(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラは、前記セグメント化されたLEDチップの第1セクションにおいて、前記第1LEDおよび前記第2LEDに対して接続されている第1駆動回路、を含み、
前記コントローラは、前記セグメント化されたLEDチップの第2セクションにおいて、前記第1LEDおよび前記第2LEDに対して接続されている第2駆動回路、を含み、
前記第1駆動回路は、前記第1セクションにおいて前記第2LEDによって生成される第1信号に基づいて、前記第1セクションにおける前記第1LEDの輝度を第1量だけ変更するように構成されており、かつ、
前記第2駆動回路は、前記第2セクションにおいて前記第2LEDによって生成される第2信号に基づいて、前記第2セクションにおける前記第1LEDの輝度を第2量だけ変更するように構成されており、
前記第2信号は、前記第1信号と同時に生成されており、かつ、前記第2量は、前記第1量とは異なる、
請求項1に記載の装置。
前記逆方向バイアスされたLEDにおいて、前記逆方向バイアスされたLEDそれぞれの吸収帯は、前記第1LEDおよび前記第2LEDいずれのそれぞれの吸収帯とも異なっている、
請求項7に記載の装置。
前記所与の第1LEDおよび前記所与の第2LEDが前記セグメント化されたチップの同じ部分に配置されている場合に、前記所与の第1LEDは、前記所与の第2LEDと共同設置されている、
請求項12に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の態様に従って、複数のLEDを含むセグメント化された発光ダイオード(LED)チップが開示される。セグメント化されたLEDチップ上の各LEDには、そのLEDが他のものとは別個にバイアスされることを可能にする接点ペア(a pair of contacts)が備えられている。結果として、セグメント化されたLEDチップにおけるLEDのいくつかは、周囲光を検出するための検出器(detector)として使用され、一方で、他のものは発光器(emitter)として使用され得る。セグメント化されたLEDチップにおける任意の所与のLEDは、そのLEDに対して順方向バイアス(forward bias)が適用されたときに発光器として使用され得る。同様に、セグメント化されたLEDチップにおける任意のLEDは、そのLEDに対して逆方向バイアスが適用されたときに検出器として使用され得る。
【0007】
本開示の態様に従って、セグメント化されたLEDチップにおけるLEDのいくつかは、検出器としての使用のために最適化されてよい。例えば、最適化されたLEDのいずれかには、その吸収帯(absorption band)を狭めるためのフィルタ構造が備えられてよい。別の例として、最適化されたLEDのいずれかは、例えば、LEDの吸収帯をシフトかつ/あるいは拡張するために、イオン注入(ion implantation)によってさらにドープされてよい。さらに別の例として、最適化されたLEDのいずれかは、フィルタ構造を備えること、および、そのLEDの吸収帯を微調整(fine-tune)するために追加的にドープされること、の両方であってよい。
【0008】
本開示の態様に従って、セグメント化されたLEDチップは、改良された適応照明システム(adaptive lighting system)を構築するために使用され得る。従来の適応照明システムは、別個のチップ上に配置された発光器(light emitters)および光検出器(light detectors)を含んでいる。しかしながら、セグメント化されたLEDチップは同じダイ上に発光器と光検出器の両方を含んでいるので、改良された適応照明システムの中に含まれることを要するパーツの数量が、システムのセンサ設置面積(footprint)と一緒に削減される。
【0009】
本開示の態様に従って、セグメント化されたLEDチップは、発光器と光検出器が同じ光学素子(optics)を共有することを可能にし得る。発光器と光検出器は、チップのダイ上で互いに近接して配置されているので、光学的アライメントを必要としないで、両方が同じレンズ(または、別のタイプの光学ユニット)の下にフィット(fit)することができる。容易に理解できるように、同じレンズの下に発光器と検出器を収めることは、発光器と光検出器が別個のレンズを使用するとした場合に必要となるであろう定期的な光学的アライメントの必要性を排除する。
【0010】
本開示の態様に従って、セグメント化されたLEDチップは、従来の照明システムでは見られなかった微細な照明コントロールを可能にし得る。発光器と光検出器は、チップのダイ上で互いに近接して配置されているので、異なる発光器検出器のペアが、レンズアレイの中で異なるレンズの下にフィットすることができる。アレイの中の各レンズは、それぞれの発光器から発せられた光を異なる中心方向にガイドするように構成されてよい。加えて、各レンズは、レンズのそれぞれの中心方向からレンズに入射する光を、そのそれぞれの光検出器に対して、通過させるように構成されてよい。このように、各レンズそれぞれの光検出器は、レンズそれぞれの発光器と主に関連する周囲光の条件を測定するように効果的に構成され得る。このことは、次に、過度に照明(over-illuminated)されていない領域に向けて方向付けられているセグメント化されたLEDチップにおける他のLEDの輝度(brightness)を変更することなく、過度に照明された領域に向けて方向付けられた発光器LEDを暗くすることを可能にし得る。
