特許第6641364号(P6641364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6641364動力サイクルにおける(2E)−1,1,1,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エンの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641364
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】動力サイクルにおける(2E)−1,1,1,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エンの使用
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20200127BHJP
   F01K 23/04 20060101ALI20200127BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20200127BHJP
   F01K 7/32 20060101ALI20200127BHJP
   F01K 27/02 20060101ALI20200127BHJP
   F03G 6/00 20060101ALI20200127BHJP
   F03G 4/00 20060101ALI20200127BHJP
   F01K 23/02 20060101ALI20200127BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20200127BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20200127BHJP
【FI】
   C09K5/04 F
   F01K23/04 Z
   F01K25/10 Z
   F01K7/32
   F01K27/02 D
   F01K27/02 Z
   F03G6/00 521
   F03G4/00 501
   F01K23/02 Z
   F01K25/10 D
   F01K25/10 R
   H01M8/00 Z
   H01M8/04 Z
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-523840(P2017-523840)
(86)(22)【出願日】2015年10月9日
(65)【公表番号】特表2018-503702(P2018-503702A)
(43)【公表日】2018年2月8日
(86)【国際出願番号】US2015054874
(87)【国際公開番号】WO2016069242
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2018年8月27日
(31)【優先権主張番号】62/072,662
(32)【優先日】2014年10月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティノス コントマリス
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ディー.ローゼンバーグ
【審査官】 井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−512991(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0160447(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0104548(US,A1)
【文献】 特表2009−513812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/00− 5/20
F01K23/00−27/00
F25B 1/00,15/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源からの熱を機械エネルギーに変換する方法であって、前記熱源から供給される熱を使用して(2E)−1,1,1,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エン(HFO−153−10mzzy)からなる作動流体を加熱する工程と;前記加熱された作動流体を膨張させて、前記作動流体の圧力を低下させ、前記作動流体の前記圧力が低下するときに機械エネルギーを発生させる工程と、を含み、前記作動流体が加熱前に圧縮され、かつ前記膨張した作動流体が繰り返しサイクルのために冷却及び圧縮される、方法。
【請求項2】
熱源からの熱が、(a)液体作動流体を、2.04MPaよりも低い圧力に圧縮する工程と;(b)(a)からの前記圧縮された液体作動流体を、前記熱源によって供給された熱を用いて加熱して、蒸気作動流体を形成する工程と;(c)(b)からの前記蒸気作動流体を膨張させて前記作動流体の圧力を下げ、そして機械的エネルギーを発生させる工程と;(d)(c)からの前記膨張した作動流体を冷却して、冷却された液体作動流体を形成する工程と;(e)(d)からの前記冷却された液体作動流体を、圧縮のための(a)に循環させる工程と、を含む亜臨界サイクルを用いて、機械エネルギーに変換される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
熱源からの熱が、(a)液体作動流体を、2.04MPaよりも高い圧力に圧縮する工程と;(b)(a)からの前記圧縮された作動流体を、前記熱源によって供給された熱を用いて加熱する工程と;(c)(b)からの前記加熱された作動流体を膨張させて、前記作動流体の圧力を2.04MPa未満に低下させ、機械的エネルギーを発生させる工程と;(d)(c)からの前記膨張した作動流体を冷却して、冷却された液体作動流体を形成する工程と;(e)(d)からの前記冷却された液体作動流体を、圧縮のための(a)に循環させる工程と、を含む遷移臨界サイクルを用いて、機械エネルギーに変換される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
熱源からの熱が、(a)前記作動流体を2.04MPaよりも高い圧力からより高い圧力に圧縮する工程と;(b)(a)からの前記圧縮された作動流体を、前記熱源によって供給された熱を用いて加熱する工程と;(c)(b)からの前記加熱された作動流体を膨張させて、前記作動流体の圧力を2.04MPaよりも高い圧力まで低下させ、機械的エネルギーを発生させる工程と;(d)(c)からの前記膨張した作動流体を冷却して、その臨界圧よりも高い圧力の冷却された作動流体を形成する工程と;(e)(d)からの前記冷却された液体作動流体を、圧縮のための(a)に循環させる工程と、を含む超臨界サイクルを用いて、機械エネルギーに変換される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記熱源が、低圧蒸気、産業廃熱、太陽エネルギー、地熱温水、低圧地熱蒸気、及び燃料電池又は原動機を利用する分散型発電装置からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
繰り返しサイクルの最大動作圧が4MPaを超えない、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
熱を機械エネルギーに変換するための作動流体を含有する動力サイクル装置であって、前記装置が、(2E)−1,1,1,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エン(HFO−153−10mzzy)からなる作動流体を含有することを特徴とする、動力サイクル装置。
【請求項8】
