(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ホッパから降下する被計数材料の姿勢を変更する姿勢変更機構と、前記姿勢変更機構に隣り合って設置され変更された姿勢の前記被計数材料を整列させる整列機構と、前記整列機構に隣り合って設置され前記被計数材料を予め設定した解放位置まで搬送する搬送機構と、前記解放位置まで搬送された前記被計数材料が自重で落下する収納落下通路で計数する計数機構と、を備え、
前記姿勢変更機構は、前記被計数材料を同じ姿勢とするように幅が規制された規制通路を形成するように対向して配置される第1規制部及び第2規制部を有し、前記第1規制部及び前記第2規制部の少なくとも一方が回転ローラであり、当該回転ローラを前記被計数材料の降下方向とは反対方向に回転させるローラ駆動部を備え、
前記整列機構は、変更された前記被計数材料の姿勢を二次元配列して整列する幅となるように対向して設けた第1整列板及び第2整列板を有し、
前記搬送機構は、前記整列機構に隣り合って搬送用円板体を備え、前記搬送用円板体の周縁に一列で前記被計数材料を受け取り保持する凹部を有し、前記搬送用円板体の回転方向を搬送経路とし、前記搬送経路において前記凹部が下方を向いて前記被計数材料が自重で落下する所定の位置を前記解放位置とする計数充填装置。
前記搬送機構は、前記第1整列板及び前記第2整列板の間において整列する前記被計数材料の一つを保持する前記凹部を周縁に形成した前記搬送用円板体と、前記搬送用円板体を回転させる円板駆動部と、前記凹部の開口側に対面して予め設定された範囲で設けられ前記解放位置まで前記被計数材料の落下を防止する落下防止カバーと、を備え、
前記凹部は、前記搬送用円板体の周縁に複数形成された凹溝と、この凹溝を挟んで対向するように前記搬送用円板体に設置されたサイドカバーとによりなる請求項1に記載の計数充填装置。
前記サイドカバーと前記搬送用円板体とを隙間を空けて設置し、前記サイドカバー及び前記凹溝で囲む凹部内に吸引通路を介して前記被計数材料を吸引する吸引機構を備え、
前記吸引機構は、前記サイドカバーの一方に凹開口部を対面させて前記サイドカバーの面方向に突出するように設けたエア吸引室と、このエア吸引室に真空ポンプの吸引ホースを接続するように設けた接続部と、を備え、
前記エア吸引室に対面する前記サイドカバーの一方に形成した貫通穴及び前記搬送用円板体に形成した貫通穴を介して、前記エア吸引室及び前記サイドカバーの他方で囲む空間と、前記凹部内とを連通させて、前記吸引ホースから吸引する前記吸引通路を形成すると共に、前記解放位置で被計数材料が自重で落下できるように前記吸引通路の一部を仕切部で仕切る請求項2に記載の計数充填装置。
前記サイドカバー側から直接又は反射光学系を介して撮影する撮影カメラと、この撮影カメラで撮影された画像に基づいて前記被計数材料の不良を検出する不良検出部を有する制御部と、前記制御部からの信号により前記収納落下通路において前記不良の被計数材料を排除する排除機構と、を有し、
前記サイドカバーが透明な素材で形成される請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の計数充填装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る計数充填装置及び計数充填方法について図面を参照して説明する。
なお、各図面では、被計数材料の一例として、円板型の錠剤を計数充填装置で計数する構成について説明する。また、計数充填装置は、一例として、搬送機構の搬送用円板体を一つ備える構成として説明する。さらに、計数充填装置の各構成と、使用する錠剤との大きさの関係、あるいは錠剤の位置については、適宜デフォルメあるいは模式的に示して図面に記載している場合がある。また、説明上において上下方向は、装置の設置状態において上下を示すこととする。
【0017】
図1及び
図2に示すように、計数充填装置100は、錠剤Wを搬送しながら予め設定された数量を計数して容器Bに充填するものである。この計数充填装置100は、フレーム筐体5を装置の躯体とし、錠剤Wを投入するホッパ1と、ホッパ1から降下する錠剤Wの姿勢を変更する姿勢変更機構10と、姿勢変更機構10により変更された姿勢の錠剤Wを直線状に整列させる整列機構20と、整列機構20で整列した錠剤Wを受け取り円軌道方向となる回転方向を搬送経路として搬送する搬送機構30と、搬送機構30で予め設定された解放位置まで搬送した錠剤Wを計数する計数機構40と、を主に備えている。
【0018】
また、計数充填装置100は、ここでは、搬送機構30において錠剤Wを吸引して保持する吸引機構50と、姿勢変更機構10及び整列機構20の錠剤Wを通過させる間隔を調整する間隔調整機構60と、搬送機構30の搬送経路の上方に設けたCCDカメラ等の撮影カメラ70と、撮影カメラ70からの画像データに基づいて錠剤Wの良、不良を検出する制御部PCの不良検出部80(
図5参照)と、不良な錠剤Wを排除する排除機構90とを備えることとして説明する。
なお、計数充填装置100では、フレーム筐体5として、筐体上部5aと、この筐体上部5aに連続して中段に設けた筐体台部5bと、この筐体台部5bに連続して設けた筐体下部5cとを備えている。そして、計数充填装置100では、大まかな配置としてフレーム筐体5において、筐体上部5a側にホッパ1と姿勢変更機構10と整列機構20とを設置し、筐体台部5b側に搬送機構30、撮影カメラ70、吸引機構50、計数機構40を設置し、筐体下部5c側に排除機構90及び容器Bの載置台6を設置するような全体構成を備えている。
【0019】
図1から
図3に示すように、計数充填装置100は、フレーム筐体5の筐体上部5aにホッパ1を設けている。ホッパ1は、錠剤Wを投入して収納し錠剤Wを自重で降下させることで姿勢変更機構10に錠剤Wを供給するものである。このホッパ1は、上方が広く開口した投入口2から下方に向かってホッパ本体3が絞って狭く形成されており、下部に形成された供給口4が、姿勢変更機構10の直上に対向するように設置されている。ホッパ1は、供給口4の下端が、後記する姿勢変更機構10の第1規制部(第1回転ローラ11)及び第2規制部(第2回転ローラ15)の直上に近接して、錠剤Wが漏れ出さない隙間を空けて設置されている。供給口4は、開口形状が矩形に形成され、姿勢変更機構10の規制通路Kt(
