(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、稼働中の排水処理装置の殆どは膨大なばっ気エネルギーを消費し、除去する有機物の30〜40%もの余剰汚泥という産業廃棄物を排出している。
【0006】
また、嫌気性微生物担体プロセスと好気性微生物担体プロセスを組合せた処理装置の場合においても、除去する有機物の10%〜20%もの余剰汚泥という産業廃棄物を排出している。
【0007】
また、これまでの生物膜処理法では、微生物膜の増殖により水流の短絡やろ過閉塞が発生するので、定期的にばっ気強度を高めて空気水流によるろ床の逆洗工程と肥大した生物膜をばっ気強度を上げて洗い落とす工程が必要となる。しかし、従来の微生物担体では、逆洗時に繊維に大きな引張力やせん断力が働き、損耗し易くなるという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、高濃度の有機性排水の処理に適用した場合でも余剰汚泥の発生を抑制し、長期にわたって安定な排水処理を可能にする排水処理担体モジュール、排水処理担体ユニット及び排水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、第1の発明の排水処理担体
モジュールは、
複数の排水処理担体を並列配置してなる排水処理担体モジュールであって、前記複数の排水処理担体が、芯部と微生物保持部からなる排水処理担体であって、前記微生物保持部が
親水性の繊維からなる多重糸を多段かつループ状に形成しているとともに排水中において前記多重糸の繊維が相互に離間できるように弛緩状態に形成されている排水処理担体
と、芯部と微生物保持部からなる排水処理担体であって、前記微生物保持部が疎水性の繊維からなる多重糸を多段かつループ状に形成しているとともに排水中において前記多重糸の繊維が相互に離間できるように弛緩状態に形成されている排水処理担体とを交互に並列配置して形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
第2の発明の排水処理担体
モジュールは、前記第1の発明担体
モジュールであって、前記多重糸が多撚多重糸であることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の排水処理担体ユニットは、前記第
1の発明又は第
2の発明の排水処理担体モジュールを複数並列配置し、その下部に散気装置を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の排水処理装置は、処理槽内に前記第
1又は第
2の発明の排水処理担体モジュールを備えた排水処理装置であって、前記処理槽内の前記排水処理担体モジュールの下部に散気装置を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る排水処理担体は、微生物保持部が複数の繊維からなる多重糸を多段かつループ状に形成しているとともに排水中において前記多重糸の繊維が相互に離間できるように弛緩状態に形成されているものであり、排水処理槽内を流れる排水流に対して適度なせん断強度を有しつつ、表面積の大きい多重糸どうしが絡み合った花の咲いたような空間率の高いフィルター層が形成される。
【0020】
この結果、本発明の排水処理担体を用いた排水処理装置では、担体のろ過閉塞が起こりにくく、微生物層への溶存酸素も安定して供給される。
【0021】
また、従来の排水処理装置に比べて余剰汚泥の発生が80%以上抑制される。
親水性繊維と疎水性繊維を組合せた排水処理担
体或いは排水処理モジュール(第
1の発明)を使用した場合、汚泥抑制効果は
より一層高いものとなる。
【0022】
親水性繊維には、水溶化した排水中の有機物質が付着しやすく、微生物も付着増殖しやすい。疎水性繊維には、排水中の油脂分や界面活性剤等難分解性有機物が付着しやすい。
【0023】
