特許第6641329号(P6641329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641329
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】撮像モジュール付きカテーテル
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20200127BHJP
   A61B 1/05 20060101ALI20200127BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20200127BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   H04N5/225 500
   A61B1/05
   G02B23/24 B
   H04N5/225 100
   A61B1/04 530
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-167992(P2017-167992)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2019-47298(P2019-47298A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2018年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】石塚 健
(72)【発明者】
【氏名】石橋 健一
(72)【発明者】
【氏名】石井 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】村上 大介
(72)【発明者】
【氏名】沼澤 吉延
(72)【発明者】
【氏名】臼田 秀秋
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−100101(JP,A)
【文献】 特開2017−140426(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0214892(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0025651(US,A1)
【文献】 特開2015−173736(JP,A)
【文献】 特開2010−258582(JP,A)
【文献】 特開平10−099267(JP,A)
【文献】 特開昭63−313970(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0005580(US,A1)
【文献】 米国特許第06635865(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N5/222−257
A61B1/00−07
G02B23/24−26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1撮像素子電極および第2撮像素子電極を有する撮像素子と、
絶縁部材である第1基板本体と、前記第1撮像素子電極に電気的に接続された第1電極端子と、前記第1電極端子に電気的に接続された第1中心導体端子と、前記第2撮像素子電極に電気的に接続された第2電極端子と、前記第2電極端子に電気的に接続されて前記第1基板本体を貫通する貫通電極と、前記貫通電極に電気的に接続された第1外部導体端子と、を備え、前記撮像素子に接続された端面を有する第1基板と、
絶縁部材である第2基板本体と、前記第2基板本体上に形成された第2配線と、前記第2基板本体の一方の面のみに形成されかつ前記第2配線に電気的に接続された第2中心導体端子および第2外部導体端子とを備えた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記第1中心導体端子と前記第2中心導体端子とを電気的に接続する中心導体および前記第1外部導体端子と前記第2外部導体端子とを電気的に接続する外部導体を有する信号ケーブルと、を備える撮像モジュールと、
前記第1基板及び前記信号ケーブルの一部が配置されるモジュール配置領域と、前記第1外部導体端子前記第2外部導体端子との間に位置するとともに前記モジュール配置領域に隣り合うチャネルとを有するチューブと、
を備え、
前記撮像素子から見て、前記撮像素子の投影面内に前記チャネルが配置され
前記第1電極端子、前記第1中心導体端子、および前記第1外部導体端子は前記第1基板本体の上面に形成され、
