(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記騒音源特定手段は、前記音量補正手段で補正された音の音量が一定時間以上継続して所定の騒音閾値以上の音量であった場合に、該当する前記集音地点を前記騒音地点に特定することを特徴とする請求項4記載の報知装置。
前記マイク再走査手段は、前記マイクの集音対象が前記騒音地点の中心に「らせん状」に走査するように前記マイク駆動手段を駆動させることを特徴とする請求項7記載の報知装置。
前記放音範囲算出手段は、前記騒音領域特定手段で特定された前記騒音領域における長手側の範囲を前記放音範囲として算出するものであることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の報知装置。
前記スピーカ制御手段は、前記騒音地点で観測された音の周波数とは異なる周波数の音を、前記報知音として前記スピーカから放音させることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の報知装置。
前記騒音源特定手段は、前記マイクで集音された音から前記報知音の周波数を除いた音に基づいて前記騒音地点を特定するものであることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の報知装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、警告機1は車輌3の視界に入るように設置されるが、車輌3の駐車位置や車輌3の大きさによって、指向性スピーカ1bからの指向性を有する音響が車輌3から逸脱し、車輌3に届かない虞がある。そうなると、車輌3の運転者に警告機1からの警告が伝達されず、また、車輌3を逸脱した音響が周辺への新たな騒音になるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、騒音源に対して的確に報知音を伝達させて騒音の低減を促進できると共に、報知音が騒音源から逸れて周辺の新たな騒音となるのを抑制できる報知装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の報知装置は、音を集音するマイクと、指向性を有する音を出力するスピーカと、そのスピーカの向きを変更させるスピーカ駆動手段と、前記スピーカから報知音を放音させる放音手段と、前記マイクで集音された音の音量に基づいて騒音源の位置である騒音地点を特定する騒音源特定手段と、その騒音源特定手段で特定された前記騒音地点に基づいて前記スピーカから報知音を出力させる放音範囲を算出する放音範囲算出手段と、前記放音手段による前記報知音が、前記放音範囲算出手段で算出された前記放音範囲内へ出力されるように前記スピーカ駆動手段を駆動させるスピーカ制御手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の報知装置によれば、マイクによって騒音地点の方向が特定され、その騒音地点に基づいてスピーカからの報知音を出力させる放音範囲が算出される。これにより、スピーカからの報知音が騒音源に基づく放音範囲内へ的確に伝達されるので、騒音の低減を促進できると共に、報知音が放音範囲から逸れて周辺の新たな騒音となるのを抑制できるという効果がある。
【0008】
請求項2記載の報知装置によれば、請求項1が奏する効果に加え、次の効果を奏する。マイクは指向性を有し、マイクの集音対象が前記騒音源を特定する範囲である特定範囲内の複数の集音地点を走査し、マイクで集音された集音地点の音に基づいて騒音地点が特定される。指向性のあるマイクによって集音地点毎の音を正確に取得できるので、その取得された集音地点の音に基づいて、騒音地点を正確に特定できるという効果がある。
【0009】
請求項3記載の報知装置によれば、請求項2が奏する効果に加え、次の効果を奏する。集音地点が、特定範囲内における所定の経路上に設けられ、マイクの集音方向がその所定の経路上を走査される。即ち所定の経路上に集音地点が設けられるので、特定範囲内の全体に集音地点を設ける場合と比較して、集音地点に対するマイクの集音および騒音地点の特定を、迅速に行うことができるという効果がある。
【0010】
請求項4記載の報知装置によれば、請求項2又は3が奏する効果に加え、次の効果を奏する。集音地点で集音された音の音量が、集音地点とマイクとの位置関係に基づいて補正され、その補正された音の音量が所定の騒音閾値以上の音量である場合に、該当する集音地点が騒音地点に特定される。従って、騒音地点の特定用いられる音の音量に対して、集音地点とマイクとの位置関係による影響が抑制されるので、集音地点毎に閾値を設けることなく、所定の騒音閾値によって騒音地点を容易に特定できるという効果がある。
【0011】
請求項5記載の報知装置によれば、請求項4が奏する効果に加え、次の効果を奏する。補正された音の音量が一定時間以上継続して所定の騒音閾値以上の音量である場合に、該当する集音地点が騒音地点に特定される。即ち瞬間的な騒音が発生した集音地点は騒音地点と特定されず、かかる集音地点に不必要な報知音が出力されない。これにより、報知音が周囲の騒音となることを抑制できるという効果がある。
【0012】
