特許第6641281号(P6641281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641281
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】ブロック共重合体および樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 293/00 20060101AFI20200127BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20200127BHJP
   C08L 53/00 20060101ALI20200127BHJP
   C09D 11/106 20140101ALI20200127BHJP
   C09J 153/00 20060101ALI20200127BHJP
   C09D 153/00 20060101ALI20200127BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20200127BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   C08F293/00
   C08L75/04
   C08L53/00
   C09D11/106
   C09J153/00
   C09D153/00
   C09J175/04
   C09D175/04
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-545594(P2016-545594)
(86)(22)【出願日】2015年8月26日
(86)【国際出願番号】JP2015074111
(87)【国際公開番号】WO2016031883
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2018年8月6日
(31)【優先権主張番号】特願2014-175207(P2014-175207)
(32)【優先日】2014年8月29日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-175208(P2014-175208)
(32)【優先日】2014年8月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】矢田 実
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 由生
(72)【発明者】
【氏名】早川 潤一
(72)【発明者】
【氏名】関口 俊司
(72)【発明者】
【氏名】中川 一孝
【審査官】 佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−063660(JP,A)
【文献】 特開平11−335496(JP,A)
【文献】 特開2008−291071(JP,A)
【文献】 特開2002−080686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 293/00−297/08
C08L 53/00−53/02
C08L 75/00−75/16
C09J
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン単量体単位から主としてなり、プロピレンから誘導される単位:それ以外のα−オレフィンから誘導される単位=50〜100:50〜0である重合体ブロック(A)と水酸基を有するビニル系単量体単位と水酸基を有するビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体単位からなる重合体ブロック(B)からなり、
水酸基価が5mgKOH/g以上90mgKOH/g以下であり、
重合体ブロック(B)のガラス転移温度が10℃以上60℃以下である
ブロック共重合体。
【請求項2】
重合体ブロック(A)のブロック共重合体における含有量が10重量%以上90重量%以下である請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項3】
重量平均分子量が1,000以上100,000以下である請求項1又は2に記載のブロック共重合体。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか一項に記載のブロック共重合体がアルコールを50重量%以上含む溶媒に分散されてなるブロック共重合体分散体。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一項に記載のブロック共重合体(C)とウレタン樹脂(D)とを含有する樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載のブロック共重合体、請求項に記載の分散体、または請求項に記載の樹脂組成物を含むインキ、塗料もしくは接着剤用組成物。
【請求項7】
グラビア印刷またはフレキソ印刷用インキ用である、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項に記載の組成物を使用したグラビアまたはフレキソ印刷法により得られる印刷物。
【請求項9】
請求項に記載の組成物を用いるグラビアまたはフレキソ印刷法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、法規制の強化、環境保全および安全性への関心の高まりから、印刷インキに用いられる溶剤は変化しつつある。日本においては、2012年の胆管癌集団発症事件を契機に、印刷作業に用いられる溶剤への安全性が関心を集めている。
【0003】
プラスチックフィルム用の印刷用インキの溶剤として、従来はトルエン、キシレンなどの芳香族溶剤が使用されていた。しかし、安全性の観点からケトン系溶剤、エステル系溶剤等の芳香族以外の溶剤が使用されるようになり、脱トルエン化が進められてきた。さらに、近年では印刷作業環境の毒性の観点から脱ケトン溶剤の動向が加速しており、現在では、エステル系溶剤とアルコール系溶剤が主体となりつつある。特に、環境保全と作業環境の安全性からエタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、メタノールに代表されるアルコール系溶剤を主成分に用いたインキが望まれている。
【0004】
ポリプロピレン等のポリオレフィン基材は、優れた性能を持ち安価であるため、食品包装材等の各種フィルム、自動車用部品、および成形品として広く使用されている。しかし、ポリオレフィン基材は非極性基材であり表面自由エネルギーが低いため、密着しにくい基材のひとつである。そこで、ポリオレフィン基材に印刷または塗装を行う際には、インキおよび塗料に塩素化ポリオレフィンを含めることで、密着性が向上することが一般に知られている。
【0005】
しかし、塩素化ポリオレフィンは、上述のとおりインキ分野で利用が進められているアルコール溶剤に溶解し難い。特許文献1には、所定の重量平均分子量および塩素含有率の塩素化ポリオレフィンにエチレン性不飽和結合を有するアクリル系単量体をグラフトすることにより得られるグラフト共重合体は、トルエン等の芳香族溶剤を使用しない印刷インキ用樹脂組成物の成分として用いられることが記載されている。
【0006】
ウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂)は、以下のような特性を有する:強靭で軟質から硬質まで幅広い物性が得られる;分子量および構造の制御が容易;分子の修飾が容易;様々な基材への密着性に優れる;耐薬品性および耐摩耗性に優れる;および、低温下の柔軟性に優れる。そのため、ウレタン樹脂は、インキ用バインダーとして汎用されている。
【0007】
ウレタン樹脂は、金属等の極性基材、およびポリオレフィン系樹脂等の非極性基材の両方に対しある程度の接着性を有しているが、更なる接着性の向上が求められている。一方、塩素化ポリオレフィン樹脂は、極性基材および非極性基材に対し優れた接着性を有し、且つ各種溶剤及び成分との相溶性に優れる。このため、ウレタン樹脂をベースとしたインキには、一般に塩素化ポリオレフィン樹脂が補助バインダーとして併用されている。しかし塩素化ポリオレフィン樹脂には、熱、光等の外部要因により、塩素化ポリオレフィン中の塩素が塩酸として脱離するという問題がある。
【0008】
特許文献2には、オレフィン系単量体単位から主としてなる重合体ブロック(A)とカルボキシル基または無水カルボン酸基を有するビニル系単量体の単位2〜100モル%および該ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体の単位98〜0モル%からなる重合体ブロック(B)とから構成されるブロック共重合体が上記の問題の発生を防止し得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−317137号公報
【特許文献2】特開2001−098140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1では、グラフト共重合体とともにメチルシクロヘキサン等の極性の低い脂環式溶剤を使用することが求められており、より極性の高いアルコールへのグラフト共重合体の親和性は依然低い。つまり、現状では、アルコールを主成分とするインキ及び塗料用の密着付与剤として、塩素化ポリオレフィンを上回るものが見出されていない。また、塩素化ポリオレフィンは塩素を含有するため、例えば、特許文献1記載の樹脂組成物を含むインキを用いた印刷フィルムを焼却した際には、ダイオキシン等の毒性物質が生成することが懸念される。つまり、アルコールへの溶解性が高い、塩素を使用しないインキおよび塗料用の密着付与剤の開発が望まれている。
【0011】
特許文献2に記載されているブロック共重合体は、各種溶剤および成分との相溶性が不十分であること、各種被着体への付着性が不十分であることと等の問題を有する。
【0012】
