(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイワークフローは、自動化装置の異なるワークステーション上でのみ同時に処理される、請求項1に記載の方法。
前記自動化装置は、少なくとも1つの共有リソースを利用して、複数の異なる自動化アッセイワークフローに従って前記複数の試料を受け取り処理するように構成される、請求項1に記載の方法。
前記2つの別個のアッセイワークフローが、前記2つの別個のアッセイワークフローに関連するパラメータが前記少なくとも1つの共有リソースの第2レベルコンパチビリティを与える範囲外にはない場合、前記2つの別個のアッセイワークフローは第2レベルコンパチビリティである、請求項3に記載の方法。
前記利用可能な他の複数のアッセイワークフローのどれが前記第1アッセイワークフローと同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値を含むアッセイ定義ファイル又はユーザ定義プロトコルファイルを有するかを評価する工程は、
前記第1アッセイワークフローの第2コンパチビリティインデックス値とは異なる第2レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイワークフローを特定する工程と、
第2アッセイワークフローの第2リストを用意する工程とを含み、
前記第2リストでは前記第1アッセイワークフローの第2レベルコンパチビリティインデックス値とは異なる第2レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイワークフローが除外される、請求項1に記載の方法。
前記第2レベルコンパチビリティインデックス値は、規制区分、ワークフローのインコンパチビリティ、ビジネス上考慮すべき事柄及びこれらの組み合わせから成る群から選択されるパラメータに基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイワークフローが、自動化装置の同じワークステーション又は異なるワークステーションにおいて同時に処理される、請求項1に記載の方法。
前記第1レベルコンパチビリティインデックス値は、インキュベーション時間、溶解時間、試薬体積、試薬タイプ、インキュベーション温度、溶解温度、ワークステーション時間要求、規制区分、ビジネス上考慮すべき事柄及びこれらの組み合わせから成る群から選択されるパラメータに基づいて決定される、請求項8に記載の方法。
前記自動化装置は、前記第1レベルコンパチビリティインデックス値が異なる場合に、インコンパチブルなアッセイを同じワークステーション内で同時に実行することを妨げる、請求項1に記載の方法。
前記アッセイワークフローの少なくとも1つが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写増幅(TMA)、オリゴヌクレオチドライゲーション法(OLA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、鎖置換増幅(SDA)及びハイブリダイゼーション反応から成る群から選択される反応を含む、請求項1に記載の方法。
同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイワークフローは、自動化装置の異なるワークステーション上でのみ同時に処理される、請求項13に記載のシステム。
前記自動化装置は、少なくとも1つの共有リソースを利用して、複数の異なる自動化アッセイワークフローに従って前記複数の試料を受け取り処理するように構成される、請求項13に記載のシステム。
前記2つの別個のアッセイワークフローは、前記2つの別個のアッセイワークフローに関連するパラメータが前記少なくとも1つの共有リソースの第2レベルコンパチビリティを与える範囲外にはない場合に、前記2つの別個のアッセイワークフローは第2レベルコンパチビリティである、請求項15に記載のシステム。
前記利用可能な他の複数のアッセイワークフローのどれが前記第1アッセイワークフローと同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値を含むアッセイ定義ファイル又はユーザ定義プロトコルファイルを有するかを評価する工程は、
前記第1アッセイワークフローの第2コンパチビリティインデックス値とは異なる第2レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイワークフローを特定する工程と、
第2アッセイワークフローの第2リストを用意する工程とを含み、
前記第2リストでは前記第1アッセイワークフローの第2レベルコンパチビリティインデックス値とは異なる第2レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイワークフローが除外される、請求項13に記載のシステム。
前記第2レベルコンパチビリティインデックス値は、規制区分、ワークフローのインコンパチビリティ、ビジネス上考慮すべき事柄及びこれらの組み合わせから成る群から選択されるパラメータに基づいて決定される、請求項13に記載のシステム。
同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイワークフローが、自動化装置の同じワークステーション又は異なるワークステーションにおいて同時に処理される、請求項13に記載のシステム。
前記第1レベルコンパチビリティインデックス値は、インキュベーション時間、溶解時間、試薬体積、試薬タイプ、インキュベーション温度、溶解温度、ワークステーション時間要求、規制区分、ビジネス上考慮すべき事柄及びこれらの組み合わせから成る群から選択されるパラメータに基づいて決定される、請求項13に記載のシステム。
前記自動化装置は、前記第1レベルコンパチビリティインデックス値が異なる場合に、インコンパチブルなアッセイを同じワークステーション内で同時に実行することを妨げる、請求項13に記載のシステム。
前記アッセイワークフローの少なくとも1つが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写増幅(TMA)、オリゴヌクレオチドライゲーション法(OLA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、鎖置換増幅(SDA)及びハイブリダイゼーション反応から成る群から選択される反応を含む、請求項13に記載のシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
診断試験又は高スループット試験等を目的とした試料の処理が幾つかの重要な工程に分かれ得ることを考えると、多くの場合、1つ以上の工程を自動化することが望ましい。例えば、診断法の世界では、生物試料、例えば患者から採取したものを核酸増幅アッセイで使用して、対象標的核酸(例えば、DNA、RNA又は同様のもの)を増幅することができる。一旦増幅させたら、標的核酸の存在又は標的核酸の増幅産物(例えば、標的アンプリコン)を検出することができ、標的核酸及び/又は標的アンプリコンの存在を用いて標的(例えば、標的微生物又は同様のもの)を同定及び/又はその存在を定量する。多くの場合、核酸増幅アッセイは複数の工程を伴い、核酸抽出、核酸増幅及び検出を含み得る。これらの処理の特定の工程を自動化することが望ましい。
【0005】
複数の試料についてアッセイを並行して行うための改善された方法及びデバイスが必要とされている。本明細書に記載の実施形態はこのニーズに取り組むものであり、また臨床及び研究の場で有利に使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本テクノロジーは、自動化されたアッセイを実行するための方法及びシステム、特には複数の試料について自動化装置で複数のアッセイを実行することに関する。本テクノロジーの幾つかの実施形態において、このような方法及びシステムは、別個のアッセイワークフローを、これらのアッセイワークフローがコンパチブル(compatible)である場合に、装置で同時に実行することを可能にし得て、また同じワークステーション内でインコンパチブル(incompatible)なアッセイを同時に実行することを防止し得る。幾つかの実施形態は、自動化装置で複数のユーザ定義プロトコル(UDP)を実行することに関する。幾つかの実施形態は、アッセイ製造業者が開発した複数のアッセイ定義ファイル(assay definition file:ADF)を実行することに関する。幾つかの実施形態は、1つ以上のUDPを、任意で1つ以上のADFと組み合わせて、同じ自動化装置で同時に実行することに関する。
【0007】
本明細書で提示するテクノロジーの幾つかの実施形態においては、複数の試料について自動化されたアッセイを実行する方法を提供し、この方法では、自動化装置でアッセイを実行する場合に、改善された信頼性及び使いやすさが得られる。この方法は、第1ワークステーションと第2ワークステーションとを含む自動化装置を用意し、第1ワークステーション及び第2ワークステーションのそれぞれは複数の異なる自動化アッセイワークフローに従って複数の試料を受け取って処理するように構成され、異なる各自動化アッセイワークフローは、関連した固有のアッセイ定義又はユーザ定義プロトコルファイルを有し;2つの別個のアッセイワークフローが自動化装置での同時処理に関して互いにコンパチブルであるかインコンパチブルであるかを判断し;アッセイがコンパチブルである場合に、これら別個のアッセイワークフローを装置で同時に実行することを含み得る。
