(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0014】
本実施形態に係るゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対して、平均粒径が75〜500μmである吸水したカラギーナン粉末を0.5〜20質量部含有するものである。
【0015】
該ゴム組成物において、ゴム成分として用いられるジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。これらジエン系ゴムは、いずれか1種単独で、又は2種以上ブレンドして用いることができる。上記ゴム成分は、好ましくは、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、又はこれらの2種以上のブレンドである。
【0016】
ジエン系ゴムとして、天然ゴムと他のジエン系ゴムとのブレンドを用いることが好ましく、特に好ましくは、天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR)とのブレンドゴムを用いることである。その場合、両者の比率は、特に限定しないが、ゴム組成物の低温特性と加工性や耐引き裂き抵抗性とのバランスを考慮して、NR/BRの比率が、質量比で30/70〜80/20であることが好ましく、40/60〜70/30でもよい。
【0017】
本実施形態に係るゴム組成物に添加するカラギーナン粉末としては、吸水させることで、平均粒径が75〜500μmであるカラギーナン粉末を調製し、用いることができる。
【0018】
ここで、カラギーナンとは、紅藻類から抽出される多糖類で、D−ガラクトースがα−1,3結合またはβ−1,4結合を交互に繰り返した構造をしている。カラギーナンは硫酸基の数とアンヒドロ結合の有無によりι、κ、λの3タイプに分けられ、ιカラギーナン、κカラギーナンは金属イオンの存在下でゲル化するが、λカラギーナンはその構造上、ゲル化しにくい。
【0019】
カラギーナンとしては、特に限定されず、ι、κ、λのいずれのタイプのカラギーナンも使用でき、いずれか1種でもよく、2種以上混合し用いても良いが、吸水したカラギーナン粉末をゴム組成物中で均一に分散させる観点から、ゲル化しにくいλカラギーナンであることがより好ましい。
【0020】
ここで、本明細書において、ゲルとは、分散質のネットワークにより高い粘性を持ち流動性を失い、系全体としては固体状のものをいう。吸水したカラギーナン粉末は、加熱し冷却することで、ネットワークが形成されゲル化する。
【0021】
吸水前のカラギーナン粉末の平均粒径は、50〜475μmであることが好ましく、50〜375μmであることがより好ましく、50〜275μmであることがさらに好ましい。吸水前の平均粒径がこの範囲であれば、吸水後の平均粒径を下記の範囲とすることができるからである。このようなカラギーナン粉末としては、東京化成工業株式会社から「ι−Carrageenan」、「κ−Carrageenan」、「λ−Carrageenan」の商品名で市販されており、使用することができる。
【0022】
吸水したカラギーナン粉末の平均粒径は、75〜500μmであり、75〜400μmであることが好ましく、75〜300μmであることがより好ましい。吸水した状態でこの範囲の平均粒径であれば、カラギーナン粉末は、粒子同士がネットワークを形成しておらず、ゲル化していないと考えられ、ゴム組成物中に均一に分散させることができるからである。
【0023】
平均粒径が75〜500μmである吸水したカラギーナン粉末の調製方法は、特に限定されないが、60℃以下である水をカラギーナン粉末に加え、吸収させると、ネットワークは形成されにくい傾向にあり、粒子それぞれが独立し、ゲル化していない、平均粒径が75〜500μmである吸水したカラギーナン粉末を調製することができる。
【0024】
ここで、本明細書において、平均粒径とは、吸水したカラギーナン粉末を無作為抽出して顕微鏡等で各粒子の最大径を測定し、その測定値から求めた平均値(n=10)とする。
【0025】
吸水したカラギーナン粉末の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.5〜20質量部であり、1〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。0.5質量部以上であれば、氷上制動性能の向上効果に優れ、20質量部以下であれば、耐摩耗性能を悪化させることなく、氷上制動性能を向上させることができるからである。
【0026】
吸水したカラギーナン粉末の水分率は、吸水したカラギーナン粉末中に含まれる水の割合であり、特に限定されないが、20〜96質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることがさらに好ましい。20質量%以上であれば、氷上制動性能の向上効果に優れ、96質量%以下であれば耐摩耗性能を悪化させることなく、氷上制動性能を向上させることができるからである。
【0027】
