特許第6641431号(P6641431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6641431果菜自動選別方法と、果菜載せ体と、果菜自動選別装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641431
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】果菜自動選別方法と、果菜載せ体と、果菜自動選別装置
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/36 20060101AFI20200127BHJP
   B65G 47/46 20060101ALI20200127BHJP
   B65G 47/82 20060101ALI20200127BHJP
   B65G 47/68 20060101ALI20200127BHJP
   B65G 15/12 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   B07C5/36
   B65G47/46 B
   B65G47/82 C
   B65G47/68 C
   B65G15/12
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-144729(P2018-144729)
(22)【出願日】2018年8月1日
(62)【分割の表示】特願2014-93469(P2014-93469)の分割
【原出願日】2014年4月30日
(65)【公開番号】特開2018-187633(P2018-187633A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2018年8月23日
(31)【優先権主張番号】特願2013-95641(P2013-95641)
(32)【優先日】2013年4月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391017702
【氏名又は名称】日本協同企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和男
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2008/035715(JP,A1)
【文献】 実開平06−023936(JP,U)
【文献】 特開2011−025133(JP,A)
【文献】 特開平10−216648(JP,A)
【文献】 特開2004−323174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/36
B65G 47/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端走行回転体に一列に並べて多数取付けられ、無端走行回転体の走行に伴ってその走行方向に移動するベルトコンベア式の果菜載せ体に果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜を計測して果菜を等階級別に判別し、判別した果菜を判別結果に応じて搬送方向側方に送り出して等階級別に仕分けし、送り出した果菜をプールコンベアの上にプールする果菜自動選別方法において、
個々の果菜載せ体は一つのフレームの横幅方向に複数本のベルトが並設されており、個々のベルトは一本ずつ個別に、果菜搬送方向に対して横向き、斜め後方向き、斜め前方向きのいずれかの向きに往復回転又は一方向循環回転可能であり、それら二本以上のベルトは一つの果菜を跨がせて載せることができる間隔で並設されており、
個々の果菜を、一つの果菜載せ体の二本以上のベルトに跨がせて載せるか、又は隣接する二以上の果菜載せ体の二本以上のベルトに跨がせて載せて搬送し、その搬送中に当該果菜を計測して果菜の等階級を判別し、
前記判別後に、個々の果菜が跨って載っている二本以上のベルトを同期させて、前記横向き、斜め後方向き、斜め前方向きのいずれかの向き往回転又は一方向循環回転させて、当該回転方向先方に送り出して、プールコンベアの上に果菜をプールし、
前記送り出し後に、前記回転した二本以上のベルトを回転前の元の位置に戻す、
ことを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項2】
請求項1記載の果菜自動選別方法において、
個々のベルトの上に突出している支持具をベルトの回転に伴って移動させて、ベルトの回転により送り出す果菜を支持具によって後方から送り出す、
ことを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項3】
無端走行回転体に取付けられるフレームにベルトが往復回転可能に又は一方向に循環回転可能に巻かれたベルトコンベア式であり、ベルトの上に載せた果菜をベルトの往回転により往回転方向先方に送り出すことのできる果菜載せ体において、
果菜載せ体は一つのフレームの横幅方向に複数のベルト巻回部が並設されており、夫々のベルト巻回部は無端走行回転体の走行方向に対して横向き、斜め後方向き、斜め前方向きのいずれかの向きであり、
ベルトは個々のベルト巻回部に巻かれて二本以上が並設されており、それら二本以上のベルトは一つの果菜を跨がせて載せることができる間隔で並設されており、
個々のベルトに突起が連結されており、突起はベルトの下方に突出しており、
