(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0016】
〔医療用観察システムの概略構成〕
図1は、本発明の実施の形態に係る医療用観察システム1の概略構成を示す図である。
医療用観察システム1は、手術時や検査時において術者が処置する対象となる部位(観察対象)を拡大して撮像し、当該撮像に応じた画像を表示するシステムである。この医療用観察システム1は、
図1に示すように、観察対象を撮像して画像信号を出力する医療用観察装置2と、医療用観察装置2から出力された画像信号に基づく画像を表示する表示装置3とを備える。
【0017】
医療用観察装置2は、
図1に示すように、顕微鏡部21と、ベース部22と、支持部23とを備える。
顕微鏡部21は、観察対象を拡大して撮像し、当該撮像に応じた画像信号を出力する。この顕微鏡部21は、例えば、各種の公知の光学系と、当該光学系が集光した光を受光して電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)センサ等の各種の公知の撮像素子とを備える。また、この顕微鏡部21には、AF(Auto Focus)機能や光学ズーム機能等の各種の機能も搭載されている。また、顕微鏡部21としては、一対の撮像素子を備えた所謂、ステレオカメラとして構成しても構わない。
【0018】
ベース部22は、医療用観察装置2の基台であり、キャスター221(
図1)を介して床面上を移動可能に構成されている。
なお、具体的な図示は省略したが、ベース部22の内部には、CPU(Central Processing Unit)等を含んで構成された制御装置が設けられている。この制御装置は、顕微鏡部21から出力された画像信号に対して各種の画像処理(例えば、電子ズーム機能に係る拡大処理等)を実行し、当該画像処理後の画像信号を表示装置3に出力する。
【0019】
支持部23は、ベース部22から延在し、先端(ベース部22から離間した端部)にて顕微鏡部21を保持する。そして、支持部23は、術者の操作に応じて、顕微鏡部21を3次元的に移動可能とする。
なお、本実施の形態では、支持部23は、顕微鏡部21の移動に対して6自由度を有するように構成されているが、これに限られず、その他の異なる数の自由度を有するように構成しても構わない。
【0020】
この支持部23は、
図1に示すように、第1〜第5アーム部231A〜231Eと、第1〜第6関節部232A〜232Fとを備える。
なお、第1〜第6関節部232A〜232Fの詳細な構成については、第3関節部232Cを例示して後述するが、固定部と、可動部と、固定部及び可動部間に介装されるベアリングとをそれぞれ有し、ベアリングを介し、固定部に対して可動部が回転可能な構造になっている。
【0021】
第1関節部232Aは、支持部23の先端に位置し、円筒形状を有する。この第1関節部232Aは、円筒内側に位置する可動部(図示略)にて顕微鏡部21を保持し、円筒外側に位置する固定部(図示略)にて第1アーム部231Aに支持される。そして、第1関節部232Aにおいて、可動部は、ベアリング(図示略)を介し、固定部に対して、第1軸O1を中心として回転可能とする。このため、第1関節部232Aは、第1軸O1まわりに顕微鏡部21を回転可能とする。
ここで、第1軸O1は、第1関節部232Aにおける円筒の中心軸であり、第1関節部232Aに保持された顕微鏡部21の光軸に一致する軸である。
すなわち、第1軸O1まわりに顕微鏡部21を回転させると、顕微鏡部21による撮像視野の向きが変更される。
【0022】
第1アーム部231Aは、第1関節部232Aの側面から第1軸O1と直交する方向に延在し、先端にて第1関節部232A(固定部)を支持する。
