特許第6641173号(P6641173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641173
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】ゴルフ用マーカーセット
(51)【国際特許分類】
   A63B 57/35 20150101AFI20200127BHJP
【FI】
   A63B57/35
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-250721(P2015-250721)
(22)【出願日】2015年12月23日
(65)【公開番号】特開2017-113202(P2017-113202A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】502334098
【氏名又は名称】有限会社岡杉巧作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099047
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】杉田 幸久
【審査官】 中村 和正
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3153132(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3114631(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3161591(JP,U)
【文献】 特開2008−264127(JP,A)
【文献】 特開2006−296613(JP,A)
【文献】 特開2008−000555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 57/00−57/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ場のグリーン上に載置するためのベースプレートと、前記ベースプレート上に載置されるマーカー本体とを備え、強磁性体からなる前記ベースプレート上面に開口された凹部内には磁石が埋設されるとともに前記マーカー本体は強磁性体からなる被吸着部を有し、前記マーカー本体は前記被吸着部を介して前記磁石に吸着されて前記ベースプレート上面に当接して起立状態でベースプレートに保持されることを特徴とするゴルフ用マーカーセット。
【請求項2】
前記マーカー本体の前記被吸着部は板状に構成され、前記ベースプレート上面に対して面同士で接して倒伏状態で前記被吸着部が前記磁石によって吸着されるとともに、前記ベースプレート上面に対して外周端面で接して前記被吸着部が前記磁石によって吸着され起立可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフ用マーカーセット。
【請求項3】
前記マーカー本体の前記被吸着部は円板形状であり、その外周端面の周方向と直交する方向は直線状に構成され、かつ前記マーカー本体の面方向に対して直交していることを特徴とする請求項2に記載のゴルフ用マーカーセット。
【請求項4】
前記マーカー本体の表裏少なくとも一方は装飾面とされていることを特徴とする請求項2又は3に記載のゴルフ用マーカーセット。
【請求項5】
前記ベースプレートの上面は強磁性体ではないカバー部材によって覆われていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴルフ用マーカーセット。
【請求項6】
前記カバー部材は装飾が施されていることを特徴とする請求項5に記載のゴルフ用マーカーセット。
【請求項7】
前記ベースプレートと前記マーカー本体の両方を磁力によって吸着して保持するための台座となる部材を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のゴルフ用マーカーセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフにおいてグリーン上にあるゴルフボールの位置をマークするためのゴルフ用マーカーセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゴルフのルール上グリーン上ゴルフボールが停止した場合には、そのボールが次に打球するプレーヤーの邪魔にならないようにプレーヤーはゴルフボールに代わってその位置を示すためにマーカーを置くようにしている。一般にプレーヤーはマーカーを携帯し状況に応じてグリーン上の自分の打ったボールを一旦回収してボールのあった位置をマークするためにマーカーを仮置きする。