(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロセッサが、前記コンピュータ可読命令を実行して、前記製品の前記予想故障数及び前記製品の部品交換費に基づいて、前記製品の保証費を推定する、請求項9に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0015] ベイジアンネットワークを用いた保証費推定のためのシステム(複数可)及び方法(複数可)を説明する。本システム(複数可)及び方法(複数可)は、様々な計算デバイス、例えばラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、及び類似のシステムにおいて実装することができる。しかしながら、本主題の実装形態は、新しい計算システム及びプラットフォームが利用可能になったときにこれらに適合することができるので、任意の特定の計算システム、アーキテクチャ、又はアプリケーションデバイスに限定されないことを当業者は理解するであろう。
【0014】
[0016] 複数部品製品、例えば家電製品、電子製品及び自動車を製造する企業は、そのような製品に関連する保証費の有効かつ高精度な推定に多額の投資をしている。一般的に、複数部品製品を製造する企業は、年間予算を編成するために、保証費を推定する。しかしながら、製品に関連する保証費に影響する様々な要因が存在するので、保証費を推定するタスクは複雑であり困難である。保証費の誤った推定には、保証費の過小評価及び過大評価があり得る。保証費の過小評価は、市場における部品又は製品の不足につながることがあり、これは、製品が故障したときに、部品又は製品の交換に悪影響を与え得る。他方、保証費の過大評価により、製造業者は、保証のための追加資金を取っておくことになる場合があり、この資金は、そうでなければ、何か他の分野、例えば研究開発に使用できたはずである。
【0015】
[0017] 保証費は一般的には、保証可能製品の数、製品の予想故障数又は故障率、及び故障単価などの要因に基づいて推定される。推定された保証費の精度は、製品の予想故障数を決定できる精度に依存する。製品の予想故障数が決定される精度が高いほど、推定された保証費の精度も高くなる。
【0016】
[0018] 製品の予想故障数を決定する従来の方法は、製品の過去の部品故障データを利用する。過去の部品故障データは、ワイブル分布及び対数正規分布などの確率分布に従うと考えられている。製品の予想故障数は、過去の部品故障データが従う確率分布に関連するパラメータに基づいて決定されることができる。しかしながら、従来の方法は、製品の予想故障数を決定するために、過去の部品故障データを利用し、製品の新機種、及び、製品を製造するための新しい製造設備又は工場の導入に関する要因を考慮していない。新製品又は新製造設備により製造される製品の故障数は、製品の旧機種の過去の部品故障データに対する確率分布からは得られないことがあるので、過去の部品故障データから決定される予想故障数は、新製品又は新製造設備により製造される製品の故障数に正しく関連しないことがある。従って、従来の方法に基づく製品の予想故障数の精度は、実質的に低い。結果として、保証費の推定精度は悪化するので、信頼することができるものとみなすことができない。
【0017】
[0019] さらに、従来の方法は、過去の部品故障データが従う確率分布に関するパラメータを、製品別に、すなわち製品全体を一単位とみなして、推定する。一般的には、各製品はさらに、部品、すなわちより粒度の細かいレベルに分解でき、各部品は、異なる故障率を有することがある。従来の方法は、製品の故障率の決定において、部品別故障率を考慮していない。従って、保証費を推定するための従来の方法による提案は、非効率的かつ不正確である。
【0018】
[0020] 本主題は、複数部品製品とも呼ばれる、複数の部品を有する製品に対する保証費を推定するためのシステム及び方法を記載する。本主題のシステム及び方法は、従来より高い精度での製品の期待故障数又は予想故障数の計算に基づいて、複数部品製品に対する保証費の推定を改良する。
【0019】
[0021] 本主題のシステム及び方法により、様々な部品の機能がセンサ及びオンボード診断システムを用いて監視又は診断可能であって、アフターサービスが保証外で提供可能である、複数部品製品に対して保証費を推定することができる。複数部品製品は、自動車及び電子デバイス並びに通信デバイスを含んでもよいが、これらに限定されない。そのような製品におけるオンボード診断システムは、部品のいずれかに発生した各トラブル症状又は障害症状に対する診断トラブルコード(DTC)を含むセンサデータを、センサが検出したものがあれば、記録することができる。1つ又は複数の一意のDTCを、1つの部品に関連付けることができ、それらはその部品に関する異なった起こり得るトラブル症状に対するものである。各一意のDTCは、その部品に関する一意の起こり得るトラブル症状に対するものであってよい。1つの部品に関連付けられた全てのDTCは、その部品が故障したときに発生してもよい。1つの部品に関連付けられた1つ又は複数のDTCは、その部品が故障する前に発生してもよい。
【0020】
[0022] アフターサービスが提供される製品が、定期サービス点検のために、又は、製品若しくは製品の部品が故障した場合に、サービスステーションに搬送され得ることが理解されよう。製品の部品に関するトラブル症状又はDTCは、部品が故障する前に、また製品がサービスステーションに搬送される前にも、発生し得る。そのようなDTCは、サービスステーションにおける製品へのサービス中に観測されることもある。製品におけるDTCの発生に関連付けられたデータは、製品がサービスステーションに搬送される前は、製品のセンサデータ又は遠隔診断データと呼ばれることがある。サービスステーションにおける製品内のDTCの観測に関連付けられたデータは、サービスステーションデータ又はサービス記録データと呼ばれることがある。
【0021】
