【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、スワールバーナーアセンブリであって、
(i) 中心軸線に沿って延在しかつ第1の端部および第2の端部を有する中空の長手方向細長本体と、
(ii)第1の端部における端壁と、
(iii)第1の端部と第2の端部との間に配置されるバーナーであって、第1の端部からバーナー壁までの第1の容積部と、バーナー壁から第2の端部までの第2の容積部とを画定する、バーナーと
(iv)第1の容積部内への酸化剤入口と、
(v)少なくとも1つの中空長手方向細長バーナーユニットであって、第1の容積部から本体の開口部の外側へ延在するバーナーユニットの第1の端部を有しており、バーナーユニットが、バーナー壁の開口部を通して第1の容積部から第2の容積部へそしてバーナーユニットの第2の端部へ向けて延在しており、かつバーナーユニットの内部容積部を画定する、少なくとも1つの中空長手方向細長バーナーユニットと、
を備えており、
少なくとも1つの中空長手方向細長バーナーユニットは、
(a)バーナーユニットの内側に配置されかつバーナーユニットの第1の端部とバーナーユニットの第2の端部との間に配置される軸流スワールのスワールミキサーであって、スワールミキサーは、内径および外径を有する複数のベーンと、第1の容積部へ向けて位置決めされかつ第1の容積部内に開口する第1の側面と、第2の容積部へ向けて位置決めされかつ第2の容積部内に開口する第2の側面と、を含む、軸流スワールのスワールミキサーと、
(b)第1の容積部への第1の燃料入口であって、酸化剤入口とスワールミキサーとの間に配置され、かつ複数のベーンの外径の半径方向内側に位置決めされた、第1の燃料入口と、
(c)複数のベーンの外径の半径方向内側においてバーナーユニットの第2の端部に近接した、第2の容積部への第2の燃料入口と、
を備えており、
各少なくとも1つのバーナーユニットは、
(A)第1のポイントであって、当該第1のポイントが第1の端部に最も近接する中心軸線に沿うポイントとなりかつ当該第1のポイントにおいて中心軸線に交差する平面がバーナーユニットのスワールミキサーの複数のベーンと交差するように、第1のポイントを規定し、
(B)第2のポイントであって、当該第2のポイントが第1の端部から最も離れる中心軸線に沿うポイントとなり、かつ当該第2のポイントにおいて中心軸線に交差する平面がバーナーユニットのスワールミキサーの複数のベーンと交差するように、第2のポイントを規定し、
(C)第1のポイントおよび第2のポイントから等距離にある中心軸線に沿った幾何学的な中間ポイントを規定し、
各第1の燃料入口は、酸化剤入口と、中心軸線に直交する平面と交差するスワールミキサーとの間のポイントに配置されており、当該平面は、第1のポイントから、第1の燃料入口の流動範囲の円相当径の1から2倍にある、中心軸線に沿うポイントと交差し、
各第2の燃料入口は、第1の燃料入口と、中心軸線に直交する平面と交差する第2の端部との間のポイントに配置されており、当該平面は、幾何学的な中間ポイントから複数のベーンの内径以下にある中心軸線に沿うポイントと交差する、スワールバーナーアセンブリが提供される。
【0016】
また、本明細書において方法のステップまたは特徴を参照することは、そうした方法のステップを実行するように適合または構成された本発明のシステムを参照することである。
【0017】
第1の端部は上流端部と称されてもよく、かつ第2の端部は下流端部と呼ばれてもよい。「上流」および「下流」との用語は、参照される構成要素の相対位置を反映するよう意図されている。特に、「上流」および「下流」の使用は、流体流路におけるまたはプロセスにおける構成要素の相対位置を反映してもよい。(本体内の特徴の文脈において)「特徴X’の上流」という表現は、「特徴X」から第1の端部に向かって配置される、すなわち第1の端部と「特徴X」との間に位置されることを意味する;(本体内の特徴の文脈において)「特徴X’の下流」という表現は、「特徴X」から第2の端部に向かって配置される、すなわち第2の端部と「特徴X」との間に位置されることを意味する。同様に、第1の側は上流側と称され、かつ第2の側は下流側と称されてもよい。第1の燃料入口はHCV燃料入口と称され、かつ第2の燃料入口はLCV燃料入口と称されてもよい。