第2関節部232Bは、先端側に位置する可動部(図示略)にて第1アーム部231Aの基端に接続し、基端側(ベース部22に近接する側)に位置する固定部(図示略)にて第2アーム部231Bに接続する。そして、第2関節部232Bにおいて、可動部は、ベアリング(図示略)を介し、固定部に対して、第2軸O2を中心として回転可能とする。このため、第2関節部232Bは、第2軸O2まわりに第1アーム部231A(顕微鏡部21)を回転可能とする。
ここで、第2軸O2は、第1軸O1に直交し、第1アーム部231Aの延在方向に平行な軸である。
すなわち、第2軸O2まわりに顕微鏡部21を回転させると、観察対象に対する顕微鏡部21の光軸の向きが変更される。言い換えれば、顕微鏡部21による撮像視野がX軸方向(
図1)に移動する。このため、第2関節部232Bは、顕微鏡部21による撮像視野を移動させる関節部である。
【0023】
第2アーム部231Bは、第1,第2軸O1,O2に直交する方向に延在し、先端にて第2関節部232B(固定部)を支持する。
第3関節部232Cは、先端側に位置する可動部235(
図5A,
図5B,
図6参照)にて第2アーム部231Bの基端に接続し、基端側に位置する固定部236(
図5A,
図5B,
図6参照)にて第3アーム部231Cに接続する。そして、第3関節部232Cにおいて、可動部235は、ベアリング237(
図6参照)を介し、固定部236に対して、第3軸O3を中心として回転可能とする。このため、第3関節部232Cは、第3軸O3まわりに第2アーム部231B(顕微鏡部21)を回転可能とする。
ここで、第3軸O3は、第1,第2軸O1,O2に直交(第2アーム部231Bの延在方向に平行)する軸である。
すなわち、第3軸O3まわりに顕微鏡部21を回転させると、観察対象に対する顕微鏡部21の光軸の向きが変更される。言い換えれば、顕微鏡部21による撮像視野がX軸方向に直交するY軸方向(
図1)に移動する。このため、第3関節部232Cは、顕微鏡部21による撮像視野を移動させる関節部である。
【0024】
第3アーム部231Cは、第2アーム部231Bの延在方向と略平行な方向に延在し、先端にて第3関節部232C(固定部)を支持する。
第4関節部232Dは、第2軸O2に略平行に延在し、一端側に位置する可動部(図示略)にて第3アーム部231Cの基端に接続し、他端側に位置する固定部(図示略)にて第4アーム部231Dに接続する。そして、第4関節部232Dにおいて、可動部は、ベアリング(図示略)を介し、固定部に対して、第4軸O4を中心として回転可能とする。このため、第4関節部232Dは、第4軸O4まわりに第3アーム部231C(顕微鏡部21)を回転可能とする。
ここで、第4軸O4は、第3軸O3に直交し、第2軸O2に平行な軸である。
すなわち、第4軸O4まわりに顕微鏡部21を回転させると、観察対象に対する顕微鏡部21の高さが調整される。
【0025】
第4アーム部231Dは、第4軸O4に直交し、ベース部22に向けて直線的に延在し、先端にて第4関節部232D(固定部)を支持する。
第5関節部232Eは、第4軸O4に略平行に延在し、一端側に位置する可動部(図示略)にて第4アーム部231Dの基端に接続し、他端側に位置する固定部(図示略)にて第5アーム部231Eに接続する。そして、第5関節部232Eにおいて、可動部は、ベアリング(図示略)を介し、固定部に対して、第5軸O5を中心として回転可能とする。このため、第5関節部232Eは、第5軸O5まわりに第4アーム部231D(顕微鏡部21)を回転可能とする。
ここで、第5軸O5は、第4軸O4に平行な軸である。
【0026】
第5アーム部231Eは、鉛直方向に延在する第1の部位と、当該第1の部位に対して略直角に屈曲して延在する第2の部位とで構成された略L字形状を有し、当該第1の部位にて第5関節部232E(固定部)を支持する。
第6関節部232Fは、鉛直方向に延在し、一端側に位置する可動部(図示略)にて第5アーム部231Eの第2の部位に接続し、他端側に位置する固定部(図示略)がベース部22の上面に固定される。そして、第6関節部232Fにおいて、可動部は、ベアリング(図示略)を介し、固定部に対して、第6軸O6を中心として回転可能とする。このため、第6関節部232Fは、第6軸O6まわりに第5アーム部231E(顕微鏡部21)を回転可能とする。
