(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記整流素子のカソード電圧を安定化させるために前記整流素子のカソードに接続されるコンデンサを備える請求項1〜4のいずれか一項に記載のスイッチングレギュレータ。
前記モニタ部及び前記電流可変部が、アナログ電圧信号を入力する電圧−電流変換回路によって構成される請求項1〜5のいずれか一項に記載のスイッチングレギュレータ。
前記モニタ部及び前記電流可変部が、アナログ電圧信号をデジタル電圧信号に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器の出力に応じて抵抗値を可変する可変抵抗部とによって構成される請求項1〜5のいずれか一項に記載のスイッチングレギュレータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、低コスト化の観点から、フォトカプラを用いない非絶縁型スイッチングレギュレータが注目されている。
図15は、フォトカプラを用いない非絶縁型スイッチングレギュレータの一構成例を示す図である。なお、
図15に示すスイッチングレギュレータと類似のスイッチングレギュレータが特許文献1に開示されている。
【0008】
図15に示すスイッチングレギュレータでは、制御回路が、VCC−IC_GND間電圧によって駆動し、モニタポイントP2の電圧をモニタし、そのモニタ結果に基づいてスイッチング素子のオン/オフを制御している。
【0009】
図15に示すスイッチングレギュレータは、出力電圧Vоutを直接モニタせずにフィードバック制御を行っているため、
図16に示すように出力電圧Vоutが一定(=設定値)にならず出力電流Iоutの値に応じて変化する。すなわち、
図15に示すスイッチングレギュレータは出力安定度が低い。
【0010】
このため、
図15に示すスイッチングレギュレータは、負荷が軽い場合に出力電圧Vоutが高くなるという第1の問題点と、負荷が重い場合に出力電圧Vоutが低くなるという第2の問題点と、を有している。
【0011】
第1の問題点はダミー負荷を設けて軽負荷での使用を避けることで解決できる。しかしながら、ダミー負荷を設けると待機電力が増加するという新たな問題が生じる。
【0012】
第2の問題点は出力端子につながるコンデンサ(出力コンデンサC0)の静電容量を大きくすることで解決できる。しかしながら、出力コンデンサC0の静電容量を大きくすると出力コンデンサがコストアップするという新たな問題が生じる。
【0013】
本発明は、上記の状況に鑑み、フォトカプラレス方式であって出力安定度が高いスイッチングレギュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書中に開示されている一の態様に係るスイッチングレギュレータは、スイッチング素子と、
出力端子にアノードが接続される整流素子と、前記整流素子のカソード電圧を電源電圧として用い、前記整流素子のカソード電圧に応じて前記スイッチング素子のオン/オフを制御する制御部と、を有し、前記制御部が、前記整流素子のカソード電圧に応じた電圧と基準電圧との差分に応じたエラー信号を生成するエラーアンプを備えるスイッチングレギュレータであって、
前記出力端子が前記スイッチングレギュレータの出力電圧を出力し、前記スイッチングレギュレータが、前記エラー信号をモニタするモニタ部と、前記モニタ部のモニタ結果に基づいて前記エラー信号が大きいほど前記整流素子を流れる電流を大きくする電流可変部と、を更に有する構成(第1の構成)である。
【0015】
本明細書中に開示されている他の態様に係るスイッチングレギュレータは、スイッチング素子と、
出力端子にアノードが接続される整流素子と、前記整流素子のカソード電圧を電源電圧として用い、前記整流素子のカソード電圧に応じて前記スイッチング素子のオン/オフを制御する制御部と、を有し、前記制御部が、前記整流素子のカソード電圧に応じた電圧と基準電圧との差分に応じたエラー信号を生成するエラーアンプを備えるスイッチングレギュレータであって、
前記出力端子が前記スイッチングレギュレータの出力電圧を出力し、前記スイッチングレギュレータが、前記整流素子のカソード電圧をモニタするモニタ部と、前記モニタ部のモニタ結果に基づいて前記整流素子のカソード電圧が大きいほど前記整流素子を流れる電流を大きくする電流可変部と、を更に有する構成(第2の構成)である。
【0016】
本明細書中に開示されている更に他の態様に係るスイッチングレギュレータは、スイッチング素子と、
