【実施例】
【0070】
〔実施例1:コスミドキャリアの改変〕
ステップ(1)およびステップ(2)は、エリスロマイシン生合成性の遺伝子クラスタの上流断片および下流断片(すなわち、5’相同性アームおよび3’相同性アームを含んでいる、二重乗り換えのための2つの相同性アーム)を、pBluscript KS (+)(GenBank:X52331.1)ベクターに順にクローニングし、2つの相同性アームの間にBamHI部位を導入し、上流の断片の5’末端および下流の断片の3’末端にNotI部位をそれぞれ導入し、上記NotIを用いて、上記2つの相同性アームを含んでいる断片を切断する。構築プロセスは、
図1に示す通りである。
【0071】
(1)Saccharopolyspora erythraea(ATCC 11635)のゲノム(ゲノムDNAの抽出については方法10を参照)を、テンプレートとして使用し、euF(配列番号1、5’末端にNotI部位を導入している)/euR(配列番号2、5’末端にBamHI部位を導入している)を、プライマーとして利用し、エリスロマイシン生合成性の遺伝子クラスタの上流にある2511bp断片1:eryU(配列番号46、制限消化部位および保護的な塩基配列を含んでおり、したがってサイズは2531bpであった)を、PCRによって増幅した。PCR産物を回収し、NotI(Takara)を用いた1時間にわたる酵素消化に供し;それから、酵素消化された生成物を、回収し、BamHI(Takara)を用いた1時間にわたる酵素消化に供して、二重に酵素消化された生成物を得;また、pBluscript KS (+)ベクターを、NotIおよびBamHIを用いた酵素消化に供し、回収し;それから、二重消化後における上述のPCR産物とライゲートさせ、組換え組換えプラスミド1:pBS-eryUを、スクリーニングおよび試験の後に得た。
【0072】
(2)それから、エリスロマイシン生成株のゲノムDNAを、テンプレートとして利用し、エリスロマイシン生合成性の遺伝子クラスタの下流に基づく2642bp断片2:eryD(配列番号47、制限消化部位および保護塩基配列を含んでおり、したがってサイズは2667bpであった)を、edF(配列番号3、5’末端にPst I部位を導入している)/edR(配列番号4、3’末端にNotIおよびXhoI部位を導入している)を、プライマー対として用いたPCRによって増幅した。回収後に、XhoIおよびPstI:5μlの10×Hバッファー溶液、25μlのPCR産物(またはプラスミド1:pBS-eryU)、18μlのddH
2O、1μlのPstI(Takara、商品番号1073A)、および1μlのXhoI(Takara、商品番号1094A)を用いて、PCR産物および組換えプラスミド1:pBS-eryUを、二重の酵素消化に供した。二重酵素消化させた。混合物を、1時間にわたって37℃のウォータバスに入れ、それから、生成物を、それぞれ回収し、ライゲートして、組換えプラスミド2: pBS-eryUDを、スクリーニングおよび同定を経て、得た。
【0073】
(3)組換えプラスミド2 pBS-eryUDを、NotIを用いた制限消化に供し、2つの相同性アーム(すなわち、断片1:eryUおよび断片2:eryU)を含んでいる5179bp断片を、ゲルの切り取りを介して回収し、それから、NotIを用いて消化された、脱リン酸化されているたコスミドsupercos-1(Stratagene、商品番号251301、概観について
図2Aを参照)とライゲートした。最後に、コスミドEryUD-Cos2(概観について
図2Bを参照)を、PCRおよび酵素消化検出を経て、得た。
【0074】
〔実施例2:スピノサド生成株のトータルDNAの抽出〕
極低温バイアルからのスピノサド生成株Saccharopolyspora spinosaの胞子溶液(NRRL 18538)を、取り、30mlのTSB培地に播き、トータルDNAを、方法10にしたがって抽出した。
【0075】
〔実施例3:スピノサド生成株のゲノムライブラリの構築〕
(1)スピノサド生成株のトータルDNAの部分的な酵素消化条件のための試験:
以下の反応溶液:実施例2において調製されたスピノサド生成株の100μlのトータルDNA;15μlの10×Hバッファー溶液および、35μlのddH
2Oを調製した。
【0076】
上記溶液を、5分間にわたって37℃のウォーターバスに入れたあと、0.25uのSau3AI(Takara Biological Engineering (Dalian) Co., Ltd., 商品番号D1082A、酵素の保存溶液を用いて標的濃度まで希釈されている)を加えて、それから、混合物を37℃のウォーターバスにふたたび入れた。5分後から、3分ごとに25μlの反応液を取りだして、5μlの6×ローディングバッファー溶液(Takara Biological Engineering (Dalian) Co., Ltd., 商品番号D604)において反応を停止させた。電気泳動の結果(
図3)は、反応時間が5〜8分間のとき、スピノサド生成株のトータルDNAの消化断片が、相対的に30kb付近に集められることを示している。
【0077】
(2)スピノサド生成株のトータルDNAの、部分的な酵素消化:
以下の反応溶液:スピノサド生成株の、1000μlのトータルDNA、150μlの10×Hバッファー溶液、および350μlのddH
2Oを調製した。
【0078】
上記溶液を37℃のウォーターバスに5分間にわたって入れておいたあと、0.25uのSau3AIを加えて、それから、混合物を37℃のウォーターバスにふたたび入れた。反応が5分間、6分間および7分間にわたって実施されたときに、500μlの反応溶液を、それぞれ取り出し、等量のフェノール−クロロフォルム−イソアミルアルコールを抽出物に加え、それから、5μlの混合物を、電気泳動試験のために取りだした。結果は、反応時間が5分および6分のときに、スピノサド生成株のトータルDNAの消化された断片が、相対的に25〜40kb付近に集められることを示している。その結果を