【0008】
幾つかの実施形態において、アッセイ定義又はユーザ定義プロトコルファイルは第1レベルコンパチビリティ(compatibility)インデックス値を含み得て、判断工程は、(a)利用可能なアッセイの第1リストから第1アッセイを選択し、(b)利用可能な他の複数のアッセイのどれが第1アッセイと同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値を含むアッセイ定義ファイルを有するかを評価することを含み得て、同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値は第1レベルコンパチビリティを示す。
【0009】
幾つかの実施形態において、評価工程は、(b1)第1アッセイの第1コンパチビリティインデックス値とは異なる第1レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイを特定し、(b2)第2アッセイの第2リストを用意することを含み得て、第2リストでは第1アッセイの第1コンパチビリティインデックス値とは異なる第1レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイを除外している。
【0010】
幾つかの実施形態において、各アッセイ定義ファイルは第2レベルコンパチビリティインデックス値を含み得て、判断工程は更に、(c)利用可能な他の複数のアッセイのどれが第1アッセイと同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値を含むアッセイ定義ファイルを有するかを評価することを含み得て、同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値は第2レベルコンパチビリティを示す。
【0011】
幾つかの実施形態において、評価工程は、(c1)第1アッセイの第2コンパチビリティインデックス値とは異なる第2レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイを特定し、(c2)第2アッセイの第2リストを用意することを含み得て、第2リストでは第1アッセイの第2コンパチビリティインデックス値とは異なる第2レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイを除外している。
【0012】
幾つかの実施形態において、第1レベルコンパチビリティは2つのアッセイを同時に単一のワークスステーションで実行するコンパチビリティを含み得て、パラメータは、インキュベーション時間、溶解時間、試薬体積、試薬タイプ、インキュベーション温度、溶解温度、ワークステーション時間要求、規制区分、ビジネス上考慮すべき事柄(business consideration)及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0013】
幾つかの実施形態において、第2レベルコンパチビリティは2つのアッセイを同時に自動化装置で実行するコンパチビリティを含み得て、パラメータは、規制区分、ワークフローのインコンパチビリティ、ビジネス上考慮すべき事柄及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0014】
幾つかの実施形態において、この装置は、第1コンパチビリティインデックスが異なる場合、インコンパチブルなアッセイを同じワークステーション内で同時に実行することができない。幾つかの実施形態において、2つの別個のアッセイワークフローは同じワークステーションで実行される。幾つかの実施形態において、装置は、異なる第2コンパチビリティインデックス値を有するアッセイを同時に実行することができない。幾つかの実施形態において、2つのアッセイは同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値を有し、また異なる第2レベルコンパチビリティインデックス値を有する。幾つかの実施形態において、第2レベルコンパチビリティインデックス値における違いはビジネス上の理由を含み得る。幾つかの実施形態において、第2レベルコンパチビリティインデックス値における違いは規制区分を含み得る。
【0015】
幾つかの実施形態において、もしアッセイがコンパチブルであるならば、この方法は更に、以下の工程の1つ以上を含み得る:(d)アッセイ特有試料作製スクリプトを装置で開始する工程、(e)消耗品パッケージ上の識別表示(indicia)を装置に保存された一連のアッセイ特有識別データと比較する工程、(f)装置でアッセイ特有カートリッジ装填スクリプトを開始する工程、(g)装填されたカートリッジにおける検出可能シグナル蛍光比のレベルを装置に保存された一連のアッセイ特有検出可能シグナルデータと比較して、カートリッジがうまく装填されたか否かを判断する工程、(h)アッセイ特有反応スクリプトを装置で開始する工程、(i)アッセイ特有データ分析アルゴリズムを装置で開始する工程又は(j)1つ以上のアッセイ特有リザルトアルゴリズム若しくはスクリプトに基づいてアッセイに対する最終判断(final call)を導き出す工程。
【0016】
幾つかの実施形態において、アッセイプロトコルは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写増幅(TMA)、オリゴヌクレオチドライゲーション法(OLA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、鎖置換増幅(SDA)及びハイブリダイゼーション反応から選択される群から選択される反応を含み得る。
【0017】
本明細書では自動化されたアッセイを実行するためのシステムも提示し、このシステムは、第1ワークステーションと第2ワークステーションとを含む自動化装置と、ここで第1ワークステーション及び第2ワークステーションのそれぞれは複数の異なる自動化アッセイワークフローに従って複数の試料を受け取って処理するように構成され、異なる各自動化アッセイワークフローは、関連した固有のアッセイ定義ファイル又はユーザ定義プロトコルファイルを有し、プロセッサと、ストレージ容量と、自動化されたアッセイを実行するためのプログラムとを含み、プログラムは、2つの別個のアッセイワークフローが自動化装置での同時処理に関して互いにコンパチブルであるかインコンパチブルであるかを判断し、アッセイがコンパチブルである場合に、これら別個のアッセイワークフローを装置で同時に実行するための命令を含む。
【0018】
上記のシステムの幾つかの実施形態において、アッセイ定義ファイル又はユーザ定義プロトコルファイルは第1レベルコンパチビリティインデックス値を含み得て、判断工程は、(a)利用可能なアッセイの第1リストから第1アッセイを選択し、(b)利用可能な他の複数のアッセイのどれが第1アッセイと同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値を含むアッセイ定義ファイルを有するかを評価することを含み得て、同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値は第1レベルコンパチビリティを示す。
【0019】
上記のシステムの幾つかの実施形態において、評価工程は、(b1)第1アッセイの第1コンパチビリティインデックス値とは異なる第1レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイを特定し、(b2)第2アッセイの第2リストを用意することを含み得て、第2リストでは第1アッセイの第1コンパチビリティインデックス値とは異なる第1レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイを除外している。
【0020】
上記のシステムの幾つかの実施形態において、各アッセイ定義ファイルは第2レベルコンパチビリティインデックス値を含み得て、判断工程は更に、(c)利用可能な他の複数のアッセイのどれが第1アッセイと同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値を含むアッセイ定義ファイルを有するかを評価することを含み得て、同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値は第2レベルコンパチビリティを示す。
【0021】
上記のシステムの幾つかの実施形態において、評価工程は、(c1)第1アッセイの第2コンパチビリティインデックス値とは異なる第2レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイを特定し、(c2)第2アッセイの第2リストを用意することを含み得て、第2リストでは第1アッセイの第2コンパチビリティインデックス値とは異なる第2レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイを除外している。
