(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動範囲設定装置は、前記z軸可動範囲設定部により設定された前記z軸可動範囲での前記プローブの移動により得られた情報に基づいて、前記x軸可動範囲設定部による前記x軸可動範囲の設定、及び、前記y軸可動範囲設定部による前記y軸可動範囲の設定を行う
ことを特徴とする、請求項1に記載のプローブの可動範囲設定装置。
前記可動範囲設定装置は、超音波を照射しながら前記z軸可動範囲での前記プローブの移動時に取得された前記被検査体からの透過波又は反射波の何れかのピークに基づき、前記x軸可動範囲設定部による前記x軸可動範囲の設定、及び、前記y軸可動範囲設定部による前記y軸可動範囲の設定を行う
ことを特徴とする、請求項2に記載のプローブの可動範囲設定装置。
前記プローブの位置が、x軸方向位置が前記被検査体の載置台のx軸方向中央であり、かつ、y軸方向位置が前記被検査体の前記載置台のy軸方向中央である位置条件を満たすか否かを判断する位置条件判断部を備える
ことを特徴とする、請求項4に記載のプローブの可動範囲設定装置。
前記位置条件を満たさない場合に、前記x軸可動範囲設定部及び前記y軸可動範囲設定部による可動範囲設定のためのx軸方向への超音波照射範囲及びy軸方向への超音波照射範囲を設定する照射範囲設定部を備え、
前記照射範囲設定部は、
x軸方向において、前記プローブから前記載置台の端部までの距離のうちの最も短い部分の距離を決定するx軸方向距離決定部と、
y軸方向において、前記プローブから前記載置台の端部までの距離のうちの最も短い部分の距離を決定するy軸方向距離決定部と、を備え、
前記プローブの前記x軸方向位置を中点とする、前記x軸方向距離決定部により決定された距離の2倍の範囲内、かつ、前記プローブの前記y軸方向位置を中点とする、前記y軸方向距離決定部により決定された距離の2倍の範囲内を前記超音波照射範囲として設定し、
前記x軸可動範囲設定部は、前記超音波照射範囲での超音波照射により、前記接合面x軸第1端及び前記接合面x軸第2端を設定するともに、前記y軸可動範囲設定部は、前記超音波照射範囲での超音波照射により、前記接合面y軸第1端及び前記接合面y軸第2端を設定する
ことを特徴とする、請求項5に記載のプローブの可動範囲設定装置。
前記x軸可動範囲設定部は、前記接合面x軸第1端から前記接合面の外側方向に所定長さ離れた位置と、前記接合面x軸第2端から前記接合面の外側方向に所定長さ離れた位置との間を前記x軸可動範囲として設定するとともに、
前記y軸可動範囲設定部は、前記接合面y軸第1端から前記接合面の外側方向に所定長さ離れた位置と、前記接合面y軸第2端から前記接合面の外側方向に所定長さ離れた位置との間を前記y軸可動範囲として設定する
ことを特徴とする、請求項4〜6の何れか1項に記載のプローブの可動範囲設定装置。
被検査体の表面においてプローブから超音波を照射して、接合面の欠陥を検出する超音波検査装置において、前記被検査体を検査する前段階において、前記プローブの可動範囲を設定するプローブ可動範囲設定方法であって、
前記プローブを、初期位置から前記プローブの先端位置が前記被検査体表面から所定の間隙の位置までz軸下方向へ移動して停止し、その位置を前記プローブの前記z軸方向の最下端位置として設定することにより、前記プローブのz軸可動範囲の下限を設定する最下端位置設定ステップと、
前記プローブを、前記最下端位置から前記プローブの焦点距離の大きさ相当分z軸上方向に移動して停止し、その位置を前記プローブの前記z軸方向の最上端位置として設定することにより、前記プローブのz軸可動範囲の上限を設定する最上端位置設定ステップと、
前記プローブを前記最上端位置から前記z軸下方向に移動させながら前記超音波を前記被検査体の表面に照射して表面フィードバック信号を取得し、前記表面フィードバック信号のピークを検出して、前記ピークが最大となる位置に対応する前記プローブのz軸方向の位置を基準位置として設定する基準位置設定ステップと、
前記プローブをさらに前記z軸下方向に移動しながら前記超音波を照射して界面フィードバック信号を取得し、前記界面フィードバック信号のピークを検出して、前記ピークが最大となる位置に対応する前記プローブの前記z軸方向の位置を接合面位置として設定する接合面位置設定ステップと、
前記プローブを前記接合面位置に設定し、前記被検査体の一のx軸上のマイナス方向端点から対向するプラス方向端点まで超音波を照射しながら移動し、最初に前記界面フィードバック信号を取得した位置のマイナス方向に所定長さを加算し、前記界面フィードバック信号を取得できなくなった位置のプラス方向に所定長さを加算してx軸可動範囲を設定するx軸可動範囲設定ステップと、
前記プローブを前記接合面位置に設定し、前記被検査体の一のy軸上のマイナス方向端点から対向するプラス方向端点まで超音波を照射しながら移動し、最初に前記界面フィードバック信号を取得した位置のマイナス方向に所定長さを加算し、前記界面フィードバック信号を取得できなくなった位置のプラス方向に所定長さを加算してy軸可動範囲を設定するy軸可動範囲設定ステップと、
の処理をすることにより、前記超音波検査装置が前記被検査体を検査するときの前記プローブの可動範囲を設定する
ことを特徴とする、プローブの可動範囲設定方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。ただし、本発明は以下の例に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変形して実施できる。また、複数の実施形態を組み合わせることもできる。同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略するものとする。
【0010】
図1は、本実施形態に係る超音波検査装置200のブロック図である。超音波検査装置200は、接合面301aを有する被検査体300への超音波検査を行うものである。被検査体300は例えば半導体部品であり、接合面301aは例えば半導体部品におけるシリコンチップとモールド樹脂との接合面である。被検査体300では、接合面301a及び表面301b(後記する)のそれぞれのz軸方向位置(即ち高さ)が、x軸方向及びy軸方向の全域で同じになっている。超音波検査装置200によれば、例えば半導体部品等の被検査体300における接合面301aでの欠陥(例えばボイド)を検出できる。
