特許第6641035号(P6641035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6641035
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/00 20060101AFI20200127BHJP
   B66B 27/00 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   B66B31/00 C
   B66B31/00 B
   B66B27/00 C
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-2486(P2019-2486)
(22)【出願日】2019年1月10日
【審査請求日】2019年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】岩井 俊憲
【審査官】 加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−017168(JP,A)
【文献】 特開平09−093570(JP,A)
【文献】 特開2004−206570(JP,A)
【文献】 特開2006−115241(JP,A)
【文献】 特開2007−153502(JP,A)
【文献】 特開2011−241076(JP,A)
【文献】 特開平10−187230(JP,A)
【文献】 特開2018−104160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に移動する複数の踏段と、
前記踏段を移動させる駆動装置と、
前記踏段の左右両側に立設された左右一対の欄干と、
左右一対の前記欄干の上部を、前記踏段と同期して走行する手摺りベルトと前記駆動装置を制御する制御手段と、
乗客コンベアの上方に配され、前記乗客コンベアを上から撮影する一台の移動カメラと、
前記移動カメラを前記乗客コンベアの一方の乗降口から他方の乗降口まで移動させる移動手段と、
前記移動カメラが撮影した画像を解析して、乗客が正常であるか異常であるかを監視するか、又は前記乗客コンベアを点検する監視制御手段と、
を有し、
前記移動カメラに移動スピーカが一体に設けられている、
乗客コンベア。
【請求項2】
前記移動手段は、前記移動カメラを、一方の前記乗降口から他方の前記乗降口まで直線状に移動させる、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記移動手段は、前記移動カメラを、一方の前記乗降口から他方の前記乗降口まで二次元的に移動させる、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記監視制御手段が、前記画像を解析して前記乗客が異常であると判断した場合には、前記乗客に沿って前記移動カメラを移動させながら前記移動スピーカから前記乗客に注意放送を行う、
請求項に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記監視制御手段が、前記注意放送を行った後でも、前記乗客の状態が異常であると判断した異常信号を送信し、
前記制御手段は、前記異常信号を受信すると前記乗客コンベアを減速、又は停止させる、
請求項に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記監視制御手段は、前記画像を解析して、前記乗客が揺れているとき、又は前記乗客の移動速度が一定でないときに異常であると判断する、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
前後方向に移動する複数の踏段と、
前記踏段を移動させる駆動装置と、
前記踏段の左右両側に立設された左右一対の欄干と、
左右一対の前記欄干の上部を、前記踏段と同期して走行する手摺りベルトと前記駆動装置を制御する制御手段と、
乗客コンベアの上方に配され、前記乗客コンベアを上から撮影する一台の移動カメラと、
前記移動カメラを前記乗客コンベアの一方の乗降口から他方の乗降口まで移動させる移動手段と、
前記移動カメラが撮影した画像を解析して、乗客が正常であるか異常であるかを監視するか、又は前記乗客コンベアを点検する監視制御手段と、
を有し、
前記監視制御手段は、前記画像を解析して、前記乗客が前記踏段の速度より早く移動しているときに異常であると判断する、
乗客コンベア。
【請求項8】
前後方向に移動する複数の踏段と、
前記踏段を移動させる駆動装置と、
前記踏段の左右両側に立設された左右一対の欄干と、