請求項6記載の報知装置によれば、請求項2から5のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。集音地点毎に、放音範囲内においてスピーカからの報知音を揺動させる放音方向が記憶される。騒音地点から、その騒音地点に該当する放音方向へマイクの集音対象を走査することで取得される音の音量のうち、特定閾値以上である領域が騒音領域に特定される。そして、その騒音領域から放音範囲が算出される。即ち騒音地点のみならず、その騒音地点の周囲において騒音が発生しているとされる騒音領域に基づいて放音範囲が算出され、その放音範囲に対して報知音が出力される。
【0013】
これにより、放音範囲を必要十分かつ最小限の範囲とできるので、騒音の低減をより効果的に促進できると共に、報知音が騒音領域から逸れて周囲の新たな騒音となるのを抑制できるという効果がある。また、放音方向が予め集音地点毎に記憶されているので、騒音領域の特定に際してマイクを走査させる方向を限定できる。これにより、騒音領域の特定を迅速にできるという効果がある。
【0014】
請求項7記載の報知装置によれば、請求項2から5のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。マイクによって取得される騒音地点の周囲の音の音量から、騒音領域が特定される。そして、その騒音領域から放音範囲が算出される。即ち騒音地点のみならず、その騒音地点の周囲において騒音が発生しているとされる騒音領域に基づいて放音範囲が算出され、その放音範囲に対して報知音が出力される。
【0015】
これにより、放音範囲を必要十分かつ最小限の範囲とできるので、騒音の低減をより効果的に促進できると共に、報知音が騒音領域から逸れて周囲の新たな騒音となるのを抑制できるという効果がある。また、マイクによって取得された騒音地点の周囲の音量に基づいて騒音領域が特定されるので、騒音領域および騒音領域に基づく放音範囲を正確に特定できるという効果がある。
【0016】
請求項8記載の報知装置によれば、請求項7が奏する効果に加え、次の効果を奏する。マイクの集音対象が騒音地点の中心とした「らせん状」に走査され、かかる走査によって取得された音の音量から騒音領域が特定される。これにより、騒音地点の周囲を隈なく走査できると共に、マイクの集音対象が重複することがないので、かかる走査を効率的に実行できるという効果がある。
【0017】
請求項9記載の報知装置によれば、請求項6から8のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。騒音領域における長手側の範囲が放音範囲として算出される。これにより、騒音範囲に対して報知音が広範囲に出力されるので、騒音の低減をより効果的に促進できるという効果がある。
【0018】
請求項10記載の報知装置によれば、請求項1から9のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。騒音地点で観測された音の周波数とは異なる周波数の音が、報知音としてスピーカから放音される。従って、騒音地点には騒音と異なる周波数からなる音が伝達されるので、報知音が騒音によって打ち消されるのを抑制できるという効果がある。
【0019】
請求項11記載の報知装置によれば、請求項1から10のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。マイクで集音された音から報知音の周波数帯を除いた音に基づいて騒音地点が特定される。これにより、騒音地点の特定に際し、報知音の影響を除くことができるので、報知音が騒音として誤検知されるのを抑制できるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1(a)は報知装置1の平面図であり、
図1(b)はその側面図である。報知装置1は、駐車場P1内の車両C(
図2(a)参照)のうち、エンジンやオーディオ等による騒音を発している車両Cに対し、騒音の停止を促す旨の音声(「エンジンを停止して下さい」等)で構成される報知音を出力する装置である。
図1に示す通り、報知装置1には、指向性マイク2と、指向性スピーカ3と、マイク駆動装置4と、スピーカ駆動装置5とが設けられる。
【0022】
指向性マイク2は、周囲の音を集音する入力装置であり、特定の集音方向の音を集音するように、指向性を有して構成される。指向性スピーカ3は、音を出力する出力装置であり、特定の放音方向に音を出力するように、指向性を有して構成される。
【0023】
マイク駆動装置4は、指向性マイク2の集音方向を変更させる装置である。マイク駆動装置4には、指向性マイク2の集音方向を水平方向に変更させるサーボモータ4aと、集音方向を垂直方向に変更させるサーボモータ4bとが設けられる。後述のCPU10(
図4(a)参照)からマイク駆動装置4に位置が指示された場合、指向性マイク2の集音方向が指示された位置を向くように、サーボモータ4a,4bが駆動される。
【0024】