【0011】
超音波検査装置200は、超音波検査装置本体部201と、可動範囲設定装置100とを備える。可動範囲設定装置100は、超音波検査装置本体部201での被検査体300の超音波検査時、プローブ202(後記する)の可動範囲を、被検査体300を検査する前段階において設定するものである。前段階とは、検査をする直近の段階である。以下、「超音波検査」との文言は、特に断らない限り、設定された可動範囲でのプローブ202の移動により、被検査体300内部の欠陥検出のために行う超音波検査をいう。なお、プローブ202の真下に超音波が照射されるため、プローブ202のx軸、y軸及びz軸方向の可動範囲は、超音波のx軸方向、y軸方向及びz軸方向の照射範囲と一致する。そのため、プローブ202の可動範囲設定により、超音波の照射範囲が設定される。
【0012】
超音波検査装置本体部201は、プローブ202と、駆動装置203と、演算処理装置204とを備える。プローブ202は、被検査体300への超音波照射を行うものである。駆動装置203は、x軸、y軸及びz軸方向へのプローブ202の移動を行うものである。駆動装置203は、例えばアクチュエータである。
【0013】
演算処理装置204は、被検査体300への超音波照射により取得された被検査体300からの透過波又は反射波の何れかのピークを演算処理するものである。超音波検査装置本体部201が透過型である場合には透過波のピークが、反射型である場合には反射波のピークが演算処理される。演算処理装置204によるピークの演算処理により、接合面301aでの欠陥を検出できる。また、演算処理装置204によって接合面301aの様子を映像化することもできる。演算処理装置204は、いずれも図示しないが、CPUと、ROMと、RAMと、I/Fとを備える。そして、ROMに記録されたプログラムがCPUによって実行されることで、演算処理装置204が具現化される。
【0014】
図2は、本実施形態に係る超音波検査装置200に備えられる超音波検査装置本体部201の斜視図である。超音波検査装置本体部201は、超音波照射を行った被検査体300からの透過波を受信する透過型、又は、被検査体300での反射波を受信する反射型のいずれでもよい。超音波検査装置本体部201は、水6を貯める水槽7を備える。水6の中には、載置台60が配置される。被検査体300は、載置台60に載置される。被検査体300は、超音波を照射するプローブ202(送信プローブ)とプローブ252(受信プローブ)との間に配置される。載置台60は、超音波を透過する材料、例えば、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、アクリル樹脂等のプラスチック材料により構成される。
【0015】
取り付け部品55は、x軸走査部51及びz軸走査部53を固定し、取り付け部品56は、x軸走査部51及びz軸走査部54を固定する。取り付け部品55と取り付け部品56とは、互いにネジ等の締結具により一体化される。
図2の矢印のように、x軸走査部51のx軸方向への駆動により、x軸走査部51に取り付けられたプローブ202,252がx軸方向に移動する。y軸走査部52は、x軸走査部51に固定される。
図2の矢印のように、y軸走査部52のy軸方向への駆動により、x軸走査部51等を介して接続されたプローブ202,252がy軸方向に移動する。プローブホルダ57は、プローブ202を固定するためのホルダであり、z軸走査部53を介してz軸方向に駆動する。L字金具58は、プローブ252を固定するための金具である。
図2の矢印のように、z軸走査部53,54のz軸方向への駆動により、プローブ202,252がz軸方向に移動する。
【0016】
x軸走査部51、y軸走査部52、z軸走査部53,54は、それぞれ、
図2では図示しない駆動装置203(
図1参照)に接続される。x軸走査部51、y軸走査部52及びz軸走査部53,54は、それぞれ駆動装置203によって、x軸方向、y軸方向及びz軸方向に移動する。なお、プローブ202,252は、特に断らない限り追従して移動する。
【0017】
x軸走査部51、y軸走査部52、z軸走査部53,54には、それぞれ、エンコーダ(図示しない)が接続される。エンコーダにより、x軸走査部51、y軸走査部52、z軸走査部53,54の駆動により移動するプローブ202,252のx軸方向位置、y軸方向位置及びz軸方向位置が把握される。
【0018】
図3は、本実施形態に係る超音波検査装置200に備えられる超音波検査装置本体部201の断面図である。z軸走査部53が、
図3の矢印に示すように駆動することで、プローブ202はz軸方向に移動する。また、z軸走査部54が、
図3の矢印に示すように駆動することで、プローブ252はz軸方向に移動する。つまり、z軸方向において、プローブ202とプローブ252とは、独立して移動可能である。
【0019】
図4は、本実施形態に係るプローブ202の可動範囲設定装置100のブロック図である。可動範囲設定装置100は、上記の演算処理装置204と一体に構成されてもよく、別体に構成されてもよい。可動範囲設定装置100が別体に構成される場合、可動範囲設定装置100は、いずれも図示しないが、CPUと、ROMと、RAMと、I/Fとを備える。そして、ROMに記録されたプログラムがCPUによって実行されることで、可動範囲設定装置100が具現化される。
【0020】
可動範囲設定装置100は、接合面301aを有する被検査体300への超音波検査を行う超音波検査装置200において、被検査体300への超音波の照射を行うプローブ202の可動範囲を設定するものである。可動範囲設定装置100により、設定されたx軸可動範囲、y軸可動範囲及びz軸可動範囲でのプローブ202の移動を行うことができる。被検査体300のx軸方向及びy軸方向でのみ超音波検査を行うことができる。このため、被検査体300の不存在領域で超音波照射を行う必要が無くなり、超音波検査を迅速に行うことができる。
【0021】
可動範囲設定装置100は、x軸可動範囲設定部101と、y軸可動範囲設定部111と、z軸可動範囲設定部121とを備える。可動範囲設定装置100は、z軸可動範囲設定部121により設定されたz軸可動範囲でのプローブ202の移動により、x軸可動範囲設定部101によるx軸可動範囲の設定、及び、y軸可動範囲設定部111によるy軸可動範囲の設定を行う。そこで、以下の説明では、はじめにz軸可動範囲設定部121の説明を行い、次いで、x軸可動範囲設定部101及びy軸可動範囲設定部111の説明を行う。