【0022】
上記のシステムの幾つかの実施形態において、第1レベルコンパチビリティは2つのアッセイを同時に単一のワークスステーションで実行するコンパチビリティを含み得て、パラメータは、インキュベーション時間、溶解時間、試薬体積、試薬タイプ、インキュベーション温度、溶解温度、ワークステーション時間要求、規制区分、ビジネス上考慮すべき事柄及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0023】
上記のシステムの幾つかの実施形態において、第2レベルコンパチビリティは2つのアッセイを同時に自動化装置で実行するコンパチビリティを含み得て、パラメータは、規制区分、ワークフローのインコンパチビリティ、ビジネス上考慮すべき事柄及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0024】
上記のシステムの幾つかの実施形態において、この装置は、第1コンパチビリティインデックスが異なる場合、インコンパチブルなアッセイを同じワークステーション内で同時に実行することができない。幾つかの実施形態において、これら2つの別個のアッセイワークフローは同じワークステーションで実行される。幾つかの実施形態において、装置は、異なる第2コンパチビリティインデックス値を有するアッセイを同時に実行することができない。幾つかの実施形態において、2つのアッセイは同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値を有し、また異なる第2レベルコンパチビリティインデックス値を有する。幾つかの実施形態において、第2レベルコンパチビリティインデックス値における違いはビジネス上の理由を含み得る。幾つかの実施形態において、第2レベルコンパチビリティインデックス値における違いは規制区分を含み得る。
【0025】
上記のシステムの幾つかの実施形態において、アッセイがコンパチブルである場合、システムは更に、以下のものの1つ以上のための命令を含み得る:(d)アッセイ特有試料作製スクリプトを装置で開始すること、(e)消耗品パッケージ上の識別表示を装置に保存された一連のアッセイ特有識別データと比較すること、(f)装置でアッセイ特有カートリッジ装填スクリプトを開始すること、(g)装填されたカートリッジにおける検出可能シグナルのレベルを装置に保存された一連のアッセイ特有検出可能シグナルデータと比較して、カートリッジがうまく装填されたか否かを判断すること、(h)アッセイ特有反応スクリプトを装置で開始すること、(i)アッセイ特有データ分析アルゴリズムを装置で開始すること又は(j)1つ以上のアッセイ特有リザルトアルゴリズム若しくはスクリプトに基づいてアッセイに対する最終判断を導き出すこと。
【0026】
上記のシステムの幾つかの実施形態において、アッセイプロトコルは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写増幅(TMA)、オリゴヌクレオチドライゲーション法(OLA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、鎖置換増幅(SDA)及びハイブリダイゼーション反応から選択される群から選択される反応を含み得る。
【0027】
上記のシステムの幾つかの実施形態において、システムは更にバーコードリーダーを含み得る。上記のシステムの幾つかの実施形態において、識別表示はバーコードを含み得る。
【0028】
本明細書ではコンパチブルである複数の別個のアッセイを単一の自動化装置で同時に実行する方法も提示し、この方法は、別個の各アッセイについて、第1ワークステーションと第2ワークステーションとを含む自動化装置を用意し、第1ワークステーション及び第2ワークステーションのそれぞれは複数の異なる自動化アッセイワークフローに従って複数の試料を受け取って処理するように構成され、異なる各自動化アッセイワークフローは、第1レベルコンパチビリティインデックス値及び第2レベルコンパチビリティインデックス値を含む関連した固有のアッセイ定義ファイル又はユーザ定義プロトコルファイルを有し;利用可能なアッセイの第1リストから第1アッセイを選択し;利用可能な他の複数のアッセイのどれが第1アッセイと同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値を含むアッセイ定義ファイル又はユーザ定義プロトコルファイルを有するかを評価し、同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値は自動化装置の同じワークステーション上での同時処理についてのコンパチビリティを示し;利用可能な他の複数のアッセイのどれが第1アッセイと同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値を含むアッセイ定義ファイル又はユーザ定義プロトコルファイルを有するかを評価し、同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値は自動化装置での同時処理についてのコンパチビリティを示し;アッセイがコンパチブルである場合にこれら別個のアッセイワークフローを同時に装置で実行することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0030】
自動診断装置は今日、複数の試料の処理及び試験を並行して行うことができる。これらのデバイスを高スループットで使用して試料の作製及び試験を促進することができ、有利である。例えば、自動診断装置は核酸増幅アッセイ用の試料を作成し、増幅及び検出を行うことができる。しかしながら、試料のタイプ及びアッセイのタイプによっては、多くの場合、アッセイプロトコルは、装置の物理的な制約又はビジネス上の理由により同じ装置上で互いにコンパチブルではない。例えば、任意の2つのアッセイプロトコルは、装置が単一のワークステーションで異なるアッセイを試料に実行することを不可能にする又は同じ装置で実行することさえ不可能にする異なるインキュベーション時間、溶解時間、試薬体積、試薬タイプ、インキュベーション温度、溶解温度、ワークステーション時間要求又は他のパラメータを有し得る。物理的な制約に加えて、規制区分及びビジネス上考慮すべき事柄はそれぞれ、装置による試料の同時処理を妨げ得る要因である。この問題に対応するために、ユーザは、複数のアッセイプロトコルを同じラックで同時に実行できるか否か、あるいは同じ装置の異なるラックであっても実行できるか否かを判断するためのチャート又は表でアッセイプロトコルを手作業で比較しなくてはならなかった。このような手作業のアプローチは誤りが起きやすく、また効率が悪く、労働集約的である。そのため、コンパチブルなアッセイプロトコルを特定し、コンパチブルではないアッセイプロトコルが同時に実行されないようにする改善された方法への大きな需要がある。
【0031】
上記のことから、本明細書では、アッセイプロトコルを自動化装置で実行するための方法及びシステムを提供する。本テクノロジーの幾つかの実施形態において、このような方法及びシステムは、別個のアッセイワークフローを、これらのアッセイワークフローがコンパチブルである場合に、装置で同時に実行することを可能にし得て、またインコンパチブルなアッセイプロトコルを同じ装置内で同時に実行することを防止し得る。本明細書で提供する方法により、自動化装置でアッセイを実行する場合に、改善された信頼性及び使いやすさが得られる。
【0032】
したがって、本明細書では、第1ワークステーションと、第2ワークステーションと、両方のワークステーションが共有する共通サービスとを含む自動化装置を用意し、第1ワークステーション及び第2ワークステーションのそれぞれは複数の異なる自動化アッセイワークフローに従って複数の試料を受け取って処理するように構成され、異なる各自動化アッセイワークフローは、関連した固有のアッセイ定義又はユーザ定義プロトコルファイルを有し;2つの別個のアッセイワークフローが自動化装置での同時処理に関して互いにコンパチブルであるかインコンパチブルであるかを判断し;アッセイプロトコルがコンパチブルである場合に、これら別個のアッセイワークフローを装置で同時に実行する方法を提供する。
【0033】
本明細書で使用の用語「ワークステーション」、「ラック」及び同様の用語は、複数の試料を一緒に処理するように設計された装置内でこれらの試料を保持することができるアセンブリを意味する。したがって、同じラックで同時に実行することができる2つのワークフローを本明細書では「ラックコンパチブル」とする。
【0034】
同じ装置で同時に実行することができる2つのワークフローを本明細書では「ランコンパチブル」とする。特定の実施形態において、2つのランコンパチブルなワークフローは同じラックではコンパチブルではないものの、装置の別々のラックでは実行することができる。特定の実施形態において、2つのランコンパチブルなワークフローは同じラックでコンパチブルである。特定の他の実施形態において、2つのランコンパチブルではないワークフローは同じラックではコンパチブルであるものの、様々な理由のいずれかにより、同じ装置で同時に実行することができない。