前記第2電極端子は前記第1基板本体の下面に形成されている、撮像モジュール付きカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像モジュール付きカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
電子内視鏡にあっては、固体撮像素子(以下、単に撮像素子とも言う)を配線基板を介して電線の先端に電気的に接続した構成の撮像モジュールが多く採用されている(例えば特許文献1)。
この種の撮像モジュールでは、配線基板の配線に複数本の電線先端が電気的に接続され、配線基板の配線を介して各電線が撮像素子と電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−109097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の撮像モジュールを使用した内視鏡等の撮像装置では、撮像モジュール及び撮像モジュールの配線基板に接続された複数本の電線をチューブに収容した構造が多く採用される。また、この撮像装置の電線の撮像モジュール側とは反対の後端部はチューブから引き出されて、電線からの撮像信号を受信してモニタ等の表示装置に画像表示させる撮像情報処理装置に電気的に接続される。
【0005】
近年では、ルーメンやワーキングチャネルが設けられたカテーテル等の医療機器に、撮像モジュールを適用することが検討されている。しかしながら、上記構成を有する撮像モジュールを医療機器に適用する場合、医療機器の径を増加する必要があり、医療機器に求められる細径化を実現することが難しいといった問題があった。
【0006】
本発明の態様が解決しようとする課題は、ルーメン等のチャネルを備えた細径の医療機器に適用可能な撮像モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1態様に係る撮像モジュールは、撮像素子電極を有する撮像素子と、絶縁部材である第1基板本体と、前記第1基板本体上に形成された第1配線と、前記撮像素子電極及び前記第1配線に電気的に接続された電極端子と、前記第1基板本体の一方の面のみに形成されかつ前記第1配線に電気的に接続された第1ケーブル端子とを備え、前記撮像素子に接続された端面を有する第1基板と、絶縁部材である第2基板本体と、前記第2基板本体上に形成された第2配線と、前記第2基板本体の一方の面のみに形成されかつ前記第2配線に電気的に接続された第2ケーブル端子とを備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記第1ケーブル端子と前記第2ケーブル端子とを電気的に接続する信号ケーブルと、を備え、前記第1ケーブル端子と前記信号ケーブルとが接続される面と、前記第2ケーブル端子と前記信号ケーブルとが接続される面とは、同一平面上に位置する。
【0008】
本発明の第1態様に係る撮像モジュールにおいては、前記撮像素子は、前記撮像素子電極が設けられた電極面を有し、2つの前記撮像素子電極の間に前記第1基板本体の端面が位置するように、前記第1基板が前記電極面に接続されてもよい。
【0009】
本発明の第1態様に係る撮像モジュールにおいては、前記第1基板は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、前記第1面と前記第2面との間において前記第1基板本体を貫通する貫通電極とを有し、前記第1配線は、前記第1面上及び前記第2面上に形成され、前記貫通電極に電気的に接続されてもよい。
【0010】
本発明の第1態様に係る撮像モジュールにおいては、前記信号ケーブルは、同軸ケーブルであってもよい。
【0011】
本発明の第2態様に係る撮像モジュール付きカテーテルは、上記第1態様に係る撮像モジュールと、前記第1基板及び前記信号ケーブルの一部が配置されるモジュール配置領域と、前記第1ケーブル端子と前記第2ケーブル端子との間に位置するとともに前記モジュール配置領域に隣り合うチャネルとを有するチューブと、を備え、前記撮像素子から見て、前記撮像素子の投影面内に前記チャネルが配置される。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明の上述した態様によれば、ルーメン等のチャネルを備えた細径の医療機器に適用可能な撮像モジュールを提供することができる。