特許第6641249号(P6641249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641249
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】コイルスプリング分離装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20200127BHJP
【FI】
   B65G47/14 U
   B65G47/14 101B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-147379(P2016-147379)
(22)【出願日】2016年7月27日
(65)【公開番号】特開2018-16440(P2018-16440A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 和記
(72)【発明者】
【氏名】川村 光毅
(72)【発明者】
【氏名】飯田 和樹
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−157041(JP,A)
【文献】 実開昭55−125213(JP,U)
【文献】 米国特許第08079456(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00−47/20
B23P 19/00−21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルスプリングを1つずつ分離して排出するコイルスプリング分離装置であって、
底壁と側壁とから形成される収容部を有し、該収容部に複数の前記コイルスプリングを収容可能である有底容器と、
前記有底容器を振動させる振動付与手段と、を備え、
前記底壁には、前記側壁の近傍に前記コイルスプリングが通過する排出口が設けられ、
前記排出口が前記コイルスプリングを1つずつ通過させる形状となるように、該排出口の縁部に、前記収容部の内方から前記側壁側に向かって突出する複数の内側凸部、及び前記側壁側から前記収容部の内方に向かって突出する複数の外側凸部の少なくとも何れか一方が設けられることを特徴とするコイルスプリング分離装置。
【請求項2】
請求項1記載のコイルスプリング分離装置において、
前記排出口の縁部に、複数の前記内側凸部が少なくとも設けられ、
隣り合う前記内側凸部同士の間に形成される内側谷部の幅は、前記コイルスプリングの線径以上であり、
前記内側谷部の深さは、前記コイルスプリングの外径の1/2以下であり、
隣り合う前記内側谷部同士の間隔は、前記コイルスプリングのピッチに対応することを特徴とするコイルスプリング分離装置。
【請求項3】
請求項2記載のコイルスプリング分離装置において、
前記排出口の縁部に、複数の前記外側凸部がさらに設けられ、複数の前記内側凸部と複数の前記外側凸部との間に前記コイルスプリングを1つずつ通過させる形状の通過スペースが形成され、
隣り合う前記外側凸部同士の間に形成される外側谷部の幅は、前記内側谷部の幅に比して大きく、
前記外側谷部の深さは、前記コイルスプリングの外径の1/4以下であり、
隣り合う前記外側谷部同士の間隔は、前記コイルスプリングのピッチに対応し、前記内側凸部及び前記外側凸部の各々の厚みは、前記コイルスプリングのピッチ以上であることを特徴とするコイルスプリング分離装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のコイルスプリング分離装置において、
前記排出口は、前記底壁に形成された貫通孔と、該貫通孔に対して着脱可能に取り付けられる排出口プレートとによって形成され、
複数の前記内側凸部及び複数の前記外側凸部の少なくとも何れか一方は、前記排出口プレートに設けられることを特徴とするコイルスプリング分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルスプリングを1つずつ分離して排出するコイルスプリング分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スパイラル形状のコイルスプリングは相互に絡み合い易いため、複数のコイルスプリングが供給される組立ラインでは、コイルスプリングの組み付け作業の前に、コイルスプリングの絡み合いを解消して1つずつ分離する必要がある。そこで、例えば、特許文献1には、複数のコイルスプリングを載せた容器に対して下部から衝撃を加えることで絡み合ったコイルスプリングを解きほぐす、バネほぐし機が提案されている。このバネほぐし機では、容器の底面から上方に向かって突出する複数の突起物が、単体のコイルスプリングの大きさに応じた間隔で互いに離間するように設けられている。このため、ほぐされたコイルスプリングが突起物同士の間を移動して排出口へ向かうとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−160513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のバネほぐし機では、鎖状に連なったコイルスプリングであっても、突起物同士の間を移動することが可能であるため、絡み合いを解消したコイルスプリングのみを1つずつ分離して排出することが困難である。
