(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車載カメラのレンズが車両のボディパネルの外側に向けて露出した状態となるように車両に取り付けられた前記車載カメラのレンズ上の異物を除去する異物除去装置であって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記レンズに向けて噴射するノズルと、前記ノズルと一体的に形成され、前記車載カメラのハウジングに対して取り付け可能な取付部とを有するノズルユニットと、
を備え、
前記取付部が前記ハウジングに対して取り付けられた状態において、前記ノズルの先端は前記レンズに対して位置決めされ、
前記ハウジングは、第一面と、前記第一面の一端と連続する第二面と、前記第二面とは反対側に位置するとともに前記第一面の他端と連続する第三面と、を有し、
前記取付部は、前記ハウジングに取り付けられた状態において、前記第一面と対向する対向面と、前記第二面と離れる方向に向けて弾性変形可能であるとともに前記第二面に接触する第一接触部と、前記第三面と離れる方向に向けて弾性変形可能であるとともに前記第三面に接触する第二接触部と、を有する、異物除去装置。
車載カメラのレンズが車両のボディパネルの外側に向けて露出した状態となるように車両に取り付けられた前記車載カメラのレンズ上の異物を除去する異物除去装置であって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記レンズに向けて噴射するノズルと、前記ノズルと一体的に形成され、前記車載カメラのハウジングに対して取り付け可能な取付部とを有するノズルユニットと、
を備え、
前記取付部が前記ハウジングに対して取り付けられた状態において、前記ノズルの先端は前記レンズに対して位置決めされ、
前記生成部は、前記高圧空気を排出する排出口を有し、
前記ノズルは、前記高圧空気が流入する流入口を有し、
さらに、前記異物除去装置は、
前記排出口に連結されたホースと、
前記ホースと前記ノズルの前記流入口とを連結するとともに、前記ノズルに対する姿勢を変更可能なジョイント部材と、
を備える、異物除去装置。
車載カメラのレンズが車両のボディパネルの外側に向けて露出した状態となるように車両に取り付けられた前記車載カメラのレンズ上の異物を除去する異物除去装置であって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記レンズに向けて噴射するノズルと、
を備え、
前記ノズルは、高圧空気が流入する流入口と、高圧空気が噴出される噴出口と、前記流入口と前記噴出口とを連通する連通路と、を有し、
前記連通路は、前記噴出口より小さい開口を介して分岐路と連通している、異物除去装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車両の種類によって車両ボディの形状は様々であり、車両毎にボディパネルの形状は異なる。このため、特許文献1のように専用のブラケットを用いる方法では、車両の種類毎に専用のブラケットを準備しなければならず、異物除去装置を車両に取り付ける際の汎用性が低下してしまう。
【0006】
また、特許文献1のように、高圧空気を噴射する噴射装置では、高圧空気を生成するためのデバイスが必要となる。通常、このような噴射装置は、ノズルの先端から外部の空気を吸い込んで装置内部で吸い込んだ空気を圧縮させる構成を有している。しかしながら、ノズルの先端が泥や塵等で詰まってしまい、高圧空気を生成することが困難となる場合がある。この場合、異物を除去する性能が低下してしまうため、ノズルの先端の詰まりに対する対策が必要となる。
【0007】
また、高圧空気をカメラのレンズに吹き付ける場合に、特許文献1に記載された構成のようにカメラのハウジング上面に対向する位置にノズル吹き出し口を配置すると、高圧空気をレンズに向けて効率的に吹き付けることは困難である。また、ノズル先端部を吹き出し口の周面全体を覆うような壁部で形成すると、異物除去装置を車両に取り付ける際のスペースを比較的大きくする必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、異物を除去する性能を維持しつつ、取り付ける際の汎用性を向上させ、ノズルの先端が詰まった場合であっても高圧空気を生成することが可能であって、さらに取り付ける際の省スペース化が可能な異物除去装置および当該異物除去装置を備える車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の異物除去装置は、
車載カメラのレンズが車両のボディパネルの外側に向けて露出した状態となるように車両に取り付けられた前記車載カメラのレンズ上の異物を除去する異物除去装置であって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記レンズに向けて噴射するノズルと、前記ノズルと一体的に形成され、前記車載カメラのハウジングに対して取り付け可能な取付部とを有するノズルユニットと、
を備え、
前記取付部が前記ハウジングに対して取り付けられた状態において、前記ノズルの先端は前記レンズに対して位置決めされる。
【0010】
この構成によれば、ノズルは、当該ノズルと一体的に形成された取付部によって車載カメラのハウジングに取り付けられる。このため、車両のボディパネルに取り付けるための専用のブラケットを用いることなく、ノズルの先端を車載カメラのレンズに対して精度よく位置決めすることができ、異物を除去する性能を維持することができる。また、取付部は、車両のボディパネルと比較して製品毎の形状の変化が小さい車載カメラのハウジングに対して取り付けられるため、異物除去装置を車両に取り付ける際の汎用性が向上する。
【0011】
また、本発明の異物除去装置において、
前記ハウジングは、第一面と、前記第一面の一端と連続する第二面と、前記第二面とは反対側に位置するとともに前記第一面の他端と連続する第三面と、を有し、
前記取付部は、前記ハウジングに取り付けられた状態において、前記第一面と対向する対向面と、前記第二面と離れる方向に向けて弾性変形可能であるとともに前記第二面に接触する第一接触部と、前記第三面と離れる方向に向けて弾性変形可能であるとともに前記第三面に接触する第二接触部と、を有していても良い。
【0012】
この構成によれば、ノズルユニットの取付部は、車載カメラのハウジングの外形に沿って変形した状態でハウジングに固定される。このため、ノズルの先端を車載カメラのレンズに対してさらに精度よく位置決めすることができる。
【0013】
また、本発明の異物除去装置において、
前記ハウジングの前記第一面と前記取付部の前記対向面とは、接着部材を介して互いに面的に接着されていても良い。
【0014】
この構成によれば、ノズルユニットの取付部は、接着部材を介して、車載カメラのハウジングに対して強固に固定される。このため、ノズルの先端を車載カメラのレンズに対してさらに精度よく位置決めすることができる。
【0015】
また、本発明の異物除去装置は、
前記ハウジングと前記取付部とが係合可能に構成されても良い。
【0016】
この構成によれば、ノズルユニットの取付部は、車載カメラのハウジングに対して係合された状態で固定される。このため、ノズルの先端を車載カメラのレンズに対してさらに精度よく位置決めすることができる。
【0017】
また、本発明の異物除去装置において、
前記ハウジングは、前記レンズが露出するためのレンズ穴が形成されたカメラ前面を有し、
前記ノズルは、前記取付部が前記ハウジングに取り付けられた状態において、前記カメラ前面と接触して前記カメラ前面に対して位置決めされる位置決め部を有していても良い。
【0018】
この構成によれば、ノズルの先端を車載カメラのレンズに対してカメラの前後方向において精度よく位置決めすることができる。
【0019】
また、本発明の異物除去装置において、
前記生成部は、前記高圧空気を排出する排出口を有し、
前記ノズルは、前記高圧空気が流入する流入口を有し、
さらに、
前記排出口と前記流入口とを接続するホースと、
前記ホースと前記ノズルとを連結するとともに、前記ノズルに対する姿勢を変更可能なジョイント部材と、
を備えていても良い。
【0020】
この構成によれば、ノズルとは別部品のジョイント部材の姿勢を変えることで、ホースの向きを変えることができ、異物除去装置を車両に取り付ける際の汎用性が向上する。
【0021】
また、本発明の異物除去装置において、
前記ノズルの先端は、前記レンズの中心を向くように位置決めされていても良い。
【0022】
この構成によれば、高圧空気によりレンズ上の異物を除去する性能が向上する。
【0023】
また、本発明の異物除去装置は、