スピーカ駆動装置5は、指向性スピーカ3の放音方向を変更させる装置である。スピーカ駆動装置5には、指向性スピーカ3の放音方向を水平方向に変更させるサーボモータ5aと、放音方向を垂直方向に変更させるサーボモータ5bとが設けられる。CPU10からスピーカ駆動装置5に位置が指示された場合、指向性スピーカ3の放音方向が指示された位置を向くように、サーボモータ5a,5bが駆動される。
【0025】
次に、
図2を参照して、報知装置1が設置される駐車場について説明する。
図2(a)は、報知装置1が設置される駐車場P1を表す図であり、
図2(b)はその側面図である。以下、
図2における紙面上下方向を「X方向」と称し、そのX方向と直交する方向のことを「Y方向」と称す。
【0026】
駐車場P1は、店舗STへ来店した客の車両Cを駐車する領域であり、店舗STの前方に設けられる。主に駐車場P1と人家Hとの間には、防音壁Wが配設される。駐車場P1には、車両Cを駐車する複数の駐車スペースPDが設けられる。本実施形態において駐車スペースPDは、店舗ST及び防音壁Wに沿って設けられる。店舗ST側の駐車スペースPDにおける店舗ST側、および防音壁W側の駐車スペースPDにおける防音壁W側には、車両Cのタイヤを止める車止めBが設けられる。
【0027】
報知装置1は、
図2(b)に示す通り、店舗STにおける駐車場P1側の壁面に配設され、報知装置1の指向性マイク2の集音方向および指向性スピーカ3の放音方向が、駐車場P1内全体に向けられるように設けられる。本実施形態では、駐車場P内に1つの報知装置1が設けられる。
【0028】
防音壁Wによって、駐車場P1内の騒音、特に、車両Cのアイドリングによるエンジン音が人家H側に直接伝達されるのを軽減できる。しかし、騒音は防音壁Wの上空から人家Hへ回り込むので、人家Hには駐車場P1からの騒音が依然として観測されてしまう。そこで、報知装置1によって駐車場P1内の騒音源となっている車両Cを特定し、その車両Cに対して報知音を出力することで、騒音の停止を促進させる。
【0029】
次に、報知装置1による騒音の特定を説明する。本実施形態においては、報知装置1は、駐車場P1内に設けられた経路PT1を指向性マイク2で走査することで、駐車場P1内の騒音源を特定する。具体的には、
図2(a)に示す通り、経路PT1は、各駐車スペースPDの車止めBを沿う経路と、各駐車スペースPDの車止めBの反対側の端を沿う経路とを接続して形成される。即ち経路PT1は、駐車スペースPDに駐車した車両Cの幅方向側を沿う経路とされる。
【0030】
図3を参照して、経路PT1上の集音地点と、その集音地点に基づく報知音の放音範囲とを説明する。
図3は、
図2のIII部における拡大図である。
図3に示す通り、経路PT1上には、一定距離(例えば1.3m)毎に、集音地点a1,a2,・・・(以下まとめて「集音地点an」と称す)が設けられる。集音地点anの間隔を小さくすることで、駐車スペースPDを跨ぐように駐車した車両Cの騒音も、的確に検知できる。
【0031】
報知装置1は、経路PT1上の集音地点anに対して順次、指向性マイク2を向けることで、集音地点an毎の音量が取得される。取得された音によって、ある集音地点anが騒音の発生している騒音地点であると判断された場合は、その集音地点anから経路PT1の走査方向と直交する方向、即ち車両Cの車長方向である放音方向LDに、指向性マイク2を走査することで音量が取得される。取得された音量に基づき、車両Cの車長方向側の両端の位置が算出され、その両端の位置が報知音の放音範囲における、始点SP及び終点EPに設定される。
【0032】
例えば、
図3における集音地点a4が騒音地点と判断された場合は、経路PT1の走査方向であるX方向と直交するY方向が、放音方向LDとされる。集音地点a4から放音方向LDに向けて指向性マイク2を走査して取得された音量が、後述の特定閾値を超える座標(
図3における黒丸の位置)から、集音地点a4に停車している車両Cの車長方向側の両端の座標が取得される。かかる座標が放音範囲の始点SP及び終点EPに設定される。
【0033】
そして設定された放音範囲の始点SPと終点EPとの間を、指向性スピーカ3の放音方向が揺動するようにスピーカ駆動装置5を駆動させながら、指向性スピーカ3から報知音が出力される。
【0034】
次に
図4を参照して、報知装置1の電気的構成を説明する。
図4(a)は、報知装置1の電気的構成を示すブロック図である。報知装置1は、CPU10と、フラッシュROM11と、RAM12とを有し、これらはバスライン13を介して入出力ポート14にそれぞれ接続されている。入出力ポート14には、更に、指向性マイク2と、指向性スピーカ3と、マイク駆動装置4と、スピーカ駆動装置5と、日付時刻を計時するリアルタイムクロック(RTC)15とが接続されている。
【0035】
CPU10は、バスライン13により接続された各部を制御する演算装置である。フラッシュROM11は、CPU10により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、制御プログラム11aと、音データテーブル11bとが記憶される。CPU10によって制御プログラム11aが実行されると、
図5のメイン処理が実行される。
【0036】
音データテーブル11bは、上記した集音地点an毎に、位置情報、指向性マイク2から集音された音に関する集音情報および放音範囲が記憶されるデータテーブルである。