図4に示した。
5分の反応時間および6分の反応時間を有している2つのチューブを混ぜ合わせ、それから、100μlの3mol/LのNaAc溶液(pH5.3)および1.1mlのイソプロパノールを加え、数回の転倒の後に白色の綿状の沈殿物を新しい2.5mlの遠心管に取り出した。沈殿物を、70%エタノールを用いて2回にわたって洗浄し、室温において30分間にわたって乾燥させ、100μlの2mmol/LのTris−HCl溶液(pH8.0)に溶解させた。
【0079】
(3)スピノサド生成株のトータルDNAの部分的な酵素消化生成物の脱リン酸化:
以下の反応溶液:スピノサド生成株のトータルDNAの、100μlの部分的な酵素消化生成物;11.5μlのFastApバッファー溶液;および3μlのFastApを調製した。
【0080】
溶液を37℃のウォーターバスに50分間にわたって入れておいたあと、等量のフェノール−クロロフォルム−イソアミルアルコールを加えて、抽出し;90μlの上澄を取り、9μlの3mol/LのNaAc溶液(pH5.3)および200μlの無水エタノールを加え、上澄を遠心分離によって除去し、それから沈殿物を、70%エタールを用いて2回にわたって洗浄し、室温において30分間にわたって乾燥させた。上記沈殿物を、50μlの2mmol/LのTris−HCl溶液(pH8.0)に溶解させて、スピノサド生成株のトータルDNAの脱リン酸化部分的な酵素消化生成物を得た。
【0081】
(4)コスミドEryUD-Cos2の酵素消化および脱リン酸化:
以下の反応溶液:50μlのコスミドEryUD-Cos2;10μlの10×Hバッファー溶液;37μlのddH
2O;および3μlのXhoIを調製した。
【0082】
溶液を37℃のウォーターバスに2時間にわたって入れておき、1μlのFastApを加え、37℃のウォーターバスに30分間にわたって入れておき;等量のフェノール−クロロフォルム−イソアミルアルコールを加えて抽出し;80μlの上澄を取り、8μlの3MのNaAc溶液(pH5.3)および180μlの無水エタノールを加え、それから上澄を遠心分離によって除去し、沈殿物を、70%エタノールを用いて2回にわたって洗浄し、室温において30分間にわたって乾燥させた。それから、上記沈殿物を、50μlの2mMのTRIS−HCL溶液(pH8.0)に溶解させて、5’−脱リン酸化されているリニアのコスミドEryUD-Cos2を得た。
【0083】
以下の反応溶液:5’−脱リン酸化されているリニアの、50μlのコスミドEryUD-Cos2;10μlの10×BamH Iバッファー溶液;37μlのddH
2O;および3μlのBamH Iを調製した。
【0084】
溶液を37℃のウォーターバスに2時間にわたって入れたあと、等量のフェノール−クロロフォルム−イソアミルアルコールを加えて抽出した。80μlの上澄を取り、8μlの3mol/LのNaAc溶液(pH5.3)および180μlの無水エタノールを加え、それから上記上澄を遠心分離によって除去し、沈殿物を、70%エタノールを用いて2回にわたって洗浄し、室温において30分間にわたって乾燥させた。それから、上記沈殿物を、30μlの2mMのTris−HCl溶液(pH8.0)に溶解させて、XhoIおよびBamH Iの二重に酵素消化されたコスミドEryUD-Cos2を得た。
【0085】
(5)スピノサド生成株のゲノムライブラリのライゲーション:
以下の反応溶液:スピノサド生成株のトータルDNAの、3μlの脱リン酸化されている部分的な酵素消化生成物;XhoIおよびBamH Iの二重に酵素消化された、1μlのコスミドEryUD-Cos2;3μlの10×T4リガーゼバッファー溶液;21μlのddH
2O;2μlのT4リガーゼ(Takara、商品番号D2011A)を調製した。
【0086】
溶液を16℃のウォーターバスに一晩にわたって入れておいたあとに、3μlの3mol/LのNaAc溶液(pH5.3)および180μlの無水エタノールを加え、それから上澄を遠心分離によって除去し、沈殿物を、70%エタノールを用いて2回にわたって洗浄し、室温において30分間にわたって乾燥させた。それから、上記沈殿物を、5μlのddH
2Oに溶解させて、ライゲーション生成物を得た。
【0087】
(6)スピノサド生成株のゲノムライブラリの、パッケージングおよびトランスフェクション:
パッケージングキットは、以下のステップによって扱われるGigapack(登録商標) III XLパッケージングシステム(Stratagene Inc.、商品番号200201)であった。
【0088】
a)キットのうち1パック(1つの遠心チューブ)を、取り出し、チューブにおける試薬が融けるまで手に握っていた。
【0089】
b)ステップ5)から得られた4μlのライゲーション生成物を加え、穏やかに撹拌し、遠心分離器において3〜5秒間にわたって素早く遠心分離して、溶液のすべてが遠心チューブの底にある状態を確保し;
c)22℃において2時間にわたって反応させたあと、500μlのSMバッファー溶液を加え(1000gごとに、以下の物質:5.8gのNaCl、2.0gのMgSO
4・7H
2O、50mlの1MのTris−HCl(pH7.5)、5.0mlの2%(W/V)のゼラチンを含んでいる);
d)20μlのクロロフォルムを加え、穏やかに混合し、3〜5秒間にわたって素早く遠心分離し、4℃の冷蔵庫に使用のために保存し;
e)Escherichia coli DH10Bを、グリセロールと一緒に入っている、キットにおけるチューブからピックアップして、LB培地上にストリークし、37℃において14〜18時間にわたって培養して、複数の単コロニーを形成させた。
【0090】
f)1つの単コロニーをピックアップし、10mMのMgSO
