(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記樹脂製ドーム部材は、その突出面の頂部領域に、前記発光手段から出射される光を通過可能にするドーム貫通孔を備える、請求項1に記載の照光式押釦スイッチ部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、メタルドームの天面中央に貫通孔を形成し、メタルドームの内方に発光手段を配置する構造を採用すると、キー天面から高輝度に照光可能ではあるが、次のような問題が生じる。それは、メタルドームに貫通孔を形成すると、長期間使用するに従い、金属疲労が生じ、メタルドームが破損することである。この結果、押釦スイッチ部材のクリック感触を長期間持続できず、押釦スイッチ部材の信頼性が低下する。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、キー天面から高輝度に照光でき、かつクリック感触を長期間持続可能な信頼性の高い照光式押釦スイッチ部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一実施の形態に係る照光式押釦スイッチ部材は、発光手段と、発光手段を少なくとも部分的に覆うと共に発光手段から出射される光を通過可能な樹脂製ドーム部材と、樹脂製ドーム部材の突出面側に配置されると共に少なくとも部分的に透光性を有する操作キーと、樹脂製ドーム部材の内側にあって発光手段の外周囲側に配置される第一接点と、樹脂製ドーム部材に固定される接点であって操作キーを樹脂製ドーム部材に向けて押し込むと樹脂製ドーム部材の座屈変形によって第一接点に電気的に接続可能な第二接点と、を備える。
【0008】
別の実施の形態に係る照光式押釦スイッチ部材は、さらに、樹脂製ドーム部材には、その突出面の頂部領域に、発光手段から出射される光を通過可能にするドーム貫通孔を備えても良い。
【0009】
別の実施の形態に係る照光式押釦スイッチ部材は、また、樹脂製ドーム部材を、発光手段から出射される光を通過可能な透光性材料にて形成しても良い。
【0010】
別の実施の形態に係る照光式押釦スイッチ部材は、また、樹脂製ドーム部材には、その天面部分を操作キーに向けて突出する上方突出部を備えても良い。
【0011】
別の実施の形態に係る照光式押釦スイッチ部材は、さらに、樹脂製ドーム部材を、発光手段から出射される光を通過可能な透光性材料にて形成し、上方突出部の少なくとも側面に遮光層を備えても良い。
【0012】
別の実施の形態に係る照光式押釦スイッチ部材では、さらに、遮光層は第二接点を兼ねていても良い。
【0013】
別の実施の形態に係る照光式押釦スイッチ部材では、また、操作キーは、その押圧時のみ若しくは常時、樹脂製ドーム部材に接触する部分であって樹脂製ドーム部材に向かって突出する下方突出部を備えていても良い。
【0014】
別の実施の形態に係る照光式押釦スイッチ部材では、さらに、樹脂製ドーム部材は、その天面部分を操作キーに向けて突出する上方突出部を備え、下方突出部は、その突出面から内方に向かって上方突出部を挿入可能な大きさの凹部若しくは貫通孔を備えていても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、キー天面から高輝度に照光でき、かつクリック感触を長期間持続可能な信頼性の高い照光式押釦スイッチ部材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る照光式押釦スイッチ部材の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る照光式押釦スイッチ部材を構成する各種部材の平面図を示す。
図2は、
図1の操作キーの裏面図(2A)および樹脂製ドーム部材の裏面図(2B)をそれぞれ示す。
図3は、
図1の樹脂製ドーム部材を斜め上方から見た斜視図(3A)および
図1の各種部材を用いて構成した第1の実施形態に係る照光式押釦スイッチ部材の縦断面図(3B)をそれぞれ示す。
【0019】