左右一対の前記欄干の上部を、前記踏段と同期して走行する手摺りベルトと前記駆動装置を制御する制御手段と、
乗客コンベアの上方に配され、前記乗客コンベアを上から撮影する一台の移動カメラと、
前記移動カメラを前記乗客コンベアの一方の乗降口から他方の乗降口まで移動させる移動手段と、
前記移動カメラが撮影した画像を解析して、乗客が正常であるか異常であるかを監視するか、又は前記乗客コンベアを点検する監視制御手段と、
を有し、
前記監視制御手段は、前記画像を解析して、前記乗客が前記欄干から外側に乗り出しているときに異常であると判断する、
乗客コンベア。
【請求項9】
前後方向に移動する複数の踏段と、
前記踏段を移動させる駆動装置と、
前記踏段の左右両側に立設された左右一対の欄干と、
左右一対の前記欄干の上部を、前記踏段と同期して走行する手摺りベルトと前記駆動装置を制御する制御手段と、
乗客コンベアの上方に配され、前記乗客コンベアを上から撮影する一台の移動カメラと、
前記移動カメラを前記乗客コンベアの一方の乗降口から他方の乗降口まで移動させる移動手段と、
前記移動カメラが撮影した画像を解析して、乗客が正常であるか異常であるかを監視するか、又は前記乗客コンベアを点検する監視制御手段と、
を有し、
前記監視制御手段は、前記画像を解析して、前記乗客コンベアの破損箇所を点検する、
乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアにおいて、乗客の監視や乗客コンベアの点検のためにカメラが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−107761号公報
【特許文献2】特開2017−171467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなカメラを設けて監視する場合に、乗客コンベア全体の監視をするためには複数のカメラが必要であるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明の実施形態は上記問題点に鑑み、一台のカメラで乗客の監視や乗客コンベアを点検できる乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態1は、前後方向に移動する複数の踏段と、前記踏段を移動させる駆動装置と、前記踏段の左右両側に立設された左右一対の欄干と、左右一対の前記欄干の上部を、前記踏段と同期して走行する手摺りベルトと前記駆動装置を制御する制御手段と、乗客コンベアの上方に配され、前記乗客コンベアを上から撮影する一台の移動カメラと、前記移動カメラを前記乗客コンベアの一方の乗降口から他方の乗降口まで移動させる移動手段と、前記移動カメラが撮影した画像を解析して、乗客が正常であるか異常であるかを監視するか、又は前記乗客コンベアを点検する監視制御手段と、を有し、前記移動カメラに移動スピーカが一体に設けられている、乗客コンベアである。本発明の実施形態2は、前後方向に移動する複数の踏段と、前記踏段を移動させる駆動装置と、前記踏段の左右両側に立設された左右一対の欄干と、左右一対の前記欄干の上部を、前記踏段と同期して走行する手摺りベルトと前記駆動装置を制御する制御手段と、乗客コンベアの上方に配され、前記乗客コンベアを上から撮影する一台の移動カメラと、前記移動カメラを前記乗客コンベアの一方の乗降口から他方の乗降口まで移動させる移動手段と、前記移動カメラが撮影した画像を解析して、乗客が正常であるか異常であるかを監視するか、又は前記乗客コンベアを点検する監視制御手段と、を有し、前記監視制御手段は、前記画像を解析して、前記乗客が前記踏段の速度より早く移動しているときに異常であると判断する、乗客コンベアである。本発明の実施形態3は、前後方向に移動する複数の踏段と、前記踏段を移動させる駆動装置と、前記踏段の左右両側に立設された左右一対の欄干と、左右一対の前記欄干の上部を、前記踏段と同期して走行する手摺りベルトと前記駆動装置を制御する制御手段と、乗客コンベアの上方に配され、前記乗客コンベアを上から撮影する一台の移動カメラと、前記移動カメラを前記乗客コンベアの一方の乗降口から他方の乗降口まで移動させる移動手段と、前記移動カメラが撮影した画像を解析して、乗客が正常であるか異常であるかを監視するか、又は前記乗客コンベアを点検する監視制御手段と、を有し、前記監視制御手段は、前記画像を解析して、前記乗客が前記欄干から外側に乗り出しているときに異常であると判断する、乗客コンベアである。本発明の実施形態4は、前後方向に移動する複数の踏段と、前記踏段を移動させる駆動装置と、前記踏段の左右両側に立設された左右一対の欄干と、左右一対の前記欄干の上部を、前記踏段と同期して走行する手摺りベルトと前記駆動装置を制御する制御手段と、乗客コンベアの上方に配され、前記乗客コンベアを上から撮影する一台の移動カメラと、前記移動カメラを前記乗客コンベアの一方の乗降口から他方の乗降口まで移動させる移動手段と、前記移動カメラが撮影した画像を解析して、乗客が正常であるか異常であるかを監視するか、又は前記乗客コンベアを点検する監視制御手段と、を有し、前記監視制御手段は、前記画像を解析して、前記乗客コンベアの破損箇所を点検する、乗客コンベアである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態1のエスカレータの側面説明図。