図4(b)を参照して、音データテーブル11bを説明する。
【0037】
図4(b)は、音データテーブル11bを模式的に示した図である。音データテーブル11bには、集音地点an毎に位置情報、集音情報および放音範囲が記憶される。位置情報には、予め駐車場P1内における駐車スペースPDの位置や向きに応じて設定された、集音地点anにおけるX方向、Y方向の座標と、放音方向LDとが記憶される。
【0038】
集音情報には、補正騒音量と、騒音開始時刻とが記憶される。補正騒音量には、指向性マイク2で集音した集音地点anの音量を、指向性マイク2と集音地点anとの位置関係に応じて補正した音量が記憶される。騒音開始時刻には、その補正騒音量が後述の騒音閾値を超えた時点の時刻が記憶される。なお、補正騒音量が騒音閾値を超えていない場合は、騒音開始時刻には無効値である「−」が記憶される。放音範囲には、放音範囲における始点SP及び終点EPが記憶される。放音範囲にも、該当する集音地点anで報知音を出力しない場合は、無効値である「−」が記憶される。
【0039】
図4(a)に戻る。RAM12は、CPU10が制御プログラム11aの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであり、走査騒音テーブル12aが設けられる。
図4(c)を参照して、走査騒音テーブル12aを説明する。
【0040】
図4(c)は、走査騒音テーブル12aを模式的に示した図である。走査騒音テーブル12aには、
図3で上記した集音地点anに対して放音方向LDに指向性マイク2を走査した場合の座標と、その補正騒音量とが記憶される。
【0041】
次に
図5〜
図7を参照して、報知装置1のCPU10で実行されるメイン処理を説明する。
図5は、メイン処理のフローチャートである。メイン処理は、報知装置1の電源投入後に実行される処理である。メイン処理はまず、集音地点anに対するカウンタ変数nに1を設定する(S1)。以下の処理において「集音地点n」は「集音地点an」のことを表す。例えば、カウンタ変数nが1の場合の「集音地点n」は「集音地点a1」を表し、カウンタ変数nが2の場合の「集音地点n」は「集音地点a2」を表す。
【0042】
S1の処理の後、指向性マイク2の集音方向を集音地点nに向け、その集音地点nの音量を取得する(S2)。指向性マイク2は集音方向に指向性を有するので、その集音方向に集音地点nを向けることで、集音地点nの音を正確に取得できる。また、集音地点nの座標は予め音データテーブル11bに記憶されているので、指向性マイク2の集音方向をその座標に向けることで、1つの指向性マイク2でも集音地点nの音を精度良く取得できる。
【0043】
S2の処理の後、取得された音量と、指向性マイク2と集音地点nとの距離と、集音地点nと防音壁Wとの距離とから補正騒音量を算出し、音データテーブル11bへ保存する(S3)。ここで、
図6を参照してS3の処理による補正騒音量の算出を説明する。
【0044】
図6(a)は、指向性マイク2と集音地点nとの距離が集音地点nと防音壁Wとの距離よりも大きい場合の補正騒音量の算出を説明する模式図であり、
図6(b)は、指向性マイク2と集音地点nとの距離が集音地点nと防音壁Wとの距離以下の場合の補正騒音量の算出を説明する模式図である。本実施形態において補正騒音量は、防音壁W上の位置であって、集音地点nとの最短距離をとる位置である観測地点Gで観測される音量である。
【0045】
具体的に、S2の処理で取得された音量をR,指向性マイク2と音データテーブル11bの集音地点nとの距離をr,集音地点nと観測地点Gとの距離をr0とした場合に、観測地点Gで観測される補正騒音量R0は、距離rが距離r0より大きい場合(
図6(a))は数式1で算出され、距離rが距離r0より小さい場合(
図6(b))は、数式2で算出され、また距離rが距離r0と等しい場合は、数式3で算出される。
【0047】
なお、距離rが距離r0より小さい場合の補正騒音量R0は、数式2で算出される値に限られるものではなく、数式3で算出される値、即ちS2の処理で取得された音量Rを、そのまま補正騒音量R0として用いても良い。
【0048】
図5に戻る。S3の処理の後、音データテーブル11bの集音地点nの補正騒音量が、騒音閾値を超えているかを確認する(S4)。騒音閾値は、騒音を発しているか否かを判断するための定数であり、本実施形態おいて騒音閾値には「60dB」が設定される。補正騒音量と1つの騒音閾値とを比較することで、集音地点n毎に騒音閾値を設けることなく、容易に騒音を発しているか否かを判断できる。
【0049】
S4の処理において、集音地点nの補正騒音量が、騒音閾値を超えている場合は(S4:Yes)、更に音データテーブル11bの集音地点nの騒音開始時刻と、RTC15から取得した現在の時刻、即ち集音時刻との差が5分以上であるかを確認する(S5)。S5の処理において、集音地点nの騒音開始時刻と集音時刻との差が5分以上である場合は(S5:Yes)、該当する集音地点nが報知音を放音する対象である、騒音地点と特定され、報知音が出力される。かかる場合、まず放音範囲算出処理(S6)を行う。
図7を参照して、放音範囲算出処理を説明する。
【0050】
