特許第6641389号(P6641389)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641389
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】自動車用水溶性塗料組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 151/00 20060101AFI20200127BHJP
   C09D 167/00 20060101ALI20200127BHJP
   C09D 175/14 20060101ALI20200127BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20200127BHJP
【FI】
   C09D151/00
   C09D167/00
   C09D175/14
   C09D7/65
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-562272(P2017-562272)
(86)(22)【出願日】2016年6月2日
(65)【公表番号】特表2018-524424(P2018-524424A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】KR2016005849
(87)【国際公開番号】WO2016195390
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2017年12月18日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0078704
(32)【優先日】2015年6月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507310879
【氏名又は名称】ケーシーシー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スヨン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンジュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】スンミン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ソジン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンホ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ボンイ・リ
【審査官】 井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−516768(JP,A)
【文献】 特開2014−210225(JP,A)
【文献】 特開2007−297545(JP,A)
【文献】 特表2011−525415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア/シェルマイクロゲル樹脂、ダイマー変性ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂、硬化剤、顔料及び水を含み、
前記コア/シェルマイクロゲル樹脂の含量が塗料組成物100重量%を基準に5から40重量%であり、
前記ダイマー変性ポリエステル樹脂の含量が塗料組成物100重量%を基準に1から10重量%であり、
前記コア及びシェル成分は、それぞれ独立して、アクリル酸、メタクリル酸、炭素数1から8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数1から4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物、少なくとも一つ以上の水酸基を含む炭素数5から8のアルキル基を有するヒドロキシアルキルアクリレート、及び少なくとも一つ以上の水酸基を含む炭素数5から8のアルキル基を有するヒドロキシアルキルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも一つの不飽和単量体を含む、自動車用水溶性塗料組成物。
【請求項2】
コア/シェルマイクロゲル樹脂が、樹脂の総重量を基準に、30から70%の固形分含量、5から60mgKOH/gの酸価、-15から20℃のガラス転移温度及び50から200nmの粒子サイズを有するものである、請求項1に記載の自動車用水溶性塗料組成物。
【請求項3】
ダイマー変性ポリエステル樹脂が、ダイマー酸を含むジカルボン酸成分と、ダイマー酸の還元ジオールを含む多価アルコール成分とを縮重合反応させて得られるポリエステル樹脂である、請求項1に記載の自動車用水溶性塗料組成物。
【請求項4】
ダイマー変性ポリエステル樹脂が、樹脂の総重量を基準に、60から90%の固形分含量、5から40mgKOH/gの酸価、1,000から4,000の数平均分子量及び-40から-20℃のガラス転移温度を有するものである、請求項1に記載の自動車用水溶性塗料組成物。
【請求項5】
(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂が、ポリオールとイソシアネートの反応生成物であるウレタンプレポリマーを一つ以上の(メト)アクリレートと反応させて得られる変性ポリウレタン樹脂である、請求項1に記載の自動車用水溶性塗料組成物。