本発明は、アルコールへの溶解性、および、ポリオレフィン等の非極性基材への付着性に優れ、かつ塩素を含有させなくても優れた溶剤特性を有する樹脂を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、外部要因による脱塩酸の問題を発生することなく、ウレタン樹脂を含む各成分の相溶性が良好であり、各種基材に対する良好な付着性を有し、インキ、接着剤、塗料として好適に使用することができる樹脂組成物を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は以下の[1]〜[10]を提供する。
[1]オレフィン単量体から主としてなる重合体ブロック(A)と水酸基を有するビニル系単量体と水酸基を有するビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体からなる重合体ブロック(B)からなり、
水酸基価が5mgKOH/g以上120mgKOH/g以下である
ブロック共重合体。
[2]重合体ブロック(A)のブロック共重合体における含有量が10重量%以上90重量%以下である[1]に記載のブロック共重合体。
[3]重合体ブロック(B)のガラス転移温度が10℃以上である[1]または[2]に記載のブロック共重合体。
[4]重量平均分子量が1,000以上100,000以下である[1]〜[3]のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
[5][1]〜[4]のいずれか一項に記載のブロック共重合体がアルコールを50重量%以上含む溶媒に分散されてなるブロック共重合体分散体。
[6][1]〜[4]のいずれか一項に記載のブロック共重合体(C)とウレタン樹脂(D)とを含有する樹脂組成物。
[7][1]〜[4]のいずれか一項に記載のブロック共重合体、[5]に記載の分散体、または[6]に記載の樹脂組成物を含むインキ、塗料もしくは接着剤用組成物。
[8]グラビア印刷またはフレキソ印刷用インキ用である、[7]に記載の組成物。
[9][8]に記載の組成物を使用したグラビアまたはフレキソ印刷法により得られる印刷物。
[10][8]に記載の組成物を用いるグラビアまたはフレキソ印刷法。
【0015】
本発明はまた以下の[11]〜[19]を提供する。
[11]オレフィン単量体から主としてなる重合体ブロック(A)と水酸基を有するビニル系単量体と水酸基を有するビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体からなる重合体ブロック(B)からなり、
水酸基価が5mgKOH/g以上120mgKOH/g以下である
ブロック共重合体。
[12]重合体ブロック(A)のブロック共重合体における含有量が10重量%以上90重量%以下である[11]に記載のブロック共重合体。
[13]重合体ブロック(B)のガラス転移温度が10℃以上である[11]または[12]に記載のブロック共重合体。
[14]重量平均分子量が1,000以上100,000以下である[11]〜[13]のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
[15][11]〜[14]のいずれか一項に記載のブロック共重合体がアルコールを50重量%以上含む溶媒に分散されてなるブロック共重合体分散体。
[16][11]〜[14]のいずれか一項に記載のブロック共重合体または[15]に記載の分散体を含むインキ、塗料または接着剤用組成物。
[17]グラビア印刷またはフレキソ印刷用インキ用である、[16]に記載の組成物。
[18][17]に記載の組成物を使用したグラビアまたはフレキソ印刷法により得られる印刷物。
[19][17]に記載の組成物を用いるグラビアまたはフレキソ印刷法。
【0016】
本発明はさらに以下の[21]〜[28]を提供する。
[21]下記の重合体ブロック(A)および(B)からなり、水酸基価が5mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であるブロック共重合体(C)とウレタン樹脂(D)とを含有する樹脂組成物。
重合体ブロック(A):オレフィン系単量体から主としてなる重合体ブロック
重合体ブロック(B):水酸基を有するビニル系単量体と水酸基を有するビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体からなる重合体ブロック
[22]重合体ブロック(A)のブロック共重合体(C)における含有量が10重量%以上90重量%以下である[21]に記載の樹脂組成物。
[23]重合体ブロック(B)のガラス転移温度が10℃以上である[21]または[22]に記載の樹脂組成物。
[24]ブロック共重合体(C)の重量平均分子量が1,000以上100,000以下であることを特徴とする[21]〜[23]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[25]インキ、塗料または接着剤用である[21]〜[24]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[26]グラビア印刷用インキ用である、[25]に記載の組成物。
[27][26]に記載の組成物を使用したグラビア印刷法により得られる印刷物。
[28][26]に記載の組成物を用いるグラビア印刷法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アルコールへの溶解性、およびポリオレフィン等の非極性基材への付着性に優れ、塩素を含有させなくてもよいので安全性に優れる樹脂が提供される。
【0018】
本発明によれば、外部要因による脱塩酸の問題を抑制することができ、各種基材に対する良好な付着性を有し、ウレタン樹脂(D)とブロック共重合体(C)が互いに相溶性に優れ、インキ、接着剤、塗料として好適に使用することができる、ウレタン樹脂を含有する樹脂組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明におけるブロック共重合体(C)は、以下に述べる重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)から構成される。すなわち、重合体ブロック(A)および(B)を含み、通常は重合体ブロック(A)および(B)からなる。ブロック共重合体(C)としては例えば、AB型ジブロック共重合体、ABA型トリブロック共重合体、BAB型トリブロック共重合体等を挙げることができる。これらの中でも、AB型ジブロック共重合体が好ましい。
【0020】
重合体ブロック(A)は、オレフィン系単量体単位から主としてなる重合体ブロックである。すなわち、オレフィン系単量体単位から主としてなる重合体により構成される重合体ブロックである。重合体ブロック(A)におけるオレフィン系単量体単位の含有量は、重合体ブロック(A)の全構造単位の合計モル数に基づいて50モル%以上であるのが好ましく、70モル%以上であるのがより好ましく、80モル%以上であるのがさらに好ましい。上限は特に制限されず、100モル%以下であればよい。
【0021】
オレフィン系単量体単位とは、オレフィン系単量体から誘導される単位を意味する。オレフィン系単量体単位としては、例えば、エチレン;プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等のα−オレフィン;2−ブテン;イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン等の共役ジエン;ビニルシクロヘキサン;β−ピネン等のオレフィン系単量体から誘導される単位を挙げることができる。重合体ブロック(A)は、これらのオレフィン系単量体単位のうち1種または2種以上を含有することができる。重合体ブロック(A)は、エチレン、プロピレン、1−ブテンから誘導される単位を含むことが好ましい。中でも、プロピレンから誘導される単位からなる重合体ブロック;プロピレンから誘導される単位およびプロピレン以外の他のα−オレフィン(好ましくは、エチレンおよび/または1−ブテン)から誘導される単位からなる共重合体ブロックを含むことがより好ましい。オレフィン系単量体単位がブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン等の共役ジエンから誘導される単位である場合には、単位中に残存する不飽和結合が水素添加されていてもよい。プロピレンから誘導される単位およびプロピレン以外の他のα−オレフィン(好ましくは、エチレンおよび/または1−ブテン)から誘導される単位からなる共重合体ブロックの場合、プロピレン成分の重量比は、プロピレンから誘導される単位:それ以外のα−オレフィンから誘導される単位=50〜100:50〜0であることが好ましく、70〜100:30〜0であることがより好ましい。
【0022】
重合体ブロック(A)を構成する重合体は、オレフィン系単量体単位以外の単位を1種または2種以上含んでいてもよい。オレフィン系単量体単位以外の単位としては、例えばオレフィン系単量体と共重合可能なビニル系単量体から誘導される単位が挙げられる。オレフィン系単量体単位以外の単位(好ましくはオレフィン系単量体と共重合可能なビニル系単量体から誘導される単位)の含有量は、通常は50モル%以下であり、好ましくは30モル%以下であり、より好ましくは20モル%以下である。下限は特に制限されず、0モル%以上であればよい。
【0023】
オレフィン系単量体と共重合可能なビニル系単量体は、上記のオレフィン系単量体と共重合可能なビニル系単量体であればよい。例えば、(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド;N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、酢酸ビニルが好ましい。
【0024】
重合体ブロック(A)を構成するオレフィン系単量体単位から主としてなる重合体は、変性されていてもよい。変性は特に限定されず、該重合体に対して、エポキシ化;ヒドロキシル化;無水カルボン酸化;カルボン酸化等の変性を、公知の方法を用いて行なうことができる。
【0025】
