(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
(システム)
図1は、第1実施形態に係る冷却システム1の構成を示す図である。
冷却システム1は、ラジエータ等の冷媒液冷却装置2、ポンプ等の冷媒液調整装置3、及び、冷却対象機器としての電力変換器4のそれぞれが冷媒巡回管100によって接続されている。電力変換器4はDC/ACインバータ装置等である。
冷媒液冷却装置2の出力口212と、冷媒液調整装置3の入力口311とは、第2冷媒液供給管103によって接続されている。また、冷媒液調整装置3の出力口312と、冷媒液導入口121とが第1冷媒液供給管101によって接続されている。冷媒液調整装置3による吐出力によって冷媒液調整装置3から吐出された冷媒液Rは、冷媒液導入口121から冷媒液滞留管110に導入される。
【0012】
冷媒液滞留管110は、電力変換器4を冷却するものであり、冷媒液導入口121の後段で高温用冷媒液滞留管111と、低温用冷媒液滞留管112とに分岐している。
高温用冷媒液滞留管111は、内部を流通する冷媒液Rによって電力変換器4の高温領域401を冷却する。同様に、低温用冷媒液滞留管112は、内部を流通する冷媒液Rによって電力変換器4の低温領域402を冷却する。
【0013】
図1に示すように、低温用冷媒液滞留管112は直線配管となっており、高温用冷媒液滞留管111は蛇行配管となっている。つまり、高温領域401では、冷媒液滞留管110を蛇行配管とすることで、冷媒液Rの滞留時間を長くしている。これにより、高温領域401での冷却能力が上げられている。
【0014】
これに対して、低温領域402では、冷媒液滞留管110を直線配管とすることで、冷媒液Rの滞留時間を短くしている。これにより、比較的温度を下げなくてもよい低温領域402での冷却能力が下げられている。
【0015】
このように、高温領域401では冷媒液Rの滞留時間を長くすることで、冷却能力を上昇させ、低温領域402では冷媒液Rの滞留時間を短くすることで冷却能力を下降させている。つまり、冷却対象となる箇所の温度に応じて、冷媒液Rの滞留時間を変化させている。このようにすることで、冷却対象機器である電力変換器4において、温度が異なる箇所があっても、その温度に応じた冷却が可能となる。
【0016】
高温用冷媒液滞留管111と、低温用冷媒液滞留管112は、冷媒液排出口122の前段における合流点131で合流し、冷媒液回収管102に接続している。冷媒液回収管102は冷媒液冷却装置2の入力口211に接続されている。つまり、電力変換器4を冷却し終えた冷媒液Rは、冷媒液回収管102を通じて冷媒液冷却装置2に供給される。冷媒液冷却装置2は、電力変換器4を冷却することで温度が上昇している冷媒液Rを冷却する。冷媒液冷却装置2における冷媒液Rの冷却機構については後記する。
【0017】
冷媒液冷却装置2によって冷却された冷媒液Rは、第2冷媒液供給管103によって冷媒液調整装置3へ送られる。そして、冷媒液Rは、冷媒液調整装置3の吐出力によって冷媒液導入口121へ送られる。
【0018】
このように、冷媒液Rは、冷媒液調整装置3→冷媒液滞留管110(高温用冷媒液滞留管111、低温用冷媒液滞留管112)→冷媒液冷却装置2→冷媒液調整装置3→・・・の順に巡回する。このように冷媒液Rが巡回する構成とすることで、冷媒液Rを効率的に使用することができる。
【0019】
電力変換器4や、冷媒液回収管102には温度センサ40が設置されている。
図1の例では、温度センサ40は、高温用温度センサ41、低温用温度センサ42、冷媒液温度センサ43で構成されている。
高温用温度センサ41は、高温領域401に設置されている温度センサ40である。また、低温用温度センサ42は、低温領域402に設置されている温度センサ40である。なお、低温用温度センサ42は省略可能である。冷媒液温度センサ43は、高温用冷媒液滞留管111の合流点131の直前に設けられている温度センサ40であり、高温領域401の熱を吸熱した冷媒液Rの温度を測定している。
【0020】
それぞれの温度センサ40が検知した温度情報は、管理装置5に送信される。管理装置5は、送られた温度情報を基に冷媒液冷却装置2の冷却機構や、冷媒液調整装置3の吐出力を調整する。管理装置5による冷媒液冷却装置2の冷却機構調整や、冷媒液調整装置3の吐出力調整については後記する。