【請求項6】
(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂が、樹脂の総重量を基準に、30から60%の固形分含量、8,000から100,000の数平均分子量、15から35mgKOH/gの酸価及び50から200nmの粒子サイズを有するものである、請求項1に記載の自動車用水溶性塗料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用水溶性塗料組成物に関し、より詳しくは、耐チッピング性及び外観に優れた自動車用水溶性塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、地球環境の保護のための揮発性有機化合物(VOCs)の規制が強化されており、これに対応するための水溶性塗料の開発が活発に進められている。特に塗料が水系に切り替わると溶剤低減の効果が大きい自動車塗装用エフェクト(effect)顔料(アルミニウム、マイカーなど)含有の塗料の場合は、先進の自動車会社を中心に急速に既存の溶剤型塗料を取り替えて行っている実情である。
【0003】
最近は、自動車製造会社等が環境に一層優しいながらも経済的な塗装システムを好んでおり、これに対する対応として多様な塗装システムが開発されてきた。例えば、韓国登録特許第10-0484060号には低温硬化及びハイソリッド水溶性塗料組成物が開示されており、この塗料組成物は低温で硬化され、ハイソリッド(High solid)であるとともに塗膜に高い耐衝撃性を与えるものであって、ベーク温度を低めて固形分を高めることで工程費用及びエネルギーを節減するという効果を奏する。さらに、韓国登録特許第10-0665882号に開示されている水溶性多層塗装方法は、一般に『水溶性3C1B(3Coat1Bake)塗装システム』と呼ばれる塗装技法であって、中塗り及び上塗りベースコート部分を水溶性化することにより、揮発性有機化合物の使用を最小化して環境に優しく、3C2B塗装システムで必ず必要とされる中塗り焼付工程(140から150℃で20から30分間完全硬化)を除くことができるので、非常に経済的である。
【0004】
現在自動車業界に紹介されている環境配慮型塗装工程の短縮工法には、中塗りオーブン工程を省略する水溶性3C1B工法(3Coat1Bake)と、中塗り塗装工程自体を省略する水溶性中塗りレス工法(Primer less)とがある。
【0005】
ところが、水溶性3C1B工法の場合、中塗り塗装工程用の中塗り塗装ブースと中塗り塗料の乾燥用の中間乾燥炉のための設置空間と設置費用を依然として要するという欠点がある。
【0006】
水溶性中塗りレス塗装工法では、第1ベースコートの塗装後に第2ベースコートがウェット・オン・ウェット(Wet-on-wet)で塗装され、50から80℃の温度で2から7分間熱風乾燥の過程を経た後、クリアコートが塗装される。このような中塗りレス工法は、費用節減の側面において自動車業界で最近最も好まれる工法ではあるが、既存の塗装システムから単に中塗り塗装工程を省略する場合、紫外線による電着塗膜の破壊で塗膜の剥離が発生することがあり、耐チッピング性、相互付着性などが劣悪になり得る。
【0007】
したがって、最近自動車業界で好まれている工法である水溶性中塗りレス塗装工法に適用可能であり、既存の工法に比べて同等以上の外観と物性品質を最終の塗膜に提供することができる自動車用水溶性塗料組成物の開発が要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0484060号
【特許文献2】韓国登録特許第10-0665882号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、水溶性中塗りレス塗装工法に適用可能であり、塗装の後、プレヒートを行うことなくウェット・オン・ウェットで塗装しても、未硬化塗膜とベース塗膜が互いに混じることなく平滑性に優れ、耐水性、耐チッピング性及び外観に優れた塗膜を形成することができる自動車用水溶性塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る自動車用水溶性塗料組成物は、コア/シェルマイクロゲル樹脂、ダイマー-変性ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂、硬化剤、顔料及び水を含み、ここで前記ダイマー-変性ポリエステル樹脂の含量は、塗料組成物100重量%を基準に1から10重量%である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る水溶性塗料組成物を用いて自動車を塗装すれば、空調とオーブンを削除することができるので、塗装工程でのエネルギー節減、CO2発生の低減、塗装設備及び維持費用の節減、並びに塗装ラインの空間の節約がされるとともに、平滑性、耐水性、耐チッピング性及び外観に優れた塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本明細書において、用語『(メタ)アクリル』は、アクリル及びメタクリルを全て含む概念である。
【0013】
本発明の塗料組成物に含まれるコア/シェルマイクロゲル樹脂は、塗膜の外観、層間浸透防止性、レベリング性、湿潤性、付着性、耐水性などの全般的な物性に関与する成分である。
【0014】