[0023] 一実装形態では、本主題のシステム及び方法は、製品の過去の部品故障データを、追加情報、例えばセンサデータに基づいて決定されるDTC発生データ及びサービス記録データに基づいて決定されるDTC観測データと融合することで、製品の故障数の計算の改良を促進する。本主題のシステム及び方法は、製品の期待故障数を計算して製品の保証費をより高精度に推定するために、過去の部品故障データと、DTC発生データと、DTC観測データとの間の確率的な関係を利用する。過去の部品故障データと、DTC発生データと、DTC観測データとの間の確率的な関係は、部品故障率へのDTCの発生及び観測の条件付き依存関係に支配され得る。さらに、条件付き依存関係の程度は、例えば製品の新機種の導入、及び製品の販売単位数の変更により、時間と共に変化することがある。保証費の推定用に条件付き依存関係及び対応するダイナミズムを考慮するために、本主題のシステム及び方法は、ベイジアンネットワークを用いて、過去の部品故障データと、DTC発生データと、DTC観測データとの間の確率的な関係及び条件付き依存関係をモデル化する。本主題のシステム及び方法は、ベイジアンネットワークに基づいてこの依存関係を特定し、特定された依存関係を用いて、製品の期待故障数をより高精度に予測する。
【0022】
[0024] さらに、各部品は異なる故障率を有することがあるので、本主題のシステム及び方法は、推定の全体の精度を向上させるために、製品レベルではなく、粒度の細かいレベルすなわち部品レベルで、故障数を決定することができる。
【0023】
[0025] さらに、本主題のシステム及び方法は、部品故障ノードがDTC発生ノードにつながれ、DTC発生ノードがDTC観測ノードにつながれるベイジアンネットワークを利用することができる。本明細書におけるこのベイジアンネットワークは、部品が故障したときに、DTCに関するトラブル症状が製品内で発生するというモデルに従う。そして、製品の所有者は、製品をサービスステーションへ搬送することができ、そこでDTCが観測される。一例では、部品故障ノードは、ワイブル分布を用いてモデル化され、DTC発生ノード及びDTC観測ノードは、ガウス分布すなわち正規分布を用いてモデル化される。そのような分布のパラメータを利用して、部品故障ノード、DTC発生ノード、及びDTC観測ノードの間の依存関係を定義することができる。製品の故障数は、依存関係パラメータに基づいて計算することができ、製品の保証費は、計算された製品の故障数に基づいて推定することができる。
【0024】
[0026] 収集されるように、本主題は、保証費を推定するために、過去の部品故障データを、製品に関連付けられたDTC発生データ及びDTC観測データと共に統合する。さらに、この分析は部品別に行われるので、保証費の推定精度が向上する。上述の全ての利点は、時間と資源との最適な利用につながり、これは、関連する費用と労力の削減もまた促進する。従って、本主題のシステム及び方法は、時間節約可能で、高精度かつ安価な保証費推定のための包括的かつ網羅的な手法を提供する。
【0025】
[0027] 本主題のこれら及び他の利点を、以下の図面と共に、より詳細に説明する。保証費推定のための説明されるシステム(複数可)及び方法(複数可)の態様は、任意の数の異なる計算システム、環境、及び/又は構成で実装できるが、この実施は、以下の例示のシステム(複数可)の文脈の中で説明される。
【0026】
[0028]
図1は、本主題の一実装形態による、保証費を推定するための保証費推定システム102を実装するネットワーク環境100を示す。保証費推定システム102は、以降、システム102と呼ばれる。ネットワーク環境100において、システム102はネットワーク104に接続されている。さらに、システム102はデータベース106に接続されており、データベース106は、システム102が保証費を推定するために利用し得るデータを格納することができる。加えて、ネットワーク環境100は、1つ又は複数のユーザデバイス108−1、108−2...108−Nを含み、これらはまとめてユーザデバイス108と呼ばれ、個別にユーザデバイス108と呼ばれ、ネットワーク104に接続される。ユーザは、システム102により保証費を推定するために、ユーザデバイス108を利用することができる。
【0027】
[0029] システム102は、ネットワーク104に接続された計算デバイスとして実装することができる。例えば、システム102は、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、マルチプロセッサシステム、ラップトップ、ネットワークコンピュータ、ミニコンピュータ、サーバなどとして実装可能である。加えて、システム102は、ユーザに対してミラー化されたタスクを実行するための複数のサーバを含んでもよい。
【0028】
[0030] さらに、システム102は、ネットワーク104を介してユーザデバイス108に接続可能である。ユーザデバイス108の例には、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、スマートフォン、PDA、及びラップトップがあるが、これらに限定されない。ユーザデバイス108及びシステム102の間の通信リンクは、様々な接続形態を通して、例えばダイヤルアップモデム接続、ケーブルリンク、デジタル加入者線(DSL)、無線リンク又は衛星リンク、又は任意の他の適切な通信形態を介して、使用可能である。
【0029】