(a)熱交換ユニットと;(b)前記熱交換ユニットと流体連通している膨張機と;(c)前記膨張機と流体連通している作動流体冷却ユニットと;(d)前記作動流体冷却ユニットと流体連通している圧縮機とを含み、前記圧縮機は、前記作動流体がその後繰り返しサイクルで構成要素(a)、(b)、(c)及び(d)の通過を繰り返すように更に前記熱交換ユニットと流体連通している、請求項7に記載の動力サイクル装置。
【請求項9】
前記作動流体が、低圧蒸気、産業廃熱、太陽エネルギー、地熱温水、低圧地熱蒸気、及び燃料電池又は原動機を利用する分散型発電装置からなる群から選択される熱源からの熱を使用することによって熱を機械エネルギーに変換する、請求項7または8に記載の動力サイクル装置。
【請求項10】
前記動力サイクル装置の最大動作圧が4MPaを超えない、請求項7から9のいずれか一項に記載の動力サイクル装置。
【請求項11】
前記動力サイクルが亜臨界サイクルであり、前記作動流体が前記熱源によって加熱される温度は、50℃〜165℃の範囲内である、請求項9に記載の動力サイクル装置。
【請求項12】
前記動力サイクルが、遷移臨界サイクル又は超臨界サイクルであり、前記作動流体が前記熱源によって加熱される温度は、171℃〜400℃の範囲内である、請求項9に記載の動力サイクル装置。
【請求項13】
前記動力サイクルがランキンサイクルである、請求項7から12のいずれか一項に記載の動力サイクル装置。
【請求項14】
第1の作動流体を含有する既存の動力サイクルシステムの最高実現可能蒸発温度を上昇させる方法であって、前記第1の作動流体を、(2E)−1,1,1,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エンからなる第2の作動流体と取り替える工程を含む、方法。
【請求項15】
前記動力サイクルシステムがランキンサイクルシステムである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2014年10月30日に出願された米国特許仮出願第62/072662号の優先権を主張し、当該出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
有機ランキンサイクル等の動力サイクル用の、地球温暖化係数の低い作動流体が必要とされている。そのような材料は、低い地球温暖化係数及び低いオゾン層破壊係数によって測定されるように、低い環境影響を有さねばならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許仮出願第62/072662号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、(2E)−1,1,1,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エン(以下、「HFO−153−10mzzy」)を含む組成物に関する。本発明の実施形態には、HFO−153−10mzzyの単体化合物、又は、HFO−153−10mzzyと以下で詳しく記載されるような1つ以上の他の化合物とを組み合わせた化合物が含まれる。
【0005】
本発明によれば、熱源からの熱を機械エネルギーに変換するための方法が提供される。該方法は、熱源から供給される熱を使用して作動流体を加熱する工程と;加熱された作動流体を膨張させて、作動流体の圧力を低下ささせ、作動流体の圧力が低下されるときに機械エネルギーを発生させる工程と、を含む。該方法は、HFO−153−10mzzyを含む作動流体を使用することを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、熱を機械エネルギーに変換するための作動流体を含有する動力サイクル装置が提供される。該方法は、HFO−153−10mzzyを含む作動流体を含有することを特徴とする。
【0007】
本発明によると、HFO−153−10mzzyを含む作動流体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態による直接熱交換における熱源及び動力サイクルシステム(例えば有機ランキンサイクルシステム)のブロック図である。
図2】本発明の実施形態による機械エネルギーに変換するための熱源からの熱を熱交換器に供給するために二次ループ構成を使用する、熱源及び動力サイクルシステム(例えば有機ランキンサイクルシステム)のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に記載される実施形態の詳細に言及する前に、いくつかの用語を定義又は明確化する。
【0010】
地球温暖化係数(GWP)は、1キログラムの二酸化炭素の排出と比較した、1キログラムの特定の温室効果ガスの大気排出に起因する相対的な地球温暖化への寄与を推定するための指数である。GWPは、様々な対象期間について計算することができ、所与のガスの大気寿命の効果を示す。100年間という対象期間のGWPが、一般的に参照される値である。
【0011】
正味のサイクル出力は、圧縮機(例えば、液体ポンプ)によって消費される機械仕事の割合を差し引いた、膨張機(例えば、タービン)における機械仕事の発生の割合である。
【0012】
出力発生の体積能力は、動力サイクル(例えば、有機ランキンサイクル)を通して循環される作動流体の単位体積(膨張機の出口における条件で測定したとき)当たりの正味のサイクル出力である。
【0013】
サイクル効率(熱効率とも呼ばれる)は、動力サイクル(例えば、有機ランキンサイクル)の加熱段階中に作動流体が熱を受ける割合で割った正味のサイクル出力である。
【0014】
過冷却は、液体が、その液体の所定の圧力での飽和点を下回る温度へ低下することである。飽和点は、蒸気組成物が完全に液体へと凝縮される温度である(泡立ち点とも呼ばれる)。しかし、過冷却は、所定の圧力において、液体をより低温の液体に冷却し続ける。過冷却量は、飽和温度未満の冷却の量(度単位)、又は液体組成物がその飽和温度をどれだけ下回って冷却されるかである。
【0015】
過熱とは、蒸気組成物が、蒸気組成物の飽和蒸気温度をどれだけ上回って加熱されるかを定義する用語である。飽和蒸気温度は、蒸気組成物が冷却され、最初に液滴が形成される温度であり、「露点」とも呼ばれる。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「包含する(includes)」、「包含する(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、又は他の任意の変型は、非排他的包含を扱うものとする。例えば、列挙する要素を含む、組成物、プロセス、方法、物品、若しくは装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されない他の要素、又はそのような組成物若しくは、プロセス、方法、物品、若しくは装置などに内在する他の要素を包含し得る。
【0017】
移行句「〜からなる」は、特定されない任意の要素、工程、又は成分を除外する。特許請求の範囲における場合には、材料に通常付随する不純物を除き、このような句は、列挙された材料以外の材料の包含を特許請求項から締め出す。語句「からなる」が序文の直後ではなく請求項の本文の節内で現れるとき、この語句はその請求項内に示される要素のみを制限するものであり、他の要素が特許請求の範囲全体から除外されるわけではない。
【0018】
移行句「〜から本質的になる」は、文字通り開示されているものに加えて、材料、工程、特徴、構成成分、又は要素を含む、組成物、方法、又は装置を定義するために使用されるが、ただし、これらの追加的に含まれる材料、工程、特徴、構成成分、又は要素は、請求される発明の基本的及び新規の特性に実質的に影響を及ぼさない。用語「から本質的になる」は、「含む」と「からなる」との間の中間の立場を占める。