前記コア/シェルマイクロゲル樹脂において、コア/シェルマイクロゲル樹脂の総重量を基準に、コアを形成する不飽和単量体20から80重量%、シェルを形成する不飽和単量体20から80重量%を含んで形成されてよく、その他、架橋剤、開始剤、乳化剤などをさらに含んで形成されてよい。
【0015】
コアのための成分は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、炭素数1から8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数1から4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物;少なくとも一つ以上の水酸基を含む炭素数5から8のアルキル基を有するヒドロキシアルキルアクリレート及びヒドロキシアルキルメタクリレートからなる群より少なくとも一つ以上選択される不飽和単量体であってよい。不飽和単量体は、好ましく、スチレン、ビニルトルエン、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸及び2-エチルヘキシルメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリアリールイソシアヌレートからなる群より少なくとも一つ選択されてよい。
【0016】
シェルのための成分は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、炭素数1から8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数1から4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物、少なくとも一つ以上の水酸基を含む炭素数5から8のアルキル基を有するヒドロキシアルキルアクリレート及びヒドロキシアルキルメタクリレートからなる群より少なくとも一つ以上選択される不飽和単量体であってよい。前記不飽和単量体は、好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、スチレン、ビニルトルエン、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリールメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートからなる群より少なくとも一つ選択されてよい。
【0017】
前記コア/シェルマイクロゲル樹脂には、例えば、樹脂の総重量を基準に、30から70%の固形分含量、5から60mgKOH/gの酸価、-15から20℃のガラス転移温度及び50から200nmの粒子サイズを有するものを用いることができる。
【0018】
本発明の塗料組成物に含まれる前記コア/シェルマイクロゲル樹脂の量は、例えば、塗料組成物100重量%を基準に5から40重量%であってよく、より具体的には、10から35重量%または20から30重量%であってよいが、これに限定されない。塗料組成物内のコア/シェルマイクロゲル樹脂の含量が少なすぎると、塗膜形成能力及び乾燥性、機械的物性などが不良になることがあり、逆に多すぎると、塗料湿潤性とレベリング性が低下して塗膜の外観が劣化し、耐寒チッピング性及び耐衝撃性などが不良になり得る。
【0019】
本発明の塗料組成物に含まれるダイマー-変性ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸と多価アルコールを縮重合して得られるものであってよい。ジカルボン酸は、ダイマー酸を含むジカルボン酸であってよく、多価アルコールは、ダイマー酸の還元ジオールを含む多価アルコールであってよい。好ましくは、ダイマー酸を含むジカルボン酸成分50重量%と、ダイマー酸の還元ジオールを含む多価アルコール成分50重量%とを縮重合反応させて得られた結果物の両末端の水酸基と、酸無水物とを反応させて得られるポリエステル樹脂であってよい。ここでダイマー酸(dimer acid)は、不飽和脂肪酸(具体的には、炭素数14から22の不飽和脂肪酸、例えば、ステアリン酸)を二量体化(dimerization)して得られるジカルボン酸であってよい。
【0020】
前記ダイマー-変性ポリエステル樹脂の製造には、ダイマー酸以外のジカルボン酸としてコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラクロロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アゼライン酸、1,10-デカンジカルボン酸及びこれらの組み合わせから選択されるものを用いることができ、ダイマー酸の還元ジオール以外の多価アルコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、プロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、1,4-及び1,3-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA及びこれらの組み合わせから選択されるものを用いることができる。