【0022】
z軸可動範囲設定部121は、被検査体300の高さ方向であるz軸方向へのプローブ202の移動により、プローブ202のz軸方向へのz軸可動範囲を設定するものである。z軸可動範囲設定部121により、z軸可動範囲を設定できる。z軸可動範囲でのプローブ202の移動により、プローブ202の被検査体300への接触を抑制できる。
【0023】
z軸可動範囲設定部121は、最下端位置設定部122と、最上端位置設定部123とを備える。最下端位置設定部122は、プローブ202が被検査体300の表面301bの何れの位置とも干渉しない最至近距離の位置となるz軸方向の位置である最下端位置を設定するものである。最下端位置の設定により、プローブ202の被検査体300への接触を抑制できる。最上端位置設定部123は、最下端位置からプローブ202の焦点距離の大きさ分だけ高い位置である最上端位置を設定するものである。最上端位置の設定により、基準位置設定までの時間を短くできる。z軸可動範囲設定部121は、最下端位置と最上端位置との間をz軸可動範囲として設定する。z軸可動範囲でのプローブ202の移動により、後記する表面フィードバック信号及び界面フィードバック信号が取得される。最下端位置及び最上端位置について、
図5を参照しながら説明する。
【0024】
図5は、z軸可動範囲設定時の最下端位置及び最上端位置を説明する図である。例えば使用者が目視しながら、プローブ202が、初期位置から、プローブ202の先端位置が被検査体300の表面301bの何れの位置とも干渉しない最至近距離の位置となるz軸方向の位置である最下端位置にまで、下ろされる。最下端位置は、例えば被検査体300の表面301bからの長さL1が例えば数mm(例えば、1mm、2mm、3mm程度)の位置である。
【0025】
図5(a)は、プローブ202が最下端位置に配置された状態である。最下端位置設定部122は、例えば使用者による設定ボタン(図示しない)の押下等をトリガーとして、プローブ202の最下端位置を設定することができる。ただし、例えばプローブ202から被検査体300の表面301bまでの距離を測定する距離測定装置(レーザ光照射装置等)をプローブ202に取り付け、測定された距離に基づいて自動で最下端位置に下ろして最下端位置を設定してもよい。
【0026】
最下端位置の設定後、最上端位置設定部123は、
図5(b)に示すように、プローブ202を、プローブ202の焦点距離L2の大きさ分だけ高い位置である最上端位置にまで上方に移動させる。プローブ202の移動は、駆動装置203(
図1参照)を介して行われる。上方への移動中、振動子面202aからの超音波202bの照射を行う例を図示したが、行われなくてもよい。
【0027】
プローブ202の上方への移動中、プローブ202の焦点位置は接合面301a及び表面301bを通過する。このため、詳細は後記するが、最上端位置からプローブ202を下げる途中で、後記する表面フィードバック信号及び界面フィードバック信号(何れも
図6参照)を取得できる。なお、表面フィードバック信号及び界面フィードバック信号のいずれかの信号を取得できない場合には、設定された最下端位置が高過ぎる可能性がある。そこで、例えば、設定された最下端位置をさらに下げる旨の報知を作業者に対して行い、作業者に対してプローブ202の下方への移動を促すようにすればよい。これにより、新たに設定された最下端位置と最上端位置との間で、表面フィードバック信号及び界面フィードバック信号を取得できる。
【0028】
図4に戻って、z軸可動範囲設定部121は、基準位置設定部124と、接合面位置設定部125とを備える。
【0029】
基準位置設定部124は、超音波を被検査体300に照射しながら最上端位置からプローブ202を下ろし、被検査体300の表面301bに起因して生成した表面フィードバック信号のピークが最大となる取得位置に対応するz軸方向位置を基準位置として設定するものである。また、接合面位置設定部125は、超音波を被検査体300に照射しながら基準位置からプローブ202を下ろし、接合面301aに起因して生成した界面フィードバック信号の取得位置に対応するz軸方向位置を接合面位置として設定するものである。表面フィードバック信号及び界面フィードバック信号の取得は、プローブ202を下ろすことに加えて、必要に応じてプローブ202を上げる(上下動する)ことで行ってもよい。表面フィードバック信号及び界面フィードバック信号について、
図6を参照しながら説明する。
【0030】
図6は、プローブ202の下方移動中に取得される表面フィードバック信号及び界面フィードバック信号を説明する図である。最上端位置からのプローブ202の下方への移動中、プローブ202の焦点Fは表面301b及び接合面301aを通過する。このため、例えば表面301bをプローブ202の焦点Fが通過するとき、超音波の透過波を受信するプローブ252(
図6では図示しない)では、被検査体300の表面301bに起因して生成した表面フィードバック信号が取得される。そこで、基準位置設定部124は、表面フィードバック信号のピークが最大となる位置で取得されたときのプローブ202のz軸方向位置を基準位置として設定する。基準位置の設定により、表面301bに焦点が合うプローブ202のz軸方向位置を設定できる。設定された基準位置は、後記するx軸可動範囲及びy軸可動範囲の設定時に使用される。
【0031】
また、例えば接合面301aをプローブ202の焦点Fが通過するとき、超音波の透過波を受信するプローブ252(
図6では図示しない)では、接合面301aに起因して生成した界面フィードバック信号が取得される。接合面位置設定部125は、界面フィードバック信号のピークが最大となる位置で取得されたときのプローブ202のz軸方向位置を接合面位置として設定する。接合面位置の設定により、接合面301aに焦点が合うプローブ202のz軸方向位置を設定できる。設定された接合面位置は、後記するx軸可動範囲及びy軸可動範囲の設定時に使用される。
【0032】
最上端位置と最下端位置(いずれも