【0018】
好ましくは、中空の長手方向細長本体は内部キャビティを画定する。より好ましくは、本体は、内部容積部を規定する壁付き形状である。中空の長手方向細長本体の形状の一例として、シリンダ形状、チューブ形状、および断面が多角形の形状が挙げられる。多角形断面の例として、四角形(例えば矩形)、五角形、六角形、七角形および八角形の断面が挙げられる。本体は、中心軸線に沿ってかつ中心軸線を中心として延在してもよい。
【0019】
上述したように、本体は中心軸線に沿って延在している。特定の実施形態では、中心軸線は、直線軸線以外のものであってもよい。例えば、軸線は湾曲していてもよいし、ステップ状になっていてもよい。
【0020】
上記の定義から分かるように、流体流路は、酸化剤入口から第1の容積部へ、そして第2の容積部へ向かうように規定される。
【0021】
第1の容積部は、第1の端部とバーナー壁と本体との間に画定されると考えられてもよい。同様に、第2の容積部は、バーナー壁と第2の端部と本体との間に画定されると考えられてもよい。
【0022】
好ましくは、本体は、バーナー壁から第2の端部まで延在する本体内面を備える。好ましくは、第2の容積部は、バーナー壁と本体内面と第2の端部との間に画定される。
【0023】
第2の容積部は炎管とも称されており、2つの用語は本明細書では置き換え可能に使用される。
【0024】
上述のように、少なくとも1つのバーナーユニットの第1の端部は、第1の容積部から本体の開口部の外側に延在する。したがって、少なくとも1つのバーナーユニットの第1の端部は、本体の第1の端部において端壁から延在する必要はない。例えば、少なくとも1つのバーナーユニットの第1の端部は、本体の側壁から延在してもよい。スワールバーナーアセンブリが複数のバーナーユニットを含む場合、いくつかの実施形態では、第1の容積部から本体の開口部の外側に延在する部分は、複数のバーナーユニットの共通部分として共有されてもよい。
【0025】
好ましくは、スワールミキサーは、第1の燃料入口と第2の燃料入口との間における、中心軸線に垂直な平面と交差するポイントに配置されており、この平面は、第1の端部から最も離れた中心軸線に沿うポイントから複数のベーンの1つの内径以下にある中心軸線に沿うポイントと交差し、当該ポイントにおいて、中心軸線に直交する平面がバーナー壁と交差する。
【0026】
特定の実施形態では、ベーンはバーナー壁の一部として形成され、バーナー壁はベーンまたはスワールミキサーとともに製造されるか、またはバーナー壁は、個別のバーナーユニットの追加を伴わずに、バーナー壁からベーンを形成するよう切断加工または機械加工される。
【0027】
少なくとも1つのバーナーユニットは、バーナー壁の開口部を通って延在するため、各バーナーユニットの第1の端部は、第1の容積部の周囲の一部を画定すると考えられてもよい。同様に、各バーナーユニットの第2の端部は、第2の容積部の周囲の一部を画定すると考えられてもよい。そのためスワールミキサーが第1の容積部内の第1の端部に向かってより多く配置される場合には第1の容積部が減少し、スワールミキサーの第2の側が第2の容積部内の第2の端部に向かってより多く配置される場合には第2の容積部が減少する。
【0028】
好ましくは、少なくとも1つのバーナーユニットは、より好ましくはバーナーユニットの内部容積部を規定するバーナーユニットの外側本体を備える。したがって内部容積部は、第1の容積部に含まれる(つまりその一部である)。好ましくは、バーナーユニットの外側本体は、少なくとも1つの開口部(少なくとも1つの空気入口開口部)を画定する。好ましくは、流体流路は、酸化剤入口から第1の容積部へ、バーナーユニットの内部容積部へ、そして第2の容積部へ向けて(すなわち酸化剤入口から、第1の容積部へ、そして第1の容積部の内部容積部を経て第2の容積部へ向けて)画定される。好ましくは、第1の燃料入口は、内部容積部内に配置される。