なお、以後、「上」、「上方」あるいは「上側」は、樹脂製ドーム部材の天面から操作キーの下方突出部に向かう方向を、「下」、「下方」あるいは「下側」は、操作キーの下方突出部から樹脂製ドーム部材の天面に向かう方向を、それぞれ意味する。また、「径方向外側」は、特定の対象物の平面視にて中心から仮想円を描いたときの仮想円の拡径方向を意味する。「径方向内側」は、上述の仮想円の縮径方向を意味する。さらに、「平面視にて」とは、照光式押釦スイッチ部材を、操作キーの天面側から見た状態を意味する。また、「透明」あるいは「透光性」とは、光を透過する性質を意味し、透過する光量の多寡を問わない。したがって、本願では、「透明」あるいは「透光性」を、光を全く透過しない性質(不透明)の反対の意味で用いられる。上記定義は、以後の実施形態においても同様である。
【0020】
第1の実施形態に係る照光式押釦スイッチ部材30は、基板20の上に、樹脂製ドーム部材10をその頂部(突出面)が上を向くように配置し(
図1の矢印Xを参照)、樹脂製ドーム部材10の上に操作キー1を配置して成り(
図1の矢印Yを参照)、操作キー1の天面からの押圧を受けた樹脂製ドーム部材10の略中央領域がへこむように変形して基板20上の接点をオンにするスイッチ部材である。照光式押釦スイッチ部材30は、発光手段の一例としてのLED23と、LED23を少なくとも部分的に覆うと共にLED23から出射される光を通過可能な樹脂製ドーム部材10と、樹脂製ドーム部材10の突出面側に配置されると共に少なくとも部分的に透光性を有する操作キー1と、樹脂製ドーム部材10の内側にあってLED23の外周囲側に配置される第一接点21,22と、樹脂製ドーム部材10に固定される接点であって操作キー1を樹脂製ドーム部材10に向けて押し込むと樹脂製ドーム部材10の座屈変形によって第一接点21,22に電気的に接続可能な第二接点15と、を備える。以下、照光式押釦スイッチ部材30を構成する主な部材である操作キー1、樹脂製ドーム部材10および基板20について詳細に説明する。
【0021】
(1)操作キー
操作キー1は、この実施形態では、その上方の面にキー側遮光層2を備える。キー側遮光層2は、操作キー1の上面において、上面の一部を抜き文字状にして形成されている。なお、キー側遮光層2は、操作キー1の天面ではなく、天面から下方の位置に形成される層でも良い。例えば、キー側遮光層2の上に、防傷を目的とした防傷層を形成する場合には、キー側遮光層2は、防傷層の下層となる。キー側遮光層2は、そのような位置に形成されていても良い。この実施形態では、抜き文字は、アルファベットの「A」の外側を丸で囲った部分である。以後、「A」の部分を透光性部位3aと、「丸」の部分を透光性部位3bと、それぞれ称する。キー側遮光層2は、好ましくは黒色インクを用いた印刷にて形成されるが、印刷以外に、黒色のフィルムを貼付する方法で形成されても良い。また、キー側遮光層2の色は、黒色に限定されず、濃灰色、濃青色、あるいは銀色等の光反射可能な色でも良い。透光性部位3a,3bは、キー側遮光層2の存在しない部位であり、例えば、操作キー1の天面部分が露出した部位でも、透明な樹脂が存在する部位でも良い。
【0022】
操作キー1は、この実施形態では、好適には、平面視にて四角形であって、板状の操作板6と、操作板6の下方に接続され操作板6の外周囲に形成される外枠体5と、外枠体5に囲まれた領域であって操作板6の下方底面から樹脂製ドーム部材10の方向に突出する下方突出部7とを備える。外枠体5は、この実施形態では、四角い貫通孔を持つ角筒体である。外枠体5は、その筒の上方端面を操作板6の外周囲に連接して、操作キー1の一部分を構成している。操作キー1は、外枠体5を介して基板20上に固定される。下方突出部7は、外枠体5よりも上方向に短い部材である。下方突出部7は、樹脂製ドーム部材10の天面領域と隙間Gを隔てて対向するように、操作板6の下面略中央に連接されている。下方突出部7は、操作キー1の一部を構成し、操作キー1の押圧時のみ樹脂製ドーム部材10に接触する部分であって、樹脂製ドーム部材10に向かって突出する部分である。また、下方突出部7は、好ましくは、その下面に、上方に向かってへこむ凹部8を備える。凹部8は、下方突出部7が樹脂製ドーム部材10の天面部分を下方にへこませた際に、LED23と下方突出部7とが接触するのを防止するために形成されている。ただし、かかる接触の危険性がない場合には、凹部8は不要である。下方突出部7の下面に凹部8を形成する場合、凹部8の外周領域は、樹脂製ドーム部材10の天面近傍に接触して、樹脂製ドーム部材10を弾性的に変形させる部位となる。