出力端子にアノードが接続される整流素子と、前記整流素子のカソード電圧を電源電圧として用い、前記整流素子のカソード電圧に応じて前記スイッチング素子のオン/オフを制御する制御部と、を有し、前記制御部が、前記整流素子のカソード電圧を分圧する分圧部と、前記分圧部から
出力される前記整流素子のカソード電圧の分圧と基準電圧との差分に応じたエラー信号を生成するエラーアンプを備えるスイッチングレギュレータであって、
前記出力端子が前記スイッチングレギュレータの出力電圧を出力し、前記スイッチングレギュレータが、前記分圧部から出力される前記整流素子のカソード電圧の分圧をモニタするモニタ部と、前記モニタ部のモニタ結果に基づいて前記整流素子のカソード電圧の分圧が大きいほど前記整流素子を流れる電流を大きくする電流可変部と、を更に有する構成(第3の構成)である。
【0017】
また上記第1〜第3いずれかの構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記スイッチング素子がNMOSトランジスタである構成(第4の構成)としてもよい。
【0018】
また上記第1〜第4いずれかの構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記整流素子のカソード電圧を安定化させるために前記整流素子のカソードに接続されるコンデンサを備える構成(第5の構成)としてもよい。
【0019】
また上記第1〜第5いずれかの構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記モニタ部及び前記電流可変部が、アナログ電圧信号を入力する電圧−電流変換回路によって構成されてもよい(第6の構成)。
【0020】
また上記第1〜第5いずれかの構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記モニタ部及び前記電流可変部が、アナログ電圧信号をデジタル電圧信号に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器の出力に応じて抵抗値を可変する可変抵抗部とによって構成されてもよい(第7の構成)。
【0021】
本明細書中に開示されている一の態様に係る電気機器は、上記第1〜第7いずれかの構成のスイッチングレギュレータを有する構成(第8の構成)である。
【0022】
本明細書中に開示されている更に他の態様に係るスイッチングレギュレータは、スイッチング素子と、出力電圧を出力する出力端子にアノードが接続される整流素子と、前記スイッチング素子と前記出力端子との間に設けられるインダクタと、前記整流素子のカソード電圧を電源電圧として用い、前記整流素子のカソード電圧に応じて前記スイッチング素子のオン/オフを制御する制御部と、を有し、前記制御部が、前記整流素子のカソード電圧に応じた電圧と基準電圧との差分に応じたエラー信号を生成するエラーアンプを備えるスイッチングレギュレータであって、前記スイッチングレギュレータが、前記インダクタを流れる電流をモニタするモニタ部と、前記モニタ部のモニタ結果に基づいて前記インダクタを流れる電流が大きいほど前記整流素子を流れる電流を大きくする電流可変部と、を更に有する構成(第9の構成)である。
【0023】
また上記第9の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記スイッチング素子がNMOSトランジスタである構成(第10の構成)としてもよい。
【0024】
また上記第9又は第10の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記整流素子のカソード電圧を安定化させるために前記整流素子のカソードに接続されるコンデンサを備える構成(第11の構成)としてもよい。
【0025】
また上記第9〜第11いずれかの構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記インダクタを流れる電流を検出する電流検出部を更に有し、前記モニタ部が前記電流検出部の検出結果を入力する構成(第12の構成)としてもよい。
【0026】
また上記第12の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記電流検出部が、前記スイッチング素子がオン状態のときに前記インダクタを流れる電流のみを検出する構成(第13の構成)としてもよい。
【0027】