このことから、親水性繊維と疎水性繊維を組合せた相乗効果によって有機物の付着性が飛躍的に向上するとともに、微生物の食物連鎖が持続することになる。この結果、処理水質の安定維持継続が可能となり、汚泥の発生が抑制できる。
【0024】
この発明でいう親水性繊維とは、水に濡れやすい親水基(水酸基)を持った繊維であり、例えば、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ビニロン、炭素繊維、プロミックス、アセテート、麻、綿、レーヨン、絹、ウール等がある。常温から高温域(10℃〜60℃)で使用する場合には、ナイロン、ビニロンが望ましく、寒冷使用(10℃以下)では、アクリル、炭素繊維が望ましい。
【0025】
この発明でいう疎水性繊維とは、水に濡れ難くい親和基(炭化水素基)を持った繊維であり、例えば、ビニリデン、ポリ塩化ビニール、オレフィン系のポリプロピレン、ポリエチレン、鉄類金属繊維等がある。
【0026】
このうち、ビニリデン、ポリ塩化ビニールは、使用環境によらず最も適している。
【0027】
本発明に係る多重糸は複数の繊維の集合体であるため、単位長さ当たりの表面積が大きい。この結果、微生物総量を大きくできる効果が得られている。
【0028】
本発明に係る排水処理担体モジュール又は排水処理担体ユニットは、既設の排水処理層に設置可能であるため、既設の活性汚泥処理装置等を好気性排水処理層に改造できる。しかも、担体のろ過閉塞が起こり難いため、供給する空気量を制御することで、好気性処理機能とともに通性嫌気性処理機能をも発揮することが可能である。したがって、別途嫌気性処理プロセスが不要であり、コンパクトに改造可能である。
【0029】
これにより、従来の排水処理装置の嫌気性処理プロセスの省略と余剰汚泥の制御抑制そして処理水質の安定維持継続が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係る排水処理担体の構造を示す模式図。
【
図2】本発明に係る排水処理螺旋担体の構造を示す模式図。
【
図3】本発明に係る多重糸を示す模式図で、(a)は展張状態の模式図、(b)は弛緩状態の模式図、(c)は(a)の斜視図、(d)は(b)の斜視図。
【
図4】本発明に係る親水性及び疎水性繊維の混合多重糸を示す模式図で、(a)は展張状態の模式図、(b)は弛緩状態の模式図。
【
図5】本発明に係る多撚多重糸を示す模式図で、(a)は展張状態の模式図、(b)は弛緩状態の模式図。
【
図6】本発明に係る親水性及び疎水性繊維の混合多撚多重糸を示す模式図で、(a)は展張状態の模式図、(b)は弛緩状態の模式図。
【
図7】本発明に係る排水処理担体モジュールの構造を示す模式図。
【
図8】本発明に係る親水性排水処理担体と疎水性排水処理担体を並列に配置した排水処理担体モジュールの構造を示す模式図。
【
図9】本発明に係る排水処理担体ユニットの構造を示す模式図。
【
図10】本発明に係る排水処理担体ユニットを排水処理装置に設置した状態を示す模式図。
【
図12】本発明に係る排水処理装置の全体を示す模式図
【
図13】(a)は本発明に係る排水処理装置による排水処理試験結果を示す表、(b)は既設(従来)排水処理装置による排水処理試験結果を示す表
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に本発明に係る排水処理担体1の構造を模式的に示す。
【0032】
この排水処理担体1は、芯部2と微生物保持部3からなる。前記微生物保持部3は、多重糸5を多段かつループ状に形成したものである。
【0033】
前記芯部2は、前記微生物保持部3を支える幹の役割を果たすものである。材質等は特に拘らないが、本実施例では、多重糸5を芯部2の長手方向に傾斜して進むように編み込んで形成されたものであり、前記微生物保持部3に比べて高密度に編み込まれて担体強度を維持している。また、芯部2においては、芯部2の長手方向に伸びる帯部材に多重糸5を編み込むようにして形成してもよい。
【0034】