【0023】
操作キー1は、透光性を有するとともに、上下方向に弾性的に変形可能な材料にて主に構成される。操作キー1の好適な構成材料としては、例えば、ゴム状弾性体を選択でき、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を用いるのが好ましい。また、操作キー1の構成材料としては、例えば、上記ゴム状弾性体よりも高硬度の材料である樹脂を選択しても良く、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ABS樹脂、あるいはそれらの複合物等を用いるのが好ましい。操作キー1の材料としては、特に、透光性に優れるPMMAが好ましい。また、操作キー1の材料として、ガラスを用いることもできる。また、操作キー1全体を一つの材料で構成せずに、操作キー1を構成している複数の部位を異なる材料で構成しても良い。例えば、操作板6および外枠体5の少なくとも1つをゴム状弾性体で構成し、下方突出部7をゴム状弾性体よりも高硬度の樹脂あるいはガラスにて構成しても良い。
【0024】
(2)樹脂製ドーム部材
樹脂製ドーム部材10は、平面視にて略円形であって、一方に突出面を有しその反対側に凹面を有する皿形状の部材である。樹脂製ドーム部材10は、突出面を上にして基板20上に配置される。樹脂製ドーム部材10は、LED23を少なくとも部分的に覆うと共にLED23から出射される光を通過可能である。ここで、「少なくとも部分的に覆う」とあるのは、LED23を完全に覆う閉鎖空間を形成な樹脂製ドーム部材のみならず、この実施形態の樹脂製ドーム部材10のように、後述のドーム貫通孔14を有する一部開放形態のものも含むからである。樹脂製ドーム部材10は、円環状のフランジ部11と、フランジ部11の径方向内側に形成される円環状のドーム部12と、ドーム部12の径方向内側に形成される可撓性に優れた円環状の変形部13とを連接して成り、変形部13の略中心に上下方向に貫通するドーム貫通孔14を備える。ドーム貫通孔14は、樹脂製ドーム部材10の突出面の頂部領域に、発光手段としてのLED23から出射される光を通過可能にする部位である。フランジ部11は、樹脂製ドーム部材10の最も外周縁側にて略水平に形成される部分であって、照光式押釦スイッチ部材30において、環状の固定部材25によって基板20に固定される。固定部材25は、基板20上に固定される。ただし、固定部材25は必須の構成部材ではなく、樹脂製ドーム部材10のフランジ部11を基板20上に直接固定しても良い。ドーム部12は、変形部13よりも急角度に立ち上がった部位であり、変形部13をその外側にて保持している。変形部13は、ドーム部12との接続位置あるいは変形部13の領域を起点に下方に変形可能な部分である。樹脂製ドーム部材10の形態は、上述の形態に限定されず、例えば、フランジ部11の径方向内側を、略半球形状のドーム部としても良い。その場合、操作キー1の上方からの押圧を受けた樹脂製ドーム部材10は、略半球形状のドーム部が座屈変形して、基板20上の第一接点21,22に接触する。
【0025】
ドーム貫通孔14は、上方に発光するLED23からの光を通過可能とする略円形の孔である。ドーム貫通孔14の直径は、好ましくは、LED23を通過可能とする大きさである。また、ドーム貫通孔14の直径は、さらに好ましくは、操作キー1の下方突出部7に形成される凹部8の直径と同一若しくは当該直径より小さい。これは、ドーム貫通孔14を通過する光が凹部8の周囲に当たりにくくする必要からである。ただし、操作キー1を透光性に優れる材料にて形成する場合、ドーム貫通孔14の直径を凹部8の直径より大きくしても、大きな障害はない。