図5参照)との間で設定されるz軸可動範囲でのプローブ202の移動により、表面フィードバック信号及び界面フィードバック信号(いずれも情報の一例)を取得できる。具体的には、超音波を照射しながらz軸可動範囲でのプローブ202の移動時、被検査体300からの透過波又は反射波の何れかのピークが取得される。なお、超音波検査装置本体部201が透過型である場合には透過波が、反射型である場合には反射波が取得される。そして、取得したピークに基づき、被検査体300の表面301bのz軸方向位置、及び、接合面301aのz軸方向位置を決定できる。これにより、後記するx軸可動範囲及びy軸可動範囲を設定できる。即ち、z軸可動範囲の設定時に取得した情報に基づいて、x軸可動範囲及びy軸可動範囲を設定できる。
【0033】
z軸可動範囲設定後には、後記する位置条件判断部131(
図4参照)は、z軸可動範囲設定時のプローブ202のx軸方向及びy軸方向の位置に基づき、後記する位置条件の成否判断が行われる。位置条件の成否により、載置台60での超音波の照射範囲が設定される。ただし、位置条件の成否に関わらず、被検査体300への超音波照射を行う点は同じである。そこで、便宜のため、はじめにx軸可動範囲設定部101及びy軸可動範囲設定部111の説明を行い、次いで位置条件判断部131の説明を行う。
【0034】
図4に戻って、x軸可動範囲設定部101は、被検査体300の表面301bの延在方向であるx軸方向へのプローブ202の移動により、プローブ202のx軸方向へのx軸可動範囲を設定するものである。x軸可動範囲及び後記するy軸可動範囲の設定は、上記のようにして設定されたz軸可動範囲でのプローブ202の移動により得られた情報(例えば表面フィードバック信号及び界面フィードバック信号)に基づき、行われる。x軸可動範囲設定部101により、x軸可動範囲を設定できる。x軸可動範囲の設定により、x軸方向への超音波検査を精度良く行うことができる。
【0035】
x軸可動範囲設定部101は、接合面x軸第1端設定部102と、接合面x軸第2端設定部103とを備える。接合面x軸第1端設定部102は、x軸方向において、接合面位置に配置したプローブ202を、接合面301aの一方の外側から接合面301aの他方の外側に向かって超音波を照射しながら移動させ、最初の界面フィードバック信号の取得位置に対応するx軸方向位置を接合面x軸第1端x1(
図7参照)として設定するものである。接合面x軸第2端設定部103は、最初の界面フィードバック信号の検出後、接合面位置に配置したプローブ202の移動継続中に界面フィードバック信号を取得できなくなったx軸方向位置を接合面x軸第2端x2(
図7参照)として設定するものである。接合面x軸第1端x1及び接合面x軸第2端x2について
図7を参照しながら説明する。
【0036】
図7は、プローブ202のx軸方向移動中に設定される接合面x軸第1端x1及び接合面x軸第2端x2を説明する図である。x軸方向において、接合面位置に配置したプローブ202からの超音波照射により、プローブ202から照射される超音波202bの焦点Fは接合面301aと一致する。x軸方向において、被検査体300の内側であってかつ接合面301aの外側である位置x0でプローブ202から超音波を照射しても、接合面301aが不存在であるため界面フィードバック信号(
図6参照)は取得されない。
【0037】
しかし、プローブ202のz軸方向位置を変えずに、接合面301aの一方の外側から接合面301aの他方の外側に向かって超音波を照射しながらx軸方向に移動させれば、超音波202bの焦点Fが接合面301aと重なるときに、最初の界面フィードバック信号のピークが取得される。より具体的には例えば、被検査体300の一のx軸上のマイナス方向端点(被検査体300端部のx軸方向マイナス側位置)から対向するプラス方向端点(被検査体300端部のx軸方向プラス側位置)まで超音波を照射しながらx軸方向に移動させることができる。そして、接合面x軸第1端設定部102は、最初の界面フィードバック信号のピークを取得したときのプローブ202のx軸方向位置を、接合面x軸第1端x1と設定する。
【0038】
接合面x軸第1端x1から更にプローブ202をx軸方向に移動させると、超音波202bの焦点Fは接合面301aのx軸方向の終点に至り、接合面301aが存在しない領域に入る。即ち、接合面301aのx軸方向の終点までは界面フィードバック信号のピークが取得されるが、接合面301aが存在しない領域では界面フィードバック信号は取得されない。そこで、接合面x軸第2端設定部103は、最後に界面フィードバック信号のピークが取得されたx軸方向位置、即ち、界面フィードバック信号を取得できなくなったプローブ202のx軸方向位置を、接合面x軸第2端x2と設定する。
【0039】
x軸可動範囲設定部101が接合面x軸第1端x1と接合面x軸第2端x2との間をx軸可動範囲として設定することで、接合面x軸第1端x1と接合面x軸第2端x2との間でプローブ202を移動できる。これにより、超音波検査時、プローブ202の焦点Fが接合面301aと重なるようにプローブ202をx軸方向に移動でき、接合面301aでの欠陥を検出できる。
【0040】
なお、接合面x軸第2端設定部103による接合面x軸第2端x2の設定後には、プローブ202の移動方向を反転(即ち折り返し)させてもよい。反転により、仮に接合面301aの途中での超音波照射を開始した場合に、再度界面フィードバック信号を取得できなくなった位置を、接合面301aのx軸端として設定できる。
【0041】
この例では、接合面301aのx軸方向両端部に対応する位置で、プローブ202の接合面x軸第1端x1及び接合面x軸第2端x2が設定される。従って、所謂マージンは0である。しかし、例えば上面視で矩形の載置台60の各辺に対して角度を有するように、例えば上面視で矩形の被検査体300が斜めに載置される場合がある。この場合、超音波検査時、特に接合面301aの端部において超音波202bの焦点Fが重ならない可能性がある。そこで、所謂マージンを設定したうえで、x軸可動範囲が設定されることが好ましい。具体的には、x軸可動範囲設定部101は、接合面x軸第1端x1から接合面301aの外側方向(マイナス方向)に所定長さα離れた位置と、接合面x軸第2端x2から接合面301aの外側方向(プラス方向)に所定長さα離れた位置との間をx軸可動範囲として設定することが好ましい。これにより、超音波検査時、載置台60に対して被検査体300が斜めに載置された場合であっても、被検査体300の接合面301aの全域を超音波検査できる。