重合体ブロック(A)を構成するオレフィン系単量体単位から主としてなる重合体は、熱減成されていてもよい。これにより、重合体ブロック(A)を構成するオレフィン系単量体単位から主としてなる重合体の末端に二重結合を導入し、重合体ブロック(A)の分子量を調整することができる。熱減成の方法としては特に限定されず、例えば、オレフィン系単量体単位から主としてなる重合体を無酸素雰囲気中400〜500℃にて熱分解する方法、オレフィン系単量体単位から主としてなる重合体を無酸素雰囲気中、少量の有機過酸化物存在下にて分解する方法が挙げられる。有機過酸化物としては、例えばジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート等が挙げられる。
【0026】
重合体ブロック(B)は、水酸基を有するビニル系単量体および該ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体からなる重合体ブロックである。
【0027】
重合体ブロック(B)における、水酸基を有するビニル系単量体の単位の含有量は、重合体ブロック(B)の全構造単位のモル数に基づいて、70モル%以下であることが好ましく、50モル%以下であることがより好ましく、40モル%以下であることがさらに好ましい。下限は、2モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましい。水酸基を有するビニル系単量体の単位の含有量は、2モル%以上70モル%以下であることが好ましく、5モル%以上50モル%以下であることがより好ましく、10モル%以上40モル%以下であることがさらに好ましい。
【0028】
水酸基を有するビニル系単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0029】
重合体ブロック(B)は、水酸基を有するビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体の単位を、重合体ブロック(B)の全構造単位のモル数に基づいて好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上含有する。上限は、好ましくは98モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。重合体ブロック(B)は他のビニル系単量体の単位を、好ましくは30〜98モル%、より好ましくは50〜95モル%、さらに好ましくは60〜90モル%含有する。他のビニル系単量体とは、上記の水酸基を有するビニル系単量体以外のビニル系単量体、すなわち水酸基を有しないビニル系単量体を意味する。例えば、スチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン等が例示され、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートがより好ましい。2種以上を用いる場合、メチル(メタ)アクリレートとシクロヘキシル(メタ)アクリレートの組み合わせ、エチル(メタ)アクリレートとイソボルニル(メタ)アクリレートの組み合わせ、および、エチル(メタ)アクリレートとtert−ブチル(メタ)アクリレートの組み合わせのいずれかを含むことが好ましい。
【0030】
重合体ブロック(B)に含まれる重合体単位の好ましい組み合わせとしては、水酸基を有するビニル系単量体としての2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび/または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと、水酸基を有するビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体としてのメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上との組み合わせが例示される。水酸基を有するビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体は、メチル(メタ)アクリレートとシクロヘキシル(メタ)アクリレートの組み合わせ、エチル(メタ)アクリレートとイソボルニル(メタ)アクリレートの組み合わせ、および、エチル(メタ)アクリレートとtert−ブチル(メタ)アクリレートの組み合わせのいずれかを含むことが好ましい。
【0031】
重合体ブロック(B)における各単量体の構成比率(水酸基を有するビニル系単量体:共重合可能な他のビニル系単量体〔2種以上の場合合計〕)は、通常は2:100〜50:100、好ましくは5:100〜40:100、より好ましくは10:100〜30:100である。
【0032】
なお、本発明において(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタアクリレートを指すものとする。また、本発明において重合体ブロック(B)における水酸基には、カルボキシル基中の水酸基は含まないものとする。
【0033】
重合体ブロック(B)のガラス転移温度は、10℃以上であることが好ましい。これにより、ブロック共重合体(C)またはこれを含む樹脂組成物をインキ、塗料等の用途に用いる場合に十分な塗膜強度を発現することができ、基材との付着性が十分に発揮され得る。また、インキとして用いる場合に、印刷中のブロッキングを抑制することができる。
【0034】
重合体ブロック(B)のガラス転移温度の上限は特に限定されないが、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは60℃以下、更により好ましくは50℃以下である。これにより、ブロック共重合体(C)または樹脂組成物をインキ、塗料等の用途に用いる場合に塗膜が硬くなり過ぎることを抑制し、言い換えれば塗膜が適度な柔軟性を発揮することができる。
【0035】
ガラス転移温度(Tg(℃))は、FOX式を用いて算出することができる。すなわち、重合体ブロック(B)を構成する各ビニル系単量体のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)と重量分率(W)とを算出し、各ホモポリマーのWに対するTgの比率を合算して算出すればよい。各ホモポリマーのTgは、ポリマーハンドブック(Wiley−Interscience Publication,4th Edition,1999)および製品データに掲載されているTgを用いてもよい。
【0036】
<FOX式> 1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・+Wn/Tgn
上記式は、重合体ブロック(B)がn個の単量体により構成される場合の式である。Tg1は、重合体ブロック(B)を構成する単量体1のホモポリマーのガラス転移温度であり、W1は、単量体1のホモポリマーの重量分率である。Tg2は、重合体ブロック(B)を構成する単量体2のホモポリマーのガラス転移温度であり、W2は、単量体2のホモポリマーの重量分率である。Tg3は、重合体ブロック(B)を構成する単量体3のホモポリマーのガラス転移温度であり、W3は、単量体3のホモポリマーの重量分率である。Tgnは、重合体ブロック(B)を構成する単量体nのホモポリマーのガラス転移温度であり、Wnは、単量体nのホモポリマーの重量分率である。
【0037】
重合体ブロック(A)の重量平均分子量は、500以上100,000未満であることが好ましく、1,000以上50,000未満であることがより好ましい。重合体ブロック(B)の重量平均分子量は、500以上100,000未満であることが好ましく、1,000以上50,000未満であることがより好ましい。
【0038】
ブロック共重合体(C)の重量平均分子量は、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましい。これによりブロック共重合体(C)をインキ、塗料等を構成する他の成分と混合した場合に相溶性の悪化または溶液粘度の上昇を抑制することができ、良好なインキ、塗料を調製できる。また、ブロック共重合体(C)の溶解性を良好に保つことができるので溶液性状を安定に保つことができ、良好な塗工性を保つことができる。ブロック共重合体(C)の重量平均分子量は、1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましい。これにより凝集力不足を防ぎ、ポリオレフィン基材等の基材に対し良好な付着性を発揮することができる。ブロック共重合体(C)の重量平均分子量は、1,000以上100,000以下の範囲内とすることが好ましく、2,000以上50,000以下の範囲内とすることがより好ましい。
【0039】
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めればよい。
【0040】
ブロック共重合体(C)における重合体ブロック(A)の含有量は、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましく、30重量%以上であることがさらに好ましい。上限は、90重量%以下であることが好ましく、80重量%以下であることがより好ましく、70重量%以下であることがさらに好ましい。ブロック共重合体(C)における重合体ブロック(B)の含有量は、90重量%以下であることが好ましく、80重量%以下であることがより好ましく、70重量%以下であることがさらに好ましい。下限は、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましく、30重量%以上であることがさらに好ましい。
【0041】
なお、本発明において重合体ブロックの含有量、単量体単位の含有量は、それぞれの原料(重合体または単量体)の仕込み量と単量体単位の重合率により特定してもよい。
【0042】
重合体ブロック(A)の融点(Tm)は、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。上限は120℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましい。重合体ブロック(A)のTmは、40℃以上120℃以下であることが好ましく、50℃以上90℃以下であることがより好ましい。
【0043】