前記酸無水物には、1,3,4-シクロペンタントリカルボン酸無水物、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3-ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリト酸無水物(1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物)など)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5-ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8-ナフタレントリカルボン酸無水物など)、3,4,4'-ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4'-ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4'-ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2'-ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4'-ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4'-ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物及びこれらの組み合わせから選択されるものを用いることができる。
【0021】
前記ダイマー-変性ポリエステル樹脂には、例えば、樹脂の総重量を基準に、60から90%の固形分含量、1,000から4,000の数平均分子量、及び-40から-20℃のガラス転移温度を有するものを用いることができる。さらに、前記ダイマー-変性ポリエステル樹脂は、5から40mgKOH/gの酸価を有することができる。ダイマー-変性ポリエステル樹脂の酸価が低すぎると水分散性が低下することによって、塗料組成物の安定性が不良になることがあり、逆に高すぎると、塗膜の外観及び耐水性が低下し得る。
【0022】
本発明の塗料組成物に含まれる前記ダイマー-変性ポリエステル樹脂の量は、塗料組成物100重量%を基準に1から10重量%であり、より具体的には、2から8重量%または2から5重量%であってよいが、これに限定されない。塗料組成物内のダイマー-変性ポリエステル樹脂の含量が1重量%未満であれば、外観、付着及び塗膜の耐チッピング性が低下する問題があり得、10重量%を超過すれば、塗膜の耐水性及び硬度の低下の問題があり得る。
【0023】
本発明の塗料組成物に含まれる(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂は、レベリング性、湿潤性、付着性、耐水性、耐衝撃性、耐寒チッピング性などの物性に関与する成分である。
【0024】
前記(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂は、ポリオールとイソシアネートの反応生成物であるウレタンプレポリマーを一つ以上の(メト)アクリレートと反応させて得られる変性ポリウレタン樹脂であってよい。好ましく、(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂100重量%を基準に、ウレタンプレポリマー70重量%、(メト)アクリレート30重量%を含んで製造され得る。
【0025】
前記ウレタンプレポリマーの製造には、ポリオールとしてポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール及びこれらの組み合わせから選択されるものを用いることができ、イソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-ビスイソシアネートシクロヘキシルメタン及びこれらの組み合わせから選択されるもの、そして単官能のカルボン酸を有するジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸及びこれらの組み合わせから選択されるものを用いることができ、前記(メト)アクリレートには、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、アリールアクリレート、1,6-ヘキサンジオールメタクリレート及びこれらの組み合わせから選択されるものを用いることができる。
【0026】
前記(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂には、例えば、樹脂の総重量を基準に、30から60%の固形分含量、8,000から100,000の数平均分子量、15から35mgKOH/gの酸価、及び50から200nmの粒子サイズを有するものを用いることができる。
【0027】
本発明の塗料組成物に含まれる前記(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂の量は、例えば、塗料組成物100重量%を基準に2から20重量%であってよく、より具体的には、3から18重量%または4から8重量%であってよいが、これに限定されない。塗料組成物内の(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂の含量が少なすぎると、塗膜形成能力及び耐寒チッピング性、耐衝撃性などの機械的物性が不良になることがあり、逆に多すぎると、塗膜の乾燥性が低下して外観が不良になり得る。
【0028】