図7は、放音範囲算出処理のフローチャートである。放音範囲算出処理は、メイン処理で放音する対象とされた集音地点nに基づいて、その集音地点nに対する放音範囲の始点SP及び終点EPを算出する処理である。
【0051】
放音範囲算出処理はまず、集音地点nから放音方向LDへ指向性マイク2を走査させながら、音量を取得する(S20)。S20の処理の後、取得した音量の補正騒音量を算出し、その音量が取得された座標と共に走査騒音テーブル12aへ保存する(S21)。S21の処理で算出される補正騒音量も、S3の処理(
図5参照)と同様に、防音壁W上の位置であって、音量が取得された座標との最短距離をとる位置である観測地点Gで観測される音量として、数式1を用いて算出される。
【0052】
S21の処理の後、走査騒音テーブル12aの補正騒音量のうち、特定閾値を超える座標を取得する(S22)。特定閾値は、集音地点nの周囲において、騒音を発している範囲である騒音範囲か否かを区別するための定数であり、本実施形態において特定閾値には「60dB」が設定される。S23の処理によって、走査騒音テーブル12aに記憶される座標のうち、騒音範囲、即ち車両Cの車体に該当する座標が取得される。車両Cからの騒音は車両Cの車体に伝達され、該車体から騒音として放出される。そこで、集音地点nの座標から放音方向LDへ指向性マイク2を走査させながら音量を取得し、特定閾値を超える座標を取得することで、車両Cの車体、即ち車両Cの位置が特定できる。
【0053】
S22の処理の後、取得された座標のうち、放音方向LDにおける両端の座標を取得し、それぞれを集音地点nの放音範囲における始点SP及び終点EPとして音データテーブル11bに保存する(S23)。この際、放音方向LDにおける両端の座標において、集音地点nの座標に近い方が始点SPに設定され、遠い方が終点EPに設定される。なお、集音地点nの座標に近い方を終点EPに設定し、遠い方を始点SPに設定しても良い。
【0054】
S23の処理の後、放音範囲算出処理(S6)を終了して
図5のメイン処理に戻る。S6の放音範囲算出処理の後、集音地点nの放音範囲における始点SP及び終点EPに対して、指向性スピーカ3から報知音を出力させる(S7)。この際、指向性スピーカ3の放音方向が、始点SPから終点EPへ、また終点EPから始点SPに繰り返し揺動するように、スピーカ駆動装置5に座標の指示が行われる。これにより、騒音と特定された車両Cの車長方向側の両端に対して、報知音が出力される。
【0055】
また、本実施形態における報知音の音量は「65dB」が設定される。なお、報知音の音量は60dBに限られず、65dB以上でも65dB以下でも良い。また、騒音地点で検知される音量や補正騒音量に応じて、報知音の音量を変化させても良い。
【0056】
S5の処理において、集音地点nの騒音開始時刻と集音時刻との差が5分より小さい場合は(S5:No)、更に集音地点nの騒音開始時刻がクリアされている、即ち騒音開始時刻に無効値である「−」(
図4(b)参照)が設定されているかを確認する(S8)。S8の処理において、集音地点nの騒音開始時刻がクリアされている場合は(S8:Yes)、RTC15で取得した現在の時刻、即ち集音時刻を集音地点nの騒音開始時刻として音データテーブル11bに保存する(S9)。一方で、集音地点nの騒音開始時刻がクリアされていない場合は(S8:No)、S9の処理をスキップする。
【0057】
また、S4の処理において、集音地点nの補正騒音量が騒音閾値を超えていない場合は(S4:No)、音データテーブル11bの集音地点nの騒音開始時刻および放音範囲の始点SP及び終点EPをクリア、即ち無効値である「−」を設定する(S10)。
【0058】
S7,S9,S10の処理の後、カウンタ変数nに1を加算し(S11)、その後、カウンタ変数nが音データテーブル11bに記憶される集音地点数よりも大きいかを確認する(S12)。S12の処理において、カウンタ変数nが集音地点数以下の場合は(S12:No)、S2以下の処理を繰り返す。一方で、カウンタ変数nが集音地点数より大きい場合は(S12:No)、S1以下の処理を繰り返す。
【0059】
以上説明した通り、本実施形態の報知装置1は、駐車場P1内の経路PT1上に設けられた集音地点anの音が指向性マイク2によって取得され、取得された音量に基づく補正騒音量が5分以上騒音閾値を超えた場合は、集音地点anが騒音地点であると特定される。そして騒音地点と特定された集音地点anから、集音地点anに対する放音方向LDに向け指向性マイク2を走査させ、取得された音量に基づく補正騒音量から、車両Cに該当する座標が取得される。取得された座標のうち放音方向LD、即ち車両Cの車長方向における両端の座標が集音地点anの放音範囲の始点SP及び終点EPに設定される。
【0060】
これにより、放音範囲を車両Cの車長方向側における端点間、即ち必要十分かつ最小限の範囲とできる。かかる放音範囲の始点SPから終点EP間を揺動するように、指向性スピーカ3から報知音を出力することで、車両Cに乗車している運転手等に報知音を的確に伝達でき、騒音の停止を促すことができる。加えて、報知音が車両Cを逸れることがないので、騒音の停止を促す報知音が、周囲の新たな騒音となるのを抑制できる。
【0061】
