特許第6641158号(P6641158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6641158-ファイルサイズチェック 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641158
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】ファイルサイズチェック
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20200127BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20200127BHJP
   G06F 8/658 20180101ALI20200127BHJP
【FI】
   G06F13/00 530B
   G10K15/04 302D
   G06F8/658
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-219351(P2015-219351)
(22)【出願日】2015年11月9日
(65)【公開番号】特開2017-91142(P2017-91142A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年8月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511043437
【氏名又は名称】株式会社コシダカホールディングス
(72)【発明者】
【氏名】腰▲高▼ 博
【審査官】 北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−151362(JP,A)
【文献】 特開2005−044240(JP,A)
【文献】 特開平11−242588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
G06F 8/658
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク経由でセンタサーバよりカラオケ端末装置に当該カラオケ端末装置のファームウエアが適時配信され更新されるネットワークカラオケシステムであって、
当該センタサーバは、カラオケ端末装置の最新の全ファームウエア構成ファイルを保持しており、カラオケ端末装置へファームウエア構成ファイルの送信時に、当該ファームウエア構成ファイルのファイルサイズ値をカラオケ端末装置に送信し、
カラオケ端末装置は、前記ファームウエア構成ファイル及び当該ファームウエア構成ファイルのファイルサイズ値を受信した際に、前記受信したファームウエア構成ファイルを当該カラオケ端末装置へ適用し、任意の時間に、上記受信したファイルサイズ値と、カラオケ装置が持っているファームウエア構成ファイルの実際のファイルサイズ値を比較し、差異があった場合、その旨と差異があったファイル名をセンタサーバへ通知し、センタサーバからカラオケ端末装置へ当該差異のあったファームウエア構成ファイルの送信を行ない、カラオケ端末装置が当該ファイルを適用することにより、ファームウエア構成ファイルの復旧を行うネットワークカラオケシステムにおいてカラオケ端末装置がファイルサイズの差異を検出し当該ファイルの送信を要求する場合、当該カラオケ端末装置は、自端末装置のファームウエアバージョンをセンタサーバに通知し、センタサーバは、当該カラオケ端末装置のファームウエアバージョンと最新のバージョンの間に差分がある場合、当該ファームウエア構成ファイルの送信時に、カラオケ端末装置のファームウエアの差分ファイルを送信し、受信したカラオケ端末装置は、送信されたファームウエア構成ファイルの復旧と、送信された差分ファイルにより前記受信したカラオケ端末装置のファームウエアの更新を同時に行うことを特徴とするネットワークカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センタサーバからカラオケ端末装置にファームウエアが配信され、随時ファームウエアが更新されるネットワークカラオケシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のカラオケは、センターからカラオケ機器に楽曲ファイルをダウンロードするネットワークカラオケが一般的になっている。
センターからカラオケ機器へのダウンロードは、楽曲ファイルに限らず、背景映像、ファームウエアのアップデートファイル等さまざまなデータファイルがダウンロードされる。
【0003】
しかし、ダウンロード時に何らかの理由でダウンロードが失敗した場合は通信制御によりエラー処理がされるが、一旦正常にダウンロードされたあと、何らかの理由でファイルが破損、消去される場合がある。
【0004】