図6参照)よりも広い幅となるように形成されている。ここでは、
図1及び
図6に示すように、第1回転ローラ11の中央から第2回転ローラ15の中央までの範囲を供給口4の開口において短手方向の幅とし、第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15の軸方向の長さを供給口4の開口における長手方向の幅として形成されている。ホッパ1に投入された錠剤Wは、自重で投入口2から供給口4側に移動し供給口4から姿勢変更機構10側に自重で降下して送られる。
【0020】
姿勢変更機構10は、
図1及び
図6に示すように、供給口4から降下してくる錠剤Wを、規制通路Ktを通過させることで姿勢を変更させ、姿勢の変更された錠剤Wを整列機構20に案内するものである。姿勢変更機構10は、第1規制部及び第2規制部により規制通路Ktを形成し、第1規制部及び第2規制部の少なくとも一方を回転ローラ(第1回転ローラ11)とするものである。姿勢変更機構10は、ここでは錠剤Wの降下方向とは異なる方向に摩擦力を付与して規制通路Ktを通過させる構成を備えている。この姿勢変更機構10は、第1規制部である第1回転ローラ11と、第1回転ローラ11に対向して設置され規制通路Ktを形成するように配置された第2規制部である第2回転ローラ15とを有している。
【0021】
また、姿勢変更機構10は、第1回転ローラ11を回転させる第1ローラ駆動部13と、第1ローラ駆動部13の駆動力を第1回転ローラ11に伝達する第1伝達機構12と、第2回転ローラ15を回転させる第2ローラ駆動部17と、第2ローラ駆動部17の駆動力を第2回転ローラ15に伝達する第2伝達機構16とを備えている。そして、姿勢変更機構10は、第1回転ローラ11が第1伝達機構12に支持され、かつ、第1ローラ駆動部13及び第1伝達機構12が、第1支持台14に支持されている。また、姿勢変更機構10は、第2回転ローラ15が第2伝達機構16に支持され、かつ、第2ローラ駆動部17及び第2伝達機構16が、第2支持台18に支持されている。そして、第1支持台14及び第2支持台18は、隣り合うように設置されると共に、第1回転ローラ11と第2回転ローラ15とが回転軸の高さ方向で平行になる位置に設置されている。第1支持台14及び第2支持台18は、フレーム筐体5の筐体上部の内部位置に間隔調整機構60を介して近接離間が自在となるように設置されている。
【0022】
第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15は、ホッパ1の供給口4の直下に配置され、錠剤Wの規制通路Ktを形成する間隔を空けて配置されている。第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15は、錠剤Wの直径に対して3つ以上の軸方向の長さを有するとともに、ローラ直径が錠剤Wの直径よりも大きく形成されることが好ましい。また、第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15は、その表面に軸方向に向かって螺旋となるように螺旋溝11a、15aが形成されている。螺旋溝11a,15aは、錠剤Wの直径よりも小さな幅で、錠剤の厚みよりも浅い溝となるように形成されることが好ましい。また、螺旋溝11a,15aは、錠剤Wをローラ表面に沿って移動することができれば、その溝間隔は特に限定されるものではない。
第1ローラ駆動部13及び第2ローラ駆動部17は、例えば、DCモータやステップモータ等の駆動モータであり、モータ軸を所定の回転速度で回転させるものである。
第1伝達機構12及び第2伝達機構16は、プーリや駆動ベルト及び減速機構であり、第1ローラ駆動部13及び第2ローラ駆動部17からの駆動力である回転を減速して第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15に伝達している。
【0023】
以上のような各構成を有する姿勢変更機構10では、第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15が、錠剤Wの降下方向とは反対方向にそれぞれ回転すると、規制通路Ktを通過できない姿勢の錠剤Wに当接して(摩擦を付与して)姿勢を変えて、規制通路Ktを通過させる。そして、第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15は、ホッパ1から次々に錠剤Wが送られてきても、螺旋溝11a、15aが形成されていることで、錠剤Wをローラ軸方向にローラ表面に沿って移動させることができる。
したがって、第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15は、錠剤Wがホッパ1の供給口4から降下して来たときに、ローラ表面に錠剤Wを停滞させることなく、螺旋溝11a,15aによりローラ表面に沿って移動させながら規制通路Ktを通過できるように錠剤Wの姿勢を変更することができる。そのため、第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15では、供給口4が規制通路Ktよりも広く、錠剤Wの供給量が多くても効率よく錠剤Wの姿勢を変更してスムーズに整列機構20側に送ることができる。なお、もともと規制通路Ktを通過できる姿勢の錠剤Wは、第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15に接触することなく自重で降下して整列機構20に送られることになる。
【0024】
図1、
図3及び
図6に示すように、整列機構20は、姿勢変更機構10からの錠剤Wを直線状に整列させるものである。整列機構20は、ここでは、第1整列板21と、第2整列板22とにより整列通路Stを形成している。第1整列板21及び第2整列板22は、姿勢変更機構10で変更された錠剤Wの姿勢を維持できる幅の整列通路Stを形成できるように対面して配置され、下端部21a,22aの隙間が塞がれて搬送機構30側に錠剤Wを先端部21b,22bの隙間から送り出すように構成されている。第1整列板21及び第2整列板22は、同じ形状で対面して設置されており、それぞれの下端部21a,22aの一部が第1支持台14及び第2支持台18にブラケット23,24を介して取り付けられている。また、第1整列板21及び第2整列板22は、搬送機構30の搬送用円板体31に対面する先端部21b,22bが、搬送機構30の搬送用円板体31の形状に沿った形状として近接して配置されている。