ゲル化していない(平均粒径=75〜500μm)吸水したカラギーナン粉末を添加することにより、氷上制動性能の向上効果が得られるが、その理由は次のように考えられる。すなわち、吸水したカラギーナン粉末は、ゲル化せずそれぞれが独立しているため、ゴム組成物中に均一に分散させることが可能である。カラギーナン粉末が均一に分散することにより、吸水した水が加硫時にゴム組成物中において水蒸気発泡を起こし、加硫ゴムに均一な細孔が形成される。この細孔が氷上路面の水膜を除去する効果を発揮し、氷上制動性能を大幅に向上させることができると考えられる。
【0028】
なお、カラギーナン粉末はゲル化すると系全体が固体状となり、これをゴム組成物に添加すると、混合時の剪断力により、物理的に破砕され分散するが、その粒径はゲル化していないものと比べ、大きく、ばらつきがある。そのため、ゴム組成物中に均一に分散させることができず、加硫後のゴム組成物の断面に均一な細孔は形成されない。従って、氷上制動性能の向上効果は得られないと考えられる。
【0029】
本実施形態に係るゴム組成物には、補強性充填剤を配合してもよい。
【0030】
補強性充填剤としては、カーボンブラック及び/又はシリカを用いることが好ましい。すなわち、補強性充填剤は、カーボンブラック単独でも、シリカ単独でも、カーボンブラックとシリカの併用でもよい。好ましくは、カーボンブラック、又はカーボンブラックとシリカの併用である。補強性充填剤の配合量は、特に限定されず、例えば上記ジエン系ゴム100質量部に対して10〜150質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜100質量部であり、更に好ましくは30〜80質量部である。
【0031】
上記カーボンブラックとしては、特に限定されず、公知の種々の品種を用いることができる。カーボンブラックの配合量としては、ジエン系ゴム100質量部に対して10〜80質量部程度の範囲が好ましく、より好ましくは15〜50質量部である。
【0032】
シリカとしても、特に限定されないが、湿式沈降法シリカや湿式ゲル法シリカなどの湿式シリカが好ましく用いられる。シリカを配合する場合、その配合量としては、ゴムのtanδのバランスや補強性などの観点からジエン系ゴム100質量部に対して10〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは15〜50質量部である。
【0033】
シリカを配合する場合、スルフィドシラン、メルカプトシランなどのシランカップリング剤を併用することが好ましく、その配合量はシリカ配合量に対して2〜20質量%であることが好ましい。
【0034】
本実施形態に係るゴム組成物には、上記した各成分に加え、通常のゴム工業で使用されているプロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、可塑剤、ワックス、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤などの配合薬品類を通常の範囲内で適宜配合することができる。
【0035】
上記加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄成分が挙げられ、特に限定するものではないが、その配合量はジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。また、加硫促進剤の配合量としては、ジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0036】
該ゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練し調製することができる。
【0037】
好ましい一実施形態に係るゴム組成物の製造方法としては、ジエン系ゴムに補強性充填剤を添加し混合するノンプロ練り工程と、ノンプロ練り工程で得られた混合物に、加硫剤を添加し混合するプロ練り工程を含み、プロ練り工程において、ゲル化していない吸水したカラギーナン粉末を添加し、混合する製造方法が挙げられる。この際、混合温度は120℃以下に設定する。補強性充填剤を均一に分散させるために一般に高温になるまで混合するノンプロ練り工程ではなく、加硫剤の反応を抑えるために、より低温で行うプロ練り工程においてゲル化していない吸水したカラギーナン粉末を添加し、かつ、その混合温度を120℃以下に設定することにより、カラギーナン粉末が吸水した水が加硫工程よりも前に蒸発して外部に放出されることを抑えることができ、加硫工程での発泡効果を高めることができる。
【0038】
ノンプロ練り工程は、加硫剤などの一部の成分を添加していない状態での練り工程であり、ゴム成分に、補強性充填剤やオイル、老化防止剤などの、加硫剤及び加硫促進剤を除く成分を添加して混合する。ノンプロ練り工程は、バンバリーミキサー等の密閉式混練機を用いて行うことができ、混練機に上記各成分を投入して、機械的な剪断力を加えた乾式混合である混練りを行う。混合すると、剪断による発熱で温度が上昇するので、所定の排出温度にて混合物を混練機から排出する。ノンプロ練り工程における混合温度(例えば、混練機からの排出温度)は、特に限定されず、例えば130〜180℃でもよく、140〜180℃でもよい。混練機から排出された混合物は、通常、常温下に放置することで冷却される。なお、ノンプロ練り工程は、単一の混合工程としてもよいが、混合と排出を繰り返す複数の混合工程に分けて実施してもよい。また、複数の混合工程の間、及び/又は、ノンプロ練り工程とプロ練り工程の間に、添加剤を添加せずに練りのみを行うリミル工程を実施しても良い。
