(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記代表点位置情報は、前記仮想管理領域の原点に相当する位置である前記二次元空間の原点を基準として前記代表点の位置を表す前記x軸方向のx軸方向代表点距離情報と前記y軸方向のy軸方向代表点距離情報と、を含むものであり、
前記特定領域形態情報は、前記特定領域の前記x軸方向の長さを表すx軸方向距離情報と、前記特定領域の前記y軸方向の長さを表すy軸方向距離情報と、を含むものであり、
前記処理部は、前記x軸方向距離情報と前記変換係数との乗算結果と、前記y軸方向距離情報と前記変換係数との乗算結果と、を取得し、前記第1の座標軸上の値と、前記第2の座標軸上の値とによって、前記代表点に対応する仮想代表点の仮想代表点位置情報と、前記仮想特定領域を特定する仮想平面情報を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
前記代表点位置情報は、前記二次元空間の原点を基準として前記代表点の位置を表す前記x軸方向のx軸方向代表点距離情報と前記y軸方向のy軸方向代表点距離情報と、を含むものであり、
前記特定領域形態情報は、前記原点を基準として、前記特定領域の複数の頂点の位置を表す前記x軸方向の距離情報である複数のx軸方向頂点距離情報と、前記y軸方向の距離情報である複数のy軸方向頂点距離情報と、を含むものであり、
前記処理部は、複数の前記x軸方向頂点距離情報と、複数の前記y軸方向頂点距離情報と、の各々に対して前記変換係数を乗算し、その結果に基づいて前記仮想空間において複数の前記頂点に対応する仮想頂点の位置と、前記仮想特定領域を特定する仮想平面情報と、を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
前記処理部は、前記仮想管理領域が、前記第1の座標軸の方向の長さが前記第1の最大値であり前記第2の座標軸の方向の長さが前記第2の最大値である矩形領域を超える部分を有する場合に、前記仮想管理領域の全ての領域が前記矩形領域に収まるように前記変換係数を変更し、変更した前記変換係数に基づいて前記仮想管理領域を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈実施形態の構成〉
図1は、本発明の一実施形態による管理装置20のブロック図である。
管理装置20は、入力部22と、処理部24と、記憶部25と、出力部26と、表示部28と、を備えている。処理部24は、後述する入力データ処理ルーチン(
図2)、その他プログラム等によって各種処理を実行する。記憶部25は、処理部24の制御に基づいて、各種データを記憶する。表示部28は、フラットパネルディスプレイ等を備えている。出力部26は、処理部24からの指令に基づいて、表示部28に各種画像を表示させる。入力部22は、ユーザによる操作またはネットワーク等を介して、処理部24に各種データを入力する。
【0009】
入力部22に入力されるデータには、「管理データ」、「作業情報テーブル」、および「条件指定データ」が含まれる。ここで、「管理データ」とは、本実施形態において管理すべき領域である「管理領域」を特定するデータである。管理領域は、例えば、工場内で作業のために、割り当てることが可能な領域である。管理領域の一例として、直角三角形の管理領域110を
図4に示す。なお、
図4の詳細については後述する。
【0010】
また、「作業情報テーブル」とは、管理領域において実行される各種作業内容を特定するテーブル形式の情報である。
図3に示す作業情報テーブル300はその一例である。
図3の詳細については後述するが、図中の作業領域代表点情報316(代表点位置情報)および作業領域形態情報318は、「作業領域」の位置、形状、寸法等を特定する情報である。ここで、「作業領域」とは、管理領域の一部であって、個別の作業に応じて割り当てられる領域である。
図4に示す例においては、作業領域120(特定領域)は矩形形状を有している。
また、「条件指定データ」とは、表示部28に一部の作業領域を選択して表示する際に、選択する作業領域の条件を指定するデータである。
【0011】
〈実施形態の動作の概要〉
次に、本実施形態の動作を説明する。
図2は、管理装置20で実行される入力データ処理ルーチンのフローチャートである。なお、本フローチャートは、入力部22(
図1参照)を介して処理部24に何らかのデータが入力される毎に起動される。