一般にはマーカーとしてはコイン形状の円板を使用することが多いが、離れた位置やグリーンに起伏があったとしてもなるべくマーカーを目視できるように、近年ヒンジ部を設けてベースに対してマーカーを寝た状態から起立させるようにしたマーカーが提案されている。そのような例として特許文献1を挙げる。特許文献1ではマーカーとしての起立可能板5が蝶番8によって基板2から起立させられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平15−39388号公報 図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のようなマーカーは外方に突出した蝶番8を有するため、携行する際や、グリーン上に落とした場合や、更に誤ってプレーヤーが踏んでしまった場合等に破損しやすく、また、構造も複雑で高コスト化する傾向にある。
そのため、マーカーを起立させることができ、なおかつ壊れにくく安価なゴルフ用マーカーセットが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、手段1として、ゴルフ場のグリーン上に載置するためのベースプレートと、前記ベースプレート上に載置されるマーカー本体とを備え、前記ベースプレート内には磁石が埋設されるとともに前記マーカー本体は強磁性体からなる被吸着部を有し、前記マーカー本体は前記被吸着部を介して前記磁石に吸着されて前記ベースプレート上面に当接して起立状態でベースプレートに保持されるようにした。
このように機構的に連結させずに磁力によって吸着させるようにしたため、ユーザー(プレーヤー)はベースプレート上にマーカー本体を起立させることができ、例えばグリーン上でいわゆるライン取りをする際に比較的マーカー本体までの距離があったり、あるいはグリーンに起伏があったとしてもグリーン上のマーカー本体を目視しやすくなり、また、連結するために磁力を使っておりヒンジのような機構的な連結部分がないためシンプルに構成でき、そのため外力を受けても破損しにくい。
ここにベースプレートは板状、つまり扁平な外形形状を有する部材であり、必ずしも円板形状でなくとも楕円形、方形等様々な外形で構成することができる。素材は、後述するように砂鉄を拾わないために強磁性体の金属から構成することがよいが、強磁性体以外の金属やプラスチックやレジンや陶器のような焼結体から構成するようにしてもよい。そしてこれらの中に磁石が埋設されていればよいため、例えば磁石は当初からレジン材料に充填しておいてその後レジンを硬化させるようにしてもよく、材料を削って穴を空けてそこに磁石を埋設するようにしてもよい。また、磁石はベースプレートのどの位置にあってもよいが、なるべく上側であってベースプレートの中央位置にあることがよい。
ここに強磁性体とは、例えば鉄・コバルト・ニッケル及びそれらを主成分とする合金が挙げられる。
マーカー本体はその全体又は一部に強磁性体からなる被吸着部を有し、その被吸着部を介して磁石によって吸着されてベースプレート側に起立させることができるのであれば、形状は特に限定されない。例えば、以下手段3のようにコイン形状としてもよく、強磁性体ではない素材に例えばボルトのような強磁性体部材を連結してもよい。更に、強磁性体部材に他のユーザーの目標となるような目印を固定してもよい。
【0006】
また、手段2として、前記マーカー本体は板状に構成され、前記ベースプレート上面に対して面同士で接して倒伏状態で前記被吸着部が前記磁石によって吸着されるとともに、前記ベースプレート上面に対して外周端面で接して前記被吸着部が前記磁石によって吸着され起立可能とされるようにした。
つまり、マーカー本体はそれ自体が倒れることでベースプレートと重ねられて寝た状態のマーカーとして機能し、起立することでより見やすい状態といずれの態様でも使用できるためユーザーは距離に応じていずれかの態様を選択することができる。マーカー本体をベースプレートから磁力に抗して切り離して単独で従来の地面(グリーン)上に寝かせるタイプのマーカーとして使用することができる。
また、手段3として、前記マーカー本体の前記被吸着部は円板形状であり、その外周端面の周方向と直交する方向は直線状に構成され、かつ前記マーカー本体の面方向に対して直交しているようにした。
つまり、マーカー本体をいわゆるコイン形状としたものである。このような形状であれば、どの位相位置でもベースプレート側の磁石に同じように吸着させることができる。また、当接部分が直線状で周方向においてどの位置でも均等である。このような構成であれば、起立させることにおいて周方向のどの位置でも起立させやすさは同じであるため、ユーザーが起立させる動作をする際に立てやすい方向を定めるなどの手間がいらず速やかに使用することができる。更に手段2と同様にマーカー本体をベースプレートから磁力に抗して切り離して単独で従来の地面(グリーン)上に寝かせるタイプのマーカーとして使用することができる。