また上記第12の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記電流検出部が、前記スイッチング素子がオン状態のときに前記インダクタを流れる電流及び前記スイッチング素子がオフ状態のときに前記インダクタを流れる電流を検出する構成(第14の構成)としてもよい。
【0028】
また上記第12〜第14いずれかの構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記モニタ部及び前記電流可変部が、前記電流検出部の検出結果を平均化する平均化部と、前記平均化部から出力されるアナログ電圧信号を入力する電圧−電流変換回路とによって構成されてもよい(第15の構成)。
【0029】
また上記第12〜第14いずれかの構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記モニタ部及び前記電流可変部が、前記電流検出部の検出結果を所定のサンプリング周期でサンプリングするサンプリング部と、前記サンプリング部から出力されるアナログ電圧信号を入力する電圧−電流変換回路とによって構成されてもよい(第16の構成)。
【0030】
また上記第12〜第14いずれかの構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記モニタ部及び前記電流可変部が、前記電流検出部の検出結果を前記スイッチング素子のスイッチング周期と同期したサンプリング周期でデジタル電圧信号に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器の出力に応じて抵抗値を可変する可変抵抗部とによって構成されてもよい(第17の構成)。
【0031】
本明細書中に開示されている他の態様に係る電気機器は、上記第9〜第17いずれかの構成のスイッチングレギュレータを有する構成(第18の構成)である。
【発明の効果】
【0032】
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータによれば、フォトカプラレス方式であるにもかかわらず出力安定度を高くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<
図15に示すスイッチングレギュレータに関する考察>
上述した通り
図15に示すスイッチングレギュレータは、出力電圧Vоutを直接モニタせずにフィードバック制御を行うため、出力安定度が低くなる。そこで、本発明者は、出力電圧Vоutを直接モニタしないと出力安定度が低くなる根本的な原因について考察した。
【0035】
図15に示すスイッチングレギュレータでは、出力電圧VоutがモニタポイントP2の電圧よりもモニタポイントP2につながれているダイオードの順方向電圧以上に大きいときにしかフィードバック経路に電流が流れない。すなわち、出力電圧Vоutのリップル電圧が大きくても、出力電圧VоutがモニタポイントP2の電圧よりもモニタポイントP2につながれているダイオードの順方向電圧以上に大きい期間しかフィードバックが機能しない。したがって、出力安定度が低くなる。
【0036】
図15に示すスイッチングレギュレータでは、電圧VCCを安定化させるためにコンデンサがモニタポイントP2につながれているため、出力電圧Vоutが変動してもモニタポイントP2の電圧(=電圧VCC)は安定であるため、あたかも出力電圧Vоutが安定しているかのようにフィードバック制御が行われる。したがって、出力安定度が低くなる。
【0037】
ここで、電圧VCCの変化ΔVCCは下記の(1)式で表すことができる。なお、C
VCCはモニタポイントP2につながれているコンデンサの静電容量、I
VCCはモニタポイントP2から制御回路の電圧VCC入力端に供給される電流、T
VCCは電圧VCCの変化ΔVCCが生じるのに要する時間を示している。
C
VCC×ΔVCC=I
VCC×T
VCC …(1)
【0038】
一方、出力電圧Vоutの変化ΔVоutは下記の(2)式で表すことができる。なお、C
Voutは出力コンデンサの静電容量、T
Voutは出力電圧Vоutの変化ΔVоutが生じるのに要する時間を示している。
C
Vout×ΔVоut=Iоut×T
Vout …(2)
【0039】
上記の(1)式及び(2)式の関係においてΔVCC=ΔVоut及びT
VCC=T
Voutを成立させることができれば、モニタポイントP2の電圧(=電圧VCC)が出力電圧Vоutと同様の変動特性を有することになり、出力安定度を高くすることができる。
【0040】
そして、上記の(1)式及び(2)式の関係においてΔVCC=ΔVоut及びT