ここで、第6軸O6は、鉛直方向に沿う軸である。
【0027】
本実施の形態では、上述した支持部23のイナーシャは、2.5×10
−3kgm
2に設定されている。なお、従来の光学式顕微鏡(支持アーム装置の支持部の先端に患者の術部の微小部位を拡大観察するための拡大光学系が設けられた顕微鏡(例えば、特開2004−267774号公報参照))における支持部のイナーシャは、2.5kgm
2程度である。すなわち、支持部23のイナーシャは、従来の光学式顕微鏡に比べて、1/1000程度に設定されている。
なお、支持部23のイナーシャは、上述した値に限られず、1×10
−2kgm
2以下であれば、その他の値に設定しても構わない。
このように支持部23のイナーシャを小さく設定することにより、支持部23における6自由度の動き(顕微鏡部21の移動)を円滑にすることができる。
【0028】
表示装置3は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等を用いた表示ディスプレイを用いて構成され、顕微鏡部21から出力され、ベース部22の内部に設けられた制御装置(図示略)にて各種の画像処理が実行された画像信号に基づく画像を表示する。
【0029】
〔医療用観察システムの使用例〕
次に、上述した医療用観察システム1の使用例について説明する。
図2は、医療用観察システム1を用いた手術の状況を模式的に示す図である。
先ず、術者OPは、顕微鏡部21を把持し、支持部23における6自由度の動きを利用して、手術台の上に横臥している患者PAの観察対象(
図2の例では、患者PAの頭部)の上に顕微鏡部21を位置付ける。顕微鏡部21にて撮像された画像は、顕微鏡部21における光学ズーム機能、及び制御装置(図示略)による電子ズーム機能により、所定の倍率で拡大され、手術室の壁に取り付けられた表示装置3に表示される。
そして、術者OPは、表示装置3に表示された画像を確認しながら、手術を実行する。
【0030】
ここで、撮像視野を移動する場合での課題について説明する。
図3及び
図4は、撮像視野を移動する場合での課題を説明する図である。具体的に、
図3は、撮像視野(実視野)AVと顕微鏡部21との位置関係を示している。
図4は、ワーキングディスタンスWD(観察対象から顕微鏡部21までの距離)と、光学ズーム機能による倍率(変倍比)と、電子ズーム機能による倍率(
図4の例では、電子ズーム機能OFFのみ図示)と、撮像視野AVのサイズとの関係を示している。
例えば、ワーキングディスタンスWDが400mmで、光学ズーム機能による倍率を6倍(変倍比)とした場合(電子ズーム機能OFF)には、撮像視野AVのサイズは、
図4に示すように、対角で25mmとなる。そして、撮像視野AVの中央に位置する点CPが撮像視野AVの外に位置する(点CPが表示装置3の画面から消える(画が飛ぶ))まで第2軸O2(または第3軸O3)まわりに顕微鏡21を回転させた場合での第2軸O2(または第3軸O3)まわりの角度変化θは、以下の式(1)に示すように、1.8°となる。
【0032】
また、顕微鏡部21の先端から第2軸O2までの距離を100mmとした場合には、角度変化である1.8°は、顕微鏡部21の先端が3mm移動することに相当する。すなわち、顕微鏡部21を1.8°回転させただけで、言い換えれば、顕微鏡部21の先端を3mm移動させただけで、画が飛んでしまう。当該画の飛びは、高倍率になるにしたがって、小さい角度変化θ(顕微鏡部21の先端の少ない移動量)で生じることとなる。
上述したように支持部23のイナーシャは、極めて小さい値(2.5×10
−3kgm
2)に設定されているため、術者が顕微鏡部21に弱い力を加えただけで、画が飛んでしまう。このため、本実施の形態では、第2,第3関節部232B,232Cには、当該画の飛びを抑制するために、ダンパートルク機構4(