ここで補正騒音量は、防音壁W上の位置であって、集音地点anとの最短距離をとる位置である観測地点Gで観測される騒音の音量である。従って、防音壁W、即ち人家Hの近隣で観測される補正騒音量に基づいて騒音地点および放音範囲が算出されるので、人家Hへの騒音の原因となる車両Cに対して優先的に報知音を出力できる。
【0062】
ところで、報知音が出力される車両C内の運転手等にとっては、報知音が車両Cの車長方向側に沿って移動するように聞こえるので、このような報知音を聞いた車両C内の運転手等は、聴覚上の違和感を覚える。かかる違和感によって運転手等の報知音への認識をし、騒音の停止を促すことができる。
【0063】
また、放音方向LDは集音地点an毎に、予め音データテーブル11bに記憶される。これにより、
図7のS20の処理において、集音地点anから指向性マイク2を走査させる方向が限定されるので、車両Cの車体の座標の取得やその座標に基づく放音範囲の特定を、迅速に行うことができる。
【0064】
更に集音地点anで取得された補正騒音量が、騒音閾値を5分以上継続して超えた場合に、その集音地点anが騒音地点と特定される。これにより、騒音が長時間に渡って発生している集音地点anは、騒音地点に特定されて報知音が出力されるのに対し、騒音が瞬間的に発生した集音地点anは騒音地点と特定されず、報知音が出力されない。従って、騒音が瞬間的に発生した集音地点anの周囲には、不必要な報知音が出力されないので、報知音が周囲の騒音となることを抑制できる。
【0065】
次に、
図8〜
図11を参照して、本発明の第2実施形態の報知装置100について説明する。上述した第1実施形態の報知装置1では、音データテーブル11bに集音地点an毎の放音方向LDを予め記憶させ、その放音方向LDに基づいて車両Cの車長方向側の両端を特定し、放音範囲を算出した。これに対して、第2実施形態の報知装置100では、騒音地点の周囲の音量に基づいて、車両Cの位置および向きを推定し、それら車両Cの位置および向きに基づいて、放音方向LDおよび放音範囲を算出する。第2実施形態において、上記した第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0066】
まず
図8を参照して、第2実施形態における駐車場P2を説明する。
図8は、第2実施形態において報知装置100が設置される駐車場P2を表す図である。駐車場P2においては、駐車スペースPDが店舗ST沿いと駐車場P2の中央部とに、複数設けられる。
【0067】
駐車場P2の中央部の駐車スペースPDには、車止めBが設けられないので、2以上の駐車スペースPDを用いて停車したり、2以上の駐車スペースPDを横断するように停車できる。その一方で、駐車スペースPDに対して車両Cを駐車させる方向が、必ずしも1方向とならないので、第1実施形態のように放音方向LDを予め設定できない。そこで第2実施形態では、指向性マイク2から取得された音に基づいて車両Cの向きを推定し、その向きに基づいて放音方向LDを算出する。
【0068】
次に第2実施形態において、指向性マイク2を走査させる経路PT2を説明する。
図8に示す通り、経路PT2は、駐車場P2の全体に対して、Y方向に沿った経路を等間隔(例えば1m間隔)に設け、隣接する経路の一端同士または他端同士を交互に接続した、所謂「ジグザグ状」に形成される。これにより、1の経路で構成される経路PT2を走査することで、駐車場P2の全体を走査できる。
【0069】
次に
図9を参照して、第2実施形態における騒音地点および放音範囲の特定を説明する。
図9(a)は、
図8のIXa部における拡大図である。
図9(a)に示す通り、経路PT2上には、第1実施形態の集音地点anと同様の集音地点b1,b2,・・・(以下まとめて「集音地点bn」と称す)が設けられ、報知装置100は、集音地点b1,b2,・・・を順に走査しながら指向性マイク2を向けることで、その地点での音量が取得され、その補正騒音量が算出される。
【0070】
集音地点bnで騒音閾値を超える補正騒音量が検知された場合、更に集音地点bnを中心とした所定の半径(例えば0.7m)の円形状の探索領域が形成され、その探索領域内が指向性マイク2で走査される。かかる走査によって、集音地点bnよりも補正騒音量が大きな地点が探索される。なお、探索領域は円形状に限られるものではなく、楕円状や矩形状等の他の形状でも良い。
【0071】
図9(a)において、集音地点b20で騒音閾値を超える補正騒音量が検知されたので、集音地点b20を中心とした探索領域E1が形成され、その探索領域E1内が指向性マイク2で走査される。かかる走査によって集音地点b20よりも補正騒音量が大きな地点である、地点b20'が探索された場合は、更に地点b20'を中心とした探索領域E2内が探索され、地点b20'よりも補正騒音量が大きな地点が探索される。このような探索を繰り返すことで、集音地点b20の周囲で音量が最大となる騒音地点が特定される。
【0072】
即ち集音地点bnで騒音閾値を超える補正騒音量が取得された場合、集音地点bnを中心した探索領域を指向性マイク2で走査して、集音地点bnで取得された補正騒音量よりも音量の大きな地点が探索される。これにより、集音地点bnのみならず、その周囲から騒音地点が探索されるので、騒音地点をより正確に取得できる。