また、チャネル及び撮像モジュールの両方を具備する細径のカテーテルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る撮像モジュールの概略構成を示す部分断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る撮像モジュールの信号ケーブルを示す断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る撮像モジュールの概略構成を示す図であって、第1基板、第2基板、及び信号ケーブルの位置関係を説明するための図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る撮像モジュールの第1基板上に形成された配線パターンを示す平面図であり、撮像素子と信号ケーブルとの接続構造を説明するための図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るカテーテルの概略構成を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明の実施形態を説明する図においては、各構成要素を図面上で認識し得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法及び比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像モジュール1の概略構成を示す部分断面図である。
撮像モジュール1は、第1基板10と、第2基板20と、信号ケーブル30と、固体撮像素子40(撮像素子)と、レンズ筐体50とを備える。
【0016】
(第1基板10)
第1基板10は、絶縁部材である第1基板本体11と、第1基板本体11上に形成された第1配線12(上面配線12U、下面配線12L)とを備える。第1基板本体11は、上面11U(第1面)と、上面11Uとは反対側の下面11L(第2面)とを有する。上面11U上には、上面配線12Uが形成されている。下面11L上には、下面配線12Lが形成されている。上面11U及び下面11Lの両面において、第1配線12は、導電性の配線パターンを有する。
【0017】
第1基板本体11(第1基板10)は、固体撮像素子40に接続された外端面11E(端面)と、外端面11Eとは反対側の内端面11Fとを有している。外端面11Eが固体撮像素子40に接続されている状態で、第1基板本体11は固体撮像素子40の電極面43に対して略直交する方向に延在している。内端面11Fは、信号ケーブル30に隣接する空間に露出している。
【0018】
第1基板10は、上面11Uと下面11Lとの間において、第1基板本体11を貫通する貫通電極14を有する。貫通電極14は、上面配線12Uと下面配線12Lとを電気的に接続する。
【0019】
上面11Uには、上面配線12Uに電気的に接続された電極端子12HUが形成されている。下面11Lには、下面配線12Lに電気的に接続された電極端子12HLが形成されている。即ち、上面11U及び下面11Lの両面に電極端子が形成されている。電極端子12HUは、半田15を介して、後述する固体撮像素子40の撮像素子電極42U(42)に電気的に接続されている。電極端子12HLは、半田15を介して、固体撮像素子40の撮像素子電極42L(42)に電気的に接続されている。
【0020】
第1基板本体11の一方の面のみ、即ち、上面11U上のみに、中心導体端子12I(第1ケーブル端子)及び外部導体端子12J(第1ケーブル端子)が形成されている。中心導体端子12I及び外部導体端子12Jは、上面配線12Uに電気的に接続されている。中心導体端子12Iは、半田16を介して、後述する信号ケーブル30の中心導体31に電気的に接続されている。外部導体端子12Jは、半田17を介して、信号ケーブル30の外部導体33に電気的に接続されている。
【0021】
第1基板本体11の上面11Uにおいては、上面配線12Uの表面を覆うように上面レジスト13A、13B(13)が形成されている。上面レジスト13Aは、半田15と半田16との間に形成されている。上面レジスト13Bは、半田16と半田17との間に形成されている。第1基板本体11の下面11Lにおいては、下面配線12Lの表面を覆うように下面レジスト13C(13)が形成されている。
【0022】
図1において、固体撮像素子40から内端面11Fに向かう方向から見て、固体撮像素子40の投影面内に、信号ケーブル30が配置されており、固体撮像素子40の投影面から信号ケーブル30が部分的に突出していない。
【0023】
(第2基板20)
第2基板20は、絶縁部材である第2基板本体21と、第2基板本体21上に形成された第2配線22とを備える。第2基板本体21は、上面21U(一方の面)を有する。上面21U上には、中心導体端子22I(第2ケーブル端子)と、外部導体端子22J(第2ケーブル端子)と、シールド端子22K(第2ケーブル端子)とが形成されている。中心導体端子22I及び外部導体端子22Jは、第2配線22に電気的に接続されている。