図5A,
図5B,
図6参照)がそれぞれ設けられている。
【0033】
〔第3関節部及びダンパートルク機構の構成〕
図5A及び
図5Bは、第3関節部232C及び当該第3関節部232Cに設けられたダンパートルク機構4を示す分解斜視図である。具体的に、
図5Aは、基端側(第3アーム部231C側)から見た図である。
図5Bは、先端側(第2アーム部231B側)から見た図である。
図6は、第3関節部232C及びダンパートルク機構4を第3軸O3に沿う平面にて切断した断面図である。
以下、第2,第3関節部232B,232Cにそれぞれ設けられたダンパートルク機構4のうち、第3関節部232Cに設けられたダンパートルク機構4について説明する。
先ず、第3関節部232Cの構成について説明する。
第3関節部232Cは、
図5A、
図5B、及び
図6に示すように、先端側に位置する可動部235と、基端側に位置する固定部236と、可動部235及び固定部236間に介装される一対のベアリング237(
図6)とを備え、当該一対のベアリング237を介し、固定部236に対して可動部235が回転可能な構造である。
【0034】
可動部235は、略円筒形状を有し、円筒の中心軸が第3軸O3に一致する姿勢で先端側が第2アーム部231Bの基端に固定される。
固定部236は、
図5A、
図5B、及び
図6に示すように、固定部本体2361と、回転軸部2362(
図5A,
図6)とを備える。
固定部本体2361は、略円柱形状を有し、円柱の中心軸が第3軸O3に一致する姿勢で基端側が第3アーム部231Cの先端に固定される。
回転軸部2362は、固定部本体2361よりも小さい径寸法で構成された略円柱形状を有し、円柱の中心軸が第3軸O3に一致する姿勢で基端側が固定部本体2361の先端側の端面にボルト2363(
図5A,
図5B,
図6)にて固定される。
【0035】
そして、第3関節部232Cを組み立てた状態では、
図6に示すように、回転軸部2362が可動部235の基端側から当該可動部235の内部に挿入され、回転軸部2362の外周面と可動部235の内周面との間に一対のベアリング237が介装された状態となる。なお、一対のベアリング237は、第3軸O3に沿う方向への移動が規制されている。例えば、基端側のベアリング237は、回転軸部2362の外周面に設けられた円環状の規制部材2364(
図6)にて基端側への移動が規制されている。
以上の構成により、可動部235は、一対のベアリング237を介し、固定部236に対して、第3軸O3を中心として回転可能となる。
【0036】
次に、ダンパートルク機構4の構成について説明する。
ダンパートルク機構4は、本発明に係る負荷付与機構としての機能を有し、固定部236に対して可動部235が回転する際に、当該回転方向とは逆方向の負荷を可動部235に付与する機構である。このダンパートルク機構4は、
図5A、
図5B、及び
図6に示すように、摩擦板41(
図5A,
図6)と、波ワッシャ42と、摩擦スライダ43とを備える。そして、ダンパートルク機構4は、可動部265の基端側の端部と固定部本体2361の先端側の端面との間に、摩擦板41、摩擦スライダ43、及び波ワッシャ42の順に配設されている。
【0037】
摩擦板41は、本発明に係る第1摩擦部材としての機能を有する部材である。具体的に、摩擦板41は、回転軸部2362(規制部材2364を含む)を挿通可能とし、可動部235と略同一の外径寸法を有する円環状の平板で構成され、可動部235の基端側の端部に固定される。なお、摩擦板41の材料としては、例えば、ステンレス等を例示することができる。
【0038】
波ワッシャ42は、
図5Aまたは