【0073】
そして取得された騒音地点から、放音方向LD及び放音範囲が算出される。
図9(b)を参照して、放音方向LD及び放音範囲の算出について説明する。
図9(b)は、第2実施形態における放音方向LD及び放音範囲の算出を表す図である。まず、
図9(a)において、騒音地点として特定された地点b20'を始点として、指向性マイク2を「らせん状」に走査しながら音量が取得され、その補正騒音量を取得される。「らせん状」に走査することで、騒音地点の周囲を隈なく走査できると共に、指向性マイク2を走査させる位置が重複することがないので、かかる走査を効率的に実行できる。そして、取得された補正騒音量が特定閾値を超える座標(
図9(b)における黒丸の位置)が取得される。
【0074】
取得された座標による分布から、パターンマッチング等の既存の技法によって車両Cの外形が推定され、その外形から車両Cの向きが推定される。推定された車両Cの外形および向きから、車両Cの車長方向が推定され、かかる方向が放音方向LDとされる。補正騒音量が特定閾値を超える座標のうち放音方向LD側の両端の座標が、放音範囲の始点SP及び終点EPとされる。
【0075】
次に
図10を参照して、第2実施形態の報知装置100の電気的構成を説明する。
図10(a)は、第2実施形態における報知装置100の電気的構成を示すブロック図であり、
図10(b)は、第2実施形態における音データテーブル11bを模式的に示した図である。報知装置100の音データテーブル11bにおいては、
図10(b)に示す通り、第1実施形態における報知装置1の音データテーブル11b(
図4(b)参照)から、位置情報の放音方向LDが省略される。また、RAM12には、上記した探索領域(
図9(a)参照)内における、最大の補正騒音量が記憶される最大音量メモリ12bと、放音方向LDが記憶される放音方向メモリ12cとが設けられる。
【0076】
次に報知装置100のCPU10で実行される処理を説明する。なお、第2実施形態においては、
図5で上記したメイン処理および
図11で後述する放音範囲算出処理において、「集音地点bn」のことを「集音地点n」と称す。
【0077】
図11は、第2実施形態における放音範囲算出処理のフローチャートである。放音範囲算出処理はまず、集音地点nの周囲の探索領域内を指向性マイク2で走査しながら音量を取得し、その中で最大の音量を取得する(S30)。S30の処理の後、取得された最大の音量の補正騒音量を算出し、最大音量メモリ12bへ保存する(S31)。S31の処理で算出される補正騒音量も、S3の処理(
図5参照)と同様に、防音壁W上の位置であって、最大の音量が取得された座標との最短距離をとる位置である観測地点Gで観測される音量として、数式1を用いて算出される。
【0078】
S31の処理の後、最大音量メモリ12bの音量が音データテーブル11bの集音地点nの補正騒音量以下かを確認する(S32)。S32の処理において、最大音量メモリ12bの音量が集音地点nの補正騒音量より大きい場合は(S32:No)、新たな騒音地点が探索されたので、最大音量メモリ12bの音量と、その音量が検知された座標とを、音データテーブル11bの集音地点nにおける補正騒音量と位置情報の座標とに保存し(S33)、S30以下の処理を繰り返す。
【0079】
S32の処理において、最大音量メモリ12bの音量が、集音地点nにおける補正騒音量以下の場合は(S32:No)、音データテーブル11bの位置情報における座標、即ち騒音位置の座標を中心に、指向性マイク2を「らせん状」に走査させながら、音量を取得する(S34)。S34の処理の後、S34の処理で取得された音量の補正騒音量と、その音量が検知された座標とを走査騒音テーブル12aに保存する(S35)。S35の処理で算出される補正騒音量も、S3の処理(
図5参照)と同様に、防音壁W上の位置であって、音量が取得された座標との最短距離をとる位置である観測地点Gで観測される音量として、数式1を用いて算出される。
【0080】
S35の処理の後、走査騒音テーブル12aにおいて、補正騒音量が特定閾値を超える座標を取得する(S36)。S36の処理の後、取得された座標群から車両Cの向きを推定し、放音方向メモリ12cに保存する(S37)。具体的には、上記した通り、補正騒音量が特定閾値を超える座標群の分布から、車両Cの外形およびその向きが推定され、推定された車両Cの外形および向きから車両Cの車長方向が推定され、その方向が放音方向LDとして放音方向メモリ12cに保存される。
【0081】
S37の処理の後、走査騒音テーブル12aにおいて補正騒音量が特定閾値を超える座標から、放音方向メモリ12cの放音方向LDにおける両端の座標を取得し、集音地点nの放音範囲の始点SP及び終点EPに設定する(S38)。S38の処理の後、放音範囲算出処理を終了する。
【0082】
以上説明した通り、第2実施形態の報知装置100では、指向性マイク2によって取得された騒音地点の周囲の音量に基づいて、車両Cの位置および向きが推定され、それら車両Cの位置および向きに基づいて、放音方向LDおよび放音範囲の始点SP及び終点EPが推定される。従って、車両Cが駐車場P2内においてどのような位置や向きで停車しても、その車両Cの車長方向の両端に基づいた放音範囲を正確に算出できるので、かかる放音範囲に報知音に出力することで、車両Cに乗車している運転手等に報知音を的確に伝達できると共に、報知音が周囲の新たな騒音となるのを抑制できる。