【0042】
図4に戻って、x軸方向でのマージン設定のため、x軸可動範囲設定部101は、表面x軸第1端設定部104と、表面x軸第2端設定部105と、x軸マージン設定部106とを備える。表面x軸第1端設定部104は、x軸方向において、基準位置に配置したプローブ202を、被検査体300の一方の外側から被検査体300の他方の外側に向かって超音波を照射しながら移動させ、最初の表面フィードバック信号の取得位置に対応するx軸方向位置を表面x軸第1端x11(
図8参照)として設定するものである。表面x軸第2端設定部105は、最初の表面フィードバック信号の検出後、基準位置に配置したプローブ202の移動継続中に表面フィードバック信号を取得できなくなったx軸方向位置を表面x軸第2端x12(
図8参照)として設定するものである。x軸マージン設定部106は、x軸可動範囲の各端が、表面x軸第1端x11と接合面x軸第1端x1との間、及び、表面x軸第2端x12と接合面x軸第2端x2との間に位置するように、所定長さαを設定するものである。所定長さαの設定方法について、
図8を参照しながら説明する。
【0043】
図8は、x軸可動範囲での所定長さαの設定方法を説明する図である。
図8には、上記の接合面x軸第1端x1及び接合面x軸第2端x2も図示している。x軸方向において、基準位置に配置したプローブ202により超音波を照射すると、プローブ202から照射される超音波202bの焦点Fは被検査体300の表面301bと一致する。x軸方向において、被検査体300の外側である位置x10でプローブ202から超音波を照射しても、表面301bが不存在であるため表面フィードバック信号(
図6参照)は取得されない。しかし、プローブ202のz軸方向位置を変えずにx軸方向に移動させれば、超音波202bの焦点Fが表面301bと重なるときに、最初の表面フィードバック信号のピークが取得される。そこで、表面x軸第1端設定部104は、最初の表面フィードバック信号のピークを取得したときのプローブ202のx軸方向位置を、表面x軸第1端x11と設定する。
【0044】
表面x軸第1端x11から更にプローブ202をx軸方向に移動させると、超音波202bの焦点Fは上記の接合面x軸第1端x1を通過し、表面301bの終点(端部)に至る。その後は、被検査体300の表面301bが存在しない領域に超音波202bが照射される。即ち、表面301bのx軸方向の終点までは表面フィードバック信号のピークが取得されるが、表面301bが存在しない領域では表面フィードバック信号は取得されない。そこで、表面x軸第2端設定部105は、最後に表面フィードバック信号のピークが取得されたx軸方向位置、即ち、表面フィードバック信号を取得できなくなったプローブ202のx軸方向位置を、表面x軸第2端x12と設定する。
【0045】
表面x軸第1端x11と表面x軸第2端x12との間でプローブ202を移動させることで、焦点Fを被検査体300の表面301bと重ねることができる。
【0046】
なお、表面x軸第2端設定部105による表面x軸第2端x12の設定後には、プローブ202の移動方向を反転(即ち折り返し)させてもよい。反転により、仮に表面301bの途中での超音波照射を開始した場合に、再度表面フィードバック信号を取得できなくなった位置を、表面301bのx軸端として設定できる。
【0047】
x軸マージン設定部106(
図4参照)は、x軸可動範囲の各端が、表面x軸第1端x11と接合面x軸第1端x1との間、及び、表面x軸第2端x12と接合面x軸第2端x2との間に位置するように、所定長さαを設定する。具体的には、例えば、x軸マージン設定部106は、表面x軸第1端x11と接合面x軸第1端x1との例えば中点位置であるx21と、表面x軸第2端x12と接合面x軸第2端x2との例えば中点位置であるx22との間でx軸可動範囲が構成されるように、所定長さαを設定する。ただし、所定長さαはそれぞれの中点位置に限定されるものではない。
【0048】
図9は、本実施形態の可動範囲設定装置100により設定されたx軸可動範囲及びy軸可動範囲を示す被検査体300の上面図である。
図9に示す超音波照射範囲401は、上記の方法で設定したx軸可動範囲と、後記するy軸可動範囲設定部11により設定されたy軸可動範囲とに基づいて示している。
【0049】
超音波検査時、被検査体300への超音波照射は、
図9において太実線で囲まれる超音波照射範囲401(接合面301aを含む)に対して行われる。例えば、超音波照射は、超音波照射範囲401において、y軸方向位置を固定したプローブ202をx軸方向に移動させてx軸可動範囲全域で行った後、y軸方向位置をずらして再度x軸方向全域で行うことができる。そして、これらの操作をy軸可動範囲全域で繰り返すことで、超音波照射範囲401の全域で超音波照射を行うことができる(所謂クロススキャン)。
【0050】
超音波照射範囲401は、被検査体300の内側に存在し、被検査体300の外側(即ち被検査体300の不存在部分)には超音波は照射されない。一方で、超音波照射範囲401は、上面視で矩形状の接合面301aの全体を含む。超音波照射範囲401は、x軸方向及びy軸方向のそれぞれにおいて、接合面301aから被検査体300の外側に向かう所定長さαのマージンを有して形成される。x軸可動範囲がマージンを持つことで、超音波検査時、接合面301aのx軸方向に対してマージンを持った超音波の照射を行うことができ、接合面301aの特に端部を十分に検査できる。
【0051】
なお、所定長さαは、被検査体300の置かれた状態によって変化し得る。そこで、所定長さは、被検査体300ごとに設定することが好ましい。また、所定長さは、x軸方向とy軸方向とで同じでもよく、異なっていてもよい。
【0052】
図4に戻って、y軸可動範囲設定部111は、被検査体300の表面301bの延在方向であるとともにx軸と直交するy軸方向へのプローブ202の移動により、プローブ202のy軸方向へのy軸可動範囲を設定するものである。y軸可動範囲の設定により、y軸方向への超音波検査を精度良く行うことができる。y軸可動範囲は、設定対象となる軸が異なること以外は上記のx軸可動範囲の設定方法と同様にして設定できる。そこで、説明の簡略化のために、以下の説明では、上記の説明と重複する説明は省略する。