図2において処理がステップS2に進むと、入力されたデータの種別(管理データ、作業情報テーブルまたは条件指定データ)が判定される。ここで、「管理データ」であると判定されると、処理はステップS4に進み、処理部24によって仮想管理データが生成される。「仮想管理データ」とは、管理データの座標変換を行った結果であり、その詳細については後述する。さらに、ステップS4においては、生成された仮想管理データが記憶部25に記憶され、本ルーチンの処理が終了する。
【0012】
また、入力されたデータの種別が「作業情報テーブル」であった場合には、処理はステップS2からステップS6に進む。ここでは、作業情報テーブルに含まれている作業毎に、作業領域表示データが作成される。なお、作業領域表示データは、表示部28(
図1参照)に表示する「作業領域対応図形」を特定するデータである。
図10における符号520,530,540は、作業領域対応図形の例である。なお、
図10についての詳細は後述する。
【0013】
また、
図2において、入力されたデータの種別が「条件指定データ」であった場合には、処理はステップS2からステップS8に進む。ここでは、先にステップS6において作成された作業領域表示データのうち、条件指定データに対応するものが選択される。そして、選択された作業領域表示データ等、条件に応じた画像が、出力部26を介して表示部28に表示される。上述した
図10は、その表示例である。以上により、本ルーチンの処理が終了する。
【0014】
〈作業情報テーブルの詳細〉
図3は、作業情報テーブル300の一例を示す図である。
作業情報テーブル300は、作業内容毎に、複数のレコード320を有している。そして、各レコード320は、作業対象物特定情報311と、作業識別情報312と、時間情報314と、作業領域代表点情報316と、作業領域形態情報318と、を有している。
【0015】
ここで、作業対象物特定情報311は、作業対象物を特定する情報である。例えば、変圧器の製造や修理を行う工場において、作業対象物とは、製造または修理の対象となる変圧器であり、作業対象物特定情報311は、変圧器を特定する情報になる。また、作業識別情報312は、作業対象物に対して実行される作業を特定する情報である。例えば、変圧器の製造において、作業識別情報312は、鉄心組立、コイル巻回、シャーシ組立、配管、オイル封入、特性検査等、各種作業を特定する情報になる。
【0016】
また、時間情報314は、各レコード320に係る作業について、時間範囲、すなわち開始予定時刻および終了予定時刻を特定する情報である。また、作業領域代表点情報316は、作業領域の中の1点である代表点の位置を特定する情報である。また、作業領域形態情報318は、作業領域の形態すなわち形状、寸法等を特定する情報である。本実施形態において、作業領域の形状は、「矩形」、「多角形」、「円」のうち何れかを想定している。
【0017】
〈実施形態の動作の詳細〉
(矩形の作業領域に対する動作例)
上述した本実施形態の動作について、種々の具体例とともに、さらに詳細を説明する。
図4は、管理領域110および作業領域120の一例を示す模式図である。
図4に示す例において、管理領域110は、二次元空間100の中に確保された領域である。
【0018】
また、管理領域110は、その周縁に位置する点である周縁点Dr1,Dr2,Dr3を結んだ直角三角形の形状を有している。なお、図示の例において、周縁点Dr1,Dr2,Dr3は、直角三角形の頂点に等しい。そして、周縁点Dr1は、仮想空間200の原点に相当する位置である二次元空間100の原点Oに一致している。周縁点Dr1,Dr2,Dr3の相互間の距離を、図示のように、距離Lr12,Lr23,Lr31と呼ぶ。
【0019】
二次元空間100の、仮想空間のp軸に相当する第1軸をx軸および仮想空間のq軸に相当する第2軸をy軸とし、二次元空間100内の座標を(x,y)の形式で表現すると、二次元空間100の原点Oの座標は(0,0)である。また、以下の説明において、「点」の符号の先頭に「x」または「y」を付した文字列は、その点のx座標またはy座標であることとする。例えば、周縁点Dr1の座標は、「(xDr1,yDr1)」のように表記する。
【0020】
また、管理領域110における座標のx軸方向の最大値をx軸方向最大値xmaxと呼び、y軸方向の最大値をy軸方向最大値ymaxと呼ぶ。図示の例において、x軸方向最大値xmaxは距離Lr12に等しく、y軸方向最大値ymaxは周縁点Dr3のy座標に等しい。