[0031] さらに、ネットワーク104は、無線ネットワーク、有線ネットワーク、又はそれらの組合せでもよい。ネットワーク104はまた、個別のネットワーク、又は、相互接続され単一の大規模ネットワークとして機能する多数のそのような個別のネットワークの集合体、例えばインターネット若しくはイントラネットでもよい。ネットワーク104は、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネットなど、異なる種類のネットワークのうちの1つとして実装されてもよい。ネットワーク104は、専用のネットワーク又は共有されたネットワークでもよく、これは、例えばハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)などの様々なプロトコルを用いて互いに通信する、異なる種類のネットワークの結合体を表す。さらに、ネットワーク104は、システム102及びユーザデバイス108の間のリンクを提供するために、ネットワークスイッチ、ハブ、ルータ、ホストバスアダプタ(HBA)などの、ネットワークデバイスを含んでもよい。ネットワーク104内のネットワークデバイスは、通信リンクを介して、システム102及びユーザデバイス108と相互作用することができる。
【0030】
[0032] 図示したように、システム102は、1つ又は複数のプロセッサ110、インターフェース112(複数可)、及びプロセッサ110に接続されたメモリ114を含む。プロセッサ110は、単一の処理ユニット又は多数のユニットでもよく、それら全てもまた、複数の計算ユニットを含むことがある。プロセッサ110は、1つ又は複数のマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、中央処理装置、状態機械、論理回路、及び/又は動作命令に基づいて信号を操作する任意のデバイスとして、実装されてもよい。様々な機能の中でも、プロセッサ110は、メモリ114に格納されたコンピュータ可読命令及びデータをフェッチし実行するように構成される。
【0031】
[0033] インターフェース112は、キーボード、マウス、外部メモリ、及びプリンタのような、周辺デバイス(複数可)のためのインターフェースなどの、様々なソフトウェア及びハードウェアのインターフェースを含んでもよい。さらに、インターフェース112は、システム102が、ネットワーク環境100において、ウェブサーバなどの他の計算デバイス、及びデータベース106などの外部データリポジトリと通信することを可能とすることができる。インターフェース112は、幅広い種類のプロトコル及びネットワーク、例えば、LAN、ケーブルなどの有線ネットワークと、WLAN、セルラー、衛星などの無線ネットワークとを含むネットワーク104などにおける複数の通信を容易にすることができる。インターフェース112は、システム102を多数の計算デバイスに接続するための1つ又は複数のポートを含むことができる。
【0032】
[0034] メモリ114は、当該技術において知られている任意の非一時的コンピュータ可読媒体を含んでもよく、これは、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)及びダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)などの揮発性メモリ、及び/又は、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、光学ディスク、及び磁気テープなどの不揮発性メモリを含む。しかしながら、非一時的コンピュータ可読媒体は、一時的な伝播する信号を除く。
【0033】
[0035] システム102はまた、モジュール(複数可)116及びデータ118を含む。モジュール(複数可)116は、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実装する。一実装形態では、モジュール(複数可)116は、部品故障データ決定モジュール120、DTCデータ決定モジュール122、保証費推定器124、及び他のモジュール(複数可)126を含む。部品故障データ決定モジュール120、DTCデータ決定モジュール122、及び保証費推定器124は、モジュール(複数可)116内の保証費推定モジュールの一部を形成してもよい。他のモジュール(複数可)126は、システム102のアプリケーション及び機能を補完するプログラム又はコード化された命令を含んでもよい。
【0034】
[0036] 他方、データ118はとりわけ、モジュール(複数可)116のうちの1つ又は複数により処理され、受信され、生成されるデータを格納するためのリポジトリとして機能する。データ118は、例えば、部品故障データ128、DTCデータ130、ベイジアンネットワーク依存関係パラメータ132、保証費データ134、及び他のデータ136を含む。部品故障データ128、DTCデータ130、ベイジアンネットワーク依存関係パラメータ132、及び保証費データ134は、データ118内の保証費推定データの一部を形成してもよい。他のデータ136は、モジュール(複数可)116内の1つ又は複数のモジュールの実行の結果として生成されるデータを含む。
【0035】
[0037] 以降の記載は、システム102を用いて製品の保証費を推定する例示の手順を記載したものである。本明細書に記載された例では、製品は複数の部品Pを有する車であり、各車は、複数の部品Pの機能を監視するために様々なセンサ及びオンボード診断システムを有する。各車におけるオンボード診断システムは、部品Pのいずれかに発生したトラブル症状又は障害症状に対する診断トラブルコード(DTC)を、センサが検出したときに、記録することができる。車は、サービスステーションにおけるアフターサービスが提供される。本明細書の記載は、製品として車を参照して説明するが、この手順は、DTCを記録するためのセンサ及びオンボード診断システムを有し、修理又はサービスのためにサービスステーションに搬送され得る、電子機器及び通信デバイスなどを含む他の製品に対して、保証費を推定するために適用することができる。
【0036】
[0038] さらに、本明細書での説明のために、第1の所定期間[T
1,T
2]の間、1〜nのインデックスが付与されたn台の車に対してデータが収集され、各車はm個の部品P
1〜P
mを有すると考える。一例では、第1の所定期間は、2008年(T
1)〜2010年(T
2)であってよい。各部品P