【0029】
文脈において特に記載されない限り、「1つの少なくとも1つのバーナーユニット」および「少なくとも1つのバーナーユニット」との表現は、好ましくはそれぞれ少なくとも1つのバーナーユニットについて言及しており、かつ適切には個々のバーナーユニットに言及するものである。
【0030】
好ましくは、少なくとも1つのバーナーユニットは、バーナー壁の開口部を通って第1の容積部から第2の容積部に向かって延在する外側カラーを備え、外側カラーは外径、内径、第1の端部および第2の端部を有する。好ましくは、外径は、バーナー壁の開口部の直径に等しい。
【0031】
好ましくは、少なくとも1つのバーナーユニットは、バーナー壁の開口部を通って第1の容積部から第2の容積部に向かって延在する内側カラーを含む。内側カラーは、外径、内径、第1の端部および第2の端部を有する。
【0032】
好ましくは、外側カラーの第1の端部および内側カラーの第1の端部は、スワールバーナーアセンブリの第1の端部に最も近い外側カラーの端部および内側カラーの端部である。同様に、外側カラーの第2の端部および内側カラーの第2の端部は、好ましくは、スワールバーナーアセンブリの第2の端部に最も近い外側カラーの端部および内側カラーの端部である。
【0033】
より好ましくは、外側カラーの第2の端部は、中心軸線に垂直な平面と交差し、当該平面は、スワールミキサーとスワールバーナーアセンブリの第2の端部との間に延在する平面であり、当該平面は、複数のベーンの内径の1つに等しいかあるいは複数のベーンの内径の1つと幾何学的な中間ポイントから下流にある複数のベーンの直径の半分との間の中心軸線に沿うポイントと交差する。
【0034】
より好ましくは、外側カラーの第1の端部は、中心軸線に垂直な平面と交差し、当該平面は、スワールミキサーとスワールバーナーアセンブリの第1の端部との間を延在し、当該平面は、外側カラーの第2の端部の上流の複数のベーンのうちの2つの外形に等しいかまたはその範囲内の所定のポジションにおけるポイントと交差する。
【0035】
特定の実施形態では、外側カラーの一部または全部を、バーナーユニットの外側本体によって形成することができる。
【0036】
より好ましくは、内側カラーの第2の端部は、中心軸線に垂直な平面と交差し、当該平面は、中心軸線に沿う所定のポジションにおけるポイントと交差し、当該平面は、スワールミキサーとスワールバーナーアセンブリの第2の端部との間に延在し、当該平面は、幾何学的な中間ポイントから下流にある複数のベーンの内径の半分以下の中心軸線に沿うポイントと交差する。
【0037】
より好ましくは、内側カラーの第1の端部(内側カラーの第1の端部のうちスワールバーナーアセンブリの第1の端部に最も近い部分)は、第1の燃料入口の下流および内側カラーの第2の端部の上流に配置される。
【0038】
好ましくは、内側カラーの外径は、外側カラーの内径よりも小さい。より好ましくは、内側カラーは、外側カラーの半径方向において内部に(すなわち半径方向内側に)配置される。
【0039】
特定の実施形態では、外側カラーは、バーナー壁の一部として形成され、壁に一体化される。このような実施形態では、外側カラーは、本体の第1の端部および/または第2の端部へ向けてさらに延在することができる。例えば、外側カラーは、バーナー壁から押出加工されるか、形状付けられるか、プレス加工されるか、または他の方法で形成されてもよい。同様に、内側カラーは、バーナー壁の一部として形成されてもよい。
【0040】
好ましくは、複数のベーンは外側カラー内に配置される。より好ましくは、複数のベーンは、外側カラーと内側カラーとの間において半径方向に延在する。好ましくは、外側カラーの内径は複数のベーンの外径に等しく、内側カラーの外径は複数のベーンの内径に等しい。
【0041】