中心導体端子22Iは、半田26を介して、信号ケーブル30の中心導体31に電気的に接続されている。外部導体端子22Jは、半田27を介して、信号ケーブル30の外部導体33に電気的に接続されている。シールド端子22Kは、半田29を介して、信号ケーブル30のシールド導体30Cに電気的に接続されている。
【0024】
第2基板本体21の上面21Uにおいては、第2配線22の表面を覆うようにレジスト23A、23B(23)が形成されている。レジスト23Bは、半田26と半田27との間に形成されている。レジスト23Aは、中心導体端子22I上において、半田26に隣接して形成されている。
【0025】
第2基板20は、第2基板本体21上に形成された外部接続端子24を有し、外部接続端子24は第2配線22に電気的に接続されている。外部接続端子24は、外部機器に接続される。なお、外部接続端子24及び第2配線22は、第2基板本体21上に同時に形成される。
【0026】
(固体撮像素子40、レンズ筐体50)
固体撮像素子40は、受光面41と、受光面41とは反対側に位置する電極面43と、電極面43に設けられた撮像素子電極42U、42L(2つの撮像素子電極)とを備える。撮像素子電極42U、42Lの間に第1基板本体11の外端面11Eが位置するように、第1基板10が電極面43に接続されている。
固体撮像素子40の電極面43に第1基板10の外端面11Eが接続された状態において、撮像素子電極42Uは、電極端子12HUに対して略直交する方向に平行な面を有し、撮像素子電極42Lは、電極端子12HLに対して略直交する方向に平行な面を有する。この構造においては、半田15は、互いに略直交する撮像素子電極42U及び電極端子12HUを接続し、互いに略直交する撮像素子電極42L及び電極端子12HLを接続する。
【0027】
図1においては、上下に配置された撮像素子電極42U、42Lが示されているが、電極面43の平面視(電極面43を鉛直方向から見た平面図)では、4つの撮像素子電極42が電極面43上に配置されている。即ち、2つの撮像素子電極42Uと、2つの撮像素子電極42Lが電極面43上に形成されている。
【0028】
受光面41にはレンズ筐体50が接続されており、レンズ筐体50には、対物レンズ等のレンズユニットが搭載されている。固体撮像素子40としては、例えば、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)を好適に用いられる。
【0029】
(信号ケーブル30)
図2は、本発明の第1実施形態に係る撮像モジュールの信号ケーブル30を示す断面図である。
信号ケーブル30は、第1基板10と第2基板20との間に設けられ、2本の同軸ケーブル(信号線、第1同軸ケーブル30A、第2同軸ケーブル30B)と、第1同軸ケーブル30A及び第2同軸ケーブル30Bを囲むシールド導体30Cと、シールド導体30Cを囲む外被30Dとを、備える。シールド導体30Cは外被30Dの内周面全体にわたって層状に設けられている。
図2では、シールド導体30Cは、第1同軸ケーブル30A及び第2同軸ケーブル30Bの各々の側部が互いに当接されたケーブル当接部から離隔して配置され、ケーブル当接部とその両側に位置するシールド導体30Cとの間に隙間30Eが存在する構成を例示している。但し、信号ケーブル30は、図2の隙間30Eの領域にシールド導体30Cが入り込み、実質的に第1同軸ケーブル30A及び第2同軸ケーブル30Bと層状のシールド導体30Cとの間に隙間が無い断面構造も採用可能である。
【0030】
同軸ケーブル30A、30Bの各々は、中心導体31(31A、31B)と、内部絶縁体32(32A、32B)と、外部導体33(33A、33B)と、外部絶縁体34(34A、34B)とを備える。例えば、中心導体31は、固体撮像素子40に信号を供給する信号ラインとして用いられ、外部導体33は、固体撮像素子40に電力を供給する電源ラインとして用いられる。
【0031】
中心導体31(31A、31B)は、第1基板10の中心導体端子12Iと第2基板20の中心導体端子22Iとを電気的に接続する。
外部導体33(33A、33B)は、第1基板10の外部導体端子12Jと第2基板20の外部導体端子22Jとを電気的に接続する。
【0032】
シールド導体30C及び外被30Dは、信号ケーブル30の全体に亘って、第1同軸ケーブル30A及び第2同軸ケーブル30Bを囲んでいる。第1基板10に近い位置(図1に示す内端面11Fに近い位置)では、シールド導体30C及び外被30Dは除去されており、第1同軸ケーブル30A及び第2同軸ケーブル30Bが露出している。その一方、第2基板20に近い位置(図1に示す内端面21Fに近い位置)では、外被30Dは除去されており、シールド導体30Cが露出し、シールド導体30Cは半田29を介してシールド端子22Kに電気的に接続されている。この構成では、シールド端子が、例えば、GNDに接続されることで、シールド導体30Cは接地される。