【0053】
y軸可動範囲設定部111は、接合面y軸第1端設定部112と、接合面y軸第2端設定部113とを備える。
【0054】
接合面y軸第1端設定部112は、x軸をy軸にしたこと以外は、上記の接合面x軸第1端設定部102と同様である。即ち、接合面y軸第1端設定部112は、y軸方向において、接合面位置に配置したプローブ202を、接合面301aの一方の外側から接合面301aの他方の外側に向かって超音波を照射しながら移動させ、最初の界面フィードバック信号の取得位置に対応するy軸方向位置を接合面y軸第1端(図示しない)として設定するものである。より具体的には例えば、被検査体300の一のy軸上のマイナス方向端点(被検査体300端部のy軸方向マイナス側位置)から対向するプラス方向端点(被検査体300端部のy軸方向プラス側位置)まで超音波を照射しながらy軸方向に移動させることができる。
【0055】
接合面y軸第2端設定部113は、x軸をy軸にしたこと以外は、上記の接合面x軸第2端設定部103と同様である。即ち、接合面y軸第2端設定部113は、最初の界面フィードバック信号の検出後、接合面位置に配置したプローブ202の移動継続中に界面フィードバック信号を取得できなくなったy軸方向位置を接合面y軸第2端(図示しない)として設定するものである。
【0056】
接合面y軸第1端設定部112及び接合面y軸第2端設定部113を備えることで、超音波検査時、プローブ202の焦点Fが接合面301aと重なるようにプローブ202をy軸方向に移動でき、接合面301aでの欠陥を検出できる。
【0057】
y軸可動範囲設定部111は、上記のx軸可動範囲設定部101と同様に、y軸可動範囲にマージンを設定するものである。即ち、y軸可動範囲設定部111は、接合面y軸第1端から接合面301aの外側方向(マイナス方向)に所定長さ離れた位置と、接合面y軸第2端から接合面301aの外側方向(プラス方向)に所定長さ離れた位置との間を前記y軸可動範囲として設定するものである。マージン設定のため、y軸可動範囲設定部111は、表面y軸第1端設定部114と、表面y軸第2端設定部115と、y軸マージン設定部116とを備える。
【0058】
表面y軸第1端設定部114は、x軸をy軸にしたこと以外は、表面x軸第1端設定部104と同様である。即ち、表面y軸第1端設定部114は、y軸方向において、基準位置に配置したプローブ202を、被検査体300の一方の外側から被検査体300の他方の外側に向かって超音波を照射しながら移動させ、最初の表面フィードバック信号の取得位置に対応するy軸方向位置を表面y軸第1端(図示しない)として設定するものである。
表面y軸第2端設定部115は、x軸をy軸にしたこと以外は、上記の表面x軸第2端設定部105と同様である。即ち、表面y軸第2端設定部115は、最初の表面フィードバック信号の検出後、基準位置に配置したプローブ202の移動継続中に表面フィードバック信号を取得できなくなったy軸方向位置を表面y軸第2端(図示しない)として設定するものである。
y軸マージン設定部116は、x軸をy軸にしたこと以外は、上記のx軸マージン設定部106と同様である。即ち、y軸マージン設定部116は、y軸可動範囲の各端が、表面y軸第1端と接合面y軸第1端との間、及び、表面y軸第2端と接合面y軸第2端との間に位置するように、所定長さを設定するものである。
【0059】
表面y軸第1端設定部114、表面y軸第2端設定部115、及びy軸マージン設定部116を備えることで、y軸可動範囲にマージンを持たせることができる。y軸可動範囲がマージンを持つことで、超音波検査時、接合面301aのy軸方向に対してマージンを持った超音波の照射を行うことができ、接合面301aの特に端部を十分に検査できる。
【0060】
可動範囲設定装置100は、位置条件判断部131を備える。位置条件判断部131は、載置台60の中央(厳密な中央に限られず、ある程度幅を有してもよい)に被検査体300が載置されているか否かを判断するものである。この判断は、上記のように、z軸可動範囲設定後、x軸可動範囲及びy軸可動範囲設定前に行われる。このため、被検査体300の上方には、z軸可動範囲設定のために使用したプローブ202が配置されている。そこで、位置条件判断部131は、プローブ202の位置が、x軸方向位置が被検査体300の載置台60のx軸方向中央であり、かつ、y軸方向位置が被検査体300の載置台60のy軸方向中央である位置条件を満たすか否かを判断する。なお、プローブ202のx軸方向位置及びy軸方向位置は、上記のようにエンコーダ(図示しない)によって例えば座標として把握できる。
【0061】
載置台60は、通常、プローブ202が移動可能な位置と一致し、載置台60の全領域に対して超音波を照射できる。従って、被検査体300が載置台60からはみ出さなければ、載置台60のどの位置に被検査体300が載置されても、可動範囲設定のための接合面301a及び表面301bの位置を決定できる。しかし、例えば、被検査体300が上面視で矩形の載置台60の四隅のうちの1つの隅付近に配置された場合、残り3つの隅付近には被検査体300が存在しないため、超音波を照射する必要がない。そこで、位置条件判断部131により被検査体300の載置位置に応じて超音波照射位置を変更することで、被検査体300の不存在領域には超音波が照射されず、可動範囲設定に要する時間を削減できる。
【0062】
可動範囲設定装置100は、照射範囲設定部132を備える。照射範囲設定部132は、位置条件判断部131によって位置条件を満たさないと判断された場合に、x軸方向へ及びy軸方向への超音波照射範囲402(
図10参照)を設定するものである。設定された超音波照射範囲402への超音波照射により、
図7を参照しながら説明した接合面301aのx軸方向位置及びy軸方向位置が設定される。これにより、x軸可動範囲設定部101及びy軸可動範囲設定部111による可動範囲設定が行われる。なお、位置条件を満たした場合には、載置台60の全域を超音波照射範囲402とした超音波照射が行われる。
【0063】
照射範囲設定部132は、x軸方向距離決定部133と、y軸方向距離決定部134とを備える。x軸方向距離決定部133は、x軸方向において、プローブ202から載置台60の端部までの距離のうちの最も短い部分の距離を決定するものである。y軸方向距離決定部134は、y軸方向において、プローブ202から載置台60(載置台の一例)の端部までの距離のうちの最も短い部分の距離を決定するものである。照射範囲設定部132は、決定されたx軸方向への距離及びy軸方向への距離に基づいて、超音波照射範囲401を設定する。