そのような場合、一般的には当該ファイルを使用するカラオケ端末装置の機能を利用しようとしたときに発覚し、その後再送依頼を行い復旧することになるが、その場合、そのときのカラオケ端末装置の当該機能の実現は断念せざるを得ない。
【0005】
上記のようなファイル破損に対する対応策は各社から出願されている。ファームウエアの破壊や事故による消去等が発生した場合にダウンロードして復旧する等に関しては本発明の発明者からも出願されている。
【0006】
一方、カラオケ端末装置のファームウエアはバグフィックスなどの他にも細かい機能追加等で頻繁にバージョンアップされるものもあり、毎日のように、時には日に複数回の最新ファームウエアがリリースされることもある。しかしこのファームウエアのバージョンアップの適用は、各カラオケ端末装置が使用されていない時間帯に行わるため、リアルタイムで行われるわけではないためカラオケ端末装置は必ずしも常に最新バージョンで運転されているとは限らない。
また、ファームウエアはファームウエアを構成する多数のファイルの集合体であり、ファームウエアのバージョンアップは、変更された個々のファイルのみが更新される。ファームウエア復旧用にセンタサーバが端末のファームウエアの過去のすべてのバージョンの全ファイルを保持することは現実的でなく、最新のバージョンのみ保持していることが一般的である。
【0007】
そのため、上記ファイルの破損を検出した時のカラオケ端末装置のファームウエアバージョンと、復旧処理時にサーバが保持している最新ファームウエアバージョンに差分がある場合、サーバが保持しているファイルをダウンロード適用すると、当該ファイルと、それ以外のカラオケ端末装置のファームウエアを構成するファイルとの間にファームウエアバージョンの乖離が発生することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-151362号公報
【特許文献2】特開平10-207481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1は、ハードディスク等の情報記憶手段内の処理実行用情報が振動や電源の瞬断等によって破損した場合に、その破損した情報を検知するために、
ハードディスクには配信ファイル及び各配信ファイルのCRC値が関連付けされて格納されており、例えば1日1回電源投入時や所定時刻などにおいて、その格納されている配信データをRAMに読み出しCRC値を算出する。その算出したCRC値が格納されているCRC値と異なるものを抽出して再配信要求リストを作成する。その再配信要求リスト内にある全ての配信データに関し、該当する配信データの再配信要求をホストコンピュータへ送信する。そして再配信された配信データ及びCRC値を受信して、それらを再度ハードディスクに格納する。
【0010】
特許文献2は、中央装置の取り出せなくなったカラオケ曲データを自動的に修復し、再び全てのカラオケ端末装置で破損した領域のカラオケ曲データを演奏することが可能なカラオケ通信システムを提供するものであり、中央装置1の制御用パソコンは一定時間毎に、曲データ格納部のチェックを行い、一部分が破損している場合は、各演奏端末に対して、曲データ格納部の一部分に破損が有ることと、破損していないHDDを指定して通知する。次に、各演奏端末は前記通知を受け取ると、各ローカルHDDの中に格納しているカラオケ曲データを前記指定されたHDDに時刻データを付加して格納する。次に、全ての演奏端末からHDDへのカラオケ曲データの格納が終了すると、制御用パソコンは前記格納されたHDDのカラオケ曲データを整理する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
特許文献1は、各ファイルのチェックサムとしてCRC(cyclic redundancy check=巡回冗長検査)を用いる方法であり、データ通信の物理層では通常おこなわれているものであるため、同じチェックを上位レイヤーであるカラオケの運用場面で行うメリットは少ない。
特許文献2は、カラオケ曲データが破損によって取り出せなくなった場合の処置が特許のポイントであり、データ格納部の破損の検出方法への具体的言及はない。
【0012】
上記の課題を解決するため本発明の請求項1 は、ネットワーク経由でセンタサーバよりカラオケ端末装置に当該カラオケ端末装置のファームウエアが適時配信され更新されるネットワークカラオケシステムであって、
当該センタサーバは、カラオケ端末装置の最新の全ファームウエア構成ファイルを保持しており、カラオケ端末装置へファームウエア構成ファイルの送信時に、当該ファームウエア構成ファイルのファイルサイズ値をカラオケ端末装置に送信し、