4および0.2%(w/v)のマルトースを含んでいる3mlのLB培地に播き、37℃において4〜6時間にわたって220rpmにおいて、OD600が0.6〜0.8になるまで振盪培養に供し;
g)1.5mlの菌菌株液を取り、10分間にわたって500gにおいて遠心分離して菌株を回収し、沈殿物を、滅菌した10mMのMgSO
4を用いて懸濁させ、OD600=0.5まで希釈して、コンピテントセルを得;
h)d)において得られた5μlのパッケージ生成物を取り、SMバッファー溶液によって50μlまで希釈し、それから1μlの混合物を取り、200μlのコンピテントセルに加え、37℃において15分間にわたって培養し;
i)それから、1mlのLB培地を加え、一様に混ぜ、混合物を、100μg/mlのアンピシリンを含んでいる10個のLBプレートに均一に広げ、37℃において約16時間にわたって培養した(各プレート上の形質転換体の数は300〜400であった)。
【0091】
(7)スピノサド生成株のゲノムライブラリプラスミドのスクリーニング:
100μg/mlのCbを含んでいるLB培地を、150μl/ウェルの96ウェルプレート15個にサブパッケージし、これら15個のプレートにそれぞれ1#から15#の番号を振り、上記形質転換体の1つを爪楊枝で各ウェルへ取って接種し、それから37℃、220rpmで約16時間、培養した。
【0092】
上記の96ウェルプレート中の12ウェルのそれぞれの菌株液10μlを、以下の規則に基づいて混合して新たな96ウェルプレート(それぞれ16#および17#および番号を振る)に入れた。
【0093】
16#96ウェルプレートの縦方向:1#96ウェルプレートのウェルA1〜A12を混合して16#96ウェルプレートのウェルA1に入れ、ウェルB1〜B12を混合して16#96ウェルプレートのウェルB1に入れ(以下同様)、H1〜H12を混合して16#96ウェルプレートのウェルH1に入れた。
【0094】
16#96ウェルプレートの横方向:1#96ウェルプレートのウェルA1〜A12を混合して16#96ウェルプレートのウェルA1に入れ、2#96ウェルプレートのウェルA1〜A12を混合して16#96ウェルプレートのウェルA2に入れ(以下同様)、12#96ウェルプレートのウェルA1〜A12を混合して16#96ウェルプレートのウェルA12に入れた。詳細は
図5を参照。
【0095】
同様にして、17#96ウェルプレートの縦方向:13#96ウェルプレートのウェルA1〜A12を混合して17#96ウェルプレートのウェルA1に入れ、ウェルB1〜B12を混合して17#96ウェルプレートのウェルB1に入れ(以下同様)、H1〜H12を混合して17#96ウェルプレートのウェルH1に入れた。
【0096】
17#96ウェルプレートの横方向:13#96ウェルプレートのウェルA1〜A12を混合して17#96ウェルプレートのウェルA1(A13および数を振り直す)に入れ、14#96ウェルプレートのウェルA1〜A12を混合して17#96ウェルプレートのウェルA2(A14および数を振り直す)に入れ、15#96ウェルプレートのウェルA1〜A12を混合して17#96ウェルプレートのウェルA3(A15および数を振り直す)に入れた。
【0097】
(8)スピノサド生成株特別ゲノムライブラリのPCRスクリーニング:
a)PCRを用いて、ライブラリプラスミドが、spnR、spnF、およびspnBの3つの遺伝子に含まれる部分断片(スピノサド生合成性の遺伝子クラスタの相対位置はそれぞれ、4168-5330、20151-21020、34049-34639である)を含んでいるかどうか検出した。スピノサド生合成性の遺伝子クラスタ上の上記3つの断片の相対位置を、
図6に示す(つまり、スピノサド生合成性の遺伝子クラスタ上の矢印は、上記断片の位置を示す)。上記3つの遺伝子の部分断片のPCR産物のサイズはそれぞれ、1163bp(spnR)、870bp(spnF)、591bp(spnB)である。上記3つの遺伝子のPCR増幅に用いたプライマー配列は、それぞれ以下の通り:
spnRプライマー:spnRF(配列番号5)およびspnRR(配列番号6);
spnFプライマー:spnFF(配列番号7)およびspnFR(配列番号8);ならびに
spnBプライマー:spnBF(配列番号9)およびspnBR(配列番号10)。
【0098】
以下の反応溶液:750μlの2×GCIバッファー溶液、120μlの2.5mM dNTP、15μlのspnRF(25μM)、15μlのspnRR(25μM)、15μlのspnFF(25μM)、15μlのspnFR(25μM)、15μlのspnBF(25μM)、15μlのspnBR(25μM)、535μlのddH
2O、および7.5μlのrTaq(Takara、商品番号DR001A)を調製した。
【0099】
上記溶液を10μl/チューブにサブパッケージし、16#および17#96ウェルプレートの各ウェルの菌株液0.5μlをそれぞれ加え、スピノサド生成株のトータルDNA0.2μlをコントロールとして用いた。PCR反応手順は以下のようにした。95℃×10分、(94℃×30秒、55℃×30秒、72℃×1分10秒)×35サイクル、72℃×1分、16℃×1秒。
【0100】
PCRの結果を電気泳動によって調べた。その結果を
図7A〜7Fに示した。
【0101】
図7A〜7Cの結果によれば、B9、D9、E4、F1、F4は目的のバンドを有した。すなわち、1#96ウェルプレートのF1〜F12(1F1〜1F12と表す)、4#96ウェルプレートのE1〜E12(4E1〜4E12と表す)およびF1〜F12(4F1〜4F12と表す)、9#96ウェルプレートのB1〜B12(9B1〜9B12と表す)およびD1〜D12(9D1〜9D12と表す)の菌株液が、対応する目的遺伝子を有した。上記の5つを第1グループと表した。