ブロック共重合体(C)の製造方法は、特に限定されないが例えば、末端にメルカプト基を有する重合体ブロック(A)の存在下に、重合体ブロック(B)を構成する単量体成分をラジカル重合する方法が挙げられる。この方法によれば、目的とする重量平均分子量および分子量分布を有するブロック共重合体(C)を簡便かつ効率的に製造することができる。
【0044】
末端にメルカプト基を有する重合体ブロック(A)の製造方法は、特に限定されないが例えば、オレフィン系単量体単位から主としてなる重合体の末端に二重結合を導入し、この二重結合を介して、チオ酢酸、チオ安息香酸、チオプロピオン酸、チオ酪酸またはチオ吉草酸等の酸を付加させた後、酸またはアルカリで処理する方法、アニオン重合法によりオレフィン系単量体単位から主としてなる重合体を製造する際の停止剤としてエチレンスルフィドを用いる方法等が挙げられる。
【0045】
末端にメルカプト基を有する重合体ブロック(A)の存在下において、重合体ブロック(B)を構成する単量体成分をラジカル重合させる方法は、特に限定されないが例えば、末端にメルカプト基を有する重合体ブロック(A)をトルエン等の有機溶剤に溶解した後、重合体ブロック(B)を構成する単量体成分を加え、撹拌下ラジカル発生剤を添加する溶液法等が挙げられる。ラジカル重合の際にはラジカル発生剤を用いてもよく、ラジカル発生剤は、特に限定されないが、アゾ系開始剤が好ましい。アゾ系開始剤としては例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等が挙げられ、ラジカル重合を行う温度に応じて適切な半減期温度を有するものを選択すればよい。
【0046】
溶液法で重合した反応液からブロック共重合体(C)を得る方法は、特に限定されないが例えば、反応釜中で反応液中の溶媒、未反応単量体等を減圧蒸留により除去する方法、薄膜蒸発機、押出機等の装置内で反応液を薄膜化しながら減圧することにより溶媒、未反応単量体等を除去する方法、および、反応液をメタノール等の貧溶媒に滴下して溶媒、未反応単量体等を除去する方法が挙げられる。
【0047】
本発明におけるブロック共重合体(C)の水酸基価は、5mgKOH/g以上であることが好ましく、10mgKOH/g以上であることがより好ましい。これにより極性の低下を防ぎ、アルコールへの溶解性、ポリオレフィン系基材への付着性が十分に発揮され得る。一方、上限は120mgKOH/g以下であることが好ましく、80mgKOH/g以下であることがより好ましい。これにより極性の過度の上昇を防ぐことができ、インキ、塗料中の他の成分との相溶性を低下させることができ、ポリオレフィン系基材への付着性の低下を抑制することができる。ブロック共重合体(C)の水酸基価は、5mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは、10mgKOH/g以上80mgKOH/g以下である。
水酸基価は、ビニル系単量体の重量割合および重合率から算出すればよい。
【0048】
本発明のブロック共重合体(C)は、溶媒とともに組成物を構成してもよい。溶媒は、アルコールを含むことが好ましく、炭素数1以上3以下のアルコールを含むことがより好ましい。ブロック共重合体(C)はアルコールを含む溶媒への分散性(溶解性および/または相溶性)に優れるため、ブロック共重合体がアルコールを含む溶媒に分散されることにより、ブロック共重合体分散体を形成することができる。上記組成物または分散体におけるブロック共重合体(C)と溶媒との比率は、70〜5:30〜95であることが好ましく、50〜15:50〜85であることがより好ましい。分散体におけるブロック共重合体(C)の濃度は、10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましく、25重量%以上であることがさらに好ましく、30重量%以上であることがさらにより好ましい。
【0049】
アルコールとしては例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−エチル−ヘキサノール等の脂肪族アルコール類の他、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールモノエーテル類等が挙げられる。
【0050】
炭素数1以上3以下のアルコールとしては例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールが挙げられる。
【0051】
アルコールの含有量は、溶媒全量に対し通常30重量%以上であり、40重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましい。上限は特に限定がなく、100重量%以下であればよい。
【0052】
本発明において、他の溶媒を併用することができる。ここで他の溶媒とは、インキおよび/または塗料に通常用いられる溶媒であってもよく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコール系溶剤;水等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶剤、水が好ましく、酢酸エチル、酢酸プロピル、水がより好ましい。他の溶媒の量は、溶媒全量に対し50重量%未満であることが好ましい。下限は特に限定がなく、0重量%であってもよい。
【0053】
本発明のブロック共重合体(C)は、ウレタン樹脂(D)とともに樹脂組成物を形成してもよい。
【0054】
本発明においてウレタン樹脂(D)は、イソシアネート基と水酸基を有する化合物の縮合により生成される樹脂等のウレタン結合を有する重合体であればよく、黄色タイプ、無黄変タイプ、エーテル系タイプ、エステル系タイプ等のタイプに分類される。一般にインキ、接着剤、塗料に使用されるウレタン樹脂の範疇であればいずれを用いてもよい。
【0055】
本発明の樹脂組成物は、溶媒(E)を含んでいてもよい。溶媒(E)としては、アルコールおよび他の溶媒として例示した溶媒、およびこれらから選ばれる2種以上の混合溶媒等が例示される。溶媒(E)は、これらの中でも脂環式炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤から選ばれる2種類以上の混合系溶媒であることが好ましい。
【0056】
本発明の樹脂組成物における、ブロック共重合体(C)の含有量は、1重量%以上30重量%以下であることが好ましく、2重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。本発明の樹脂組成物における、ウレタン樹脂(D)の含有量は、99重量%以上70重量%以下であることが好ましく、80重量%以上98重量%以下であることがより好ましい。本発明の樹脂組成物が溶媒(E)を含む場合、溶媒(E)の含有量は、20重量%以上95重量%以下であることが好ましく、30重量%以上80重量%以下であることがより好ましい。
【0057】
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、各成分を混合して調製することが可能である。溶媒(E)を含む場合の製造方法としては例えば、ブロック共重合体(C)とウレタン樹脂(D)をそれぞれ溶媒に溶解し、各溶液を混合して調製する方法が例示される。
【0058】
本発明のブロック共重合体、その分散体および樹脂組成物は、インキ、塗料、接着剤用組成物の成分として有用であり、好ましくはグラビア印刷またはフレキソ印刷用インキ組成物の成分として有用である。インキ、塗料、接着剤用組成物は、ブロック共重合体またはその分散体のほかに、必要に応じて、インキ、塗料、接着剤が通常含む成分を含んでいてもよい。
【0059】
本発明のグラビア印刷またはフレキソ印刷用インキ組成物は、各印刷法により各種の被印刷体に印刷することができる。被印刷体としてはポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム等の樹脂フィルム、紙等が例示される。グラビア印刷またはフレキソ印刷は常法に従って行えばよい。
【実施例】
【0060】
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0061】
<重合体ブロック(A1)の製造:末端にメルカプト基を有するα−オレフィン系重合体の製造>
(1)α−オレフィン系重合体(プロピレン成分92モル%、エチレン成分8モル%であるプロピレン系共重合体)を、メタロセン触媒を用いて製造した(重量平均分子量60,000、Tm=70℃)。該α−オレフィン系重合体を二軸押出機に供給し、420℃で溶融混練して熱分解させて、末端に二重結合を有するα−オレフィン系重合体(重量平均分子量20,000)を製造した。
【0062】
(2)上記(1)で得られた末端に二重結合を有するα−オレフィン系重合体100重量部、キシレン300重量部およびチオ酢酸10重量部を反応器に入れて、内部を充分に窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を加えて、90℃で2時間反応させ、メタノールに沈殿させ未反応のチオ酢酸を除去し、末端にチオアセチル基を有するα−オレフィン系重合体を製造した。
【0063】
(3)上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するα−オレフィン系重合体100重量部を、キシレン200重量部とn−ブタノール20重量部の混合溶媒中に溶解し、水酸化カリウムの4%n−ブタノール溶液20重量部を加えて、窒素中110℃で1時間反応させた後、1.2重量部の酢酸を加えることにより、末端にメルカプト基を有するα−オレフィン系重合体(重合体ブロック(A1))を製造した。
【0064】
<重合体ブロック(A2)の製造:末端にメルカプト基を有するα−オレフィン系重合体の製造>
(1)α−オレフィン系重合体(プロピレン成分80モル%、1−ブテン成分20モル%であるプロピレン系共重合体)を、メタロセン触媒を用いて製造した(重量平均分子量300,000、Tm=85℃)。該α−オレフィン系重合体を二軸押出機に供給し、420℃で溶融混練して熱分解させて、末端に二重結合を有するα−オレフィン系重合体(重量平均分子量60,000)を製造した。