個々のベルトは前記突起を移動させることにより一本ずつ個別に、前記横向き方向、斜め後方向き方向、斜め前方向きの方向に往復回転又は一方向循環回転可能であり、
果菜が跨って載っている一つのフレームの二本以上のベルトは、それらベルトに連結されている突起を横向きに方向に同期移動させることにより同期して往回転して、当該果菜を回転方向先方に水平又は略水平に送り出すことができ、
前記同期回転した二本以上のベルトは、前記突起を移動前の元の位置に戻すことにより回転前の元の位置に戻ることができる、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項4】
請求項3記載の果菜載せ体において、
夫々のベルト巻回部は果菜送り出し方向前端側と後端側にローラを備え、前端側のローラよりも後端側のローラが無端走行回転体の走行方向斜め後方にあり、且つ隣接するベルト巻回部の前端側のローラの位置が果菜送り出し方向前後に階段状にずれており、隣接するベルト巻回部の後端側のローラの位置も前後に階段状にずれており、
ベルトは個々のベルト巻回部の前後のローラに巻かれて二本以上が並設されており、それら二本以上のベルトは一つの果菜を跨がせて載せることができる間隔で並設されており、二本以上のベルトは前記両ローラと同じく前端側よりも後端側が無端走行回転体の走行方向斜め後方になっており、且つ、隣接するベルトの前端側の位置が果菜送り出し方向前後に階段状にずれており、隣接するベルトの後端側の位置も前後に階段状にずれており、
個々のベルトは当該ベルトに連結されている突起を移動させることにより一本ずつ個別に斜め後方向きに往復回転又は一方向循環回転可能である、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の果菜載せ体において、
個々のベルトの横幅方向中央部に、ベルトのスライド方向に沿ってスリットが設けられており、突起の下部が当該スリットを貫通してベルトの下走行部よりも下方に突出している、
ことを特徴とする果菜載せ体。
【請求項6】
多数の果菜載せ体が無端走行回転体の走行方向に一列に並べて取付けられ、果菜載せ体が無端走行回転体の走行によりその走行方向に移動する果菜搬送体を備え、個々の果菜載せ体に果菜を一つずつ載せて搬送し、搬送中に個々の果菜を計測して果菜の等階級を判別する計測器を備え、判別された果菜を等階級別に果菜搬送方向側方のプールコンベアに一つずつ送り出して、プールコンベアの上に二以上の果菜をプールすることのできる果菜自動選別装置において、
前記果菜載せ体が請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の果菜載せ体であり、
個々の果菜載せ体は無端走行回転体に一列に並べて多数取付けられ、ベルトの回転方向先端側が果菜搬送方向に対して斜め後方向きになって取付けられており
前記多数の果菜載せ体は、隣接する果菜載せ体の以上のベルトに一つの果菜を跨がせて載せることができる間隔で無端走行回転体に取り付けられており、
一つの果菜載せ体の二本以上のベルト、又は隣接する二以上の果菜載せ体の二本以上のベルトは、夫々のベルトに連結されている突起を同期して移動させることにより同期して往回転して、それら二本以上のベルトの上に跨がせて載せてある一つの果菜を搬送方向側方に一つずつ送り出して、プールコンベアの上にプールすることができ、
前記プールコンベアは果菜載せ体のベルトから果菜が送り込まれる度に間欠回転して二以上の果菜をプールすることができ、
果菜を送り出したベルトは、前記突起を移動前の元の位置に戻すことにより、回転前の元の位置に戻る、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項7】
請求項記載の果菜自動選別装置において、
果菜搬送体が、果菜載せ体に果菜を載せる果菜載せエリア、搬送中の果菜を計測して等階級別に判別する判別エリア、判別された果菜を判別結果ごとに仕分けする仕分けエリアを備え、仕分けエリアであって果菜載せ体のベルトの下方に、走行中の果菜載せ体の突起を前記判別結果に基づいて往復移動させる往ガイドがあり、前記往ガイドは切替体によって果菜載せ体の突起の進行方向を切替可能であり、一つの果菜が跨がって載っている二以上のベルトに連結されている突起を同期移動させることにより果菜載せ体のベルトを搬送方向側方に往回転させて、前記ベルトの上に載せてある果菜を果菜搬送体の側方のプールコンベアの上に送り出して等階級別に選別することができ、前記果菜送り出し後の果菜載せ体が前記果菜載せエリアに戻るまでの間に復ガイドが設けられ、当該復ガイドは前記往ガイドで移動された突起を逆方向に移動させて、回転したベルトを回転前の元の位置に戻すことができる、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項8】
請求項又は請求項記載の果菜自動選別装置において、
無端走行回転体に一列に並べて取付けられた多数の果菜載せ体のうち、任意の果菜載せ体の支持具やベルトの色を変えて、果菜載せ体を目視判別できるようにした、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果菜を搬送しながら果菜の形状大きさ等を計測し、計測結果に基づいて果菜を等階級別に判別し、判別された等階級別に仕分けるまでの一連の作業を、連続して、自動的に行う果菜自動選別方法と、その選別に際して果菜を載せることのできる果菜載せ体と、この果菜載せ体を使用した果菜自動選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トマト、みかん、オレンジ、タマネギ、キウイ、柿等の丸玉系の果菜(丸物果菜)、ナス、胡瓜等の長尺系の果菜(長物果菜)、メロン、西瓜等の大きなサイズの果菜、桃、イチゴのように傷み易い果菜等々の各種果菜は、収穫後に選果場に持ち込まれ、選果場で傷の有無、色付き具合、変形等を作業者が目視で選別し、形状、サイズ、糖度等を計測器で計測して等階級別に判別し、判別後の果菜を等階級別に仕分けし、仕分けされた果菜を箱詰めして出荷している。以下の説明では前記計測による判別及び判別後の仕分けをまとめて選別といい、形状、サイズ等を等階級という。