図7D〜7Fの結果によれば、H5、E7、H9、A10、D10、G10、H10は目的のバンドを有した。すなわち、5#96ウェルプレートのH1〜H12(5H1〜5H12と表す)、7#96ウェルプレートのE1〜E12(7E1〜7E12と表す)、9#96ウェルプレートのH1〜H12(9H1〜9H12と表す)、10#96ウェルプレートのA1〜A12(10A1〜10A12と表す)、D1〜D12(10D1〜10D12と表す)、G1〜G12(10G1〜10G12と表す)、H1〜H12(10H1〜10H12と表す)の菌株液が、対応する目的遺伝子を有した。以上の7つを第2グループと表した。
【0102】
第1グループの60の菌株液および第2グループの84の菌株液に対して、上記と同じ組成を用いて、別々に個別にPCR検出を行った。それらの結果を
図8A〜8Fに示した(
図8A〜8Cは第1グループ、
図8D〜8Fは第2グループと称した)。
【0103】
第1グループの結果は、1F9、4E11、4F11、9B5、9D10は対応する目的断片をそれぞれ有していると示した。一方、第2グループの結果は、7E9、9H9、10A5、10D5、10D6、10G3は対応する目的断片をそれぞれ有していると示した。上記の菌株液を再培養してプラスミドを抽出したあと、当該プラスミドはそれぞれ上記の数で名付けられ、サンプルを配列決定に送った。シークエンシングプライマーは、cosF:配列番号11およびcosR:配列番号12であった。
【0104】
b)PCRを用いて、ライブラリプラスミドが2つの遺伝子spnDおよびspnEの部分断片を有しているか検出した(スピノサド生合成性の遺伝子クラスタ上の相対位置はそれぞれ、50305−51725および69264−70076であった)。スピノサド生合成性の遺伝子クラスタ上の2つの断片の相対位置を
図6に示した。上記2つの断片のPCR産物のサイズはそれぞれ、1421bpおよび813bpであった。用いられたプライマー配列は以下の通り:
spnDプライマー:spnDF(配列番号13)およびspnDR(配列番号14);ならびに
spnEプライマー:spnEF(配列番号15)および spnER(配列番号16)。
【0105】
以下の反応溶液:750μlの2×GCIバッファー溶液、120μlの2.5mM dNTP、15μlのspnDF(25μM)、15μlのspnDR(25μM)、15μlのspnEF(25μM)、15μlのspnER(25μM)、および580μlのddH
2O、7.5μlのrTaqを調製した。
【0106】
上記溶液を10μl/チューブにサブパッケージし、上記16#および17#96ウェルプレートの各ウェルの菌株液0.5μlをそれぞれ加え、スピノサド生成株のトータルDNA0.2μlをコントロールとして用いた。PCR反応手順は以下のようにした。95℃×10分、(94℃×30秒、55℃×30秒、72℃×1分10秒)×35サイクル、72℃×1分、16℃×1秒。
【0107】
PCRの生成物を電気泳動によって調べた。その結果を
図9A〜9Dに示した。
【0108】
上記結果によれば、B8、C2、D4、E4、E12、F4、A15、D15は目的のバンドを有した。すなわち、8#96ウェルプレートのB1〜B12(8B1〜8B12と表す)、2#96ウェルプレートのC1〜C12(2C1〜2C12と表す)、4#96ウェルプレートのD1〜D12(4D1〜4D12と表す)、E1〜E12(4E1〜4E12と表す)、F1〜F12(4F1〜4F12と表す)、12#96ウェルプレートのE1〜E12(12E1〜12E12と表す)、15#96ウェルプレートのA1〜A12(15A1〜15A12と表す)、D1〜D12(15D1〜15D12と表す)の菌株液が、対応する目的遺伝子を持つと示した。上記96の菌株液を選んで、上記と同じ組成を用いて、別途PCR検出をそれぞれ行った。それらの結果を
図10A〜10Dに示した。
【0109】
上記結果によれば、2C7、4D1、4E11、4F11、8B8、12E10、15A11、15D1の菌株液は対応する目的遺伝子を有した。上記の菌株液を再培養してプラスミドを抽出したあと、当該プラスミドはそれぞれ上記の数で名付けられ、サンプルを配列決定に送った。シークエンシングプライマーは同様にcosFおよびcosRであった。
【0110】
配列結果によれば、9D10および10G3はまったく同じ配列を有し、2C7、4D1、12E10はまったく同じ配列を有し、4E11および4F11はまったく同じ配列を有していた。2C7/4D1/12E10および9H9によって運ばれる断片は逆方向であり、残りは順方向であった。
【0111】
各ライブラリプラスミドに含まれるスピノサド生合成性の遺伝子クラスタ断片の相対位置を以下の表に示した。GenBank AY007564.1によって公開された配列位置は1〜80161であり、9D10、10G3、15A11、15D1すべての部分配列は、上記範囲の外に位置している。10G3(配列番号17)および15D1(配列番号20)の追加の配列決定結果に従って、位置1の前の配列をマイナスに設定し、位置80161のあとの配列はそれに続けてカウントした。
【0112】
【表1】
【0113】
種々のプラスミドによって運ばれる断片の、スピノサド生合成性の遺伝子クラスタに対する位置を、
図6に示した。
【0114】
4つのプラスミド10G3、9B5、8B8、15D1によって運ばれる断片は、全スピノサド生合成性の遺伝子クラスタおよびその上流および下流の配列を網羅できた。上記4つのプラスミドによって運ばれる断片の配列は以下の通り:
10G3によって運ばれるDNA断片配列:配列番号17;
9B5によって運ばれるDNA断片配列:配列番号18;
8B8によって運ばれるDNA断片配列:配列番号19;ならびに
15D1によって運ばれるDNA断片配列:配列番号20。
【0115】
トリミング後、ライブラリプラスミド15D1、8B8、9B5、10G3を、配列における相同的な二重の交差によって、Saccharopolyspora erythraeaのエリスロマイシン合成性の遺伝子クラスタの位置にインテグレートした。