カラオケ端末装置は、前記ファームウエア構成ファイル及び当該ファームウエア構成ファイルのファイルサイズ値を受信した際に、前記受信したファームウエア構成ファイルを当該カラオケ端末装置へ適用し、任意の時間に、上記受信したファイルサイズ値と、カラオケ装置が持っているファームウエア構成ファイルの実際のファイルサイズ値を比較し、差異があった場合、その旨と差異があったファイル名をセンタサーバへ通知しセンタサーバからカラオケ端末装置へ当該差異のあったファームウエア構成ファイルの送信を行ない、カラオケ端末装置が当該ファイルを適用することにより、ファームウエア構成ファイルの復旧を行うネットワークカラオケシステムにおいてカラオケ端末装置がファイルサイズの差異を検出し当該ファイルの送信を要求する場合、
当該カラオケ端末装置は、自端末装置のファームウエアバージョンをセンタサーバに通知し、センタサーバは、当該カラオケ端末装置のファームウエアバージョンと最新のバージョンの間に差分がある場合、当該ファームウエア構成ファイルの送信時に、カラオケ端末装置のファームウエアの差分ファイルを送信し、受信した当該カラオケ端末装置は、送信されたファームウエア構成ファイルの復旧と、送信された差分ファイルにより前記受信した当該カラオケ端末装置のファームウエアの更新を同時に行うことを特徴とするネットワークカラオケシステムである。
以上
【発明の効果】
【0013】
これにより、復旧処理時にサーバからダウンロードしたファイルと、それ以外のカラオケ端末装置のファームウエアを構成するファイルのファームウエアバージョンが乖離することが無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の請求項1の実施例を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例を図1により説明する。
センタサーバ1には各カラオケ端末装置2に配信するための最新のファームウエアファイル、各ファイルのサイズ(FileSizeS)を含むセンタサーバの楽曲データ3を持っている。
センタサーバが管理しているカラオケ端末装置のファームウエアバージョンはVer0801、カラオケ端末装置はVer0731とする。
【0016】
現在、カラオケ端末装置2にはファームウエア構成ファイルA、B、C、D、Eが既にあり、当該カラオケ端末装置2で利用されている。このときカラオケ端末装置2には各ファームウエア構成ファイルのファイルサイズのデータベース6を持っている。
ここで、センタサーバのファームウエア構成ファイルEがE’に変更されたとき、センタサーバは新しいファームウエア構成ファイルE’をカラオケ装置に送信する。このとき、センタサーバはファームウエア構成ファイルE’のファイルと同時にファームウエア構成ファイル全体のファイルサイズリスト(FileSizeS)、Ver0731→Ver0801差分を送信する。(送信データ4)
【0017】
上記の配信を受けたカラオケ端末装置は、ファームウエア構成ファイルEをE’に更新すると同時に、保持しているファイルサイズデータベースもE’に更新、さらにファームウエアのバージョンVer0731からVer0801へ更新する。
カラオケ端末装置は任意の時間に、ファームウエア構成ファイルのサイズを算出し(FileSize)と前記送信されたFileSizeSとの比較を行う。
ここで、ファームウエア構成ファイルDのファイルサイズから、Dが破壊されていることを検出したとする。このとき、カラオケ端末装置はサーバに対して、ファームウエア構成ファイルDの送信を要求する。この時、現時点のファームウエアバージョンVer0801を通知する。
【0018】
楽曲ファイルの再送を要求されたセンタサーバは、任意のタイミングでファイルDをカラオケ端末装置へ送信するが、このときカラオケ端末装置が通知したファームウエアバージョンVer0801と現時点におけるファームウエアバージョンVer0803よりファームウエアのバージョン違いを認識し、その差分を埋めるべくVer00801→Ver0802差分データとVer0802→Ver0803差分データを最新のファームウエア構成ファイルD、全体のファイルサイズリストとともにカラオケ端末装置2に送信する。
【0019】
カラオケ端末装置2は、上記ファイルを受信したデータから、ファイルDを書き込み、Ver00801からVer0802への更新とVer0802からVer0803への更新の適用を行う。
【産業上の利用可能性】
【0020】
これにより、カラオケ端末装置はファームウエアファイル等の破損が発生した場合に、速やかにこれを検出し、利用者が機能を利用する前に対処できる可能性が高まる。
【符号の説明】
【0021】
1・・・センタサーバ
2・・・カラオケ端末装置
3・・・センタサーバの楽曲データ
4・・・センタサーバの楽曲データ(更新後)
5・・・ファイルE’送信時のデータ
6・・・カラオケ端末装置側のファイルサイズ
7・・・カラオケ端末装置側のファイルE’書き込み後のファイルサイズ
8・・・ファイルD送信時要求時のデータ
9・・・ファイルD送信時のデータ
10・・カラオケ端末装置側のファイルD書き込み後のファイルサイズ
図1