jは、DTC D
jkの組すなわち{D
j1,D
j2,....D
jr}と関連付けられ、ここで、k=1,2,...,rである。部品P
jが故障したとき、部品P
jに関連付けられた全てのDTC D
jkが発生し、部品P
jが故障する前に、部品P
jに関連付けられた1つ又は複数のDTCが発生することがあり、観測されることがある。さらに、収集されたデータは、部品故障データ、サービス記録データに基づくDTC観測データ、及びセンサデータに基づくDTC発生データを含むことができる。部品故障データは、各部品P
jが第1の所定期間内及び後に故障するサイクル数を示す。この部品故障データは、過去の部品故障データを参照してもよい。DTC発生データは、各部品P
jに関連付けられた各DTC D
jkが第1の所定期間内に初めて発生するサイクル数を示す。DTC観測データは、各部品P
jに関連付けられた各DTC D
jkが第1の所定期間内に初めて観測されるサイクル数を示す。本明細書で言及されるサイクル数は、製品の作動時間、例えば時間、日、又は月に関して定義されてもよく、又は製品の作動距離、例えばキロメートル又はマイルに関して定義されてもよい。製品としての車の例では、サイクル数は、キロメートル又はマイルに関するものでよい。
【0037】
[0039] 一実装形態では、部品故障データ決定モジュール120は、部品故障データを決定する。一例では、部品故障データ決定モジュール120は、そのようなデータを格納できるデータベース106又は外部データリポジトリから部品故障データを取得することができ、これを部品故障データ128に格納することができる。部品故障データを決定する際、部品故障データ決定モジュール120は、各部品P
jに対して、各部品P
jが第1の所定期間[T
1,T
2]内に初めて故障する第1の車の組C
jを特定することができる。第1の車の組C
jは、車のインデックスを含み、従って、
C
j={i} ...(1)
と定義され、ここでiは、部品P
jが時間間隔[T
1,T
2]内に故障する車のインデックスである。
【0038】
[0040] 部品故障データ決定モジュール120は、各部品P
jに対して、及び各部品P
jに関連付けられた各DTC D
jkに対して、各部品P
jがT
2後に初めて故障するが、関連付けられた各DTC D
jkが第1の所定期間[T
1,T
2]内に初めて発生し観測される、第2の車の組C’
jkをさらに特定することができる。第2の車の組C’
jkは、車のインデックスを含み、従って、
C’
jk={i} ...(2)
と定義され、ここでiは、部品P
jがT
2後に初めて故障する車のインデックスである。
【0039】
[0041] 部品故障データ決定モジュール120は、各部品P
jに対して、各部品P
jが第1の車の組C
j内の各車に対して初めて故障するサイクル数を含む第1の部品故障の組Fail
jをさらに特定することができる。従って、第1の部品故障の組Fail
jは、
Fail
j={p
ji:i∈C
j} ...(3)
と定義され、ここでp
jiは、部品P
jがi番目の車において初めて故障するサイクル数であり、i∈C
jである。iが{1,2,...,n}からのものであり、jが{1,2,...,m}からのものであることは理解されよう。
【0040】
[0042] さらに、一実装形態では、DTCデータ決定モジュール122は、製品のセンサデータを取得して、センサデータからDTC発生データを決定する。一例では、DTCデータ決定モジュール122は、そのようなデータを格納することができるデータベース106又は外部データリポジトリからセンサデータを取得し、センサデータからDTC発生データを決定し、DTC発生データをDTCデータ130に格納することができる。センサデータからDTC発生データを決定する際、DTCデータ決定モジュール122は、各部品P
jに対して、及び各部品P
jに関連付けられた各DTC D
jkに対して、各部品P
jに関連付けられた各DTC D
jkが第1の車の組C
j内の各車に対して初めて発生するサイクル数を含む第1のDTC発生の組Ind
jkを決定することができる。従って、第1のDTC発生の組Ind
jkは、
Ind
jk={d
jki:i∈C
j} ...(4)
と定義でき、ここで、d
jkiは、部品P
jに関連付けられたDTC D
jkがi番目の車において初めて発生するサイクル数であり、i∈C
jである。
【0041】
[0043] DTCデータ決定モジュール122は、各部品P
jに対して、及び各部品P
jに関連付けられた各DTC D
jkに対して、各部品P
jに関連付けられた各DTC D
jkが第2の車の組C’
jk内の各車に対して初めて発生するサイクル数を含む第2のDTC発生の組Ind’
jkをさらに決定することができる。従って、第2のDTC発生の組Ind’
jkは、
Ind’
jk={d’
jki:i∈C’
jk} ...(5)
と定義でき、ここで、d’
jkiは、部品P
jに関連付けられたDTC D
jkがi番目の車において初めて発生するサイクル数であり、i∈C’
jkである。
【0042】
[0044] さらに、一実装形態では、DTCデータ決定モジュール122は、製品のサービス記録データを取得して、サービス記録データからDTC観測データを決定する。一例では、DTCデータ決定モジュール122は、そのようなデータを格納できるデータベース106又は外部データリポジトリからサービス記録データを取得し、サービス記録データからDTC観測データを決定し、DTC観測データをDTCデータ130に格納することができる。サービス記録データからDTC観測データを決定する際、DTCデータ決定モジュール122は、各部品P
jに対して、及び各部品P
jに関連付けられた各DTC D
jkに対して、各部品P
jに関連付けられた各DTC D
jkが第1の車の組C
j内の各車に対して初めて観測されるサイクル数を含む第1のDTC観測の組Serv
jkを決定することができる。従って、第1のDTC観測の組Serv