図5Bに示すように、回転軸部2362(規制部材2364を含む)を挿通可能とする円環形状を有する。具体的に、波ワッシャ42は、基端側(固定部本体2361)に向けて凸となる第1湾曲部421、及び先端側(摩擦スライダ43)に向けて凸となる第2湾曲部422が円環の中心軸(第3軸O3)まわりに交互に設けられた板バネで構成され、固定部本体2361の先端側の端面、及び摩擦スライダ43の基端側の端面にそれぞれ係合する(取り付けられる)。
そして、波ワッシャ42は、固定部本体2361における先端側の端面と摩擦スライダ43との間で第3軸O3方向に圧縮されることにより、摩擦スライダ43を摩擦板41に向けて付勢する。すなわち、波ワッシャ42は、本発明に係る付勢部材としての機能を有する。
本実施の形態では、第1,第2湾曲部421,422は、波ワッシャ42における円環の中心軸まわりに120°間隔でそれぞれ設けられている。
【0039】
図7は、波ワッシャ42と固定部本体2361及び摩擦スライダ43との係合状態を模式的に示す断面図である。なお、
図7では、波ワッシャ42が第3軸方向に圧縮された状態を実線で示し、圧縮されていない状態を破線で示している。
ここで、固定部本体2361において、先端側の端面には、
図5Bに示すように、当該固定部本体2361における円柱の中心軸(第3軸O3)まわりに120°間隔で、基端側に向けて窪む3つの第1係合受け部2365がそれぞれ形成されている。これら3つの第1係合受け部2365には、
図7に破線で示すように、3つの第1湾曲部421がそれぞれ挿入される。そして、
図7に実線で示すように、波ワッシャ42が固定部本体2361における先端側の端面と摩擦スライダ43との間で第3軸O3方向に圧縮された際に、第1湾曲部421の斜面が第1係合受け部2365の縁部分に引っ掛かる。これにより、波ワッシャ42は、固定部本体2361に係合する(取り付けられる)。
【0040】
摩擦スライダ43は、本発明に係る第2摩擦部材としての機能を有する部材である。具体的に、摩擦スライダ43は、回転軸部2362(規制部材2364を含む)を挿通可能とし、可動部235と略同一の外径寸法を有する円環状に形成されている。なお、摩擦スライダ43の材料としては、例えば、POM(ポリアセタール)樹脂等を例示することができる。
そして、摩擦スライダ43において、基端側の端面には、
図5Aに示すように、当該摩擦スライダ43における円環の中心軸(第3軸O3)まわりに120°間隔で、先端側に向けて窪む3つの第2係合受け部431が形成されている。これら3つの第2係合受け部431には、
図7に破線で示すように、3つの第2湾曲部422がそれぞれ挿入される。そして、
図7に実線で示すように、波ワッシャ42が固定部本体2361における先端側の端面と摩擦スライダ43との間で第3軸O3方向に圧縮された際に、第2湾曲部422の斜面が第2係合受け部431の縁部分に引っ掛かる。これにより、波ワッシャ42は、摩擦スライダ43に係合する(取り付けられる)。
【0041】
また、摩擦スライダ43において、先端側の端面(本発明に係る摺接面)には、
図5Bまたは
図6に示すように、先端側に膨出し、当該摩擦スライダ43における円環の中心軸(第3軸O3)まわりに連続して延びる膨出部432が設けられている。この膨出部432は、第3軸O3に沿う平面で切断した断面で見た場合に、
図6に示すように、略円弧形状を有する。すなわち、摩擦スライダ43において、先端側の端面(膨出部432)は、曲面状に形成されている。そして、膨出部432は、波ワッシャ42にて摩擦スライダ43が摩擦板41に向けて付勢された状態で、摩擦板41における基端側の端面(本発明に係る摺接面)に当接する。
【0042】
以上の構成により、ダンパートルク機構4は、以下のように機能する。
摩擦板41は、第3軸O3を中心とする可動部235の回転に伴い、当該可動部235とともに回転する。一方、摩擦スライダ43は、
図7に示した係合状態により固定部236に取り付けられているため、摩擦板41とともに回転することはない。すなわち、摩擦板41は、膨出部432上を摺動する。このため、摩擦板と摩擦スライダ43との間には、摩擦が生じる。そして、当該摩擦力により、可動部235に対して当該可動部235の回転方向とは逆方向の負荷が付与される。