【0019】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書で記載される要素及び構成成分を説明するのに用いられる。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるためのものである。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むものと解釈されるべきであり、単数形は、別の意味を有することが明白でない限り、複数形も含む。
【0020】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料を、本発明の実施形態の実施又は試験において使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書において言及する全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参照文献は、特定の一節を引用するものでない限り、その全文が参照により本明細書に援用される。矛盾が生じた場合は、定義を含め、本明細書が優先される。更に、材料、方法、及び実施例は、単なる例証であり、限定することを意図するものではない。
【0021】
HFO−153−10mzzy、つまり(2E)−1,1,1,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エンは、米国特許第8148584号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように、1,1,1,2,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−4−ヨードペンタンの脱ヨウ化水素(dehyroiodination)によって調製され得る。
【0022】
動力サイクル方法
亜臨界動力サイクル又は有機ランキンサイクル(ORC)は、該サイクルで用いられる有機作動流体が、有機作動流体の臨界圧未満の圧力で熱を受け取り、かつ該作動流体が、サイクル全体にわたってその臨界圧未満圧力で保たれるランキンサイクルとして定義される。
【0023】
遷移臨界動力サイクルは、サイクルで用いられる有機作動流体が、該有機作動流体の臨界圧を超える圧力で熱を受け取ることを除いて、ランキンサイクルと同様の動力サイクルとして定義される。遷移臨界サイクルでは、作動流体は、サイクル全体にわたってその臨界圧よりも高い圧力にはならない。
【0024】
超臨界動力サイクルは、サイクルで用いられる有機作動流体の臨界圧よりも高い圧力で動作する動力サイクルとして定義され、以下の工程、すなわち、圧縮、加熱、膨張、冷却を含む。
【0025】
熱源からの熱を機械エネルギーに変換するための方法を提供する。該方法は、熱源から供給される熱を使用して、HFO−153−10mzzyを含む作動流体を加熱する工程と;加熱された作動流体を膨張させて、作動流体の圧力を低下させ、作動流体の圧力が低下されるときに機械エネルギーを発生させる工程と、を含む。
【0026】
本発明の方法は、典型的には、有機ランキン動力サイクルと同様の動力サイクルにおいて使用されるが、但し、作動流体による熱吸収は、蒸発によって(すなわち、古典的ランキンサイクル)又はその臨界圧よりも高い圧力における作動流体の顕熱によって生じる得る点が異なる。(本書において用語「ランキンサイクル」は、作動流体の相変化を伴わない動力サイクルを指すことがある。)蒸気(無機)動力サイクルと比べて比較的低い温度で入手可能な熱を利用して、HFO−153−10mzzyを含む作動流体を使用するランキンサイクルによって機械力を発生させることができる。本発明の方法では、HFO−153−10mzzyを含む作動流体は、加熱される前に圧縮される。圧縮は、熱源からの熱を用いて作動流体を加熱する熱伝達ユニット(例えば、熱交換器又は蒸発器)に液体作動流体を圧送するポンプによって提供され得る。次いで、加熱された作動流体を膨張させて、その圧力を低下させる。機械エネルギーは、膨張機を用いて作動流体を膨張させている間に発生する。膨張機の例としては、ターボ又は動的膨張機(例えば、タービン)、及び容積式膨張機(例えば、スクリュー膨張機、スクロール膨張機、及びピストン膨張機)が挙げられる。膨張機の例としては更に、回転翼膨張機が挙げられる(Musthafah b.Mohd.Tahir,Noboru Yamada,and Tetsuya Hoshino,International Journal of Civil and Environmental Engineering 2:1 2010)。
【0027】
機械力は、直接(例えば、圧縮機を駆動するために)用いられてもよく、又は発電機の使用を通して電力に変換されてもよい。作動流体を再利用する動力サイクルでは、膨張した作動流体は冷却される。冷却は、作動流体冷却ユニット(例えば、熱交換器又は凝縮機)において行ってよい。次いで、冷却した作動流体を繰り返しサイクル(すなわち、圧縮、加熱、膨張等)において使用することができる。冷却段階から作動流体を移行させるために、圧縮に使用するのと同じポンプを使用してよい。
【0028】
注目すべきは、熱源からの熱を機械エネルギーに変換する方法であって、その作動流体がHFO−153−10mzzyから構成されることである。また、注目すべきは、熱源からの熱を機械エネルギーに変換する方法であって、その作動流体がHFO−153−10mzzyから本質的になることである。また、注目すべきは、熱源からの熱を機械エネルギーに変換する方法であって、その作動流体がHFO−153−10mzzyからなることである。HFO−153−10mzzyは、GWPが低い動力サイクル作動流体に対する必要性を満たす。別の実施形態では、不燃性組成物が動力サイクルの用途に好ましい。注目すべきは、組成物は、HFO−153−10mzzyを含む不燃性である。
【0029】
加えて、別の実施形態では、HFO−153−10mzzyで動作する動力サイクルは、ASME Boiler and Pressure Vessel Codeの要件の遵守に必要となる閾値未満の蒸気圧を有する。そのような組成物は、動力サイクルで使用するのに望ましい。
【0030】
更には、別の実施形態では、低GWP組成物が望ましい。注目すべきは、組成物は、少なくとも1〜100重量のHFO−153−10mzzyを含み、1500未満、好ましくは1000未満、より好ましくは750未満、より好ましくは500未満、より好ましくは150未満、及び更により好ましくは10未満のGWPを有することである。
【0031】
1つの実施形態では、本発明は、亜臨界サイクルを用いて熱源からの熱を機械エネルギーに変換する方法に関する。該方法は、(a)液体作動流体をその臨界圧よりも低い圧力に圧縮する工程と;(b)(a)からの圧縮された液体作動流体を、熱源によって供給された熱を用いて加熱して、蒸気作動流体を形成する工程と;(c)(b)からの上記作動流体を膨張させて作動流体の圧力を下げ、そして機械的エネルギーを発生させる工程と;(d)(c)からの膨張した作動流体を冷却して、冷却された液体作動流体を形成する工程と;(e)(d)からの冷却された液体作動流体を、圧縮のための(a)に循環させる工程と、を含む。
【0032】
1つ以上の内部熱交換器(例えば、復熱器)の使用、及び/又はカスケードシステムにおける1超のサイクルの使用を含む実施形態は、本発明の亜臨界ORC動力サイクルの範囲内であることが意図される。
【0033】
1つの実施形態では、本発明は、遷移臨界サイクルを用いて熱源からの熱を機械エネルギーに変換する方法に関する。この方法は、(a)液体作動流体を該作動流体の臨界圧よりも高い圧力に圧縮する工程と;(b)(a)からの圧縮された作動流体を、熱源によって供給された熱を用いて加熱する工程と;(c)(b)からの加熱された作動流体を膨張させて、作動流体の圧力をその臨界圧未満に低下させ、機械エネルギーを発生させる工程と;(d)(c)からの膨張した作動流体を冷却して、冷却された液体作動流体を形成する工程と;(e)(d)からの冷却された液体作動流体を、圧縮のための(a)に循環させる工程と、を含む。