【0021】
また、作業領域120は、管理領域110の一部を占める領域である。
図4に示す例において、作業領域120は、頂点ar1(代表点),ar2,ar3,ar4を結んだ矩形形状を有している。以下の説明において、各点を結ぶ線分を「(始点)→(終点)」の形式で表現することがある。例えば、「ar1→ar4」は、頂点ar1,ar4を結ぶ線分である。線分ar1→ar4は、x軸に平行であり、線分ar1→ar2は、y軸に平行になっている。
【0022】
管理領域110内の各部の距離を特定する情報を、「距離情報」と呼ぶ。管理領域110内の距離情報は、物理的な長さ(例えばメートル)を単位とするものである。
図4の例において、距離Lr12,Lr23,Lr31を表す情報は、そのまま距離を表す情報であるから「距離情報」である。さらに、管理領域110における点の座標(例えば、周縁点Dr1,Dr2,Dr3の座標)も、これら点の原点Oからの距離を特定でき、かつ、これら点同士の距離を特定できる情報であるから、「距離情報」である。
【0023】
同様に、作業領域120の線分ar1→ar4,ar1→ar2の長さは、そのまま距離を表す情報であるから「距離情報」であり、頂点ar1〜ar4の座標も「距離情報」である。従って、処理部24(
図1参照)は、管理領域110の内部における距離情報に基づいて、作業領域120の位置、形状等を取得することができる。
【0024】
より詳細には、処理部24は、入力部22から管理データが入力された際に、ステップS4(
図2参照)で管理領域110を特定する距離情報を取得することができる。また、処理部24は、入力部22から作業情報テーブル300(
図3参照)が入力されると、作業領域代表点情報316および作業領域形態情報318に基づいて、作業領域120を特定する距離情報を取得することができる。
【0025】
図5は、仮想管理領域210および仮想作業領域220(仮想特定領域)の一例を示す模式図である。仮想作業領域220は、上述したように、ステップS4(
図2参照)において生成される仮想管理データによって特定される領域である。
図5に示す例において、仮想管理領域210は、仮想空間200の中に確保された領域である。上述した二次元空間100のx軸およびy軸に対応する仮想空間200の座標軸をp軸(第1の座標軸)およびq軸(第2の座標軸)とする。また、仮想空間200内の座標を(p,q)の形式で表現すると、仮想空間200の原点である仮想空間原点Oiの座標は(0,0)である。
【0026】
仮想管理領域210は、その周縁に位置する点である周縁点Di1,Di2,Di3を結んだ、直角三角形の形状を有している。仮想管理領域210の形状は、管理領域110の相似形である。そして、仮想空間200においては、周縁点Di1が仮想空間原点Oiに一致し、線分Di1→Di2がp軸に平行になるように配置されている。周縁点Di1,Di2,Di3の相互間の距離を、図示のように、距離Li12,Li23,Li31と呼ぶ。上述した二次元空間100内の距離情報と同様に、仮想空間200内における距離を表す情報(例えば、Li12,Li23,Li31,Di1,Di2,Di3)を「仮想距離情報」と呼ぶ。また、p軸方向の仮想距離情報と、q軸方向の仮想距離情報とで仮想空間200内の平面領域を定義することができる。このようにして、仮想空間200内の平面領域を定義する情報を「仮想平面情報」と呼ぶ。
【0027】
また、仮想管理領域210における座標のp軸方向の最大値をp軸方向最大値pmax(第1の最大値)と呼び、q軸方向の最大値をq軸方向最大値qmax(第2の最大値)と呼ぶ。このうち、p軸方向最大値pmaxは、出力部26(
図1参照)の処理能力や、表示部28の表示能力に応じた所定値であり、予め記憶部25(
図1参照)に記憶されている。図示の例において、p軸方向最大値pmaxは、距離Li12に等しい。
図4、
図5に示した例において、仮想管理領域210は管理領域110に対して特に回転していないが、必要に応じて、仮想管理領域210を、管理領域110に対して回転させてもよい。
【0028】
これは、上述したステップS4(
図2参照)において、処理部24が必要に応じて回転処理を行うためである。すなわち、処理部24は、管理領域110内の距離情報のうち最大のもの(最大距離情報)を特定する。次に、処理部24は、仮想空間200に配置する線分のうち、最大距離情報に対応する線分の一端を仮想空間原点Oiに配置し、当該線分の他端を、点(pmax,0)に配置する。