【0021】
また、冷媒液滞留管110は、冷媒液導入口121や、冷媒液排出口122で取り外し可能となっていることが好ましい。さらに、第1冷媒液供給管101における冷媒液導入口121の前段や、冷媒液回収管102における冷媒液排出口122の後段には、バルブVが設けられている。冷媒液導入口121や、冷媒液排出口122において、冷媒液滞留管110の取り換えが行われる場合、冷媒液冷却装置2や、冷媒液調整装置3を停止させた上で、バルブVを閉弁した状態で行われるとよい。
【0022】
なお、
図1の例では、電力変換器4には、高温領域401及び低温領域402の2つの領域があるが、高温領域401及び低温領域402の中間領域があってもよいし、4つ以上の温度領域があってもよい。なお、中間領域における冷媒液滞留管110がどのようになるのかは後記する。
【0023】
図2は、側面の方向から電力変換器4をみた図である。
図2に示すように。冷媒液滞留管110(高温用冷媒液滞留管111、低温用冷媒液滞留管112)は、電力変換器4に接するように直付け配設されている。
このようにすることで、冷媒液Rが電力変換器4に発生している熱を効率よく吸熱ことができる。
【0024】
(折り返し密度と、温度の関係)
図3Aは、低温領域402に設置される冷媒液滞留管110の例を示す図である。
前記したように、低温領域402では、冷媒液滞留管110(低温用冷媒液滞留管112)を直線配管とすることで、冷媒液Rが低温領域402に滞留する時間を短くしている。
【0025】
図3Bは、高温領域401に設置される冷媒液滞留管110の例を示す図である。
前記したように、高温領域401では、冷媒液滞留管110(高温用冷媒液滞留管111)を蛇行配管とすることで、冷媒液Rが高温領域401に滞留している時間を長くしている。
【0026】
図3Cは、中温領域に設置される冷媒液滞留管110の例を示す図である。
中温領域とは、高温領域401と、低温領域402の中間の温度を有する領域である。
図3Cに示すように、中温領域において、冷媒液滞留管110(中温用冷媒液滞留管113)は蛇行配管となっている。しかし、中温用冷媒液滞留管113は、高温用冷媒液滞留管111よりも単位長さ当たりの折り返し密度が小さくなっている。ここで、単位長さ当たりの折り返し密度を以下のように定義する。まず、冷媒液滞留管110の蛇行部分における直線箇所に対して垂直な直線をひく。そして、その直線方向における単位長さ当たりの折り返し回数を折り返し密度と定義する。なお、
図3Aのような直線配管は、折り返し密度「0」と定義する。
【0027】
図4は、温度と折り返し密度と、温度との関係を示す一例である。
図4に示すように冷媒液滞留管110が設置される箇所の温度(領域温度)が低ければ低いほど折り返し密度を小さくし、温度が高ければ高いほど、折り返し密度を大きくする。
【0028】
このように、本実施形態では冷媒液滞留管110を(2次元)蛇行配管とし、設置される領域の温度に応じて単位長さ当たりの折り返し密度を変化させている(直線配管は折り返し密度「0」)。このようにすることで、簡易な構成で発熱量に応じた冷却能力を実現することができる。
【0029】
(冷媒液冷却装置2)
図5は、本実施形態に係る冷媒液冷却装置2の構成を示す図である。
冷媒液冷却装置2は、冷媒液Rが流れ、冷媒巡回管100と接続し、蛇行配管の構成を有する冷却用配管120を有している。蛇行する冷却用配管120の間にフィン201が設けられている。フィン201は、冷却用配管120に取り付けられ、周辺空気への接触面積を大きくすることにより冷却用配管120内の冷媒液Rの熱を周辺空気中に放出する。
なお、
図5では、分かりやすくするため、冷却用配管120と、フィン201は接していないが、実際には、冷却用配管120と、フィン201とは接するように配置されている。
【0030】
また、冷媒液冷却装置2には、フィン201からの放熱を促進するための冷却ファン202が設けられている。管理装置5は、冷却ファン202の回転数を制御することができる。つまり、
図1に示す温度センサ40それぞれから送られる温度情報を基に冷却ファン202の回転数を制御する。温度センサ40から送られる温度が高ければ、管理装置5は、冷却ファン202の回転数を上げることで、冷媒液冷却装置2の冷却能力を上昇させる。