いくつかの実施形態では、複数のベーンは、単一のカラーによって支持されるように、内側カラーまたは外側カラーのうちの単一のものから延在してもよく、このような実施形態では、複数のベーンの外径は、外側カラーの内径よりも小さくてもよく、あるいは複数のベーンの内径は、内側カラーの外径より大きくてもよい。
【0042】
当業者は、ベーンを、内側カラーの一部として、または外側カラーの一部として、あるいは内側および外側カラーの一部として、もしくは外側カラーの一部として製造することを理解されよう。外側カラーは、例えば、バーナーユニットの外側本体の一部として、バーナーユニットの一部である。
【0043】
カラーは、複数のベーンよりもさらに第2の容積部内に延在し得るため、バーナーの特性に影響を及ぼす可能性がある。
【0044】
2つ以上のバーナーユニットがある場合、好ましくは、各バーナーユニットは、そのバーナーユニットのためのバーナー壁の開口部を通って延在する内側カラーおよび外側カラーを有する。
【0045】
好ましくは、少なくとも1つのバーナーユニットは、第1の端部と、第2の端部と、内径および外径とを有する第1の燃料パイプを備える。好ましくは、第1の燃料パイプは、第1の燃料入口を画定する。好ましくは、第1の燃料パイプは、内側カラーの外径の半径方向内側に配置される。より好ましくは、第1の燃料パイプの外径は、内側カラーの外径に等しいかそれよりも小さい。
【0046】
好ましくは、少なくとも1つのバーナーユニットは、第1の端部、第2の端部、内径および外径を有する第2の燃料パイプを備える。好ましくは、第2の燃料パイプは第2の燃料入口を画定する。好ましくは、第2の燃料パイプは、複数のベーンの内径の半径方向内側に配置される。より好ましくは、第2の燃料パイプは、第1の燃料パイプの半径方向内側に設けられる。
【0047】
他の実施形態では、第2の燃料パイプは、本体からバーナーユニットまで半径方向内方に延在してもよい。より好ましくは、第2の燃料入口は、本体からバーナーユニットまで第2の容積部を通って延在する。
【0048】
好ましくは、第1および第2の燃料入口は、複数のベーンの内径の半径方向内側に配置される。
【0049】
好ましくは、第1および第2の燃料入口は、中心軸線にほぼ平行な軸線に沿って整列されているか、または中心軸線にほぼ平行な軸線に沿って独立して整列されている。
【0050】
好ましくは、複数のベーンの外径は、複数のベーンの内径よりも大きく、2倍から4倍、より好ましくは約3倍大きい。
【0051】
好ましくは、第1のポイントは、第1の端部に最も近い中心軸線に沿うポイントであり、このポイントにおいて中心軸線に直交する平面は、複数のベーンのうち複数のベーンに沿って流れる流体に角運動量を誘起するように構成された部分と交差する(すなわち所定のポイントにおいて複数のベーンと交差する)。そのため、その上を流れる流体に角運動量を誘起しない部分と湾曲部分とを有する複数のベーンを有するバーナーユニット(例えばそうしたベーンは、特に中心軸線に略平行な軸線の周りを半径方向に移動しない直線部分を有する)において、第1のポイントは湾曲部分の始点として考えられる。
【0052】
本発明が規定する範囲内で、HCV入口は第2の容積部へ向けられてもよく、またはLCV入口は第1の容積部へ向けられて位置決めされてもよい。このような再位置決めは、ある程度は燃焼に悪影響を及ぼさない、つまりスワールバーナーアセンブリはもはやその機能に影響しない。
【0053】
バーナー壁および第2の端部によって画定された第2の容積部は、炎管と称されてもよい。好ましくは、炎管は略円筒形のものであり、内径および外径を有しており、中心軸線を中心として配置される。より好ましくは、炎管の内径は、複数のベーンの外径の2〜3倍である。より好ましくは、炎管の内径は、複数のベーンの外径の2.5倍である。
【0054】