【0043】
なお、第2関節部232Bに設けられたダンパートルク機構については説明を省略したが、ダンパートルク機構4と同様の構成を有するものである。すなわち、当該ダンパートルク機構は、摩擦板41と同様の構成を有し、第2関節部232Bにおける可動部に取り付けられる摩擦板と、波ワッシャ42と同様の構成を有し、第2関節部232Bにおける固定部に取り付けられる波ワッシャと、摩擦スライダ43と同様の構成を有し、摩擦板及び波ワッシャの間に配設される摩擦スライダとを備える。
【0044】
以上説明した本実施の形態に係る医療用観察装置2では、固定部236に対して可動部235が回転する際には、ダンパートルク機構4により、可動部235に対して当該回転方向とは逆方向の負荷が付与される。このため、顕微鏡部21に弱い力を加えただけでは顕微鏡部21を移動し難い構造となり、観察対象を高倍率で観察している場合において、画の飛びを抑制することができる。また、ダンパートルク機構4を第2,第3関節部232B,232Cに設けるだけで、画の飛びを抑制することができるため、構造の簡素化を図ることができる。したがって、本実施の形態に係る医療用観察装置2によれば、構造の簡素化を図りつつ、画の飛びを抑制することができる、という効果を奏する。
【0045】
また、本実施の形態に係る医療用観察装置2では、ダンパートルク機構4は、摩擦板41と、波ワッシャ42と、摩擦スライダ43とを備える。すなわち、固体同士の摩擦抵抗を利用した機構であるため、例えば、液体の流体抵抗を利用したダンパートルク機構と比較して、構造をさらに簡素化することができる。また、波ワッシャ42の付勢力によって摩擦板41及び摩擦スライダ43同士が当接しているため、摩擦抵抗がそれほど大きいものにはならず、撮像視野AVの移動(顕微鏡部21の移動)を円滑に行うことができる。
【0046】
ところで、波ワッシャ42と固定部本体2361及び摩擦スライダ43との係合構造としては、
図7に示した係合構造の他、波ワッシャ42と固定部本体2361及び摩擦スライダ43との一方に突起部を設け、他方に突起部が挿通される孔を設けた構造が考えられる。しかしながら、波ワッシャ42が固定部本体2361及び摩擦スライダ43間で圧縮されて変形するため、当該変形を考慮して、突起部や孔の形状を工夫する必要がある。
これに対して、本実施の形態に係る医療用観察装置2では、波ワッシャ42と固定部本体2361及び摩擦スライダ43との係合構造として、
図7に示した係合構造を採用している。このため、波ワッシャ42が変形しても波ワッシャ42と固定部本体2361及び摩擦スライダ43との係合状態を良好に維持することができる。
【0047】
また、本実施の形態に係る医療用観察装置2では、摩擦スライダ43の摺接面には、膨出部432が形成されている。すなわち、摩擦スライダ43と摩擦板41とが平面同士で接触する構成と比較して、接触面積を小さくしている。このため、所謂スティックスリップ現象の発生を抑制し、撮像視野AVの移動(顕微鏡部21の移動)を円滑に行うことができる。
【0048】
また、本実施の形態に係る医療用観察装置2では、ダンパートルク機構4は、撮像視野AVを移動させる第2,第3関節部232B,232Cにそれぞれ設けられている。このため、上述した画の飛びを抑制するという効果を好適に実現することができる。
【0049】
また、本実施の形態に係る医療用観察装置2では、支持部23のイナーシャは、2.5×10
−3kgm
2に設定されている。すなわち、このようにイナーシャが極めて小さい値に設定されている場合に画の飛びが生じやすいところ、ダンパートルク機構4を設けることで、当該画の飛びを効果的に抑制することができる。