本発明の塗料組成物に含まれる硬化剤は、前記コア/シェルマイクロゲル樹脂、ダイマー-変性ポリエステル樹脂及び(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂と、硬化する時に架橋反応する。
【0029】
前記硬化剤には、イミノ基含有親水性メラミン樹脂が用いることができ、この場合、前述した樹脂等の水酸基と親水性メラミン樹脂のメトキシ基及びイミノ基が架橋反応する。
【0030】
このような親水性メラミン樹脂には、既知の方法に従って直接合成されたものを用いるか、または市販される製品、例えば、Cytec社のCymel-325、Cymel-327、Cymel-385、INEOS社のResimene HM-2608、Resimene 718、Resimene 717などを用いることができる。
【0031】
本発明の塗料組成物に含まれる前記硬化剤の量は、例えば、塗料組成物100重量%を基準に2から10重量%であってよく、より具体的には、3から9重量%または4から7重量%であってよいが、これに限定されない。塗料組成物内の硬化剤の含量が少なすぎると、塗膜内に架橋されていない水酸基が残存して塗膜の耐水性不良と塗膜の再塗装付着性を低下させることがあり、逆に多すぎると、塗膜内に残存する未反応硬化剤の自体重合により塗膜が砕ける傾向が発生して、塗膜の耐寒チッピング性、耐衝撃性及び耐屈曲性を低下させることがあり、塗料組成物の蓄熱安定性にも問題を引き起こし得る。
【0032】
本発明の塗料組成物に含まれる顔料には、自動車用塗料組成物に通常用いられる顔料成分が制限なく使用可能であり、例えば、塗膜にメタリック効果を与えるためのエフェクト顔料、塗膜形成物質と組み合わせて色相及び隠蔽効果を与える着色顔料、またはこれらの組み合わせが用いられてよい。前記エフェクト顔料の例には、水性化処理されたアルミニウムフレーク、マイカ顔料、またはこれらの混合物を挙げることができる。前記着色顔料の例には、オキシド系の無機顔料、アゾ(Azo)、Vat顔料を含有する多環(polycyclic)系の有機顔料、アントラキノン系の有機顔料、またはこれらの混合物を挙げることができる。
【0033】
本発明の塗料組成物に含まれる前記顔料の量は、例えば、塗料組成物100重量%を基準に1から30重量%であってよく、より具体的には、3から27重量%または5から25重量%であってよいが、これに限定されない。塗料組成物内の顔料の含量が少なすぎると、塗膜の隠蔽力に問題があり得、逆に多すぎると、塗料の安定性低下及び顔料の分散性低下の問題があり得る。
【0034】
本発明の塗料組成物には水が含まれ、その量は、例えば、塗料組成物100重量%を基準に5から30重量%であってよく、より具体的には、8から27重量%または10から25重量%であってよいが、これに限定されない。塗料組成物内の水の含量が少なすぎると、レオロジーの低下によるムラなどの外観低下の問題があり得、逆に多すぎると、サッギング(sagging:ったれ)及び隠蔽低下の問題があり得る。
【0035】
本発明の塗料組成物にはまた、例えば、共溶剤、増粘剤及び消泡剤から選択される一つ以上の添加剤がさらに含まれてよい。
【0036】
前記共溶剤は、塗膜の平滑性に影響を与え、塗料に貯蔵安定性を与え、最低の塗膜形成の温度を低め、塗装作業の際に溶剤の揮発に寄与するために用いられてよく、例えば、プロピレングリコール、N-メチル-2-ピロリドン、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、n-ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、2-エチルヘキシルアルコール及びブチルカルビトールからなる群より選択される一つ以上であってよく、その使用量は、例えば、塗料組成物100重量%を基準に5から22.5重量%であってよい。
【0037】
前記増粘剤は、水溶性塗料組成物の流れ性を防止し、塗装作業性及び塗膜粗度に寄与するために用いられてよく、例えば、アクリル系増粘剤、ウレタン系増粘剤、溶融シリカ、セルロース系増粘剤及びベントン系増粘剤からなる群より選択される一つ以上であってよく、その使用量は、例えば、塗料組成物100重量%を基準に0.15から7.5重量%であってよい。
【0038】
前記消泡剤は、塗料組成物の製造の際、塗装作業時及び素地塗着後などの諸般の工程で発生する気泡の発生を抑制するか、発生した気泡を速やかに除去するために用いられてよく、例えば、フッ素-変性シロキサン系消泡剤、ポリシロキサンエマルジョン、有機-変性シロキサン系消泡剤、疎水性シリカ及びミネラルオイルからなる群より選択される一つ以上であってよく、その使用量は、例えば、塗料組成物100重量%を基準に0.15から3.0重量%であってよい。
【0039】
本発明の塗料組成物を製造する方法には特別な制限がなく、水溶性塗料組成物の製造に通常用いられる方法及び装備を適宜活用して製造されてよい。
【0040】
本発明の塗料組成物を中塗りレス水溶性塗装工法で第1及び/または第2ベースコートとして用いると、第1ベースコートと第2ベースコートの間、或いはベースコートとクリアコートの間の層混じり(混層)現象を最小化し、これによる塗膜外観の低下を克服するとともに優れた機械的物性を表すことができる。よって、本発明の他の側面によれば、自動車塗装ラインで前記塗料組成物を用いて自動車を塗装することを特徴とする自動車の塗装方法が提供されてよい。
【0041】