【0035】
本明細書で使用の用語「ワークフロー」、「アッセイワークフロー」、「アッセイ」、「アッセイプロトコル」、「試験」及び同様の用語は、試料を処理する手順を意味する。典型的な実施形態において、ワークフローは試料作製工程、例えば細胞溶解、核酸抽出、核酸精製、核酸消化、核酸修飾、タンパク質抽出、タンパク質精製及び同様のものを含み得る。本明細書で開示の実施形態において有用な核酸抽出の幾つかの方法は当該分野で公知である。核酸抽出の模範的な考察は、例えば2008年7月11日出願の米国特許出願第12/172214号、2008年7月11日出願の米国特許出願第12/172208号及び2005年11月16日出願の米国特許出願第11/281247号の明細書に見出すことができ、これらの文献は全て参照により全て本明細書に組み込まれる。同様に、タンパク質抽出についての模範的な考察は、例えば米国特許第8053239号及び第6864100号の明細書に見出すことができ、これらの文献は共に参照により全て本明細書に組み込まれる。
【0036】
幾つかの典型的な実施形態において、ワークフローは核酸増幅反応も含み得る。幾つかの典型的な実施形態において、ワークフローは更にデータ分析手順を含み得る。
【0037】
したがって、特定の実施形態において、ワークフローは、物理的な違い、例えばインキュベーション時間、溶解時間、試薬体積、試薬タイプ、インキュベーション温度、溶解温度、ワークステーション時間要求及び同様のものにより、直接的に互いにコンパチブルではない。これらのパラメータのそれぞれは、自動化装置内のどちらかのワークステーションそれ自体の動作及び能力又は共有サービスリソースに、固有の物理的制約を課す。例えば、RNA抽出プロトコル、DNA抽出プロトコル及びタンパク質抽出プロトコルはそれぞれ、装置のピペッティングヘッドに関して異なる動作を必要とし得るため、同じワークステーション上で同時に処理することはできない。別の例を挙げると、PCRアッセイ及び標的への検出プローブのハイブリダイゼーションだけに頼ったアッセイは異なる温度サイクル及びタイミング要件を必要とし得るため、同時に処理することはできない。当然のことながら、いずれの物理的、時間的又は他の制限も、2つのワークフローが直接互いにコンパチブルではない理由を提示し得る。
【0038】
特定の実施形態において、インコンパチビリティは、2つ以上のワークステーションが共有する、自動化装置内の共有サービスリソースの動作及び能力に対する物理的制約によってもたらされる。
図4に示すように、2つ以上の独立したワークステーションは共有リソースを利用し得る。共有リソースは、例えば、ピペッタ、ロボットアーム、単一検出器ユニット又は2つ以上のワークステーションが共有する他のリソースになり得る。
【0039】
コンパチビリティを示すために、アッセイ間で物理的な、時間的な又は他のパラメータが同じである必要はない。むしろ、パラメータは、例えば共有リソースのコンパチビリティをもたらすある範囲内におさまり得る。後出の実施例1の表2では、ある範囲内で異なるものの依然としてコンパチビリティを維持するパラメータを有するアッセイについての例を挙げており、一方、範囲外のパラメータを有するアッセイはもはやコンパチブルではない。
【0040】
加えて、本来ならば装置上で物理的にコンパチブルなワークフローがそれでもなお他の理由によりコンパチブルではない場合もある。特定の実施形態においては、規制上の制約に従うために、2つのワークフローを同時に実行することができない。例えば、1つのアッセイプロトコルが米食品医薬品局(FDA)等の規制当局によって認可されているならば、当局は、そのアッセイプロトコルを認可されていないアッセイプロトコルと同時に実行することはできないと規定し得る。同様に、特定の実施形態において、装置の製造業者若しくはユーザ、消耗材又は試薬は契約上の制約又は他のビジネス上の制限下に置かれ得て、2つのワークフローを同じ装置で同時に実行することはできない。当然のことながら、インコンパチブルであることは、製造業者又はユーザが2つのワークフローがインコンパチブルであるべきとする任意の理由について決定され得る。本明細書で提供する方法及びシステムは、コンパチブルなワークフローを特定し且つコンパチブルな複数のワークフローを同じ装置で同時に実行することを可能にする。
【0041】
図3に示すように、ラック及びランコンパチビリティは、多数のワークフローパラメータのいずれによっても決定され得る。例えば、ラック又はランコンパチビリティを決定し得るパラメータには、以下に限定するものではないが、試薬ストリップのデザイン、消耗試薬の数及びタイプ並びにワークフロー中に実行する特定の処理、例えば核酸抽出又は抽出後の核酸試料の全分析が含まれる。
【0042】
アッセイ定義ファイル
本明細書で提供する方法及びシステムの実施形態において、異なる各自動化アッセイワークフローは、関連する固有アッセイ定義又はユーザ定義プロトコルファイルを有する。本明細書で使用の用語「アッセイ定義ファイル(ADF)」は、そのワークフローに関するアッセイ特有パラメータの少なくとも一部、典型的には全てを提供するファイルを意味する。加えて、ADFは特定のワークフローに関するコンパチビリティインデックス値を提供し得る。典型的な実施形態において、ADFは、自動化装置でアッセイを実行するのに必要な情報の全てを格納し得る。ADFの1つの機能は、装置とアッセイとの間に独立性をもたらすことである。この独立性により、装置製造業者又はアッセイ試薬製造業者は、装置についての新しいアッセイプロトコルを、装置ソフトウェアを大きく改訂することなくリリースすることができる。
【0043】
ADFは、以下の表1に記載の項目の1つ以上を含み得る。特に、ADFは、ラック及びランコンパチビリティに関して2つのレベルのインデックス値を含み得る。
【表1】
【0044】
したがって、本明細書で提供する方法及びシステムの幾つかの実施形態において、アッセイプロトコルがコンパチブルならば、ADFは以下の1つ以上を実行するための命令を含み得る:アッセイ特有試料作製スクリプトを装置で開始すること;消耗品パッケージ上の識別表示を装置に保存された一連のアッセイ特有識別データと比較すること;装置でアッセイ特有カートリッジ装填スクリプトを開始すること;装填されたカートリッジにおける検出可能シグナルのレベルを装置に保存された一連のアッセイ特有検出可能シグナルデータと比較して、カートリッジがうまく装填されたか否かを判断すること;アッセイ特有反応スクリプトを装置で開始すること;アッセイ特有データ分析アルゴリズムを装置で開始すること;又は1つ以上のアッセイ特有リザルトアルゴリズム若しくはスクリプトに基づいてアッセイに対する最終判断を導き出すこと。カートリッジ装填スクリプト中に比較される検出可能シグナルは、正しく装填されたことを示すいずれの適切な検出可能シグナルにもなり得る。典型的な実施形態において、検出可能シグナルは蛍光であり、試料又は試薬における様々な波長での蛍光の比を一連の予め求められた蛍光データと比較することで、カートリッジが正しく装填されたか否かを判断することができる。
【0045】
幾つかの実施形態において、ADFは、以下に限定するものではないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写増幅(TMA)、オリゴヌクレオチドライゲーション法(OLA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ローリングサークル増幅(LCR)、鎖置換増幅(SDA)及びハイブリダイゼーション反応を含めた反応も含み得る。
【0046】
後出の実施例5では、装置でアッセイプロトコルを実行するためのADFファイルの使用例について説明する。
【0047】
典型的には、カスタマーに新しいアッセイが利用可能になる場合、対応するADFを装置にインストールする。ADFを装置に一旦インストールしたら、そのアッセイはその装置で実行できるようになる。次に、装置のソフトウェアはインデックス値を使用してランワークリストへの試験の追加を制御することができる。複数のアッセイプロトコルが同じラックインデックス値を共有するならば、これらのアッセイプロトコルは、単一のラックの隣接する位置でワークリスト中に存在することができる。2つのアッセイプロトコルが異なるランインデックスを有するならば、これらのアッセイプロトコルが同じランワークリスト中に存在することはできない。ユーザがランに含める第1アッセイを選択すると、ソフトウェアはその装置で利用可能な他の全てのアッセイプロトコルのコンパチビリティインデックス値をチェックし、上記のルールに従ってユーザが選択できるアッセイプロトコルのリストを修正することで、カスタマーがコンパチブルではないアッセイプロトコルを選択しないようにする。
【0048】
ADFはいずれの適切なフォーマットでも用意し得る。例えば、製造業者はADFをCD−ROM、USBキー等のストレージ媒体で用意することもでき、あるいは製造業者からダウンロードして装置を制御する端子に転送することもできる。したがって、それぞれが別個のアッセイプロトコルを定義している複数のADFを同じ装置にインストールし得る。有利には、本明細書で提供する方法及びシステムは、ユーザにチャート又は表を参照させるのではなく、システムに同じコンパチビリティインデックス値を有するアッセイプロトコルを特定させることを可能にする。