【0029】
図4の例においては、最大距離情報は、線分Dr1→Dr2の距離Lr12である。そして、仮想空間200内において、最大距離情報に対応する線分は、
図5に示す線分Di1→Di2である。そこで、処理部24は、線分Di1→Di2の一端である周縁点Di1を仮想空間原点Oiに配置し、線分Di1→Di2の他端である周縁点Di2を点(pmax,0)に配置している。
【0030】
このように、二次元空間100における最大距離情報をp軸方向最大値pmaxに対応付けると、変換係数Kは、「K=pmax/最大距離情報」になる。処理部24は、管理領域110内における各距離情報に対して、この変換係数Kを乗算することにより、仮想管理領域210内の対応する仮想距離情報を求める。そして、処理部24は、仮想管理領域210の周縁に対応する線分Di1→Di2,Di2→Di3,Di3→Di1同士を接続することにより、仮想空間200の内部に、管理領域110に対応する、一つの二次元閉領域である仮想管理領域210を形成する。
【0031】
以上のような処理によって、仮想管理領域210の全域のp軸座標が「0≦p≦pmax」の範囲に収まれば、仮想管理領域210が特定され、変換係数Kおよびq軸方向最大値qmaxも特定する。特定した変換係数Kおよびq軸方向最大値qmaxは、記憶部25に記憶される。但し、仮想管理領域210の一部においてp軸座標がp軸方向最大値pmaxを超える場合には、仮想管理領域210に対して、さらなる縮小処理が行われる。その縮小処理の詳細については後述する。
【0032】
上述したように、
図4に示す作業領域120は、長辺および短辺がx軸およびy軸に平行な矩形である。かかる場合、各頂点のうち原点Oに最も近い頂点(
図4の例では頂点ar1)が「代表点」にされる。そして、作業情報テーブル300(
図3参照)の作業領域代表点情報316には、その代表点の座標(仮想管理領域の原点に相当する位置からx軸方向、y軸方向の座標(xar1,yar1))が記録されている。
【0033】
そして、作業情報テーブル300の作業領域形態情報318においては、作業領域の形状(矩形)と、その寸法が記録されている。「寸法」とは、代表点からのx軸方向の長さ(例えば、xar4−xar1)およびy軸方向の長さ(例えば、yar2−yar1)である。そして、処理部24は、上述したステップS6(
図2参照)において、作業領域代表点情報316(例えば(xar1,yar1))と、変換係数Kと、に基づいて、作業領域代表点情報316に対応する仮想代表点(例えばai1)の仮想代表点位置情報(xai1,yai1)を算出する。
【0034】
さらに、処理部24は、他の頂点ar2〜ar4についても同様に、仮想管理領域210内の対応する頂点ai2〜ai4(仮想頂点)の座標を算出する。そして、処理部24は、作業領域形態情報318と、変換係数Kと、に基づいて、仮想作業領域220の仮想平面情報を算出する。
【0035】
(多角形である作業領域に対する動作例)
作業領域の形状は矩形には限られず、三角形、五角形等、任意の「多角形」であってもよい。また、作業領域の形状が複雑な曲線で形成されている場合であっても、多角形近似して作業領域を定義することができる。上述したように、
図4に示す作業領域120の形状は矩形であるが、矩形は多角形の一種であるため、作業領域120の形状を「多角形」として取り扱うことも可能である。作業領域が多角形である場合には、その多角形の頂点のうち原点Oに最も近いもの(
図4の例では頂点ar1)が代表点として定められる。そして、作業情報テーブル300(
図3参照)の作業領域代表点情報316には、当該代表点の座標が記録される。
【0036】
また、作業情報テーブル300の作業領域形態情報318には、作業領域の形状(多角形)と、代表点以外の頂点の座標が記録される。
図4の例においては、作業領域120を多角形として取り扱う場合は、頂点ar2,ar3,ar4の座標が作業領域形態情報318に記録される。この場合、処理部24は、上述したステップS6(
図2参照)において、各頂点のx座標(xar1,xar2,xar3,xar4)およびy座標(yar1,yar2,yar3,yar4)の各々に対して変換係数Kを乗算する。
【0037】
次に、処理部24は、これら乗算結果に基づいて、上述した各頂点ar1〜ar4に対応する仮想作業領域220の頂点ai1〜ai4を求める。そして、処理部24は、各頂点ar1〜ar4の位置と、変換係数Kとに基づいて、任意の多角形である仮想作業領域220を特定する仮想平面情報を算出する。