【0065】
(2)上記(1)で得られた末端に二重結合を有するα−オレフィン系重合体100重量部、キシレン300重量部およびチオ酢酸10重量部を反応器に入れて、内部を充分に窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を加えて、90℃で2時間反応させ、メタノールに沈殿させ未反応のチオ酢酸を除去し、末端にチオアセチル基を有するα−オレフィン系重合体を製造した。
【0066】
(3)上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するα−オレフィン系重合体100重量部を、キシレン200重量部とn−ブタノール20重量部の混合溶媒中に溶解し、水酸化カリウムの4%n−ブタノール溶液20重量部を加えて、窒素中110℃で1時間反応させた後、1.2重量部の酢酸を加えることにより、末端にメルカプト基を有するα−オレフィン系重合体(重合体ブロック(A2))を製造した。
【0067】
<重合体ブロック(A3)の製造:末端にメルカプト基を有するα−オレフィン系重合体の製造>
(1)α−オレフィン系重合体(プロピレン成分90モル%、エチレン成分10モル%であるプロピレン系共重合体)を、メタロセン触媒を用いて製造した(重量平均分子量200,000、Tm=65℃)。該α−オレフィン系重合体を1Lの反応器に入れ、内温が390℃になるまで昇温し、2時間減圧下で攪拌することにより、末端に二重結合を有するα−オレフィン系重合体(重量平均分子量1,300)を製造した。
【0068】
(2)上記(1)で得られた末端に二重結合を有するα−オレフィン系重合体100重量部、キシレン300重量部およびチオ酢酸10重量部を反応器に入れて、内部を充分に窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を加えて、90℃で2時間反応させ、メタノールに沈殿させ未反応のチオ酢酸を除去し、末端にチオアセチル基を有するα−オレフィン系重合体を製造した。
【0069】
(3)上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するα−オレフィン系重合体100重量部を、キシレン200重量部とn−ブタノール20重量部の混合溶媒中に溶解し、水酸化カリウムの4%n−ブタノール溶液20重量部を加えて、窒素中110℃で1時間反応させた後、1.2重量部の酢酸を加えることにより、末端にメルカプト基を有するα−オレフィン系重合体(重合体ブロック(A3))を製造した。
【0070】
(実施例1)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにメチルアクリレート20重量部、シクロヘキシルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒と未反応の単量体を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(1)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(1)の重量平均分子量は、30,000であった。
【0071】
製造したブロック共重合体(1)100重量部に対して、イソプロピルアルコール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解し、水23重量部を加えた後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(1)を得た。
【0072】
(実施例2)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート40重量部、イソボルニルアクリレート60重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート30重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(2)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(2)の重量平均分子量は、32,000であった。
【0073】
製造したブロック共重合体(2)100重量部に対して、イソプロピルアルコール117重量部を加え、撹拌下、加温溶解し、メタノール117重量部を加えた後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(2)を得た。
【0074】
(実施例3)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート20重量部、tert−ブチルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(3)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(3)の重量平均分子量は、30,000であった。
【0075】
製造したブロック共重合体(3)100重量部に対して、酢酸エチル12重量部およびエタノール221重量部を加え、撹拌下、加温溶解した。その後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(3)を得た。
【0076】
(実施例4)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにメチルアクリレート40重量部、ステアリルアクリレート60重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート30重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(4)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(4)の重量平均分子量は、31,000であった。
【0077】
製造したブロック共重合体(4)100重量部に対して、酢酸エチル23重量部およびエタノール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解した。その後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(4)を得た。
【0078】
(実施例5)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにn−ブチルアクリレート20重量部、アダマンチルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート40重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(5)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(5)の重量平均分子量は、32,000であった。
【0079】
製造したブロック共重合体(5)100重量部に対して、酢酸エチル23重量部およびエタノール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解した。その後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(5)を得た。
【0080】
(実施例6)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(6)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(6)の重量平均分子量は、31,000であった。
【0081】
製造したブロック共重合体(6)100重量部に対して、イソプロピルアルコール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解し、水23重量部を加えた後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(6)を得た。
【0082】
(実施例7)
重合体ブロック(A2)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、tert−ブチルアクリレート100重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(7)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(7)の重量平均分子量は、92,000であった。
【0083】
製造したブロック共重合体(7)100重量部に対して、酢酸エチル23重量部およびエタノール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解した。その後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(7)を得た。
【0084】
(実施例8)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにメチルアクリレート20重量部、シクロヘキシルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート2重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(8)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(8)の重量平均分子量は、28,000であった。
【0085】
製造したブロック共重合体(8)100重量部に対して、イソプロピルアルコール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解し、水23重量部を加えた後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(8)を得た。
【0086】