好ましくは、第1の燃料入口および第2の燃料入口の少なくとも一方がノズルである。少なくとも1つのノズルのそれぞれは、燃料入口において少なくとも1つのホールによって画定される。少なくとも1つのホールは、任意の形状とすることができる。少なくとも1つのホールの面積の合計は、単一の円形ホールの面積と等しい円直径を有する。少なくとも1つのホールの面積の合計は、流動面積とも称される。例えば第1の燃料入口流動面積または第2の燃料入口の流動面積、もしくは第1または第2の燃料入口の流動面積である。
【0055】
そうした入口は、第1または第2の燃料パイプ内のオリフィスであってもよい。入口は、第1または第2のパイプの第2の端部に配置する必要はなく、パイプに沿って配置することができる。第1または第2の燃料入口が複数の開口部を含む場合、燃料入口の位置は、好ましくは、中心軸線に沿った流動面積の加重平均の平均値であると定義される。
【0056】
好ましくは、スワールバーナーアセンブリは、点火装置を含む。好ましくは、点火装置は、第2の容積部に配置される。より好ましくは、点火装置は、第2の容積部から、本体の外側に延在する。より具体的には、点火装置は、第2の容積部から、本体から半径方向外側に延在することができる、すなわち第2の容積部から半径方向外向きに本体の外側に延在してもよい。より好ましくは、点火装置の点火端は、第2の容積部内に配置される。特定の実施形態では、点火装置は、本体の第2の端部を越えて配置される。特定の実施形態では、点火装置は、バーナー壁を通って、または本体の第2の端部の壁を通って延在する。
【0057】
好ましくは、バーナー壁は、少なくとも1つの空気分離開口部を有している(すなわち画定している)。空気分離開口部はバーナー壁の第1の容積部側から第2の容積部側に延在する少なくとも1つのホール(すなわちオリフィス)を含む。より好ましくは、少なくとも1つの空気分離開口部は、複数のベーンの外径に対して半径方向に同心である。より好ましくは、少なくとも1つの空気分離開口部は、同心円状に配置された連続ホールである。
【0058】
ホールとの用語が使用されるが、ホールは、第1の容積部から第2の容積部へと軸線方向に延びるバーナー壁のチャネルまたは開口部を実現する任意の形状または形状をとることができる。
【0059】
好ましくは、バーナー壁の少なくとも1つの空気分離開口部は、複数のベーンの外径の半径方向外側に位置決めされる。より好ましくは、バーナー壁の少なくとも1つの空気分離開口部は、本体の半径方向内側に位置決めされる。
【0060】
好ましくは、設けられる場合には、少なくとも1つの空気分離開口部は、酸化剤の流れの一部が、少なくとも1つのホールを通って第1の容積部から第2の容積部に流動できるようにする。
【0061】
より好ましくは、少なくとも1つの空気分離開口部は、少なくとも1つのバーナーユニットの複数のベーンの下流において酸化剤および燃料の混合物が少なくとも1つのバーナーユニットを通過するように、少なくとも1つの空気分離開口部を通る酸化剤流が第2の容積部内に集まる。
【0062】
バーナー壁の少なくとも1つの空気分離開口部は、スワールバーナーアセンブリの異なる動作をもたらす。スワールミキサーを通って第2の容積部に入るすべての酸化剤および燃料の代わりに、ある酸化剤は、燃料と事前に混合することなく第2の容積部に直接入ることができる。これは、バーナー壁の少なくとも1つの空気分離開口部を通る酸化剤の流れが、点火された燃料の周りのスワールバーナーアセンブリの第2の端部に酸化剤の流れを提供するという点において有利である。酸化剤のこの流れは、点火されたガスの熱から本体を部分的に離すバリア(「酸化剤カーテン」)を形成する。
【0063】
空気分離開口部がスワールミキサーから半径方向にさらに離れるよう位置決めされる実施形態では、これにより酸化剤の流れを本体に沿って方向付けることができ、それによって、より多くの層流をもたらし、点火されたガスの熱に耐えるより持続可能な境界状態を作り出す。
【0064】
好ましくは、スワールバーナーアセンブリ、特に少なくとも1つの空気分離開口部は、使用時に、少なくとも1つの空気分離開口部を通る酸化剤流が、スワールミキサーを通過する全酸化剤の流れの5%〜20%となるように適合されるか構成される。より好ましくは、スワールミキサーを通過した酸化物の流れの7.5%〜15%、より好ましくは8.75%〜12.5%である。