【0038】
(円形である作業領域に対する動作例)
また、作業領域の形状は円形であってもよい。
図6は、管理領域110および円形である作業領域130(特定領域)の一例を示す模式図である。
図6において、管理領域110の形態は、
図4に示したものと同様である。また、作業領域130の形状は、中心点をbr1、半径をbRrとする円形である。
【0039】
この場合においては、中心点br1が作業領域130の代表点になり、作業情報テーブル300(
図3参照)の作業領域代表点情報316には、中心点br1の座標が記録される。また、作業領域形態情報318には、作業領域の形状(円)と、半径bRrが記録される。この場合、処理部24は、上述したステップS6(
図2参照)において、代表点である中心点br1のx座標(xbr1)およびy座標(ybr1)の各々に対して変換係数Kを乗算する。
【0040】
処理部24は、これら乗算結果に基づいて、中心点br1に対応する仮想作業領域の中心点を求める。そして、処理部24は、半径bRrと変換係数Kとに基づいて、仮想作業領域の仮想平面情報を算出する。
【0041】
図7は、仮想管理領域210および円形である仮想作業領域230の例を示す模式図である。
仮想管理領域210の形態は、
図5に示したものと同様である。また、仮想作業領域230は、中心点bi1を中心とし、半径bRiを有する円形になっている。
【0042】
(仮想管理領域の縮小処理)
上述したように、
図2のステップS4において、処理部24は、仮想管理領域の一部においてp軸座標がp軸方向最大値pmaxを超える場合には、仮想管理領域に対して、さらなる縮小処理を行う。その縮小処理の例を以下説明する。
図8は、平行四辺形である管理領域150を示す模式図である。
図8において、平行四辺形の長辺の長さはxpであり、平行四辺形の高さはyqである。この場合、管理領域150における最大距離情報は、長辺の長さxpになる。
【0043】
図9は、平行四辺形である仮想管理領域250,252の模式図である。
二点鎖線で示す仮想管理領域250は、管理領域150(
図8参照)における最大距離情報すなわち長辺の長さxpを、単純にp軸方向最大値pmaxに対応させて形成したものである。この仮想管理領域250においては、p軸方向最大値pmaxを超える部分が生じている。
【0044】
このような場合、処理部24は、仮想管理領域250を縮小処理し、その結果として得られた仮想管理領域252を、適用すべき仮想管理領域として取得する。より詳細に説明すると、処理部24は、仮想管理領域250の全領域においてp軸成分が「0≦p≦pmax」の範囲に収まり、かつq軸成分が「0≦q≦qmax」の範囲に収まるように、変換係数Kを再計算し、記憶部25に記憶させる。そして、処理部24は、再計算の結果得られた新たな変換係数Kに基づいて、仮想管理領域252を形成する。
【0045】
(表示処理の詳細)
次に、
図2のステップS8において実行される処理の詳細を説明する。
上述したように、ステップS8においては、作業領域表示データのうち、条件指定データに対応するものが選択され、対応する画像が表示部28に表示される。この条件指定データには、様々なものを指定することが可能であるが、特に「時刻」、「時間範囲」または「作業対象物」を指定することができる。ここで「時刻」とは、例えば「15:00」のように、ある瞬間のタイミングを表すものである。条件指定データとして「時刻」が指定されると、処理部24は、時間情報314の時間範囲内にその時刻が含まれているレコードを抽出し、抽出したレコードに係る一または複数の作業領域表示データを、表示部28に表示させる。
【0046】
また、「時間範囲」とは、例えば「15:00〜16:00」のように、一定の長さを有する期間である。条件指定データとして「時間範囲」が指定されると、処理部24は、指定された時間範囲と、時間情報314に示された時間範囲とが少なくとも一部の範囲において重複しているレコードを抽出する。そして、処理部24は、抽出したレコードに係る一または複数の作業領域表示データを、表示部28に表示させる。
また、条件指定データとして「作業対象物」が指定されると、処理部24は、作業対象物特定情報311に当該作業対象物が指定されているレコードを抽出する。そして、処理部24は、抽出したレコードに係る一または複数の作業領域表示データに基づく画像を、表示部28に表示させる。
【0047】