【0025】
さらに、第1整列板21及び第2整列板22は、上端側の一部となる矩形に切欠いた上端部21c(垂直部分),21d(水平部分)、22c(垂直部分),22d(水平部分)が、第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15の下端ならびに供給口4の外側面に沿った形状として近接するように配置されている。第1整列板21及び第2整列板22は、ここでは、搬送機構30の搬送用円板体31の凹部35の複数に対向する長さとなるように先端部21b,22bが形成されている。つまり、先端部21b,22bは、搬送用円板体31の高さ方向の中央から頂点側に向かって(3時の位置から12時の位置に向かって)、凹部35の複数(例えば4〜9個)に対向する範囲となるように形成されている。第1整列板21及び第2整列板22は、上端部21c,22cの隙間を塞ぎ、上端部21d,22dの隙間が解放され姿勢変更機構10からの錠剤Wの受取口として形成され、先端部21b,22bの隙間を解放して受渡口として形成している。
【0026】
この整列機構20は、第1整列板21及び第2整列板22で形成する整列通路St内に複数の錠剤Wを、錠剤Wの自重により整列通路St内で2次元平面となる直線的に隣接した状態で整列させる。そのため、整列機構20は、搬送機構30の搬送用円板体31の回転によって受渡口となる先端部21b,22b側に到来する搬送機構30の凹部35に、整列した錠剤Wを次々とスムーズに受け渡すことができる。また、整列機構20は、整列通路St内に複数の錠剤Wを整列させて受け渡すまで待機させることができるので、搬送用円板体31の周縁に形成された凹部35に抜けなく確実に受け渡すことができる。なお、整列機構20の第1整列板21及び第2整列板22は、整列通路Stの幅が一定となるように対面して、整列通路St内に複数の錠剤Wを2次元配列して直線的に整列させることができればその形状、大きさは限定されるものではない。整列機構20は、整列させた錠剤Wを錠剤Wの自重で降下させ搬送機構30に受け渡す。
【0027】
図1、
図2、
図5及び
図7に示すように、搬送機構30は、整列機構20で整列された錠剤Wを受け取り予め設定された解放位置まで搬送するものである。搬送機構30は、凹部35を形成した搬送用円板体31と、伝達部36を介して搬送用円板体31を回転させる円板駆動部37と、所定範囲において凹部35に対面して設けた落下防止カバー38及びカバー39と、を備えている。
搬送用円板体31は、中央に配置される円板32と、この円板32の両側に配置されるサイドカバー33,34とを備え、中心側に回転軸36aを挿通するための軸穴が形成されている。なお、搬送用円板体31は、ここでは、一方のサイドカバー33に補助カバー33dが設置されている。
【0028】
搬送用円板体31は、円板32の周縁に周方向に沿って形成した凹溝32cと、その凹溝32cに側面から対面するサイドカバー33,34で囲まれる空間により凹部35を形成している。凹部35は、例えば、錠剤Wが円板型であるときには、その錠剤Wの形状に沿った円弧状の凹溝32cが円板32に形成されている。また、サイドカバー33,34は、円板32の直径よりも大きな直径の円板状に形成され円板32を中央にして両側から設置されている。そのため、凹部35では、凹溝32c内に収納された錠剤Wがサイドカバー33,34の最外周端よりも内側で収納されて保持されることになる。
搬送用円板体31は、円板32及び一方のサイドカバー33において、軸穴32a,33aの周囲に複数の貫通穴32b,33bが形成されている。この貫通穴32b,33bは、後記する吸引機構50の吸引通路Vtの一部となる。また、搬送用円板体31は、円板32と両側のサイドカバー33,34とが、錠剤Wの厚みよりも小さな隙間d1、d1(
図6参照)を空けた状態で設置されている。この隙間d1、d1は、後記する吸引機構50における吸引通路Vtの一部として機能する部分である。
【0029】
円板32は、金属または樹脂で形成されている。また、円板32は、周縁の凹溝32cが錠剤Wの形状に応じて半円形に形成されている。円板32の凹溝32cは、対象となる錠剤Wに合せた形状に形成され、その数や形状及び溝深さは限定されるものではない。
サイドカバー33,34は、中央に軸穴33a,34a形成され、一方のサイドカバー33には、軸穴33aの周りに複数の貫通穴33bが形成されている。サイドカバー33,34は、透明な樹脂やガラスで形成されていることが望ましい。サイドカバー33,34が透明であることで、後記する撮影カメラ70で撮影したときに錠剤Wの両側面の良不良を判断することができる。また、サイドカバー33,34は、収納されている錠剤Wを越える高さとなるような直径の大きさであることで、撮影カメラ70で撮影したときに、錠剤Wの直径全部の側面がサイドカバー33,34を一様に介して撮影されることになる。そのため、屈折率や輝度情報が同一の映像条件である錠剤Wの側面の映像から良否を判定することができ、判断の質を上げることができる。
【0030】
また、補助カバー33dは、サイドカバー33の軸穴33a及び貫通穴33bに対応する位置に同様に軸穴及び貫通穴が形成されている。補助カバー33dは、その表面が滑らかで摩擦の影響を受け難いステンレスやアルミニウム合金等の金属で形成され、かつ、サイドカバー33よりも小さな直径で形成されている。この補助カバー33dが設置されることで、搬送用円板体31が回転したときに固定されている後記する吸引機構50のエア吸引室51との摩擦に対する影響を小さくすると共に、エア吸引室51との気密状態を維持し易くしている。
【0031】
伝達部36は、搬送用円板体31の中央軸穴に挿通して固定される回転軸36aと、この回転軸36aと円板駆動部37との間に介在して円板駆動部37の駆動力を回転軸36aに伝えるプーリあるいはプーリベルト等の伝達係合部36bとを有している。伝達係合部36bは、回転軸36aから離れた位置に設置されている円板駆動部37の間で複数のプーリやプーリベルトならびに減速機構を備えている。