【0064】
図10は、本実施形態の超音波検査装置200に備えられる載置台60の上面図であり、被検査体300の位置と、照射範囲設定部132により設定された超音波照射範囲402との関係を示す図である。
図10には、一例として、載置台60の四隅のうち、上面視で左下の隅付近に被検査体300が載置された状態を示している。
【0065】
x軸方向距離決定部133(
図4参照)は、プローブ202の位置Pから、載置台60の対向する2つの端部60a,60bまでのx軸方向の距離X1、X2を算出する。距離X1、X2は、上記のエンコーダによって把握されたプローブ202のx軸方向位置に基づいて算出できる。x軸方向距離決定部133は、算出された距離X1、X2のうち、短い方の距離を決定する。
図10に示す例では、x軸方向距離決定部133は、X2よりも短いX1を採用する。
【0066】
y軸方向距離決定部134(
図4参照)は、プローブ202の位置Pから、載置台60の対向する2つの端部60c,60dまでのy軸方向の距離Y1、Y2を算出する。距離Y1、Y2は、上記のエンコーダによって把握されたプローブ202のy軸方向位置に基づいて算出できる。y軸方向距離決定部134は、算出された距離Y1、Y2のうち、短い方の距離を決定する。
図10に示す例では、y軸方向距離決定部134は、Y2よりも短いY1を採用する。
【0067】
照射範囲設定部132は、採用された距離X1、Y1に基づいて、超音波照射範囲402を設定する。具体的には、照射範囲設定部132は、プローブ202のx軸方向位置(P)を中点とする、x軸方向距離決定部133により決定された距離X1の2倍の範囲内、かつ、プローブ202のy軸方向位置(P)を中点とする、y軸方向距離決定部134により決定された距離Y1の2倍の範囲内を超音波照射範囲402として設定する。従って、超音波照射範囲402は、被検査体300の載置位置が載置台60の中央に近いほど大きく、四隅に近いほど小さくなる。
【0068】
そして、x軸可動範囲設定部101は、照射範囲設定部132により設定された超音波照射範囲402での超音波照射により、接合面x軸第1端x1及び接合面x軸第2端x2を設定する。また、y軸可動範囲設定部111は、照射範囲設定部132により設定された超音波照射範囲402での超音波照射により、接合面y軸第1端及び接合面y軸第2端(いずれも図示しない)を設定する。このようにすることで、載置台60全体への超音波照射と比べて、接合面x軸第1端x1等の設定時間を削減できる。
【0069】
図4に戻って、可動範囲設定装置100は、記憶部135を備える。記憶部135は、x軸可動範囲設定部101により設定されたx軸可動範囲、y軸可動範囲設定部111により設定されたy軸可動範囲、及び、z軸可動範囲設定部121により設定されたz軸可動範囲を記憶するものである。記憶部135を備えることで、超音波検査時、記憶された可動範囲でプローブ202を移動させて、被検査体300を超音波検査できる。
【0070】
以上の構成を備えるプローブ202の可動範囲設定装置100によれば、超音波検査時におけるプローブ202のx軸可動範囲、y軸可動範囲及びz軸可動範囲を被検査体300を検査する前段階において設定できる。
【0071】
図11は、本実施形態に係るプローブ202の可動範囲設定方法を含む超音波検査方法のフローチャートである。本実施形態のプローブ202の可動範囲設定方法は、可動範囲設定装置100によって実行できる。本実施形態のプローブ202の可動範囲設定方法は、被検査体300を検査する前段階において、接合面301aを有する被検査体300への超音波検査を行う超音波検査装置200において、被検査体300への超音波の照射を行うプローブ202の可動範囲を設定する方法である。即ち、本実施形態のプローブ202の可動範囲設定方法は、被検査体300の表面302bにおいてプローブ202から超音波を照射して、接合面301aの欠陥を検出する超音波検査装置200において、被検査体300を検査する前段階において、プローブ202の可動範囲を設定するプローブ可動範囲設定方法である。
【0072】
本実施形態のプローブの可動範囲設定方法は、z軸可動範囲設定ステップS1と、位置条件判断ステップS2と、照射範囲設定ステップS3と、x軸可動範囲設定ステップS4と、y軸可動範囲設定ステップS5とを含む。本実施形態のプローブ202の可動範囲設定方法は、これらの処理をすることにより、超音波検査装置200が被検査体300を検査するときのプローブ202の可動範囲を設定する。
図11では、x軸方向への走査とy軸方向への走査とは通常並行して行われるため(所謂クロススキャン)、x軸可動範囲設定ステップS4と、y軸可動範囲設定ステップS5とは並列に記載している。
【0073】
z軸可動範囲設定ステップS1は、被検査体300の高さ方向であるz軸方向へのプローブ202の移動により、プローブ202のz軸方向へのz軸可動範囲を設定するステップである。z軸可動範囲設定ステップS1は、z軸可動範囲設定部121によって実行できる。位置条件判断ステップS2は、上記位置条件を満たすか否かを判断するステップである。位置条件判断ステップS2は、位置条件判断部131によって実行できる。照射範囲設定ステップS3は、位置条件を満たさない場合に行われるものである。照射範囲設定ステップS3は、照射範囲設定部132によって実行される。
【0074】
x軸可動範囲設定ステップS4は、被検査体300の表面302bの延在方向であるx軸方向へのプローブ202の移動により、プローブ202のx軸方向へのx軸可動範囲を設定するステップである。x軸可動範囲設定ステップS4は、x軸可動範囲設定部101によって実行できる。y軸可動範囲設定ステップS5は、被検査体300の表面302bの延在方向であるとともにx軸と直交するy軸方向へのプローブ202の移動により、プローブ202のy軸方向へのy軸可動範囲を設定するステップである。y軸可動範囲設定ステップS5は、y軸可動範囲設定部111によって実行できる。
【0075】