図10は、表示部28における表示画面の一例を示す図である。
図示の例において、表示画面500には、矩形の仮想管理領域(図示略)に対応する矩形の仮想管理領域対応図形510が示されている。仮想管理領域対応図形510の左下隅が、仮想空間原点に対応する。また、仮想管理領域対応図形510の横軸がp軸(
図5参照)に対応し、縦軸がq軸に対応する。処理部24は、p軸方向最大値pmaxおよびq軸方向最大値qmaxを出力部26に供給する。これにより、出力部26は、p軸方向最大値pmaxおよびq軸方向最大値qmaxに対応した解像度で、仮想管理領域対応図形510を表示部28に表示させることができる。
【0048】
そして、仮想管理領域対応図形510の内側には、抽出したレコードに係る作業領域表示データに対応して、作業領域対応図形520,530,540(特定領域対応図形)が示されている。なお、図示の例は、条件指定データとして「時刻(15:00)」が指定された例を示しており、時間情報314(
図3参照)の時間範囲内にその時刻(15:00)が含まれているレコードに係る画像が表示されている。特に、表示される画像のうち、作業領域対応図形520,530,540の形状(図示の例では、何れも矩形)は、対応する仮想作業領域の形状と相似形である。
【0049】
さらに、作業領域対応図形520,530,540の内側には、「変圧器C」等の作業対象物と、「シャーシ組立」等の作業内容と、「14:00〜16:00」等の時間情報と、が示されている。これらは、それぞれ、対応するレコード320(
図3参照)の作業対象物特定情報311、作業識別情報312、および時間情報314から取得したものである。
【0050】
〈実施形態の効果〉
以上のように本実施形態の管理装置(20)は、二次元空間(100)内の領域である管理領域(110)の内部における距離情報(Lr12,Lr23,Lr31)に基づいて、管理領域(110)内における特定領域(120)を管理する管理装置(20)であって、距離情報(Lr12,Lr23,Lr31)を取得する入力部(22)と、第1の座標軸(p軸)と、第1の座標軸(p軸)に直交する第2の座標軸(q軸)とを有する仮想空間(200)において、第1の座標軸(p軸)および第2の座標軸(q軸)の値が共に0である点を仮想空間原点(Oi)とし、管理領域(110)に対応する仮想空間(200)内の一つの二次元閉領域を仮想管理領域(210)とし、仮想管理領域(210)の第1の座標軸上の最大値を第1の最大値(pmax)とし、仮想管理領域(210)の第2の座標軸上の最大値を第2の最大値(qmax)とし、第1の最大値(pmax)と、第2の最大値(qmax)と、を記憶する記憶部(25)と、複数の距離情報(Lr12,Lr23,Lr31)に係る数値に対して変換係数(K)を乗算し、それぞれの距離情報(Lr12,Lr23,Lr31)に対応して仮想空間(200)における距離を示す複数の仮想距離情報(Li12,Li23,Li31)を求め、複数の距離情報のうち最大のもの(Lr12)に対応する仮想空間(200)内の線分である仮想最大線分(Di1→Di2,Li12)の一端(Di1)を仮想空間原点(Oi)に配置し、仮想最大線分(Di1→Di2,Li12)の他端(Di2)を第1の座標軸(p軸)上の第1の最大値(pmax)に配置することによって管理領域(110)に対応する仮想管理領域(210)の位置を決定し、複数の仮想距離情報に係る線分のうち仮想管理領域(210)の周縁に対応する線分同士を接続して、仮想空間内に、管理領域に対応する仮想管理領域(210)を配置し、特定領域(120)内の一点である代表点(ar1)のx軸方向とy軸方向の位置を示す代表点位置情報(316)と、特定領域(120)の形状を特定する特定領域形態情報(318)と、を取得し、代表点位置情報(316)と、変換係数(K)とに基づいて代表点位置情報(316)に対応する仮想代表点位置情報(xai1,yai1)を求め、特定領域形態情報(318)と、変換係数(K)とに基づいて、特定領域(120)に対応する仮想管理領域(210)内における仮想特定領域(220)の位置を取得する処理部(24)と、を備える。
これにより、管理領域(110)における種々の位置情報を適切に管理できる。
【0051】