芯部2の幅dは、担体の強度を支えるために8mm以上であることが望ましい。また、幅dが大きくなり過ぎると担体全体としての微生物保持率が下がるため、20mm以下であることが望ましい。より望ましくは10mm〜12mmの範囲である。
【0035】
前記微生物保持部3の微生物増殖生産能力を高めるには、前記微生物保持部3の幅は大きい方が望ましいが、大きくなりすぎると微生物保持部のせん断強度が低下する。したがって、排水浄化能力の安定持続維持のため、微生物担体保持部3の幅D
1は、60mm以上、100mm以下であることが望ましい。より望ましくは70mm〜80mmの範囲である。
【0036】
前記微生物保持部3は、複数の繊維からなる多重糸5を多段かつループ状に形成しているとともに排水中において前記多重糸5の繊維が相互に離間できるように弛緩状態に形成されているものである。
図1及び
図2において、多重糸5を実線の輪郭をぼかした状態で図示している。
【0037】
図2に示した排水処理螺旋担体1’は、前記の排水処理担体1の芯部2を撚り螺旋形にしたものである。
【0038】
この排水処理螺旋担体1’の径D
2は、60mm〜100mmであることが望ましく、より望ましくは70mm〜80mmの範囲である。螺旋のピッチpも60mm〜100mmの範囲が望ましい。
【0039】
この排水処理螺旋担体1’の場合、微生物保持部3は、複数の繊維からなる多重糸5を多段かつループ状に形成しているとともに排水中において各多重糸5の繊維が相互に離間できるように弛緩状態に形成されており、更に螺旋状に撚られるので、ループ状の多重糸5が360度に亘って周方向に所定間隔を保持して配置されるとともに、排水中において各多重糸5の繊維が相互に離間できるものとなるので、比表面積が大きく、空間率が大きく、排水流の通水抵抗が少なく槽内に均一な流速が生じやすいため、浮遊物の捕捉性が高くなる。
【0040】
図3〜
図6は、本発明に係る代表的な多重糸の構造を模式的に示したものである。
図3は、多数の繊維4を束ねた状態の多重糸5を示している。この多重糸5は、(a)及び(c)に示すように長手方向に展張させた展張状態においては各繊維4が密着するものとなるが、(b)及び(d)に示すように長手方向に弛緩させた弛緩状態においては各繊維4が離間できるので径方向に広がってふんわりとした風合いを呈するものとなる。
図4は、実線で示す親水性繊維6と鎖線で示す疎水性繊維7との混合多重糸8を示している。この多重糸8は、(a)に示すように長手方向に展張させた展張状態においては各親水性繊維6と疎水性繊維7とが密着するものとなるが、(b)に示すように長手方向に弛緩させた弛緩状態においては各親水性繊維6と疎水性繊維7とが離間できるので径方向に広がってふんわりとした風合いを呈するものとなる。
図5は、多数の繊維4を束ねた状態の多重糸5をゆるく撚った多撚多重糸9を示している。この多撚多重糸9は、(a)に示すように長手方向に展張させた展張状態においては各繊維4が密着するものとなるが、(b)に示すように長手方向に弛緩させた弛緩状態においては各繊維4が離間できるので径方向に広がってふんわりとした風合いを呈するものとなる。
図6は、混合多重糸8をゆるく撚った親水性及び疎水性繊維の混合多撚多重糸10を示している。この混合多撚多重糸10は、(a)に示すように長手方向に展張させた展張状態においては各親水性繊維6と疎水性繊維7とが密着するものとなるが、(b)に示すように長手方向に弛緩させた弛緩状態においては各親水性繊維6と疎水性繊維7とが離間できるので径方向に広がってふんわりとした風合いを呈するものとなる。本発明に係る多重糸5、8、9、10は、単位長さ当たりの表面積が大きいという特徴をもつものである。表面積維持と繊維強度とのバランスから、多重糸5、8、9、10を構成する一本の繊維は、直径0.003mm〜0.1mmであることが望ましく、より望ましくは0.01mm〜0.06mmである。なお、多重糸5、8、9、10を形成する繊維の本数は、担体サイズや必要強度等に合わせて適宜選択すればよいが、50本〜200本が適している。混合多重糸8の場合、親水性繊維6と疎水性繊維7の割合は、2対8〜8対2であることが望ましい。