図2】エスカレータの平面図。
図3】エスカレータのブロック図。
図4】実施形態3のエスカレータの平面図。
図5】実施形態4のエスカレータの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態のエスカレータ10を図面を参照して説明する。
【実施形態1】
【0009】
実施形態1のエスカレータ10を図1図3を参照して説明する。
【0010】
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の構造について、図1を参照して説明する。図1に示すように、エスカレータ10の枠組みであるトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって支持アングル2,3を用いて支持されている。
【0011】
図1に示すように、トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、踏段30を走行させる駆動装置18、左右一対の駆動スプロケット24,24、左右一対のベルトスプロケット27,27が設けられている。駆動装置18は、モータ20と、減速機と、この減速機の出力軸に取り付けられた出力スプロケットと、この出力スプロケットにより駆動する駆動チェーン22と、モータ20の回転を停止させ、かつ、停止状態を保持するディスクブレーキとを有している。この駆動チェーン22により駆動スプロケット24が回転する。左右一対の駆動スプロケット24,24と左右一対のベルトスプロケット27,27とは、不図示の連結ベルトにより連結されて同期して回転する。また、上階側の機械室14内部には、モータ20やディスクブレーキなどを制御する制御装置50が設けられている。
【0012】
図1に示すように、トラス12の下端部にある下階側の機械室16内部には、従動スプロケット26が設けられている。上階側の駆動スプロケット24と下階側の従動スプロケット26との間には、左右一対の無端の踏段チェーン28,28が掛け渡されている。左右一対の踏段チェーン28,28には、図1に示すように、複数の踏段30の前輪301が等間隔で取り付けられている。踏段30の前輪301は、トラス12に固定された不図示の前案内レールに沿って走行すると共に、駆動スプロケット24の外周部にある凹部と従動スプロケット26の外周部にある凹部に係合して上下に反転する。後輪302は、図1に示すようにトラス12に固定された後案内レール25を走行する。
【0013】
図1に示すように、トラス12の左右両側には、左右一対のスカートガード44,44と左右一対の欄干36,36が立設されている。欄干36の上部に手摺りレール39が設けられ、この手摺りレール39に沿って手摺りベルト38が移動する。欄干36の上階側の正面下部には上階側の正面スカートガード40が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカートガード42が設けられ、正面スカートガード40,42から手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48がそれぞれ突出している。スカートガード44は、欄干36の側面下部に設けられ、左右一対のスカートガード44,44の間を踏段30が走行する。上下階のスカートガード44の内側面には、操作盤52、操作盤56、スピーカ54、スピーカ58がそれぞれ設けられている。
【0014】
図1に示すように、手摺りベルト38は、上階側のインレット部46から正面スカートガード40内に進入し、案内ローラ群64を介してベルトスプロケット27に掛け渡され、その後、案内ローラ群66を介してスカートガード44内を移動し、下階側のインレット部48から正面スカートガード42外に進出する。そして、手摺りベルト38は、ベルトスプロケット27が駆動スプロケット24と共に回転することにより踏段30と同期して移動する。また、回転するベルトスプロケット27に走行する手摺りベルト38を押圧するための押圧部材68が設けられている。
【0015】