また、特定領域(120)が矩形である場合、代表点位置情報(316)は、二次元空間(100)の原点(O)を基準として代表点(ar1)の位置を表すx軸方向のx軸方向代表点距離情報(xar1)とy軸方向のy軸方向代表点距離情報(yar1)と、を含むものであり、特定領域形態情報(318)は、特定領域(120)のx軸方向の長さを表すx軸方向距離情報(xar4−xar1)と、特定領域(120)のy軸方向の長さを表すy軸方向距離情報(yar2−yar1)と、を含むものであり、処理部(24)は、x軸方向距離情報(xar4−xar1)と変換係数(K)との乗算結果と、y軸方向距離情報(yar2−yar1)と変換係数(K)との乗算結果と、を取得し、第1の座標軸(p軸)上の値と、第2の座標軸(q軸)上の値とによって、代表点(ar1)に対応する仮想代表点(ai1)の仮想代表点位置情報(xai1,yai1)と、仮想特定領域(220)を特定する仮想平面情報と、を算出する。
これにより、特定領域(120)が矩形である場合に位置情報を少なくすることができ、少ない情報量で位置情報を適切に管理できる。
【0052】
また、特定領域(120)が多角形である場合、代表点位置情報(xar1,yar1)は、二次元空間(100)の原点(O)を基準として代表点(ar1)の位置を表すx軸方向のx軸方向代表点距離情報(xar1)とy軸方向のy軸方向代表点距離情報(yar1)と、を含むものであり、特定領域形態情報(318)は、原点(O)を基準として、特定領域(120)の複数の頂点(ar2〜ar4)の位置を表すx軸方向の距離情報である複数のx軸方向頂点距離情報(xar2,xar3,xar4)と、y軸方向の距離情報である複数のy軸方向頂点距離情報(yar2,yar3,yar4)と、を含むものであり、処理部(24)は、複数のx軸方向頂点距離情報(xar2,xar3,xar4)と、複数のy軸方向頂点距離情報(yar2,yar3,yar4)と、の各々に対して変換係数(K)を乗算し、その結果に基づいて仮想空間(200)において複数の頂点(ar1〜ar4)に対応する仮想頂点(ai1〜ai4)の位置と、仮想特定領域(220)を特定する仮想平面情報と、を算出する。
これにより、様々な形状の特定領域(120)に対して、フレキシブルに対応することができる。
【0053】
また、特定領域(130)の形状が円形である場合、代表点(br1)は、特定領域(130)の中心であり、代表点位置情報(xbr1,ybr1)は、二次元空間(100)の原点(O)を基準として代表点(br1)の位置を表すx軸方向のx軸方向代表点距離情報(xbr1)とy軸方向のy軸方向代表点距離情報(ybr1)と、を含むものであり、特定領域形態情報(318)は、特定領域(130)の半径(bRr)を含み、処理部(24)は、半径(bRr)に対して変換係数(K)を乗算し、その結果に基づいて仮想特定領域(230)を特定する仮想平面情報を算出する。
これにより、特定領域(130)が円形である場合に位置情報を少なくすることができ、少ない情報量で位置情報を適切に管理できる。
【0054】
また、処理部(24)は、複数の距離情報(Lr12,Lr23,Lr31)のうち最大のもの(Lr12)と、第1の最大値(pmax)と、に基づいて、変換係数(K)を求め、求めた変換係数(K)を記憶部(25)に記憶させる。
これにより、適切な変換係数(K)を記憶部(25)に記憶させることができる。
【0055】
また、処理部(24)は、仮想管理領域(250)が、第1の座標軸(p軸)の方向の長さが第1の最大値(pmax)であり第2の座標軸(q軸)の方向の長さが第2の最大値(qmax)である矩形領域を超える部分を有する場合に、仮想管理領域(250)の全ての領域が矩形領域に収まるように変換係数(K)を変更し、変更した変換係数(K)に基づいて仮想管理領域(252)を形成する。
これにより、形成した仮想管理領域(250)が不適切な場合には、適切な仮想管理領域(252)を形成することができる。
【0056】
また、特定領域(120)は、作業を行うための領域であり、処理部(24)は、複数の特定領域(120)における作業開始時刻を各々表す複数の時間情報(314)と、複数の特定領域(120)の代表点(ar1)に各々対応する複数の代表点位置情報(xar1,yar1)と、複数の特定領域(120)に各々対応する複数の特定領域形態情報(318)と、を含む作業情報テーブル(300)を入力部(22)から取得し、記憶部(25)に記憶する。
これにより、作業を行うべき特定領域(120)の位置および形態と、作業開始時刻とを適切に管理することができる。
【0057】
また、作業は複数の作業対象物の何れかに対して実行されるものであり、作業情報テーブル(300)は、特定領域(120)に対応する作業対象物を特定する作業対象物特定情報(311)を含む。