【0003】
前記果菜の選別作業には果菜自動選別装置が使用されている。果菜自動選別装置として、本件出願人が開発した果菜自動選別装置がある(例えば、特許文献1〜5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−173122号公報
【特許文献2】特開2011−102175号公報
【特許文献3】特開2011−037550号公報
【特許文献4】特開2010−115654号公報
【特許文献5】特開2008−285328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の果菜自動選別装置は、チェーン、タイミングベルト等の無端走行回転体に多数の果菜載せ体が取付けられ、果菜載せ体は無端走行回転体の走行回転に伴って走行して、走行中の果菜載せ体に載せた果菜を自動的に搬送することができ、搬送中に形状、大きさ等が計測されて予め定めてある規格の等階級に判別され、更に搬送されると、等階級別に判別された果菜を、判別結果に応じて、果菜搬送方向側方に送り出して、等階級別に仕分けできるようにしてある。
【0006】
果菜載せ体は無端走行回転体に取付け可能なフレームにベルトを回転可能に巻いたベルトコンベア式であり、搬送中にベルトが回転して、ベルトの上に載せてある果菜をベルトの回転方向(搬送方向側方)に送り出し(仕分けし)、送り出し後(仕分け後)の走行中に、ベルトが逆回転して、元の位置に戻るようにしてある。
【0007】
前記果菜載せ体は、一つのフレームに一本のベルトが巻かれており、そのベルトごとに果菜を載せるものであるため、胡瓜のように長い果菜や、西瓜、メロンのように大玉の果菜の場合は、ベルトの横幅が短いと載せることができない。そのため、選果場では、果菜の大小、長短、形状に応じて、ベルトの横幅や長さの異なる果菜載せ体を装備した果菜自動選別装置を数台導入しなければならず、費用負担が大変であった。また、広い設置スペースが必要になり、用意できなければ導入できなかった。
【0008】
本発明の目的は、果菜の大小、長短、形状に拘わらず果菜を載せて選別することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の果菜自動選別方法は、水平移動し上下に折り返して無端走行回転体に取付けられた多数本のベルトに果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜の形状、大きさ等を計測して等階級別に判別し、果菜を判別結果に応じて搬送方向側方に送り出して等階級別に仕分けする果菜自動選別方法において、一つの果菜を隣接する二本以上のベルトに跨がせて載せて搬送し、搬送中に果菜の形状、大きさ等を計測して果菜の等階級を判別し、その後に、果菜が載っている二本以上のベルトを同期させて果菜搬送方向側方(果菜搬送方向に対して真横、斜め後方、斜め前方を含む:以下、明細書、特許請求の範囲において同じ)に往復移動又は一方向循環回転させて、果菜を搬送方向側方に送り出して等階級別に仕分けし、仕分けしてから前記ベルトが果菜を載せる前までに、前記二本以上のベルトを、果菜を載せる前の元の位置に戻して、ベルトの果菜載せ部を一列に揃えるようにした果菜自動選別方法である。
【0010】
前記果菜自動選別方法では、果菜を、それぞれのベルトの上方に突設された支持具よりも果菜送出し方向先方に載せ、その支持具をベルトと共に移動させて、その支持具によりベルトの上の果菜を後方から支持することができる。
【0011】
本発明の果菜載せ体は、フレームにベルトが回転自在に巻かれ、フレ−ムが無端走行回転体に取付けられて無端走行回転体の走行に伴って走行し、ベルトの上に載せた果菜を前記走行方向に搬送できるものであり、一つのフレ−ムに一本のベルトが、又は一つのフレ−ムにその横幅方向に複数本のベルトが並べて回転可能に巻かれ、それらベルトは別々に往復移動又は一方向循環回転可能であり、夫々のベルトの上方に支持具が突設され、それらベルトはそれぞれの支持具と共に往復移動又は一方向循環回転するようにしたものである。
【0012】
本発明の果菜載せ体は、二本以上のベルトが一つのフレームにその幅方向に並べて回転可能に巻かれ、それら二本以上のベルトは一つの果菜を跨がせて載せることができる間隔で隣接し、果菜を跨がせて載せた二本以上のベルトは同期して往復移動又は一方向循環回転可能としたものである。
【0013】
前記果菜載せ体のベルトは、果菜送り出し方向先端側を斜め前方に向けて又は斜め後方に向けてフレームに巻かれたものであってもよい。
【0014】
前記果菜載せ体はベルトの上方に支持具が突設され、下方に突起が突設され、ベルトの上走行部は前記突起の往復移動に伴ってベルトの巻き方向前後方向に往復移動又は一方向循環回転するものであってもよい。この場合、夫々のベルトはその横幅方向中央部(略中央部を含む)にベルトの走行方向に沿ってスリットを設けて、突起の下部が当該スリットを貫通してベルトの下走行部よりも下方に突出したものであってもよい。