【0049】
ユーザ定義プロトコル
特定の実施形態において、アッセイパラメータは、製造業者ではなくユーザによって決定される。これらのユーザ定義プロトコル(UDP)にも第1レベル及び第2レベルコンパチビリティインデックス値を割り当てて他の商業的に開発されたアッセイプロトコルとのコンパチビリティを確保することができる。インデックス及びアッセイ定義ファイルのメリットの1つは、ユーザ定義アッセイプロトコルと、同じようにコンパチビリティをカバーする商業的に開発されたアッセイプロトコルとの間でファイアウォールが得られることである。インデックス値を使用することで、商業的に開発されたアッセイプロトコルのインデックス値とは異なるユーザ定義プロトコルについて固有の制御手段を設定することができる。
図1に示す実施形態において、ユーザ定義プロトコルは、UDP及び「抽出のみ」とラベリングされたボックスで表される。
【0050】
したがって、
図1に示すように、UDPについての第1レベル及び第2レベルコンパチビリティインデックス値を、ADFについてコンパチビリティを決定する同様の要素に従って割り当てることができる。そのような要素には、例えば、ユーザが選択する抽出キット及びPCRタイプ、試薬ストリップのデザイン、MM(マスターミックス)の数並びに特定の処理(抽出対全処理)が含まれる。したがって、UDPは全コードの一部としてコンパチビリティインデックス値を含み得て、これは製造業者によって提供されるADFがないからである。この処理の実例を後出の実施例6で記載する。
【0051】
当然のことながら、新しい抽出キット、PCRアッセイタイプ及び他の試薬には製造業者によってADFと同様のファイルが与えられる場合がある。したがって、そのようなファイルが装置にインストールされ、新しいUDPが作成される場合、1つ以上のUDPについてのインデックス値がそれに応じてアップデートされ得る。
【0052】
第1レベルコンパチビリティインデックス値
幾つかの実施形態において、アッセイ定義又はユーザ定義プロトコルファイルは、第1レベルコンパチビリティインデックス値を含み得る。典型的には、第1レベルコンパチビリティインデックス値は、ラックコンパチビリティに言及している。しかしながら、特定の他の実施形態において、第1レベルコンパチビリティインデックス値は、ランコンパチビリティに言及しており、第2レベルインデックス値は、ラックコンパチビリティに言及している。このため、この方法は、(a)利用可能なアッセイプロトコルの第1リストから第1アッセイプロトコルを選択し;(b)利用可能な他の複数のアッセイプロトコルのどれが第1アッセイと同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値を含むアッセイ定義ファイルを有するかを評価することを含み得る。典型的な実施形態において、同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値を有する2つのアッセイプロトコルは、第1レベルコンパチビリティを示す。しかしながら、当然のことながら、コンパチビリティ値を個々のアッセイに割り当て且つ特定することができるいずれの適切な手段も、本明細書で提供する方法及びシステムにおいて役立ち得る。したがって、幾つかの実施形態において、ラックコンパチブルである2つのアッセイプロトコルは異なる第1レベルインデックス値を有し得る。しかしながら、本開示における便宜上、第1レベルコンパチビリティを有する2つのアッセイプロトコルは、同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値を有するとみなされる。
【0053】
利用可能なアッセイプロトコルのリストは、実行する1つ以上のアッセイプロトコルをユーザが選択し、第1レベルコンパチビリティが評価されると変化し得る。このため、評価工程(b)は、(b1)第1アッセイの第1コンパチビリティインデックス値とは異なる第1レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイプロトコルを特定し;(b2)第2アッセイプロトコルの第2リストを用意する工程を含み得て、第2リストでは第1アッセイの第1コンパチビリティインデックス値とは異なる第1レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイを除外している。
【0054】
幾つかの実施形態において、第1レベルコンパチビリティは、単一のワークステーションで2つのアッセイプロトコルを同時に実行することを妨げ得るいずれのパラメータも考慮に入れることができる。そのようなパラメータは当業者に公知であり、例えば、インキュベーション時間、溶解時間、試薬体積、試薬タイプ、インキュベーション温度、溶解温度、ワークステーション時間要求及び同様のもの等の物理的パラメータを含み得る。さらに、他のパラメータには、規制区分、ビジネス上考慮すべき事柄及び同様のもの等の考慮すべき事柄が含まれ得る。
【0055】
第2レベルコンパチビリティインデックス値
幾つかの実施形態において、アッセイ定義又はユーザ定義プロトコルファイルは、第2レベルコンパチビリティインデックス値を含み得る。典型的には、第2レベルコンパチビリティインデックス値は、ランコンパチビリティに言及している。しかしながら、他の特定の実施形態において、第2レベルコンパチビリティインデックス値は、ラックコンパチビリティに言及しており、第2レベルインデックス値はランコンパチビリティに言及している。したがって、この方法は、(c)利用可能な他の複数のアッセイプロトコルのどれが第1アッセイと同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値を含むアッセイ定義ファイルを有するかを評価することを含み得て、同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値は第2レベルコンパチビリティを示す。典型的な実施形態において、同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値を有する2つのアッセイプロトコルは第2レベルコンパチビリティを示す。しかしながら、当然のことながら、コンパチビリティ値を個々のアッセイに割り当て且つ特定することができるいずれの適切な手段も、本明細書で提供する方法及びシステムにおいて役立ち得る。したがって、幾つかの実施形態において、ランコンパチブルである2つのアッセイプロトコルは、異なる第2レベルインデックス値を有し得る。しかしながら、本開示における便宜上、第2レベルコンパチビリティを有する2つのアッセイプロトコルは、同じ第2レベルコンパチビリティインデックス値を有するとみなされる。
【0056】
利用可能なアッセイプロトコルのリストは、実行する1つ以上のアッセイプロトコルをユーザが選択し、第2レベルコンパチビリティが評価されると変化し得る。そのため、評価工程(c)は、(c1)第1アッセイの第2コンパチビリティインデックス値とは異なる第2レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイプロトコルを特定し、(c2)第2アッセイプロトコルの第2リストを用意する工程を含み得て、第2リストでは第1アッセイの第2コンパチビリティインデックス値とは異なる第2レベルコンパチビリティインデックス値を有するアッセイを除外している。
【0057】
幾つかの実施形態において、第2レベルコンパチビリティは、単一のワークステーションで2つのアッセイプロトコルを同時に実行することを妨げ得るいずれのパラメータも考慮に入れることができる。そのようなパラメータは当業者に公知であり、例えば、インキュベーション時間、溶解時間、試薬体積、試薬タイプ、インキュベーション温度、溶解温度、ワークステーション時間要求及び同様のもの等の物理的パラメータを含み得る。さらに、他のパラメータには、規制区分、ビジネス上考慮すべき事柄及び同様のもの等の考慮すべき事柄が含まれ得る。
【0058】
幾つかの実施形態において、第1コンパチビリティインデックスが異なる場合、装置は、コンパチブルではないアッセイプロトコルを同じワークステーション内で同時に行わない。幾つかの実施形態において、これら2つの別個のアッセイワークフローは、同じワークステーションで実行される。幾つかの実施形態において、装置は、異なる第2コンパチビリティインデックス値を有するアッセイプロトコルを同時に実行することができない。幾つかの実施形態において、2つのアッセイプロトコルは、同じ第1レベルコンパチビリティインデックス値を有し、また異なる第2レベルコンパチビリティインデックス値を有する。幾つかの実施形態において、第2レベルコンパチビリティインデックス値における違いは、ビジネス上の理由を含み得る。幾つかの実施形態において、第2レベルコンパチビリティインデックス値における違いは規制区分を含み得る。
【0059】
当然のことながら、上記のこの2レベルインデックスは、2ワークフローシステムから装置で同時に実行することが望ましいより大きな数のワークフローに拡張可能である。ただし、物理的又はビジネス上の制約から同時の実行には制約がかかる場合がある。したがって、