【0031】
なお、
図5に示す構造は一例である。
図5に示す例では蛇行する冷却用配管120の間にフィン201が設けられているが、蛇行する冷却用配管120を挟み込むような形式でフィン201が設けられてもよい。あるいは、蛇行する冷却用配管120を挟み込むような形式で設けられているフィン201のうち、一方が省略される形式でフィン201が設けられてもよい。
【0032】
図6は、冷媒液冷却装置2の別の例を示す図である。
図6に示す例では、冷却用配管120と、フィン201で構成される冷却部210の両側を挟み込むように冷却ファン202a,202bが配置されている。このような構成とすることにより、冷媒液冷却装置2における冷却能力を向上させることができる。
【0033】
冷媒液冷却装置2が
図5及び
図6に示すような構成を有することにより、冷却能力を簡易に変化させることが可能となる。
【0034】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態に係る冷却システム1aの構成を示す図である。
なお、
図7において、
図1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図7における冷却システム1aでは、3つの電力変換器4a〜4cが設置されている。そして、それぞれの電力変換器4a〜4cには冷媒液滞留管110a〜110cが配置されている。電力変換器4a〜4cそれぞれに配置されている冷媒液滞留管110a〜110cは、互いに並列の関係にある。
【0035】
すなわち、第1冷媒液供給管101は、接続部Jを有する四方管Q1によって、3つの中間配管141に接続されている。3つの中間配管141は、冷媒液導入口121a〜121cのそれぞれによって、冷媒液滞留管110a〜110cに接続されている。冷媒液滞留管110a〜110cのそれぞれは、
図1と同様に高温領域401に設置される高温用冷媒液滞留管111及び低温領域402に設置される低温用冷媒液滞留管112に分岐する。
【0036】
また、それぞれの冷媒液滞留管110a〜110cにおいて、高温用冷媒液滞留管111と、低温用冷媒液滞留管112が合流点131で合流した後は、冷媒液排出口122a〜122cのそれぞれに中間配管142が接続される。それぞれの中間配管142は、接続部Jを有する四方管Q2を介して、冷媒液回収管102に接続している。
【0037】
それぞれの接続部J、冷媒液導入口121a〜121c、冷媒液排出口122a〜122cは、取り外し可能となっている。このような構成とすることで、電力変換器4a〜4cの数を増えたり、減ったりしても、冷媒液滞留管110a〜110cを容易に増やしたり、減らしたりすることができる。
【0038】
また、それぞれの電力変換器4a〜4cの高温領域401には高温用温度センサ41(温度センサ40)が設置されている。また、それぞれの電力変換器4a〜4cの低温領域402には低温用温度センサ42(温度センサ40)が設置されている。なお、それぞれの電力変換器4a〜4cにおいて、低温用温度センサ42は省略可能である。さらに、高温用冷媒液滞留管111の合流点131の直前には、冷媒液温度センサ43(温度センサ40)が設置されている。
【0039】
それぞれの温度センサ40で検出された温度情報は、管理装置5に送られる。そして、管理装置5は、送られた温度情報を基に冷媒液冷却装置2の冷却能力を調節したり、冷媒液調整装置3の吐出量を調節したりする。冷媒液冷却装置2における冷却能力の調節は、前記したように冷却ファン202の回転数を制御することで行われる。
【0040】
図8は、第2実施形態に係る冷却システム1bの別の例を示す図である。
図8において、
図7と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図8に示す冷却システム1bでは、それぞれの中間配管141に冷媒液調整装置3a〜3cが設置されている。なお、ここで四方管Q1から冷媒液調整装置3a〜3cまでの中間配管141は、第1冷媒液供給管101の一部となっている。その他の構成は、
図7と同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0041】
なお、
図7及び