jkは、
Serv
jk={s
jki:i∈C
j} ...(6)
と定義することができ、ここで、s
jkiは、部品P
jに関連付けられたDTC D
jkがi番目の車において初めて観測されるサイクル数であり、i∈C
jである。
【0043】
[0045] DTCデータ決定モジュール122は、各部品P
jに対して、及び各部品P
jに関連付けられた各DTC D
jkに対して、各部品P
jに関連付けられた各DTC D
jkが第2の車の組C’
jk内の各車に対して初めて観測されるサイクル数を含む第2のDTC観測の組Serv’
jkをさらに決定することができる。従って、第2のDTC観測の組Serv’
jkは、
Serv’
jk={s’
jki:i∈C’
jk} ...(7)
と定義でき、ここで、s’
jkiは、部品P
jに関連付けられたDTC D
jkがi番目の車において初めて観測されるサイクル数であり、i∈C’
jkである。
【0044】
[0046] 一例では、組Fail
j、Ind
jk、及びServ
jkのそれぞれからのp
ji、d
jki、及びs
jkiは、以下の関係、
d
jki≦s
jki≦p
ji ...(8)
を満たす。
【0045】
[0047] 一例では、各部品P
j及び関連付けられたDTC D
jkは、ある依存関係を有することがある。そのような依存関係の例の中には、以下のようなものがある。1)DTC D
jkは、部品故障のおよそ2ヶ月前に常に発生し、2)実際の部品故障の前に発生するDTC D
jkは、ある確率分布に従う。
【0046】
[0048] 一実装形態では、保証費推定器124は、部品故障データと、DTC発生データと、DTC観測データとの間の依存関係パラメータを特定する。この特定は、部品故障データと、DTC発生データと、DTC観測データとの間の確率的な関係を表すベイジアンネットワークに基づく。依存関係パラメータは、部品故障データと、DTC発生データと、DTC観測データとの間の確率的な関係に関連する。ベイジアンネットワークは、ベイズ確率論と、条件付き依存関係の概念とを組み合わせて、部品故障データと、DTC発生データと、DTC観測データとの間の依存関係を表す。
【0047】
[0049] 依存関係パラメータを特定するために、保証費推定器124は、第1の部品故障の組Fail
j、第1のDTC発生の組Ind
jk、第2のDTC発生の組Ind’
jk、第1のDTC観測の組Serv
jk、及び第2のDTC観測の組Serv’
jkがそれぞれ従う確率分布関数を決定することができる。
【0048】
[0050] 一例では、第1の部品故障の組Fail
j、又はFail
jの値f
jは、形状(shape)パラメータをβ
jとし、尺度(scale)パラメータをα
jとするワイブル分布に従う。従って、Fail
jの値f
jは、
f
j〜Weibull(α
j,β
j) ...(9)
と定義できる。ここで、尺度パラメータα
jは、下限が0であり上限がa>0である一様分布に従い、形状パラメータβ
jは、下限が0であり上限がb>0である一様分布に従う。
【0049】
[0051] 一例では、第1のDTC発生の組Ind
jk、又はその中の値i
jkは、平均が部品故障データすなわちFail
jの値f
jに依存する正規分布に従う。第1のDTC発生の組Ind
jkの値i
jkは、平均がf
j−f
j×r
jkであり標準偏差がσ
1jkである正規分布に従う。従って、Ind
jkの値i
jkは、
i
jk〜Normal distribution(f
j−f
j×r
jk,σ
1jk) ...(10)
と定義することができ、ここで、f
jは組Fail
jからの値を表し、r
jkは、下限がr
1>0であり上限がr
2>0である一様分布に従い、σ
1jkは、下限が0であり上限がc
1>0である一様分布に従う。
【0050】
[0052] 同様に、第2のDTC発生の組Ind’
jk、又はその中の値i’
jkは、第1のDTC発生の組Ind
jkの値i
jkが従う正規分布と類似する正規分布に従う。
【0051】
[0053] 一例では、第1のDTC観測の組Serv
jk、又はその中の値s
jkは、平均が部品故障データすなわちFail
jの値f
j及びDTC発生データすなわちInd
jkの値i
jkに依存する正規分布に従う。第1のDTC観測の組Serv
jkの値s
jkは、平均が(f
j−i
jk)×m
jk+i
jkであり標準偏差がσ
2jkである正規分布に従う。従って、Serv
jkの値s
jkは、
s
jk〜Normal distribution((f
j−i
jk)×m
jk+i
jk,σ
2jk) ...(11)
と定義することができ、ここで、f
jは組Fail
jからの値を表し、i
jkは組Ind
jkからの値を表し、m
jkは、下限が0であり上限が1である一様分布に従い、σ
2jkは、下限が0であり上限がc
2>0である一様分布に従う。
【0052】
[0054] 同様に、第2のDTC観測の組Serv’
jk、又はその中の値s’
jkは、第1のDTC観測の組Serv
jkの値s
jkが従う正規分布と類似する正規分布に従う。
【0053】
[0055] 本明細書に記載された例によれば、依存関係パラメータは、(1)第1のDTC発生の組Ind
jk及び第2のDTC発生の組Ind’
jkに対する正規分布の平均及び分散と、(2)第1のDTC観測の組Serv
jk及び第2のDTC観測の組Serv’
jkに対する正規分布の平均及び分散とに基づいて特定される。本明細書に記載された例では、依存関係パラメータはr
jk、σ
1jk、m
jk、及びσ
2jkである。
【0054】
[0056] さらに、システム102は、異なるシナリオに対して、第2の所定期間[T
3,T
4]における車の故障数を計算できる。第2の所定期間[T
3,T
4]は、第1の所定期間[T
1,T
2]の後の期間を示す。一例では、第1の所定期間が2008年(T
1)〜2010年(T
2)である場合、第2の所定期間は、2011年(T