【0015】
前記果菜載せ体は、ベルトの上走行部であって支持具の移動方向前方直近に、果菜を載せる果菜載せ部を設けたものであってもよい。
【0016】
本発明の果菜自動選別装置は、無端走行回転体の走行方向に、多数の果菜載せ体が一列に並べて取付けられた果菜搬送体を備え、多数の果菜載せ体に果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜の形状、大きさ等を測定して、果菜を等階級別に判別する計測器を備え、判別された果菜を等階級別に果菜搬送方向側方に送り出し可能(選別可能)な果菜自動選別装置において、無端走行回転体に一列に並べて多数取り付けられた果菜載せ体は前記いずれかの果菜載せ体であり、それら果菜載せ体は隣接する二以上のベルトに跨がせて一つの果菜を載せることができる間隔で無端走行回転体に取り付けられ、それらベルトは無端走行回転体の走行に伴って走行してベルトの上に載せた果菜を搬送することができ、一つの果菜を跨がせて載せた二本以上のベルトは搬送中に同期して往復移動又は一方向循環回転して、それら二以上のベルトの上の果菜を搬送方向側方に送り出し可能としてある。
【0017】
前記果菜搬送体の仕分けエリアであって果菜載せ体のベルトの下方に、走行中の果菜載せ体の突起を前記判別結果に基づいて往復移動させる往ガイドが設けられ、この往ガイドは切替体によって果菜載せ体の突起の進行方向を切替可能であり、一つの果菜が跨がって載っている二以上のベルトに連結されている突起を同期移動させることにより果菜載せ体のベルトの上走行部を搬送方向側方に往復移動させて、前記上走行部の上に載せてある果菜を当該側方に送り出して等階級別に仕分けすることができ、前記仕分け後の果菜載せ体が果菜搬送体の果菜載せエリアに戻るまでのエリアに復ガイドが設けられ、この復ガイドは前記往ガイドで移動された突起を逆方向に移動させて、前記上走行部が果菜を載せる前の元の位置に戻って、ベルトの果菜載せ部が一列に揃うようにしてある。
【0018】
前記果菜自動選別装置では、無端走行回転体に取付ける果菜載せ体のベルトの向きを、ベルトの回転方向先端側が果菜搬送方向斜め後方又は斜め先方又は真横に向けて配置することができる。
【0019】
前記果菜自動選別装置は、無端走行回転体に取付けられた多数の果菜載せ体のうち、任意の数箇所の果菜載せ体の支持具やベルトの色を変えて、果菜載せ体を色により目視判別できるようにすることができる。
【0020】
前記果菜自動選別装置は、果菜搬送体の少なくとも果菜載せエリアにトラッキングスイッチが配置され、トラッキングスイッチはスイッチ用無端走行回転体にその走行方向に一列に並べて多数取付けられて、スイッチ用無端走行回転体の循環走行に伴って循環走行し、トラッキングスイッチは二以上を一組とすることができ、作業員が果菜載せエリアで果菜載せ体のベルトに載せる際に果菜の傷、色、変形等を目視判別して、各組のトラッキングスイッチを操作して果菜を判別エリアで選別する前に事前選別できるようにすることもできる。
【0021】
前記トラッキングスイッチは、果菜搬送体の搬送方向側方であって、果菜受体に果菜を載せる作業員の配置側又は、果菜搬送体を挟んでその向かい側に配置することもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の果菜自動選別方法、果菜載せ体、果菜自動選別装置は次のような効果がある。
(1)一つの果菜を、そのサイズにより、個々のベルトに載せることができるだけでなく、二本以上のベルトに跨がせて載せることもできるため、各種形状、サイズの果菜を載せて選別することができ、一台で各種形状、サイズの果菜を選別することができる。
(2)支持具が、果菜載せ体に果菜を載せる際の位置決めの目安となるため、支持具を目安に果菜を載せると果菜が自動的に一列に並び、果菜の形状、大きさ等を、果菜の上方、下方或いは側方に設置した計測器で正確に計測することができ、測定精度が向上する。
(3)果菜載せ体に載せた果菜を支持具で支持できるため、搬送中の果菜の位置ずれや転倒等を防止することができ、傷み易い果菜が傷むことなく搬送、計測、判別仕分けされる。
(4)ベルトの回転方向先端側が果菜搬送方向後方又は先方に向けて斜めに配列すれば、果菜載せ体の側方に配置されているプールコンベアに送り出される果菜の送り出し速度が減速され、慣性による転倒を防止することができる。
(5)果菜載せ体のベルトが往復移動可能又は一方向循環回転可能であるため、果菜送り出し後にベルトコンベアが自動的に、果菜を載せる前の元の位置に戻って次に果菜を載せる状態に待機するため、果菜載せ体へ果菜を載せるだけで果菜が一列に揃って搬送されて、計測器の下或いは横を一例に通過でき、測定精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の果菜載せ体の一例を示す斜視図。
図2図1の果菜載せ体の底面斜視図。
図3図1の果菜載せ体の支持具を前方に移動させた一例を示す斜視図。
図4】本発明の果菜載せ体の底面平面図。
図5】本発明の果菜自動選別装置で果菜を搬送し、判別済み果菜を搬送方向斜め前方に送り出す場合の平面図。
図6】本発明の果菜自動選別装置におけるトラッキングスイッチの一例を示す説明図。
図7】本発明の果菜自動選別装置における果菜搬送体の一例を示す斜視図。
図8】本発明の果菜自動選別装置における果菜搬送体の一例を示す底面図。
図9】本発明の果菜自動選別装置で果菜を搬送し、判別済み果菜を搬送方向斜め後方に送り出す場合の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[果菜自動選別方法の実施形態]
