50および関連する配管を窒素発生ボックス80内で統合し、上記複数の装置の全体としての取り付けと取り外しを実現させ、検査と保守を容易にする。
【0030】
図4は、本発明に係る別の実施例の冷蔵庫の模式図である。当該冷蔵庫は、ファン式冷蔵庫であってもよい。空気圧縮機30は、冷蔵庫の圧縮機室90内に設けられ、空気圧縮機30は、圧縮機室90内から空気を吸い込んで圧縮し、吸着筒20へ供給するように構成される。空気吸気管40の少なくとも一部は、冷蔵庫の通風路に沿って延在し、吸着筒20に繋がっている。空気が圧縮機室90を介して空気圧縮機30に進入して圧縮されるため、温度が相対的に高い。高温空気を利用して直接窒素を作製すると、温度の高い窒素ガスが発生するが、高温の窒素ガスを収納スペース11に入力すれば、大きな温度変動を引き起こし、食品の鮮度保持には役立たない。本実施例では、空気吸気管40を冷蔵庫通風路を介して収納コンパートメント内の吸着筒20に接続することが好ましい。冷蔵庫の通風路を通過するとき、高温空気が通風路内の冷気によって冷却されてから吸着筒20に進入する。このように生成された窒素ガスの温度は比較的に低く、収納スペース11に導入されても、大きな温度変動を引き起こすことはなく、食品の鮮度保持に役立つ。
【0031】
本実施例の冷蔵庫は、仕切り板12を更に備える。仕切り板12が筐体10内に設けられて収納コンパートメントを仕切ることで、収納コンパートメントが複数の貯蔵領域として分割される。収納スペース11がそのうちの1つの貯蔵領域内に設けられ、また、吸着筒20と窒素ガス貯蔵缶50とが何れも、収納スペース11を含む同一の貯蔵領域内に設けられている。こうして、収納スペース11への窒素ガス供給が容易になる。本実施例では、収納スペース11、吸着筒20と窒素ガス貯蔵缶50が収納コンパートメントの下方の貯蔵領域内に設けられることが好ましい。吸着筒20は、筐体10の内壁と仕切り板12とで形成された角部に密着して設けられることで収納コンパートメント内の使用空間を節約してもよい。幾つかの代替可能な実施例では、吸着筒20は、筐体10間で形成された角部に密着して設けられてもよい。
【0032】
本実施例の空気圧縮機30は、窒素ガスを作製している過程において、間欠的に起動して吸着筒20へ圧縮空気を供給するように構成され、吸着筒20は、さらに、カーボンモレキュラーシーブで脱着された酸素富化ガスが外部環境へ排出されるように、空気圧縮機30の一時停止期間において吸着筒20の外部環境に連通するように構成される。本実施例の冷蔵庫の窒素発生原理は、具体的には下記のようになる。空気圧縮機30が間欠的に起動して吸着筒20へ圧縮空気を供給し、空気圧縮機30がオンにされたとき、吸着筒20内の気圧が上昇し、カーボンモレキュラーシーブが空気中の酸素ガスを吸着し、残りの窒素ガスを窒素ガス貯蔵缶50に供給してから、窒素ガス貯蔵缶50が窒素ガスを収納スペース11内に注入する。空気圧縮機30の一時停止時、吸着筒20へ圧縮空気を供給しない。同時に、吸着筒20が外部環境に連通し、その内部気圧が降下し、カーボンモレキュラーシーブが脱着を開始し、脱着された酸素富化ガスが外部に連通する開口から排出される。
【0033】
本実施例の冷蔵庫は、三方電磁弁60を更に備える。図5は、本発明に係る別の実施例の冷蔵庫の三方電磁弁60の模式図である。三方電磁弁60は、空気吸気管40に設けられ、3つのガス輸送ポートを有する。そのうち、第1ガス輸送ポート61が空気圧縮機30に連通し、第2ガス輸送ポート62が吸着筒20に連通し、第3ガス輸送ポート63が外部環境に連通する。また、三方電磁弁60は、空気圧縮機30が吸着筒20へ圧縮空気を供給するように、第1ガス輸送ポート61と第2ガス輸送ポート62とを連通させ、且つ、吸着筒20で脱着された酸素富化ガスが第3ガス輸送ポート63を介して外部環境に排出されるように、空気圧縮機30の一時停止期間において、第1ガス輸送ポート61を閉鎖し、第2ガス輸送ポート62と第3ガス輸送ポート63とを連通させるように構成される。上記第3ガス輸送ポート63は、冷蔵庫の外部に連通して酸素富化ガスを冷蔵庫の内部から排出してもよく、冷蔵庫の内部における酸素富化ガスを必要とする他の収納スペース11に連通して排気ガスを利用してもよい。
【0034】
本実施例の冷蔵庫は、二方電磁弁70を更に備える。二方電磁弁70は、吸着筒20と窒素ガス貯蔵缶50とを接続する接続配管に設けられ、窒素ガスの逆流が防止されるように、空気圧縮機30の一時停止期間において吸着筒20と窒素ガス貯蔵缶50とを接続する接続配管を閉鎖する。