【0026】
樹脂製ドーム部材10は、その凹面側であって、ドーム貫通孔14の外周部に、1個の円環状の導電部(「第二接点」という)15を有する。樹脂製ドーム部材10は、後述するように、それ自体が絶縁性(あるいは低導電性)の樹脂から構成されている。このため、樹脂製ドーム部材10が座屈変形して基板20上の第一接点21,22と接触してスイッチをオンにするためには、第一接点21,22と接触して電気的に接続可能な第二接点15を樹脂製ドーム部材10側に備える必要がある。樹脂製ドーム部材10は、ドーム貫通孔14の外周部を基板20上の接点に接触させることから、好ましくは、第二接点15の形状を円環形状にする。第二接点15は、印刷層、塗布層、フィルム、板など如何なる形態を持つ接点でも良い。
【0027】
操作キー1と樹脂製ドーム部材10とを基板20にセットした状態であって操作キー1の上方から押圧を加えていない状態では、操作キー1の下方突出部7の下面は、樹脂製ドーム部材10の変形部13の上面と接触しておらず隙間Gを隔てて非接触の状態にある。操作キー1をその上方から押圧すると、下方突出部7の下面が樹脂製ドーム部材10の変形部13のドーム貫通孔14の外側領域に接触し、変形部13を押し下げる。その後、変形部13は、一挙に座屈変形し、基板20上の第一接点21,22に接触する。
図3(3B)の一点鎖線は、樹脂製ドーム部材10が座屈変形した後の状態を示す。なお、隙間Gを無くして、操作キー1の下方突出部7と変形部13の外周部とが非固定状態若しくは固定状態にて接触していても良い。
【0028】
樹脂製ドーム部材10の構成材料は、樹脂であれば特に制約なく採用でき、好ましくは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ABS樹脂、あるいはそれらの複合物等である。樹脂製ドーム部材10は、透光性を有していても、透光性を有していなくとも良い。第二接点15は、好ましくは、基板20上の第一接点21,22を接続する導電性に優れた材料から成る。第二接点15の構成材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銀、金、タングステン、タングステン合金、鉄、SUS等の導電性の高い金属を挙げることができる。また、第二接点15の構成材料として、金属以外に、グラファイト、導電性高分子、インジウム−錫酸化物(ITO)などを用いても良い。第二接点15の形状は、ドーム貫通孔14を囲む円環状であるのが好ましいが、基板20上の第一接点21,22を電気的に接続可能な形状であれば、円環状に限定されない。
【0029】
(3)基板
基板20は、その上面に、LED23を固定している。
図3では、LED23に給電するための通電線は省略されている。基板20は、LED23の外側に、互いに非接触状態にある第一接点21と第一接点22とを備える。
図1に示すように、第一接点21および第一接点22は、円環を鋭角の中心角分だけ切り取った環状帯形状を有する。第一接点21および第一接点22は、基板20の上面から内部を通って基板20の裏側に至る通電線21aおよび通電線22aに接続されている。樹脂製ドーム部材10の第二接点15が第一接点21と第一接点22に接触すると、第一接点21と第一接点22とが電気的に接続する。これによって、照光式押釦スイッチ部材30のスイッチがオンになる。第一接点21および第一接点22は、基板20の上面において、樹脂製ドーム部材10の天面部分が押し下げられるとドーム貫通孔14の外周に備えられる1個の第二接点15が第一接点21および第一接点22に接触する位置に配置されている。なお、第一接点は、2個に限られず、3個以上でも良い。
【0030】