図3に示すように、必要に応じて追加のワークフローを1つのラック又は複数のラックに追加し得て、本明細書に記載の方法によって全てのアッセイ間でのコンパチビリティが維持される。
【0060】
装置及びシステム
本明細書では自動化されたアッセイを実行するためのシステムも提示し、このシステムは、第1ワークステーションと第2ワークステーションとを含む自動化装置を含み、第1ワークステーション及び第2ワークステーションのそれぞれは複数の異なる自動化アッセイワークフローに従って複数の試料を受け取って処理するように構成され、また単一のサービスリソースによってサポートされている。異なる各自動化アッセイワークフローは典型的には、関連した固有のアッセイ定義ファイル又はユーザ定義プロトコルファイルを含む。システムは、プロセッサ、ストレージ容量及び自動化されたアッセイを実行するためのプログラムも含み、プログラムは、2つの別個のアッセイワークフローが自動化装置での同時処理に関して互いにコンパチブルであるかインコンパチブルであるかを判断し、これらのアッセイがコンパチブルである場合に、これら別個のアッセイワークフローを装置で同時に実行するための命令を含む。
【0061】
複数のアッセイプロトコルを同時に実行できる自動化装置は、当業者に公知である。本明細書で提供する方法で使用するための典型的な自動化装置についての模範的な考察は、例えば2008年7月14日出願の米国特許出願第12/173023号明細書に見出すことができ、この文献は参照により全て本明細書に組み込まれる。
【0062】
当然のことながら、本明細書に記載の方法及びシステムは、2、3、4つ又はそれ以上のワークステーションを含む装置にも適用し得て、ワークステーションの少なくとも2つは共通サービスリソースによってサポートされる。例えば、4つのワークステーション及び1つのピペットヘッドを備えた装置は依然として、本明細書に記載の2インデックス方式でコンパチビリティ制御され得る。
【0063】
本明細書で使用の用語「ストレージ容量」、「ストレージデバイス」、「ストレージ」及び同様のものは、情報を保存するためのいずれの媒体、デバイス又は手段のことにもなり得る。ストレージには、以下に限定するものではないが、ディスクドライブデバイス、例えばハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、光学又は光磁気ディスク、メモリ、例えばRAM又はROMチップ及びデータの記録又は保存に使用される他の媒体が含まれ得る。幾つかの実施形態において、ストレージ容量はプロセッサに連結され、このプロセッサが、取得後にストレージ容量に記録される情報を送信する。特定の実施形態において、データはシステムによって取得され、ストレージ容量に記録される。他の実施形態において、データはシステムによって取得され、情報はまず処理され、この処理された情報がストレージ容量に記録される。
【0064】
本明細書で提供するファイル及びプログラムはいずれの適切なプログラミング言語でも書くことができる。特定の実施形態において、ADFは、ファイルをフォーマットするための手段としてXMLを利用する。さらに、特定の実施形態において、ADFはスクリプト言語としてPythonを利用することで、装置で利用可能な一般的な技術を使用したリザルトロジックを実行するための方法を提供する。当然のことながら、いずれの適切なファイルフォーマット及びプログラミング言語も、本明細書で提供する方法及びシステムで利用し得る。特定の実施形態においては、カウンターフィット試薬の使用を防止し、またアッセイのランについての特定のパラメータ詳細を制御するためにファイルを暗号化し得る。
【0065】
本明細書で使用の「入力」とは、例えば、キーボード、ローラーボール、マウス、音声認識システム又はユーザからコンピュータへと情報を伝達可能な他のデバイスから受け取ったデータであり得る。この入力装置は、ディスプレイに関連づけられたタッチスクリーンにもなり得て、この場合、ユーザは、スクリーンに触れることでディスプレイ上のプロンプトに応答する。ユーザは、キーボード又はタッチスクリーン等の入力装置を介して文字情報を入力し得る。
【0066】
本発明は、多数の他の汎用又は特殊用途コンピューティングシステム環境又は構成で動作可能である。本発明との使用に適してい得る周知のコンピューティングシステム、環境及び/又は構成の例には、以下に限定するものではないが、マイクロコントローラ、パーソナルコンピュータ、サーバーコンピュータ、携帯又はラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサをベースとしたシステム、プログラマブルな家庭用電気製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステム又はデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境が含まれる。
【0067】
本明細書で使用の「命令」とは、システムにおいて情報を処理するためのコンピュータ実装工程のことである。命令はソフトウェア、ファームウェア又はハードウェアに実装させ得て、またシステムのコンポーネントが担ういずれのタイプのプログラムされた工程も含み得る。
【0068】
「マイクロプロセッサ」又は「プロセッサ」は、いずれの慣用の汎用シングル又はマルチコアマイクロプロセッサ、例えばPentium(登録商標)プロセッサ、Intel(登録商標)Core
TM、8051プロセッサ、MIPS(登録商標)プロセッサ又はALPHA(登録商標)プロセッサにもなり得る。加えて、マイクロプロセッサはいずれの慣用の特殊用途マイクロプロセッサ、例えばデジタルシグナルプロセッサ又はグラフィックプロセッサにもなり得る。「プロセッサ」は、以下に限定するものではないが、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、マイクロプロセッサ又は他の同様の処理装置も意味し得る。
【0069】
システムは、本明細書で詳述されるような様々なモジュールを含む。当業者ならわかるように、各モジュールは、様々なサブルーチン、プロシージャ、定義ステートメント及びマクロを含む。各モジュールは、典型的には別々にコンパイルされ、単一の実行可能プログラムにリンクされる。したがって、各モジュールについての以下の説明は、好ましいシステムの機能性を説明するために便宜上用いられる。したがって、各モジュールを経た処理は残りのモジュールの1つに恣意的に再分配され、単一のモジュールで組み合わせられ得る又は例えば共有可能なダイナミックリンクライブラリで利用可能にされ得る。
【0070】
システムの特定の実施形態は、様々なオペレーティングシステム、例えばSNOW LEOPARD(登録商標)、iOS(登録商標)、LINUX(登録商標)、UNIX(登録商標)又はMICROSOFT WINDOWS(登録商標)と関連させて使用され得る。
【0071】
システムの特定の実施形態はいずれの慣用のプログラミング言語、例えばアセンブリ、C、C++、C#、BASIC、Pascal又はJava(登録商標)で書かれ得て、また慣用のオペレーティングシステム下で実行され得る。
【0072】
加えて、モジュール又は命令は、1つ以上のプログラマブルストレージデバイス、例えばフラッシュドライブ、CD−ROM、ハードディスク及びDVDに保存され得る。一実施形態は、命令を保存したプログラマブルストレージデバイスを含む。
【0073】
上記のシステムの幾つかの実施形態において、システムは更に、試薬パッケージ上の識別表示を読み取るためのデバイスを含み得る。当然のことながら、識別表示を読むためのいずれの適切なデバイスも本明細書で提供するシステムで使用され得る。同様に、装置上のデバイスとコンパチブルないずれの適切な識別表示も使用され得る。例には、バーコード、QRコード(登録商標)、RFIDタグ、カラーコード及び同様のものを含む。典型的な実施形態において、デバイスはバーコードリーダーになり得て、識別表示はバーコードを含み得る。後出の実施例4では、消耗試薬を正しく特定するためのバーコードラベルの使用について説明する。
【0074】
利点及び改善点
本明細書で提示する方法及びシステムには、既存のアプローチに勝る多数の利点がある。例えば、アッセイプロトコルを配布するために製造業者がADFを使用することで、装置のソフトウェアを合わせてアップデートする必要なく、装置プロットフォーム上で新しい又は修正したアッセイプロトコルをリリースする方法が提供される。装置ソフトウェア改訂の必要性を排除することで、このアプローチはアッセイのリリースをより直接的なものにしている。加えて、必要に応じて、製造業者は、アッセイプロトコル間のコンパチビリティを、装置ソフトウェアを改訂することなく、ビジネス又は他のニーズに合うように修正することができる。
【0075】
コンパチビリティはこれまで、システム内に維持された表又は他の手段を使用して制御されてきており、メニューの拡張にはアップデートを必要とする。2レベルインデックスの使用は、メニューの拡張に表又はソフトウェア内の他の手段のアップデートを必要としない。さらに、ユーザがアッセイコンパチビリティについての具体的な知識を有することを必要としない。これは装置ソフトウェアが、単一のランでどのアッセイプロトコルが組み合わせ可能かを制御するからである。