さらに、図1に示すように、第1同軸ケーブル30A及び第2同軸ケーブル30Bの各々を構成する外部導体33及び中心導体31は、第1基板10及び第2基板20の配線パターンに応じて露出している。具体的に、半田27と半田29との間で、外部導体33(33A、33B)は、外部絶縁体34(34A、34B)から露出している。露出した外部導体33(33A、33B)は、半田27を介して外部導体端子22Jに電気的に接続されている。半田27と半田26との間で、中心導体31(31A、31B)は、内部絶縁体32(32A、32B)から露出している。露出した中心導体31(31A、31B)は、半田26を介して中心導体端子22Iに電気的に接続されている。
【0033】
(第1基板10、第2基板20、及び信号ケーブル30の位置関係)
図3は、本発明の第1実施形態に係る撮像モジュールの概略構成を示す図であって、第1基板10、第2基板20、及び信号ケーブル30の位置関係を説明するための図である。
図3に示すように、第1基板10及び第2基板20が同一の水平面上に配置された状態では、第1ケーブル端子と信号ケーブル30とが接続される面10A(上面11U、第1面)と、第2ケーブル端子と信号ケーブル30とが接続される面20A(上面21U)とは、同一平面上に位置している。また、一組の第1基板10及び第2基板20に対して1つの信号ケーブル30が対応するように、第1基板10と第2基板20とが信号ケーブル30で接続されている。
【0034】
撮像モジュール1は、信号ケーブル30に捩り変形を与えることなく真っ直ぐに延在させた状態で、第1基板10の中心導体端子12I及び外部導体端子12Jが形成されている面10Aを上面とし、面10Aとは反対側の面を下面とし、第2基板20の中心導体端子22I及び外部導体端子22Jが形成されている面20Aを上面とし、面20Aとは反対側の面を下面としている。
したがって、図3に示すように、第1基板10及び第2基板20の各々の下面を同一水平面に当接させ、第1基板10及び第2基板20を同一水平面上に載置することが可能である。図3に示すように、第1基板10及び第2基板20を各々の下面を同一水平面に当接させて同一水平面上に載置したとき、信号ケーブル30は第1基板10及び第2基板20の上側に位置する。
この構成においては、第1基板10を構成する第1基板本体11及び第2基板20を構成する第2基板本体21を同一の水平面上に固定した状態で、面10A、20Aの各々に信号ケーブル30をはんだ付けにより接続することができ、撮像モジュール1を製造する工程の簡略化を図ることができる。
【0035】
さらに、撮像モジュール1を効率的に大量生産するには、複数組の第1基板10及び第2基板20の各組に1つの信号ケーブル30が対応するように、複数組の第1基板10及び第2基板20と複数の信号ケーブル30とをはんだ付けにより一括して接続する必要がある。
この場合、第1基板10の面10Aと第2基板20の面20Aとを同一平面上に位置した状態で、かつ、複数組の第1基板10及び第2基板20をX方向(図3の紙面に対して鉛直な方向)に並べて配置した状態で、複数組の第1基板10及び第2基板20に対して複数の信号ケーブル30を一括して接続することができる。
このような接続工程においては、第1基板10の面10Aと第2基板20の面20Aとを同一平面上に配置されているため、Z方向(重力方向)に向けてはんだを面10A、20Aに供給することができ、撮像モジュール1の量産工程における生産効率を高めることができる。
第1基板10の面10Aと第2基板20の面20Aとを同一平面上に配置することで、第1基板10や第2基板20を反転する必要が無く、基板の裏面に向けて(重力方向とは反対方向、矢印で示されたZ方向とは反対方向に向けて)はんだを供給する必要もない。従って、撮像モジュール1の大量生産と工程の簡略化とを両立することができる。
【0036】
なお、複数組の第1基板10及び第2基板20と複数の信号ケーブル30とをはんだ付けにより一括して接続する場合だけでなく、複数組の第1基板10及び第2基板20の各組に、信号ケーブル30を連続的に接続する場合においても、第1基板10や第2基板20を反転する必要が無く、撮像モジュール1の量産工程における生産効率を高めることができる。
【0037】
(第1基板10上における配線パターン)
図4は、本発明の第1実施形態に係る撮像モジュールの第1基板上に形成された配線パターンを示す図である。図4(a)は、第1基板本体11の上面11U上に形成された上面配線12Uの配線パターンを示している。図4(b)は、第1基板本体11の下面11L上に形成された下面配線12Lの配線パターンを示している。なお、図4(b)は、下面11Lを見た下面図ではなく、図4(a)に示す上面11Uから見た投影図である。このため、図4(a)に示す破線部分と、図4(b)に示す実線部分とが対応している。