【0007】
また、手段4として、前記マーカー本体の表裏少なくとも一方は装飾面とするようにした。
これによって板状又は円板状のマーカー本体を起立させた場合に、ユーザーは装飾面を目視することができ、よりマーカー本体が視認しやすくなる。
【0008】
また、手段5として、前記ベースプレートは強磁性体からなる収容部を有し、前記磁石は前記収容部上面に開口された凹部内に収容されているようにした。
このように構成すれば、磁石の磁力は強磁性体から構成された収容部によって磁束が遮蔽され、底面よりも下方には磁力が及びにくくなる。一方、収容部上面はそのような積極的な遮蔽を施しておらずマーカー本体側の強磁性体からなる被吸着部(マーカー本体自体を強磁性体から構成した場合も含む)が磁力によって吸着されることとなる。そのため、グリーン上に載置したベースプレートがグリーン上の砂鉄成分を磁力で拾ってしまうことが防止される。
ここに、収容部に収容される磁石は被吸着部との吸着性を向上させるためになるべく扁平で吸着面積が広いほうがよく、底面より下への漏れ磁束を少なくするために薄く構成し、かつ表面磁束密度の小さなフェライト磁石を使うことがよい。しかし、ネオジム磁石であってもフェライト磁石よりも相対的に小さなものを使用するのであればネオジム磁石を使用することもよい。
また、手段6として、前記ベースプレート自体を前記収容部とした。
これによって収容部の周囲を包囲するような加工が不要となり、ベースプレートの加工コストが下がり、ベースプレート全体を強磁性体からなる金属で構成することから強度も向上する。
【0009】
また、手段7として、前記ベースプレートの上面は強磁性体ではないカバー部材によって覆われるようにした。
これによってベースプレートの上面に磁石がむき出しになることなく、ベースプレートの上面にマーカー本体側の被吸着部が磁石の磁力によって吸着される際にその吸着力が減衰されにくくなる。また、カバー部材が強磁性体ではないので磁力が減衰することもない。また、磁石がむき出しになると磁石の脱落や埋設位置からのズレが生じる可能性があるが、カバー部材によって覆われることでそのような不具合もなくなる。また、見た目もよくなる。カバー部材としては素材は強磁性体でなければ例えば金属であっても、あるいは例えば紙、ガラス、プラスチック、レジン(透明樹脂)等でもよい。カバー部材の厚みは厚くしすぎると磁力による吸着力が弱くなってしまうが、被吸着部が吸着されてマーカー本体が起立状態で保持可能な厚みであればその範囲で厚くすることはよい。
また、手段8として、前記カバー部材に装飾が施されているようにした。
ベースプレートの上面も目視され、また、このような目立つ形態とすることで単独でマーカーとしても使用可能となるからである。また、マーカー本体と組み合わせて使用する際にもマーカー本体の装飾と併せてよりマーカーとしてユーザーが視認しやすいという機能を発揮することができる。
【0010】
また、手段9として、前記ベースプレートと前記マーカー本体の両方を磁力によって吸着して保持するための台座となる部材を有するようにした。
これによってベースプレートとマーカー本体は台座となる部材に磁力によって吸着して携行することができる。台座となる部材は例えばクリップを有して帽子やポケットの上縁などに取り付けられ、容易にベースプレート及びマーカー本体の着脱が可能であることがよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベースプレートに対してマーカー本体を起立させることができ、マーカー本体までの距離があったり、あるいはグリーンに起伏があったとしてもマーカー本体を視認しやすくなり、また、構造もシンプルで様々な外力を受けても破損しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態のゴルフ用マーカーセットに使用するベースマーカーの分解斜視図。
図2図1のベースマーカーの一部切り欠き正面断面図。
図3】(a)は実施の形態のゴルフ用マーカーセットに使用するスタンドマーカーの斜視図、(b)は一部切り欠き正面断面図。
図4】同じ実施の形態のゴルフ用マーカーセットの使用状態の一例を説明する説明図。
図5】(a)はゴルフ用マーカーセットに使用するマーカーホルダーの側面図、(b)は同じマーカーホルダーにベースマーカーとスタンドマーカーを磁力で吸着させた状態の説明図。
図6図4の使用状態のゴルフ用マーカーセットをプレーヤーがスタンドマーカーを指でつまんでいる状態の説明図。
図7】他の実施の形態のゴルフ用マーカーセットの使用状態の一例を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施の形態としてゴルフ用マーカーセットについて図面に基づいて説明する。
