(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641162
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】浴室
(51)【国際特許分類】
A47K 4/00 20060101AFI20200127BHJP
A47K 3/12 20060101ALI20200127BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
A47K4/00
A47K3/12
E04H1/12 301
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-232047(P2015-232047)
(22)【出願日】2015年11月27日
(65)【公開番号】特開2017-93981(P2017-93981A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】上田 恭平
【審査官】
中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−138504(JP,A)
【文献】
特開平03−063019(JP,A)
【文献】
特開平09−234166(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3069918(JP,U)
【文献】
特開2013−063170(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00170634(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00−4/00
E04H 1/00−1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側壁と、前記第1の側壁に入隅部を挟んで隣接する第2の側壁と、前記第1の側壁を背側として前記第1の側壁に沿って設けられるベンチと、前記ベンチに隣接するとともに前記第1の側壁に接して収容される台状カウンターと、前記第2の側壁に設けられる水栓とを備え、前記カウンターが前記ベンチから独立して移動可能な浴室であって、
前記ベンチは、跳ね上げ可能に前記第1の側壁に片持ち支持される板状をなし、
前記カウンターは、脚部を有し、
前記水栓は、水栓台から突設されており、
前記水栓台は、前記第2の側壁の前記入隅部寄りにおいて浴槽に対抗するよう設けられ、基台部の前記浴槽に対抗する面が、第2の側壁に平行に設けられており、
前記カウンターが前記脚部の下端を前記基台部の前記浴槽に対抗する面に当接させるようにして前記水栓の直下に収容できることを特徴とする浴室。
【請求項2】
前記カウンターの脚部は、第1の側壁にも当接する請求項1に記載の浴室。
【請求項3】
前記ベンチのカウンターと逆側の端縁に隣接する浴槽を備え、
前記浴槽の框上面、前記ベンチの天面、及び前記カウンターの天面が面一に設けられている請求項1、又は請求項2に記載の浴室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高齢者等と健常者とが共用する浴室に関し、特に、高齢者等が側壁を背もたれとできるよう設けたベンチを備える浴室に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、上体の支持が困難な高齢者等のために、側壁を背もたれとすべく側壁に沿ってベンチを設けた浴室が広く利用されるに至っている。そして、かかるベンチは、高齢者等を介護する介護者や浴室を共用する健常者にとっては、浴室を狭くする等、快適さを損ねる要因となるため、これを解消すべく各種の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、壁を背もたれとするカウンター(ベンチ)に欠部を設け、この欠部に浴室用の腰掛を挿抜自在に格納することにより、腰掛が浴室内に放置されることによる雑然さや、腰掛につまずくことを解消した浴室が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、洗い場を挟んで対向する浴槽と洋式便器の間にベンチを架け渡し、ベンチを折り畳み式とすることで介護者や健常者に必要なスペースを確保するようにした浴室が提案されている。