図1に示すように、上階側の機械室14の天井面にある乗降口には、上階側の乗降板32が水平に設けられ、下階側の機械室16の天井面にある乗降口には、下階側の乗降板34が水平に設けられている。乗降板32の先端には櫛歯状のコム60が設けられ、このコム60から踏段30が進出、又は、進入する。また、乗降板34にも櫛歯状のコム62が設けられている。
【0016】
(2)監視装置70
次に、エスカレータ10の監視装置70について図1図3を参照して説明する。
【0017】
図1図2に示すように、エスカレータ10の上方にある天井面4には、エスカレータ10に沿って延びる直線状のレール72が設けられている。このレール72は、図3に示すように、移動する踏段30の中央部の上方に設けられている。
【0018】
図1図2に示すように、レール72には、移動装置82が移動自在に設けられている。レール72を移動する移動装置82は、モータを有し、レール72に沿って移動する。この移動装置82の電力源は、例えばバッテリー、又はレール72を介して供給される電力である。
【0019】
図1図2に示すように、移動装置82には、移動カメラ74と移動スピーカ76が設けられている。移動カメラ74の撮影方向は下向きであり、エスカレータ10の一対の欄干36,36及び踏段30を上方から撮影する。
【0020】
図1図2に示すように、レール72の上階側の端部、すなわち乗降板32の上方に対応した位置には、上検出スイッチ78が設けられている。レール72の下階側の端部、すなわち乗降板34の上方の位置には、下検出スイッチ80が設けられている。この上検出スイッチ78と下検出スイッチ80は、移動カメラ74がその位置まで移動すると、ON状態となる。そして、移動装置82は、上検出スイッチ78の位置から移動を開始し、下検出スイッチ80がON状態になると移動方向を下階から上階に方向転換する。そして、移動装置82が、上階に到達すると上検出スイッチ78がON状態となり移動を停止する。
【0021】
図3に示すように、監視装置70を制御する監視制御装置84には、移動装置82、移動カメラ74、移動スピーカ76、上検出スイッチ78、下検出スイッチ80が接続されている。また、監視制御装置84は、制御装置50に接続されている。また、制御装置50には、監視制御装置84以外に、操作盤52,56とスピーカ54,58が接続されている。そして、制御装置50は、監視制御装置84から異常信号が入力すると、エスカレータ10を停止させたり、又は停止中においては再起動を行わなかったりする。
【0022】
(3)監視装置70の動作状態
監視装置70の監視方法、点検方法について図1図3を参照して説明する。なお、以下の説明では、踏段30は上階から下階に下降しているとする。
【0023】
(3−1)乗客の第1の監視方法
監視装置70が行う、乗客の第1の監視方法について図1図3を参照して説明する。
【0024】
移動装置82は、レール72の上階側の上検出スイッチ78の位置に停止している。この状態で移動カメラ74が、乗客を撮影し動画像を監視制御装置84に送信する。
【0025】
監視制御装置84は、乗客が撮影された動画像を解析して、乗客が一定の移動速度で、かつ、姿勢に揺れがない状態で移動している場合には、正常な乗客と判断する。
【0026】
一方、監視制御装置84は、乗客が撮影された動画像を解析して、乗客の移動速度が遅くなったり速くなったり、又は姿勢が揺れている場合には、酩酊している状態、又は身体に異常があるとして、異常な乗客と判断する。
【0027】
監視制御装置84は、異常な乗客と判断した場合には、その異常な乗客の移動と共に移動装置82をレール72に沿って下階に移動させ、移動スピーカ76から、その乗客に向かって「手摺りベルトをお持ち下さい」などの注意放送を行う。
【0028】
そしてこの注意放送があっても乗客が手摺りベルト38を持たない場合には、監視制御装置84は異常信号を出力して、エスカレータ10を減速、又は停止させる。
【0029】
(3−2)乗客の第2の監視方法
監視装置70が行う、乗客の第2の監視方法について図1図3を参照して説明する。
【0030】
監視制御装置84が乗客の動画像を解析し、乗客が踏段30の通常速度よりも速く移動しているとき、すなわち、歩いたり降りたりしている場合には、その乗客の移動速度に合わせて移動装置82を移動させ、移動スピーカ76から「歩いたり走ったりしないで下さい」などの注意放送を行う。
【0031】
そしてこの注意放送があっても乗客が移動を続ける場合には、監視制御装置84は異常信号を出力して、エスカレータ10を減速、又は停止させる。
【0032】
(3−3)乗客の第3の監視方法
監視装置70が行う、乗客の第3の監視方法について図1図3を参照して説明する。