VCC=T
Voutを成立させるためには、下記の(3)式を成立させる必要がある。
C
VCC/I
VCC=C
Vout/Iоut …(3)
【0041】
出力電流Iоutは負荷が重いほど大きくなる変数であり、静電容量C
VCC及びC
Voutは共に固定値である。したがって、上記の(3)式を成立させるために電流I
VCCが出力電流Iоutに応じて変化する必要がある。そこで、本発明者は、上記の(3)式を成立させることができるスイッチングレギュレータとして、以下に説明するスイッチングレギュレータを発明した。
【0042】
<第1実施形態>
図1は、スイッチングレギュレータの第1実施形態の全体構成例を示す図である。
図1に示すスイッチングレギュレータは、フォトカプラを用いない非絶縁型スイッチングレギュレータであって、フィルタF1と、ダイオードブリッジ回路DB1と、入力コンデンサCinと、スイッチングレギュレータ用IC100と、ダイオードD1と、インダクタL1と、出力コンデンサC0と、ダイオードD2と、コンデンサC1と、を備える。
【0043】
スイッチングレギュレータ用IC100は、分圧抵抗R1及びR2と、エラーアンプ1と、基準電圧源2と、PWMコンパレータ3と、ロジック回路4と、ドライバ回路5と、NMOSトランジスタQ1と、電流検出用抵抗Rsと、モニタ回路6と、電流可変回路7と、を備える。
【0044】
AC入力電圧は、フィルタF1によってノイズが除去されたのち、ダイオードブリッジ回路DB1によって全波整流され且つ入力コンデンサCinによって平滑化されて、DC入力電圧Vdcinに変換される。
【0045】
NMOSトランジスタQ1がオン状態であるときに、インダクタL1の両端に電圧(Vdcin−Vоut)がかかる。そして、NMOSトランジスタQ1をオン状態からオフ状態に切り替えると、インダクタL1が電流を流し続けようとするため、ダイオードD1がオン状態になり、インダクタL1の両端電圧は(Vоut−Vd1)となる。なお、Vd1はダイオードD1の順方向電圧である。
【0046】
したがって、NMOSトランジスタQ1のオン/オフを繰り返すことでパルス形状のスイッチ電圧が得られる。このパルス形状のスイッチ電圧が出力コンデンサC0で平滑化されて出力電圧Vоutとなる。
【0047】
また、出力電圧Vоutは、逆流防止用のダイオードD2を経由し、コンデンサC1によって安定化されて、電圧VCCに変換される。スイッチングレギュレータ用IC100は、電圧VCCを電源電圧として用い、ダイオードD1のカソード電圧をスイッチングレギュレータ用IC100内のグランド電位として用いている。
【0048】
分圧抵抗R1及びR2は電圧VCCの分圧を生成する。エラーアンプ1は、電圧VCCの分圧と、基準電圧源2から出力される基準電圧V
REFとの差分に応じたエラー信号を生成する。
【0049】
PWMコンパレータ3は、エラーアンプ1から出力されるエラー信号と、電流検出用抵抗Rsによって検出されるインダクタL1を流れる電流に応じた電圧とを比較してPWM信号を生成する。なお、電流検出用抵抗Rsは、NMOSトランジスタQ1がオン状態のときにインダクタL1を流れる電流を検出する。
【0050】
ロジック回路4は、PWMコンパレータ3から出力されるPWM信号に基づいてNMOSトランジスタQ1のオン/オフを制御するためのゲート制御信号を生成する。ドライバ回路5は、ロジック回路4から出力されるゲート制御信号を増幅してゲート駆動信号を生成し、そのゲート駆動信号をNMOSトランジスタQ1のゲートに供給する。
【0051】
図1に示すスイッチングレギュレータでは、
図2に示す通り、出力電流Ioutが増加するにつれてエラーアンプ1から出力されるエラー信号も増加する。
図1に示すスイッチングレギュレータは、この出力電流Ioutとエラー信号の関係を利用して、モニタ回路6及び電流可変回路7の動作によって上記の(3)式を成立させている。
【0052】
モニタ回路6は、エラーアンプ1から出力されるエラー信号をモニタしている。電流可変回路7は、モニタ回路6のモニタ結果に応じて電流I
VCC(ダイオードD2からスイッチングレギュレータ用IC100に供給される電流)を可変する。より具体的には、電流可変回路7は、エラーアンプ1から出力されるエラー信号が大きいほど電流I
VCCを大きくする。なお、常に上記の(3)式が成立していることが理想的であるが、電流I
VCCを固定している場合に比べて上記の(3)式が成立する方向に近づくように電流I
VCCが可変していれば、電流I