【0039】
プロ練り工程は、例えば、オープンロールやバンバリーミキサー等の混練機を用いて行うことができ、混練機に、ノンプロ練り工程で得られた混合物とともに、ゲル化していない吸水したカラギーナン粉末、加硫剤及び加硫促進剤を投入して、混合を行い、所定の排出温度で混合物を混練機から排出する。プロ練り工程における混合温度(例えば、混練機からの排出温度)は、上記のように120℃以下であることが好ましく、より好ましくは70〜110℃であり、さらに好ましくは80〜100℃である。
【0040】
このようにして得られるゴム組成物は、タイヤの接地面を構成するトレッドゴムに用いられ、より好ましくは、スタッドレスタイヤ、スノータイヤなどのウインタータイヤのトレッドゴムとして用いられる。
【0041】
好ましい一実施形態に係る上記ゴム組成物を用いたタイヤの製造方法としては、上記ゴム組成物を、押出温度120℃以下で押し出して、上記ゴム組成物を含む未加硫タイヤを作製する工程と、未加硫タイヤを加硫温度150〜190℃で加硫する工程とを含む、製造方法が挙げられる。
【0042】
未加硫タイヤの作製工程では、例えば、常法に従い、上記ゴム組成物を押し出して、押し出された未加硫ゴムを水冷し、得られた未加硫ゴムをトレッドゴムとして用いて、未加硫のサイドウォールゴム部材などの他の部材と組み合わせることにより、未加硫タイヤを作製することができる。
【0043】
押し出しを行う際の温度(押出温度)は、特に限定されないが、120℃以下であることが好ましい。120℃以下であれば、カラギーナン粉末が吸水した水が加硫工程よりも前に蒸発して外部に放出されることを抑えることができ、加硫工程での発泡効果を高めることができるからである。
【0044】
また、押し出し後に水冷することにより、未加硫ゴム中に含まれるカラギーナン粉末の水分率を回復させることができ、加硫工程での発泡効果を高めることができる。
【0045】
次いで、加硫工程では、上記のように作製した未加硫タイヤを加硫することにより、タイヤを作製することができる。
【0046】
加硫を行う際の温度(加硫温度)は、特に限定されないが、150〜190℃であることが好ましい。150℃以上であれば、トレッドゴム内部の温度が水の沸点に達するまで時間がかからないため、架橋とのバランスを崩すことなく、発泡効果が得られ、190℃以下であれば、温度が高過ぎず、架橋とのバランスを崩すことなく、発泡効果が得られるからである。
【0047】
上記ゴム組成物により形成された加硫ゴム部分(トレッドゴム)の発泡率は、特に限定されないが、3〜60%であることが好ましく、10〜60%であることがより好ましく、30〜60%であることがさらに好ましい。3%以上であれば、氷上制動性能の向上効果に優れ、60%以下であれば耐摩耗性能を悪化させることなく、氷上制動性能を向上させることができるからである。なお、発泡率(%)は、その断面を顕微鏡で観察し、画像解析により得られる対象領域における気泡が占める面積の割合をいうものとする。
【0048】
空気入りタイヤのトレッドゴムには、キャップゴムとベースゴムとの2層構造からなるものと、両者が一体の単層構造のものがあるが、接地面を構成するゴムに用いられるので、単層構造のものであれば、当該トレッドゴムが上記ゴム組成物からなり、2層構造のものであれば、キャップゴムが上記ゴム組成物からなる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従い、まず、ノンプロ練り工程で、加硫促進剤、硫黄、カラギーナン粉末1〜6、ペクチン、コラーゲン粉末、ゼラチン、及びDPTを除く成分を添加混合し(排出温度=160℃)、次いで、得られた混合物に、プロ練り工程で、加硫促進剤及び硫黄と、カラギーナン粉末1〜6、ペクチン、コラーゲン粉末、ゼラチン、又はDPTとを添加混合して(排出温度=98℃)、ゴム組成物を調製した。
【0051】
表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
【0052】
・NR:RSS#3
・BR:JSR(株)製「BR01」
・カーボンブラック(N339):東海カーボン(株)製「シーストKH」
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」
・シランカップリング剤:エボニック社製「Si75」
・パラフィンオイル:JX日鉱日石エネルギー(株)製「プロセスP200」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1号」
・老化防止剤:住友化学(株)製「アンチゲン6C」
・ワックス:日本精蝋(株)製「OZOACE0355」