基板20は、絶縁性に優れる材料にて形成されており、一例として、紙基材をフェノール樹脂で固めた紙フェノール基板、紙基材をエポキシ樹脂で固めた紙エポキシ基板、ガラスファイバで織った布をエポキシ樹脂で固めたガラスエポキシ基板、紙とガラス基材を混合して固めたガラスコンポジット基板の他、アルミナ等の絶縁性の高いセラミックスで形成されたセラミックス基板、テトラフルオロエチレン、ポリイミド等の絶縁性の高い樹脂で形成された樹脂基板を好適に挙げることができる。第一接点21および第一接点22の構成材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銀、金、タングステン、タングステン合金、鉄、SUS等の導電性の高い金属を挙げることができる。また、第一接点21および第一接点22の構成材料として、金属以外に、グラファイト、導電性高分子、インジウム−錫酸化物(ITO)などを用いても良い。第一接点21および第一接点22の各形状は、平面視にて、環状帯形状に限定されず、四角形、三角形等の他の形状でも良い。
【0031】
(第2の実施形態)
次に、本発明の照光式押釦スイッチ部材の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と共通する部分については、同じ符号を用いて示すとともに、第1の実施形態の説明をかりて、重複した説明を省略する。
【0032】
図4は、第2の実施形態に係る照光式押釦スイッチ部材を構成する各種部材の平面図(4A)および樹脂製ドーム部材の裏面図(4B)をそれぞれ示す。
図5は、
図4の樹脂製ドーム部材を斜め上方から見た斜視図(5A)および
図4の各種部材を用いて構成した第2の実施形態に係る照光式押釦スイッチ部材の縦断面図(5B)をそれぞれ示す。
【0033】
第2の実施形態に係る照光式押釦スイッチ部材30aは、第1の実施形態に係る照光式押釦スイッチ部材30と異なる形状の操作キー1aおよび樹脂製ドーム部材10aを備える。基板20は、両実施形態において共通する。このため、以下、操作キー1aおよび樹脂製ドーム部材10aについて主に説明する。
【0034】
(1)操作キー
操作キー1aの平面視における形態は、第1の実施形態の操作キー1と共通する。操作キー1aは、平面視にて四角形であって、板状の操作板6と、操作板6の下方に接続され操作板6の外周囲に形成される外枠体5と、外枠体5に囲まれた領域であって操作板6の下面略中央から樹脂製ドーム部材10aの方向に突出する下方突出部7とを備える。操作キー1aは、外枠体5を介して基板20上に固定される。下方突出部7は、外枠体5よりも上方向に短い部材である。下方突出部7は、操作キー1aの一部を構成し、常時、樹脂製ドーム部材10aに接触する部分であって、樹脂製ドーム部材10aに向かって突出する部分である。また、下方突出部7は、その下面に、上方に向かってへこむ凹部8を備える。凹部8は、下方突出部7が樹脂製ドーム部材10aの天面部分を下方にへこませた際に、LED23と下方突出部7とが接触するのを防止するのみならず、樹脂製ドーム部材10aの天面に形成される上方突出部(後述する)を挿入するために形成されている。下方突出部7の下面に凹部8を形成する場合、凹部8の外側の領域は、樹脂製ドーム部材10aの天面近傍に接触して、樹脂製ドーム部材10aを弾性的に変形させる部位となる。操作キー1aは、透光性を有するとともに、上下方向に弾性的に変形可能な材料にて主に構成される。操作キー1aの好適な構成材料は、第1の実施形態の操作キー1と共通するので、重複した説明を省略する。
【0035】
(2)樹脂製ドーム部材
樹脂製ドーム部材10aは、平面視にて略円形であって、一方に突出面を有しその反対側に凹面を有する皿形状の部材である。樹脂製ドーム部材10aは、突出面を上にして基板20上に配置される。樹脂製ドーム部材10aは、円環状のフランジ部11と、フランジ部11の径方向内側に形成される円環状のドーム部12と、ドーム部12の径方向内側に形成される可撓性に優れた円環状の変形部13と、変形部13の略中央において上方に突出する上方突出部16とを連接して成る。上方突出部16および変形部13は、それらの平面視略中央にて上下方向に貫通する1つのドーム貫通孔14を備える。ドーム貫通孔14は、樹脂製ドーム部材10aの突出面の頂部領域に、発光手段としてのLED23から出射される光を通過可能にする部位である。樹脂製ドーム部材10aの形態は、上述の形態に限定されず、例えば、フランジ部11の径方向内側を、略半球形状のドーム部としても良い。その場合、操作キー1aの上方からの押圧を受けた樹脂製ドーム部材10aは、略半球形状のドーム部が座屈変形して、基板20上の第一接点21,22に接触する。