(実施例9)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにメチルアクリレート20重量部、シクロヘキシルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(9)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(9)の重量平均分子量は、29,000であった。
【0087】
製造したブロック共重合体(9)100重量部に対して、イソプロピルアルコール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解し、水23重量部を加えた後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(9)を得た。
【0088】
(実施例10)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにメチルアクリレート20重量部、シクロヘキシルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート48重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(10)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(10)の重量平均分子量は、36,000であった。
【0089】
製造したブロック共重合体(10)100重量部に対して、イソプロピルアルコール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解し、水23重量部を加えた後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(10)を得た。
【0090】
(実施例11)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート71.8重量部、イソボルニルアクリレート107.7重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート53.8重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(11)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(11)の重量平均分子量は、46,000であった。
【0091】
製造したブロック共重合体(11)100重量部に対して、イソプロピルアルコール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解し、水23重量部を加えた後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(11)を得た。
【0092】
(実施例12)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート13.2重量部、イソボルニルアクリレート19.8重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート9.9重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(12)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(12)の重量平均分子量は、36,000であった。
【0093】
製造したブロック共重合体(12)100重量部に対して、イソプロピルアルコール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解し、水23重量部を加えた後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(12)を得た。
【0094】
(実施例13)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート50重量部、イソボルニルアクリレート30重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(13)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(13)の重量平均分子量は、40,000であった。
【0095】
製造したブロック共重合体(13)100重量部に対して、イソプロピルアルコール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解し、水23重量部を加えた後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(13)を得た。
【0096】
(実施例14)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート10重量部、イソボルニルアクリレート100重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(14)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(14)の重量平均分子量は、38,000であった。
【0097】
製造したブロック共重合体(14)100重量部に対して、イソプロピルアルコール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解し、水23重量部を加えた後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(14)を得た。
【0098】
(実施例15)
重合体ブロック(A3)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート20重量部、t-ブチルアクリレート20重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(15)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(15)の重量平均分子量は、2,000であった。
【0099】
製造したブロック共重合体(15)100重量部に対して、イソプロピルアルコール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解し、水23重量部を加えた後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(15)を得た。
【0100】
(実施例16)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート100重量部、t-ブチルアクリレート200重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート80重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(16)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(16)の重量平均分子量は、50,000であった。
【0101】
製造したブロック共重合体(16)100重量部に対して、イソプロピルアルコール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解し、水23重量部を加えた後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(16)を得た。
【0102】
(実施例17)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにメチルアクリレート20重量部、シクロヘキシルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(17)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(17)の重量平均分子量は、30,000であった。
【0103】
製造したブロック共重合体(17)100重量部に対して、酢酸エチル139.8重量部およびメタノール93.2重量部を加え、撹拌下、加温溶解した後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(17)を得た。
【0104】
(実施例18)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにメチルアクリレート20重量部、シクロヘキシルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(18)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(18)の重量平均分子量は、30,000であった。
【0105】
製造したブロック共重合体(18)100重量部に対して、酢酸エチル117重量部およびメタノール117重量部を加え、撹拌下、加温溶解した後、撹拌下、冷却することでアルコール性樹脂分散体(18)を得た。
【0106】
(比較例1)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにメチルアクリレート20重量部、tert−ブチルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート80重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(19)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(19)の重量平均分子量は、38,000であった。
【0107】
製造したブロック共重合体(19)100重量部に対して、酢酸エチル23重量部およびエタノール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解した。その後、撹拌下、冷却した。冷却することでアルコール性樹脂分散体(19)を得た。