本実施形態の超音波検査方法は、これらのステップにおいて設定された可動範囲でのプローブ202の移動により被検査体300の超音波検査を行う検査ステップS6を含む。検査ステップS6では、設定されたx軸可動範囲及びy軸可動範囲でのプローブ202の移動により超音波照射を行い、被検査体300の超音波検査が行われる。これにより、被検査体300の接合面301aでの欠陥を迅速に検出できる。
【0076】
図12は、本実施形態に係るプローブ202の可動範囲設定方法を説明するフローチャートであって、z軸可動範囲設定ステップS1の具体的内容を示すフローチャートである。z軸可動範囲設定ステップS1は、最下端位置設定ステップS11と、最上端位置設定ステップS12と、基準位置設定ステップS13と、接合面位置設定ステップS14とを含む。
【0077】
最下端位置設定ステップS11は、最下端位置設定部122によって実行できる。最下端位置設定ステップS11は、プローブ202を、初期位置からプローブ202の先端位置が被検査体300の表面301bから所定の間隙の位置(被検査体300の表面302bに干渉しない最至近距離の位置)までz軸下方向へ移動して停止し、その位置をプローブ202のz軸方向の最下端位置として設定することにより、プローブ202のz軸可動範囲の下限を設定するステップである。
【0078】
最上端位置設定ステップS12は、最上端位置設定部123によって実行できる。最上端位置設定ステップS12は、プローブ202を、最下端位置からプローブ202の焦点距離の大きさ相当分z軸上方向に移動して停止し、その位置をプローブ202のz軸方向の最上端位置として設定することにより、プローブ202のz軸可動範囲の上限を設定するステップである。
【0079】
基準位置設定ステップS13は、基準位置設定部124によって実行できる。基準位置設定ステップS13は、プローブ202を最上端位置からz軸下方向に移動させながら超音波を被検査体300の表面301bに照射して表面フィードバック信号を取得し、表面フィードバック信号のピークを検出して、ピークが最大となる位置に対応するプローブ202のz軸方向の位置を基準位置として設定するステップである。
【0080】
接合面位置設定ステップS14は、接合面位置設定部125によって実行できる。接合面位置設定ステップS14は、プローブ202をさらにz軸下方向に移動しながら超音波を照射して界面フィードバック信号を取得し、界面フィードバック信号のピークを検出して、ピークが最大となる位置に対応するプローブ202のz軸方向の位置を接合面位置として設定するステップである。
【0081】
これらのステップにより、被検査体300の表面301b及び接合面301aのz軸方向位置を決定できる。
【0082】
図13は、本実施形態に係るプローブの可動範囲設定方法を説明するフローチャートであって、x軸可動範囲設定ステップS4の具体的内容を示すフローチャートである。x軸可動範囲設定ステップS4は、プローブ202を接合面位置に設定し、被検査体300の一のx軸上の上記マイナス方向端点から対向する上記プラス方向端点まで超音波を照射しながら移動し、最初に界面フィードバック信号を取得した位置のマイナス方向に所定長さα(マージン)を加算し、界面フィードバック信号を取得できなくなった位置のプラス方向に所定長さα(マージン)を加算してx軸可動範囲を設定するステップである。
【0083】
x軸可動範囲設定ステップS4は、接合面x軸第1端設定ステップS41、接合面x軸第2端設定ステップS42、表面x軸第1端設定ステップS43、表面x軸第2端設定ステップS44、及びx軸マージン設定ステップS45を含む。接合面x軸第1端設定ステップS41は、接合面x軸第1端設定部102によって実行できる。接合面x軸第2端設定ステップS42は、接合面x軸第2端設定部103によって実行できる。表面x軸第1端設定ステップS43は、表面x軸第1端設定部104によって実行できる。表面x軸第2端設定ステップS44は、表面x軸第2端設定部105によって実行できる。x軸マージン設定ステップS45は、x軸マージン設定部106によって実行できる。これらのステップにより、x軸可動範囲を設定できる。
【0084】
図14は、本実施形態に係るプローブの可動範囲設定方法を説明するフローチャートであって、y軸可動範囲設定ステップS5の具体的内容を示すフローチャートである。y軸可動範囲設定ステップS5は、プローブ202を接合面位置に設定し、被検査体300の一のy軸上のマイナス方向端点(被検査体300端部のy軸方向マイナス側位置)から対向するプラス方向端点(被検査体300端部のy軸方向プラス側位置)まで超音波を照射しながら移動し、最初に界面フィードバック信号を取得した位置のマイナス方向に所定長さα(マージン)を加算し、界面フィードバック信号を取得できなくなった位置のプラス方向に所定長さα(マージン)を加算してy軸可動範囲を設定するステップである。
【0085】
y軸可動範囲設定ステップS5は、接合面y軸第1端設定ステップS51、接合面y軸第2端設定ステップS52、表面y軸第1端設定ステップS53、表面y軸第2端設定ステップS54、及びy軸マージン設定ステップS55を含む。接合面y軸第1端設定ステップS51は、接合面y軸第1端設定部112によって実行できる。接合面y軸第2端設定ステップS52は、接合面y軸第2端設定部113によって実行できる。表面y軸第1端設定ステップS53は、表面y軸第1端設定部114によって実行できる。表面y軸第2端設定ステップS54は、表面y軸第2端設定部115によって実行できる。y軸マージン設定ステップS55は、y軸マージン設定部116によって実行できる。これらのステップにより、y軸可動範囲を設定できる。
【0086】
以上のステップを備えるプローブ202の可動範囲設定方法によれば、超音波検査時におけるプローブ202のx軸可動範囲、y軸可動範囲及びz軸可動範囲を、被検査体300を検査する前段階において設定できる。
【解決手段】被検査体表面の延在方向であるx軸方向へのプローブの移動により、前記プローブのx軸方向へのx軸可動範囲を設定するx軸可動範囲設定部101と、前記被検査体表面の延在方向であるとともに前記x軸と直交するy軸方向への前記プローブの移動により、前記プローブのy軸方向へのy軸可動範囲を設定するy軸可動範囲設定部111と、前記被検査体の高さ方向であるz軸方向への前記プローブの移動により、前記プローブのz軸方向へのz軸可動範囲を設定するz軸可動範囲設定部121と、を備える。