図8に示す例では、それぞれの電力変換器4a〜4cが、高温領域401及び低温領域402に対応する高温用冷媒液滞留管111及び低温用冷媒液滞留管112を有している。しかし、これに限らず、電力変換器4a〜4cは、中温領域等を有し、中温用冷媒液滞留管113を備えるような構成であってもよい。中温領域がある場合、その領域には中温用温度センサ(不図示)が設けられる。また、高温領域401、低温領域402、中温領域以外の温度領域が設けられ、それぞれに温度センサ40が設けられてもよい。
【0042】
また、
図7及び
図8に示す例では、3つの電力変換器4a〜4cが設置されているが、2つの電力変換器4が設置されてもよいし、4つ以上の電力変換器4が設置されてもよい。いずれにしろ、それぞれの電力変換器4には、温度領域に応じて冷媒液滞留管110が設けられる。
【0043】
第2実施形態によれば、電力変換器4が新たに接続されても、新たに接続された電力変換器4に冷媒液滞留管110を増設すればよいので、電力変換器4の増設に際して簡易、かつ、柔軟に対処することが可能となる。また、電力変換器4が撤去された際にも、撤去された電力変換器4に設置されていた冷媒液滞留管110を撤去すればよいので、電力変換器4の撤去に際して簡易、かつ、柔軟に対処することが可能となる。
また、新たに接続された電力変換器4に冷媒液滞留管110を増設すればよいので、コストの削減を可能とすることができる。
【0044】
[第3実施形態]
次に、管理装置5が行う処理について説明する。
図9は、領域温度を基に管理装置5が行う処理の手順を示すフローチャートである。
図9に示す処理は、第1実施形態に係る冷却システム1でも、第2実施形態に係る冷却システム1a,1bでも適用可能である。
管理装置5は、高温用温度センサ41や、低温用温度センサ42から領域温度情報を取得する(S101)。領域温度情報とは、高温領域401や、低温領域402(必要に応じて中温領域)等といった冷媒液滞留管110が配置されている領域の温度である。なお、
図7や、
図8に示す冷却システム1a,1bであれば、管理装置5は、高温用温度センサ41a〜41c、低温用温度センサ42a〜42cのそれぞれから領域温度情報を取得する。
そして、管理装置5は、取得した領域温度情報の中から、最も高い温度を抽出する(S102)。
【0045】
次に、管理装置5は、抽出した温度に基づいて冷媒液調整装置3の流量を調節する(S103)。具体的には、抽出した温度が高ければ、冷媒液調整装置3の流量を大きくして、冷媒液Rの循環量を多くし、低くなれば、冷媒液調整装置3の流量を小さくする。冷媒液調整装置3の流量を大きくするとは、冷媒液調整装置3の吐出量を大きくするという意味である。
【0046】
次に、管理装置5は、抽出した温度に基づいて冷媒液冷却装置2の冷却ファン202の風量を調節する(S104)。具体的には、抽出した温度が高ければ、管理装置5は冷却ファン202の風量を大きくし、低くなれば、管理装置5は冷却ファン202の風量を小さくする。
なお、ステップS103の処理、及び、ステップS104の処理は、どちらか一方が行われるようにしてもよい。
【0047】
図10は、冷媒温度を基に管理装置5が行う処理の手順を示すフローチャートである。
図10に示す処理は、第1実施形態に係る冷却システム1でも、第2実施形態に係る冷却システム1a,1bでも適用可能である。
管理装置5は、冷媒液温度センサ43から冷媒温度情報を取得する(S201)。冷媒温度情報とは、冷媒液温度センサ43で検出される冷媒液Rの温度である。なお、
図7や、
図8に示す冷却システム1a,1bであれば、ステップS201において管理装置5は、冷媒液温度センサ43a〜43cのそれぞれから冷媒温度情報を取得する。
【0048】
そして、管理装置5は、取得した冷媒温度情報の中から、最も高い温度を抽出する(S202)。ただし、
図1のように冷媒液温度センサ43が1つしか設置されていない場合、ステップS202の処理は省略可能である。
【0049】
次に、管理装置5は、抽出した温度に基づいて冷媒液冷却装置2の冷却ファン202の風量を調節する(S203)。具体的には、抽出した温度が高ければ、管理装置5は冷却ファン202の風量を大きくし、低くなれば、管理装置5は冷却ファン202の風量を小さくする。
【0050】
図9及び