なお、図1に示すように、第1基板本体11の上面11U及び下面11Lには上面レジスト13A、13B及び下面レジスト13Cが形成されているが、図4において、レジスト13A、13B、13Cは、省略されている。
【0038】
符号12JAは、外部導体端子12Jに対応しており、第1同軸ケーブル30Aの外部導体33Aが半田17を介して接続される端子である。以下、外部導体端子12JAと称する。符号12JBは、外部導体端子12Jに対応しており、第2同軸ケーブル30Bの外部導体33Bが半田17を介して接続される端子である。以下、外部導体端子12JBと称する。
【0039】
符号12IAは、中心導体端子12Iに対応しており、第1同軸ケーブル30Aの中心導体31Aが半田16を介して接続される端子である。以下、中心導体端子12IAと称する。符号12IBは、中心導体端子12Iに対応しており、第2同軸ケーブル30Bの中心導体31Bが半田16を介して接続される端子である。以下、中心導体端子12IBと称する。
【0040】
符号12HUAは、電極端子12HUに対応する端子であり、以下、電極端子12HUAと称する。符号12HUBは、電極端子12HUに対応する端子であり、以下、電極端子12HUBと称する。
【0041】
符号12HLAは、電極端子12HLに対応する端子であり、以下、電極端子12HLAと称する。符号12HLBは、電極端子12HLに対応する端子であり、以下、電極端子12HLBと称する。符号14A、14Bは、貫通電極14(貫通配線)に対応しており、以下、貫通電極14A、14Bと称する。
【0042】
図4(a)に示すように、外部導体端子12JAと貫通電極14Aとが電気的に接続されている。同様に、外部導体端子12JBと貫通電極14Bとが電気的に接続されている。また、中心導体端子12IAと電極端子12HUAとが電気的に接続されている。同様に、中心導体端子12IBと電極端子12HUBとが電気的に接続されている。
外部導体端子12JA、12JB、中心導体端子12IA、12IB、及び電極端子12HUA、12HUBは、公知のフォトリソグラフィ技術等を用いたパターニングにより、一括して形成することができる。
【0043】
図4(b)に示すように、貫通電極14Aと電極端子12HLAとが電気的に接続されている。同様に、貫通電極14Bと電極端子12HLBとが電気的に接続されている。すなわち、上面11U上に形成された外部導体端子12JAは、貫通電極14Aを介して、下面11L上に形成された電極端子12HLAと電気的に接続されている。また、上面11U上に形成された外部導体端子12JBは、貫通電極14Bを介して、下面11L上に形成された電極端子12HLBと電気的に接続されている。
電極端子12HLA、12HLBは、公知のフォトリソグラフィ技術等を用いたパターニングにより、一括して形成することができる。
また、貫通電極14A、14Bも、公知の方法により形成することができる。
【0044】
次に、撮像素子電極42に対する第1同軸ケーブル30A及び第2同軸ケーブル30Bの電気的接続構造を説明する。
図1及び図4(a)に示すように、第1同軸ケーブル30Aの中心導体31Aは、半田16を介して中心導体端子12IAに電気的に接続されている。また、第2同軸ケーブル30Bの中心導体31Bは、半田16を介して中心導体端子12IBに電気的に接続されている。
【0045】
これにより、中心導体端子12IA及び電極端子12HUAを介して中心導体31Aは撮像素子電極42U(42UA)に接続され、中心導体端子12IB及び電極端子12HUBを介して中心導体31Bは撮像素子電極42U(42UB)に接続される。
ここで、撮像素子電極42UAは、2つの撮像素子電極42Uのうち一方の電極、即ち、第1同軸ケーブル30Aの中心導体31Aと接続される電極である。撮像素子電極42UBは、2つの撮像素子電極42Uのうち他方の電極、即ち、第2同軸ケーブル30Bの中心導体31Bと接続される電極である。
【0046】
図1図4(a)、及び図4(b)に示すように、第1同軸ケーブル30Aの外部導体33Aは、半田17を介して外部導体端子12JAに電気的に接続されている。また、第2同軸ケーブル30Bの外部導体33Bは、半田17を介して外部導体端子12JBに電気的に接続されている。外部導体端子12JAは、貫通電極14Aを通じて下面11Lに達し、電極端子12HLAに接続されている。外部導体端子12JBは、貫通電極14Bを通じて下面11Lに達し、電極端子12HLBに接続されている。
【0047】