【0035】
本実施例の冷蔵庫は、流量調整弁を更に備える。流量調整弁は、窒素ガス貯蔵缶50の収納スペース11へ向かう配管に設けられ、窒素ガス貯蔵缶50の気体出力流量を調整するように構成される。
【0036】
図6は、本発明に係る別の実施例の冷蔵庫の制御方法のフローチャートである。当該制御方法では、以下のステップが順に実行される。
【0037】
ステップS602では、空気圧縮機30をオンにし、空気圧縮機30が吸い込んだ空気を圧縮する。
【0038】
ステップS604では、第1ガス輸送ポート61が第2ガス輸送ポート62に連通し、二方電磁弁70をオンにし、空気圧縮機30が圧縮空気を吸着筒20へ供給し、吸着筒20内の気圧を上昇させる。
【0039】
ステップS606では、吸着筒20が吸着を開始し、吸着筒20内のカーボンモレキュラーシーブが空気における酸素ガスを吸着し、残りの窒素ガスを窒素ガス貯蔵缶50へ輸送する。本実施例では、吸着過程は、30秒から2分持続可能であるが、50秒間であることが好ましい。
【0040】
ステップS608では、空気圧縮機30をオフにする。
【0041】
ステップS610では、第2ガス輸送ポート62が第3ガス輸送ポート63に連通し、二方電磁弁70をオフにし、空気圧縮機30が吸着筒20への圧縮空気の供給を停止し、吸着筒20内の気圧を降下させる。
【0042】
ステップS612では、吸着筒20が脱着を開始し、吸着筒20内のカーボンモレキュラーシーブが吸着された酸素ガスを脱着し、第3ガス輸送ポート63を介して吸着筒20から酸素ガスを排出する。本実施例では、脱着過程は、30秒から2分持続可能であるが、50秒間であることが好ましい。
【0043】
この後の手順が上記サイクルを繰り返し、空気圧縮機30が間欠的に吸着筒20へ圧縮空気を供給し、吸着筒20が吸着と脱着とを交互に行って窒素ガスを間欠的に生成することにより、窒素ガス貯蔵缶50へ供給する。
【0044】
本実施例は、冷蔵庫を提供する。当該冷蔵庫は、吸着筒20、空気圧縮機30および窒素ガス貯蔵缶50を備える。冷蔵庫の収納コンパートメント内には、密閉された収納スペース11が設けられている。吸着筒20は、収納コンパートメント内に設けられ、その内部にカーボンモレキュラーシーブが設けられている。空気圧縮機30は、空気吸気管40を介して直接吸着筒20に接続され、カーボンモレキュラーシーブが圧縮空気を利用して窒素ガスを作製するように、制御可能に吸着筒20へ圧縮空気を供給するように構成される。窒素ガス貯蔵缶50は、吸着筒20に隣接して設けられ、その吸気端が吸着筒20に接続されてカーボンモレキュラーシーブで作製された窒素ガスを受け取り、その排気端が収納スペース11に連通して窒素ガスを供給する。本発明の冷蔵庫では、その収納コンパートメント内に食品の鮮度保持のための収納スペース11が設けられ、吸着筒20が窒素ガスを作製し、窒素ガス貯蔵缶50が作製された窒素ガスを収納スペース11へ供給して収納スペース11内の酸素ガス含有量を低減することにより、冷蔵庫の鮮度保持性能を向上させる。
【0045】
本実施例の冷蔵庫では、窒素ガス作製システムに対する小型化設計により、少なくとも吸着筒20及び窒素ガス貯蔵缶50を収納コンパートメント内に置くため、収納スペース11への窒素ガスの供給が容易になる。また、窒素ガス貯蔵缶50が吸着筒20に隣接して設けられているため、冷蔵庫の内部構造がコンパクト化され、冷蔵庫の使用空間が節約される。
【0046】
さらに、本実施例の冷蔵庫では、空気圧縮機30が収納コンパートメント内に設けられるとともに、吸着筒20に隣接し、空気圧縮機30が収納コンパートメント内から空気を吸い込んで圧縮し、吸着筒20へ供給する。本実施例の冷蔵庫では、空気圧縮機30、吸着筒20が何れも収納コンパートメント内に設けられるため、構造がコンパクト化され、使用空間が節約される。
【0047】
これまでに、当業者であれば分かるように、本発明の複数の例示的な実施例が本文に詳細に示されて記述されてきたが、本発明の要旨及び範囲を逸脱しない限り、本発明に公開された内容から本発明の原理に合致する大量の他の変形や改良を直接特定或いは推論することが可能である。したがって、本発明の範囲がこれらの他の変形や改良を全てカバーするものとして、理解及び認定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6