図10に示す処理は、どちらか一方が実施されてもよいし、両方が実施されてもよい。
図9及び
図10に示す処理の両方が実施される場合、領域温度から決定される風量と、冷媒温度から決定される風量とを足し合わせた風量が供給されるよう管理装置5が冷却ファン202を制御する。ただし、足し合わせた風量が最大風量F2maxを超えるようであれば、冷却ファン202が最大風量F2maxを供給するよう、管理装置5は冷却ファン202を制御する。
【0051】
図9及び
図10に示すように、電力変換器4の領域温度に基づいて冷媒液調整装置3の吐出量が調節されることで、容易な構成で適切な冷却能力を実現することができる。
また、
図9及び
図10に示すように、電力変換器4の領域温度や、冷媒液温度に基づいて冷媒液冷却装置2の冷却ファン202の風量が調節されることで、容易な構成で適切な冷却能力を実現することができる。
【0052】
(温度−流量マップ531)
図11は、本実施形態で用いられる温度−流量マップ531の一例を示す図である。
図11に示す温度−流量マップ531は、
図9のステップS103で用いられるものである。
図11に示すように、温度−流量マップ531では、温度が高くなればなるほど流量が大きくなり、温度が低くなればなるほど流量が小さくなる。ここで、温度は、
図9のステップS102で抽出された最も高い領域温度である。また、温度−流量マップ531における流量は冷媒液調整装置3,3a〜3cの吐出力に対応する。なお、冷媒液調整装置3,3a〜3cの吐出力には最小値、最大値が存在するため、
図11の流量も最小値F1min、最大値F1maxが設けられている。
図9のステップS103において、管理装置5は、
図11に示す温度−流量マップ531に従って、冷媒液調整装置3,3a〜3cの吐出力を制御する。
【0053】
(温度−風量マップ532)
図12は、本実施形態で用いられる温度−風量マップ532の一例を示す図である。
図12に示す温度−風量マップ532は、
図9のステップS104や、
図10のステップS203で用いられるものである。
図12に示すように、温度−風量マップ532では、温度が高くなればなるほど風量が大きくなり、温度が低くなればなるほど風量が小さくなる。ここで、温度は、
図9のステップS102で抽出された最も高い領域温度や、
図10のステップS202で抽出された最も高い冷媒温度である。ここで、温度−風量マップ532における風量は冷媒液冷却装置2における冷却ファン202,202a,202bの風量に対応する。なお、冷却ファン202,202a,202bの風量には最小値、最大値が存在するため、
図12の風量も最小値F2min、最大値F2maxが設けられている。
図9のステップS104や、
図10のステップS203において、管理装置5は、
図12に示す温度−風量マップ532に従って、冷却ファン202,202a,202bの風量を制御する。
【0054】
(ハードウェア構成図)
図13は、本実施形態で用いられる管理装置5のハードウェア構成図である。
管理装置5は、PC(Personal Computer)や、PLC(Programmable Logic Controller)で構成されている。そして、管理装置5は、メモリ501、CPU(Central Processing Unit)502、HD(Hard Disk)等の記憶装置503を有している。また、管理装置5は、入力装置504、表示装置505、温度センサ40や、冷媒液冷却装置2、冷媒液調整装置3,3a〜3cと通信を行うための通信装置506を有している。入力装置504、表示装置505は適宜省略可能である。
【0055】
記憶装置503に格納されているプログラムが、メモリ501にロードされ、ロードされたプログラムがCPU502によって実行される。これによって、管理装置5が行う各機能が具現化する。また、記憶装置503には、
図11に示す温度−流量マップ531や、
図12に示す温度−風量マップ532が格納されている。
【0056】
[第4実施形態]
(電力変換器4について)
図14は、本実施形態における電力変換器4の一例を示す図である。
図14では、冷却システム1によって冷却される電力変換器4としてAC/DCコンバータ410が用いられている例を示している。
つまり、