3)〜2013年(T
4)であってよい。第1のシナリオでは、システム102は、第2の所定期間[T
3,T
4]における車の故障数を計算するために、部品故障データすなわち第1の部品故障の組Fail
jと、DTC観測データすなわち第1及び第2のDTC観測の組Serv
jk及びServ’
jkとを利用することができる。第2のシナリオでは、システム102は、第2の所定期間[T
3,T
4]における車の故障数を計算するために、部品故障データすなわち第1の部品故障の組Fail
jと、DTC発生データすなわち第1及び第2のDTC発生の組Ind
jk及びInd’
jkと、DTC観測データすなわち第1及び第2のDTC観測の組Serv
jk及びServ’
jkとを利用することができる。一実装形態では、車の故障数に関連付けられたデータは、保証費データ134に格納することができる。
【0055】
[0057] 第1のシナリオによれば、保証費推定器124は、上述の確率分布関数におけるFail
jからの値f
jとServ
jkからの値s
jkとを用いて、i
jk、r
jk、σ
1jk、m
jk、及びσ
2jkの値を学習することができる。さらに、保証費推定器124は、i
jk、r
jk、σ
1jk、m
jk、及びσ
2jkの学習された値を用いて、また、上述の確率分布関数におけるServ’
jkからの値s’
jkを用いて、第2の部品故障の組Fail’
jkとしてf’
jkの値を学習することができる。第2の部品故障の組Fail’
jkは、各部品P
jが第1の所定期間後に初めて故障するサイクル数を示す。
【0056】
[0058] そして、保証費推定器124は、各部品P
jに対して、各部品P
jに対する第1の部品故障の組Fail
j及び第2の部品故障の組Fail’
jkの和に基づいて、和集合を決定する。従って、この和集合は、
Fail’’
jk=Fail
j∪Fail’
jk ...(12)
と定義される。Fail
j∩Fail’
jkが空集合であることに留意されたい。
【0057】
[0059] さらに、保証費推定器124は、上述の確率分布関数におけるFail’’
jkを用いて、α
jnew、β
jnewを学習することができる。続いて、保証費推定器124は、[T
3,T
4]における部品P
jの故障確率を、
Z
j=exp(−(T
4×(α
jnew/β
jnew)))−exp(−(T
3×(α
jnew/β
jnew))) ...(13)
に基づいて決定することができる。
【0058】
[0060] さらに、保証費推定器124は、期間[T
3,T
4]における車の故障数を、
Σ
iΣ
j(Z
j) ...(14)
と計算することができ、ここで、j=1〜mであり、i=1〜nである。
【0059】
[0061] 第2のシナリオによれば、保証費推定器124は、上述の確率分布関数におけるFail
jからの値f
jと、Ind
jkからの値i
jkと、Serv
jkからの値s
jkとを用いて、r
jk、σ
1jk、m
jk、及びσ
2jkの値を学習することができる。さらに、保証費推定器124は、r
jk、σ
1jk、m
jk、及びσ
2jkの学習された値を用いて、また、上述の確率分布関数におけるInd’
jkからの値i’
jk及びServ’
jkからの値s’
jkを用いて、第2の部品故障の組Fail’
jkとしてf’
jkの値を学習することができる。第2の部品故障の組Fail’
jkは、各部品P
jが第1の所定期間後に初めて故障するサイクル数を示す。
【0060】
[0062] そして、保証費推定器124は、各部品P
jに対して、各部品P
jに対する第1の部品故障の組Fail
j及び第2の部品故障の組Fail’
jkの和に基づいて、和集合を決定する。従って、この和集合は、
Fail’’
jk=Fail
j∪Fail’
jk ...(15)
と定義される。Fail
j∩Fail’
jkが空集合であることに留意されたい。
【0061】
[0063] さらに、保証費推定器124は、上述の確率分布関数におけるFail’’
jkを用いて、α
jnew、β
jnewを学習することができる。続いて、保証費推定器124は、[T
3,T
4]における部品P
jの故障確率を、
Z
j=exp(−(T
4×(α
jnew/β
jnew)))−exp(−(T
3×(α
jnew/β
jnew))) ...(16)
に基づいて決定することができる。
【0062】
[0064] さらに、保証費推定器124は、期間[T
3,T
4]における車の故障数を、
Σ
iΣ
j(Z
j) ...(17)
と計算することができ、ここで、j=1〜mであり、i=1〜nである。
【0063】
[0065] 一実装形態では、保証費推定器124は、依存関係パラメータ及び他の値を、最尤推定法、期待値最大化(EM)法、マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法などの技法を用いて学習することができる。一実装形態では、依存関係パラメータは、ベイジアンネットワーク依存関係パラメータ132に格納することができる。
【0064】
[0066] この後、保証費推定器124は、計算された車の故障数及び部品交換費に基づいて、第2の所定期間における車の保証費を推定する。部品交換費は、故障単価と呼ばれることもある。一例では、車の保証費は、計算された車の故障数に故障単価を乗じたものに等しくなり得る。一実装形態では、推定された保証費に関連付けられたデータは、保証費データ134に格納することができる。
【0065】
[0067] 一例では、他のコスト、すなわちペナルティコストが、保証期間が終わった後に故障した部品に対する顧客の不満に関して発生することがある。部品に関連するこのペナルティコストは、時間と共に減少し得る。このために、保証費推定器124は、保証期間前に故障した部品を決定することができる。保証期間がw
jである第j部品P
jの保証費は、
(Warranty cost)
j=R
jF
j(w
j)+R
jbe
−cwj(1−F(w