【0036】
ドーム貫通孔14は、上方に発光するLED23からの光を通過可能とする略円筒形の孔である。すなわち、上方突出部16は、その長さ方向にドーム貫通孔14を有する略円筒形状の突出部である。上方突出部16は、好ましくは、操作キー1aの下方突出部7に形成された凹部8よりも小径に形成されている。ドーム貫通孔14の直径は、好ましくは、LED23を通過可能とする大きさである。このように、樹脂製ドーム部材10aは、その天面部分から操作キー1aに向けて突出する上方突出部16を備えている。操作キー1aの下方突出部7は、その突出面から内方に向かって上方突出部16を挿入可能な大きさの凹部8を備える。凹部8に代えて貫通孔を下方突出部7に備えても良い。上方突出部16を凹部8によって覆うように操作キー1aを配置できるので、操作キー1aと樹脂製ドーム部材10aとの位置合わせが容易である。
【0037】
樹脂製ドーム部材10aは、その凹面側であって、ドーム貫通孔14の外周部に、1個の円環状の導電部(「第二接点」という)17を有する。第二接点17は、好ましくは、変形部13の裏面の環状部位17aと、上方突出部16の内部のドーム貫通孔14の内側面に延出して形成される筒状部位17bとを有する。樹脂製ドーム部材10aは、ドーム貫通孔14の外周部を基板20上の第一接点21,22に接触させることから、好ましくは、第二接点17の下面の形状を円環形状にしている。第二接点17は、印刷層、塗布層、フィルム、板など如何なる形態を持つ接点でも良い。また、第二接点17は、遮光層としての機能も持ち合わせる。この実施形態における第二接点17では、例えば、環状部位17aは少なくとも接点として機能し、筒状部位17bは少なくとも遮光層として機能する。樹脂製ドーム部材10aを透光性に優れた材料にて形成する場合には、LED23から上方に向かって出射された光は、変形部13のドーム貫通孔14の周辺および上方突出部16から、下方突出部7を透過する可能性がある。かかる状態は、透光性部位3a,3bの輝度の低下を招く虞がある。このような状況を防ぐため、樹脂製ドーム部材10aは、LED23から出射される光を通過可能な透光性材料にて形成される場合には、上方突出部16の少なくとも内側面に遮光層としての機能を持つ筒状部位17bを備えるのが好ましい。「少なくとも側面」の意味は、内側面や外側面以外の部位、例えば、上方突出部16の上方端面まで延出して、遮光層として機能する筒状部位17bを形成し得ることも含まれる。
【0038】
この結果、LED23からの光は、透光性部位3a,3bからより高輝度にて出射する。変形例として、第二接点17は、変形部13の裏面に形成される環状部位17aのみであっても良い。その場合には、第二接点17はITOや導電性ポリマー等の透光性を有する材料から形成可能である。また、そのような場合には、環状部位17aより上方には、上方突出部16の側壁からの漏光を低減するための筒状部位17bを環状部位17aと接触あるいは非接触にて形成することができる。また、第二接点17を変形部13の裏面から上方突出部16のドーム貫通孔14の内側面に至るまで形成し、ドーム貫通孔14の内側面のみに、遮光層として機能する筒状部位17bを積層させても良い。
【0039】
樹脂製ドーム部材10aの構成材料は、樹脂であれば特に制約なく採用でき、好ましくは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ABS樹脂、あるいはそれらの複合物等である。樹脂製ドーム部材10aは、この実施形態では、透光性を有するが、透光性を有していなくても良い。ドーム貫通孔14を樹脂製ドーム部材10aに形成することにより、樹脂製ドーム部材10aが透光性を有していない材料から形成されていても、LED23からの光を操作板6から透光性部位3a,3bへと通過させることができるからである。第二接点17は、好ましくは、基板20上の第一接点21,22を電気的に接続する導電性に優れた材料から成る。第二接点17の構成材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銀、金、タングステン、タングステン合金、鉄、SUS等の導電性の高い金属を挙げることができる。また、第二接点17の構成材料として、金属以外に、グラファイトなどの遮光性の高い材料を用いても良い。