VCCを固定している場合に比べて出力安定度が高くなる。すなわち、
図1に示すスイッチングレギュレータにおいて常に上記の(3)式が成立していることは必要条件ではない。
【0053】
次に、本実施形態で用いるモニタ回路6及び電流可変回路7の一構成例を
図3に示す。なお、
図3において
図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0054】
図3に示す構成例のモニタ回路6及び電流可変回路7は、オペアンプと、NMOSトランジスタと、抵抗とによって構成されるV−I変換回路である。
【0055】
上記V−I変換回路は、アナログ電圧信号であるエラー信号ESに比例した電流I
2を、スイッチングレギュレータ用IC100の電圧VCC入力端から引き抜く。電流I
VCCは、スイッチングレギュレータ用IC100の上記V−I変換回路以外で消費される定電流I
1と、上記V−I変換回路で消費される電流I
2との和になる。したがって、上記V−I変換回路の動作により、エラー信号ESが大きいほど電流I
VCCを大きくすることができる(
図4A及び
図4B参照)。例えば、
図4Aに示すようにエラー信号ESの増加に対して電流I
VCCが線形的に増加するようにできる。また例えば、
図4Bに示すようにエラー信号ESの増加に対して電流I
VCCが指数的に増加するようにもできる。
【0056】
次に、本実施形態で用いるモニタ回路6及び電流可変回路7の他の構成例を
図5に示す。なお、
図5において
図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0057】
図5に示す構成例のモニタ回路6及び電流可変回路7は、A/D変換回路と、可変抵抗部とによって構成されるV−I変換回路である。上記A/D変換回路は、アナログ電圧信号であるエラー信号ESを所定のサンプリング周期でデジタル電圧信号に変換する。上記可変抵抗部は、上記A/D変換回路から出力されるデジタル電圧信号に応じて、抵抗値を切り替える。上記可変抵抗部は、例えば直列接続される複数の抵抗と、複数の抵抗それぞれに設けられるバイパス経路上にそれぞれ設けられる複数のスイッチと、を備え、上記A/D変換回路から出力されるデジタル電圧信号に応じてオン状態にするスイッチの個数を切り替える構成にすることができる。
【0058】
上記V−I変換回路は、アナログ電圧信号であるエラー信号ESに略比例した電流I
2を、スイッチングレギュレータ用IC100の電圧VCC入力端から引き抜く。電流I
VCCは、スイッチングレギュレータ用IC100の上記V−I変換回路以外で消費される定電流I
1と、上記V−I変換回路で消費される電流I
2との和になる。したがって、上記V−I変換回路の動作により、エラー信号ESが大きいほど電流I
VCCを大きくすることができる(
図6参照)。
【0059】
<第2実施形態>
図7は、スイッチングレギュレータの第1実施形態の全体構成例を示す図である。なお、
図7において
図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0060】
図7に示すスイッチングレギュレータは、モニタ回路6のモニタ対象が
図1に示すスイッチングレギュレータと異なっているが、それ以外の点については
図1に示すスイッチングレギュレータと同一である。
図7に示すスイッチングレギュレータのモニタ回路6は、インダクタL1を流れる電流をモニタしている。
【0061】
図7に示すスイッチングレギュレータでは、出力電流Ioutが増加するにつれてインダクタL1を流れる電流も増加する。
図7に示すスイッチングレギュレータは、この出力電流IoutとインダクタL1を流れる電流の関係を利用して、モニタ回路6及び電流可変回路7の動作によって上記の(3)式を成立させている。
【0062】
電流可変回路7は、モニタ回路6のモニタ結果に応じて電流I
VCC(ダイオードD2からスイッチングレギュレータ用IC100に供給される電流)を可変する。より具体的には、電流可変回路7は、インダクタL1を流れる電流が大きいほど電流I
VCCを大きくする。なお、常に上記の(3)式が成立していることが理想的であるが、電流I
VCCを固定している場合に比べて上記の(3)式が成立する方向に近づくように電流I
VCCが可変していれば、電流I
VCCを固定している場合に比べて出力安定度が高くなる。すなわち、
図7に示すスイッチングレギュレータにおいて常に上記の(3)式が成立していることは必要条件ではない。
【0063】
次に、本実施形態で用いるモニタ回路6及び電流可変回路7の一構成例を