【0108】
(比較例2)
重合体ブロック(A1)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート20重量部、tert−ブチルアクリレート80重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(20)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(20)の重量平均分子量は、29,000であった。
【0109】
製造したブロック共重合体(20)100重量部に対して、酢酸エチル23重量部およびエタノール210重量部を加え、撹拌下、加温溶解した。その後、撹拌下、冷却した。冷却後の液は固化し、アルコール性分散体は得られなかった。
【0110】
<アルコール性分散体の流動性評価試験>
アルコール性分散体約10gを30ml容ガラス容器に入れ、室温にて一晩静置後、軽く手振りをして目視にてアルコール分散体の流動性を評価した。評価基準は、手振りに追従してガラス容器内のアルコール分散体が流動するのであれば「良好」、粘度が高いため手振りに対して流動に大きな遅れが生じる場合は「増粘」、手振りに対してアルコール分散体が動かないのであれば「固化」とした。
【0111】
<インキ密着試験>
得られたアルコール性樹脂分散体(1)〜(8)40gと市販の印刷インキ用ウレタン樹脂(日立化成工業製 固形分30wt%)120gと二酸化チタン(石原産業製 ルチル型)160gと酢酸エチル/イソプロピルアルコール(重量比67/33)の混合液120gで希釈しサンドミルで1時間練肉した後、#3ザーンカップで25〜30秒/20℃の粘度になるようにインキを調製した。
【0112】
続いて、コーティングロッド#5にてOPPフィルムコロナ処理面(フタムラ化学80μm)にインキを塗工し、ドライヤーで乾燥させ、その後、セロハンテープ(ニチバン製24mm)をインキ塗工面に貼り付け、剥がした時の塗工面の状態を調べた。試験は3回行い、各評価結果に差がある場合には評価の範囲で表示した。
【0113】
評価基準 △以上であれば使用上問題ない
◎:剥がれが全くない状態
○:90%以上塗膜が残っている状態
△:50%以上90%未満塗膜が残っている状態
×:50%以上剥がれている状態
【0114】
表1に、各実施例における重合体ブロック(B)の組成を示す。表2に、各実施例における、ブロック共重合体の重量平均分子量と水酸基価、重合体ブロック(B)のガラス転移温度、並びに、アルコール性分散体の評価結果を示す。表3に、ブロック共重合体に占める重合体ブロック(B)の割合、分散体に占めるブロック共重合体の濃度、溶媒中のアルコール濃度、重合体ブロック(A)の種類を示す。
【0115】
【表1】
【0116】
〔表1の脚注〕
MA:メチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
nBA:n−ブチルアクリレート
tBA:tert−ブチルアクリレート
SA:ステアリルアクリレート
CHA:シクロヘキシルアクリレート
IBOA:イソボルニルアクリレート
ADA:アダマンチルアクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
【0117】
【表2】
【0118】
【表3】
【0119】
<樹脂の物性の測定方法>
1)重量平均分子量(Mw)
GPC 東ソー製(標準物質:ポリスチレン樹脂)によって測定。
【0120】
2)ガラス転移温度 Tg(℃)
ポリマーハンドブックおよび製品データに掲載の各ビニル系単量体におけるホモポリマーのガラス転移温度(Tg)の値を用い、各ビニル系単量体の重量割合からFOX式を用いて算出した。
【0121】
<FOX式> 1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3
(上記FOX式においては、3種の単量体からなる重合体ブロックを構成する、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度をTg1〜Tg3とし、各モノマーの重量分率を、W1〜W3とした。)
【0122】
3)水酸基価 mgKOH/g
各ビニル系単量体の重量割合および重合率から算出した。
【0123】
<重合体ブロック(A4)の製造:末端にメルカプト基を有するα−オレフィン系重合体の製造>
(1)α−オレフィン系重合体(プロピレン成分92モル%、エチレン成分8モル%であるプロピレン系共重合体)を、メタロセン触媒を用いて製造した(重量平均分子量200,000、Tm=75℃)。該α−オレフィン系重合体を二軸押出機に供給し、420℃で溶融混練して熱分解させて、末端に二重結合を有するα−オレフィン系重合体(重量平均分子量23,000)をそれぞれ製造した。
【0124】
(2)上記(1)で得られた末端に二重結合を有するα−オレフィン系重合体100重量部、キシレン300重量部およびチオ酢酸10重量部を反応器に入れて、内部を充分に窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を加えて、90℃で2時間反応させ、メタノールに沈殿させ未反応のチオ酢酸を除去し、末端にチオアセチル基を有するα−オレフィン系重合体を製造した。
【0125】
(3)上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有する重合体ブロック(A3)100重量部を、キシレン200重量部とn−ブタノール20重量部の混合溶媒中に溶解し、水酸化カリウムの4%n−ブタノール溶液10重量部を加えて、窒素中110℃で1時間反応させた後、0.6重量部の酢酸を加えることにより、末端にメルカプト基を有するα−オレフィン系重合体(重合体ブロック(A4))を製造した。
【0126】
<重合体ブロック(A4)の製造:末端にメルカプト基を有するα−オレフィン系重合体の製造>
(1)α−オレフィン系重合体(プロピレン成分92モル%、エチレン成分8モル%であるプロピレン系共重合体を、メタロセン触媒を用いて製造した(重量平均分子量200,000、Tm=75℃)。該α−オレフィン系重合体を二軸押出機に供給し、300℃で溶融混練して熱分解させて、末端に二重結合を有するα−オレフィン系重合体(重量平均分子量70,000)をそれぞれ製造した。
【0127】
(2)上記(1)で得られた末端に二重結合を有するα−オレフィン系重合体100重量部、キシレン300重量部およびチオ酢酸10重量部を反応器に入れて、内部を充分に窒素置換した後、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を加えて、90℃で2時間反応させて、末端にチオアセチル基を有するα−オレフィン系重合体を製造した。
【0128】
(3)上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有する重合体ブロック(A4)100重量部を、キシレン200重量部とn−ブタノール20重量部の混合溶媒中に溶解し、水酸化カリウムの4%n−ブタノール溶液10重量部を加えて、窒素中110℃で1時間反応させた後、0.6重量部の酢酸を加えることにより、末端にメルカプト基を有するα−オレフィン系重合体(重合体ブロック(A4))を製造した。
【0129】
(実施例19)
重合体ブロック(A4)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにメチルアクリレート20重量部、シクロヘキシルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部を加えて窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(21)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(21)の重量平均分子量は、33,000であった。
【0130】
製造したブロック共重合体(21)をメチルシクロヘキサン/酢酸プロピル(重量比60/40)の混合溶液で溶解した溶液(固形分30wt%)10gと市販のグラビア印刷用樹脂(三洋化成製サンプレンIB−422 固形分30wt%)120gと二酸化チタン(石原産業製 ルチル型)160gとメチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(重量比67/33)の混合液120gで希釈しサンドミルで1時間練肉した後、#3ザーンカップで25〜30秒/20℃の粘度になるようにインキを調製した。
【0131】
(実施例20)
重合体ブロック(A4)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート20重量部、ステアリルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部を加えて窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(22)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(22)の重量平均分子量は33,000であった。
【0132】
製造したブロック共重合体(2)をメチルシクロヘキサン/酢酸プロピル(重量比60/40)の混合溶液で溶解した溶液(固形分30wt%)10gと市販のグラビア印刷用樹脂(三洋化成製サンプレンIB−422 固形分30wt%)120gと二酸化チタン(石原産業製 ルチル型)160gとメチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(重量比67/33)の混合液120gで希釈しサンドミルで1時間練肉した後、#3ザーンカップで25〜30秒/20℃の粘度になるようにインキを調製した。
【0133】
(実施例21)
重合体ブロック(A4)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート20重量部、t−ブチルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(23)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(23)の重量平均分子量は、30,000であった。