これに限定されるものではないが、本発明に係る自動車塗装方法の好ましい一具体例は中塗りレス塗装方法であって、ここでは自動車塗装ラインで電着面の上に本発明の塗料組成物を第1ベースコート及び第2ベースコートとして塗装した後、50〜80℃の温度で2〜7分間熱風乾燥し、その上にクリアコートを塗装した後、全ての層を一度に焼付硬化させる。ここで第2ベースコートは、必要に応じてエフェクト顔料をさらに含むことができる。
【0042】
以下、実施例及び比較例を介して本発明をさらに詳しく説明する。しかし、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
製造例1:コア/シェルマイクロゲル樹脂(1)の製造
2Lの四ッ口丸形フラスコに熱電対、撹拌機、還流器を取り付け、脱イオン水550g及び反応性乳化剤(ラテムルS-180A、花王社製)3.43gを投入した後、反応器の温度を80℃に昇温させた。反応器を昇温させる間、分液漏斗Aに脱イオン水150g、ラテムルS-180A 15.58g、ブチルアクリレート166.66g、メタクリル酸93.21g及びトリアリールイソシアヌレート0.13gからなる予備乳化液を、分液漏斗Bに脱イオン水25.0g及び過硫酸アンモニウム0.38gからなる開始剤溶液を、分液漏斗Cに脱イオン水30.0g及び過硫酸アンモニウム0.14gからなる開始剤溶液をそれぞれ投入した。反応器が80℃に維持されたとき、分液漏斗Aの予備乳化液中の21.78g及び分液漏斗Bの開始剤水溶液を同時に滴下させ、40分間維持させた。シードの形成後、分液漏斗Cの開始剤水溶液を10分間滴下させ、分液漏斗Aの予備乳化液を3時間の間滴下させた。1時間の間反応を維持した後50℃に冷却させ、400meshのフィルターでろ過しながら包装した。合成されたエマルジョンコア粒子の粒径はLLSで測定した時に120nmであり、固形分の含量は26.0重量%であった。
【0044】
熱電対、撹拌機、還流器が取り付けられた2Lの四ッ口丸形フラスコに、前記で合成したコア溶液115.66g及び脱イオン水450.15gを投入した後、85℃に昇温させた。分液漏斗に脱イオン水231.32g、ラテムルS-180A 5.78g、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル3.0g、スチレン56.3g、メチルメタクリレート66.3g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート11.57g、ブチルアクリレート206.62g及びメタクリル酸6.0gからなる予備乳化液を投入し、反応器の温度が85℃に維持されたとき、分液漏斗の予備乳化液を3時間の間滴下させて1時間の間維持させた。その後、反応器の内部を50℃に冷却させ、400meshのフィルターでろ過しながら包装した。合成されたコア/シェルマイクロゲルエマルジョン樹脂粒子の粒径はLLSで測定した時に150nmであり、固形分の含量は35.0重量%、Tgは-10℃、酸価は27であった。
【0045】
製造例2:ポリエステル樹脂(2)の製造
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えたポリエステル樹脂製造用反応器に、アジピン酸351g、イソフタル酸117g、トリメチロールプロパン47g、ネオペンチルグリコール81g、1,6-ヘキサンジオール293g、触媒としてジブチルすずオキシド0.1gを投入し、150℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、230℃で5時間の間維持した。その後、反応器の内部を160℃まで冷却し、トリメリト酸無水物33gを加えた後1時間の間撹拌し、酸価27mgKOH/g、数平均分子量1,200のポリエステル樹脂を得た。
【0046】
製造例3:ダイマー-変性ポリエステル樹脂(3)の製造
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えたポリエステル樹脂製造用反応器に、ダイマー酸(酸価295mgKOH/g、Pripol 1017、Croda)97g、イソフタル酸117g、トリメチロールプロパン45g、ネオペンチルグリコール90g、1,6-ヘキサンジオール208g、触媒としてジブチルすずオキシド0.1gを投入し、150℃から230℃まで3時間の間昇温した後、230℃で5時間の間維持した。その後、反応器の内部を160℃まで冷却させ、トリメリト酸無水物34gを加えた後1時間の間撹拌し、90℃まで冷却した後n-ブタノール240gを投入し、固形分70重量%、酸価27mgKOH/g、数平均分子量1,100のダイマー-変性ポリエステル樹脂を得た。
【0047】
製造例4:ポリウレタン樹脂(4)の製造
分子量2,000のポリエステルポリオール260重量部、ジメチロールプロピオン酸12重量部、N-メチルピロリドン70重量部を反応容器に入れて65℃に昇温した。ここにイソホロンジイソシアネート68重量部を徐々に投入した。以後80℃まで昇温し、NCO 2.4%に維持してプレポリマーを製造した。イオン交換水520重量部及びトリエチルアミン7重量部を混合して25から35℃で高速に撹拌しながら、前記プレポリマーを20分間にわたって投入して水分散体を形成させた。その後、イオン交換水58重量部とエチレンアミン5重量部の混合物を投入して鎖延長させ、酸価20mgKOH/g、固形分35重量%のポリウレタン分散型樹脂を製造した。
【0048】
製造例5:(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂(5)の製造