【0005】
また、特許文献3では、浴槽と、浴槽に対向する壁面との間に架け渡された腰掛部(ベンチ)を備えた浴室が提案されている。特許文献3の浴室では、浴槽の洗い場側となるリム(框)上にシャワーヘッドを具備した鉛直棒状の手摺りと、シャワーを操作するハンドルとを設けることで、従来、浴室内の各所に配されていた洗面台や複数の手すりを省略して、室内スペースを確保するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平7−13592号公報
【特許文献2】特開平9−234166号公報
【特許文献3】特開2013−179989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1乃至特許文献3の浴室には、以下のような問題が有る。
即ち、特許文献1に係る浴室では、洗面カウンターが洗い場側へ突出しており、カウンター(ベンチ)に座った高齢者からも、腰掛に座った健常者からも水栓が遠くて無理な姿勢を強いられるという問題や、また、ベンチに腰かけた高齢者等が、腰掛に洗面器を乗せて使用しようとしても、水栓金具と位置関係の良い場所に腰掛を置けず、洗面器を使いづらいという問題が有る。
また、特許文献2の浴室では、ベンチを折り畳むことで健常者や介護者は浴室を広く使うことができるものの、ベンチに座ったままでは水栓を使用できないという問題が有る。
さらに、特許文献3では、腰掛部に座った高齢者が手の届く場所に洗面器を置く場所がないという問題が有る。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、壁を背もたれとするベンチに腰を掛けた高齢者が、楽な姿勢で水栓や洗面器を使用できるとともに、健常者や介護者がスペースを広く利用できる浴室の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、第1の側壁と、前記第1の側壁に入隅部を挟んで隣接する第2の側壁と、前記第1の側壁を背側として前記第1の側壁に沿って設けられるベンチと、前記ベンチに隣接するとともに前記第1の側壁に接して収容される台状カウンターと、前記第2の側壁に設けられる水
栓とを備え、前記カウンターが前記ベンチから独立して移動可能な浴室であって、前記ベンチは、跳ね上げ可能に前記第1の側壁に片持ち支持される板状をなし、
前記カウンターは、脚部を有し、前記水栓は、水栓台から突設されており、前記水栓台は、前記第2の側壁の前記入隅部寄りにおいて浴槽に対抗するよう設けられ、基台部の前記浴槽に対抗する面が、第2の側壁に平行に設けられており、前記カウンターが
前記脚部の下端を前記基台部の前記浴槽に対抗する面に当接させるようにして前記水栓の直下に収容できることを特徴とする。
【0009】
このように、本発明の浴室では、カウンターを跳ね上げ式にしたので、高齢者等の介護を行う介護者や浴室を共用する健常者らが室内のスペースを広く利用することができる。
加えて、カウンターをベンチから独立して移動可能にしたので、ベンチを跳ねあげて、カウンターを水栓から少し離れた位置に引き下げることで、健常者が楽な姿勢で水栓を使用できる。
また、ベンチに隣接するカウンターの直上に水栓を配置したので、ベンチに腰をかけた高齢者等から水栓が近く、高齢者は楽な姿勢で水栓を使用することができる。
また、カウンターを移動させると、ベンチと水栓の間に片足若しくは両足を入れて水栓側に体を向けることがきるため、楽な姿勢で水栓を利用することができる。
さらに、カウンターを移動させると、水栓の下に足を入れることができるので、水栓から直接足に水を掛けて足を洗うことができる。
【0010】
前記カウンターの脚部は、第1の側壁にも当接することが好ましい。
【0013】
本発明の浴室は、前記ベンチのカウンターと逆側の端縁に隣接する浴槽を備え、前記浴槽の框上面、前記ベンチの天面、及び前記カウンターの天面が面一に設けられていることが好ましい。こうすることで、高齢者が浴槽へ入る際にベンチを移乗台として使用でき、また、ベンチとカウンターに加えて浴槽にも意匠的なまとまりを持たせることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の浴室によれば、高齢者、健常者共に楽な姿勢で水栓や洗面器を使用でき、健常者や介護者が広く室内のスペースを使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一の実施形態に係る浴室において、水平に展開したベンチの隣にカウンターを収容した様子を示す斜視図である。