図11は、全過程の模式図である。
図11において、「US」は、エリスロマイシン合成性の遺伝子クラスタの上流断片eryUであり、「DS」はエリスロマイシン合成性の遺伝子クラスタの下流断片eryDである。種々のプラスミドの改変方法、および相同的組換えを行う方法については、このあとで詳細に説明する。
【0116】
〔実施例4:ライブラリプラスミド15D1の改変〕
本実施例の目的は、aac(3)IV遺伝子(アプラマイシン耐性遺伝子)およびoriT(接合開始点(conjugative origin)、接合に必須の要素)を含んでいる耐性断片をライブラリプラスミド15D1のHindIII部位に挿入して、改変プラスミドを接合に用いることができるようにすることであった。本実施例は2つのステップで行われた。耐性遺伝子カセットをClaIおよびEcoRIでプラスミドpIJ773から切り離し、当該耐性遺伝子カセットを、平滑末端化後、ベクターpUC118(Takara、商品番号D3322)のHincII部位にライゲートした(配列番号65)。切断された耐性断片はClaI付近の末端にHindIII部位を有しており、ベクターpUC118も1つのHindIII部位を有しているので、正確な挿入方向を有する形質転換体をスクリーニングし、耐性断片はHindIIIで切断されうる。第2のステップは、HindIIIで切断した耐性断片を、15D1のHindIII部位に挿入することである。耐性断片は、スクリーニングおよび接合のために機能するだけなので、その挿入方向はその後の実験の結果に影響しなかった。したがって、その挿入方向を決定する必要はなかった。特定の操作は以下の通りであった(
図12に示す)。
【0117】
以下の反応溶液:20μlのpIJ773、5μlの10×Hバッファー溶液、23μlのddH
2O、1μlのCla I(Takara、商品番号D1034A)、および1μlのEcoRI(Takara、商品番号D1040A)を調製した。
【0118】
上記溶液を37℃のウォーターバスに1時間にわたって入れ、aac(3)IV遺伝子およびoriTを含んでいる1389bp断片を電気泳動で回収した。BKLキットで平滑末端化後、断片をpUC118/Hinc II、BAP(Takara、商品番号D3322)にライゲートして形質転換した。プラスミドを抽出するため形質転換体を選び出し、HindIIIを用いて酵素消化を行い、3502bp+1402bの酵素消化結果を有する組換えプラスミドをスクリーニングした。aac(3)IV遺伝子およびoriTを含んでいる1402bp断片を電気泳動で回収し、HindIIIで消化された脱リン酸化プラスミド15D1にライゲートして、組換えプラスミド15D1-AmTを得た。
【0119】
〔実施例5:スピノサド生合成性の遺伝子クラスタの第1断片の、Saccharopolyspora erythraeaへの転移〕
組換えプラスミド15D1-AmTを接合(方法7を参照)によってSaccharopolyspora erythraea(ATCC 11635)に形質転換した。形質転換体を2度、継代培養したあと、アプラマイシン感受性のコロニーをスクリーニングした。ゲノムDNAを抽出し(方法10に従ったが、TSBの量を3mlに変え、他の試薬の量も同様に対応して減らした。ただし、70%エタノールで洗浄する間の量は依然として500μlにした。以下同様)、プライマーspnEF(配列番号15)/spnER(配列番号16)およびプライマーery1F(配列番号21)/ery1R(配列番号22)を用いてPCR検出をそれぞれ行った。ライブラリプラスミド15D1によって運ばれるDNA断片内の配列はプライマーspnEF/spnERによって増幅され、一方、エリスロマイシン合成性の遺伝子クラスタ内の配列はプライマーery1F/ery1Rによって増幅された。したがって、spnEF/spnERは標的のバンドを増幅できたが、ery1F/ery1Rは標的のバンドを増幅できなかった。これは、エリスロマイシン合成性の遺伝子クラスタがライブラリプラスミド15D1によって運ばれるDNA断片と置き換えられており、標的の株であることを示した。遺伝子組換え株ES01をスクリーニングによって得た。
【0120】
以下の実施例6、8、10の目的は、耐性遺伝子カセットaac(3)IV+oriT(耐性遺伝子カセットはプラスミドpIJ773、配列番号65の14-1382部位からPCRで増幅された)を用いて、対応するライブラリプラスミド上のDSを、運ばれたゲノム断片の3’末端の部分配列と置き換えることであった。これは主に2つのステップに分けられた。長さがそれぞれ59ntおよび58ntの順方向プライマーおよび逆方向プライマーをまず設計した。当該プライマーの5’末端の39ntはそれぞれ相同性アームとして働き、一方、3’末端の20nt(順方向プライマー、配列番号63)および19nt(逆方向プライマー、配列番号64)は耐性遺伝子カセット上のプライマー配列と一致した。耐性遺伝子カセットはpIJ773からPCRによって増幅された。長さ39bpの相同性アームをPCR産物によって耐性遺伝子カセットの両端にそれぞれ導入した。これら2つの相同性アームは、ライブラリプラスミド上で置き換えられるべき断片の両端に位置していた。それから、PCR産物が、ライブラリプラスミドを含んでいるEscherichia coli BW25113 (pIJ790)に形質転換され、標的配列が、Escherichia coliの組換え系を用いて耐性遺伝子カセットに置き換えられた。種々の実施例に用いられているプライマーおよび置き換えられた断片の関連情報について表2を参照。
【0121】
【表2】
【0122】
〔実施例6:ライブラリプラスミド8B8の改変〕
(1)ライブラリプラスミド8B8を、コンピテントセルBW25113 (pIJ790)に、方法2に従って形質転換した。