円板駆動部37は、ステップモータ等の回転軸36aに回転させる駆動力を与えることができるものであれば構わない。
【0032】
落下防止カバー38は、搬送用円板体31の凹部35に保持された錠剤Wが解放位置まで落下させないように防止するものである。この落下防止カバー38は、搬送用円板体31の高さ方向の中央から解放位置までの範囲(9時の位置から略6時の位置)にわたって凹部35に対面するように設置されている。また、カバー39は、搬送用円板体31の中央から落下防止カバー38と左右対称となる位置(3時の位置から略6時の位置)に、搬送用円板体31の凹部35に対面するように設置されている。落下防止カバー38及びカバー39は、サイドカバー33,34との間に隙間がなるべくできないように近接して設置されている。カバー39の上端は、第1整列板21及び第2整列板22の受渡口となる下端に隣り合う位置を上端位置として配置されている。なお、カバー39は、吸引機構50の吸引状態を調整している。つまり、カバー39が設置されることで、搬送用円板体31とサイドカバー33,34との隙間から直接大気に解放される範囲を少なくすることができる。そのため、カバー39が設置されると、吸引機構50により吸引する力を小さくすることができる。また、落下防止カバー38とカバー39との間は、凹部35で保持されている錠剤Wが解放れて収納落下通路Rtの始点となっている。
【0033】
図2、
図5及び
図7に示すように、吸引機構50は、整列機構20で整列している錠剤Wを吸引して凹部35に錠剤Wを保持させるものである。吸引機構50は、搬送機構30の一方のサイドカバー33に対向して設置されるエア吸引室51と、このエア吸引室51に形成された吸引ホースVhの接続部52とを備えている。そして、吸引機構50は、エア吸引室51を筐体台部5b上に固定して、装置外に設置した真空ポンプからの吸引により吸引通路Vtを介して吸引作業が行われる。
エア吸引室51は、サイドカバー33に設けられる補助カバー33dの直径よりも小さく、かつ、回転軸36aを挿通するように円環状に形成されている。そして、エア吸引室51は、所定の体積空間を備えることで、吸引される力を緩和して調整するようにしている。エア吸引室51は、一方側を開口している凹開口部がサイドカバー33の補助カバー33dに対面させ、サイドカバー33の面に直交する方向に突出するように設置されている。さらに、エア吸引室51は、回転軸36aの軸穴51aが筒状に形成されている。エア吸引室51は、脚部を介して筐体台部5bに支持され、一部には接続部52が形成されている。
接続部52は、吸引ホースVhを接続するように構成されている。この接続部52は、吸引ホースVhが接続されると係合されるように構成されていることが好ましい。接続部52は、例えば、吸引ホースVhを接続した状態で回転させることで吸引ホースVhが固定される一般的な係合構成を備えていることが望ましい。
【0034】
また、
図5及び
図7に示すように、エア吸引室51は、搬送用円板体31が回転したときに、凹部35から錠剤Wを吸引できるように、エア吸引室51とサイドカバー33に設けた補助カバー33dとの間を気密状態にするようにシール部材53が設けられている。
シール部材53は、エア吸引室51の開口側に設けられ、エア吸引室51の開口端部よりも一部が室外に突出するように設置されている。シール部材53は、補助カバー33dと接触しても摩耗しにくい一般的な樹脂素材で形成されている。このシール部材53は、補助カバー33dと接触する線状接触部54と、補助カバー33dと近接する面状に仕切られた仕切部55と、各線状接触部54の間に形成した吸引穴56と、を備えている。
線状接触部54は、直接補助カバー33dと接触してエア吸引室51内の気密性を保つためのものである。この線状接触部54は、エア吸引室の開口する縁の部分と、軸穴の縁の部分と、仕切部55との区切り部分とに形成されている。線状接触部54の端部がエア吸引室51の開口端部よりも室外に突出することで、補助カバー33dに接触してエア吸引室51と補助カバー33dとの間において気密性を保つように構成されている。
【0035】
仕切部55は、搬送機構30の錠剤Wを解放する解放位置に合せて面の範囲が形成されている。この仕切部55は、線状接触部54よりも低く形成され補助カバー33dに接触しないように設けられている。この仕切部55は、円環状のエア吸引室51に対面する位置において一例として6時の位置を中心として90度(左右に45度づつ)の範囲にわたって形成されている。この仕切部55が形成されていることで、吸引機構50によるエアの吸引を遮断している。したがって、錠剤Wは、凹部35に保持されて仕切部55の対向する位置に来ると、吸引機構50により吸引して凹部35内に保持されている状態が緩和されて、錠剤Wの自重で落下することができる状態となる。
吸引穴56は、エアを吸引したときの吸引通路Vtの役割を果たしている。この吸引穴56は、吸引作業をするときに変形しない強度を保つことができれば、特に大きさ、形状、数が限定されるものではない。
【0036】
吸引機構50は、真空ポンプからの吸引を行う吸引ホースVhと、エア吸引室51と、サイドカバー33、補助カバー33d、搬送用円板体31の貫通穴32b、33bと、サイドカバー33,34及び搬送用円板体31の間の隙間d1,d1とが連通する通路を吸引通路Vtとしている。したがって、搬送機構30は、円板駆動部37の駆動により伝達部36を介して回転軸36aを回転させ、凹部35が整列機構20の受渡口の対面する位置に到来すると、整列している最前列の錠剤Wを吸引機構50の吸引により凹部35内に受け取り保持する。そして、搬送機構30により錠剤Wは、吸引機構50の吸引により凹部35に保持された状態で解放位置まで搬送される。
【0037】