図14に示すAC/DCコンバータ410では、入力端子411から入力されたDC信号が、AC信号に変換されて、出力端子412から出力される。
【0057】
図15は、本実施形態における電力変換器4の別の例を示す図である。
図15では、冷却システム1によって冷却される電力変換器4としてDC/DCコンバータ420が用いられている例を示している。
DC/DCコンバータ420は、内部にDC/ACインバータ421及びAC/DCコンバータ422を有している。そして、DC/ACインバータ421のAC側接続部(交流電力接続部)424と、AC/DCコンバータ422のAC側接続部(交流電力接続部)425とは、高周波絶縁変圧装置(高周波変圧装置)423を介して接続されている。
このようにすることで、
図15に示すDC/DCコンバータ420では、入力端子426から入力されたDC信号が、電圧の異なるDC信号として出力端子427から出力される。なお、高周波絶縁変圧装置423を非絶縁性の高周波変圧装置としてもよい。
【0058】
冷媒液滞留管110は、DC/ACインバータ421及びAC/DCコンバータ422それぞれに設置されることが望ましい。
【0059】
このように本実施形態に係る冷却システム1,1a,1bは、
図14に示すようなAC/DCコンバータ410や、
図15に示すようなDC/DCコンバータ420を冷却することが可能となる。
【0060】
なお、本実施形態における冷却システム1は、
図14に示すAC/DCコンバータ410、及び、
図15に示すDC/DCコンバータ420のうち、少なくとも一方を冷却すればよい。また、
図14に示すAC/DCコンバータ410、及び、
図15に示すDC/DCコンバータ420は、車載用を想定しているが、車載用に限らなくてもよい。
【0061】
本実施形態によれば、1つの冷却機構により、電力変換器4において発熱量の小さい発熱領域に対しては、小さい冷却容量で冷却し、発熱量の大きい発熱領域に対しては、大きい冷却容量で冷却することができる。これにより、適切な冷却を実現することができる。なお、近年、電力変換器4が小型化してきたことにより、電力変換器4の発熱量が小さくなってきた。それによって、本実施形態のように冷媒液Rによる電力変換器4の冷却が可能となった。
【0062】
また、本実施形態によれば、
図7や、
図8のように電力変換器4が複数台設置されている場合でも、それぞれの電力変換器4を同時に、かつ、適切冷却することが可能である。
【0063】
本実施形態において、新たに電力変換器4を接続し、冷媒液滞留管110を新たに配設した場合、管理装置5の入力装置504を介して、冷媒液滞留管110が新たに配設された旨の情報が管理装置5に入力されてもよい。そして、管理装置5は、冷媒液滞留管110が新たに配設されたことに伴う冷媒液冷却装置2の冷媒能力の増加、冷媒液調整装置3の吐出力の増加を実行させてもよい。電力変換器4が撤去された場合も同様である。
【0064】
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0065】
また、本実施形態において冷媒液Rは、水や、その他の冷却用液体が使用可能である。
【0066】
また、前記した各構成、機能、記憶装置503等は、それらの一部、または、すべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、
図13に示すように、前記した各構成、機能等は、CPU502等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HDに格納すること以外に、メモリ501や、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【解決手段】電力変換器4とは別に配設されている冷媒液調整装置3及び冷媒液冷却装置2を有するとともに、電力変換器4の発熱領域に、冷媒液冷却装置2で冷却された冷媒液Rを供給する冷媒液滞留管110を有し、冷媒液調整装置3は、冷媒液滞留管110への、冷媒液冷却装置2で冷却された冷媒液Rの供給量を制御し、冷媒液滞留管110は、複数に分岐し、電力変換器4における異なる発熱領域において、それぞれの発熱領域の発熱量に応じて、冷媒液Rが発熱領域近傍における滞留時間を確保するように配管経路が構成されるとともに、それぞれの発熱領域に直付け配設されることを特徴とする。