図8に示す。なお、
図8において
図7と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0064】
図8に示す構成例のモニタ回路6及び電流可変回路7は、平均化回路と、オペアンプと、NMOSトランジスタと、抵抗とによって構成されるV−I変換回路である。
【0065】
電流検出用抵抗Rsは、NMOSトランジスタQ1がオン状態のときにインダクタL1を流れる電流に応じた電圧(NMOSトランジスタQ1のドレイン電圧)を上記平均化回路に出力する。上記平均化回路は、
図9に示すように周期的に変化するNMOSトランジスタQ1のドレイン電圧を平均化して上記オペアンプに出力する。
【0066】
上記V−I変換回路は、アナログ電圧信号である上記平均化回路の出力信号に比例した電流I
2を、スイッチングレギュレータ用IC100の電圧VCC入力端から引き抜く。電流I
VCCは、スイッチングレギュレータ用IC100の上記V−I変換回路以外で消費される定電流I
1と、上記V−I変換回路で消費される電流I
2との和になる。したがって、上記V−I変換回路の動作により、インダクタL1を流れる電流が大きいほど電流I
VCCを大きくすることができる。
【0067】
次に、本実施形態で用いるモニタ回路6及び電流可変回路7の一構成例を
図10に示す。なお、
図10において
図7と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0068】
図10に示す構成例のモニタ回路6及び電流可変回路7は、サンプリング回路と、オペアンプと、NMOSトランジスタと、抵抗とによって構成されるV−I変換回路である。
【0069】
電流検出用抵抗Rsは、NMOSトランジスタQ1がオン状態のときにインダクタL1を流れる電流に応じた電圧(NMOSトランジスタQ1のドレイン電圧)を上記サンプリング回路に出力する。上記サンプリング回路は、
図9に示すように周期的に変化するNMOSトランジスタQ1のドレイン電圧を、NMOSトランジスタQ1のスイッチング周期と同期したサンプリング周期でサンプリングする。上記サンプリング回路のサンプリングタイミングは、例えば、
図9に示すタイミングt1、t2、t3、・・・とすることができる。
【0070】
上記V−I変換回路は、アナログ電圧信号であるNMOSトランジスタQ1のドレイン電圧のサンプリング値(アナログ電圧信号)に比例した電流I
2を、スイッチングレギュレータ用IC100の電圧VCC入力端から引き抜く。電流I
VCCは、スイッチングレギュレータ用IC100の上記V−I変換回路以外で消費される定電流I
1と、上記V−I変換回路で消費される電流I
2との和になる。したがって、上記V−I変換回路の動作により、インダクタL1を流れる電流が大きいほど電流I
VCCを大きくすることができる。
【0071】
次に、本実施形態で用いるモニタ回路6及び電流可変回路7の他の構成例を
図11に示す。なお、
図11において
図7と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0072】
図11に示す構成例のモニタ回路6及び電流可変回路7は、A/D変換回路と、可変抵抗部とによって構成されるV−I変換回路である。
【0073】
電流検出用抵抗Rsは、NMOSトランジスタQ1がオン状態のときにインダクタL1を流れる電流に応じた電圧(NMOSトランジスタQ1のドレイン電圧)を上記A/D変換回路に出力する。上記A/D変換回路は、
図9に示すように周期的に変化するNMOSトランジスタQ1のドレイン電圧を、NMOSトランジスタQ1のスイッチング周期と同期したサンプリング周期でデジタル電圧信号に変換する。上記サンプリング回路のサンプリングタイミングは、例えば、
図9に示すタイミングt1、t2、t3、・・・とすることができる。
【0074】
上記可変抵抗部は、上記A/D変換回路から出力されるデジタル電圧信号に応じて、抵抗値を切り替える。上記可変抵抗部は、例えば直列接続される複数の抵抗と、複数の抵抗それぞれに設けられるバイパス経路上にそれぞれ設けられる複数のスイッチと、を備え、上記A/D変換回路から出力されるデジタル電圧信号に応じてオン状態にするスイッチの個数を切り替える構成にすることができる。
【0075】
上記V−I変換回路は、アナログ電圧信号であるNMOSトランジスタQ1のドレイン電圧のA/Dサンプリング値(デジタル電圧信号)に比例した電流I
2を、スイッチングレギュレータ用IC100の電圧VCC入力端から引き抜く。電流I