さらに、凹部35が解放位置に来るとエア吸引室51の仕切部55の範囲内なので、吸引機構50による吸引の影響が小さくなり(無くなり)、凹部35が下方を向いており、落下防止カバー38も対面する位置にないので、錠剤Wの自重で収納落下通路Rtに落下する。なお、吸引機構50の仕切部55は、所定の範囲に亘って形成されているため、凹部35の吸引を解除する位置が実際に落下させたい解放位置より手前となる。そのため、錠剤Wは、予め設定される搬送用円板体31が回転することで生じる慣性力により、計数と容器Bに充填するための収納落下通路Rtの壁面に衝突させることなく落下することができる。なお、吸引機構50では、凹部35に保持している錠剤Wを解放した後に、吸引通路Vtが大気に連通する領域が大きくなる。そのため、吸引機構50では、凹部35から錠剤Wを落下させても、カバー39を設置することで、吸引通路Vtでの吸引に影響が出にくいように構成している。
【0038】
計数機構40は、搬送機構30で搬送して解放位置で凹部35から落下する錠剤Wを収納落下通路Rtの通路中において計数するものである。この計数機構40は、収納落下通路Rtの左右に対面して配置された計数センサ41と、計数センサ41で計数した情報を受け取り、搬送機構30の円板駆動部37等を制御する制御部PCに情報を受け渡している。計数センサ41は、錠剤Wが落下することで光が遮断された状態を判断して計数することができる光センサをここでは用いている。なお、光センサを使用する場合には、光照射部および光受光部において、錠剤Wが落下する位置から光照射部および光受光部までの間に室内空間が徐々に小さくなる空気室を2つ以上配置するように構成している(詳細は特許第3041343号参照)。そのため、計数機構40は、錠剤Wの落下に伴い錠剤Wから発生する錠剤粉が落下している状態であっても、錠剤粉が受光面等に付着し難く、計数の精度が低下することがない。計数機構40により計数された錠剤Wは、排除機構90に設けた収納通路92を介して載置台6に載置された容器Bに収納される。また、収納落下通路Rtは、落下防止カバー38とカバー39との間から容器Bまでの間の通路である。この収納通路Rtは、筐体台部5bの上下方向に貫通させて形成した空間において錠剤Wを計数するための通路と、排除機構90を貫通するように形成した収納通路92とから構成されている。
【0039】
なお、搬送機構30の搬送経路中には、
図5に示すように、錠剤Wが欠けていないか否かを判断するための画像を撮影する撮影カメラ70が支柱71を介して筐体台部5bに設置されている。この撮影カメラ70は、錠剤Wの側面を撮影するための反射鏡73,73を、撮影カメラ70側に取り付けた支持フレーム72,72により支持している。撮影カメラ70で撮影された画像は、制御部PCの不良検出部80に送られる。不良検出部80は、画像処理部81と、比較判定部82とを有し、予め設定されている基準の値と比較することで良不良を判定している。不良検出部80は、例えば、画像処理部81で撮影カメラ70からの画像データを2値化して形状データを抽出できるようにする。さらに、比較判定部82で、予め設定されている基準データと2値化した形状データとを比較し、形状誤差が予め設定した閾値を越えていれば不良品と判定し、閾値以内であれば良品と判定している。
制御部PCは、不良検出部80により不良品と判定した場合は、不良品と判定した凹部35の搬送用円板体31における番地(番号)の情報を比較判定部82から駆動制御部83に送る。駆動制御部83は、番地の情報によりその対象となる凹部35が解放位置に近づくと搬送機構30の動作を停止させると共に、排除機構90を作動させ、錠剤Wの落下ルートを容器Bとは異なるように設定することとなる。なお、制御部PCは、操作パネル等の入力部84、各機構を作動させる駆動制御部83、形状データ等を記憶する記憶部85を有するコンピュータである。
【0040】
図3及び
図4に示すように、排除機構90は、ここでは、良品の錠剤Wと不良品の錠剤とを通過させるためのルートを変更するように構成されている。この排除機構90は、筐体下部5cにスライド自在に設置されたフレーム体91と、このフレーム体91を上下方向に貫通するように形成した収納通路92と、この収納通路92に隣り合って形成した不良錠剤排除室93と、フレーム体91をスライド方向に移動させる移動機構94とを備えている。
フレーム体91は、直方体形状に形成されており、移動機構94を介して筐体下部5cの所定位置にスライド自在に設置されている。また、収納通路92は、上方の開口が大きく形成された筒体をフレーム体91の中央で上下方向に空間が貫通するように設置して形成されている。不良錠剤排除室93は、収納通路92に隣り合う位置で、フレーム体91に不良錠剤用の容器を着脱自在に設置できように形成した凹部である。移動機構94は、ガイドネジ95と、ガイドネジ95に平行して設けられたガイドバー96と、ガイドネジ95及びガイドバー96に係合する係合駒97と、ガイドネジ95を回転させることで係合駒97をガイドバー96に沿って移動させる駆動部98とを備えている。そして、係合駒97は、フレーム体91に係合されている。そのため、排除機構90では、駆動部98の駆動によりガイドネジ95を回転させることで、係合駒97をガイドネジ95及びガイドバー96に沿って移動させ、係合駒97に係合しているフレーム体91を例えばスライド方向(左右方向)に移動させ錠剤Wの落下先を変えている。
【0041】
図3及び
図8(a)、(b)に示すように、排除機構90は、制御部PCからの信号により、良品の錠剤Wを通過させ容器Bに収納する収納通路92のルートから、不良錠剤排除室93に不良品の錠剤を送るルートに変更して不良品を排除している。良品の錠剤Wは、収納落下通路Rtにおいて計数機構40で計数され、排除機構90の収納通路92を通過して載置台6に載置されている容器Bに収納される。また、不良品の錠剤Wは、排除機構90のフレーム体91が移動することで錠剤Wの落下する直下に配置した不良錠剤排除室93に収納されて除去される。なお、不良品の錠剤Wは、良品とは別に不良品として計数されそのデータが記憶部85に記憶されることになる。
載置台6は、筐体下部5cの側面に沿って上下動自在に設置されている。この載置台6は、錠剤Wを収納する容器Bを載置するものである。載置台6は、容器Bを載置する台部7と、この台部7を支持して筐体下部5cの側面に設置され、台部7を上下に移動させる上下駆動部8とを備えている。この載置台6は、本装置の操作パネル等からの操作により制御部PCを介して上下駆動部8が作動させられ収納通路92の出口側に容器Bの開口を近づけて設置することができる。