カメラのレンズがパネル部材の外側に向けて露出した状態となるように取り付けられた前記カメラのレンズ上の異物を除去する異物除去装置であって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記レンズに向けて噴射するノズルと、前記ノズルと一体的に形成され、前記カメラのハウジングに対して取り付け可能な取付部とを有するノズルユニットと、
を備え、
前記取付部が前記ハウジングに対して取り付けられた状態において、前記ノズルの先端は前記レンズに対して位置決めされる。
【0024】
この構成によれば、ノズルは、当該ノズルと一体的に形成された取付部によってカメラのハウジングに取り付けられる。このため、パネル部材に取り付けるための専用のブラケットを用いることなく、ノズルの先端をカメラのレンズに対して精度よく位置決めすることができ、異物を除去する性能を維持することができる。また、取付部は、パネル部材と比較して製品毎の形状の変化が小さいカメラのハウジングに対して取り付けられるため、汎用性が向上する。
【0025】
また、本発明の異物除去装置は、
車載センサーと当該車載センサーの測定対象との間に介在する隔壁に付着する異物を除去するための異物除去装置であって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記隔壁に向けて噴射するノズルと、前記ノズルと一体的に形成され、前記車載センサーのハウジングに対して取り付け可能な取付部とを有するノズルユニットと、
を備え、
前記取付部が前記ハウジングに対して取り付けられた状態において、前記ノズルの先端は前記隔壁に対して位置決めされる。
【0026】
また、上記目的を達成するために、本発明の異物除去装置は、
車載カメラのレンズが車両のボディパネルの外側に向けて露出した状態となるように車両に取り付けられた前記車載カメラのレンズ上の異物を除去する異物除去装置であって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記レンズに向けて噴射するノズルと、
を備え、
前記ノズルは、高圧空気が流入する流入口と、高圧空気が噴出される噴出口と、前記流入口と前記噴出口とを連通する連通路と、を有し、
前記連通路は、前記噴出口より小さい開口を介してバイパス経路と連通している。
【0027】
この構成によれば、一時的にノズルの噴射口に詰まりが生じた場合であっても、バイパス経路を利用して高圧空気の生成のための吸気を行うことができる。また、バイパス経路の開口はノズルの噴射口より小さいため、噴射の際に噴射口に向けて流れる高圧空気はほとんど開口から流出せず、異物を除去する性能は維持される。
【0028】
また、本発明の異物除去装置において、
前記バイパス経路は、前記連通路を前記高圧空気が流れる向きに対して後方から鋭角方向に合流するように形成されていても良い。
【0029】
この構成によれば、バイパス経路が、連通路を高圧空気が流れる向きに対して鋭角に形成されている。このため、噴射の際に噴射口に向けて流れる高圧空気はほとんど開口から流出せず、異物を除去する性能は維持される。
【0030】
また、本発明の異物除去装置において、
前記生成部は、前記高圧空気を排出する排出口を有し、
さらに、
前記排出口と前記ノズルの前記流入口とを接続するホースと、
前記ホースと前記ノズルとを連結する連結部と、
を備え、
前記連結部の外周面に溝が設けられ、前記連結部が前記ノズルの前記流入口に嵌合された状態において、前記溝が前記バイパス経路となっていても良い。
【0031】
この構成によれば、ホースとノズルとを連結する連結部を用いて簡易的にバイパス経路を構成することができる。
【0032】
また、本発明の異物除去装置において、
前記生成部は、前記高圧空気を排出する排出口を有し、
さらに、
前記排出口と前記ノズルの前記流入口とを接続するホースと、
前記ホースと前記ノズルとを連結する連結部と、
を備え、
前記連結部の開口は、前記ノズルの前記流入口より小さく、
前記連結部の一部が前記ノズルの前記流入口に挿入された状態において、前記連結部の外周面と前記流入口の内周面との間には隙間が形成され、当該隙間が前記バイバス経路となっていても良い。
【0033】
この構成によれば、ホースとノズルとを連結する連結部を用いて簡易的にバイパス経路を構成することができる。
【0034】
また、本発明の異物除去装置は、
レンズ上の異物を除去する異物除去装置であって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記レンズに向けて噴射するノズルと、
を備え、
前記ノズルは、高圧空気が流入する流入口と、高圧空気が噴出される噴出口と、前記流入口と前記噴出口とを連通する連通路と、を有し、
前記連通路は、前記噴出口より小さい開口を介してバイパス経路と連通している。
【0035】
この構成によれば、一時的にノズルの噴射口に詰まりが生じた場合であっても、バイパス経路を利用して高圧空気の生成のための吸気を行うことができる。また、バイパス経路の開口はノズルの噴射口より小さいため、噴射の際に噴射口に向けて流れる高圧空気はほとんど開口から流出せず、異物を除去する性能は維持される。
【0036】
また、本発明の異物除去装置は、
車載センサーと当該車載センサーの測定対象との間に介在する隔壁に付着する異物を除去するための異物除去装置であって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記隔壁に向けて噴射するノズルと、
を備え、
前記ノズルは、高圧空気が流入する流入口と、高圧空気が噴出される噴出口と、前記流入口と前記噴出口とを連通する連通路と、を有し、
前記連通路は、前記噴出口より小さい開口を介してバイパス経路と連通している。
【0037】
また、本発明の異物除去装置において、
前記生成部は、ピストンを有し、
前記生成部内のピストンが上死点から下死点へ移動する時間が、前記ピストンが下死点から上死点に移動する時間の10倍以上であっても良い。
【0038】
この構成によれば、生成部内のピストンは、空気を送り出す際の移動方向である送出方向の速度の方が、送出方向と反対方向であって空気を吸気する際の移動方向である溜力方向の速度よりも著しく速い。このため、連通路内の空気の移動する速度も、吸気時に比べて排気時の方が速い。これによれば、バイパス経路のバイパス機能を確保しつつ、排気時(噴射時)においてバイパス経路から高圧空気が流出する量を少なくすることができ、噴射時の異物除去性能を維持することができる。
【0039】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る異物除去装置は、
車載カメラのレンズが車両のボディパネルの外側に向けて露出した状態となるように車両に取り付けられた前記車載カメラのレンズ上の異物を除去する異物除去装置であって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記レンズに向けて噴射するノズルと、を備え、
前記ノズルの先端部は前記車載カメラの前面と対向する第一の壁部を備えている。
【0040】
上記構成によれば、ノズルの先端部は車載カメラの前面と対向する第一の壁部を備えている。これにより、生成部から送られた高圧空気が第一の壁部沿いに流れてカメラレンズに効率良く吹き付けられるため、異物を除去する性能を維持することができる。また、従来のようにノズル先端部を高圧空気の吹き出し口の周面全体を覆う壁部で形成する必要がないため、省スペースでノズル先端形状を構成することができ、車両への搭載性に優れている。
【0041】
前記生成部から前記ノズルに流入された前記高圧空気を前記第一の壁部に当てながら前記レンズに向けて噴射させるように、前記ノズルの形状が構成されていても良い。
【0042】
上記構成によれば、高圧空気を第一の壁部に当てて送出することで、高圧空気を整流することができ、レンズ表面の適切な場所に適切な風量の高圧空気を送ることができる。
【0043】
前記ノズルの先端部は、前記第一の壁部の両側面から前記レンズに向けて延出される一対の第二の壁部を備えていても良い。
【0044】
上記構成によれば、ノズルから吹き出される空気をより効率的にレンズに導くことができる。
【0045】
前記一対の第二の壁部は前記車載カメラの前面の形状に即した形状を備え、
前記一対の第二の壁部が前記前面に接するようにして前記ノズルが前記車載カメラに取り付けられていても良い。
【0046】
上記構成によれば、第一の壁部と第二の壁部とカメラの前面とにより高圧空気の吹き出し口の周面全体を覆う管路を形成できるため、ノズルから吹き出される空気をより効率的にレンズに導くことができるとともに、ノズルをカメラのレンズに対して精度よく位置決めすることができる。
【0047】
前記第一の壁部は、前記レンズに向かって扇状に拡大された形状を備えていても良い。