【0005】
本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、絡み合いを解消したコイルスプリングを1つずつ分離して排出することができるコイルスプリング分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明は、コイルスプリングを1つずつ分離して排出するコイルスプリング分離装置であって、底壁と側壁とから形成される収容部を有し、該収容部に複数の前記コイルスプリングを収容可能である有底容器と、前記有底容器を振動させる振動付与手段と、を備え、前記底壁には、前記側壁の近傍に前記コイルスプリングが通過する排出口が設けられ、前記排出口が前記コイルスプリングを1つずつ通過させる形状となるように、該排出口の縁部に、前記収容部の内方から前記側壁側に向かって突出する複数の内側凸部、及び前記側壁側から前記収容部の内方に向かって突出する複数の外側凸部の少なくとも何れか一方が設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るコイルスプリング分離装置では、振動付与手段によって有底容器を振動させることで、該有底容器の収容部に収容されたコイルスプリングの相互の絡み合いを解消することができる。有底容器の底壁には、側壁の近傍にコイルスプリングが通過する排出口が設けられている。なお、側壁の近傍とは、収容部の底面(以下、単に底面ともいう)の中心に比して、側壁に近い部位である。ここでの底面の中心とは、底面が多角形状であるときは、各辺と該中心との距離同士の差が最小となる点であり、底面が円形状であるときは、円の中心である。
【0008】
排出口は、該排出口の縁部に、収容部の内方(前記底面の中心側)から側壁側に向かって突出する複数の内側凸部、及び側壁側から収容部の内方に向かって突出する複数の外側凸部の少なくとも何れか一方が設けられ、これによって、コイルスプリングを1つずつ通過させることが可能な形状となっている。
【0009】
したがって、有底容器を振動させると、収容部内において、コイルスプリングは、相互の絡み合いが解きほぐされながら、収容部の内方から側壁側に向かって移動する。そして、絡み合いが解消された単体のコイルスプリングが排出口に到達した場合、該コイルスプリングは、排出口を通過して、有底容器から排出される。一方、鎖状に連なったコイルスプリング等、絡み合いが解消されていないコイルスプリングは、排出口に到達しても、該排出口を通過することができないため、絡み合いが解消されるまで、有底容器内に残留する。その結果、複数のコイルスプリングが収容された有底容器から、コイルスプリングを1つずつ分離して排出することができる。
【0010】
上記のコイルスプリング分離装置において、前記排出口の縁部に、複数の前記内側凸部が少なくとも設けられ、隣り合う前記内側凸部同士の間に形成される内側谷部の幅は、前記コイルスプリングの線径以上であり、前記内側谷部の深さは、前記コイルスプリングの外径の1/2以下であり、隣り合う前記内側谷部同士の間隔は、前記コイルスプリングのピッチに対応することが好ましい。
【0011】
この場合、収容部の内方から側壁側に向かって、コイルスプリングが移動する際に、絡み合いが解消されたコイルスプリングのみが、内側凸部によって良好に選別されて、排出口から排出される。つまり、上記のように内側谷部の配置や形状等が設定されることで、絡み合いが解消された単体のコイルスプリングのみが、その径方向に沿って内側谷部内に進入可能であるため、内側凸部同士の間を通過して、排出口から排出される。一方、相互に絡み合う複数のコイルスプリングは、排出口に到達しても、内側凸部や排出口の縁部と接触するため、排出口を通過することができない。したがって、絡み合いが解消された1つのコイルスプリングのみを高精度且つ容易に排出口から排出することが可能になる。
【0012】
上記のコイルスプリング分離装置において、前記排出口の縁部に、複数の前記外側凸部がさらに設けられ、複数の前記内側凸部と複数の前記外側凸部との間に前記コイルスプリングを1つずつ通過させる形状の通過スペースが形成され、隣り合う前記外側凸部同士の間に形成される外側谷部の幅は、前記内側谷部の幅に比して大きく、前記外側谷部の深さは、前記コイルスプリングの外径の1/4以下であり、隣り合う前記外側谷部同士の間隔は、前記コイルスプリングのピッチに対応し、前記内側凸部及び前記外側凸部の各々の厚みは、前記コイルスプリングのピッチ以上であることが好ましい。
【0013】