【0034】
上述した遷移臨界動力サイクルシステムの第1の工程において、HFO−153−10mzzyを含む液相の作動流体は、その臨界圧を超えて圧縮される。第2の工程において、熱交換器が熱源と熱連通している膨張機に作動流体が入る前に、より高温に加熱される熱交換器に該作動流体を通す。熱交換器は、熱伝達の任意の公知の手段によって熱源から熱エネルギーを受け取る。ORCシステムの作動流体は、熱供給熱交換器を循環し、そこで流体は熱を受け取る。
【0035】
次の工程において、加熱された作動流体の少なくとも一部が熱交換器からから取り出され、膨張機に送られ、そこでの膨張過程によって、作動流体の熱エネルギー含量の少なくとも一部が、シャフトエネルギーなどの機械的エネルギーに変換される。機械エネルギー、例えばシャフトエネルギーを使用して、所望の速度及び必要なトルクに応じて、ベルト、プーリー、ギア、トランスミッション、又は類似の装置の従来の構成を使用することによって任意の機械仕事を行うことができる。一実施形態では、シャフトは、誘導発電機等の発電装置に接続されてもよい。発生した電気は、局所的に使用することもできるし、地域の送電網に送ることもできる。作動流体の圧力を該作動流体の臨界圧未満に低下させ、それによって蒸気相作動流体を生成する。
【0036】
次の工程において、作動流体を膨張機から凝縮機に送り、蒸気相作動流体を凝縮させて液相作動流体を生成する。上記工程は、ループシステムを形成し、多数回繰り返してよい。
【0037】
1つ以上の内部熱交換器(例えば、復熱器)の使用、及び/又はカスケードシステムにおける1超のサイクルの使用を含む実施形態は、本発明の遷移臨界ORC動力サイクルの範囲内であることが意図される。
【0038】
更に、遷移臨界動力サイクルについては、いくつかの異なる動作モードがある。
【0039】
1つの動作モードでは、遷移臨界動力サイクルの第1の工程において、作動流体は、該作動流体の臨界圧よりも高い圧力に、実質的に等エントロピー的に圧縮される。次の工程において、作動流体は、実質的に一定圧力(等圧)条件下で、その臨界温度よりも高い温度に加熱される。次の工程において、作動流体を、該作動流体を蒸気相で維持する温度で、実質的に等エントロピー的に膨張させる。膨張の終わりに、作動流体は、その臨界温度以下の温度の過熱蒸気である。このサイクルの最後の工程で、作動流体は冷却され、熱が冷却媒体へ放出されながら凝縮する。この工程中、作動流体は、液体に凝縮される。作動流体は、この冷却工程の最後に過冷却されてもよい。
【0040】
遷移臨界ORC動力サイクルの別の動作モードでは、第1の工程において、作動流体を、該作動流体の臨界圧よりも高い圧力に、実質的に等エントロピー的に圧縮する。次いで、次の工程において、作動流体は、実質的に一定圧力条件下で、その臨界温度よりも高い温度まで加熱されるが、加熱の程度は、次の工程において作動流体が実質的に等エントロピー的に膨張し、その温度が低下したときに、該作動流体が、該作動流体の部分的凝縮又はミスト化が起こり得る飽和蒸気に十分に近くなるような程度までだけである。しかし、この工程の終わりにおいて、作動流体は、依然としてわずかに過熱されている蒸気である。最後の工程で、作動流体は、冷却され、熱が冷却媒体へ放出されながら凝縮される。この工程中、作動流体は、液体に凝縮される。作動流体は、この冷却/凝縮工程の最後において過冷却されてもよい。
【0041】
遷移臨界ORC動力サイクルの別の動作モードでは、第1の工程において、作動流体を、該作動流体の臨界圧よりも高い圧力に、実質的に等エントロピー的に圧縮する。次の工程において、作動流体は、実質的に一定圧力条件下で、その臨界温度よりも低いか又はほんのわずかに高い温度まで加熱される。この段階では、作動流体の温度は、該作動流体を次の工程で実質的に等エントロピー的に膨張させるとき、該作動流体が部分的に凝縮するような温度である。最後の工程で、作動流体は、冷却され、熱が冷却媒体へ放出されながら完全に凝縮する。作動流体は、この工程の最後において過冷却されてもよい。
【0042】
遷移臨界ORCサイクルの上記実施形態は、実質的に等エントロピー膨張及び圧縮、並びに実質的に等圧加熱又は冷却を示すが、このような等エントロピー的又は等圧条件が維持されないが、それにもかかわらず、サイクルが遂行される他のサイクルも、本発明の範囲内である。
【0043】
1つの実施形態では、本発明は、超臨界サイクルを用いて熱源からの熱を機械エネルギーに変換する方法に関する。該方法は、(a)作動流体をその臨界圧よりも高い圧力からより高い圧力に圧縮する工程と;(b)(a)からの圧縮された作動流体を、熱源によって供給された熱を用いて加熱する工程と;(c)(b)からの加熱された作動流体を膨張させて、作動流体の圧力をその臨界圧よりも高い圧力まで低下させ、機械エネルギーを発生させる工程と;(d)(c)からの膨張した作動流体を冷却して、その臨界圧よりも高い圧力の冷却された作動流体を形成する工程と;(e)(d)からの冷却された液体作動流体を、圧縮のための(a)に循環させる工程と、を含む。
【0044】
1つ以上の内部熱交換器(例えば、復熱器)の使用、及び/又はカスケードシステムにおける1超のサイクルの使用を含む実施形態は、本発明の超臨界ORC動力サイクルの範囲内であることが意図される。
【0045】
典型的に、亜臨界ランキンサイクル動作の場合、作動流体に供給される熱の大部分は、作動流体の蒸発中に供給される。結果として、作動流体が単一の流体成分からなる場合、又は作動流体が擬似共沸の多成分流体混合物である場合、作動流体の温度は、熱源から作動流体への伝熱の間ずっと本質的に一定である。対照的に、流体がその臨界圧よりも高い圧力で相変化することなく等圧加熱されると、作動流体の温度は変動することができる。したがって、熱源の温度が変動するとき、その臨界圧よりも高い圧力の流体を使用して熱源から熱を抽出することにより、亜臨界熱抽出の場合と比べて、熱源の温度と作動流体の温度とをより一致させることができる。その結果、超臨界サイクル又は遷移臨界サイクルにおける、温度が変動する熱源と、単一成分又は擬似共沸の作動流体との間の熱交換プロセスの効率は、多くの場合、亜臨界サイクルよりも高い(Chen et al,Energy,36,(2011)549〜555及びその中における参照文献を参照されたい)。
【0046】
HFO−153−10mzzyの臨界温度及び圧力は、それぞれ170.24℃及び2.04MPa(296.2psia)である。HFO−153−10mzzyの沸点は49℃である。作動流体としてのHFO−153−10mzzyの使用は、超臨界サイクル又は遷移臨界サイクルでそれらの臨界温度よりも高い温度の熱源から熱を受け取る動力サイクルを可能にし得る。より高温の熱源は、(より低温の熱源と比べて)より高いサイクルエネルギー効率及び動力生成のための容積をもたらし得る。その臨界温度よりも高い温度の作動流体を用いて熱を受け取るとき、指定の圧力及び出口温度(膨張機入口温度と本質的に等しい)を有する流体加熱機を、従来の亜臨界ランキンサイクルで用いられる蒸発器(又はボイラー)の代わりに使用する。
【0047】
上記方法の1つの実施形態では、熱を機械エネルギーに変換する効率(サイクル効率)は、少なくとも約4%である。好適な実施形態では、効率(効率数値)は次から選択することができる:約4〜45%。別の実施形態では、効率は、上記任意の2つの効率数値の端点(両端の値を含む)を有する範囲から選択される。
【0048】
通常、亜臨界サイクルに対して、作動流体が熱源からの熱を使用して加熱される温度は、約50℃〜約165℃、好ましくは約80℃〜約165℃、より好ましくは約125℃〜165℃の範囲内である。通常、遷移臨界及び超臨界サイクルに対して、作動流体が熱源からの熱を使用して加熱される温度は、約171℃〜約400℃、好ましくは約175℃〜約300℃、より好ましくは約185℃〜250℃の範囲内である。
【0049】