【0065】
特定の実施形態では、本体は、バーナー壁から第2の端部まで延在する単一壁を備える。単一壁は、本体の内面を画定して第2の容積部を画定する内面を有する。
【0066】
他の実施形態では、本体は、複数の壁を有する本体であり、複数の壁は、バーナー壁から第2の端部まで延在し、内壁が、本体の内面を画定して第2の容積部を画定し、内壁の外側に外壁が配置される。バーナー壁、内壁、外壁および第2の端部の間に第3の容積部が画定される。より詳細には、第3の容積部は、バーナー壁と、外壁の内面と、内壁の外面と、第2の端との間に画定される。
【0067】
好ましくは、バーナー壁は、第1の容積部と第3の容積部との間に少なくとも1つのバイパス開口部をさらに備える。そのため流体流路は、酸化剤入口から第1の容積部へ、そして少なくとも1つのバイパス開口部から第3の容積部へ画定される。
【0068】
酸化剤は、第3の容積部から、独立してまたは第2の容積部から排出される流体と一緒に排出されてもよい。例えば、第2の容積部および第3の容積部と流体連通している排出部(例えば、スワールバーナーの本体排出部)を設けることができる。あるいは、第2および第3の容積部とは別の排出部を設けてもよい。
【0069】
文脈において特に記載されない限り、本明細書において開口部とは、構成要素のホール、溝、開口または通路を示し、そうした用語は置き換え可能に使用される。各開口部は、ホール、チャネル、およびスロットからなるグループから独立的に選択された形状を有してもよい。開口部はそれぞれ、円形、楕円形、長円形、矩形、腎臓形(すなわち腎臓の形)、および準環形状(すなわち略環状)からなるグループから選択される断面形状を有することができる。
【0070】
好ましくは、バーナー壁の少なくとも1つのバイパス開口部は、中心軸線に関して同心状に配置されるか、または複数のベーンの外径に関して同心状に配置される。より好ましくは、少なくとも1つのバイパス開口部は、連続ホールまたは同心円状に配置された一連のホールである。
【0071】
好ましくは、設けられる場合、少なくとも1つのバイパス開口部は、所定の割合の酸化剤が、第2の容積部を通って流れることなく、第1の容積部から第2の端部に流動できるようにする。
【0072】
少なくとも1つのバイパス開口部および第3の容積部を通る第2の端部への流路は、所定の割合の入口酸化剤が少なくとも1つのバーナーユニットを迂回できるようにする。これによって、燃焼に悪影響を及ぼすことなく(すなわち、少なくとも1つのバーナーユニットにおけるラムダを許容範囲内に保つことなく)より大きな酸化剤の流れが第1の容積部を通過できるようにする。これは、スワールバーナーアセンブリがより広範のラムダ値にわたって作動できる点において大きな利点を提供する(ラムダ値は、第1の容積部へ向けて酸化剤入口を通る酸化剤の流れと、第1および第2の燃料入口を通る燃料の流れとに基づいて計算される)。
【0073】
好ましくは、各第1燃料入口はHCV燃料源と流体連通している。好ましくは、各第2燃料入口は、LCV燃料源と流体連通している。
【0074】
好ましくは、スワールバーナーアセンブリは、燃料電池システム用のバーナーである。より好ましくは、スワールバーナーアセンブリは、テールガスバーナーであり、テールガスバーナーは、燃料電池スタックからアノードおよびカソードオフガスを燃焼させるのに適したバーナーである。
【0075】
好ましくは、スワールバーナーアセンブリは、燃料電池アセンブリまたはシステム、より好ましくは固体酸化物形燃料電池システム、より好ましくは中間温度固体酸化物形燃料電池システムと一体化されている。
【0076】