この場合、収容部の内方から側壁側に向かって、コイルスプリングが移動する際に、絡み合いが解消されたコイルスプリングが、内側凸部によって選別されるとともに、外側凸部によってガイドされて、排出口から排出される。つまり、上記のように外側谷部の配置や形状等が設定されることで、内側凸部による選別を阻害することなく、単体のコイルスプリングを排出口へと円滑に導くことができる。したがって、絡み合いが解消された1つのコイルスプリングのみを高精度且つ効率的に排出口から排出することが可能になる。
【0014】
上記のコイルスプリング分離装置において、前記排出口は、前記底壁に形成された貫通孔と、該貫通孔に対して着脱可能に取り付けられる排出口プレートとによって形成され、複数の前記内側凸部及び複数の前記外側凸部の少なくとも何れか一方は、前記排出口プレートに設けられることが好ましい。この場合、貫通孔に取り付ける排出口プレートの形状に応じて、排出口の形状を変えることができる。このため、コイルスプリング分離装置によって、1つずつ分離して排出することが可能なコイルスプリングのサイズや形状に、容易にバリエーションを持たせることができる。
【0015】
すなわち、例えば、分離するコイルスプリングのサイズや形状に応じて、内側凸部及び外側凸部の少なくとも何れか一方の形状が調整された複数種類の排出口プレートを用意する。そして、これらの排出口プレートを選択的に貫通孔に取り付けることで、種々のサイズや形状のコイルスプリングについて、1つずつ分離して排出口から排出することが可能になる。
【0016】
したがって、貫通孔に着脱可能に取り付けられる排出口プレートを交換するのみで、種々のサイズや形状のコイルスプリングに対応することが可能となるため、コイルスプリング分離装置の汎用性を簡素な構成で容易に高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のコイルスプリング分離装置によれば、振動付与手段により有底容器を振動させることで、該有底容器の収容部に収容されたコイルスプリングの相互の絡み合いを解消することができる。また、有底容器の底壁には、単体のコイルスプリングのみを通過させる形状の排出口が設けられている。このため、有底容器の収容部に収容された複数のコイルスプリングを、1つずつ分離して排出口から排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るコイルスプリング分離装置の概略正面図である。
図2図1のコイルスプリング分離装置の平面図である。
図3図1の排出口プレートの拡大図である。
図4図3の排出口プレートの部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るコイルスプリング分離装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1図3に示すように、本実施形態に係るコイルスプリング分離装置10は、外部から供給された複数のコイルスプリング12を1つずつ分離して排出するものであり、外径Dに対する自由長H(図3参照)の比が1以上であるコイルスプリング12に対して特に好適に適用することができるが、これに限定されるものではない。
【0021】
具体的には、コイルスプリング分離装置10は、支持台14上に設けられるエアシリンダ(振動付与手段)16及びガイド機構18と、複数のコイルスプリング12を収容可能な収容部20を有する有底容器22と、有底容器22から排出されたコイルスプリング12を搬送する搬送路(不図示)とを主に備える。
【0022】
エアシリンダ16は、有底容器22を上下に往復運動させることで振動させるものであり、支持台14に固定されるシリンダ本体24と、該シリンダ本体24に内装されたピストンロッド26とを有する。ピストンロッド26の先端が、フローティングジョイント28を介して有底容器22の底壁30に連結されている。
【0023】
ガイド機構18は、有底容器22が上下方向に移動する際に該有底容器22を案内するものであり、上下方向に延在する4本のガイドシャフト32と、4個のブッシュ34とを有する。ガイドシャフト32の下端は、支持台14にそれぞれ固定され、一方、ガイドシャフト32の上端はブッシュ34に通される。ブッシュ34はフランジ部を有し、このフランジ部が、有底容器22の四角形状の底壁30の四隅に設けられた挿通孔35の上方で堰止されることで、底壁30からの抜け止めとなっている。なお、支持台14とブッシュ34との間に、例えば、ガイドシャフト32の軸方向に沿って伸縮可能である筒状やコイル状の緩衝材や、筒状のカラー(何れも不図示)等を設けてもよい。
【0024】
図2に示すように、有底容器22は、四角形状の底壁30と、八角柱形状の収容部20を形成する側壁36とを有する。側壁36は、前記挿通孔35が設けられた底壁30の四隅が側壁36の外方に露呈するように、底壁30上に立設されている。また、底壁30の、側壁36で囲まれた部分が収容部20の底面38を形成する。
【0025】
また、底壁30には、側壁36の近傍、好適には、図2に示すように、側壁36に隣接する部位に排出口40が設けられる。なお、側壁36の近傍とは、底面38の中心Oに比して、側壁36に近い部位をいう。本実施形態では、底面38が八角形状であるため、底面38の中心Oは、8つの辺のそれぞれと該中心Oとの距離同士の差が最小となるように定められる。