好適な実施形態では、膨張機の入口における動作温度は、次の温度のうちのいずれか1つであってもよく、又は次の任意の2つの数値によって規定される範囲内(両端を含む)であってもよい:約50〜400℃又は好ましくは80〜250℃。
【0050】
膨張機における作動流体の圧力は、膨張機の入口圧力から膨張機の出口圧力に向かって低下する。超臨界サイクルの典型的な膨張機の入口圧力は、約3MPa〜約15MPa、好ましくは約5MPa〜約10MPa、より好ましくは約5MPa〜約8MPaの範囲内である。超臨界サイクルの典型的な膨張機の出口圧力は、約0.1MPa以内で臨界圧よりも高い。
【0051】
遷移臨界サイクルの典型的な膨張機の入口圧力は、ほぼ臨界圧から約15MPaまで、好ましくはほぼ臨界圧から約10MPaまで、より好ましくはほぼ臨界圧から約5MPamまでの範囲内である。遷移臨界サイクルの典型的な膨張機の出口圧力は、約0.01MPa〜約1.75MPa、より典型的には約0.05MPa〜約1.4MPa、より典型的には約0.05MPa〜約0.5MPaの範囲内である。
【0052】
亜臨界サイクルの典型的な膨張機の入口圧力は、臨界圧よりも約0.1MPaから約0.2MPa低い圧力、好ましくはら臨界圧よりも約0.1MPaか約0.5MPa低い圧力の範囲内である。亜臨界サイクルの典型的な膨張機の出口圧力は、約0.01MPa〜約1.75MPa、より典型的には約0.05MPa〜約1.4MPa、より典型的には約0.05MPa〜約0.5MPaの範囲内である。
【0053】
動力サイクル装置のコストは、より高圧用の設計が必要であるとき、増大し得る。したがって、一般的に、最高サイクル動作圧を限定することは、少なくとも初期コストに関して有利である。注目すべきは、各サイクルは、最大動作圧(典型的には作動流体の加熱機又は蒸発器、及び膨張機の入口に存在する)が4MPa又は好ましくは2.0MPaを超えないことである。
【0054】
本発明の新規な作動流体は、低圧蒸気、産業廃熱、太陽エネルギー、地熱温水、低圧地熱蒸気(一次又は二次機構)等の比較的低温の熱源、あるいは燃料電池、若しくはタービン、マイクロタービン、又は内燃機関などの原動機を利用する分散型発電装置から抽出されるか又は受け取られる熱から機械エネルギーを発生させるためのORCシステムにおいて使用することができる。1つの低圧蒸気源は、バイナリー地熱ランキンサイクルとして知られているプロセスであってよい。多量の低温蒸気は、化石燃料動力発電所等、多くの場所で見出すことができる。
【0055】
他の熱源としては、移動内燃機関(例えばトラック若しくは鉄道又は船のディーゼルエンジン)から排出されるガスから回収される廃熱、固定内燃機関(例えば固定ディーゼルエンジン発電機)からの排気ガスからの廃熱、燃料電池からの廃熱、複合冷暖房発電又は地域冷暖房プラントにおいて利用可能な熱、バイオマス燃料のエンジンからの廃熱、バイオガス、埋立地ガス、及び炭層メタンなどの種々の供給源からのメタンで動作する、天然ガス若しくはメタンガスバーナー又はメタン燃焼ボイラー又はメタン燃料電池(例えば、分散発電施設)からの熱、紙/パルプ工場における樹皮及びリグニンの燃焼からの熱、焼却炉からの熱、(「ボトミング」ランキンサイクルを運転するための)従来のスチーム発電所における低圧蒸気からの熱、及び地熱を含む熱源が挙げられる。
【0056】
本発明のランキンサイクルの1つの実施形態では、地上を循環している作動流体に地熱を供給する(例えば、バイナリーサイクル地熱発電所)。本発明のランキンサイクルの別の実施形態では、本発明の新規な作動流体組成物は、ランキンサイクルの作動流体として、及び「熱サイホン効果」として知られている、温度誘導性の流体密度変動によって大規模又は排他的に生じる流れを有する深井戸の地下を循環する地熱媒体として使用される(例えば、Davis,A.P.and E.E.Michaelides:「Geothermal power production from abandoned oil wells」,Energy,34(2009)866〜872;Matthews,H.B.U.S.Pat.No.4,142,108−Feb.27,1979を参照されたい)。
【0057】
他の熱源としては、パラボラソーラーパネルアレイなどのソーラーパネルアレイからの太陽熱、集中型太陽光発電所からの太陽熱、高PVシステム効率を維持するためにPVシステムを冷却するために光起電力(PV)ソーラーシステムから取り出された熱が挙げられる。
【0058】
他の実施形態では、本発明は、他の種類のORCシステム、例えば、マイクロタービン又は小型容積式膨張機を用いた小規模(例えば1〜500kW、好ましくは5〜250kW)ランキンサイクルシステム(例えば、Tahir,Yamada and Hoshino:「Efficiency of compact organic Rankine cycle system with rotary−vane−type expander for low−temperature waste heat recovery」,Intl J.of Civil and Environ.Eng 2:1 2010)、複合、多段階、及びカスケードランキンサイクル、並びに膨張機を出た蒸気からの熱を回収するための復熱器を有するランキンサイクルシステムにも使用される。
【0059】
他の熱源としては、海運業、精油業者、石油化学プラント、オイル及びガスパイプライン、化学工業、商業ビル、ホテル、ショッピングモール、スーパーマーケット、ベーカリー、食品加工業、レストラン、塗料硬化オーブン、家具製造、プラスチック成形業者、セメントキルン、材木キルン、焼成作業、鉄鋼業、硝子工業、鋳造所、製錬、空調、冷凍、及びセントラルヒーティングからなる群から選択される少なくとも1つの業界に関連する少なくとも1つの作業が挙げられる。
【0060】
別の実施形態では、第1の作動流体を含有する既存のランキンサイクルシステムの最高実現可能蒸発温度を上昇させる方法が提供される。該方法は、第1の作動流体を、HFO−153−10mzzyを含む第2の作動流体と取り替える工程を含む。
【0061】
HFO−153−10mzzyは、他のより高圧である現在使用されている作動流体(すなわち、FC−245faのようなより低い標準沸点の流体)よりも低い蒸発圧力(所与の蒸発温度で)及び高い臨界温度を有する。したがって、HFO−153−10mzzyは、既存のORCシステムがより高い蒸発温度で熱を抽出すること、及び設備の最高許容動作圧力を超えることなくHFC−245fa及び他のより高圧の流体と比べてより高いエネルギー効率を実現することを可能にする。
【0062】
HFO−153−10mzzyの臨界温度は170.2℃である。好適に設計された設備用いて、臨界温度で又は臨界温度より若干低い温度で蒸発器運転温度を達成することが可能である。
【0063】
動力サイクル装置
本発明によれば、熱を機械エネルギーに変換するための動力サイクル装置が提供される。装置は、HFO−153−10mzzyを含む作動流体を含有する。典型的に、本発明の装置は、作動流体を加熱することができる熱交換ユニットと、その圧力を低下させることによって、加熱された作動流体を膨張させることにより、機械エネルギーを発生させることができる膨張機とを含む。膨張機としては、ターボ又は動的膨張機(例えば、タービン)、及び容積式膨張機(例えば、スクリュー膨張機、スクロール膨張機、ピストン膨張機、及びロータリーベーン膨張機)が挙げられる。機械力は、直接(例えば、圧縮機を駆動するために)用いてもよく、又は発電機の使用を通して電力に変換してもよい。典型的に、装置はまた、膨張した作動流体を冷却するための作動流体冷却ユニット(例えば、凝縮器又は熱交換器)、及び冷却された作動流体を圧縮するための圧縮機(例えば液体ポンプ)を含む。
【0064】
一実施形態では、動力サイクル装置は、熱交換ユニット、膨張機、作動流体冷却ユニット及び圧縮機を含み、その全てが列挙する順に流体連通しており、作動流体は、それらを通って1つの構成要素から次の構成要素へと繰り返しサイクルで流れる。