好ましくは、スワールバーナーアセンブリは、燃料電池システム、より好ましくは燃料電池システムの燃料電池スタックと流体連通している。好ましくは、酸化剤入口は酸化剤源と流体連通している。より好ましくは、酸化剤入口は、少なくとも1つの燃料電池スタックのカソードオフガス出口と流体連通している。好ましくは、少なくとも1つのバーナーユニットは、少なくとも1つの燃料電池スタックのアノードオフガス出口と流体連通している。より好ましくは、少なくとも1つのバーナーユニットの第1の燃料入口は、燃料電池システムのための少なくとも1つの燃料源と流体連通している。好ましくは、少なくとも1つのバーナーユニットの第2の燃料入口は、少なくとも1つの燃料電池スタックのアノードオフガス出口と流体連通している。
【0077】
好ましくは、燃料電池システムは固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムである。より好ましくは、燃料電池システムは、中間温度個体酸化物燃料電池(IT−SOFC)システムである。
【0078】
スワールバーナーアセンブリは、当該技術分野において知られている材料、例えば、パイプおよび壁のための金属合金およびチューブのためのガラスから形成されてもよい。高温のために、材料は高温耐性を有していなければならない。
【0079】
また、本発明によれば、本発明に基づくスワールバーナーアセンブリを操作する方法が提供される。この方法は、
(i)酸化剤入口に酸化剤を供給するステップと、
(ii)HCV燃料の少なくとも1つを含む燃料を第1の燃料入口に供給し、LCV燃料を第2の燃料入口に供給するステップと、
(iii)第2の容積部で燃料を燃焼させるステップと、を含む。
【0080】
好ましくは、HCV燃料がHCV燃料入口に供給されるとき、酸化剤およびHCV燃料の流れは、第1の燃料入口とスワールミキサーとの間の第1の容積部内に集まり、LCV燃料がLCV燃料入口に供給されるとき、酸化剤とLCV燃料の流れは、スワールミキサーと第2の端部との間の第2の容積部に集まる。
【0081】
上述のように、好ましくは、HCV燃料は、メタン、エタンまたはプロパンまたはそれらの任意の組合せを含む燃料である。より好ましくは、HCV燃料は、36〜85MJ/m
3のウォッベ指数を有する燃料であると考えられる。典型的なHCV燃料は天然ガスであり、天然ガスのウォッベ指数は48〜54MJ/m
3である。
【0082】
好ましくは、LCV燃料は、H
2、COまたはCO
2の高い割合を有する燃料である。より好ましくは、LCV燃料のウォッベ指数は、典型的には18〜35MJ/m
3、より好ましくは22〜26.53MJ/m
3である。
【0083】
好ましくは、酸化剤は、空気または運転中の燃料電池からのカソードオフガスである(このような酸化剤は、空気と比較して部分的に酸素が欠失している)。より好ましくは、酸化剤は、運転中の固体酸化物形燃料電池からのカソードオフガス、より好ましくは、運転中の中間温度固体酸化物形燃料電池からのカソードオフガスである。
【0084】
LCV燃料は、HCV燃料などの炭化水素燃料の改質によって形成することができ、改質プロセスは、空気または蒸気などの酸化剤による処理を含むことができる。LCVは、スワールバーナーアセンブリに入る前に燃料電池内で電気化学反応を起こしてもよい。SOFC燃料電池スタックのアノードオフガスは、LCV燃料であると考えることができる。
【0085】
好ましくは、炭化水素燃料の改質は、燃料電池システムでなされる。より好ましくは、スワールバーナーアセンブリは、燃料電池システムと一体であり、燃料電池システムによって生成されたアノードを燃焼させる。
【0086】
好ましくは、HCV燃料および/またはLCV燃料は、点火装置によって第2の容積部で点火または燃焼される。より好ましくは、点火は、複数のベーンの下流で行われる。好ましくは、第2の容積部内で燃料を燃焼させるステップは、第2の容積部内で燃料を点火して燃焼させるステップを含む。
【0087】
好ましくは、第1の容積部および第2の容積部の少なくとも1つは、シールされたまたは密閉された容積部である。より好ましくは、バーナーユニットは、本体の開口部から外側に延在するときにシールを形成する。
【0088】