本発明の果菜自動選別方法の一例は、チェーン、タイミングベルト等であって図5のように水平走行し上下に折り返して循環回転する無端走行回転体21に多数取付けられた果菜載せ体1のベルトに果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜の大きさ、形状等を計測して等階級判別し、果菜Aを判別結果に応じて搬送方向側方に送り出して等階級別に選別する果菜自動選別方法において、一つの果菜を前記果菜載せ体1の数本のベルトに跨がせて載せて搬送し、搬送中の果菜Aの形状、大きさ等を計測して等階級別に判別し、判別後の搬送中に前記二本以上のベルト4を判別結果に応じて搬送方向側方に同期回転させて、果菜Aを前記側方(回転方向)に送り出して仕分けし、仕分け後の果菜載せ体1が果菜Aを載せるまでの間に、前記二本以上のベルト4が果菜を載せる前の元の位置に戻して一列に揃え、戻ったベルト4に果菜Aを載せると載せた果菜Aが一列に揃い、その後も前記選別を繰り返して、連続的に選別できるようにした方法である。
【0025】
前記果菜自動選別方法では、果菜Aを、果菜載せ体1のベルト4の上に突設された支持具5の先方に載せ、その支持具5をベルト4の回転方向と同方向に移動させて、ベルト4の上に載せた果菜Aを後方から支持することができる。
【0026】
[果菜載せ体の実施形態]
本発明の果菜載せ体の実施形態の一例を図1図4を参照して説明する。これら図に示す果菜載せ体1はベルトコンベア式であり、一つのフレーム2の横幅方向にベルト巻回部3が数本(図1図4では四本)併設され、夫々のベルト巻回部3にべルト4が回転自在に巻回されている。夫々のベルト4の上走行部4aの上方には支持具5が突設され、夫々のベルト4の下走行部4bよりも下方にピン(突起)6が突設されている。
【0027】
(フレーム)
フレーム2は金属、硬質樹脂、FRP等で成型されており、一つのフレーム2にベルト巻回部3を四列設けてあり、隣接するベルト巻回部3を斜めにし、且つ前端部と後端部の位置を斜めにずらして、それら前端部と後端部に巻かれるベルト4が斜めになるようにしてある。夫々のベルト巻回部3の前端部と後端部にはローラ7が回転自在に取付けられている。
【0028】
(ベルト)
前記ベルト4は、前記二個一対のローラ7の外周に回転自在に巻かれている。夫々のベルト4の横幅及び長さは載せる果菜によっても異なるが、果菜を載せるのに適する横幅、例えばトマトの場合は10〜15cm程度、胡瓜の場合は30cm前後が適する。西瓜、メロン等のサイズの大きな果菜の場合は幅を広くし、長さを長くする必要がある。図1に示すベルト4の横幅はベルト巻回部3の横幅と同じ(略同じを含む)程度にしてあり、約2〜3cm程度であり、併設された四本で8〜12cm程度にしてある。ベルトの長さL(図1)は約15cm程度としてある。ベルト4の横幅は少なくとも小さい果菜や短い果菜の場合は一個ずつ載せることができる広さにしてある。胡瓜や茄子のように長い果菜の場合は、図7のように隣接する二本以上のベルト4に跨がせて載せることができる。それぞれのベルト4の横幅方向略中央部であってベルト4の略全長に渡ってスリット9が開口されている。
【0029】
幅の狭いベルト4を多数本配列した場合は、隣接する二本或いは数本のベルト4を一組のユニットとすることもできる。この場合は、夫々のユニットに果菜Aを載せ、果菜Aを載せたユニットのベルト4を同時に同方向に往回転(同期回転)させて果菜Aを送り出すことができる。
【0030】
(果菜載せ部)
ベルト4の上走行部4aには果菜Aを載せることができる果菜載せ部8(図1)を設けてある。果菜載せ部8はベルト4の上面に目印となるマークを付けるとか、何も付けなくてもよいが、ベルト4の上面の一部を果菜Aが転倒し難い構造としたり、滑り難い材質製としたりすることもできる。
【0031】
(支持具)
前記支持具5はベルト4とは別に樹脂成型されており、ベルト4の上走行部4aの上に固定具(例えばネジ)で固定してある。この場合、上走行部4aの裏面に突起6を配置し、その突起6を前記固定具で支持具5と一緒に上走行部4aに固定してある。突起6の下端部はベルト4のスリット9を貫通してフレーム2の底面から下方まで突出している(図2)。ベルト4と支持具5と突起6をこの取付け構造とすることにより、夫々の突起6はベルト巻回部3の前後方向(ベルト4の巻回方向:図3の矢印方向)に往復移動可能であり、その往復移動に伴ってベルト4と突起6が同方向に往復移動できるようにしてある。
【0032】
図示した支持具5はベルト4と別材質製としてあるが、可能であれば同質材製にして接着剤でベルト4の上走行部の4aの上面に接着固定することもできる。支持具5は果菜載せ部8に果菜を載せる際の位置決めの目安となり、果菜載せ部8に載せた果菜Aを搬送中に図3のように支持しての果菜Aの位置ずれや転倒等を防止することができ、ベルト4が回転して果菜Aを果菜載せ体1の側方の引き継ぎ体(プールコンベア:図5)10に送り出すときに果菜Aを押し出すこともできる。
【0033】
(突起)
夫々の突起6はベルト4の前記スリット9(図2図4)から下方に突出している。この突起6の下部は果菜搬送中に、果菜搬送体22(図6)の下に配置されているレール状の送りガイド(往ガイド:図6)に案内されて斜め後方に移動(往移動)できるようにしてある。突起6の移動に伴ってベルト4が同方向に回転(斜めに回転:往回転)すると、果菜載せ部8の上の果菜Aが果菜搬送中に斜め後方のプールコンベア10(図5)に送り出されるようにしてある。
【0034】