VCCは、スイッチングレギュレータ用IC100の上記V−I変換回路以外で消費される定電流I
1と、上記V−I変換回路で消費される電流I
2との和になる。したがって、上記V−I変換回路の動作により、インダクタL1を流れる電流が大きいほど電流I
VCCを大きくすることができる。
【0076】
<用途>
次に、先に説明した
図1及び
図7に示すスイッチングレギュレータの用途例について説明する。
図12は、空気調和機の一構成例を示す外観図である。本構成例の空気調和機Yは、室内機Y1と、室外機Y2と、これらを連結する配管Y3と、を有する。なお、室内機Y1は、蒸発器や室内ファンを内蔵しており、室外機Y2は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、室外ファン及び、
図1又は
図7に示すスイッチングレギュレータを内蔵している。
【0077】
空気調和機Yの冷房運転時には、まず、室外機Y2の圧縮機で冷媒を圧縮して高温高圧の気体とした後、室外機Y2の凝縮器で放熱して冷媒を液化させる。その際、放熱を促すために室外ファンを回して凝縮器に風が当てられるので、室外機Y2からは熱風が吹き出す。次に、液化された冷媒を室外機Y2の膨張弁で減圧して低温低圧の液体とした後、配管Y3を介して室内機Y1に送り、室内機Y1の蒸発器で気化させる。その際、蒸発器は冷媒の気化熱によって低温となるので、室内ファンを回して蒸発器に風を当てることにより、室内機Y1から室内に向けて冷風が送り出される。気化された冷媒は、再び配管Y3を介して室外機Y2に送られた後、上記と同様の熱交換処理が繰り返される。
【0078】
なお、空気調和機Yの暖房運転時には、冷媒の循環方向が逆となり、室内機Y1の蒸発器と室外機Y2の凝縮器の役割が入れ替わるものの、基本的には上記と同様の熱交換処理が行われる。
【0079】
本構成例の空気調和機Yにおいて、
図1又は
図7に示すスイッチングレギュレータは、先に説明したように出力安定度が高いので、負荷変動が大きい圧縮機の電源装置として好適に利用することができる。
【0080】
<その他の変形例>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0081】
例えば、
図1及び
図7に示すスイッチングレギュレータでは、分圧抵抗R1及びR2と、エラーアンプ1と、基準電圧源2とがスイッチングレギュレータ用IC100内に内蔵されているが、これらをICの外部に設けてもよい。また、
図1及び
図7に示すスイッチングレギュレータでは、NMOSトランジスタQ1と、電流検出用抵抗Rsとがスイッチングレギュレータ用IC100内に内蔵されているが、これらをICの外部に設けてもよい。
【0082】
例えば、
図1及び
図7に示すスイッチングレギュレータは、インダクタL1を流れる電流の情報をフィードバック制御に反映させる電流型スイッチングレギュレータであるが、インダクタL1を流れる電流の情報をフィードバック制御に反映させない電圧型スイッチングレギュレータに変形することも可能である。
【0083】
また
図1に示すスイッチングレギュレータでは、モニタ回路6がエラーアンプ1から出力されるエラー信号をモニタしているが、エラー信号と電圧VCCとの間には相関関係があるため、モニタ回路6が電圧VCCをモニタする構成、または、モニタ回路6が電圧VCCの分圧をモニタする構成に変形することも可能である。また
図1に示すスイッチングレギュレータでは、NMOSトランジスタQ1がオン状態のときにインダクタL1を流れる電流を電流検出用抵抗Rsによって検出しているが、電流検出用抵抗Rsを設けない構成とし、NMOSトランジスタQ1のドレイン−ソース間電圧(NMOSトランジスタQ1のオン抵抗による電圧降下)をモニタする構成に変形することも可能である。
【0084】
また
図7に示すスイッチングレギュレータでは、インダクタL1を流れる電流を検出する電流検出部(電流検出用抵抗Rs)をNMOSトランジスタQ1とダイオードD1との間に設けたが、電流検出部をNMOSトランジスタQ1及びダイオードD1とインダクタL1との間に設ける構成に変形することも可能である。
【0085】
また
図1及び
図7に示すスイッチングレギュレータの用途例として空気調和機を採り上げたが、洗濯機や冷蔵庫のような他の電気機器においても
図1及び
図7に示すスイッチングレギュレータを用いることができる。
【0086】
このように、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。