(2)BW25113 (pIJ790、8B8)の1つの形質転換体を選び出し、Cmを含んでいる3mlLB培地に接種し、30℃において14〜18時間の間、220rpmで培養した。
(3)それから、形質転換体を、Km、Cm、Ap、および300μlの1MのL−アラビノースを含んでいる30mlのSOB培地(滅菌済の、2.0%のトリプトン、0.5%のイースト抽出物、0.05%のNaCl、2.5ml/Lの、1MのKCl、および4ml/Lの、2.5MのMgCl
2)に移し、OD600が0.4から0.6になるまで30℃、220rpmで培養した。
(4)4℃において遠心分離して株を回収し、10%グリセロールを用いて2回にわたって洗浄し、それから100μlの10%のグリセロールで懸濁して、エレクトロポレーション−コンピテントセルを得た。
(5)プラスミドpIJ773を鋳型として用いて、aac(3)IV+oriT耐性遺伝子カセットをPCR増幅し、相同的な交差のための長さ39bpの相同性アームを、耐性遺伝子カセットの両端に加えた。
【0123】
反応系:25μlの5×PrimeSTARバッファー溶液(Mg
2+Plus)、4μlのdNTP混合物(各2.5mM)、1μlのプライマー8BA−L(配列番号23、25μM)、1μlのプライマー8BA−R(配列番号24、25μM)、18μlのddH
2O、0.5μlのプラスミドpIJ773、および0.5μlのPrimeSTAR(登録商標)HS DNAポリメラーゼ。
【0124】
反応プログラム:95℃×5分、(98℃×10秒、50℃×10秒、72℃×90秒)×10サイクル、72℃×2分、16℃×1分、(98℃×10秒、68℃×90秒)×15サイクル、72℃×1分、16℃×1分。
【0125】
PCR産物の電気泳動後、約1.4kbの標的断片をゲル切断によって回収した。
【0126】
(6)ステップ(5)で得られた耐性断片3μlを取り、ステップ(4)で得られた50μlのBW25113 (pIJ790/8B8) エレクトロポレーション−コンピテントセルに加えた。当該エレクトロポレーション−コンピテントセルをすべて、2mmのエレクトロポレーションカップ(BioRad)に移した。電気ショックのパラメータは、2500V、25μF、200Ωであった。電気ショック後、1mlのSOC培地(100mlのSOB培地につき、2mlの1mol/Lグルコース)を速やかに加え、1.5mlの遠心チューブにすべて移した。
【0127】
(7)37℃のウォーターバスに1時間にわたって入れたあと、900μlの上澄を遠心分離により取り除き、沈殿物を、残っている培地に懸濁させ、Amを含んでいるLB固体培地上に完全に広げ、37℃において16時間、培養した。
【0128】
(8)サイズの大きな形質転換体を選び出し、Amを含んでいる3mlのLB液に加え、37℃において6時間、200rpmで培養し、それからプラスミドを抽出して、プライマー8BD-L (配列番号25)/8BD-R(配列番号26)を用いてPCR検出を行った(PCR反応手順における伸張時間は4分であった)プライマー8BD−Lおよび8BD−Rはそれぞれ、ライブラリプラスミド8B8上で置き換えられるべき配列の両端に位置していた。置き換えがうまく行われている場合、プラスミドのPCR産物は1963bpの標的バンドとなる。置き換えがうまく行われていない場合、PCR産物は3957bpである。スクリーニング後、組換えプラスミド8B8-AmTが得られた。
【0129】
〔実施例7:スピノサド生合成性の遺伝子クラスタの第2断片の、Saccharopolyspora erythraeaへの転移〕
組換えプラスミド8B8-AmTを、実施例5で得られた遺伝的に改変された株ES01に、接合で形質転換した。形質転換体を2度、継代培養したあと、アプラマイシン感受性コロニーをスクリーニングした。トータルDNAを抽出し、プライマー8BD-L(配列番号25)/8BD-R(配列番号26)をPCR検出に用いた。沈殿物は、実施例6のステップ(8)のそれと同じであり、標的株のPCR産物は1963bpのバンドのみであった。遺伝的に改変された株ES02をスクリーニングによって得た。
【0130】
〔実施例8:ライブラリプラスミド9B5の改変〕
標的および方法は、実施例6のライブラリプラスミド8B8と同じであり、耐性遺伝子カセットを増幅するプライマーは9B5-L (配列番号27)/9B5-R (配列番号28)であった。プライマー95A-L(配列番号29)/95A-R(配列番号30)を用いてプラスミドPCR検出を行い、1881bpバンドを増幅できるプラスミドをスクリーニングし、組換えプラスミド9B5-AmTを得た。
【0131】
〔実施例9:スピノサド生合成性の遺伝子クラスタの第3断片の、Saccharopolyspora erythraeaへの転移〕
組換えプラスミド9B5-AmT、実施例7で得られた遺伝的に改変された株ES02に、接合で形質転換した。形質転換体を2度、継代培養したあと、アプラマイシン感受性コロニーをスクリーニングした。トータルDNAを抽出し、プライマー95A-L(配列番号29)/95A-R (配列番号30)をPCR検出に用いた。標的株のPCR産物は1881bpのバンドのみであった。遺伝的に改変された株ES03をスクリーニングによって得た。
【0132】
〔実施例10:ライブラリプラスミド10G3の改変〕
標的および方法は、実施例6のライブラリプラスミド8B8と同じであり、耐性遺伝子カセットを増幅するプライマーは10G3-L(配列番号31)/9B5-R(配列番号28)であった。プライマー10G-L(配列番号32)/10G-R(配列番号33)を用いてプラスミドPCR検出を行い、1676bp標的バンドを増幅できるプラスミドをスクリーニングし、組換えプラスミド10G3-AmTを得た。
【0133】
〔実施例11:スピノサド生合成性の遺伝子クラスタの第4断片の、Saccharopolyspora erythraeaへの転移〕