これにより、外部導体端子12JA及び電極端子12HLAを介して外部導体33Aは撮像素子電極42L(42LA)に接続され、外部導体端子12JB及び電極端子12HLBを介して外部導体33Bは撮像素子電極42L(42LB)に接続される。ここで、撮像素子電極42LAは、2つの撮像素子電極42Lのうち一方の電極、即ち、第1同軸ケーブル30Aの外部導体33Aと接続される電極である。撮像素子電極42LBは、2つの撮像素子電極42Lのうち他方の電極、即ち、第2同軸ケーブル30Bの外部導体33Bと接続される電極である。
【0048】
上述した第1実施形態によれば、第1基板本体11の上面11U上のみにおいて、中心導体端子12I(12IA、12IB)に中心導体31(31A、31B)が接続され、外部導体端子12J(12JA、12JB)に外部導体33(33A、33B)が接続されている。このため、下面11Lに中心導体及び外部導体を配置する必要が無くなり、下面11L上に空きスペースを形成することができる。また、上面11U及び下面11Lの両面に中心導体及び外部導体が形成されていないため、図1に示す内端面11Fが露出しており、内端面11F上に空きスペースを形成することができる。
このような空きスペースを有する撮像モジュール1をカテーテルに適用した場合、空きスペースを利用したチャネルを備えるカテーテルを実現できる。
撮像モジュール1を備えたカテーテルについては、後述する。
【0049】
なお、第1基板本体11の下面11L上に十分な空きスペースがあれば、電極端子12HLA及び電極端子12HLBの間にコンデンサ(バイパスコンデンサ)が設けられてもよい。
また、第1基板本体11の上面11U上に、半田15、16、17、信号ケーブル30の中心導体31及び外部導体33、上面レジスト13A、13Bを覆うように、樹脂モールドが形成されてもよい。このように上面11U上に樹脂モールドを形成することで、第1基板本体11の強度を高めることができる。
また、第1基板本体11の下面11L上に十分な空きスペースがあれば、下面11L上に、半田15及び下面レジスト13Cを覆うように、樹脂モールドが形成されてもよい。このように下面11L上に樹脂モールドを形成することで、第1基板本体11の強度を高めることができる。
【0050】
また、第1基板本体11の両面に樹脂モールドを形成してもよい。この場合、両面に形成された樹脂モールドによって、第1基板本体11の強度を更に高めることができる。
また、上述した第1実施形態では、第1配線12(外部導体端子、中心導体端子、電極端子)は、第1基板本体11の延在方向に沿って直線状に延びる2列の配線パターンが上面11U及び下面11Lの各々に形成された構造を有するが、本発明は、このような直線状の配線パターンを限定しない。第1配線12は、上面11Uにおける第1列目の配線が下面11Lにおける第2列目の配線に接続し、かつ、上面11Uにおける第2列目の配線が下面11Lにおける第1列目の配線に接続するようなクロスパターンを有してもよい。
【0051】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係るカテーテル60の概略構成を示す部分断面図である。
図5において、第1実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。図5に示すカテーテル60は、上述した撮像モジュール1を備えた撮像モジュール付きカテーテルである。
以下の説明では、カテーテル60のうち、固体撮像素子40又は第1基板10が配置されている位置を前方と称し、第2基板20が配置されている位置を後方と称する場合がある。
【0052】
カテーテル60は、例えば、シリコン等で形成された絶縁性のチューブ70を備えている。本実施形態では、チューブ70の材料としてシリコンを挙げたが、シリコン以外の可撓性材料や金属材料が用いられてもよい。
例えば、可撓性材料としては、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、例えば、テフロン(登録商標))等が挙げられる。金属材料としては、チタニウム、チタニウム合金、ステンレス鋼等が挙げられる。また、可撓性材料や金属材料に限らず、セラミックス材料がチューブ70の材料として用いられてもよい。
【0053】
チューブ70は、チューブ70の前方に位置するモジュール挿入口(不図示)と、ケーブル挿入口70Bと、撮像モジュール1のうち第1基板10及び信号ケーブル30の一部が配置されるモジュール配置領域71と、チャネル72と、ケーブル配置領域75と、第2基板取出口76とを有する。