好ましくは、燃焼されたガス、本体の第2の端部(すなわち下流端部)を通って第2の容積部から流出するかまたは排出される。
【0089】
バーナー壁が第1の容積部を第2の容積部から分離するという事実によって、燃料の燃焼を第2の容積部で発生させかつ第2の容積部に限定することが可能となる。これは、燃焼の前にスワールバーナーアセンブリの特定の部分においてさまざまな燃料の混合を制御できるようにする。これにより、酸化剤およびHCV燃料がすべて炎管に到達するように複数のベーンを通過しなければならないためにかつバーナー壁にはバイパスもホールもないため、さまざまな混合量およびさまざまな混合度が実現可能となる。
【0090】
酸化剤およびHCV燃料は、複数のベーンを通って流れ、第2の容積部に流入する。炎管に入る前に酸化剤流およびHCV燃料流が集まることで、2つの流れの混合を引き起こされる。複数のベーンを通る流れは、燃焼が限定される炎管のさらに前に、2つの流れをさらに混合させる。
【0091】
第2の容積部で酸化剤と燃料との混合物が燃焼され、この燃焼による生成物がスワールバーナーアセンブリから排出される。好ましくは、このプロセスから生成された熱は、燃料電池スタックおよび燃料電池システムを加熱するために使用される。
【0092】
好ましくは、酸化剤および少なくとも1つのHCV燃料およびLCV燃料の流れは、スワールバーナーアセンブリへのガス流の燃料に対する酸化剤の比率(ラムダ)が1〜20ラムダ、より好ましくは1〜18ラムダ、より好ましくは1〜10ラムダ、または2〜18ラムダとなるようになされる。より好ましくは、スワールバーナーが(LCV燃料を伴わずに)酸化剤およびHCV燃料の流れを有するとき、スワールバーナーアセンブリは、5ラムダ未満の酸化剤対燃料比で動作する。
【0093】
ラムダの関連する測定値は、バーナー入口、すなわち酸化剤入口とHCV入口とLCV入口とにおけるものである。
【0094】
スワールバーナーアセンブリが燃料電池システムと一体である実施形態では、スワールバーナーアセンブリへの酸化剤の流れおよびある程度のLCVの流れが燃料電池スタックによって影響されかつ電流がそこに引き出されるため、スワールバーナーアセンブリは、広範なラムダ範囲にわたって動作することができる点で有利となる。このように、スワールバーナーアセンブリが安定燃焼を維持する大きなラムダ動作範囲は、
(a)酸化剤の流れを制限することによって、スワールバーナーアセンブリが酸化剤流が燃料電池スタックの動作に影響を受けるのを防止し、かつ/または、
(b)すべてのカソードオフガスおよびアノードオフガスをスワールバーナーアセンブリに流れることを可能にする。
【0095】
好ましくは、少なくとも1つのバイパス開口部および/または少なくとも1つの空気分離開口部は、スワールバーナーアセンブリに供給される酸化剤および燃料(第1および第2の燃料入口を通過する燃料)のラムダ範囲を2倍にするように適応される。
【0096】
好ましくは、少なくとも1つのバイパス開口部および/または少なくとも1つの空気分離開口部は、2〜18ラムダの酸化剤対燃料比でスワールバーナーに供給される酸化剤および燃料の流れの結果に適応される。
【0097】
第1の燃料入口または第2の燃料入口の少なくとも1つのノズルの円相当径は、第1の燃料入口または第2の燃料入口を通る際に要求される速度によって規定されてもよい。好ましくは、少なくとも1つのバーナーユニットの第1の燃料入口を通るHCV燃料の速度は3〜6m/sである。より好ましくは、少なくとも1つのバーナーユニットの第2の燃料入口を通るLCV燃料の速度は10〜35m/sである。
【0098】
本明細書において構成要素を含むことを特定するために使用される「備える」との用語は、さらなる構成が存在しない実施形態も含む。
【0099】
本発明の特定の好ましい態様は、特許請求の範囲に記載の独立項に記載されている。従属請求項の特徴は、必要ならば独立請求項の特徴と組み合わせることができ、特許請求の範囲に明確に記載されているものだけでなく適切に組み合わせられる。