果菜Aが隣接する二本以上のベルト4の上に跨がって載っているときは、果菜Aが載っている全てのベルト4に連結されている突起6を同方向に同期させて(ほぼ同時に)移動させて、果菜Aが載っているベルト4が同方向に同期回転して、その回転方向に、果菜Aが送り出されるようにする。
【0035】
前記突起6は、果菜載せ体1のベルト4が回転して果菜Aを送り出した後に、果菜載せ体1が果菜搬送方向に移動を続けて元の位置(果菜を載せる位置)に戻る間に、果菜搬送体22の下に配置されているレール状の戻りガイド(復ガイド:図6)に案内されて逆方向に戻り移動(復移動)できるようにしてある。この往移動に伴ってベルト4が同方向に回転(往回転)して、多数の果菜載せ体1のベルト4の果菜載せ部8が前記往回転前の元の位置に戻って一列又は略一例に整列するようにしてある。
【0036】
[果菜自動選別装置の実施形態]
本発明の果菜自動選別装置の実施形態を図5図9を参照して説明する。これら図に示す果菜自動選別装置20は、チェーン、タイミングベルト等の無端走行回転体21の走行方向に、多数の果菜載せ体1が一列に取付けられて果菜搬送体22が形成されている。果菜搬送体22の搬送方向途中に測定器(計測器)Bが設けられている。測定器Bは果菜載せ体1に載せて搬送される果菜Aの形状、大きさ等を測定するものである。果菜搬送体22の果菜載せエリア24にトラッキングスイッチ23が配置されている。
【0037】
(無端走行回転体)
無端走行回転体21にはチェーン、タイミングベルト等を使用し、それらを、モータMで回転する駆動ホイールH1、従動ホイールH2の外周に巻いて、それらホイールH1、H2の回転に伴って回転可能としてある。この場合、走行中の無端走行回転体21は水平移動し、折り返し箇所で上のホイール(従動ホイール)の外側を上から下に廻り込んで方向転換し、他方の歯車(駆動歯車)の外側を下から上に廻り込んで方向転換して循環回転するものでる。
【0038】
(果菜搬送体)
前記果菜搬送体22は、平行に配置された二本の無端走行回転体21に、ベルトコンベア式の果菜載せ体1が一列に多数並べて取付けられている。果菜搬送体22の長さは選果場の広さによっても異なるが、通常は数十メートル、場合によっては100m以上も長く、図5の左側(搬送方向手前側)から右側(搬送方向先方)に、順に、果菜Aを載せる果菜載せエリア24、搬送中の果菜Aの形状、大きさ、糖度等を計測して等階級別に判別する判別エリア25、判別された果菜Aを搬送中に等階級別に送り出して仕分けする仕分けエリア26を備えている。
【0039】
図5では果菜載せ体1を無端走行回転体21の走行方向に対して斜め後方に向けて取り付けてあるが、本発明では、図9のように、果菜載せ体1を無端走行回転体21の走行方向に対して斜め前方に向けて取り付けることもできる。無端走行回転体21の走行方向真横に向けて取り付けることもできる。
【0040】
(果菜載せエリア)
前記果菜載せエリア24は、作業者が果菜Aを一個ずつ手作業で果菜載せ体1に載せる場所(スペース)であり、数人の作業者を配置できる長さにしてある。
【0041】
(選別エリア)
前記判別エリア25は、果菜載せ体1に載せて搬送中の果菜Aの形状、大きさ、糖度等を計測する場所(スペース)であり、計測器Bが配置されている。計測器Bは判別エリア25の上方に配置して、搬送中の果菜Aを上方から計測できるようにすることも、判別エリア25の側方に配置して、搬送中の果菜Aを側方から計測できるようにすることも、真下に配置して下方から計測することもできる。その他の位置に配置して異なる方向から計測できるようにすることもできる。計測器Bには光学式計測器をはじめとして、各種方式の計測器を使用することができる。
【0042】
(仕分けエリア)
前記仕分けエリア26は、判別エリア25の計測器Bで計測されて、等階級判別された果菜Aを、果菜搬送方向側方に送り出して、果菜Aを等階級別に仕分け(振り分ける)場所である。この仕分けエリア26であって、果菜搬送体22の下方にはレール状の往ガイド27(図6)が配置されている。
【0043】
(往ガイド)
図9のように果菜載せ体1のベルト4が果菜搬送方向後方に回転する場合は、往ガイド27は図6のように、果菜搬送体22の搬送方向に対して斜め後方向きに配置されている。夫々の往ガイド27の近くには切替えレバー(切替体)28が配置されている。切替えレバー28は判別エリア25での判別結果に基づいて通常位置と進路変更位置とに切替え可能であり、通常位置にあるときは、果菜載せ体1の突起6が果菜搬送方向にそのまま通過(直進)して、果菜載せ体1のベルト4が回転せずベルト4の上走行部4aに載せてある果菜Aは側方に送り出されない。往ガイド27を通過した果菜載せ体1が本来の仕分け位置まで到来すると、判別エリア25での判別結果に基づいて切替えレバー28が進路変更位置に切り替えられて、突起6が往ガイド27に沿って移動し、その移動に伴って、果菜載せ体1のベルト4が果菜搬送方向後方(図6図9)に往回転して、ベルト4の上走行部4aの果菜載せ部8の上の果菜Aが前記回転方向に送り出されて、プールコンベア10に送り込まれるようにしてある。この場合、送り出される果菜は搬送方向への送り速度(慣性)が低減されるため、プールコンベア10に送り出される果菜Aが転倒し難くなる。果菜Aはプールコンベア10以外の受け体に送り出すこともできる。
【0044】
図5のように果菜載せ体1のベルト4が果菜搬送方向前方に回転する場合は、往ガイド27は図6の場合と逆向き(果菜搬送体22の搬送方向に対して斜め前方向き)に配置して、ベルト4が往ガイド27により搬送方向前方に回転して、ベルトの上の果菜が同方向に送り出されるようにする。