【0048】
上記構成によれば、レンズの外表面全体に向けて略均一に高圧空気を吹き付けることができる。
【0049】
前記第一の壁部の前記車載カメラの前面と対向する面には前記高圧空気を整流して前記レンズに吹き付けるための少なくとも一つの突起部が設けられていても良い。
【0050】
上記構成によれば、突起部によりノズル先端部での高圧空気の噴射方向、量、圧力等を制御してレンズにより効率的に吹き付けることができる。
【0051】
本発明の別の例に係る異物除去装置は、
車載カメラのレンズが車両のボディパネルの外側に向けて露出した状態となるように車両に取り付けられた前記車載カメラのレンズ上の異物を除去する異物除去装置であって、
洗浄液を貯蔵する貯蔵部と、
前記レンズの前面にその先端部が配置されるノズルと、を備え、
前記ノズルの先端部は前記車載カメラの前面と直接的に対向する第一の壁部と、前記第一の壁部の両側面から前記前面に向けて延出される一対の第二の壁部とを備え、
前記一対の第二の壁部が前記前面に接するようにして前記ノズルが前記車載カメラに取り付けられ、
前記第一の壁部の前記前面と対向する面には前記洗浄液を整流して前記レンズに向けて吐出するための少なくとも一つの突起部が設けられている。
【0052】
上記構成によれば、突起部によりノズル先端部での洗浄液の吐出方向、流量、圧力等を制御してレンズにより効率的に吹き付けることができる。
【0053】
また、本発明の異物除去装置は、
カメラのレンズ上の異物を除去する異物除去装置であって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記レンズに向けて噴射するノズルと、
を備え、
前記ノズルの先端部は前記レンズと対向する第一の壁部を備えている。
【0054】
この構成によれば、ノズルの先端部はレンズと対向する第一の壁部を備えている。これにより、生成部から送られた高圧空気が第一の壁部沿いに流れてレンズに効率良く吹き付けられるため、異物を除去する性能を維持することができる。また、従来のようにノズル先端部を高圧空気の吹き出し口の周面全体を覆う壁部で形成する必要がないため、省スペースでノズル先端形状を構成することができる。
【0055】
また、本発明の異物除去装置は、
車載センサーと当該車載センサーの測定対象との間に介在する隔壁に付着する異物を除去するための異物除去装置であって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記隔壁に向けて噴射するノズルと、
を備え、
前記ノズルの先端部は前記隔壁と対向する第一の壁部を備えている。
【0056】
また、本発明の車両は、上述の異物除去装置を備えている。
【0057】
この構成によれば、例えば、車載カメラまたはセンサーのレンズが雨や泥等で汚れてしまった場合であっても、高圧空気を吹き付けてレンズ上の異物を除去することができ、車載カメラから得られる情報の精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0058】
本発明の異物除去装置および当該異物除去装置を備える車両によれば、異物を除去する性能を維持しつつ、当該異物除去装置を車両に取り付ける際の汎用性を向上させることができる。また、ノズルの先端が詰まった場合であっても高圧空気を生成することができるとともに、車両に取り付ける際の省スペース化が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明に係る実施形態の一例について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の異物除去装置は、車載カメラのレンズに付着する水滴や泥や塵埃等の異物を除去する装置として適用される。
【0061】
図1(a),(b)に示すように、異物除去装置1は、例えば車両Vのバックドア200Aに取り付けられる。異物除去装置1は、モータ55を備えており、モータ55の電源端子が車両の電源ラインに接続されている。例えば、車両Vのギアがリバースに入ったことをトリガーとして、図示せぬ車両制御部(ECU)により後述する車載カメラ100による撮影が開始され、例えば撮影開始時の数秒間に異物除去装置1が車両制御部(ECU)により動作するように制御される。
【0062】
車載カメラ100は、車両Vの例えば後方を確認するためのカメラであり、
図1(c)に示すように、車載カメラ100のレンズ101が車両Vのバックドア200Aの外側に向けて露出した状態となるようにバックドア200Aに取り付けられている。車載カメラ100は、撮像部(図示省略)を有し、レンズ101は撮像部を覆っている。レンズ101としては、光の収束や拡散をしない単なる透光性カバーも本例のレンズに含まれる。
【0063】
なお、異物除去装置1は、
図2(a),(b)に示すように、例えば車両Vのリアバンパー200Bに取付けられても良い。なお、車載カメラ100が取り付けられる位置は,車両の後端側に限定されず、車両の前方側や側方側等のボディパネルであっても良い。また、本例で、「ボディパネルに取り付けられる」の意味は、例えば、車載カメラがボディパネルに取り付けられたランプ、ドアノブ、ミラー、バンパー等の車両表装部品を介して取り付けられる場合や、車載カメラがこれらの部品の一部として(一体物として)搭載されている場合も含む。
【0064】
(第一実施形態)
図3に示すように、異物除去装置1は、ノズルユニット2と、ジョイント部材3と、ホース4と、高圧空気生成ユニット(生成部の一例)5とを備えている。
【0065】
ノズルユニット2は、車載カメラ100に対して着脱可能に構成されており、取付部21と、ノズル22とを有している。ノズルユニット2は、例えば樹脂を材料として形成されている。
【0066】
取付部21は、車載カメラ100の上面を覆うようにして車載カメラ100のハウジング102に取り付けられる。ノズル22は、高圧空気を車載カメラ100のレンズ101に向けて噴射する。ノズル22は、取付部21と一体的に形成されており、取付部21がハウジング102に取り付けられた際に、ノズル22の先端(噴射口)がレンズ101を向くように設けられている。ここで、「一体的に形成され」とは、ノズル22と取付部21とを作業者が組立作業時に一体の部品として取り扱うことが可能に構成されることを意味する。具体的には、例えば、ノズル22と取付部21とを、同一材料で同一金型で成形しても良いし、ノズル22と取付部21とを別々の材料でそれぞれ成形して、互いに嵌め合わせて一体的に形成して、ノズルユニット2を構成しても良い。
【0067】
ジョイント部材3は、ノズルユニット2のノズル22とホース4とを接合する部材であり、一方側の端部がノズル22と連結され、反対側の端部がホース4と連結されている。ジョイント部材3は、例えば樹脂を材料として形成されている。
【0068】
ホース4は、ジョイント部材3とともに、ノズル22と高圧空気生成ユニット5とを接続する配管部材である。ホース4は、一方側の端部がジョイント部材3に連結され、反対側の端部が高圧空気生成ユニット5の排出口50に連結されている。ホース4は、例えば樹脂やゴム等の材料で形成されている。
【0069】
高圧空気生成ユニット5は、ノズル22に送出する高圧空気を生成するためのユニットである。高圧空気生成ユニット5は、車両の内部において車体の一部に取り付けられる。
【0070】
図4に示すように、高圧空気生成ユニット5は、ケース本体51と、ケース本体51の内部に配置された移動機構とを有している。高圧空気生成ユニット5において、ピストン52の移動方向は、空気を送り出す方向である後方が送出方向とされ、送出方向と反対方向である前方が溜力方向とされている。
【0071】
高圧空気が送り出される前の初期状態では、ピストン52が送出方向側に位置され、ラック53はラック部53aがピニオン54のギヤ部54aに噛合可能な状態で位置される。
【0072】
モータ(駆動源)55の駆動が開始され、モータ55の駆動力がウォーム56を介してウォームホイール57に伝達されると、ピニオン54のギヤ部54aがラック53のラック部53aに噛合される。このため、ラック53は、ピニオン54の回転に伴って付勢バネ58の付勢力に反して溜力方向へ移動されていく。ラック53が溜力方向へ移動されていくと、所定の位置でギヤ部54aとラック部53aの噛合が解除される。ギヤ部54aとラック部53aの噛合が解除された位置(
図4に示す位置)がピストン52の下死点とされる。ピストン52が下死点に位置された状態では、ピストン支持部59の内部空間60における前側略半分の部分(第2の空間)60bに流入された空気(外気)が段差61aに沿い隙間61bを通って内部空間60における後側略半分の部分(第1の空間)60aへ向けて流動される。
【0073】