【
図2】
図1の浴室において、ベンチを跳ね上げてカウンターを水栓から離れる方向に移動した様子を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示したベンチの(a)水平に展開した様子を示す斜視図、(b)跳ね上げ姿勢を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示した浴室の(a)ベンチを水平に展開した状態を示す部分断面正面図、(b)ベンチを跳ね上げた状態を示す部分断面正面図である。
【
図5】背もたれと、跳ね上げたベンチの第2の側壁からの突出高さの関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の第1実施形態に係る浴室100を示している。浴室100は、いわゆるユニット式の浴室であり、平面視矩形の防水パンの周縁に4枚の壁パネルを立設し、壁パネルの上端に天井パネルを張設して形成され、長方形の浴槽10と、その手前(
図1の左)に隣接する洗い場20が設けられている。
【0017】
浴室100は、浴槽10の側方(
図1の奥側)に立設される第1の側壁30と、洗い場20を挟んで浴槽10に対向する第2の側壁40と、第1の側壁30に設けられるベンチ50と、ベンチ50の第2の側壁側に設けられるカウンター60と、第2の側壁40に設けられる水栓71と、第1の側壁30に設けられる背もたれ80と、を備えている。第1の側壁30と第2の側壁40は、入隅部90を挟んで隣接している。
【0018】
ベンチ50は、
図3に示すように、第1の側壁30に沿う横方向に長い矩形の板材からなる座板51と、第1の側壁30に固定されて座板51を枢支する左右一対の枢支部52,52と、左右の枢支部52,52に架け渡されて座板51を水平状態に保持する板状のストッパー53とを備えている。座板51は、
図3(a)に示した略水平となる着座姿勢と、
図3(b)に示した第1の側壁30に略平行となる跳ね上げ姿勢との間で回動する。
【0019】
カウンター60は、
図1に示すように、樹脂により一体成型された矩形の板状部材からなる天板61と、ステンレス等の金属管を折り曲げ加工した脚部62とを備えている。
【0020】
水栓71は、
図1に示すように、第2の側壁40の入隅部90寄りにおいて浴槽10に対向するよう設けられた水栓台70に設けられている。水栓台70は、上端部に水栓71やシャワーヘッド72の水量・温度を調節するハンドル73,74を支持する操作台70aと、操作台70aの下方の後方へ窪んだ凹部70bと、凹部70bよりやや前方へ張り出した基台部70cとからなり、水栓71は、操作台70aの下面から洗い場20側へ突設されている。
【0021】
カウンター60は、
図1、
図4(a)に示すように、ベンチ50と水栓台70の基台部70cの前面と第1の側壁30の間の収容部63に、平面視で概ね隙間なく、かつ水栓71の下方に潜り込むよう収容され、水栓71からの吐水がカウンター60の天面61aに当たるような高さと大きさに設けられている。
また、
図4(a)に示すように、着座姿勢における座板51の天面51cと、カウンター60の天面61aと、浴槽10の洗い場側の框の上面11とは、略面一に設けられている。
【0022】
背もたれ80は、
図4に示すように、ベンチ50と浴槽10に跨るように設けられ、水平方向に延びる長板状の枕部81と、枕部81を支持する支持部材82とを備えている。背もたれ80は、
図5に示すように、下方の空間にベンチ50を収容可能な高さに設けられ、ベンチ50は、跳ね上げ姿勢において第1の側壁30からの突出高さH1が、背もたれ80の第1の側壁30からの突出高さH2以下に収まるよう設けられている。また、枕部81は、手摺りとして使用できるよう、支持部材82により第1の壁面30からやや離間して支持され、枕部81の裏面には、枕部81を手摺りとして使用する際に手がかりとすべく枕部の長手方向に延びる凹条81aが設けられている。
【0023】
また、背もたれ80の第2の側壁40側の端縁80aの位置と、ベンチ50の座板51の第2の側壁40側の端縁51a、及び枢支部52の第2の側壁側の端縁52aとが、上下に揃えられている。
【0024】
次に、本実施形態に係る浴室100の使用方法、及び各部の効果について説明する。