【0026】
なお、底面38の中心Oに対して、有底容器22の外側から、上記のピストンロッド26の先端がフローティングジョイント28を介して連結されている。これによって、有底容器22の全体に対して振動を略均等に伝達することができ、該収容部20内のコイルスプリング12を、前記振動に伴って、底面38の中心O側から排出口40側に向かって移動させることができる。
【0027】
排出口40は、底壁30に形成された貫通孔42と、該貫通孔42に対して着脱可能に取り付けられる排出口プレート44とによって形成される。貫通孔42は、四角形状の底壁30の各辺の略中央にそれぞれ設けられた合計4個からなる。また、貫通孔42は、コイルスプリング12の自由長Hよりも大きい長辺と、コイルスプリング12の外径Dよりも大きい短辺とからなる矩形状である。
【0028】
図3に示すように、排出口プレート44は、略矩形状の開口の一方の長辺に対して複数の内側凸部46が櫛歯状に設けられ、且つ他方の長辺に対して複数の外側凸部48が櫛歯状に設けられる。内側凸部46と外側凸部48は、所定の位相差が生じるように配置されている。これらの内側凸部46と外側凸部48との間に、後述するように、コイルスプリング12を1つずつ通過させる形状の通過スペース50が形成されている。
【0029】
排出口プレート44が貫通孔42のそれぞれに取り付けられることで、前記通過スペース50と貫通孔42とが重ね合わされ、これによって、収容部20の底壁30にコイルスプリング12を1つずつ通過させる形状の排出口40が形成される。すなわち、本実施形態では、底壁30に4個の排出口40が設けられる。
【0030】
また、上記のように形成された排出口40の縁部には、収容部20の内方(底面38の中心O側)から側壁36側に向かって突出する複数の内側凸部46と、側壁36側から収容部20の内方に向かって突出する複数の外側凸部48とが設けられる。
【0031】
内側凸部46は、その基端側から先端側に向かって幅が小さくなることで、幅方向の両端側に、コイルスプリング12のピッチ角αに応じた傾斜が形成されている。隣り合う内側凸部46同士の間に形成される内側谷部52の幅L1は、コイルスプリング12の線径d以上である。この内側谷部52の深さL2、換言すると、内側凸部46の突出長さは、コイルスプリング12の外径Dの1/2以下である。また、隣り合う内側谷部52同士の間隔L3は、コイルスプリング12のピッチPと略等しい。さらに、図4に示すように、内側凸部46の厚みeは、コイルスプリング12のピッチP以上あればよい。
【0032】
上記のように内側谷部52の配置や形状等が設定されることで、単体のコイルスプリング12のみが、その径方向に沿って、内側谷部52内に進入して、内側凸部46同士の間を通過することができる。つまり、内側凸部46によって選別された単体のコイルスプリング12のみが、排出口40を介して有底容器22の外部に排出可能となる。
【0033】
外側凸部48は、内側凸部46と同様に、その基端側から先端側に向かって幅が小さくなることで、幅方向の両端側にコイルスプリング12のピッチ角αに応じた傾斜が形成されている。隣り合う外側凸部48同士の間に形成される外側谷部54の幅L4は、内側谷部52の幅L1に比して大きく、該外側谷部54の深さL5(外側凸部48の突出長さ)は、コイルスプリング12の外径Dの1/4以下である。また、隣り合う外側谷部54同士の間隔L6は、コイルスプリング12のピッチPと略等しい。さらに、内側凸部46の厚みeと同様に、外側凸部48の厚みもコイルスプリング12のピッチP以上あればよい。
【0034】
上記のように外側谷部54の配置や形状等が設定されることで、外側凸部48は、内側凸部46によるコイルスプリング12の選別を妨げることなく、単体のコイルスプリング12を排出口40へと円滑に導くことができる。
【0035】
排出口プレート44の前記開口の短辺側の外縁には、底壁30の貫通孔42の外縁に対してねじ止め等により着脱可能に取り付けられる取り付け部56が形成されている。なお、本実施形態では、図1に示すように、取り付け部56が、排出口プレート44の本体58よりも一段低くなるように形成されている。この取り付け部56が、有底容器22の外側から、底壁30の貫通孔42の外縁に対して重ね合わされた状態で、ねじ止め固定される。この際、排出口プレート44の本体58は、貫通孔42に挿入され、これによって、貫通孔42と通過スペース50とが重なり合い排出口40が形成される。
【0036】
排出口40の下方には前記搬送路が設けられ、有底容器22から排出されたコイルスプリング12は、該搬送路を介してコイルスプリング12の組み付けライン等(不図示)に供給される。
【0037】
本実施形態に係るコイルスプリング分離装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき動作との関係で説明する。
【0038】