【0040】
(3)基板
樹脂製ドーム部材10aの第二接点17が第一接点21と第一接点22に接触すると、第一接点21と第一接点22とが電気的に接続する。これによって、照光式押釦スイッチ部材30aのスイッチがオンになる。第一接点21および第一接点22は、基板20の上面において、樹脂製ドーム部材10aの天面近傍が押し下げられるとドーム貫通孔14の外周に備えられる1個の第二接点17が第一接点21および第一接点22に接触する位置に配置されている。基板20のその他構成については、第1の実施形態の基板20と共通するので、重複した説明を省略する。
【0041】
(第3の実施形態)
次に、本発明の照光式押釦スイッチ部材の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の説明において、第1および第2の実施形態と共通する部分については、同じ符号を用いて示すとともに、第1および第2の実施形態の説明をかりて、重複した説明を省略する。
【0042】
図6は、第3の実施形態に係る照光式押釦スイッチ部材を構成する各種部材の平面図(6A)および樹脂製ドーム部材の裏面図(6B)をそれぞれ示す。
図7は、
図6の樹脂製ドーム部材を斜め上方から見た斜視図(7A)および
図6の各種部材を用いて構成した第3の実施形態に係る照光式押釦スイッチ部材の縦断面図(7B)をそれぞれ示す。
【0043】
第3の実施形態に係る照光式押釦スイッチ部材30bは、第2の実施形態に係る照光式押釦スイッチ部材30aと異なる形状の樹脂製ドーム部材10bを備える。基板20および操作キー1aは、両実施形態において共通する。このため、以下、樹脂製ドーム部材10bについて主に説明する。
【0044】
樹脂製ドーム部材
樹脂製ドーム部材10bは、平面視にて略円形であって、一方に突出面を有しその反対側に凹面を有する皿形状の部材である。樹脂製ドーム部材10bは、突出面を上にして基板20上に配置される。樹脂製ドーム部材10bは、円環状のフランジ部11と、フランジ部11の径方向内側に形成される円環状のドーム部12と、ドーム部12の径方向内側に形成される可撓性に優れた円環状の変形部13と、変形部13の略中央において上方に突出する上方突出部16とを連接して成る。上方突出部16は、その下方から上方に向かってくぼむ凹部18を備える。上方突出部16は、第2の実施形態の上方突出部16と異なり、上下方向に貫通する孔を備えておらず、上方の面を塞ぐ天面19を備える。天面19は、樹脂製ドーム部材10bの突出面の頂部領域に、発光手段としてのLED23から出射される光を通過可能にする部位である。樹脂製ドーム部材10bの形態は、上述の形態に限定されず、例えば、フランジ部11の径方向内側を、略半球形状のドーム部としても良い。その場合、操作キー1aの上方からの押圧を受けた樹脂製ドーム部材10bの下面は、略半球形状のドーム部を座屈変形させて、基板20上の第一接点21,22に接触する。
【0045】
凹部18は、上方に発光するLED23からの光を通過可能とする閉鎖孔である。すなわち、凹部18は、その下方を開口して上方の天面19まで延出する。上方突出部16は、操作キー1aの下方突出部7に形成された凹部8よりも小径に形成されている。凹部18の直径は、好ましくは、LED23を通過可能とする大きさである。操作キー1aの下方突出部7は、その突出面から内方に向かって上方突出部16を挿入可能な大きさの凹部8を備える。凹部8に代えて貫通孔を下方突出部7に備えても良い。上方突出部16を凹部8によって覆うように操作キー1aを配置できるので、操作キー1aと樹脂製ドーム部材10bとの位置合わせが容易である。