【0050】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態では、本発明に係る負荷付与機構として、ダンパートルク機構4を採用したが、これに限られず、可動部に対して当該可動部の回転方向とは逆方向の負荷を付与する機構であれば、その他の機構を採用しても構わない。すなわち、負荷付与機構としては、上述した実施の形態で説明したダンパートルク機構4のように固体同士の摩擦抵抗を利用した機構に限られず、液体の流体抵抗を利用した機構等を採用しても構わない。また、本発明に係る付勢部材としては、摩擦板41及び摩擦スライダ43の一方を他方に向けて付勢する構成であれば、波ワッシャ42に限られず、その他の付勢部材を採用しても構わない。さらに、ダンパートルク機構4において、摩擦スライダ43を省略し、摩擦板41と波ワッシャ42とが直接、摺接する構成としても構わない。
【0051】
図8は、本発明の実施の形態の変形例を示す図である。
上述した実施の形態に係るダンパートルク機構4は、摩擦板41が可動部235に取り付けられ、固定部236側から波ワッシャ42にて摩擦スライダ43を摩擦板41に付勢するように構成されていたが、これに限られず、
図8に示すダンパートルク機構4Aを採用しても構わない。
ダンパートルク機構4Aは、
図8に示すように、摩擦スライダ43が可動部(図示略)に取り付けられ、固定部(図示略)側から波ワッシャ42にて摩擦板41を摩擦スライダ43に付勢するように構成されている。
ここで、本変形例に係る摩擦板41において、固定部側の端面には、当該摩擦板41における円環の中心軸まわりに120°間隔で、固定部側に突出する突起部411が形成されている。また、本変形例に係る波ワッシャ42において、第2湾曲部422には、当該波ワッシャ42における円環の中心軸まわりに120°間隔で、外周端部から内側に向けて切り欠かれた切り欠き部422Aがそれぞれ形成されている。そして、3つの切り欠き部422Aに3つの突起部411がそれぞれ挿通されることにより、波ワッシャ42と摩擦板41とが係合する。なお、波ワッシャ42と固定部(図示略)との係合は、上述した実施の形態と同様である。
このような構成では、摩擦スライダ43は、可動部の回転に伴い、当該可動部とともに回転する。一方、摩擦板41は、波ワッシャ42を介して固定部に取り付けられているため、摩擦スライダ43とともに回転することはない。すなわち、摩擦スライダ43は、膨出部432が摩擦板41に当接した状態で、摩擦板41における可動部側の端面上を摺動する。
【0052】
上述した実施の形態では、第2,第3関節部232B,232Cに同一の構成のダンパートルク機構4をそれぞれ設けていたが、これに限られず、異なる構成のダンパートルク機構をそれぞれ設けても構わない。例えば、ダンパートルク機構4を第3関節部232Cに設け、ダンパートルク機構4Aを第2関節部232Bに設けても構わない。
【0053】
上述した実施の形態では、摩擦板41及び摩擦スライダ43における各摺接面のうち、摩擦スライダ43の摺接面を摩擦板41に向けて凸となる曲面状に形成(膨出部432を形成)していたが、これに限られず、摩擦板41の摺接面を摩擦スライダ43に向けて凸となる曲面状に形成してもよく、あるいは、摩擦板41及び摩擦スライダ43の双方の摺接面を他方の摺接面に向けて凸となる曲面状にそれぞれ形成しても構わない。
【0054】
上述した実施の形態において、第1〜第6関節部232A〜232Fの少なくともいずれかの関節部にモータを設け、当該モータの回転を可動部に伝達し、支持部23を動作させる構成を採用しても構わない。また、モータと可動部との間に電磁クラッチを設け、当該電磁クラッチの動作を制御することにより、モータから可動部への回転の伝達及び遮断を切り替える構成を採用しても構わない。さらに、第1〜第6関節部232A〜232Fに電磁ブレーキをそれぞれ設け、各電磁ブレーキの動作を制御することにより、第1〜第6関節部232A〜232Fにおける各可動部の回転を停止させた状態、及び当該回転を許容する状態を切り替える構成を採用しても構わない。