ピストン52が下死点まで移動されると、ギヤ部54aとラック部53aの噛合が解除され、ピストン52が付勢バネ58の付勢力によって溜力方向への移動速度より高速で送出方向へ移動される。これにより、第2の空間60bから第1の空間60aに流動された空気が第1の空間60aから連結突部62の排出口50を通ってホース4を介しノズルユニット2のノズル22へ向けて送出される。このとき、排出口50の径がピストン支持部59の径よりも小さく形成されているため、第1の空間60aから排出口50を通って排出される空気は圧縮されて高圧空気となって送出される。
【0074】
図5(a)に示すように、ノズルユニット2の取付部21は、略長方形状の天板21Aと、2つの側面板21B,21Cとを有している。側面板21Bは、天板21Aの一方側の端部に連続して天板21Aの下面側に張り出すように設けられている。側面板21Cは、側面板21Bとは反対側に位置し、天板21Aの他方側の端部に連続して天板21Aの下面側に張り出すように設けられている。また、側面板21B及び側面板21Cは、それぞれの接触部21D及び接触部21Eが内側へ僅かに突出するように湾曲して形成され、下端部21F及び下端部21Gが外側へ僅かに広がるように傾斜して形成されている。取付部21を構成する樹脂には、弾性に優れた材料が用いられている。
【0075】
ノズルユニット2のノズル22は、連結部22Aと、延伸部22Bと、噴出部22Cとを有している。連結部22Aは、ジョイント部材3が連結される部分である。連結部22Aには、高圧空気が流入する流入口23が設けられている。延伸部22Bは、連結部22Aと噴出部22Cとを連通する部分である。噴出部22Cは、高圧空気が噴出される部分であり、横長(例えば、長方形、楕円形等)に開口する噴出口24が設けられている。連結部22Aの流入口23に流入した高圧空気は、連結部22A、延伸部22B、及び噴出部22C内に形成されている連通路を通って噴出部22Cの噴出口24から噴出される。ノズル22は、取付部21の天板21A上における中央部に配置されている。
【0076】
ジョイント部材3は、L字状を有した筒部材で形成されており、ノズル22と連結される連結部31と、ホース4と連結される連結部32とを有している。連結部32には、高圧空気が流入する流入口33が設けられている。連結部31には、高圧空気が流出される流出口34が設けられている。ジョイント部材3内には、流入口33と流出口34とを連結する連結路が形成されている。
【0077】
ジョイント部材3は、連結部31がノズル22の流入口23に嵌め込まれることによって、
図5(b)に示すように、ノズル22と連結される。ジョイント部材3は、ノズル22と連結された状態において、連結部31を軸として回転してノズル22に対する姿勢を変更可能とされている。
【0078】
図6,
図7に示すように、車載カメラ100のハウジング102は、例えば立方体の形状に形成されている。ハウジング102は、上面(第一面の一例)102Aと、上面102Aの一端と連続する右側面(第二面の一例)102Bと、右側面102Bとは反対側に位置し、上面102Aの他端と連続する左側面(第三面の一例)102Cとを有している。
【0079】
ノズルユニット2は、車載カメラ100に対して上方側から取付部21がハウジング102に嵌め込まれるようにして取り付けられる。取付部21は、ハウジング102に取り付けられた状態において、天板21Aの内面(対向面の一例)がハウジング102の上面102Aと対向する。天板21Aは、接着剤や両面テープ等の接着部材25を介してハウジング102の上面102Aに接着される。側面板21Bは、ハウジング102の右側面102Bと離れる方向に向けて弾性変形可能であり、側面板21Bの接触部(第一接触部の一例)21Dにおいて右側面102Bに接触し、右側面102Bを押圧する。同様に、側面板21Cは、接触部(第二接触部の一例)21Eにおいて左側面102Cに接触し、左側面102Cを押圧する。このように、取付部21の側面板21B,側面板21Cは、ハウジング102を左右両側から挟み込む。
【0080】
ノズル22は、延伸部22Bがハウジング102の前面の肩部に沿うようにレンズ101に向けて配置され、噴出部22Cの噴出口24がレンズ101の中心101Aを向くように位置決めされている。また、ジョイント部材3は、連結部32がホース4に連結される。
【0081】
次に、異物除去装置1の動作について説明する。
高圧空気生成ユニット5においてモータ55の駆動が開始されると、先ず、高圧空気を生成するための空気(外気)が吸い込まれる。空気は、ノズル22の噴出口24から高圧空気生成ユニット5へ吸い込まれる。吸い込まれた空気は、付勢バネ58の付勢力によるピストン運動により、高圧空気生成ユニット5の排出口50からホース4へ高圧空気となって送出される。高圧空気は、ホース4からジョイント部材3を通ってノズルユニット2のノズル22へ送出される。
【0082】
高圧空気は、ノズル22の流入口23(
図5参照)に流入され、連通路を通って噴出口24から噴出される。噴出口24から噴出された高圧空気は、車載カメラ100のレンズ101に向けて吹き付けられる。これにより、レンズ101に付着されている異物が吹き飛ばされてレンズ101の汚れが解消される。
【0083】
ところで、従来の異物除去装置のように専用のブラケットを介して異物除去装置を車両のパネルに取り付けて、カメラレンズに対するノズルの位置決めを行う構成では、カメラとノズルとをそれぞれ車両のボディパネルに取り付けながら位置決めをしなければならない。この場合、カメラにもノズルにもそれぞれ取付誤差が生じ、両誤差を足し合わせた分がカメラレンズに対するノズルの位置ズレとなって発生する。また、車両のボディパネル(外観)の形状は様々であるため、メーカ及び車種によっても専用のブラケットを準備する必要があり車両に取り付ける際の汎用性が低いものであった。
【0084】
これに対して、本実施形態の異物除去装置1によれば、ノズル22は、取付部21と一体に形成されており、取付部21が車載カメラ100のハウジング102に取り付けられる。ノズル22を車両のボディパネルに取り付けて位置決めする必要がないため、ノズル22の先端を車載カメラ100のレンズ101に対して精度よく位置決めすることができ、レンズ101に付着した異物を除去する性能を高めることができる。
【0085】
また、ノズルユニット2は、取付部21が車載カメラ100のハウジング102に取り付けられると、ノズル22の噴出口24がレンズ101の中心を向くように構成されている。このため、車載カメラ100のレンズ101に対するノズル22の位置決め精度をさらに向上させることができ、異物を除去する性能を高めることができる。
【0086】
また、ノズルユニット2の取付部21は、天板21Aが接着部材25でハウジング102に接着され、側面板21B,21Cが弾性変形してハウジング102に接触される。このため、取付部21は、接着部材25で強固にハウジング102に固定されるとともに、ハウジング102の形状に沿って変形した状態で車載カメラ100のハウジング102に固定される。したがって、ノズル22の噴出口24を車載カメラ100のレンズ101に対してさらに精度よく位置決めすることができ、異物を除去する性能を高めることができる。
【0087】
また、取付部21が取り付けられる車載カメラ100のハウジング102の形状は、車両のボディパネルの形状と比較すると、製品毎の大きさの相違が小さい。ハウジング102の左右幅が多少異なったカメラに対しても、側面板21B,21Cが弾性変形して取付可能であるため、専用のブラケット等を準備する必要がなく、異物除去装置1を車両に取り付ける際の汎用性を向上させることができる。
【0088】
また、ノズル22と連結されたジョイント部材3は、ノズル22に対する姿勢を変更可能に構成されている。このため、車両における高圧空気生成ユニット5の配置場所が車種によって異なる場合であってもジョイント部材3の姿勢を変えることでジョイント部材3をホース4に接続することができる。したがって、ジョイント部材3を介してノズルユニット2と高圧空気生成ユニット5とを容易に連結することができ、異物除去装置1を車両に取り付ける際の汎用性をさらに向上させることができる。
【0089】
また、専用のブラケットを用いることなくノズルユニット2を介してノズル22を車載カメラ100に取り付けることができるので、製品コストの増加を抑制することができる。
【0090】
次に、上述した形態における取付部21の変形例について
図8を参照して説明する。
図8(a)に示すように、変形例の取付部71は、取付部21(
図7参照)と比較すると、側面板71B,側面板71Cの構造が相違している。なお、上述した形態と同一番号を付した部分については、同じ機能および動作であるため、繰り返しとなる説明は省略する。