j)) ...(18)
と定義することができ、ここで、b及びc>0であり、F(w
j)は保証期間w
jの前に故障した第j部品の割合であり、R
jは部品P
jに対する故障単価である。
【0066】
[0068]
図2は、本主題の一実装形態による、保証費推定システム102により保証費を推定するためのデータを照合するためのシステム環境200を示す。簡単のため、1つの製品202及び1つのサービスステーション204を
図2に示す。一実装形態では、システム環境200は、複数の製品及び複数のサービスステーションを含んでもよい。図示されるように、製品202は、製品202内の様々な部品の機能を監視するための、及び、障害症状が製品202内の部品のいずれかにおいて検出された場合に発生し得るDTCを記録するための、センサ206及びオンボード診断システム208を含む。製品202がサービスステーション204に搬送される場合、製品202におけるDTCの発生に関連付けられたデータ、すなわちDTC発生データを決定するために、センサデータを、サービスステーション204において収集することができる。加えて、サービスステーション204において、製品202に対するDTCの観測に関連付けられたデータ、すなわちDTC観測データもまた、サービスステーション204において収集することができる。DTC観測データは、サービス記録データとして収集することができる。データを収集するために、データ収集器又は診断デバイス(図示せず)が、サービスステーション204において製品202に接続されてもよい。
【0067】
[0069] さらに、一実装形態では、サービスステーション204において収集されたセンサデータ及びサービス記録データは、例えばリアルタイム又は間欠的に、中央サーバ210又は外部データリポジトリへ送信することができる。システム102は、本主題に従って、DTC発生データ及びDTC観測データを決定し、次いで製品の故障数を決定し製品の保証費を推定するために、場合により中央サーバ210又は外部データリポジトリから、製品のセンサデータ及びサービス記録データを取得することができる。
【0068】
[0070] 一実装形態では、製品202のセンサデータは、例えば、リアルタイム又は間欠的に、直接中央サーバ210へ、又は外部データリポジトリへ、あるいはサービスステーション204へ、送信することができる。
【0069】
[0071]
図3は、本主題の一実装形態による、保証費を推定するための方法300を示す。方法300は、様々な計算システムにおいて、いくつかの異なる方法で実装することができる。例えば、本明細書に記載された方法300は、上述の保証費推定システム102を用いて実装することができる。
【0070】
[0072] 方法300は、完全に又は部分的に、コンピュータ実行可能命令の一般的な文脈において記載され得る。一般的には、コンピュータ実行可能命令は、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、プロシージャ、モジュール、関数などを含むことができ、これらは特定の機能を実行するか又は特定の抽象データ型を実装する。本方法の工程が、プログラムされたコンピュータにより実行可能であることを当業者は容易に理解するであろう。本明細書では、一部の実施形態はまた、プログラム記憶装置、例えばデジタルデータ記憶媒体を含むものとし、これは機械可読又はコンピュータ可読であって、機械実行可能又はコンピュータ実行可能な命令のプログラムを符号化するものであり、前記命令は、記載された方法300の工程の一部又は全部を実行する。
【0071】
[0073] 方法300が記載される順序は、限定と解釈されることを意図しておらず、任意の数の記載された方法ブロックは、任意の順番で組み合わせられて、本方法又は代替の方法を実施することができる。加えて、個々のブロックは、本明細書に記載された主題の範囲から逸脱することなく、本方法から削除することができる。さらに、本方法は、任意の適したハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組合せにより実装することができる。本方法300はシステム102を参照して記載するが、この記載は他のシステムにも拡張可能であることが理解されよう。
【0072】
[0074] ブロック302において、部品故障データが決定され、ここで、部品故障データは、製品の各部品P
jが第1の所定期間[T
1,T
2]内又は後に故障するサイクル数を示す。部品故障データを決定する際、各部品P
jに対して、各部品P
jが第1の所定期間内に初めて故障する第1の製品の組C
jが特定される。また、各部品P
jに対して、及び各部品P
jに関連付けられた各DTC DTC
jkに対して、各部品P
jが第1の所定期間後に初めて故障し、関連付けられたDTC DTC
jkが第1の所定期間内に初めて発生及び観測される、第2の製品の組C’
jkが特定される。さらに、各部品P
jに対して、第1の部品故障の組Fail
jが決定され、これは、各部品P
jが第1の製品の組C
j内の各製品に対して初めて故障するサイクル数を含む。一実装形態では、部品故障データ、Fail
j、C
j、C’
jkは、システム102により場合によっては決定及び特定されてもよい。
【0073】
[0075] ブロック304において、製品のセンサデータを取得して、DTC発生データを決定し、ここで、DTC発生データは、各部品P
jに関連付けられた各DTC DTC
jkが第1の所定期間内に初めて発生するサイクル数を示す。DTC発生データをセンサデータから決定する際、各部品P
jに対して、及び各部品P
jに関連付けられた各DTC DTC
jkに対して、第1のDTC発生の組Ind
jkが決定され、これは、各部品P
jに関連付けられた各DTC DTC
jkが、第1の製品の組C
j内の各製品に対して初めて発生するサイクル数を含む。同様に、各部品P
jに対して、及び各部品P
jに関連付けられた各DTC DTC
jkに対して、第2のDTC発生の組Ind’