上体を支持することが困難な高齢者等が水栓71を使用する場合には、
図1に示した様に、ベンチ50の座板51を水平に展開し、座板51に腰を下ろす。この際、背もたれ80にもたれて上体を支持することができる。そして、カウンター60の天板61の上に洗面器を載置する。ここで、カウンター60は、ベンチに隣接して、かつ水栓71の直下に配置されているので、ベンチ50に腰を下ろした高齢者等は、無理な姿勢を強いられることなく水栓71やカウンター60に載置した洗面器(不図示)を使用することができる。この際、ベンチ50の天面51cとカウンター60の天面61aが面一に設けられているので、このことからも、洗面器を使用する際に無理な姿勢を取る必要がなく、また、洗面器をスライドさせてカウンター60からベンチ50へ移動でき、カウンター60とベンチ50に跨って洗面器を置くことができる。
【0025】
また、ベンチに腰を下ろした高齢者等は、カウンター60を収容部63から取り出し、収容部3へ片足又は両足を入れることで、水栓71の方へ体を向けることができる。また、収容部3へ足を入れることは、水栓71の下に足を入れることになるので、水栓71からの吐水を直接足に注ぐことができる。この際、カウンター60を手元の好きな位置におくことで、楽な姿勢で洗面器を使用することができる。
【0026】
高齢者等が、浴槽10に浸かる場合は、ベンチ50を移乗台として利用することができる。ベンチ50に腰を下ろした高齢者等は、お尻をずらしながら浴槽10へ近づき、足を上げて浴槽10の中へ入れたのち、さらに浴槽の框の上面11までお尻を移動させる。この際、ベンチ50と浴槽の框の上面11が面一に設けられているので、ベンチ50から浴槽10へ容易に体を移乗できる。また、背もたれ80が、浴槽10の上方まで延出しているので、浴槽の第1の側壁30側の框に腰をかけるところまで体を移乗させても、背もたれ80から頭部や背中が外れることが無い。
【0027】
さらに、カウンター60の天面61aも浴槽10の框の上面11と面一に設けられているので、カウンター60を浴槽10の隣へ移動させて、カウンター10を移乗台として使用することもできる。
【0028】
ベンチ50を跳ね上げることで、広く浴室を使うことができる。例えば、健常者が、水栓71を使用する際には、
図2に示すように、ベンチ50を跳ね上げてカウンター60を水栓71から離して後方(
図2の左側)へ移動させ、カウンター60に座って水栓71を利用する。こうすることで、健常者は、水栓71の正面で、かつ水栓71から好みの位置に座ることができるので、無理な姿勢を強いられることなく水栓71を使用することができる。また、ベンチ50を跳ね上げると、ベンチ50の下面や床の清掃が容易である。
【0029】
また、高齢者等がつかまり立ちできる軽介護者の場合には、ベンチ50を跳ね上げ、高齢者等に背もたれ80を手摺りとしてつかまり立ちさせた状態で、介護者は、高齢者等にシャワーをかけることができる。カウンター60を収容部63から別の場所へ移動させれば、介護者は、高齢者等のまわりを自由に動くことができる。
【0030】
ベンチ50の座板51は、
図5に示すように、跳ね上げると背もたれ80の下方に収容されるので、誤って座板51を掴んで倒してしまうことを抑制できる。本実施形態では、ベンチ50の第1の壁面30からの突出高さH1が、背もたれ80の壁面30からの突出高さH2よりも小さく設けられているので、座板51が、さらに掴みにくい。
【0031】
また、ベンチ50の座板51、及び枢支部52の第2の壁面側の端面51a,52a(
図3参照)は、背もたれ80の同じ側の端縁80aと面一に揃えられているので、座板51の角や背もたれ80の角に頭や体をぶつけることを抑制できる。
【0032】
本発明の浴室は、上述の実施形態に限られるものではなく、例えば、カウンターの天面は、ベンチの天面より低くすることもできる。背もたれは、ベンチの上方のみに設けるようにしてもよいし、省略することもできる。洗面台を省略して第2の側壁から直接水栓を突出させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
100 浴室
11 框上面
20 洗い場
30 第1の側壁
40 第2の側壁
50 ベンチ
51c ベンチの天面
60 カウンター
61a カウンターの天面
71 水栓金具
80 背もたれ
90 入隅部
H1 ベンチの第1の側壁からの突出高さ
H2 背もたれの第1の側壁からの突出高さ