これにより、ユーザは、各作業と、各作業対象物との関係を明白に把握することができる。
【0058】
また、処理部(24)は、入力部(22)において時間情報(314)が入力されると、対応する特定領域(120)を選択する。
これにより、時間情報(314)に対応する特定領域(120)を迅速に求めることができる。
【0059】
また、処理部(24)は、入力部(22)において作業対象物特定情報が入力されると、対応する特定領域(120)を選択する。
これにより、指定した作業対象物に対応する特定領域(120)を迅速に求めることができる。
【0060】
また、管理装置(20)は、供給された画像データを表示する表示部(28)と、処理部(24)における処理結果を画像データに変換する出力部(26)と、をさらに備え、処理部(24)は、仮想管理領域(210)における第1の最大値(pmax)と第2の最大値(qmax)とを出力部(26)に供給し、処理部(24)は、出力部(26)を介して、仮想管理領域に対応する仮想管理領域対応図形(510)を表示部(28)に表示させ、選択された特定領域に対応する特定領域対応図形(520,530,540)と、選択された特定領域に対応する時間情報(314)と、選択された特定領域に対応する作業対象物特定情報(311)と、を仮想管理領域対応図形とともに表示部(28)に表示させる。
これにより、ユーザは、表示部(28)の表示内容に基づいて、特定領域に対応する時間情報(314)と、作業対象物とを迅速に把握することができる。
【0061】
また、表示部(28)は矩形の表示領域を有するものであり、処理部(24)は、仮想空間原点(Oi)を表示領域の一隅である表示領域原点に対応付け、表示領域の長辺を第1の座標軸(p軸)に対応付け、表示領域の短辺を第2の座標軸(q軸)に対応付けて、仮想管理領域対応図形を表示部(28)に表示させる。
これにより、仮想管理領域対応図形を適切な態様で表示部(28)に表示させることができる。
【0062】
〈変形例〉
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記実施形態の構成に他の構成を追加してもよく、構成の一部について他の構成に置換をすることも可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
【0063】
(1)上記実施形態においては、表示部28に仮想管理領域対応図形510とともにガントチャートを表示させ、ガントチャートに時刻を表す時刻カーソルを表示させてもよい。その際、時刻カーソルに係る時刻を上述した条件指定データとして適用してもよい。すなわち、時刻カーソルに係る時刻において実行される作業を仮想管理領域対応図形510に表示してもよい。
【0064】
(2)
図3の作業情報テーブル300に含まれる情報は、図示のものに限定されるわけではない。例えば、作業に利用する装置(工作機械、測定器等)や、作業の担当者等の情報を作業情報テーブル300に含めてもよい。さらに、これらの情報を作業領域対応図形520,530,540(
図10参照)とともに表示させてもよい。
【0065】
(3)上記実施形態における管理装置20のハードウエアは一般的なコンピュータによって実現できるため、
図2に示したフローチャートに係るプログラム等を記憶媒体に格納し、または伝送路を介して頒布してもよい。
【0066】
(4)
図2に示した処理は、上記実施形態ではプログラムを用いたソフトウエア的な処理として説明したが、その一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)、あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたハードウエア的な処理に置き換えてもよい。
【解決手段】二次元空間内の領域である管理領域の内部における距離情報に基づいて、管理領域内における特定領域を管理する管理装置20であって、距離情報を取得する入力部22と、複数の距離情報のうち最大のものに対応する仮想空間内の線分である仮想最大線分の一端を仮想空間原点に配置し、仮想最大線分の他端を第1の座標軸上の第1の最大値に配置することによって管理領域に対応する一つの二次元閉領域である仮想管理領域の位置を決定し、特定領域に対応する仮想特定領域を特定する仮想平面情報を求め、仮想管理領域内における仮想特定領域の位置を取得する処理部と、を設けた。