【0065】
一実施形態では、動力サイクル装置は、(a)作動流体を加熱することができる熱交換ユニットと;(b)加熱された作動流体の圧力を低下させることにより該流体を膨張させることによって機械エネルギーを発生させることができる、熱交換ユニットと流体連通している膨張機と;(c)膨張した作動流体を冷却するための、膨張機と流体連通する作動流体冷却ユニットと;(d)冷却された作動流体を圧縮するための、作動流体冷却ユニットと流体連通する圧縮機であって、作動流体がその後繰り返しサイクルで構成要素(a)、(b)、(c)及び(d)の通過を繰り返すように圧縮機は更に熱交換ユニットと流体連通している、圧縮機と、を含む。よって、動力サイクル装置は、(a)熱交換ユニットと;(b)熱交換ユニットと流体連通している膨張機と;(c)膨張機と流体連通している作動流体冷却ユニットと;(d)作動流体冷却ユニットと流体連通している圧縮機であって、作動流体がその後繰り返しサイクルで構成要素(a)、(b)、(c)及び(d)の通過を繰り返すように圧縮機は更に熱交換ユニットと流体連通している圧縮機と、を含む。
【0066】
図1は、熱源からの熱を使用するためのORCシステムの1つの実施形態の概略を示す。熱供給熱交換器40は、熱源46から供給された熱を、熱供給熱交換器40に液相で入る作動流体に伝達する。熱供給熱交換器40は、熱源と熱連通している(この連通は、直接接触によるものであってもよく、又は別の手段によるものであってもよい)。換言すれば、熱供給熱交換器40は、熱伝達の任意の既知の手段によって、熱源46から熱エネルギーを受け取る。ORCシステムの作動流体は、熱供給熱交換器40を通って循環し、そこで作動流体は熱を受け取る。液体作動流体の少なくとも一部は、熱供給熱交換器(場合によっては蒸発機)40において蒸気に変化する。
【0067】
こうして気体の形態となった作動流体は、膨張機32に送られ、そこでの膨張過程によって、熱源から供給された熱エネルギーの少なくとも一部が機械的軸動力に変換される。軸動力は、所望の速度及び必要なトルクに依存して、ベルト、プーリー、ギア、トランスミッション、又は類似の装置の従来の構成を採用することによって任意の機械仕事を行うために使用することができる。一実施形態では、シャフトは、誘電発電機などの発電装置30に接続されてもよい。生成される電気は、局所的に用いてもよく、グリッドに送達してもよい。
【0068】
膨張機32を出た、依然として蒸気の形態の作動流体は、凝縮器34に進み、そこで適切に熱が除去され、流体は凝縮して液体になる。
【0069】
ポンプ吸引のために液体形態の作動流体を常に適切に確実に供給するために、凝縮器34とポンプ38との間に液体サージタンク36を配置することも望ましい。液体形態の作動流体は、ポンプ38まで流れて流体の圧力が高められることによって、熱供給熱交換器40に戻され、このようにしてランキンサイクルループが完成する。
【0070】
別の実施形態では、熱源とORCシステムとの間で動作する二次熱交換ループを用いてもよい。図2では、有機ランキンサイクルシステム、特に、二次熱交換ループを使用するシステムを示す。主な有機ランキンサイクルは、図1について上記した通りに動作する。二次熱交換ループが図2に示されており、以下の通りである。熱源46’からの熱は、熱伝達媒体(すなわち、二次熱交換ループ流体)を使用して熱供給熱交換器40’に輸送される。熱伝達媒体は、熱供給熱交換器40’からポンプ42’まで流れ、ポンプによって伝熱媒体は熱源46’まで戻される。この構成は、熱源から熱を除去し、ORCシステムに熱を送達する別の手段を提供する。この機構により、顕熱伝達のための種々の流体の使用が容易になることから、順応性が提供される。
【0071】
実際、本発明の作動流体は、二次熱交換ループ流体として使用することができるが、ただし、ループ内の圧力は、ループ内の流体の温度において流体の飽和圧以上に維持される。あるいは、本発明の作動流体は、熱交換プロセス中に作動流体を蒸発させて、流体流を維持するのに十分大きな流体密度差を生じさせる(熱サイホン効果)動作モードで、熱源から熱を抽出するための二次熱交換ループ流体又は熱媒体流体として使用してもよい。更に、グリコール、ブライン、シリコーン、又は他の本質的に不揮発性の流体等の高沸点流体は、記載する二次ループ構成において顕熱伝達用に使用してよい。二次熱交換ループは、より容易に熱源又はORCシステムのいずれかとしても機能し得るが、それは、この2つのシステムが、より容易に分割又は分離し得るためである。このアプローチは、高質量流/低熱流束部分に続いて、高熱流束/低質量流部分を備える熱交換器を有する場合と比べて、熱交換器の設計を単純化することができる。有機化合物は、多くの場合、それを超えると熱分解が生じる上限温度を有する。熱分解の開始は、化学物質の具体的な構造に関連しているので、異なる化合物では異なる。作動流体を用いた直接熱交換を使用する高温源を利用するために、前述のような熱流束及び質量流に関する設計配慮を用いて、その熱分解開始温度より低温に作動流体を維持しながら熱交換を促進することができる。このような状況における直接熱交換は、典型的に、コストをはね上げる更なる工学的及び機械的機構を必要とする。このような状況では、二次ループ設計は、直接熱交換の場合に列挙される懸案事項を回避しながら、温度を管理することによって、高温熱源へのアクセスを促進し得る。
【0072】
二次熱交換ループの実施形態についての他のORCシステムの構成要素は、図1に記載したものと本質的に同じである。液体ポンプ42によって、二次流体(例えば、熱伝達媒体)が二次ループを循環し、二次流体は熱源46中のループの一部に入り、そこで流体は熱を受け取る。次に流体は熱交換器40を通り、そこで二次流体は熱をORC作動流体に渡す。
【0073】
上記プロセスの1つの実施形態では、蒸発器の温度(作動流体によって熱が抽出される温度)は、作動流体の臨界温度よりも低い。動作温度が、以下の温度のいずれか1つ、又は以下の任意の2つの数値によって規定される範囲内(両端を含む)である実施形態が含まれる:約40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169及び約170℃。
【0074】
上記プロセスの1つの実施形態では、蒸発器の動作圧は、約2MPa未満である。動作の際の蒸発圧力が、以下の圧力のいずれか1つ、又は以下の任意の2つの数値によって規定される範囲内(両端を含む)である実施形態が含まれる:約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、1.50、1.55、1.60、1.65、1.70、1.75、1.80、1.85、1.90、1.95、及び2MPa。
【0075】
低コスト設備構成要素の使用により、有機ランキンサイクルの実際の実現可能性が実質的に拡大する(Joost J.Brasz,Bruce P.Biederman and Gwen Holdmann:「Power Production from a Moderate−Temperature Geothermal Resource」,GRC Annual Meeting,Sep.25〜28th,2005;Reno,Nev.,USAを参照されたい)。例えば、最高蒸発圧を約2.2Mpaに限定することにより、HVAC業界において広く使用されている種類の低コストの装置部品を使用することが可能になる。
【0076】
一実施形態では、動力サイクル装置で有用な組成物は、約1〜100重量パーセントのHFO−153−10mzzyを含んでもよい。別の実施形態では、有用な組成物は、約1〜100重量パーセントのHFO−153−10mzzyから本質的になる。また別の実施形態では、有用な組成物は、約1〜100重量パーセントのHFO−153−10mzzyからなる。
【0077】