分子量2,000のポリエステルポリオール260重量部、ジメチロールプロピオン酸12重量部、N-メチルピロリドン70重量部を反応容器に入れて65℃に昇温した。ここにイソホロンジイソシアネート68重量部を徐々に投入した。以後80℃まで昇温し、NCO 2.4%に維持してプレポリマーを製造した。イオン交換水520重量部及びトリエチルアミン7重量部を混合して25から35℃で高速に撹拌しながら、前記プレポリマーを20分間にわたって投入して水分散体を形成させた。その後、イオン交換水58重量部とエチレンアミン5重量部の混合物を投入して鎖延長させ、酸価20mgKOH/g、固形分35重量%の自己乳化型ウレタン水分散体を製造した。
【0049】
製造されたウレタン水分散体710gを、80℃に温度が調整されたイオン交換水118gが入れているフラスコに投入した。撹拌しながらメチルメタクリレート54g、n-ブチルアクリレート54g及び過硫酸アンモニウム0.3gを脱イオン水53gに溶解し、4時間にわたって滴下し、2時間後冷却して酸価14mgKOH/g、固形分35重量%、pH 7、数平均分子量80,000、Tg 4℃、平均粒子サイズ150nmの(メタ)アクリル変性ポリウレタン分散型樹脂を製造した。
【0050】
実施例及び比較例
前記製造例で得られた樹脂成分等を用いて自動車用水溶性塗料組成物を製造した。下記表1に示した順に成分等を混合しながら、最終の粘度をフォードカップ♯4で55秒に合わせた。電着面の上に、製造されたそれぞれの自動車用水溶性塗料組成物で第1ベースコート(乾燥塗膜の厚さ:12〜16マイクロン)及び第2ベースコート(乾燥塗膜の厚さ:10〜20マイクロン)をベル塗装した後、80℃で3分間ホットエアを吹いて塗料内に残存する水を蒸発させた。その上に上塗り透明塗料を塗装し、一般のオーブンで140から150℃で20から30分間硬化させて最終の塗膜を形成させた。最終の塗膜の外観及び物性等を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
[樹脂成分以外の使用成分等]
- 共溶剤1:エチレングリコールモノブチルエーテル
- 共溶剤2:n-プロピルアルコール
- 共溶剤3:N-メチルピロリドン
- メラミン硬化剤:イミノ基を含有するメラミン樹脂
- 触媒:ドデシルベンゼンスルホン酸タイプ酸触媒
- 湿潤剤:アセチレンアルコール型湿潤剤
- 紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
- 顔料:アルミニウムペースト(金属顔料EMR D5620(TOYO))
- 増粘剤:アルカリ溶解増粘剤(AM-3、San Nopco)
- 中和剤:アミン系中和剤(アミノメチルプロパノール10%水溶液(AMP-95、Angus)
【0053】
【表2】
【0054】
[評価方法及び基準]
- 塗装作業性:塗料の吐出しの際に噴霧状態が良好であり、素地への濡れ性が良好であること。
- 塗膜外観:自動車外観測定器であるWave Scan DOI(BYK Gardner)を適用して最終のCF valueを測定(高いほど有利である)。測定の結果は、◎-優秀(CF 65以上)、○-良好(CF 60以上65未満)、△-普通(CF 55以上60未満)、X-不良(CF 55未満)で表す。
- 光沢:20度光沢90以上であること。
- オーバーベーク再塗装付着性:150℃で20分間最終塗膜の硬化後、150℃で60分間オーバーベークした後、上塗り塗料と透明上塗り塗料を再塗装及び硬化させてから、付着性テストを実施する(2mmのクロスカットを100個製作た後、スコッチテープを使って引き剥がした場合に問題がない時に『良好』と判断。刃のクロスカッティング部位からも落ちるものがない時に『優秀』と判断。その他には『不良』と判断)。
- 耐衝撃性:500gの錘を使って30cm以上の高さから落とした時、塗膜に割れ目及び剥離がないこと。
- 耐水性:40℃の恒温槽に完成された塗膜を10日間沈漬た後、付着試験及び変色評価
- 塗料流動性:電着、中塗りを塗装した試片を垂直に掛けておき、上塗りを各条件で塗装して硬化させた後で観察した時、塗料の流れや光沢の低下などがないこと。
- 耐寒チッピング性:-20℃で3時間放置した後、50gのチッピングストーンを使って4barの圧力で50gのチッピングストーンを押し出し、塗膜の表面を打つ方法を用いる(1mm以下の大きさの損傷が10個以下である時に『優秀』と判定。1mm超過2mm以下の大きさの損傷が10個以下である時に『良好』と判定。2mm超過3mm以下の大きさの損傷が10個以下である時に『普通』と判定)。
【0055】
前記表2の結果から、本発明に係る実施例の水溶性塗料は、既存より短縮された塗装工程を採用するとともに、既存の塗装工法に比べて良好な塗膜外観と作業性などを提供することが分かり、付着性と耐水性、耐寒チッピング性などの機械的物性もまた優秀であることが分かった。
【0056】
一方、比較例1の場合、付着性、耐寒チッピング性などの物性において問題があり、比較例2は、耐寒チッピング性と光沢などの機械的物性の低下、及びベース層間の混層現象による塗料流動性の発生と外観の低下をもたらした。比較例3の場合、耐水性低下の問題と、オーバーベーク再塗装付着性においてクリアとベースの間の反応性低下で付着性の問題とが発生した。比較例4及び5の場合、オーバーベーク再塗装付着性においてクリアとベースの間の反応性低下で付着性の問題が発生した。比較例6の場合、耐水性低下の問題が発生した。