なお、容器Bを載置している載置台は、作業者が手動で容器Bを取り替える構成とすることや、あるいは、搬送コンベアを設置し予め設定された数量(充填数量:容器に収納したい数値)が充填されると移動する構成としても構わない。
【0042】
また、計数充填装置100は、錠剤Wの種類に対応して容器Bに計数充填することができるように、間隔調整機構60を備えている。
図6に示すように、間隔調整機構60は、姿勢変更機構10の第1回転ローラ11と第2回転ローラ15との間隔(規制通路Kt)、ならびに、整列機構20の第1整列板21と第2整列板22との間隔(整列通路St)を調整するものである。この間隔調整機構60は、第1支持台14に設けた突出部14aに係合する第1係合部61と、第2支持台18の突出部18aに係合する第2係合部62と、第1係合部61及び第2係合部62に亘って係合する伝達係合部である支持軸63と、この支持軸63に駆動源65からの駆動力を伝達するプーリ及びプーリベルト等を有する駆動伝達部64とを備えている。
【0043】
第1支持台14の突出部14a及び第2支持台18の突出部18aは、ここでは台底面側に突出するように設けた円柱状のネジ頭部である。
第1係合部61及び第2係合部62は、第1支持台14と第2支持台18とを離間近接するように、伝達係合部(支持軸63)に係合すると共に、第1支持台14及びは第2支持台18に係合している。ここでは、第1係合部61及び第2係合部62は、支持軸63の回転により第1支持台14及び第2支持台18を移動させている。より具体的には、第1係合部61は、第1支持台14の突出部14aを間に挟んで当接することで係合する一対の第1挟持円板61a,61bと、この第1挟持円板61a,61bを支持すると共に、支持軸63に固定することで係合する第1支持環部61cとを備えている。また、第2係合部62は、第2支持台18の突出部18aを挟んで当接することで係合させる一対の第2挟持円板62a,62bと、この第2挟持円板62a,62bを支持すると共に、支持軸63に固定することで係合させる第2支持環部62cとを備えている。
【0044】
また、第1挟持円板61a,61b及び第2挟持円板62a,62bは、円板の傾斜方向が反対となるように左右対称に形成されている。第1挟持円板61a,61b及び第2挟持円板62a,62bは、支持軸63の軸線方向に直交する位置から円板面が軸線に対して所定の傾斜角度となるように形成されている。この傾斜角度の範囲に亘って第1支持台14及び第2支持台18を移動させることができる。つまり、第1挟持円板61a,61b及び第2挟持円板62a,62bは、支持軸63が0度及び360度に位置するときに、第1支持台14及び第2支持台18を最も近接した位置とする。また、第1挟持円板61a,61b及び第2挟持円板62a,62bは、支持軸36aが180度の位置のときに、第1支持台14及び第2支持台18を最も離間した位置とする。なお、間隔調整機構60は、ここでは、一例として駆動源65を、手動で回転させるハンドルとしている。また、駆動伝達部64は、ハンドルを一回転させることで支持軸63を回転させる減速比が予め設定されている。例えば、駆動源65であるハンドルを一回転となる360度回転させると、支持軸63が所定角度回転して第1支持台14及び第2支持台18をそれぞれ0.1mm移動させる等に設定されている。
【0045】
したがって、間隔調整機構60は、駆動源65であるハンドルを回転させ駆動伝達部64により支持軸63に伝えて支持軸63を所定角度回転させることに伴って、第1挟持円板61a,61b及び第2挟持円板62a,62bを所定角度において回転させる。そして、間隔調整機構60は、所定角度回転した第1挟持円板61a,61b及び第2挟持円板62a,62bが、傾斜角度と回転角度に応じて、突出部14a,18aを互いに反対方向に移動させている。すなわち、突出部14a,18aが第1挟持円板61a,61b及び第2挟持円板62a,62bの移動により、突出部14a,18aが設けられた第1支持台14及び第2支持台18を、互いに離間あるいは近接するように移動させることとなる。
【0046】
間隔調整機構60は、ハンドルを回転させることで、支持軸63を回転させて、第1係合部61及び第2係合部62が、第1支持台14及び第2支持台18を互いに当接離間するように移動させ、第1回転ローラ11と第1整列板21及び第2回転ローラ15と第2整列板22とを近接離間させるように移動させることができる。ちなみに、間隔調整機構60は、第1回転ローラ11と第2回転ローラ15との中心、及び、第1整列板21と第2整列板22との中心に対して、近接離間するように第1支持台14及び第2支持台18を移動させている。間隔調整機構60は、錠剤Wの大きさに合せて間隔を調整することになるため、基準として空いている値(例えば5mm)から近接離間させる移動範囲を0.1mmから数mmとする範囲で足りる。
【0047】
以上のような構成を備える計数充填装置100は、
図1及び
図9に示すように、以下のような工程により、錠剤Wを容器Bに計数して充填する。
はじめに、間隔調整機構60により、姿勢変更機構10の第1回転ローラ11と第2回転ローラ15との間隔、及び、整列機構20の第1整列板21と第2整列板22との間隔を調整する。この間隔調整機構60による調整を行うことで、錠剤Wが通過する規制通路Kt及び整列通路Stの間隔を設定する。間隔調整機構60は、ハンドルを手動で回転させることで、錠剤Wに合せて行っている。なお、間隔調整を行う工程は、予め錠剤Wの種類ごとに計数充填する装置が特定されている場合にはすでに設定されているため必要がない。
【0048】
つぎに、計数充填方法Sでは、計数充填装置100のホッパ1に錠剤Wを投入する投入工程S1を行う。投入工程S1は、錠剤Wをホッパに投入する工程である。投入工程S1は、ここでは手動又は機械的は操作により、錠剤Wをホッパ1内に投入する。ホッパ1内に投入された錠剤Wは、自重により供給口4から降下して姿勢変更工程S2で用いられる姿勢変更機構10に送られる。