【0076】
ADFを使用する更なる利点は、試薬が適切に装置に装填されたことを確認するためにADF中のバーコード情報を使用することでユーザによる間違いとその結果としての時間及びリソースの損失を防止できることである。
【0077】
本発明について大まかに説明してきたが、一部の特定の実施例を参照することで更に深く理解することができ、これらの実施例は説明の便宜上挙げたものにすぎず、本発明の限定を意図したものではない。
【実施例】
【0078】
実施例1
ユーザ定義プロトコル及び市販のアッセイプロトコルに関して第1レベル及び第2レベルコンパチビリティインデックス値を割り当てる
本実施例では、第1及び第2レベルコンパチビリティインデックス値を特定のアッセイワークフロー又はユーザ定義プロトコル(UDP)に割り当てる処理について説明する。自動化試料処理/分析装置は、2つの別個の試料処理ワークフロー又はラックを同時に実行する能力を有する(ランコンパチブル)。しかしながら、試料処理ワークフローには、修正されても依然としてコンパチビリティを維持する特定のアクション(ラックコンパチブル)と、装置の同じランではワークフローがインコンパチブルとなる特定のアクション(インコンパチブル)とがある。物理的な制限に加えて、ある装置で複数のアッセイプロトコルが一緒に行われないようにするビジネス上の要件がある場合もある。
【0079】
この範囲の性能要求に対応するために、ラックコンパチブル及びランコンパチブルなアッセイプロトコルを特定する2レベルインデックスを生成された。インデックスは、装置製造業者によって割り当て、維持される。第1レベルインデックスはラックコンパチビリティに関与し、すなわち同じインデックス値を有するアッセイプロトコルは同じラックで実行することができる。第2レベルインデックスはランコンパチビリティ、すなわち第1ラックのアッセイに対して装置の第2ラックで実行できるアッセイプロトコルに関与する。定義により、ラックコンパチブルなアッセイプロトコルはランコンパチブルでもある。アッセイプロトコルがラック又はランコンパチブルなインデックスレベルを共有しないならば、その装置は複数のアッセイプロトコルを装置で同時に行うことができない。
【0080】
図1は、この処理の例示的な実施形態を示す。
図1に示す処理において、ランコンパチビリティ(第2レベルコンパチビリティ)は、同じ縦方向レベル上のプロトコルで示される。ラックコンパチビリティ(第1レベルコンパチビリティ)は、同じ水平方向レベル上のプロトコルで示される。したがって、例えば、ワークリストにおいて同じラックにあるためには2つの試料が図の同じボックス内になくてはならない。同じ水平方向レベル上にあるボックスは同じレベル2コンパチビリティインデックスを共有し、すなわち異なるボックス由来のアッセイプロトコルは、同じラック内ではなく、同じランの別々のラック内に存在し得る。
【0081】
図1に示すように、コンパチビリティを決定する要素は、試薬ストリップのデザイン、MM(マスターミックス)の数、UDP又はADFの使用(ユーザ定義プロトコル対アッセイ定義ファイル)及び特定の処理(抽出対全処理)である。
【0082】
以下の表2は、コンパチビリティに影響を及ぼし得る幾つかのパラメータを示す。例えば、表2において、イタリック体の文字が書かれたセルは、ガードレール(guardrail)ファミリーAとのコンパチビリティを断つアッセイ4、5におけるパラメータを強調している。具体的には、アッセイ4に関し、吸引高さ、溶解温度、洗浄回数及び磁石速度は、アッセイ1〜3について定義した各パラメータの範囲から外れている。同様に、アッセイ5に関し、吸引高さ及び溶解時間は、これらのパラメータについて範囲から外れている。
【表2】
【0083】
したがって、表2から、コンパチビリティを示すのに物理的、時間的又は他のパラメータがアッセイ間で同じである必要はないことがわかる。むしろ、パラメータは、例えば共有リソースのコンパチビリティをもたらすある範囲内におさまり得る。
【0084】
以下の表3は、一連のアッセイプロトコルについてラック及びランコンパチビリティ値を割り当てる表の一例である。
【表3】
【0085】
表3において、ファミリーA、B及びCは、物理的な違い、例えばインキュベーション時間、溶解時間、試薬体積、試薬タイプ、インキュベーション温度、溶解温度又はワークステーション時間要求により互いに直接コンパチブルではないワークフローを表す。図及び表において、ファミリーA及びBはランコンパチブルであり、これは第1ワークステーションがファミリーA(Bではない)の試験を実行することができ、また第2ワークステーションがファミリーB(そのワークステーションに関して最初にBが選択されるならばAではない)の試験を実行できることを意味する。
図1に示すように、ファミリーCは残りのワークフローとラックコンパチブルでもランコンパチブルでもない。
【0086】
表3において、3つの異なるファミリーA試験は異なるコンパチビリティインデックスを有する。ワークフローはこれらが物理的にはコンパチブルであるかもしれないことを示唆し得るものの、製造業者がこれらの試験を装置で同時に実行しないことを選択する他の理由があると考えられる。例えば、製造業者が第三者企業と提携する場合、ユーザは、製造業者が供給する試験及び第三者企業が供給する試験の両方を装置で同時に実行しないようにすることが、たとえ試験のワークフローでそれが可能であっとしても、望ましいこともある。
【0087】
実施例2
アッセイコンパチビリティの特定
本実施例では、一実施形態による、2つのアッセイプロトコル間での第1レベルコンパチビリティ及び第2レベルコンパチビリティの特定について説明する。
図2に示す例示的な方法において、第1アッセイと第2アッセイとの間のコンパチビリティは、2つのレベルのコンパチビリティインデックス値を比較することで判断される。コンパチブルではないアッセイを同時に実行しないようにするための、ユーザは、同じラックで同時に実行できるか否か、あるいは同じ装置の異なるラックであっても実行できるか否かを判断するためのチャート又は表でアッセイプロトコルを手作業で比較しなくてはならなかった。そのようなルックアップテーブルの例を
図5に示す。このような手作業のアプローチは誤りが起きやすく、また効率が悪く、労働集約的である。本実施例では、コンパチブルなアッセイプロトコルを特定し且つコンパチブルではないアッセイプロトコルが同時に実行されないようにする自動化された方法の例を挙げる。
【0088】
同じラックのアッセイプロトコル
図2の概略図に記載されるように、第1アッセイはユーザによって、全ての利用可能なアッセイプロトコルのリストから選択される。ユーザの入力に基づいて、選択された第1アッセイについての第1レベル(ラック)コンパチビリティインデックス値が第1アッセイについてのアッセイ定義ファイル(ADF)から、又は選択されたアッセイがユーザ定義されたものの場合、UDPから得られる。次に、そのコンパチビリティインデックス値を、利用可能な残りのアッセイプロトコルのそれぞれの第1レベルコンパチビリティインデックス値(各アッセイについてADF又はUDPから得られる)と比較する。選択されたアッセイと第1レベルコンパチビリティインデックス値を共有する全てのアッセイプロトコルが特定され、コンパチブルではないアッセイプロトコルは、更なる検討から除外される。
【0089】
次に、システムは、選択された第1アッセイについて第2レベル(ラン)コンパチビリティインデックス値を得て、その値を他の残っているアッセイプロトコル全ての第2レベルコンパチビリティインデックス値と比較する。選択されたアッセイと第2レベルコンパチビリティインデックス値を共有する全てのアッセイプロトコルが特定され、コンパチブルではないアッセイプロトコルは更なる検討から除外される。次に、第1及び第2レベルでコンパチブルなアッセイプロトコルだけが載ったリストが表示される。ユーザはそのリストから第2アッセイを選択し、選択が完了したら、システムはこれら2つのアッセイプロトコルを同じラック又は、必要に応じて、別々のラック上で同時に実行し始める。
【0090】
別々のラックのアッセイプロトコル
あるいは、システムは、同じラックで一緒に実行するにはコンパチブルではない場合に、アッセイプロトコルを特定し、別々のラックでアッセイプロトコルを実行し得る。
図2の概略図に示すように、第1アッセイはユーザによって、全ての利用可能なアッセイプロトコルのリストから選択される。ユーザの入力に基づいて、選択された第1アッセイについての第1レベル(ラック)コンパチビリティインデックス値が第1アッセイについてのアッセイ定義ファイル(ADF)から又は、選択されたアッセイがユーザ定義されたものの場合、UDPから得られる。次に、そのコンパチビリティインデックス値を、利用可能な残りのアッセイプロトコルのそれぞれの第1レベルコンパチビリティインデックス値(各アッセイについてADF又はUDPから得られる)と比較する。選択されたアッセイと第1レベルコンパチビリティインデックス値を共有するアッセイプロトコルが特定されないならば、次にシステムは選択された第1アッセイについて第2レベル(ラン)コンパチビリティインデックス値を得て、その値を他の利用可能なアッセイプロトコル全ての第2レベルコンパチビリティインデックス値と比較する。選択されたアッセイと第2レベルコンパチビリティインデックス値を共有する全てのアッセイプロトコルが特定され、コンパチブルではないアッセイプロトコルは更なる検討から除外される。次に、別々のラックでの同時の実行に関してコンパチブルなアッセイプロトコルだけが載ったリストが表示される。ユーザはそのリストから第2アッセイを選択し、選択が完了したら、システムはこれら2つのアッセイプロトコルを別々のラック上で同時に実行し始める。