【0083】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0084】
上記実施形態では、駐車場P1,P2内に1つの報知装置1,100を設けた。しかし、これに限られず、駐車場P1,P2内に2つ以上の報知装置1,100を設けても良い。また、
図12に示すように、駐車スペースSDに1つずつ報知装置1,100を設けても良い。この場合、報知装置1,100は車止めBよりも後方に設けるのが好ましく、また報知装置1,100が設けられる高さは、人間が報知装置1,100に触れられない程度(例えば、地上から3m)とする好ましい。また、報知装置1,100を設けるのは駐車スペースSD毎に限られず、2以上の駐車スペースSDに対して、1つの報知装置1,100を設けても良い。
【0085】
上記実施形態では、報知音として騒音の停止を促す旨の音声を出力したが、これに限られるものではない。例えば、連続的、断続的または不定期に発生するブザー音でも良いし、人間にとって耳障りなノイズや高周波音あるいは低周波音を出力しても良い。また、報知音として出力される音の周波数を、騒音地点で観測された騒音の周波数とは異なる周波数としても良い。これにより、放音範囲には騒音と異なる周波数からなる音が伝達されるので、報知音が騒音によって打ち消されるのを抑制できる。
【0086】
一方で、指向性マイク2で取得される音から、指向性スピーカ3から出力される報知音の周波数を除いた音に基づいて、騒音地点を特定しても良い。これにより、騒音地点の特定に際し、報知音の影響を除くことができるので、報知音が騒音として誤検知されるのを抑制できる。
【0087】
上記実施形態では、補正騒音量を算出する観測地点Gとして、防音壁W上の位置であって、集音地点an,bnとの最短距離をとる位置に設定した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、指向性マイク2と集音地点an,bnとを結ぶ直線上における、集音地点an,bnから所定距離(例えば1m)の位置を観測地点Gに設定しても良いし、他の位置を観測地点Gに設定しても良い。
【0088】
上記実施形態では、騒音閾値および特定閾値に60dBを設定したが、必ずしも60dBに限られるものではなく、60dB以上でも良いし、60dB以下でも良い。また、騒音閾値と特定閾値とを異なる値としても良い。更に、時間帯に応じて、騒音閾値や特定閾値を変化させても良い。特に、夜間の時間帯(例えば午後10時から午前6時)における騒音閾値や特定閾値を、日中の時間帯(例えば午前6時から午後10時)よりも小さくすることで、夜間において小さな騒音を発する車両Cに対しても、報知音が出力できるので、騒音の停止をより促進できる。
【0089】
上記実施形態では、
図5のS5において、集音地点nの騒音開始時刻と集音時刻との差が5分以上である場合に、その集音地点nに対して報知音を出力した。しかし、報知音を出力する条件となる集音地点nの騒音開始時刻と集音時刻との時間差は、5分に限られるものではなく、5分以上でも5分以下でも良い。また、時間帯に応じて、かかる時間差を変化させても良い。特に、夜間の時間帯(例えば午後10時から午前6時)における時間差を、日中の時間帯(例えば午前6時から午後10時)よりも短くすることで、夜間において短時間でも騒音を発した車両Cに対して報知音が出力できるので、騒音の停止をより促進できる。
【0090】
上記実施形態では、
図5のS3の処理において補正騒音量を算出する際に、指向性マイク2と集音地点nとの距離を、音データテーブル11bに記憶される集音地点nの座標から算出した。しかし、必ずしもこれに限られず、指向性マイク2と集音地点nとの距離を、指向性マイク2付近に設置されたレーザ距離計等の距離計によって測定された、指向性マイク2と集音地点nとの距離を用いても良い。
【0091】
第2実施形態において、車両Cを特定する際に、騒音地点を中心に指向性マイク2を「らせん状」に走査させた。しかし、指向性マイク2「らせん状」を走査させるものに限られず、例えば、騒音地点を中心とした円形状や矩形状等の領域を形成し、その領域内をX方向、Y方向に走査させることで、車両Cを特定しても良い。
【課題】騒音源に対して的確に報知音を伝達させて騒音の低減を促進できると共に、報知音が騒音源から逸れて周辺の新たな騒音となるのを抑制できる報知装置を提供すること。
【解決手段】駐車場P1内の経路PT1上における集音地点anの音が、指向性マイク2で取得される。その音量に基づき騒音地点と特定された集音地点anから、放音方向LDに向けて指向性マイク2を走査させ、取得された音量に基づいて騒音源とされる車両Cの車体の座標が取得される。その座標に基づき放音範囲の始点SP及び終点EPが算出される。かかる放音範囲の始点SPから終点EP間に指向性スピーカ3から報知音を出力することで、車両Cに乗車している運転手等に報知音を的確に伝達でき、騒音の停止を促すことができると共に、報知音が車両Cを逸れることがないので、報知音が周囲の新たな騒音となるのを抑制できる。