【0091】
側面板71Bは、天板21Aの一方側の端部に連続して天板21Aの下面側に天板21Aに対して垂直方向へ張り出すように設けられている。側面板71Cは、側面板71Bとは反対側に位置し、天板21Aの他方側の端部に連続して天板21Aの下面側に天板21Aに対して垂直方向へ張り出すように設けられている。側面板71B及び側面板71Cは、それぞれハウジング102の右側面102B及び左側面102Cと離れる方向に向けて弾性変形可能とされている。
【0092】
側面板71B及び側面板71Cには、それぞれの下端部71D及び下端部71Eに凸部71F及び凸部71Gが設けられている。凸部71F及び凸部71Gは、側面板71B及び側面板71Cの内側に相互に向き合うように設けられている。また、凸部71F及び凸部71Gは、例えば側面板71B及び側面板71Cの幅方向へ一条に延在するように設けられている。
【0093】
図8(b)に示すように、ハウジング102の左側面102C及び右側面102Bには、凹部102G及び凹部102Fが設けられている。ハウジング102の上面102Aから凹部102G及び凹部102Fまでの距離hは、取付部71の天板21Aの下面から凸部71F及び凸部71Gまでの距離Hと等しくなるように構成されている。
【0094】
この構成によれば、ノズルユニット2の取付部71は、車載カメラ100のハウジング102に対して、取付部71の凸部71F及び凸部71Gがそれぞれハウジング102の凹部102G及び凹部102Fに係合されるとともに、側面板71B及び側面板71Cがハウジング102に面接触した状態で固定される。このため、ノズル22の先端を車載カメラ100のレンズ101に対して、カメラの前後左右方向に対してさらに精度よく位置決めすることができる。なお、変形例としては、ハウジング102に凸部を設け、側面板に凹部を設ける係合構成であっても良い。また、
図9のように、係合によってノズルユニットを取り付ける構成によれば、接着部材を用いないことも可能である。
【0095】
(変形例1)
次に、上述した形態におけるノズル22の変形例(変形例1)について
図9〜
図11を参照して説明する。
図9は、車載カメラ100に取り付けられたノズルユニット2Aを示す。
図10は、
図9のA−A矢視の横断面図を示し、
図11は、
図9のB−B矢視の縦断面図を示す。変形例のノズル82は、ノズル22(
図6参照)と比較すると、噴出部82Cの構造が相違している。なお、上述した形態と同一番号を付した部分については、同じ機能および動作であるため、繰り返しとなる説明は省略する。
【0096】
ノズルユニット2Aは、取付部21と、ノズル82とを有している。
ノズル82は、連結部22Aと、延伸部22Bと、噴出部82Cとを有している。噴出部82Cは、高圧空気が噴出される部分であり噴出口24が設けられている。流入口23に流入した高圧空気は、連結部22A、延伸部22B、及び噴出部82Cにより形成される連通路を通って噴出口24から噴出される。
【0097】
車載カメラ100のハウジング102は、上面102A、右側面102B、及び左側面102Cのそれぞれの一端と連続する前面(カメラ前面の一例)102Hを有している。前面102Hは、ハウジング102を単体で前方から見た場合の平面視領域である。前面102Hには、レンズ101が露出されるレンズ穴102Kが形成されている。
【0098】
噴出部82Cは、ハウジング102の前面102Hと対向する天壁91と、2つの側壁92,93とを有している。側壁92は、天壁91の一方側の端部に連続して天壁91から離れる方向に張り出すように設けられている。側壁93は、側壁92とは反対側に位置し、天壁91の他方側の端部に連続して天壁91から離れる方向に張り出すように設けられている。このように、ノズル82の噴出部82Cは、天壁91と側壁92,93とにより構成されており、天壁91に対向する壁(底壁)が形成されていない。
【0099】
ノズル82は、取付部21が車載カメラ100のハウジング102に取り付けられた状態において、噴出部82Cの側壁92,93(位置決め部の一例)がハウジング102の前面102Hと接触するように構成されている(
図10参照)。側壁92,93が前面102Hと接触することにより、ハウジング102の前面102Hに対するノズル82の位置が決定される。また、取付部21がハウジング102に取り付けられた状態において、噴出部82Cには、天壁91と側壁92,93とハウジング102の前面102Hとによって囲まれる連通路94が形成される(
図11参照)。高圧空気は、連通路94を通って噴出口24から噴出される。
【0100】
この構成によれば、ノズルユニット2Aは、車載カメラ100のハウジング102に対して取付部21により固定されるとともに、ノズル82の側壁92,93によっても固定される。具体的には、ノズル82の先端を車載カメラ100のレンズ101に対して左右方向だけでなくカメラの前後方向においても精度よく位置決めすることができる。また、噴出部82Cが底壁を有しない構成とされることにより、ノズル82の厚さを低減することができ、ノズルユニット2Aの大きさが大きくなるのを抑制することができる。
【0101】
(第二実施形態)
図12(a),(b)は、第二実施形態に係る異物除去装置が備えるノズルに形成されたバイパス経路を説明するための断面図である。
図12(a)に示すように、第二実施形態に係る異物除去装置が備えるノズル122には、流入口23と噴出口24とを連通する連通路71と、延伸部22Bの下壁72を貫通するバイパス経路73とが形成されている。
【0102】
連通路71は、連結部22Aの管路71aと、延伸部22Bの管路71b,71cと、噴出部22Cの管路71dとで構成されている。管路71bは、管路71aの終わりからバイパス経路73が形成されている所までの管路を意味し、管路71cは、バイパス経路73が形成されている所から管路71dの始まりまでの管路を意味する。
【0103】
管路71cの断面積(流れに直交する断面の断面積:管路の大きさの一例)は、管路71bの断面積より僅かに大きく形成されている。管路71d(噴出口24)の断面積は、管路71cの断面積と同一に形成されている。管路71aの断面積は、管路71dの断面積より大きく形成されている。なお、管路71aの内径は、流入口23に嵌め込まれるジョイント部材3の連結部31の外径と同一である。なお、管路や各開口の大小関係は、最大外径の比較で規定しても良いし、他の指標による比較で規定しても良い。
【0104】
バイパス経路73は、下壁72に形成された開口74を介して連通路71と連通されている。本例ではバイパス経路73の断面積は、開口74の断面積と同じ大きさに形成されている。開口74は、管路71d(噴出口24)の断面積及び管路71bの断面積よりも小さく形成されている。バイパス経路73は、下壁72に対して鋭角θを有するように形成されている。
図12(a)の矢印Xは、高圧空気が連通路71内を流れる方向を表している。換言すると、バイパス経路73は、矢印Xの向きに対して後方から鋭角方向に合流するように形成されている。
【0105】
次に、第二実施形態に係る異物除去装置の動作について説明する。
高圧空気生成ユニット5においてモータ55の駆動が開始されると、ラック53の溜力方向への移動に伴って(
図4参照)、高圧空気を生成するための空気(外気)が吸い込まれる。空気は、ノズル122の噴出口24から連通路71を通って流入されるとともに、バイパス口75からバイパス経路73を通って流入される。流入された空気は、ジョイント部材3からホース4を通って高圧空気生成ユニット5へ吸い込まれる。吸い込まれた空気は、付勢バネの付勢力によるピストン運動により、高圧空気生成ユニット5の排出口50からホース4へ高圧空気となって送出される。高圧空気は、ホース4からジョイント部材3を通ってノズル122へ送出される。
【0106】
高圧空気は、
図12(a)に示すように、ノズル122の流入口23に流入され、矢印Xに示すように連通路71を通って噴出口24から噴出される。本例では、噴出口24が開口74より大きく形成されるとともに、バイパス経路73が高圧空気の流れる向きに対して鋭角(θ)方向に形成されているため、高圧空気は、連通路71を矢印Xに示すように送出される。
【0107】
噴出口24から噴出された高圧空気は、車載カメラ100のレンズ101に向けて吹き付けられる。これにより、レンズ101に付着されている異物が吹き飛ばされてレンズ101の汚れ等が解消される。
【0108】
ところで、ごみや塵等が噴出口24に付着することにより一時的な噴出口24の詰まりが生じた場合には、高圧空気生成ユニット5に吸い込まれる空気は、
図12(b)の矢印Yに示すように、バイパス口75から流入されバイパス経路73と連通路71を通って高圧空気生成ユニット5へ吸い込まれる。
【0109】