【0134】
製造したブロック共重合体(3)をメチルシクロヘキサン/酢酸プロピル(重量比60/40)の混合溶液で溶解した溶液(固形分30wt%)10gと市販のグラビア印刷用樹脂(三洋化成製サンプレンIB−422 固形分30wt%)120gと二酸化チタン(石原産業製 ルチル型)160gとメチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(重量比67/33)の混合液120gで希釈しサンドミルで1時間練肉した後、#3ザーンカップで25〜30秒/20℃の粘度になるようにインキを調製した。
【0135】
(実施例22)
重合体ブロック(A4)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート20重量部、イソボルニルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(24)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(24)の重量平均分子量は、32,000であった。
【0136】
製造したブロック共重合体をメチルシクロヘキサン/酢酸プロピル(重量比60/40)の混合溶液で溶解した溶液(固形分30wt%)10gと市販のグラビア印刷用樹脂(三洋化成製サンプレンIB−422 固形分30wt%)120gと二酸化チタン(石原産業製 ルチル型)160gとメチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(重量比67/33)の混合液120gで希釈しサンドミルで1時間練肉した後、#3ザーンカップで25〜30秒/20℃の粘度になるようにインキを調製した。
【0137】
(実施例23)
重合体ブロック(A4)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート40重量部、アダマンチルメタクリレート60重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(25)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(25)の重量平均分子量は、32,000であった。
【0138】
製造したブロック共重合体をメチルシクロヘキサン/酢酸プロピル(重量比60/40)の混合溶液で溶解した溶液(固形分30wt%)10gと市販のグラビア印刷用インキ(三洋化成製サンプレンIB−422 固形分30wt%)120gと二酸化チタン(石原産業製 ルチル型)160gとメチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(重量比67/33)の混合液120gで希釈しサンドミルで1時間練肉した後、#3ザーンカップで25〜30秒/20℃の粘度になるようにインキを調製した。
【0139】
(実施例24)
重合体ブロック(A4)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート40重量部、シクロヘキシルアクリレート60重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)および−アクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(26)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(26)の重量平均分子量は、32,000であった。
【0140】
製造したブロック共重合体をメチルシクロヘキサン/酢酸プロピル(重量比60/40)の混合溶液で溶解した溶液(固形分30wt%)10gと市販のグラビア印刷用樹脂(三洋化成製サンプレンIB−422 固形分30wt%)120gと二酸化チタン(石原産業製 ルチル型)160gとメチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(重量比67/33)の混合液120gで希釈しサンドミルで1時間練肉した後、#3ザーンカップで25〜30秒/20℃の粘度になるようにインキを調製した。
【0141】
(実施例25)
重合体ブロック(A5)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにエチルアクリレート20重量部、t-ブチルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体(A)および-アクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(27)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(27)の重量平均分子量は90,000であった。
【0142】
製造したブロック共重合体をメチルシクロヘキサン/酢酸プロピル(重量比60/40)の混合溶液で溶解した溶液(固形分30wt%)10gと市販のグラビア印刷用樹脂(三洋化成製サンプレンIB−422 固形分30wt%)120gと二酸化チタン(石原産業製 ルチル型)160gとメチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(重量比67/33)の混合液120gで希釈しサンドミルで1時間練肉した後、#3ザーンカップで25〜30秒/20℃の粘度になるようにインキを調製した。
【0143】
(比較例3)
重合体ブロック(A4)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにメチルアクリレート20重量部、シクロヘキシルアクリレート80重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(28)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(28)の重量平均分子量は、30,000であった。
【0144】
製造したブロック共重合体(28)をメチルシクロヘキサン/酢酸プロピル(重量比60/40)の混合溶液で溶解した溶液(固形分30wt%)10gと市販のグラビア印刷用樹脂(三洋化成製サンプレンIB−422 固形分30wt%)120gと二酸化チタン(石原産業製 ルチル型)160gとメチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(重量比67/33)の混合液120gで希釈しサンドミルで1時間練肉した後、#3ザーンカップで25〜30秒/20℃の粘度になるようにインキを調製した。
【0145】
(比較例4)
重合体ブロック(A4)100重量部をトルエン250重量部に溶解し、これにメチルアクリレート20重量部、t−ブチルアクリレート80重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート80重量部を加えて、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒を除去し、α−オレフィン系重合体ブロック(A)およびアクリル酸エステルブロック(B)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(29)」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(29)の重量平均分子量は、38,000であった。
【0146】
製造したブロック共重合体をメチルシクロヘキサン/酢酸プロピル(重量比60/40)の混合溶液で溶解した溶液(固形分30wt%)10gと市販のグラビア印刷用樹脂(三洋化成製サンプレンIB−422 固形分30wt%)120gと二酸化チタン(石原産業製 ルチル型)160gとメチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(重量比67/33)の混合液120gで希釈しサンドミルで1時間練肉した後、#3ザーンカップで25〜30秒/20℃の粘度になるようにインキを調製した。
【0147】
<樹脂の物性の測定方法>
各樹脂の重量平均分子量、ガラス転移温度および水酸基価を、実施例1と同様の方法で測定した。
【0148】
<インキ試験>
得られたインキについて調製後の溶液状態の評価とセロハンテープ剥離試験・剥離強度試験を行った結果を表2に示す。
1)溶液状態の評価試験
インキ調製後、静置して目視により相溶性を評価した。評価基準はツブ、増粘、分離がなければ「良好」、ツブ、増粘、分離があれば「不良」とした。
【0149】
2)セロハンテープ剥離試験
コーティングロッド#5にてOPPフィルムコロナ処理面(フタムラ化学80μm)、ポリエステルフィルムコロナ処理面(ユニチカ25μm)、ナイロンフィルムコロナ処理面(ユニチカ25μm)それぞれにインキを塗工し、ドライヤーで乾燥させその後、セロハンテープ(ニチバン製24mm)をインキ塗工面に貼り付け、剥がした時の塗工面の状態を調べた。測定は3回行い、各評価結果に差がある場合には評価の範囲で表示した。
【0150】
評価基準 △以上であれば使用上問題ないが、〇であることが望ましい。
◎:剥がれが全くない状態
○:塗膜が90%以上残っている状態
△:塗膜が50%以上90%未満残っている状態
×:50%以上剥がれている状態
【0151】
3)剥離強度試験
セロハンテープ試験で得られた試験片にニチバン製NWBB−20を貼り付け、その片面にセロハンテープを貼り付け、テンシロンにてT型剥離強度(N/20mm)を測定した。(測定速度100mm/min)
【0152】
評価基準 △以上であれば使用上問題ないが〇であることが望ましい。
◎:使用上問題なくより望ましい値
○:使用上問題がない範囲の値
△:使用上問題がないが剥離などの懸念が残る範囲の値
×:使用上問題がある範囲の値
【0153】
表4に各実施例の組成物のモノマー組成を、表4に各実施例の試験の結果を示す。
【0154】
【表4】
【0155】
【表5】