図1及び図2はゴルフ用マーカーセットを構成するベースプレートとしてのベースマーカー1である。ベースマーカー1は鉄−ニッケル合金製の円板形状の被吸着部としてのベース基板2を備えている。収容部としてのベース基板2の上面2a及び底面2bは平面状に構成され、外周には切れ目なく均等な高さで上方に盛り上がった堤部3が形成されている。ベース基板2の上面2a全周は堤部3に包囲されている。ベース基板2は直径35mm、上面2a及び底面2b間の厚み1.7mm、上面2aから堤部3の上端までの高さ0.3mmとされている。ベース基板2の上面2a中央には凹部4が形成されている。凹部4は直径4mm、深さ0.8mmの円筒体の内周面形状に構成されている。凹部4内には磁石5が埋設状に収容されている。フェライト磁石である磁石5は直径3.8mm、高さ0.8mmの円筒体形状とされている。磁石5は自身の磁力によって凹部4内に固定されている。磁石5が凹部4内に収容(埋設)されている状態で磁石5の上面はベース基板2の上面2aと面一とされる。
ベース基板2の上面2aには表面に装飾用の文字が印刷されたカバー部材としてのシール6が貼着されている。本実施の形態では装飾用の文字は白色背景に赤色で表示するものとする。シール6はちょうど堤部3に包囲されたベース基板2の上面2aの領域に対応した円形の厚紙によって構成されている。本実施の形態ではシール6の厚みは0.12mmとされている。このようなベースマーカー1は10g程度の重さとされている。
【0014】
図3(a)及び(b)はゴルフ用マーカーセットを構成するマーカー本体としてのスタンドマーカー10である。スタンドマーカー10は鉄−ニッケル合金製の円板形状のマーカー基板11を備えている。マーカー基板11の表面11a及び裏面11bは平面状に構成され、外周には切れ目なく均等な高さで表裏に突出するフランジ部12が形成されている。マーカー基板11の表面11a及び裏面11bはそれぞれフランジ部12に包囲されている。マーカー基板11は直径35mm、表面11a及び裏面11b間の厚み10mm、フランジ部12を含む端部幅2mmとされている。図3(b)に示すように、マーカー基板11のフランジ部12を含む外周11cの周方向と直交する直線方向p1は表面11a及び裏面11bの面方向p2に対して直交する。
フランジ部12に包囲されたマーカー基板11の表面11a及び裏面11bにはそれぞれ装飾プレート13が貼着されている。装飾プレート13は紫外線硬化型レジン(UVレジン)が硬化されて構成された平たい丘形状とされている。装飾プレート13内には表面に装飾用の文字が印刷された装飾面としてのシール14が封入されている。装飾用の文字は上記とは異なり黄色背景に青色で表示するものとする。表裏に装飾プレート13を貼着した状態でスタンドマーカー10は装飾プレート13間の厚み(幅)はフランジ部12の幅よりも大きく、装飾プレート13はマーカー基板11からはみ出している。
【0015】
図5はゴルフ用マーカーセットのための台座となる部材であるマーカーホルダー15である。マーカーホルダー15は鉄−ニッケル合金製の楕円円板形状のホルダー本体16を備えている。ホルダー本体16の上部にはホルダー本体16と一体的に形成されたクリップ17が形成されている。ホルダー本体16の前面には装飾用の文字が印刷されたシール18が貼着されている。装飾用の文字は上記のベースマーカー1とスタンドマーカー10のいずれの文字とも異なる態様とする。ホルダー本体16の前面であってシール18に覆われた下側には磁石19が埋設されている。磁石19はホルダー本体16に形成された図示しない凹部内に収容されている。
【0016】
このような構成のゴルフ用マーカーセットは次のように使用される。
まず、図6に示すように、ユーザー(プレーヤー)はマーカーホルダー15を帽子やポケットの縁にクリップ17を使用してシール18側が外に露出するように固定する。そして、ホルダー本体16の前面にベースマーカー1(のベース基板2)とスタンドマーカー10(のマーカー基板11)をそれぞれ磁力によって吸着させておく。そして、プレーヤーはゴルフプレー中に、グリーン上でボールを一旦回収してボールのあった位置をマークする際にマーカーホルダー15からベースマーカー1とスタンドマーカー10を取り外す。取り外したベースマーカー1に対してスタンドマーカー10の外周11cを図4のように磁石5の位置に当接させる。スタンドマーカー10はベースマーカー1の上面2a中央のシール6を介在させた状態で磁石5に吸着される。このとき、スタンドマーカー10を若干斜めにベースマーカー1の上面2aに接近させたとしても磁石5の磁場の働きによって外周11cは図4のようにベースマーカー1の上面2aに接地する。また、外周11cは表面11a及び裏面11bに対して直交する方向が直線状であるため、接地状態でがたつくことなくスタンドマーカー10はベースマーカー1の上面2aの面方向に対して直交するように起立することとなる。本実施の形態の磁石5の磁力(吸着力)はベースマーカー1全体の重量を吸着させたスタンドマーカー10で吊り下げて十分保持できる磁力とされている。