装置は、水分の除去を支援するためにモレキュラーシーブを含んでもよい。乾燥剤は、活性アルミナ、シリカゲル、又はゼオライト系モレキュラーシーブを含み得る。特定の実施形態では、好ましいモレキュラーシーブは、約3オングストローム、4オングストローム、又は5オングストロームの孔径を有する。代表的なモレキュラーシーブとしては、MOLSIV XH−7、XH−6、XH−9、及びXH−11(UOP LLC(Des Plaines,Ill.))が挙げられる。
【0078】
動力サイクル組成物
更に注目すべきは、組成物が作動流体の臨界温度よりも高い温度を有し、潤滑剤がその温度での使用に好適である、作動流体のことである。
【0079】
潤滑剤も含むHFO−153−10mzzyを含む作動流体は、ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、ポリビニルエーテル、鉱油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテン、及びポリ(アルファ)オレフィンからなる群から選択される潤滑剤を含有してもよい。
【0080】
有用な潤滑剤には、動力サイクル装置で使用するのに適したものが含まれる。これらの潤滑剤には、クロロフルオロカーボン冷媒を利用する蒸気圧縮冷凍装置において従来用いられているものがある。一実施形態では、潤滑剤は、圧縮冷凍潤滑の分野で「鉱油」として一般に知られるものを含む。鉱油は、パラフィン(すなわち、直鎖状及び分枝状炭素鎖の飽和炭化水素)、ナフテン(すなわち、環状パラフィン)、並びに芳香族(すなわち、交互二重結合を特徴とする1つ以上の環を含む不飽和環状炭化水素)を含む。1つの実施形態では、潤滑剤は、圧縮冷凍潤滑の分野において「合成油」として一般的に知られるものを含む。合成油は、アルキルアリール(すなわち、直鎖状及び分枝状アルキルのアルキルベンゼン)、合成パラフィン及びナフテン、並びにポリ(アルファオレフィン)を含む。代表的な従来の潤滑剤は、商業的に入手可能なBVM 100N(BVA Oilsによって販売されるパラフィン系鉱油)、商標Suniso(登録商標)3GS及びSuniso(登録商標)5GSでCrompton Co.から商業的に入手可能なナフテン系鉱油、商標Sontex(登録商標)372LTでPennzoilから商業的に入手可能なナフテン系鉱油、商標Calumet(登録商標)RO−30でCalumet Lubricantsから商業的に入手可能なナフテン系鉱油、商標Zerol(登録商標)75、Zerol(登録商標)150及びZerol(登録商標)500でShrieve Chemicalsから商業的に入手可能な直鎖状アルキルベンゼン、並びにHAB22(新日本石油株式会社によって販売される分枝状アルキルベンゼン)である。
【0081】
有用な潤滑剤としては、ハイドロフルオロカーボン冷媒との使用のために設計され、かつ動力サイクル運転条件下で本発明の作動流体と混和性であるものも挙げることができる。かかる潤滑剤としては、Castrol(登録商標)100(Castrol,United Kingdom)などのポリオールエステル(POE)、Dow(Dow Chemical,Midland,Mich.)製のRL−488Aなどのポリアルキレングリコール(PAG)、ポリビニルエーテル(PVE)、及びポリカーボネート(PC)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
潤滑剤は、所与の膨張機の要件及び潤滑剤が曝されるであろう環境を考慮することによって選択される。
【0083】
注目すべきは、高温にて安定性を持つ高温潤滑剤のことである。動力サイクルが達成する最高温度は、どの潤滑剤が必要とされるかを決定する。
【0084】
特に注目すべきは、約200℃まで安定性のあるポリアルファオレフィン(POA)潤滑剤、及び約200℃〜220℃までの温度で安定性のあるポリオールエステル(POE)潤滑剤である。更に特に特に注目すべきは、約220℃〜約350℃の温度で安定性を有するペルフルオロポリエーテル潤滑剤である。PFPE潤滑剤には、約300〜350℃まで熱安定性のあるXHTシリーズなどの、商標Krytox(登録商標)でDuPont(Wilmington,DE)から入手可能なものが含まれる。他のPFPE潤滑剤には、約280〜330℃まで熱安定性のあるダイキン工業(日本国)から商標Demnum(商標)で販売されるもの、並びに、約220〜260℃まで熱安定性のある商標Fomblin(登録商標)−Y Fomblin(登録商標)−Zで入手可能なものなどの商標Fomblin(登録商標)及びGalden(登録商標)で、Ausimont(Milan,Italy)から入手可能なものが含まれる。
【0085】
別の実施形態では、HFO−153−10mzzyを含む作動流体が提供される。注目すべきは、組成物は、他の化合物の総量がゼロ超(例えば、百万当たり100部以上)から約50重量パーセントまでであることである。
【0086】
熱を機械的エネルギーに変換する動力サイクルで使用するための組成物が提供される。該組成物は、上記のようにHFO−153−10mzzyを含む作動流体を含む。前記組成物は、上記のように遷移臨界サイクル又は超臨界サイクルによって発電するために使用されるときに、その臨界温度よりも高い温度にあってもよい。前記組成物はまた、少なくとも約100℃、好ましくは150℃、より好ましくは175℃の温度での使用に好適な少なくとも1つの潤滑剤を含んでもよい。注目すべきは、組成物が、約175℃〜約400℃の範囲内の温度での使用に好適な少なくとも1つの潤滑剤を含むことである。本発明の組成物はまた、安定剤、相溶化剤、及びトレーサーなどの他の成分を含んでもよい。
【実施例】
【0087】
本明細書に記述される概念について以下の実施例で更に説明するが、これは、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲を限定するものではない。
【0088】
(実施例1)
高温におけるHFO−153−10mzzyの化学的安定性
ANSI/ASHRAE Standard 97−2007の方法論にしたがって、封止したガラス管中で試験することで、HFO−153−10mzzyの熱安定性を評価した。一般的にヒートポンプ及び他の設備の構造物に使用される金属片(Fe、Al、Cu、ステンレス鋼304)を、ガラス管中でHFO−153−10mzzyのサンプルに浸漬させて載置した。管を封止し、175℃で32日間、オーブン中で加熱した。32日間の時間経過後、HFO−153−10mzzyの分解を、フッ化物イオン濃度(百万分率(ppm))を測定することによって定量化した。HFO−153−10mzzyの分解によって生じるフッ化物イオンの濃度は、100ppm未満であり、これは、良好な熱安定性を示すものである。HFO−153−10mzzyは、その化学的不飽和性にもかかわらず、下の表1に示されるNovec(登録商標)HFE−7100と同様の熱安定性を示した。
【0089】
【表1】
【0090】
熱安定性が高く、不燃性であり、GWPが低く、臨界温度が高く、蒸気圧が低いことで、HFO−153−10mzzyは動力サイクルにおける作動流体として魅力的なものとなる。
【0091】
(実施例2)
膨張機入口温度200℃における熱からの動力生成に関するHFO−153−10mzzyを用いる場合とHFC−245faを用いる場合との比較
表2は、利用可能な熱を使用して膨張機入口温度を200℃に維持した場合の、HFO−153−10mzzy及びHFC−245faを作動流体として用いて運転されるランキン動力サイクルの性能を比較している。使用可能な設備は最高許容動作圧力を3MPaに制限するものとして更に想定される。凝縮器温度は100℃とし、これは、凝縮器の熱が地域暖房ネットワークに供給される熱電併給(CHP)コージェネレーション運転に適した値である。更なる共通運転条件は表2の見出し記載されている。HFO−153−10mzzyは、HFC−245faよりも実質的に低いGWPを有することに加えて、HFC−245fa用いる場合よりも27%高い理想的なサイクルエネルギー効率を可能にする。