【0041】
なお、本発明の多撚多重糸9と似て非なる物として多燃多条糸という多数の繊維をきつく撚った多数の条糸を複数束ねて更にきつく撚った多燃多条糸があるが、この構成の多燃多条糸においては排水中においても繊維が相互に離間するものとならず、本発明の作用効果を発揮できないものである。
【0042】
図7に本発明に係る排水処理担体モジュール11の構造を模式的に示す。
【0043】
この担体モジュール11は、上下に配置するループ状の担体固定キャンバス12に複数の排水処理螺旋担体1’を並列させて両端部を縫製部14において縫製して固定したものである。各排水処理螺旋担体1’間の距離は、排水処理螺旋担体1’の径D
2と同等以上であればよい。ループ状の担体固定キャンバス12の両端部にはそれぞれ担体モジュール固定ひも13を固着して作業に供するとよい。
【0044】
前記排水処理螺旋担体1’を構成する多重糸は、
図3〜
図6に示した何れのものを使用しても構わない。
【0045】
排水処理浄化条件等の使用目的に合った排水処理担体を選定することができる。
【0046】
図8には、親水性の繊維の多重糸からなる排水処理螺旋担体15(白丸部参照)と疎水性の繊維の多重糸からなる排水処理螺旋担体16(黒丸部参照)を交互に並列配置した排水処理担体交互モジュール11’の例を示した。
【0047】
図9に、本発明に係る排水処理担体ユニット17の構造を模式的に示す。
【0048】
この排水処理担体ユニット17は、排水処理担体モジュール11の上下の担体固定キャンバス12にそれぞれ担体モジュール固定バー18を通して担体モジュール固定格子体19に複数並列に配置し、固定した構造になっている。この際、キャンパス12の両端部に固定した担体モジュール固定ひも13を担体モジュール固定格子体19側に結びつけて、キャンパス12を長手方向に展張させた状態に固定するとよい。上下の担体モジュール固定バー18の間隔を調整して、排水処理担体モジュール11の長手方向の展張張力を排水処理状況に応じて可変調整するとよい。
【0049】
前記担体モジュール固定格子体19の下部には、散気装置固定格子体20を配置し、散気装置21を備えている。
【0050】
また、排水処理担体モジュール11は、担体モジュール11と担体モジュール11との間隔(担体モジュールピッチ)p
mは、70mm〜100mmが望ましい。
【0051】
図10に本発明に係る排水処理担体ユニット17を排水処理槽23に設置した排水処理装置22の構造を模式的に示す。
【0052】
このように、前記排水処理ユニット17を既設の排水処理槽23内に設置してそのまま排水処理装置22として適用することができる。
【0053】
一方、既設の排水処理槽23に散気装置21が既に備わっている場合や装置全体を新設する場合の工事事情によっては散気装置21と別体で排水処理担体モジュール11を設置することもできる。
【0054】
使用する排水処理担体1’の本数は、排水処理槽23のサイズや排水処理量、処理条件に応じて決定すればよい。排水処理槽23の容量に対して50%程度の担体充填率が望ましい。
【実施例】
【0055】
図11に従来の排水処理装置26の構造と排水処理フローを模式的に示す。従来の排水処理装置26の一般的な生物処理の実施例では、原水槽27に入水した原水24は、ポンプPによって排水処理槽23に投入され、ブロワーBから送られるエアー28でばっ気処理される構成になっている。
【0056】
そして、固液分離槽29で汚泥30と処理水25に分離され、処理水25は放流される。また、分離された汚泥30は、汚泥返送路31により排水処理槽23に戻されるとともに、余剰汚泥32として引き抜かれ、産業廃棄物として多額のコストを投じて処理・処分されている。
【0057】
この従来の排水処理装置26の生物処理では、除去有機物量の余剰汚泥量が30%〜40%発生し、引き抜いて脱水等して処理・処分する必要が生じているため、莫大な処理・処分費が生じている。