プレーヤーはこのようにベースマーカー1にスタンドマーカー10を磁力で吸着させた状態で図6のようにスタンドマーカー10を指でつまんでグリーン上にベースマーカー1を寝かせてスタンドマーカー10が起立するように設置する。このように持ってもベースマーカー1が落下してしまうことはない。
また、プレーヤーの好みに応じてこのようにスタンドマーカー10を立てずにベースマーカー1単独でマーカーとして使用したり、スタンドマーカー10を単独で寝かせて使用したり、ベースマーカー1の上面2aにスタンドマーカー10を寝かせた状態で使用したりすることも可能である。
【0017】
上記のように構成することにより本実施の形態のゴルフ用マーカーセットでは次のような効果が奏されることとなる。
(1)スタンドマーカー10は高さがあるため、グリーン上でいわゆるライン取りをする際にスタンドマーカー10まで距離があってもあるいはグリーンに起伏があったとしても、グリーン上のスタンドマーカー10が目視しやすくなる。また、本人以外の他のプレーヤーも同様に目視しやすくなる。
(2)スタンドマーカー10とベースマーカー1はいずれも外見は単純な2つの円板であるから、誤ってプレーヤーが踏んでしまっても構造的に壊れにくい。
(3)ベースマーカー1上に起立させたスタンドマーカー10は固定的に連結されているわけではないので、自由な方向に表面11a及び裏面11bを向けることができる。
(4)磁石5はベースマーカー1の上方にあり、かつベースマーカー1は強磁性体から構成されているため底面2bから磁束が漏れにくく、グリーン上の砂鉄成分が底面2bにくっつきにくい。
(5)ベースマーカー1上にスタンドマーカー10を起立させたり、あるいは寝た状態のマーカーとしてベースマーカー1やスタンドマーカー10を使用することができ、ベースマーカー1とスタンドマーカー10の装飾も違うため、プレーヤーの好みに応じたいろいろな使い方ができる。また、吸着状態のベースマーカー1とスタンドマーカー10は人の手の力で容易に磁力に抗して切り離すことができるため、ベースマーカー1とスタンドマーカー10をそれぞれ単独で寝かせた状態の従来のマーカーとして使用することもできる。
(6)ベースマーカー1上にスタンドマーカー10が吸着されている場合には、スタンドマーカー10をつまんでベースマーカー1も一緒に支持することができるため、ボールのあった位置にマーカーを置く際に、先にベースマーカー1を置いてからその上にスタンドマーカー10を置くというようなアクションをせずに、片手で置くだけのワンアクションで操作することができる。
【0018】
上記の記載では、本発明の原理を説明するために例示的な態様を参照して本発明を記載していることに留意すべきであり、上記のような態様に限定されるものではない。例えば、本発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
・上記実施の形態ではベースマーカー1上のカバー部材としてシール6を使用したが、シール6はなくともよい。またカバー部材としてスタンドマーカー10に磁力が十分及ぶのであればシール以外の例えば上記の装飾プレート13のような部材を貼着するようにしてもよい。
・上記ではマーカー本体として円板状のスタンドマーカー10を用いたが、このような円板形状でなくともよい。例えば、図7に示すように、被吸着部として強磁性体製の吸着体20(例えば、磁石や鉄合金製のコマ、ボルト等)に旗21を取り付けた旗竿22を固定するようにしてもよい。
・ベースマーカー1やスタンドマーカー10の形状やサイズや構造は上記に限定されるものではない。携帯を考慮するとベースマーカー1もスタンドマーカー10も5〜15g程度の重さに収まることがよい。
・上記ではベースプレートとしてベースマーカー1自体が強磁性体であったが、少なくとも磁石5の磁束が下側に漏れるのを防止できればよいのであるから、別体で磁石5を収容した容器を構成し、この周囲をカバーするようにしてベースプレートを構成するようにしてもよい。
・上記実施の形態では磁石5はフェライト磁石を使用したが、ネオジム磁石を使用するようにしてもよい。
・その他、本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0019】
1…ベースプレートとしてのベースマーカー、2…被吸着部としてのベース基板、5…磁石、10…マーカー本体としてのスタンドマーカー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7