組換えプラスミド10G3-AmTを、実施例9で得られた遺伝的に改変された株ES03に、接合で形質転換した。形質転換体を2度、継代培養したあと、アプラマイシン感受性コロニーをスクリーニングした。トータルDNAを抽出し、プライマー10G-L/10g-RをPCR検出に用いた。標的株のPCR産物は1676bpのバンドのみであった。遺伝的に改変された株ES04をスクリーニングによって得た。
【0134】
〔実施例12:Saccharopolyspora spinosaのラムノース合成性の遺伝子クラスタを含んでいる組換えプラスミドの構築〕
本実施例の目的は、上流および下流の相同性アームの間に4つのラムノース合成性の遺伝子を集め、それによって、上記4つの遺伝子を、実施例11で得られた遺伝的に改変された株ES04の染色体に、相同的な二重の交差によって挿入することであった。遺伝的に改変された株ES04の染色体において、80kbスピノサド生合成性の遺伝子クラスタが、これまでの実施例において、エリスロマイシン合成遺伝子の位置に挿入され、エリスロマイシン合成性の遺伝子クラスタが同時に欠損していた。しかし、Saccharopolyspora spinosaに由来する、スピノサド生合成と無関係な2つの断片も同時に導入されており、これを「複数の操作可能領域」と呼ぶ(
図11の、KCZ1およびKCZ2)。本実施例では、2つの相同性アームを、「複数の操作可能領域」うちの1つにおいて選択し、上記4つの挿入された遺伝子がスピノサド生合成性の遺伝子クラスタを損なわないようにした。したがって、本実施例は以下のいくつかのステップを含んでいる。
(1)「操作可能領域2」から上流および下流の相同性アームをクローニングし、当該アームを配列のベクターpUAmT14内に挿入する。
(2)4つのラムノース合成遺伝子をそれぞれクローニングし、当該遺伝子を配列の上記2つの相同性アームの間に挿入する。
【0135】
本実施例は1つのベクターおよび5つの断片(2つの相同性アーム、ここで、3つの断片に、4つのラムノース合成遺伝子が分配されていた)に関するので、XbaI部位のみが、操作を容易にするために、二番目の相同性アームおよび3つの遺伝子断片をクローニングする間のクローニングのために選択された。以下は、次の条件に基づいて設計された解決策である。
(1)2つの相同性アームおよび4つのラムノース合成遺伝子の両方にXbaI部位はなかった。ベクターpUAmT14には2つのXbaI部位があったが(
図13)、消化の第1ステップ後に、1つのXbaI部位だけが残った。
(2)エンドヌクレアーゼXbaIはメチル化に影響される酵素であった。認識部位TCTAGAのあとにある2つの塩基がTCである場合、メチル化機能を有する宿主株から抽出されたプラスミド(例えば、DH5α)は、XbaI部位によって切断できなかった。PCR産物はメチル化されていなかったので、PCR産物が直接消化される場合、認識部位のあとにある塩基がどのような配列であっても、酵素消化は影響されなかった。
【0136】
したがって、具体的な解決策は以下のようなものであった。
【0137】
(1)下流の相同性アームをまず、ベクターpUAmT14のAseI-HindIII部位にクローニングした。二重の酵素消化により、断片の挿入方向が正しいことが保障され、XbaI部位を下流の相同性アームの上流に位置させた。
【0138】
(2)メチル化に影響されたXbaI部位を、PCR増幅で得られた上流相同性アームの5’末端に導入し、一方、メチル化に影響されていないXbaI部位を3’末端に導入した。断片がXbaIによって酵素消化され、先のステップで得られたプラスミドのXbaI部位に挿入されると、DH5αから抽出されたプラスミド中の上流相同性アームおよび下流相同性アーム間のXbaI部位だけを切断することができ、他のXbaI部位は、メチル化の影響で切断できなくなった。これにより、以下のラムノース遺伝子断片がすべて、上記2つの相同性アーム間に挿入された。
【0139】
(3)3つのラムノース遺伝子断片を、同じ方法でXbaI部位に挿入した。
【0140】
具体的な実施プロセスは以下の通りである。
(1)下流相同性アームの挿入:
ライブラリプラスミド15D1を鋳型として、プライマー005DF(配列番号34、5’末端にHind III部位を導入)/006DR(配列番号35、5’末端に Ase I部位を導入)を用いてPCR増幅を行い、下流相同性アーム断片5: D PCR(配列番号48)を得た。断片5を回収し、ベクターpUAmT1とともにAseI+HindIIIの二重の酵素消化を行った。
【0141】
反応系:20μlの断片5(または担体pUAmT14)、5μlの10×Tangoバッファー溶液、23μlのddH
2O、1μlのAseI (Fermentas、商品No. ER0911)、1μlのEcoRI(Fermentas、商品No. ER0501)。
【0142】
37℃のウォーターバスに1時間にわたって入れたあと、生成物をそれぞれ直接回収し、ライゲートして、組換えプラスミドpAT-Dを得た。
【0143】
(2)上流相同性アームの挿入:
ライブラリプラスミド15D1を鋳型として、プライマー007UF(配列番号36。5’末端にメチル化に影響されたXbaI部位を導入)/008UR(配列番号37。5’末端にメチル化に影響されていないXbaI部位を導入)を用いてPCR増幅を行い、上流相同性アーム断片6: U PCR(配列番号49)を得た。断片6に対してXbaIで酵素消化を行い、XbaIで消化した脱リン酸化プラスミドpAT-Dにライゲートし、形質転換した。形質転換体のプラスミドを抽出し、プライマー009F(配列番号44)/010R(配列番号45)を用いてPCR増幅を行った。フォワードプライマー009Fは上流相同性アームに位置し、リバースプライマー010Rは下流相同性アームに位置した。上流方向性アームの挿入方向が正しい場合、PCR産物は170bpとなる。挿入方向が誤っている場合、PCR産物は得られない。組換えプラスミドpAT-DUはスクリーニングによって得られた。