【0045】
図示していないが、果菜載せ体1のベルト4が果菜搬送方向真横に回転する場合は、往ガイド27は果菜搬送体22の搬送方向に対して真横に向けて配置して、ベルト4が往ガイド27により搬送方向真横に回転して、ベルトの上の果菜が同方向に送り出されるようにする。
【0046】
果菜Aが二以上のベルト4に跨がって載っている場合は、それらベルト4と連動する二以上の突起6がその往ガイド27で同方向に同期移動できるように、切替えレバー28が仕切り位置に切り替わる。
【0047】
前記切替えレバー28の切替え制御は、前記判別エリア25での判別結果に基づいて、制御装置によって行われる。
【0048】
(復ガイド)
仕分けエリア26の先方から果菜搬送体22が循環回転して果菜載せエリア24に戻るまでの間であって果菜搬送体22の下方には、レール状の復ガイド29(図6)が設けられている。復ガイド29は前記往ガイドレールとは逆向き斜めに配置されている。復ガイド29は果菜を送り出した果菜載せ体1がそのまま走行を続けて果菜載せエリア24に戻るまでの間に、その果菜載せ体1の突起6を往移動時とは逆方向に移動させて果菜送り出し前の状態に戻し(逆方向に移動させ)、その突起6と連動するベルト4を逆回転させて、ベルト4の上走行部4aの果菜載せ部8を送り出し前の状態に戻して、一列(略一例を含む)に揃えるものである。
【0049】
(果菜載せ体)
無端走行回転体21に取付ける果菜載せ体1は図1図4に示すものであってもよいが、幅の細いフレーム(例えば、図1図4の一本のベルト巻回部3と同じ程度の横幅のフレーム)2に、幅の細いベルト(例えば、図1図4の一本のベルト巻回部3に巻かれた一本のベルト4と同じ程度の横幅のベルト)4が往復回転可能に巻かれ、ベルト4の上方に支持具(例えば、図1図4の支持具と同様の形状、構造のもの)5が突設され、フレーム2の下方に突起(例えば、図1図4の支持具と同様の形状、構造のもの)6が突設された果菜載せ体1であってもよい。
【0050】
無端走行回転体21に取付けられた多数の果菜載せ体1は、任意箇所の果菜載せ体1の支持具5やベルト4の色を変えておくと、果菜載せ体1を目視判別し易くなって便利である。
【0051】
(トラッキングスイッチ)
トラッキングスイッチ23は、果菜載せエリア24と並行に配置されている(図5図6)。トラッキングスイッチ23はチェーン、タイミングベルト等のスイッチ用無端走行回転体23aにその走行方向に一列に並べて多数取付けられている。スイッチ用無端走行回転体23aは水平走行し、一方の折り返し箇所で上から下に折り返し、他方の折り返し箇所で下から上に折り返して循環走行するようにしてある。トラッキングスイッチ23はスイッチ用無端走行回転体23aの循環走行に伴って循環走行するようにしてある。トラッキングスイッチ23は二以上を一組とすることができ、作業員が果菜載せエリア24で果菜載せ体1のベルト4に載せる果菜Aの傷、色、変形等を目視判別して、各組のトラッキングスイッチ23を操作して果菜Aを判別エリアで判別する前に事前選別することができるようにしてある。トラッキングスイッチ23を押すとその信号が計測エリア25の制御部に送信されて果菜選別情報となるようにしてある。
【0052】
図5図6のトラッキングスイッチ23は、果菜載せエリア26の作業員配置側(果菜搬送体22の搬送方向側方であって手前側)に配置されているが、果菜搬送体22を挟んで作業員配置側の向かい側に配置することもできる。
【0053】
(プールコンベア)
プールコンベア10(図5)もベルトコンベア式であり、果菜Aを多数個プールできる長さと横幅にしてある。プールコンベア10は果菜載せ体1から果菜Aが送り出される度に回転して果菜を1個ずつ引き継ぐことができるようにしてある。プールコンベア10は果菜Aが所定数量プールされてから移動するようにすることもできる。
【0054】
図5の場合は、プールコンベア10が果菜搬送体22の側方の二以上の箇所に、果菜搬送体22と直交させて平行に配置してある。図5ではプールコンベア10を果菜Aの等階級の数だけ設けて、夫々のプールコンベア10に果菜Aを等階級別に送り出すことできるようにしてある。プールコンベア10は果菜搬送体22に対して多少斜め後方又は斜め前方に向けて配置することもできる。
【0055】
全てのプールコンベア10はベルトの本数、幅、長さ等を同じにする必要はなく、数の多い等階級の果菜を引き継ぐプールコンベア10は本数を多くしたり、横幅を広くしたり、長さを長くしたりすると多くの果菜Aを確実にプールすることができる。果菜Aの数が少ない等階級の果菜Aを引き継ぐプールコンベア10は本数を少なくしたり、横幅を狭くしたり、短くしたりしても、果菜Aを確実にプールすることができる。
【0056】
プールコンベア10は常時回転させておくことも可能であるが、果菜Aが送り込まれないときは一時停止にして待機させておき、果菜載せ体1から果菜Aが送り込まれるときに果菜一個分だけ回転して果菜Aが載るスペースが確保されるように制御することもできる。プールコンベア10の回転制御も、前記判別エリア25での判別結果に基づいて、制御装置によって行われる。
【0057】
(使用例1)
本発明の果菜自動選別装置の使用例を以下に説明する。