このような構成によれば、ノズル122には、噴出口24が設けられているとともに、開口74を介して連通路71と連通するバイパス経路73が設けられている。このため、一時的にノズル122の噴出口24に詰まりが生じた場合であっても、バイパス経路73を介して高圧空気を生成するための外気(空気)を吸い込むことができる。これにより、噴出口24に詰まりが生じた場合であっても高圧空気を生成することができ、生成した高圧空気で噴出口24の詰まりを解消して、高圧空気の良好な噴出状態を確保することができる。また、バイパス経路73の開口74は、ノズル122の噴出口24より小さく形成されているため、噴射の際に噴出口24に向けて流れる高圧空気は、ほとんど開口74から流出しない。このため、ノズル122に噴出口24の他にバイパス経路73が設けられていてもノズル122が異物を除去する性能は維持される。
【0110】
また、バイパス経路73は、連通路71を高圧空気が流れる向き(
図12(a)に示す矢印Xの向き)に対して鋭角(θ)に形成されている。このため、噴射の際に噴出口24に向けて流れる高圧空気は、バイパス経路73の方向には流れにくく、ほとんど開口から流出しない。このため、噴出口24の他にバイパス経路73が設けられたとしてもノズル122による異物を除去する性能は維持される。
【0111】
(変形例2)
次に、上述した形態におけるバイパス経路73の変形例(変形例2)について
図13〜
図15を参照して説明する。
図13は、車載カメラ100に取り付けられたノズルユニット2と、ノズルユニット2のノズル22に連結されたジョイント部材(連結部の一例)3Aとを示す。
図14は、
図13のC−C矢視の縦断面図を示す。
図15(a)は
図14のD−D矢視の断面図を示し、
図15(b)はジョイント部材3Aのノズル側の連結部(本例ではノズル連結部と称する)31Aを下面側から見た斜視図を示す。
【0112】
変形例2のバイパス経路73Aは、ジョイント部材3Aのノズル連結部31Aに形成される点で、ノズル122の下壁72を貫通して形成されているバイパス経路73(
図12参照)と相違している。なお、上述した形態と同一番号を付した部分については、同じ機能および動作であるため、繰り返しとなる説明は省略する。
【0113】
本例のジョイント部材3Aのノズル連結部31Aは、
図15(a)に示すように断面が長方形状を有している。また、ノズル連結部31A内には、長方形状を有する連結路81(流入口33と流出口34を連結する路)が形成されている。ノズル連結部31Aを構成する下壁82の外周面には、バイパス経路73Aの一部を形成する溝83が設けられている。溝83は、例えば断面が半円形状を有しており、ノズル連結部31Aの長さ方向へ一条に延在して設けられている。
【0114】
このような構成のジョイント部材3Aにおけるノズル連結部31Aがノズル22の流入口23に嵌合されることで、
図14に示すように、ノズル連結部31Aの溝83とノズル22における連結部22Aの内周面とによってバイパス経路73Aが形成される。バイパス経路73Aは、ノズル22内の連通路71と連結されている。バイパス経路73Aの断面積は、ノズル22の噴出口24の断面積よりも小さく形成されている。なお、バイパス経路73Aの機能および動作は、上記形態で説明したバイパス経路73(
図12参照)と同様である。
【0115】
この構成によれば、ノズル22とホース4とを連結するとともに、着脱可能に設けられたジョイント部材3Aを用いて簡易的にバイパス経路73Aを構成することができる。また、バイパス経路73Aは噴出口24と比較して小さいため、ノズル22に対して噴出口24の他にバイパス経路73Aが設けられていてもノズル22が異物を除去する性能は維持される。また、ノズル22の噴出口24に詰まりが生じた場合であっても、バイパス経路73Aを介して外気(空気)を吸い込むことができ、高圧空気を生成することができる。
【0116】
(変形例3)
次に、上述した形態におけるバイパス経路73の別の変形例(変形例3)について
図16〜
図17を参照して説明する。
図16(a)は各部材が組付けられていない状態、
図16(b)は各部材が組付けられた状態を示す。
図17は、
図16(b)のE−E矢視の断面図を示す。
【0117】
変形例3のバイパス経路73Bは、ノズルユニット2が取り付けられた車載カメラ100をカメラブラケット91に組付けることによって形成される点で、ノズル122の下壁72を貫通して形成されているバイパス経路73(
図12参照)と相違している。なお、上述した形態と同一番号を付した部分については、同じ機能および動作であるため、繰り返しとなる説明は省略する。
【0118】
図16(a),(b)に示すように、カメラブラケット91には、管路(連結部の一例)92と、開口部93とが設けられている。管路92は、ノズル22とジョイント部材3とを連通させる管であり、ノズル22が連結される側の端部にノズル側連結部92Aを有し、ジョイント部材3が連結される側の端部にジョイント側連結部92Bを有している。管路92内には連結路が形成されており、ノズル側連結部92Aにはノズル連結口94が設けられ、ジョイント側連結部92Bにはジョイント連結口95が設けられている。
【0119】
開口部93は、車載カメラ100が収納される部位である。車載カメラ100は、電源端子、信号端子等が設けられたコネクタ部103を有している。
【0120】
このような構成の各部は、以下のように手順で組付けられる。先ず、ノズル22が接着部材(例えば両面テープ)25でカメラ100の上面10Aに貼り付けられる。この場合、ノズル22の噴出口24がカメラ100のレンズ101の例えば中心点を向くように調整して貼り付けられる。続いて、車載カメラ100のコネクタ部103がカメラブラケット91の開口部93内に挿入される。挿入された車載カメラ100は、コネクタ部103側の端部を中心として、レンズ101側が車載カメラ100の上面100A方向へ回転され、上面100Aに貼り付けられているノズル22がカメラブラケット91の管路92に近づけられる。さらに回転されると、管路92のノズル側連結部92Aの一部がノズル22の流入口23に挿入される。このような状態になると例えばカメラブラケット91の係合部が車載カメラ100の係合部と係合して組付けが完了する。
【0121】
図17に示すように、ノズル側連結部92Aのノズル連結口94の断面積は、ノズル22の連結部22Aの流入口23の断面積よりも小さく形成されている。このため、ノズル側連結部92Aの外周面と連結部22Aの内周面との間には隙間96A,96Bが形成される。この隙間がバイパス経路73Bとなる。バイパス経路73Bは、開口97または98を介してノズル22内の連通路71と連通されている。開口97の断面積及び開口98の断面積は、ノズル22の噴出口24の断面積よりも小さく形成されている。開口97の距離d1及び開口98の距離d2は、ノズル22の噴出口24の距離d3よりも小さく形成されている。なお、バイパス経路73Bの機能および動作は、上記第二実施形態で説明したバイパス経路73(
図12参照)と同様である。
【0122】
この構成によれば、カメラブラケット91に設けられている管路92を用いて簡易的にバイパス経路73Bを構成することができる。また、ノズル22が貼り付けられた車載カメラ100にカメラブラケット91を組付ける場合、互いの最大外径や断面積が相違する管路92のノズル側連結部92Aとノズル22のノズル連結口94とが互いに挿入されて組付けられる構成とされている。このため、車載カメラ100をカメラブラケット91に組付ける際にノズル側連結部92Aとノズル連結口94とを接触させずに組付けることができるので、ノズル22が組付けの障害とならず、レンズ101に対するノズル22の位置を適切に設定することができる。その他、上記変形例2と同様の効果を奏する。
【0123】
また、
図4を参照して説明した高圧空気生成ユニット5は、次のように動作しても良い。具体的には、
図18において、高圧空気生成ユニット5内のピストン52が上死点(端部52Aが第一の空間60aの仮想線Lに位置した状態)から下死点(
図4に示す状態)に移動する時間を溜力時間t2(s)とし、ピストン52が下死点から上死点に移動する時間を排気時間(送出時間)t1とする。このとき、
図18に示すように、溜力時間t2は送出時間t1の10倍以上であることが好ましい。このように、ピストン52の上死点から下死点への移動をゆっくりと行う一方、下死点から上死点への移動を瞬間的に行うことで、すなわち送出時間t1よりも十分に長い溜力時間t2を確保しつつ送出時間t1内に瞬間的に空気を排気することで、付勢バネ58の付勢力が小さい高圧空気生成ユニット5でも、レンズ101に付着した水滴を確実に移動させることができる。
【0124】