図2に示すように、コイルスプリング分離装置10は、収容部20に複数のコイルスプリング12が供給される。この中には、2個以上のコイルスプリング12が相互に絡み合ったものが存在する。これらの相互の絡み合いを解消するべく、エアシリンダ16により、有底容器22を上下に振動(往復運動)させる。この際の振動ストロークや、振動周波数は、コイルスプリング12に変形等を生じさせない範囲で、相互の絡み合いを効果的に解消することが可能となるように、コイルスプリング12の形状や大きさ等に応じて適宜設定すればよい。なお、振動ストローク及び振動周波数は、例えば、15mm及び1〜3Hzに設定される。
【0039】
有底容器22を振動させると、収容部20内において、コイルスプリング12は、相互の絡み合いが解きほぐされながら、底面38の中心O側から側壁36側に向かって移動する。そして、絡み合いが解消された単体のコイルスプリング12が排出口40に到達した場合、該コイルスプリング12は、内側凸部46によって選別されるとともに、外側凸部48によってガイドされて排出口40を通過し、有底容器22から排出される。
【0040】
一方、鎖状に連なったコイルスプリング12等、絡み合いが解消されていないコイルスプリング12は、排出口40に到達しても、内側凸部46や排出口40の縁部と接触して排出口40を通過することができないため、絡み合いが解消されるまで、有底容器22内に残留する。その結果、複数のコイルスプリング12が収容された有底容器22から、コイルスプリング12を1つずつ分離して排出することができる。このように、内側凸部46は、単体のコイルスプリング12と、絡み合いが解消されていないコイルスプリング12とを選別する役割を果たす。
【0041】
上記のようにして、排出口40から排出された単体のコイルスプリング12は、搬送路を介して、コイルスプリング12の組み付けラインへ搬送される。したがって、複数のコイルスプリングが供給される組立ラインにおいても、手作業によることなく、1つずつ高精度にコイルスプリングを分離して、その組み付け作業へと供することができる。
【0042】
また、コイルスプリング分離装置10では、上記の通り、貫通孔42に取り付ける排出口プレート44の形状に応じて、排出口40の形状を変えることができる。このため、コイルスプリング分離装置10によって、1つずつ分離して排出することが可能なコイルスプリングのサイズや形状を容易に変更することができる。
【0043】
すなわち、例えば、上記のコイルスプリング12に限らず、分離することが求められるコイルスプリングのサイズや形状に応じて、内側凸部46及び外側凸部48の形状が設定された、換言すると、通過スペース50の形状が相違する複数種類の排出口プレートを用意する。そして、これらの排出口プレートを選択的に貫通孔42に取り付けることで、種々のサイズや形状のコイルスプリングについて、1つずつ分離して排出口40から排出することが可能になる。
【0044】
したがって、貫通孔42に着脱可能に取り付けられる排出口プレート44を交換するのみで、種々のサイズや形状のコイルスプリングに対応することが可能となるため、コイルスプリング分離装置10の汎用性を簡素な構成で容易に高めることができる。
【0045】
なお、本発明は、上記した実施形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0046】
例えば、上記の実施形態では、収容部20の形状を八角柱形状としたが、特にこれには限定されず、収容部20の形状は、他の多角形状であっても、円柱形状であってもよい。また、排出口40の数も4個に限られるものではなく、1個であっても、4個以外の多数個であってもよい。
【0047】
上記の実施形態では、排出口40の縁部に内側凸部46及び外側凸部48の両方が設けられることとしたが、特にこれには限定されず、排出口40がコイルスプリング12を1つずつ通過させる形状となるように、内側凸部46及び外側凸部48の何れか一方のみが設けられてもよい。
【0048】
上記の実施形態では、貫通孔42と、該貫通孔42に対して着脱可能に取り付けられる排出口プレート44とによって排出口40が形成されることとしたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、コイルスプリング分離装置10は、排出口プレート44を備えず、底壁30に形成された貫通孔42の縁部から直接突出するように、内側凸部46及び外側凸部48の少なくとも何れか一方が設けられることで、排出口40が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…コイルスプリング分離装置 12…コイルスプリング
14…支持台 16…エアシリンダ
18…ガイド機構 20…収容部
22…有底容器 24…シリンダ本体
26…ピストンロッド 28…フローティングジョイント
30…底壁 32…ガイドシャフト
34…ブッシュ 36…側壁
38…底面 40…排出口
42…貫通孔 44…排出口プレート
46…内側凸部 48…外側凸部
50…通過スペース 52…内側谷部
54…外側谷部 56…取り付け部
58…本体
図1
図2
図3
図4