(1)果菜載せエリア24において、走行中の果菜載せ体1の果菜載せ部8に、作業員が果菜Aを一個ずつ載せる。この場合、果菜Aの形状、サイズ等により、一つの果菜Aを一つの果菜載せ体1のベルト4に載せたり、二以上の果菜載せ体1の二以上のベルト4に跨がせて載せたりする。このとき、作業者が、果菜Aを目視して傷の有無、変形、色付き具合等を判別して果菜載せ体1に載せ、判別結果に応じてトラッキングスイッチ23(図5図6)を押す。例えば、載せた果菜Aに少しの傷がある場合は二つ一組のトラッキングスイッチ23のいずれか一方を押し、色付きに難点がある場合は二つ一組のトラッキングスイッチ23の双方を押す等する。極度の傷があるとか極端に変形したりして、商品として販売できないような果菜Aは果菜載せ体1に載せない。
(2)果菜載せエリア24で載せた果菜Aは、果菜搬送体22で搬送されて判別エリア25に到達すると、計測器Bで大きさ、形状等が計測されて、自動的に等階級が判別される。
(3)計測された果菜Aは無端走行回転体21走行により仕分けエリア26に搬送される。仕分けエリア26において、前記判別結果に基づいて、どの果菜載せ体1の果菜Aをどのプールコンベア10に送り出すか指示され、この指示に基づいて、切替えレバー28が進路変更位置に切換えられ、送り出す果菜Aが載っているベルト4の突起6が往ガイド27に案内される。果菜Aが二以上のベルト4に跨がって載っている場合は、二以上の切替えレバー28が同期して動作して、二以上の果菜載せ体1の突起6がほぼ同期して同方向に案内される。
(4)果菜載せ体1の突起6が往ガイド27に案内されると、果菜載せ体1のベルト4の上走行部4aが突起6と同方向に移動し、上走行部4aのベルト4(図1図3)に載せてある果菜Aがプールコンベア10へ送り出される(等級別に仕分けされる)。このとき、プールコンベア10は果菜一個分だけ回転して、果菜Aを一個だけ載せるスペースが確保される。
(5)前記(3)において、果菜載せ体1をそのまま搬送する旨の指示があったときは、切替えレバー28は作動せずに進路不変位置に停止したままとなり、果菜Aを載せた果菜載せ体1の突起6が往ガイド27を通過する。通過して当該果菜Aの本来の仕分け位置まで搬送されると、前記計測結果に基づいて切替えレバー28が進路変更位置に切替えられて、その果菜載せ体1の突起6が往ガイド27に案内されて、果菜載せ体1の突起6とベルト4が前記(4)の場合と同様に回転して、果菜が果菜搬送側方のプールコンベア10に送り出される。
(6)前記(3)〜(5)の繰返しにより、判別済みの果菜は、仕分けエリア26において、等階級別にプールコンベア10に送り込まれて、等階級別に仕分けされる。
(7)果菜載せ体1が果菜搬送体22の搬送方向斜め後方を向いている場合は、果菜載せ体1の上の果菜Aは斜め後方に送り出されて送り出し速度が減速されるため、プールコンベア10に送り出されるときに、送り出し慣性により勢いが付きすぎて転倒するとか、プールコンベア10に先にプールされている果菜Aに衝突するといったことがなく、果菜Aに傷付きにくくなる。
(8)果菜Aを送り出した果菜載せ体1は無端走行回転体21の走行回転によってそのまま走行を継続して果菜載せエリア24に戻る。戻る前に、突起6が果菜搬送体22の途中下方に配置されている復ガイド29に案内されて果菜を送り出す前の元の位置まで自動的に戻される。この戻しに伴って果菜載せ体1のベルト4も果菜Aを送り出す前の元の位置まで自動的に戻って、多数のベルト4の果菜載せ部8(図1図3)が一列に揃う。
(9)プールコンベア10に送り出された果菜Aは一定数量になるまでプールされてから、プールコンベア10の回転によって、次の作業工程に送り込まれる。
【0058】
前記実施形態は、ベルト4が往復移動する場合であるが、本発明ではベルトが、一方向に循環回転する場合であってもよい。この場合の果菜自動選別方法はベルトが一方向循環回転すること以外は前記実施形態の場合と同様である。この場合、ベルト4はモータ等で一方向に循環回転させ、果菜送り出し後に、果菜載せエリア24に戻るまでの間に、果菜を載せる前の元の位置に戻って、果菜載せ部8が一例に戻るようにする。
【0059】
前記実施形態は、果菜送り出し方向を斜め後方又は斜め前方とする場合であるが、本発明では真横に送り出すこともできる。この場合、果菜載せ体1のベルト4をフレーム2の横方向に対して直交する向きで(真横に向けて)巻くことができる。この果菜載せ体1を無端走行回転体に対して、ベルト4が果菜搬送方向真横を向くように取り付けることもできる。
【0060】
果菜Aを斜め後方、斜め前方、真横のいずれに送り出す場合であっても、果菜載せ体1のベルト4と、プールコンベア10の間に減速体を設けて、ベルト4から送り出される果菜の送り出し速度を減速させて、果菜Aがプールコンベア10に載り移るときに転倒しにくくなるようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は前記実施形態に例示した果菜以外の果菜の選別に利用することができる。可能であれば、壊れやすい、形が崩れやすい物品、例えば、食品等の製造ラインに利用することもできる。
【符号の説明】
【0062】
1 果菜載せ体
2 フレーム
3 ベルト巻回部
4 ベルト
4a (ベルトの)上走行部
4b (ベルトの)下走行部
5 支持具
6 突起(ピン)
7 ローラ
8 果菜載せ部
9 スリット
10 プールコンベア(引き継ぎ体)
20 果菜自動選別装置
21 無端走行回転体
22 果菜搬送体
23 トラッキングスイッチ
23a 無端走行回転体
24 果菜載せエリア
25 判別エリア
26 仕分けエリア
27 往ガイド
28 切替えレバー(切替体)
29 復ガイド
A 果菜
B 計測器
H1 駆動ホイール
H2 従動ホイール
L (ベルトの)長さ
M モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9