【0058】
図12に本発明に係る排水処理装置33の構造を模式的に示す。
【0059】
本発明に係る排水処理装置33は、
図7に示した排水処理担体モジュール11又は
図8に示した排水処理担体交互モジュール11’を備えた排水処理担体ユニット17を従来の排水処理装置26の散気装置を取り払った排水処理槽23内に配置した構成になっている。
【0060】
なお、排水処理担体ユニット17の増設を必用とする場合は、設置数に制限はなく、従来の排水処理装置26の排水処理槽23の大きさに適宜合わせて設置できる。
【0061】
図13の上の表(a)に、
図11に示す従来の既設の排水処理装置26を改善して
図12に示す本発明装置33とした場合の本発明装置33を用いた排水処理試験結果を示す。
【0062】
この試験で用いた排水処理担体は、親水性・疎水性混合多撚多重糸10を使用した排水処理螺旋担体1’に相当のものである。
【0063】
ここで用いた親水性繊維6は、ナイロンであり、繊維径は0.03mm、繊維本数は98本である。
【0064】
同じく、疎水性繊維7は、ビニリデンであり、繊維径は0.06mm、繊維本数は42本である。それぞれの比率は、繊維径で1:2、繊維本数で7:3の仕様としたものである。担体の径D
2は70mm、螺旋のピッチpは70mm、螺旋担体間ピッチp
cは80mmである。そして、担体モジュール間のピッチp
mは80mmで、排水処理槽23に対する担体充填率は50%である。
【0065】
図13の下の表(b)に、
図11に示す既設(従来)の排水処理装置26を用いた排水処理試験結果を示す。本発明装置の実験No.1、3、5、7、9、11と同等の条件で実験した。なお、下の表(b)中の余剰汚泥引抜量(換算値)は、既設(従来)の排水処理装置26においては、実際には汚泥が堆積しないで全量排出されるので、1日の流入原水量に対する汚泥転換率30%として換算した値である。
【0066】
このときの排水処理条件は以下の通りである。
原 水 :乳製品加工排水
計画処理水量:650m
3/日
計画原水水質:BOD800mg/l、SS(浮遊懸濁物質)250mg/l、H−N(ノルマルヘキサン抽出物質)200mg/l
計画処理水質:BOD15mg/l、SS(浮遊懸濁物質)25mg/l以下、N−H(ノルマルヘキサン抽出物質)5mg/l以下
HRT(:水理学的滞留時間):24時間処理
【0067】
図13における各データの河川放流規制値は、「BOD20mg/l以下」、「SS25mg/l以下」、「N−H(動植物油脂類)5mg/l以下(現行の最も厳しい規制値)、N−H(鉱油類)3mg/l以下(現行の最も厳しい規制値)」である。
【0068】
ここで表(a)における本発明に係る排水処理装置33の実証試験結果は、実験No.1〜12のデータより、処理水においては各値が「BOD6.3mg/l以下」、「SS12mg/l以下」、「H−N3mg/l以下」となっていて、処理水質は各データがそれぞれ前記河川放流規制値より低く、極めて優れていることがわかった。
【0069】
そして、余剰汚泥についても発生しなかった。
【0070】
一方、表(b)における既設(従来)排水処理装置26の実証試験結果は、実験No.1、3、5、7、9、11のデータより、処理水においては各値が「BOD21.5mg/l以上」、「SS10.2mg/l以上」、「H−N11.4mg/l以上」となっていて、処理水質は各データがそれぞれ前記河川放流規制値より高く、河川に放流することができないという不都合があった。
【0071】
そして、余剰汚泥についても最少量(換算値)においても3.9トン/日発生してしまうという不都合があった。この多量な引抜余剰汚泥は固液分離槽29において沈降分離することなく、ほとんどの量が流出放流されてしまうという不都合もあった。
【0072】
従って、本発明によれば、従来例に比較して極めて優れている作用効果が発揮されることがわかる。