また、上記の構成では、ピストン52について、空気を送り出す移動方向である送出方向の速度が、送出方向と反対方向であって空気を吸気する際の移動方向である溜力方向の速度よりも著しく速く設定される。これにより、連通路71内の空気の移動する速度も、吸気時に比べて排気時の方が速いこととなる。この構成により、バイパス経路73の開口74の断面積を、管路71d(噴出口24)の断面積よりも小さく形成しても、バイパス経路73はバイパスとしての機能を十分に発揮することができる。すなわち、噴射口24がゴミ等で詰まった場合でも、比較的長い溜力時間にバイパス経路73を介して吸気を行うことができ、噴射時には、バイパス経路73からの高圧空気の流出を小さく抑えつつ噴射口24から高圧空気を噴射させることで、異物除去性能を確保することができる。
【0125】
(第三実施形態)
図19は、本発明の第三実施形態に係る異物除去装置の斜視図である。
図19に示すように、異物除去装置1000は、ノズルユニット1002と、ジョイント部材3と、ホース4と、高圧空気生成ユニット(生成部の一例)5とを備えている。なお、ノズルユニット1002の基本的な構成は、第一実施形態のノズルユニット2と同様であるため、繰り返しとなる説明は省略する。また、上述した形態と同一番号を付した部分については、同じ機能および動作であるため、繰り返しとなる説明は省略する。
【0126】
図20に示すように、ノズルユニット1002の取付部1021は、略長方形状の天板1021Aと、2つの側面板1021B,1021Cとを有している。側面板1021Bは、天板1021Aの一方側の端部に連続して天板1021Aの下面側に張り出すように設けられている。側面板1021Cは、側面板1021Bとは反対側に位置し、天板1021Aの他方側の端部に連続して天板1021Aの下面側に張り出すように設けられている。取付部1021を構成する樹脂には、弾性に優れた材料が用いられている。
【0127】
ノズルユニット1002のノズル1022は、取付部1021の天板1021A上における中央部に配置されている。ノズル1022は、連結部1022Aと、天壁1022B(第一の壁部の一例)とを有している。連結部1022Aは、ジョイント部材3が連結される部分である。連結部1022Aには、高圧空気が流入する流入口1023が設けられている。天壁1022Bは、高圧空気が噴出される部分であり、連結部1022Aの上部から斜め下方へ向けて突出している。流入口1023に流入した高圧空気は、連結部1022Aを通って天壁1022Bに沿ってレンズ101に向けて噴出される。
【0128】
図21に示すように、車載カメラ100のハウジング102は、例えば立方体の形状に形成されている。ハウジング102は、上面(第一面の一例)102Aと、上面102Aの両端と連続する側面102B,102Cと、上面102A、右側面102B、及び左側面102Cのそれぞれの一端と連続する前面(カメラ前面の一例)102Hとを有している。前面102Hは、ハウジング102を単体で前方から見た場合の平面視領域である。
【0129】
ノズル1022の天壁1022Bは、ノズルユニット1002の取付部1021が車載カメラ100のハウジング102に取り付けられた状態において、ハウジング102の前面102Hと対向する位置に配置されている。本実施形態においては、ノズル1022の噴射口は天壁1022Bのみから形成されており、天壁1022Bに対向する壁(底壁)や天壁1022Bの両端から延びる側壁は形成されていない。
【0130】
図22に示すように、ノズル1022は、天壁1022Bがハウジング102の上面102Aから上面102Aと前面102Hとの間の肩部に沿うようにレンズ101に向けて配置され、天壁1022Bの先端がレンズ101を向くように位置決めされている。
【0131】
図23(a)に示すように、ホース4を介してジョイント部材3の流入口33に流入した高圧空気は、ノズル1022の連結部1022Aの流入口1023に流入される。連結部1022Aの流入口1023に流入した高圧空気は、天壁1022Bとハウジング102の上面102Aの間を通り、天壁1022Bとハウジング102の前面102Hとの間から噴出される。このように、天壁1022Bとハウジング102との間に高圧空気の吹き出し口が形成される。このとき、高圧空気生成ユニット5からノズル1022に流入された高圧空気を天壁1022Bに当てながらレンズ101に向けて噴射させるように、ノズル1022の形状が構成されていることが好ましい。具体的には、連結部1022Aと天壁1022Bとのなす角度θが鈍角となるように、好ましくは、110°以上160°以下となるように、ノズル1022が形成されている。
【0132】
なお、
図23(b)に示すように、車載カメラ100にノズルユニット1002が取り付けられた状態の上面視において、天壁1022Bは車載カメラ100のハウジング102の前面102Hに略平行に延びる形状を備えており、天壁1022Bからハウジング102の前面102H側に延びる側壁等は設けられていない。
【0133】
次に、本実施形態に係る異物除去装置1000の動作について、
図19等を再度参照して説明する。
高圧空気生成ユニット5においてモータ55の駆動が開始されると、先ず、高圧空気を生成するための空気(外気)が吸い込まれる。空気は、ノズル1022の噴出口1024から高圧空気生成ユニット5へ吸い込まれる。吸い込まれた空気は、付勢バネ58の付勢力によるピストン運動により、高圧空気生成ユニット5の排出口50からホース4へ高圧空気となって送出される。高圧空気は、ホース4からジョイント部材3を通ってノズルユニット1002のノズル1022へ送出される。
【0134】
高圧空気は、ノズル1022の流入口1023(
図23(a)参照)に流入され、天壁1022Bとハウジング102の前面102Hとの間に流入される。天壁1022Bとハウジング102の前面102Hとの間に流入された高圧空気は、ハウジング102の前面102Hの肩部に沿って流れ、車載カメラ100のレンズ101に向けて吹き付けられる。これにより、レンズ101に付着されている異物が吹き飛ばされてレンズ101の汚れが解消される。
【0135】
ところで、従来の異物除去装置のようにカメラのハウジングの上面に対向する位置にノズル吹き出し口を配置すると、高圧空気をレンズに効率的に吹き付けることは困難である。また、ノズル先端部を、高圧空気の噴出口の周面全体を覆うような壁部で形成しようとすると、異物除去装置を車両に取り付ける際のスペースを比較的大きくする必要がある。
【0136】
これに対して、本実施形態の異物除去装置1000によれば、ノズル1022の先端部は、カメラ100の前面102Hと対向する天壁1022Bから形成されている。このため、高圧空気生成ユニット5から送られた高圧空気が天壁1022Bとカメラハウジング102の前面102Hとの間に流れてレンズ101に効率良く吹き付けられるため、異物を除去する性能を維持することができる。また、ノズル1022の先端部が天壁1022Bのみから形成されており、従来のようにノズルの噴出部を高圧空気の噴出口の周面全体を覆う壁部で形成するものではないため、構成が簡便であるとともにノズル1022の噴出口の厚さを低減して省スペース化を図ることができ、車両への搭載性に非常に優れている。
【0137】
また、異物除去装置1000によれば、高圧空気生成ユニット5からノズル1022に流入された高圧空気を天壁1022Bに当てながらレンズ101に向けて噴射させるように、ノズル1022の形状が構成されている。このように、高圧空気を天壁1022Bに当てて送出することで、高圧空気を整流することができ、レンズ101表面の適切な場所に適切な風量の高圧空気を送ることができる。
【0138】
(変形例4)
次に、上述した第三実施形態におけるノズルユニット1002の変形例(変形例4)について
図24〜
図26を参照して説明する。
図24は、車載カメラ100に取り付けられたノズルユニット1002Aを示す。
図25(a)は、ノズルユニット1002Aが車載カメラ100に取り付けられた状態の側面図であり、
図25(b)は、
図24のH−H矢視の縦断面図を示し、
図25(c)は、
図25(a)のI−I矢視の横断面図を示す。変形例4のノズル1072は、ノズル1022(
図21、
図22等参照)と比較すると、噴出部1073の構造が相違している。なお、上述した形態と同一番号を付した部分については、同じ機能および動作であるため、繰り返しとなる説明は省略する。
【0139】
ノズルユニット1002Aは、取付部1021と、ノズル1072とを有している。ノズル1072は、連結部1022Aと、噴出部1073とを有している。噴出部1073は、高圧空気が噴出される部分であり、ジョイント部材3を介して流入口1023に流入した高圧空気は、連結部1022Aを通って噴出部1073から噴出される。
【0140】
図24および