姿勢変更工程S2は、錠剤Wの姿勢を揃えて変更する工程である。姿勢変更工程S2は、姿勢変更機構10の第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15の間で形成した規制通路Ktを錠剤Wが通過することで姿勢を変更している。姿勢変更工程S2では、第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15は、錠剤Wの落下方向とは反対方向に回転して、錠剤Wの姿勢が規制通路Ktを通ることができない状態のときにその錠剤Wに接触して姿勢を変更し、規制通路Ktを通過できる姿勢にしている。また、第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15は、それぞれ螺旋溝11a、螺旋溝15aがローラ面に形成されていることから、ホッパ1から降下してローラ面に到来する錠剤Wを、ローラ面に沿って移動させながら姿勢を変更して規制通路Ktを通過させている。姿勢変更工程S2で姿勢が変更された錠剤Wは、整列工程S3で用いられる整列機構20に送られる。
【0049】
整列工程S3は、同じ姿勢に変更された錠剤Wを直線的に整列させる工程である。整列工程S3は、第1整列板21及び第2整列板22の間を通過させることで、多段となる2次元平面状で直線的に錠剤Wを整列させている。整列工程S3では、直線的に整列した錠剤Wが外周端を接触した状態で一例として6段までは許容できるように第1整列板21及び第2整列板22の大きさが形成されている。整列工程S3により整列された錠剤Wは、搬送工程S4で用いられる搬送機構30に受け渡される。
搬送工程S4は、整列された錠剤を受け取り解放位置まで搬送する工程である。搬送工程S4は、搬送機構30の搬送用円板体31に形成した凹部35に錠剤Wを一つ一つ受け取り解放位置まで搬送する。この搬送工程S4では、錠剤Wを凹部35に受け取るときに、吸引機構50により錠剤Wを凹部35内に保持することとしている(吸引工程S4a)。吸引工程S4aは、真空ポンプの作動により、吸引ホースVh、エア吸引室51、円板32、サイドカバー33、34の隙間d1,d1等の経路である吸引通路Vtからエアを吸引することで、凹部35に錠剤Wを吸引している。
【0050】
搬送中の錠剤Wは、凹部35内に吸引された状態で姿勢が維持されている。搬送工程S4では、搬送経路中に撮影カメラ70を設置して錠剤Wの側面の画像を撮影して、錠剤Wの良不良を判定している。そのため、凹部35内の錠剤Wは、吸引機構50で吸引して保持されていることから撮影した錠剤Wの画像がぶれることがなく判定精度をより高くすることができる。また、サイドカバー33,34が凹部35に保持されている錠剤Wを覆う大きさで形成されているため、錠剤Wの画像を同じ屈折率等の条件で撮影することができ画像の判定精度を上げることができる。搬送工程S4では、搬送用円板体31により解放位置まで錠剤Wが搬送されると、凹部35内に錠剤Wを吸引する吸引工程S4aが中断されて自重で錠剤Wが落下する吸引解除工程S4bが行われる。吸引解除工程S4bは、搬送工程S4と併せて凹部35に吸引して保持されている錠剤Wの吸引を解除する工程である。吸引解除工程S4bは、吸引機構50の吸引通路Vtの一部が面状の仕切部55により仕切られることで吸引の影響が小さくなり、錠剤Wが自重で落下できるようにしている。したがって、搬送工程S4では、解放位置に凹部35が到来するたびに、吸引動作の影響が小さくあるいは無くなる吸引解除工程S4bが機械的に繰り返し行われ、錠剤Wが凹部35から自重で落下する。
【0051】
搬送工程S4で解放位置まで搬送された錠剤Wは、自重で収納落下通路Rtを落下するときに計数工程S5で計数されて容器Bに充填される。計数工程S5は、落下する錠剤Wを計数する工程である。この計数工程S5は、計数センサ41により落下する錠剤Wを計数して制御部PCに計数した情報を送っている。計数工程S5で計数した錠剤Wは、容器Bに収納される(充填工程S6)。
そして、前記計数工程S5により計数した値が、予め制御部PCに設定した値になると搬送機構30が制御部PCからの信号により停止することで、次の容器Bに置き換えて再び計数充填が繰り返し行われる。
なお、搬送工程S4では、錠剤Wの側面が撮影されることで、錠剤Wの良否が判定される良否判定工程が行われている。この良否判定工程で錠剤Wが不良品と判定されると、制御部PCに不良品の錠剤Wを保持している凹部35の番号が送られる。そして、不良品を保持する凹部35が解放位置に近づくと制御部PCからの信号により搬送用円板体31が停止させられる。そして、制御部PCからの信号により排除機構90のフレーム体91を移動させ、不良品の錠剤Wを不良錠剤排除室93に収納する準備を行う。排除機構90のフレーム体91の移動が終わると、制御部PCは、搬送用円板体31を作動させ不良品の錠剤Wを不良錠剤排除室93に受け取る。そして、制御部PCは、排除機構90のフレーム体91を移動させ、収納通路92を容器Bの直上に配置したら、搬送用円板体31を作動させる。
【0052】
なお、排除機構90の不良錠剤排除室93に排除される錠剤は、搬送される経路において姿勢変更機構10、整列機構20及び搬送機構30の構成によりスムーズに整列させられ搬送されるため、本装置の構成ではほとんど発生することがない。
錠剤Wを解放した凹部35は、カバー39が対面する位置に配置され受渡口の直前まで覆われているので、吸引機構50の吸引動作に対する影響が小さい。
そして、搬送工程S4では、錠剤Wを落下させ空いている凹部35に、整列工程S3で整列された錠剤Wを再び受け取り解放位置まで搬送することを繰り返し、容器Bに錠剤Wを計数して充填する。
以上説明したように計数充填装置100および計数充填方法Sでは、錠剤Wを整列させて搬送用円板体31の凹部35に保持して回転方向を搬送経路として解放位置まで搬送した後に凹部35から自重で落下させ計数充填するので、錠剤Wの整列搬送をスムーズに行うことができる。
【0053】
なお、姿勢変更機構10は、第1規制部及び第2規制部を
図10(a)に示すように、それぞれ第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15として説明したが、第1規制部あるいは第2規制部のいずれか一方(図面では第1規制部)、を