【0144】
(3)上流相同性アームおよび下流相同性アームの間への、gtt遺伝子の挿入:
Saccharopolyspora spinosaのトータルDNAを鋳型として、プライマーgttF(配列番号38。5’末端にメチル化に影響されていないXbaI部位を導入)/gttR(配列番号39、5’末端にメチル化に影響されたXbaI部位を導入)を用いてPCR増幅を行い、gtt遺伝子を含んでいる断片7: gtt PCR(配列番号50)を得た。断片7に対してXbaIで酵素消化を行い、XbaIで消化した脱リン酸化プラスミドpAT-DUおよびライゲートし、組換えプラスミドpAT-DgUを得た。
【0145】
(4)上流相同性アームおよび下流相同性アームの間への、epi遺伝子の挿入:
Saccharopolyspora spinosaのトータルDNAを鋳型として、プライマーepiF(配列番号40、5’末端にメチル化に影響されていないXbaI部位を導入)/epiR(配列番号41、5’末端にメチル化に影響されたXbaI部位を導入)を用いてPCR増幅を行い、epi遺伝子を含んでいる断片8:epiPCR(配列番号51)を得た。断片8に対してXbaIで酵素消化を行い、XbaIで消化した脱リン酸化プラスミドpAT-DgUにライゲートし、組換えプラスミドpAT-DgeUを得た。
【0146】
(5)上流相同性アームおよび下流相同性アームの間への、gdhおよびkre遺伝子の挿入:
Saccharopolyspora spinosaのトータルDNAを鋳型として、プライマーgdhF(配列番号42。5’末端にメチル化に影響されていないXbaI部位を導入)/gdhR(配列番号43。5’末端にメチル化に影響されていないXbaI部位を導入)を用いてPCR増幅を行い、gdh+kre遺伝子を含んでいる断片9:gdhPCR(配列番号2)を得た。断片9に対してXbaIで酵素消化を行い、XbaIで消化した脱リン酸化プラスミドpAT-DgeUおよびライゲートし、組換えプラスミドpAT-DgegUを得た。そのプラスミドプロファイルを
図14に示した。
【0147】
4つのラムノース合成遺伝子の配列および方向はラムノースの合成に影響しないので、当該遺伝子がステップ(3)〜(5)で挿入されるのを確認しさえすればよく、挿入の方向および配列は決定する必要はなかった。配列決定検出により、プラスミドpAT-DgegUは4つのラムノース合成遺伝子を含んでいる。
【0148】
〔実施例13:Saccharopolyspora spinosaのラムノース合成性の遺伝子クラスタの、Saccharopolyspora erythraeaへの転移〕
組換えプラスミドpAT-DgegUを、実施例11で得られた遺伝的に改変された株ES04へ接合により形質転換した。形質転換体を2度、継代培養したあと、アプラマイシン感受性コロニーをスクリーニングした。トータルDNAを抽出し、プライマー009F(配列番号44)/010R(配列番号45)を用いてPCR検出を行った。プライマー009Fおよび010Rはそれぞれ、上流相同性アームおよび下流相同性アームに位置していた。4つのラムノース合成遺伝子が首尾よく挿入された場合は、PCR産物は4931bpとなる。4つのラムノース合成遺伝子が首尾よく挿入されなかった場合は、PCR産物は1322bpとなる。遺伝的に改変された株ES05をスクリーニングによって得た。
【0149】
【表3】
【0150】
遺伝的に改変された株ES05のスピノサド合成性の遺伝子クラスタの種々のライブラリプラスミド間の接合部に対する配列決定を行った。種々の接合点の相対位置を
図16に示し、結果を表3に示した。シークエンシングの結果は想定した結果と一致した。このことが示すのは、スピノサド合成性の遺伝子クラスタが遺伝的に改変された株へすでに移動しており、配列順は、Saccharopolyspora spinosa中のスピノサド合成性の遺伝子クラスタの配列順と一致した。
【0151】
遺伝的に改変された細菌ES05に挿入されたスピノサド合成性の遺伝子クラスタおよびラムノース合成性の遺伝子クラスタに対する配列決定をさらに行った。結果は、想定した配列および完全に一致した。このことが示すのは、はっきりした遺伝的背景を有する遺伝的に改変された株が得られたということである。
【0152】
〔実施例14:遺伝学的に改変された株ES05の発酵〕
ES05のコロニー塊を種培地(3.0%のスターチ、2.5%の大豆のケーク粉末、0.5%のペプトン、3.0%のキストリン、1.0%のグルコース、0.4%の塩化ナトリウム、pH7.5)で、34℃、48時間、200rpmで培養し、発酵培地(3.0%の大豆ケーク粉末、4.0%のコーンスターチ、3.0%のキストリン、0.2%の硫酸アンモニウム、0.6%の硫酸カルシウム、1.0%のグルコース、0.04%のリン酸二水素カリウム、pH6.8)に、10%の播種量において移し、34℃において7〜8日間、200rpmで培養した。発酵液1mlを取り、4mlの無水エタノールに浸し、1時間にわたって超音波処理し、それから濾過した。濾過物に対して、以下の条件でHPLC検出を行った。C18カラム、水溶液の移動相は、メタノール、アセトニトリル、0.05%の酢酸アンモニウム(1800:1800:400)、流速1ml/分、検出波長250nm。スピノサド生成株Saccharopolyspora spinosaをポジティブコントロールにし、Saccharopolyspora erythraeaをネガティブコントロールにした。結果を
図15A〜15Cに示した。ポジティブコントロール(
図15A)および本発明で得られた遺伝的に改変された株ES05(
図15B)の両方とも、スピノサドの構成要素AおよびDを生成できたのに対し、ネガティブコントロール(
図15C)はスピノサドAおよびDを生成できなかった。