図25に示すように、噴出部1073は、ハウジング102の前面102Hと対向する天壁1072Bと、2つの側壁1072C,1072D(第二の壁部の一例)とを有している。側壁1072Cは、天壁1072Bの一方側の端部に連続して天壁1072Bから離れる方向に張り出すように設けられている。側壁1072Dは、側壁1072Cとは反対側に位置し、天壁1072Bの他方側の端部に連続して天壁1072Bから離れる方向に張り出すように設けられている。このように、ノズル1072の噴出部1073は、天壁1072Bと側壁1072C,1072Dとにより構成されており、天壁1072Bに対向する壁(底壁)が形成されていない。
【0141】
ノズル1072は、取付部1021が車載カメラ100のハウジング102に取り付けられた状態において、噴出部1073の側壁1072C,1072Dがハウジング102の前面102Hと接触するように構成されている(
図25(c)参照)。側壁1072C,1072Dが前面102Hと接触することにより、ハウジング102の前面102Hに対するノズル1072の位置が決定される。また、取付部1021がハウジング102に取り付けられた状態において、噴出部1073には、天壁1072Bと側壁1072C,1072Dとハウジング102の前面102Hとによって囲まれる連通路1074が形成される(
図25(b),(c)参照)。高圧空気は、連通路1074を通って噴出口1075から噴出される。
【0142】
この構成によれば、天壁1072B、側壁1072C,1072Dとカメラハウジング102の前面102Hとにより高圧空気の吹き出し口の周面全体を覆う連通路1074を形成することで、ノズル1072から吹き出される高圧空気をより効率的にレンズ101に導くことができる。また、車載カメラ100のハウジング102に対して取付部1021により固定されるとともに、ノズル1072の側壁1072C,1072Dがハウジング102の前面102Hに接触されることによって位置決めされる。すなわち、ノズル1072の先端を車載カメラ100のレンズ101に対して左右方向だけでなく車載カメラ100の前後方向においても精度よく位置決めすることができる。また、噴出部1073が天壁1072Bと側壁1072C,1072Dとにより構成されており、天壁1072Bに対向する底壁を有しない構成であるため、ノズル1072の厚さを低減することができ省スペース化を図ることもできる。
【0143】
なお、変形例4においては、側壁1072C,1072Dがハウジング102の前面102Hと接触する構成としているが、側壁1072C,1072Dが前面102Hと接触しない構成としてもよい。この場合でも、天壁および側壁により高圧空気をレンズ101に向けて効率的に導くことができる。また、
図26に示すように、レンズ101の円弧形状に合わせて、天壁1074Bを断面円弧状となるように形成してもよい。これにより、高圧空気をレンズ101の全面に均一に導くことができる。
【0144】
(変形例5)
次に、第三実施形態におけるノズルユニットの別の変形例(変形例5)について
図27を参照して説明する。
図27に示すように、ノズルユニット1002Bは、取付部1021と、ノズル1082とを有している。ノズル1082は、連結部1022Aと、噴出部1083とを有している。噴出部1083は、ハウジング102の前面102Hと対向する天壁1082Bと、天壁1082Bの両端からレンズ101側に向かって延出する側壁1082C,1082Dとを有している。天壁1082Bは、連結部1022Aから下方のレンズ101の前面に向かって扇状に拡大された形状で形成されている。ジョイント部材3を介して流入口1023に流入した高圧空気は、連結部1022Aを通って噴出部1083から噴出される。この変形例5によれば、天壁1082Bが扇状に形成されているため、レンズ101の外表面全体に向けて略均一に高圧空気を吹き付けることができる。
【0145】
(変形例6)
次に、第三実施形態におけるノズルユニットのさらに別の変形例(変形例6)について
図28(a),(b)を参照して説明する。
図28(a),(b)に示すように、ノズルユニット1002Cは、取付部1021と、ノズル1092とを有している。ノズル1092は、開口部1092Aと、噴出部1093とを有している。開口部1092Aは、その内部に高圧空気生成ユニット5と連結されて高圧空気を送り出す不図示のホースまたはジョイント部材が挿入され、高圧空気が流入されるための開口である。噴出部1093は、高圧空気が噴出される部分であり、開口部1092Aから流入した高圧空気は噴出部1093の噴出口1094から噴出される。
【0146】
噴出部1093は、ハウジング102の前面102Hと対向する天壁1092Bと、2つの側壁1092C,1092Dとを有している。天壁1092Bにおいて、ハウジング102の前面102Hと対向する面1092B1(
図28(b)参照)には複数の長尺状の突起部1095が設けられている。突起部1095は、高圧空気を整流してレンズ101に吹き付けるための部材である。
図28(b)に示すように、複数の突起部1095は、中央部の突起部1095A間の配列ピッチが両側の突起部1095Bとその内側の突起部1095Aとの配列ピッチよりもやや狭くなるように配置されている。これにより、中央部の突起部1095A間を流れる高圧空気の流速が、中央部の突起部1095Aと両側の突起部1095Bとの間を流れる高圧空気の流速よりも速くなる。そのため、レンズ101の中央部から外側に向けて水滴等の異物が流されるように高圧空気を吹き付けることができる。
【0147】
ノズル1092は、取付部1021が車載カメラ100のハウジング102に取り付けられた状態において、噴出部1093の側壁1092C,1092Dがハウジング102の前面102Hと接触するように配置されることで、天壁1092Bと側壁1092C,1092Dとハウジング102の前面102Hとによって囲まれる連通路が形成される。開口部1092Aから流入した高圧空気は、連通路内に形成された突起部1095により整流されながら噴出口1094からレンズ101に向けて噴出される。このように、変形例6の構成によれば、突起部1095により噴出部1093での高圧空気の噴射方向、量、圧力等を制御してレンズ101に対して高圧空気をより効率的に吹き付けることができる。
【0148】
上記の各実施形態においては、高圧空気生成ユニット5により高圧空気を生成し、ノズル22から高圧空気を噴射してレンズ上の異物を除去する異物除去装置1,1000の例を示している。しかし、上記実施形態および変形例に係るノズルユニットを、洗浄液を貯蔵する貯蔵部と、洗浄液をカメラのレンズに向けて噴射するノズルとを備えた異物除去装置として適用することも可能である。
【0149】
また、上記の実施形態においては、ノズルユニット2のノズル22とホース4とを接合する部材としてジョイント部材3が設けられているが、ノズル22に対するホース4の姿勢を変更する必要がない場合であれば、ジョイント部材3を設けずにノズル22にホース4を直接取り付ける構成としてもよい。
【0150】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0151】
例えば、上述の例では車載カメラへの適用について記載したが、本発明を適用する対象は、屋外で使用されるカメラであれば種類を問わない。例えば、航空機、鉄道、船舶、ロボット、屋外設置物、建築物等の外部に向けて露出した状態になるように取り付けられたカメラを含む。
【0152】
また、上述の例ではカメラ(可視光に限られない)への適用について記載したが、本発明を適用するセンサーは、これに限られない。LIDAE(レーザーレーダ)、ミリ波レーダ、超音波センサーなど、車両に取り付け可能なセンサーに対して本発明は適用可能である。
【0153】
また、異物除去装置が異物を除去する対象部位は、カメラのレンズに限られない。例えば、センサー素子の光学レンズ、光学レンズの前面を覆うカバー、センサーの通信窓として機能する部位を有する灯具、ミラー、バンパー、グリル、ドアノブ等の車両表装部品のカバー、車両室内にセンサーが搭載された場合の車両窓等、を包括する概念として規定される「隔壁」上に付着した異物を除去する異物除去装置に対して、本発明を適用することは可能である。なお、この隔壁は、透明部材(透光性)に限らず、超音波センサーやミリ波レーダ等においては透明でなくても良い。
【0154】
本出願は、2015年6月30日出願の日本特許出願・出願番号2015−131785と、2015年6月30日出願の日本特許出願・出願番号2015−131786と、2015年6月30日出願の日本特許出願・出願番号2015―131788とに基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。