図10(b)に示すように、規制ブロック110の構成としても構わない。規制ブロック110は、第1支持台14に支持され、第2回転ローラとの間で規制通路Ktを形成するように配置されている。規制ブロック110は、ここでは、一例として、上部の正面形状が半円弧状の凸曲面状に形成されると共に、下部の正面形状が矩形に形成され、上部と下部の間となる側面が平面に形成された長尺状のブロック体である。この規制ブロック110は、樹脂や金属材料で形成することができるブロック体である。
【0054】
また、姿勢変更機構10は、
図10(c)に示すように、第1規制部である第1回転ローラ11と第2規制部である第2回転ローラ15の間に規制ブロック110を設置して、規制通路Ktを2つ設ける構成としても構わない。なお、規制通路Ktを2つ設けた場合には、整列通路Stも対応して2つ設け、搬送機構30の搬送用円板体31も2つ設けて、収納落下通路Rtも隣りあって2つ設ける構成となる。
なお、規制ブロック110は、中央ガイドとして、筐体上部のフレームに固定される。そして、第1支持台14及び第2支持台18は、前記したような姿勢変更機構10の各部材が設置され規制ブロック110に近接離間自在になるように構成される。
中央ガイドとしての規制ブロック110は、自重で降下してくる錠剤を左右に振り分けるためのものである。また、規制ブロック110の左右に配置される第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15は、規制ブロック110との間に規制通路Ktを形成する位置に配置され、錠剤Wの落下方向とは反対方向に回転して錠剤Wの姿勢を変更する。なお、第1回転ローラ11及び第2回転ローラ15は、ローラ表面に螺旋溝11a,15a(
図3参照)を形成している。
【0055】
計数充填装置100で計数される対象である錠剤Wとしての被計数材料は、円板状のものを一具体例として説明したが、ラグビーボール錠、円形錠、三角おにぎり錠型等の計数される錠剤の外観形状に関係なく対応することができる。なお、被計数材料の形状に対応して凹部35の形状の変えることが望ましい。凹部35の形状は、被計数材料を中央から切断した状態を形成する凹形状となることが望ましい。また、錠剤Wである被計数材料は、一般的に使用される分野として薬剤、サプリメント、菓子等、特に限定されるものではない。錠剤Wは、特に、円盤形やレンズ型、トローチなどの円環形等、円形あるいは、円形に近い形状であれば、既に説明した凹部35の形状で対応することができる。
【0056】
また、間隔調整機構60は、つぎのような構成であっても構わない。すなわち、第1支持台14の下部に凹部を形成すると共に、第2支持台18の下部に凹部を形成する。そして、第1係合部は、第1支持台14の凹部に係合する凸部を有し、伝達係合部に固定されている。また、第2係合部は、第2支持台18の凹部に係合する凸部を有し、伝達係合部に固定されている。そして、第2係合部及び第2係合部は、伝達係合部である支持軸63に傾斜した状態で固定されており、円板形状にそれぞれ形成されている。なお、円板形状に形成された第1係合部及び第2係合部は、凹部に係合する凸部の部分が円弧状に形成され、回転軸63の回転に伴って回転したときに凹部内に当接してスムーズに回転できるように構成されている。第1支持台14及び第2支持台18は、第1係合部及び第2係合部の傾斜角度と回転角度により移動距離が前記したように決まることとなる。
【0057】
さらに、間隔調整機構60は、次のような他の構成であってもよい。すなわち、第1支持台14の下端に第1係合部を形成すると共に第2支持台18の下端に第2係合部を形成する。そして、第1係合部及び第2係合部に亘って伝達係合部としての回転ネジ棒を設け、この回転ネジ棒をモータ等の駆動部により回転させることで、第1支持台14及び第2支持台18を近接離間させるように構成しても構わない。回転ネジ棒は、第1係合部と第2係合部とが反対方向に移動できるように逆ネジが形成されることで、同じ方向に回転しても第1支持台14と第2支持台18を回転ネジ棒に沿って反対方向に移動させることができる。
【0058】
また、吸引機構50は、解放位置において適切に錠剤Wが凹部35から自重で落下させることができれば、仕切部55の形成範囲については特に限定されるものではない。なお、計数充填装置100では、吸引機構50を備えることが好ましいが、落下防止カバーがあれば錠剤Wを解放位置まで落下させることなく搬送することが可能となる。また、落下防止カバー38の範囲を2時の位置から7時の位置まで配置することで、撮影カメラ70で撮影するときに錠剤Wの搬送による振動の影響を最小限として撮影することができる。さらに、計数充填装置100では、錠剤Wの側面が反射鏡73,73を介して撮影されるように説明したが、撮影カメラ70を2台設置することで反射鏡73,73等の反射光学系を使用せずに直接撮影する構成としてもよい。計数充填装置100は、錠剤Wの面積が大きな面(側面)を搬送経路において撮影することができるため、より容器Bに充填される錠剤Wの品質管理に適している。
【0059】
さらに、排除機構90は、錠剤Wの落下する位置を変更するため、係合駒97にガイドネジ95とガイドバー96を貫通させて係合駒97を移動させる構成として説明したが、錠剤Wが落下する位置を変えることができる構成であれば、限定されるものではない。例えば、排除機構では、係合駒に貫通して螺合するガイドネジと、このガイドネジに沿って平行に係合駒の外側に配置した2本(複数)のガイドバーとを備え、係合駒に対して2本のガイドバーをスライド自在に係合するように構成する等、錠剤Wの良品と不良品とを分離することができれば、移動させる構成は限定されるものではない。
【0060】
そして、計数充填装置100では、凹部35からの錠剤Wの解放位置は、凹部35が下方を向いて錠剤Wが自重で落下できる位置であれば、例えば、搬送用円板体31において8時から6時の範囲内のいずれの位置であっても構わない。なお、解放位置は、落下防止カバー38が錠剤Wに対面している位置であっても、落下防止カバー38とカバー39との間から収納落下通路Rtに落下させることができるので、落下防止カバー38が凹部35に対向しているか否かに関わらず設定することができる。
また、計数充填装置100では、解放位置で凹部35から落下する錠剤Wが、収納落下通路Rtの通路側面に慣性により衝突するようになったとしても、予め通路側面に緩衝シートを設けることで、錠剤Wの破損を防止して高速に錠剤Wの搬送を行うことができることとしても構わない。