【0046】
樹脂製ドーム部材10bは、その凹面側であって、凹部18の開口側の外周部に、1個の円環状の導電部(「第二接点」という)17を有する。第二接点17は、好ましくは、変形部13の裏面の環状部位17aから、さらに、上方突出部16の内部の凹部18の内側面にも延出して形成される筒状部位17bを有する。樹脂製ドーム部材10bは、凹部8の外周部を基板20上の接点に接触させることから、好ましくは、第二接点17の下面の形状を円環形状にしている。第二接点17は、印刷層、塗布層、フィルム、板など如何なる形態を持つ接点でも良い。また、第二接点17は、遮光層としての機能も持ち合わせる。第二接点17では、例えば、環状部位17aは少なくとも接点として機能し、筒状部位17bは少なくとも遮光層として機能する。天面19から上方の操作板6に向けて透光させるには、樹脂製ドーム部材10b自体を透光性に優れた材料にて形成するのが好ましい。そのような場合には、LED23から上方に向かって出射された光は、変形部13の凹部18の周辺および上方突出部16から、下方突出部7を透過する可能性がある。そこで、樹脂製ドーム部材10bは、好ましくは、上方突出部16の少なくとも側面に遮光層としての機能を持つ筒状部位17bを備える。「少なくとも側面」の意味は、内側面や外側面以外の部位、例えば、上方突出部16の下方端面まで延出して、遮光層として機能する筒状部位17bを形成し得ることも含まれる。
【0047】
樹脂製ドーム部材10bの構成材料は、第2の実施形態の樹脂製ドーム部材10aと同様の材料を用いることができる。ただし、樹脂製ドーム部材10bでは、この実施形態では、透光性を有するのが好ましい。樹脂製ドーム部材10bの上方突出部16のみを透光性材料で形成し、その他の構成部を非透光性材料で形成することもできる。第二接点17は、好ましくは、基板20上の第一接点21,22を電気的に接続する導電性に優れた材料から成る。第二接点17の構成材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銀、金、タングステン、タングステン合金、鉄、SUS等の導電性の高い金属を挙げることができる。また、第二接点17の構成材料として、金属以外に、グラファイトなどの遮光性の高い材料を用いても良い。
【0048】
(その他の実施の形態)
上述のように、本発明の照光式押釦スイッチ部材の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、上記形態に限定されることなく、種々変形して実施可能である。
【0049】
例えば、LED23以外の発光手段を用いても良い。かかる発光手段として、例えば、シート状の有機ELあるいは無機ELを用いることもできる。操作キー1,1aは、その全体を透光性材料で構成されているが、例えば、下方突出部7および操作板6を透光性材料で構成し、外枠体5を非透光性材料で構成しても良い。第一接点21,22は、2つに分離した接点であるが、3つ以上に分離した接点でも良い。第2の実施形態および第3の実施形態において、上方突出部16に備えられる遮光層は第二接点17であるが、接点としての機能を備えていなくても良い。その場合、第二接点17は、遮光層と別に配置される。操作キー1,1aは、その押圧時のみ若しくは常時、樹脂製ドーム部材10,10,10bに接触する部分であって樹脂製ドーム部材10,10a,10bに向かって突出する下方突出部7を備えているが、必ずしも下方突出部7を備えていなくても良い。例えば、操作キー1,1aの操作板6に、凹部8のみを形成しても良い。その場合、上方突出部16を当該凹部8内に挿入させるようにしても良い。
【0050】
各実施形態における照光式押釦スイッチ部材30,30a,30bの各種構成要素は、組み合わせ不可能な場合を除き、互いに任意に組み合わせることができる。例えば、第1の実施形態および第2の実施形態の各構造を組み合わせて、照光式押釦スイッチ部材30aの下方突出部7を樹脂製ドーム部材10aの天面部から隙間Gだけ離しても良い。