・加硫促進剤:住友化学(株)製「ソクシノールCZ」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「粉末硫黄」
・カラギーナン粉末1:東京化成工業(株)製「ι−Carrageenan」(水分率=30%、吸水後の平均粒径=250μm)
・カラギーナン粉末2:東京化成工業(株)製「κ−Carrageenan」(水分率=30%、吸水後の平均粒径=250μm)
・カラギーナン粉末3:東京化成工業(株)製「λ−Carrageenan」(水分率=30%、吸水後の平均粒径=250μm)
・カラギーナン粉末4:東京化成工業(株)製「λ−Carrageenan」(水分率=50%、吸水後の平均粒径=270μm)
・カラギーナン粉末5(ゲル化):東京化成工業(株)製「λ−Carrageenan」をビーカーに入れ、熱湯(100℃)を、水分率が30%になるように入れ、85℃のウォーターバスで加温しながら数分間攪拌して、その後一定時間放置することでゲル化させた。
・カラギーナン粉末6:東京化成工業(株)製「λ−Carrageenan」(平均粒径=200μm)
・ペクチン:東京化成工業(株)製「Amylopectin Hydrate」
・コラーゲン粉末:マルトモ(株)製「クラゲチップ」(水分率=30%)
・ゼラチン:ゼライス(株)製「ゼラチンA-U」
・DPT:東京化成工業(株)製「N,N’−Dinitrosopentamethylenetetramine」
【0053】
カラギーナン粉末1〜4、及びコラーゲン粉末は、常温の室内にて、水(常温)を設定の水分量になるよう吸水させ、一定時間放置することで水分率を調整した。水分率の確認は以下の方法で行った。
【0054】
・水分率:6ml容量のバイアルビンに約0.2gの検体を入れ、加熱温度を約150℃にしてKF(カールフィッシャー)法にて測定した。
【0055】
平均粒径は、吸水したカラギーナン粉末1〜4、未処理のカラギーナン粉末6について、カラーレーザー顕微鏡(KEYENCE VK−8510)を用いて、無作為抽出した各粒子の最大径を測定し、その測定値から平均値(n=10)を求めた。
【0056】
得られた各ゴム組成物を、押出機を用いて所望の形状に押出成形し、トレッドゴムを作製した。押出機内部の設定温度は、100℃以下(実際には99℃)で実施し、押し出し後、一般的な水道水を張った浴槽内を通過させることで水冷した。
【0057】
得られた各トレッドゴムを用いてスタッドレスタイヤを作製した。タイヤサイズは、195/65R15として、そのトレッドに各トレッドゴムを適用し、常法に従い、160℃×20分で加硫成形することによりタイヤを製造した。
【0058】
各ゴム組成物について、発泡率を測定し、各タイヤについて、耐摩耗性能、及び氷上制動性能を評価した。評価方法は次の通りである。
【0059】
・発泡率:得られたゴム組成物を160℃×20分で加硫し、得られた加硫ゴムサンプル断面を、カラーレーザー顕微鏡(KEYENCE VK−8510)で観察し、単位面積当たりの発泡率を計算した。
【0060】
・氷上制動性能:上記タイヤ4本を2000ccの4WD車に装着し、氷盤路(気温−3±3℃)上で40km/h走行からABSを作動させて制動距離を測定し(n=10の平均値)、制動距離の逆数について比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど制動距離が短く、氷上路面での制動性能に優れることを示す。指数が103超であれば、氷上制動性能が向上したと評価した。
【0061】
・耐摩耗性能:上記タイヤ4本を2000ccの4WD車に装着し、一般乾燥路面において2500km毎に左右ローテーションさせながら10000km走行させて、走行後の4本のトレッド残溝深さの平均値を、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど耐摩耗性能が良好である。指数が95以上であれば、許容できる範囲であり、耐摩耗性能は維持されたと評価した。
【0062】
【表1】
【0063】
結果は、表1に示す通りであり、実施例1〜4と比較例1〜3との対比より、ゲル化していない(平均粒径=75〜500μm)吸水したカラギーナン粉末を添加することにより、耐摩耗性能を維持しつつ、氷上制動性能の向上効果が認められた。
【0064】
実施例6と比較例1との対比より、ゲル化していない(平均粒径=75〜500μm)吸水したカラギーナン粉末の配合量が、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上であることにより、氷上制動性能の向上効果が十分に得られ、実施例5と比較例4との対比より、ゲル化していない(平均粒径=75〜500μm)吸水したカラギーナン粉末の配合量が、ジエン系ゴム100質量部に対して、20質量部以下であることにより、耐摩耗性能を維持しつつ、氷上制動性能を向上させる効果が認められた。
【0065】
比較例5〜8と比較例1との対比より、多糖類であるペクチンや、吸水したコラーゲン粉末、ゼラチン、従来発泡剤として使用されていたDPTを添加しても、十分な氷上制動性能の向上効果は認められなかった。