【0092】
【表2】
本発明は以下の実施の態様を含む。
1.熱源からの熱を機械エネルギーに変換する方法であって、前記熱源から供給される熱を使用して(2E)−1,1,1,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エン(HFO−153−10mzzy)を含む作動流体を加熱する工程と;前記加熱された作動流体を膨張させて、前記作動流体の圧力を低下させ、前記作動流体の前記圧力が低下されるときに機械エネルギーを発生させる工程と、を含む、方法。
2.前記作動流体が、加熱前に圧縮され、前記膨張した作動流体が、繰り返しサイクルのために冷却及び圧縮される、前記1に記載の方法。
3.熱源からの熱が、
(a)液体作動流体をその臨界圧力未満の圧力に圧縮する工程と;
(b)前記熱源によって供給される熱を使用して(a)からの前記圧縮された液体作動流体を加熱して蒸気作動流体を形成する工程と;
(c)(b)からの前記蒸気作動流体を膨張させて前記作動流体の圧力を下げ、そして機械的エネルギーを発生させる工程と;
(d)(c)からの前記膨張した作動流体を冷却して冷却された液体作動流体を形成する工程と;
(e)(d)からの前記冷却された液体作動流体を圧縮のための(a)に循環させる工程と
を含む亜臨界サイクル(sub-critical cycle)を用いて、機械的エネルギーに変換される前記2に記載の方法。
4.熱源からの熱が、
(a)液体作動流体を前記作動流体の臨界圧力を超える圧力に圧縮する工程と;
(b)前記熱源によって供給される熱を使用して(a)からの前記圧縮された作動流体を加熱する工程と;
(c)(b)からの前記加熱された作動流体を膨張させて前記作動流体の圧力を、その臨界圧力未満に下げ、そして機械的エネルギーを発生させる工程と;
(d)(c)からの前記膨張した作動流体を冷却して冷却された液体作動流体を形成する工程と;
(e)(d)からの前記冷却された液体作動流体を圧縮のための(a)に循環させる工程と
を含む遷移臨界サイクル(trans-critical cycle)を用いて、機械的エネルギーに変換される前記2に記載の方法。
5.熱源からの熱が、
(a)作動流体をその臨界圧力を超える圧力からより高い圧力に圧縮する工程と;
(b)前記熱源によって供給される熱を使用して(a)からの前記圧縮された作動流体を加熱する工程と;
(c)(b)からの前記加熱された作動流体を膨張させて前記作動流体の圧力を、その臨界圧力を超える圧力まで下げ、そして機械的エネルギーを発生させる工程と;
(d)(c)からの前記膨張した作動流体を冷却してその臨界圧力を超える冷却された作動流体を形成する工程と;
(e)(d)からの前記冷却された液体作動流体を圧縮のための(a)に循環させる工程と
を含む超臨界サイクルを用いて、機械的エネルギーに変換される前記2に記載の方法。
6.前記作動流体が、HFO−153−10mzzyから本質的になる不燃性組成物である、前記1に記載の方法。
7.前記作動流体が、1重量パーセント超から約100重量パーセントまでのHFO−153−10mzzyを含む、前記1に記載の方法。
8.前記熱源が比較的低温の熱源である、前記1に記載の方法。
9.前記比較的低温の熱源が、低圧蒸気、産業廃熱、太陽エネルギー、地熱温水、低圧地熱蒸気、低圧地熱蒸気、及び燃料電池又は原動機を利用する分散型発電装置からなる群から選択される、前記8に記載の方法。
10.繰り返しサイクルの最大動作圧が4MPaを超えない、前記1に記載の方法。
11.前記繰り返しサイクルの最大動作圧が2.0MPaを超えない、前記10に記載の方法。
12.熱を機械エネルギーに変換する効率が、少なくとも約4%である、前記1に記載の方法。
13.熱を機械エネルギーに変換するための作動流体を含有する動力サイクル装置であって、前記装置が、(2E)−1,1,1,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エン(HFO−153−10mzzy)を含む作動流体を含有することを特徴とする、動力サイクル装置。
14.(a)熱交換ユニットと;(b)前記熱交換ユニットと流体連通している膨張機と;(c)前記膨張機と流体連通している作動流体冷却ユニットと、(d)前記作動流体冷却ユニットと流体連通している圧縮機とを含み、前記圧縮機は、前記作動流体がその後繰り返しサイクルで構成要素(a)、(b)、(c)及び(d)の通過を繰り返すように更に前記熱交換ユニットと流体連通している、前記13に記載の動力サイクル装置。
15.前記作動流体が、熱源からの熱を使用することによって熱を機械エネルギーに変換する、前記13に記載の動力サイクル装置。
16.前記熱源が、低圧蒸気、産業廃熱、太陽エネルギー、地熱温水、低圧地熱蒸気、低圧地熱蒸気、及び燃料電池又は原動機を利用する分散型発電装置からなる群から選択される比較的低温の熱源である、前記15に記載の動力サイクル装置。
17.前記動力サイクル装置の最大動作圧が4MPaを超えない、前記13に記載の動力サイクル装置。
18.前記動力サイクル装置の最大動作圧が2.00MPaを超えない、前記17に記載の動力サイクル装置。
19.熱を機械エネルギーに変換する効率が、少なくとも約4%である、前記13に記載の動力サイクル装置。
20.前記動力サイクルが、亜臨界サイクル、遷移臨界サイクル、又は超臨界サイクルである、前記15に記載の動力サイクル装置。
21.前記動力サイクルが亜臨界サイクルであり、前記作動流体が前記熱源によって加熱される温度は、約50℃〜約165℃の範囲内である、前記20に記載の動力サイクル装置。
22.前記作動流体が前記熱源によって加熱される温度は、約80℃〜約165℃の範囲内である、前記22に記載の動力サイクル装置。
23.前記作動流体が前記熱源によって加熱される温度は、約125℃〜約165℃の範囲内である、前記23に記載の動力サイクル装置。
24.前記動力サイクルが、遷移臨界サイクル又は超臨界サイクルであり、前記作動流体が前記熱源によって加熱される温度は、約171℃〜約400℃の範囲内である、前記20に記載の動力サイクル装置。
25.前記作動流体が前記熱源によって加熱される温度は、約175℃〜約300℃の範囲内である、前記24に記載の動力サイクル装置。
26.前記熱源の温度が、約185℃〜約250℃の範囲内である、前記25に記載の動力サイクル装置。
27.前記動力サイクルがランキンサイクルである、前記13に記載の動力サイクル装置。
28.(2E)−1,1,1,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エン(HFO−153−10mzzy)を含む、動力サイクル装置用作動流体。
29.HFO−153−10mzzyから本質的になり、前記作動流体がその臨界温度及び圧力よりも高い温度及び圧力で動作する、前記27に記載の作動流体。
30.前記28に記載の作動流体と潤滑剤とを含む、動力サイクル装置で用いるのに適した組成物。
31.前記作動流体の組成物成分が、HFO−153−10mzzyから本質的になる、前記30に記載の組成物。
32.前記動力サイクル装置の最大動作圧が4MPaを超えない、前記30に記載の組成物。
33.前記動力サイクル装置の最大動作圧が2.0MPaを超えない、前記32に記載の組成物。
34.第1の作動流体を含有する既存の動力サイクルシステムの最高実現可能蒸発温度を上昇させる方法であって、前記第1の作動流体を、(2E)−1,1,1,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エンを含む第2の作動流体と取り替える工程を含む、方法。
35.前記動力サイクルシステムがランキンサイクルシステムである、前記34に記載の方法。
36.動力サイクルにおける作動流体としての(2E)−1,1,1,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタ−2−エン(HFO−153−10mzzy)の使用。
図1
図2