【0091】
他にコンパチブルなアッセイプロトコルがない場合
システムがラックコンパチブル又はランコンパチブルな他のアッセイプロトコルを特定しない場合、ユーザは、1つまたは複数の試料を使用して、同じ又は別々のラック上で単一のアッセイプロトコルを実行することを選択することができる。
【0092】
実施例3
ランワークリストへの試験の追加
本実施例ではランワークリストの作成処理について説明し、同じ又は別々のラック上で同じワークリストで同時に実行できるアッセイプロトコルの特定が含まれる。
【0093】
ユーザは所定の数の試料を有し、各試料にはアッセイプロトコルを割り当てなくてはならない。
図3に示すように、利用可能なアッセイプロトコルが全て列挙されたブランクワークリストを用意する。ユーザは、試験リストから第1試験を選択する。ユーザの選択が入力されたら、システムは、異なる第1レベルコンパチビリティインデックス値を有する全てのプロトコルを自動的に除外し、除外されなかったアッセイプロトコルだけのリストを表示する。残っているプロトコルのリストから、ユーザはリストから別のプロトコルを選択する。全ての試料にアッセイプロトコルが割り当てられるまで又は第1ラックが満杯になるまでこの処理を繰り返す。
【0094】
第1ラックが満杯になったら、システムは、ユーザに第2ラックについてアッセイプロトコルを選択し始めることを許可する。システムは、第1ラックのものと同じレベル2(ランコンパチブル)インデックス値を有する全てのプロトコルを表示する。次に、ユーザは、そのランコンパチブルなプロトコルのリストからプロトコルを選択する。第2ラックについて第1の選択が一旦なされたら、システムは異なる第1レベルコンパチビリティインデックス値を有する全てのプロトコルを自動的に除外し、除外されていないアッセイプロトコルだけのリストを表示する。残っているプロトコルのリストから、ユーザはリストから別のプロトコルを選択する。全ての試料にアッセイプロトコルが割り当てられるまで又は第2ラックが満杯になるまでこの処理を繰り返す。
【0095】
実施例4
バーコードの使用
本実施例では、消耗品パッケージ用の識別表示としてのバーコードの使用について説明する。
【0096】
供給業者が提供する消耗試薬は、装置が読み取ることができるバーコードラベルを含む。あるアッセイが作成される時、予測されるバーコードがADFで特定される。装置がランを開始する時、装置はカタログ処理を実行し、ユーザが正しい消耗品を装置デッキに装填したことを確認する。ADFに保存されたバーコードデータを使用してこの検証を行う。バーコードが読めないと装置はユーザに警告を出し、バーコードを取得するにあたっての支援を待つ。バーコードを読んだもののユーザがリクエストしたアッセイ試験に予測されるものと一致しないならば、装置はユーザに警告を出し、例えば試薬を取り換えることにより、違いを是正するための支援を待つ。試薬のバーコード及びADF中のバーコード情報の利用により、ユーザが適切にアッセイを実行しているという処理についての保証が得られる。
【0097】
実施例5
装置でアッセイプロトコルを実行するためのADFの使用
本実施例では、装置でアッセイプロトコルを精確に実行するためのADFの使用について説明する。
【0098】
装置はまず、ADFをチェックしてランを完了するのに必要な試料作製スクリプトを決定する。次に、スクリプトデータをADFで定義された試料作製パラメータと組み合わせ、試料作製処理が開始される。
【0099】
試料作製が完了したら、装置は再度ADFをチェックし、ADFで特定されたカートリッジ装填スクリプトを実行する。
【0100】
カートリッジの装填が完了したら、装置はADFを参照して、カートリッジがうまく装填されたか否かを判断するのに必要な蛍光比を見つけ出し、これらの比を測定値と比較する。カートリッジがうまく装填されたと装置が判断したら、次にADFを参照して使用するPCRスクリプト及び必要なPCRプロトコルを決定する。これらの値が一旦読みだされたら、装置はPCR処理を開始する。
【0101】
PCRが完了したら、装置はADFからデータ分析アルゴリズムを実行するのに必要なパラメータを読み出し、データ分析を実行する。
【0102】
データ分析が完了したら、装置はデータ分析エンジンから戻ってきた値をADFで特定されたリザルトロジック及びリザルトスクリプトと組み合わせて、その特定の試験についての最終判断を導き出す。
【0103】
実施例6
UDPの生成並びに第1及び第2レベルコンパチビリティインデックス値の割り当て
本実施例では、UDPの作成及びコンパチビリティインデックス値をそのUDPに割り当ててアッセイプロトコルを装置で精確に実行することについて説明する。
【0104】
ユーザは、タッチスクリーンディスプレイ上のプロンプトに応答し、プロトコル用のアッセイタイプ、アッセイパラメータ及び試薬を選択することで新しいUDPを生成する。選択される要素には、例えば抽出キットのタイプ及びPCRパラメータが含まれる。具体的には、幾つかの利用可能な選択肢から選択し、ユーザは特定の試薬ストリップデザイン、MMの詳細及び特定の処理(抽出対全処理)を選択する。ユーザが全処理をプログラムすることを選択したならば、ユーザはサイクル時間、温度及びPCRに関する他のパラメータを更に定義することができる。
【0105】
図1に記載の処理に続いて、システムは、ADFについてコンパチビリティを決定する同様の要素に倣ってUDPについて第1レベル及び第2レベルコンパチビリティインデックス値を割り当てる。吸引高さ、溶解温度、溶解時間、洗浄回数及び磁石速度を含めたパラメータに基づいて、新しいUDPに「2」の第1レベルインデックス値及び「2」の第2レベルインデックス値を割り当てる。
【0106】
したがって、先に進めると、ユーザがランワークリストにプロトコルを追加すると、ユーザは新しいUDPを、2の第1レベルインデックス値及び2の第2レベルインデックス値をそれぞれ有する他のADF又はUDPと同時に実行できるようになる。
【0107】
本発明が記載の特定の実施形態に限定されることがなく、したがって当然のことながら変化し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用の用語は特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定的を意図したものではないことも理解されたい。
【0108】
特に定義がない限り、本明細書で使用の全ての技術的及び科学的な用語は実施形態が属する分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様の又は均等ないずれの方法及び材料も実施形態の実践又は試験に使用され得るものの、ここでは好ましい方法及び材料を記載する。
【0109】
本明細書で使用の用語「含む(comprising)」は「含む(imcluding)」、「載る(containing)」又は「〜を特徴とする(charactereized by)」と同義であり、包括的であり、すなわち制約はなく、追加の、記載のない要素又は方法工程を排除しない。
【0110】
本明細書及び添付の請求項での使用において、内容から明らかにそうではない場合を除いて、単数形には複数の指示対象が含まれることに留意しなくてはならない。したがって、例えば、「ある方法」という場合、これには複数のそのような方法及び当業者に公知のその均等物等が含まれる。
【0111】
公開及び未公開の出願、特許及び文献を含むがこれらに限定されない、本明細書で引用した全ての参考文献は参照により全て本明細書に組み込まれ、本明細書の一部となる。参照により組み込まれる出版物及び特許又は特許出願が本明細書に記載の開示と矛盾する範囲で、本明細書はそのような矛盾事項に取って代わる及び/又はそれに優先するものと意図される。
【0112】
本明細書で開示の実施形態に関連して記載された方法、又はアルゴリズムの工程は直接、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール又はこれら2つの組み合わせで具現化され得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM又は当該分野で公知の他の形態のストレージ媒体内に存在し得る。プロセッサが情報をストレージ媒体から読みだせる及びストレージ媒体に情報を書き込めるように、例示的なストレージ媒体をプロセッサに連結し得る。代替例においては、ストレージ媒体をプロセッサに一体化し得る。プロセッサ及びストレージ媒体はASIC内に存在し得る。ASICはユーザ端末内に存在し得る。代替例において、プロセッサ及びストレージ媒体は、ユーザ端末内の別個のコンポーネントとして存在し得る。