【0033】
監視制御装置84は、移動装置82を上階から下階に周期的に移動させる。
【0034】
監視制御装置84は、移動カメラ74が撮影した動画像を解析し、乗客が欄干36から乗り出していると判断した場合には、その乗客の位置で移動スピーカ76から「欄干から乗り出さないで下さい」と注意放送を行う。
【0035】
そしてこの注意放送があっても乗客が欄干36から乗り出したままの場合には、監視制御装置84は異常信号を出力して、エスカレータ10を減速、又は停止させる。
【0036】
(3−4)エスカレータ10の点検方法
監視装置70が、エスカレータ10を点検する方法について図1図3を参照して説明する。
【0037】
監視制御装置84は、朝のエスカレータ10の運転前や夜のエスカレータ10の運転終了後のエスカレータ10に乗客がいない時刻において、移動装置82を用いて上階から下階に移動カメラ74を移動させ、停止しているエスカレータ10を上方から撮影する。
【0038】
監視制御装置84は、撮影した動画像と、予め撮影した正常な状態のエスカレータ10の動画像を比較し、両者が一致した場合にはエスカレータ10が正常であるとし、一致しない箇所がある場合にはその箇所が破損していると判断して、制御装置50に異常信号を送信する。
【0039】
制御装置50は、監視制御装置84から異常信号が入力すると、エスカレータ10の再起動を行わない。
【0040】
(4)効果
本実施形態によれば、一台の移動カメラ74で乗客の監視、エスカレータ10全体の点検が行える。
【0041】
移動カメラ74で撮影した乗客が異常な場合には、移動スピーカ76で注意を喚起できる。
【0042】
乗客と共に移動カメラ74が移動するため、より確実に解析でき、また、移動スピーカ76も乗客の頭の上から注意放送を喚起するため、より効果がある。
【0043】
監視装置70は、移動装置82を移動させることにより、エスカレータ10の全体を上方から点検できる。
【実施形態2】
【0044】
次に、実施形態2の監視装置70について説明する。
【0045】
上記実施形態では、移動装置82はレール72に沿って移動したが、レール72に代えて、移動装置82が直線状に延びたワイヤーに吊り下げられて移動するようにしてもよい。
【実施形態3】
【0046】
次に、実施形態3の監視装置70について図4を参照して説明する。
【0047】
上記実施形態1では、レール72は直線状であったが、本実施形態ではループ状に形成する。このループ状のレール72に沿って移動カメラ74と移動スピーカ76を有する移動装置82を周回させる。また、ループ状のレール72の上階と下階にそれぞれ実施形態1と同様に上検出スイッチ78と下検出スイッチ80が設けられている。
【0048】
本実施形態であれば、移動装置82が実施形態1のように一直線状に移動するのでなく2次元的に移動するため、エスカレータ10の撮影をより幅広く行うことができる。特に、欄干36の外側の位置においても死角を少なくできる。
【実施形態4】
【0049】
次に、実施形態4の監視装置70について図5を参照して説明する。
【0050】
本実施形態では、レール72に代えて、複数のワイヤー86を、エスカレータ10の上方に二次元的に張る。そしてこの二次元的に張られたワイヤー86を移動装置82が二次元的に移動する。この移動方法は、例えば従来からあるスパイダーカム(商標)、スカイカム(登録商標)の構造を用いて行う。
【0051】
本実施形態によれば、移動装置82が二次元的に移動できるため、エスカレータ10をより広い範囲で監視、点検できる。
【変更例】
【0052】
上記実施形態では、エスカレータ10で説明したが、これに代えて動く歩道に適用してもよい。
【0053】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
4・・・天井面、10・・・エスカレータ、30・・・踏段、36・・・欄干、70・・・監視装置、72・・・レール、74・・・移動カメラ、76・・・移動スピーカ、78・・・上検出スイッチ、80・・・下検出スイッチ、82・・・移動装置、84・・・監視制御装置
【要約】
【課題】一台のカメラで乗客の監視や乗客コンベアを点検できる乗客コンベアを提供する。
【解決手段】エスカレータ10の上方に配され、エスカレータ10を上から撮影する一台の移動カメラ74と、移動カメラ74をエスカレータ10の一方の乗降口から他方の乗降口まで移動させる移動装置82と、移動カメラ74が撮影した画像を解析して、乗客が正常であるか異常であるかを監視する監視制御装置84とを有する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5