具体的に、カテーテル60を製造する工程において、モジュール挿入口は撮像モジュール1がチューブ70に挿入される開口部であり、ケーブル挿入口70Bは撮像モジュール1のうち第2基板20及び信号ケーブル30が挿入される開口部であり、ケーブル配置領域75は第2基板20が通される管であり、第2基板取出口76は第2基板20がチューブ70の外部に取り出される開口部である。
このような製造工程を経て、チューブ70の前方(モジュール挿入口に近い位置)には固体撮像素子40が取り付けられ、モジュール配置領域71には第1基板10及び信号ケーブル30の一部が配置され、ケーブル配置領域75には信号ケーブル30が配置され、第2基板取出口76の外部に第2基板20が配置される。
【0054】
チューブ70は、第1基板10に近くに位置する前方開口部72Aと、第2基板20に近くに位置する後方開口部72Bとを有しており、前方開口部72Aと後方開口部72Bとの間に形成されている経路がチャネル72である。チャネル72は、外部導体端子12J(第1ケーブル端子)と外部導体端子22J(第2ケーブル端子)との間に位置し、モジュール配置領域71に隣り合うように配置されている。チャネル72とモジュール配置領域71とは、内壁74によって隔離されている。チャネル72は、固体撮像素子40から内端面11Fに向かう方向から見て、固体撮像素子40の投影面内に、配置されている。
【0055】
なお、チャネル72は、ルーメンとして用いられてもよいし、ワーキングチャネルとして用いられてもよい。チャネル72をルーメンとして用いる場合、例えば、カテーテル60の前方に向けて溶剤を吐出する溶剤注入ルーメン、或いは、カテーテル60の前方に存在する液体を除去するバキュームルーメンを、チューブ70に設けることができる。
また、チャネル72をワーキングチャネルとして用いる場合、例えば、符号73に示す処置具をチャネル72に挿入することが可能である。処置具73としては、例えば、各種鉗子、スネア、ガイドワイヤ、ステント、レーザ処置具、高周波処置具等が挙げられる。
【0056】
本実施形態においては、チャネル72は、信号ケーブル30が設けられていない撮像モジュール1の空きスペースを利用して形成されている。上述したように、撮像モジュール1においては、下面11Lに中心導体及び外部導体を配置する必要が無く、下面11L上に空きスペースが形成されている。また、内端面11Fが露出しており、内端面11F上に空きスペースが形成されている。このような空きスペースを利用して、チャネル72が設けられている。
【0057】
上述した第2実施形態によれば、下面11L上に形成された空きスペースや内端面11F上に形成された空きスペースを利用して、チャネル72をチューブ70に設けることができる。このため、チャネル72を形成するためにカテーテル60の外径が増加することが無い。チャネル及び撮像モジュールの両方を具備するとともに細径のカテーテル60を実現することができる。
【0058】
本発明の好ましい実施形態を説明し、上記で説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0059】
1…撮像モジュール、10…第1基板、10A…面(上面、第1面)、11…第1基板本体、11E…外端面、11F…内端面、11L…下面(第2面)、11U…上面(第1面)、12…第1配線、12HL、12HLA、12HLB、12HU、12HUA、12HUB…電極端子、12I、12IA、12IB…中心導体端子(第1ケーブル端子)、12J、12JA、12JB…外部導体端子(第1ケーブル端子)、12L…下面配線、12U…上面配線、13、13A、13B…上面レジスト(レジスト)、13C…下面レジスト(レジスト)、14、14A、14B…貫通電極、15、16、17、26、27、29…半田、20…第2基板、20A…面(上面)、21…第2基板本体、21F…内端面、22…第2配線、22I…中心導体端子(第2ケーブル端子)、22J…外部導体端子(第2ケーブル端子)、22K…シールド端子(第2ケーブル端子)、23、23A、23B…レジスト、24…外部接続端子、30…信号ケーブル、30A…第1同軸ケーブル(同軸ケーブル)、30B…第2同軸ケーブル(同軸ケーブル)、30C…シールド導体、30D…外被、30E…隙間、31、31A、31B…中心導体、32、32A、32B…内部絶縁体、33、33A、33B…外部導体、34、34A、34B…外部絶縁体、40…固体撮像素子(撮像素子)、41…受光面、42、42L、42LA、42LB、42U、42UA、42UB…撮像素子電極、43…電極面、50…レンズ筐体、60…カテーテル、70…チューブ、70B…ケーブル挿入口、71…モジュール配置領域、72…チャネル、72A…前方開口部、72B…後方開口部、73…処置具、74…内壁、75…ケーブル配置領域、76…第2基板取出口
図1
図2
図3
図4
図5