jkが決定され、これは、各部品P
jに関連付けられた各DTC DTC
jkが、第2の製品の組C’
jk内の各製品に対して初めて発生するサイクル数を含む。一実装形態では、DTC発生データ、Ind
jk、Ind’
jkは、システム102により決定されてもよい。
【0074】
[0076] ブロック306において、製品のサービス記録データを取得して、DTC観測データを決定し、ここで、DTC観測データは、各部品P
jに関連付けられた各DTC DTC
jkが第1の所定期間内に初めて観測されるサイクル数を示す。DTC観測データをサービス記録データから決定する際、各部品P
jに対して、及び各部品P
jに関連付けられた各DTC DTC
jkに対して、第1のDTC観測の組Serv
jkが決定され、これは、各部品P
jに関連付けられた各DTC DTC
jkが、第1の製品の組C
jの各製品に対して初めて観測されるサイクル数を含む。同様に、各部品P
jに対して、及び各部品P
jに関連付けられた各DTC DTC
jkに対して、第2のDTC観測の組Serv’
jkが決定され、これは、各部品P
jに関連付けられた各DTC DTC
jkが、第2の製品の組C’
jkの各製品に対して初めて観測されるサイクル数を含む。一実装形態では、DTC観測データ、Serv
jk、Serv’
jkは、システム102により決定されてもよい。
【0075】
[0077] ブロック308において、部品故障データと、DTC発生データと、DTC観測データとの間の依存関係パラメータが特定される。依存関係パラメータは、部品故障データと、DTC発生データと、DTC観測データとの間の確率的な関係を表すベイジアンネットワークに基づいて特定される。依存関係パラメータは、部品故障データと、DTC発生データと、DTC観測データとの間の確率的な関係に関連する。一実装形態では、依存関係パラメータは、システム102により特定されてもよい。
【0076】
[0078] 依存関係パラメータを特定するために、第1の部品故障の組Fail
j、第1のDTC発生の組Ind
jk、第2のDTC発生の組Ind’
jk、第1のDTC観測の組Serv
jk、及び第2のDTC観測の組Serv’
jkがそれぞれ従う確率分布関数が決定される。一実装形態では、第1の部品故障の組Fail
jはワイブル分布に従ってもよく、第1のDTC発生の組Ind
jk及び第2のDTC発生の組Ind’
jkはそれぞれ、平均が部品故障データに依存する正規分布に従ってもよく、第1のDTC観測の組Serv
jk及び第2のDTC観測の組Serv’
jkはそれぞれ、平均が部品故障データ及びDTC発生データに依存する正規分布に従ってもよい。さらに、依存関係パラメータは、第1のDTC発生の組Ind
jk及び第2のDTC発生の組Ind’
jkに対する正規分布の平均及び分散と、第1のDTC観測の組Serv
jk及び第2のDTC観測の組Serv’
jkに対する正規分布の平均及び分散とに基づいて、特定される。
【0077】
[0079] さらに、ブロック310において、第2の所定期間[T
3,T
4]内の製品の故障数が、依存関係パラメータに基づいて計算される。第2の所定期間は、第1の所定期間の後の期間を示す。製品の故障数を、製品の保証費を推定するために計算することができる。一実装形態では、製品の保証費は、計算された製品の故障数及び部品交換費に基づいて推定することができる。部品交換費は、故障単価とも呼ばれることがある。一実装形態では、製品の故障数は、システム102により計算することができ、製品の保証費は、システム102により推定することができる。
【0078】
[0080] 一実装形態では、製品の故障数を計算するために、各部品P
jに対して、依存関係パラメータを、第1の部品故障の組Fail
jと、第1のDTC観測の組Serv
jkと、確率分布関数とを用いて学習することができる。そして、学習された依存関係パラメータ及び第2のDTC観測の組Serv’
jkを用いて、第2の部品故障の組Fail’
jkは、各部品P
jに対して学習することができ、ここで、第2の部品故障の組Fail’
jkは、各部品P
jが第1の所定期間後に初めて故障するサイクル数を示す。この後、各部品P
jに対して、各部品P
jに対する第1の部品故障の組Fail
j及び第2の部品故障の組Fail’
jkの和に基づいて、和集合を決定することができる。さらに、各部品P
jに対して、ワイブル分布の形状パラメータ及び尺度パラメータを、和集合に基づいて学習することができ、次いで製品の故障数を、各部品P
jに対する学習された形状パラメータ及び尺度パラメータに基づいて計算することができる。
【0079】
[0081] 一実装形態では、製品の故障数を計算するために、各部品P
jに対して、依存関係パラメータを、第1の部品故障の組Fail
jと、第1のDTC発生の組Ind
jkと、第1のDTC観測の組Serv
jkと、確率分布関数とを用いて、学習することができる。そして、学習された依存関係パラメータと、第2のDTC発生の組Ind’
jkと、第2のDTC観測の組Serv’
jkとを用いて、第2の部品故障の組Fail’
jkを、各部品P
jに対して決定することができ、ここで、第2の部品故障の組Fail’
jkは、各部品P
jが第1の所定期間後に初めて故障するサイクル数を示す。この後、各部品P
jに対して、各部品P
jに対する第1の部品故障の組Fail
j及び第2の部品故障の組Fail’
jkの和に基づいて、和集合を決定することができる。続いて、各部品P
jに対して、ワイブル分布の形状パラメータ及び尺度パラメータを、和集合に基づいて学習し、製品の故障数を、各部品P
jに対する学習された形状パラメータ及び尺度パラメータに基づいて計算することができる。
【0080】
[0082] 複数の部品を有する製品の保証費を推定するための方法の実装を、構造的な特徴及び/又は方法に特有の文言で記載したが、本主題が、記載された特定の特徴又は方法に必ずしも限定されないことが理解されよう。