【0011】
本開示の態様に従って、セグメント化されたLEDチップ上に形成されたトレンチによって分離されている複数のLEDを含むセグメント化された発光ダイオード(LED)チップ、を含む装置が開示される。各LEDは、それぞれの発光帯(emission band)及びそれぞれの吸収帯を有しており、ここで、複数のLEDは、1つまたはそれ以上の第1LEDおよび1つまたはそれ以上の第2LEDを含む。そして、第2LEDのうち少なくとも1つは、トレンチが形成された後でセグメント化されたLEDチップに対して実行される処理の結果として、第1LEDのいずれとも異なる吸収帯を有するように構成されている。
【0012】
本開示の態様に従って、セグメント化されたLEDチップ上に形成されたトレンチによって分離されている複数のLEDを含むセグメント化された発光ダイオード(LED)チップと、セグメント化されたLEDチップにおける第1LEDと第2LEDに対して順方向バイアスを適用し、かつ、第1LEDと第2LEDそれぞれの輝度を異なる量だけ変化させるように構成されたコントローラと、を含む装置が開示される。ここで、第1LEDの輝度は、セグメント化されたLEDチップにおける逆方向バイアスされたLEDによって生成される第1信号に基づいて変更され、かつ、第2LEDの輝度は、セグメント化されたLEDチップにおける別の逆方向バイアスされたLEDによる第1信号と同時に生成される第2信号に基づいて変更される。
【0013】
本開示の態様に従って、セグメント化されたLEDチップ上に形成されたトレンチによって分離されている複数のLEDを含むセグメント化された発光ダイオード(LED)チップと、複数の1つまたはそれ以上の第1LEDに対して順方向バイアスを適用し、複数の1つまたはそれ以上の第2LEDに対して逆方向バイアスを適用し、かつ、所与の第1LEDと同じ位置に置かれた1つまたはそれ以上の第2LEDによって生成される信号に基づいて所与の第1LEDの輝度を変更する、ように構成されたコントローラと、を含む装置が開示される。
【0014】
異なる適応照明システムの実施例が、添付の図面を参照して、これ以降により完全に説明される。これらの例は相互に排他的なものではなく、そして、一つの例において見られる特徴は、追加的な実施を達成するために、1つまたはそれ以上の他の例において見られる特徴と組み合わせることができる。従って、添付の図面に示される例は、説明の目的のためだけに提供されており、かつ、いかようにも本開示を限定するように意図されたものではないことが理解されよう。同様な番号は、全体を通して同様な要素(element)を参照するものである。
【0015】
第1(first)、第2(second)、等の用語は、ここにおいては様々な要素を説明するために使用され得るが、これらの要素がこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるだろう。これらの用語は、一つの要素を別の要素と区別するためにだけ使用されるものである。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1要素が第2要素と呼ばれることができ、同様に、第2要素が第1要素と呼ばれることができるだろう。ここにおいて使用されるように、用語「及び/又は(”and/or”)」は、関連する列挙された項目の1つまたはそれ以上のうちのいくらか及び全ての組み合わせを含んでいる。
【0016】
層(layer)、領域(region)、または基板(substrate)といった要素が他の要素の「上に(”on”)」存在する、または、「上へ(”onto”)」延びているものとして言及される場合は、それが他の要素の上に直接的に存在するか、または、他の要素の上へ直接的に延びてよく、もしくは、介在する要素(intervening elements)が存在してもよいことが理解されるだろう。対照的に、要素が他の要素の「直接的に上に(”directly on”)」存在する、または、「直接的に上へ(”directly onto”)」延びているものとして言及される場合には、介在する要素は存在しない。要素が他の要素に対して「接続されている(”connected”)」または「結合されている(”coupled”)」ものとして言及されている場合は、また、それが他の要素に対して直接的に接続され、または、結合されてよく、もしくは、介在する要素が存在してもよいことが理解されるだろう。対照的に、要素が別の要素に対して「直接接続されている(”directly connected”)」または「直接結合されている(”directly coupled”)」ものとして言及される場合には、介在する要素は存在しない。これらの用語は、図面に描かれた任意の向きに加えて、要素の異なる向きを包含するように意図されていることが理解されよう。
【0017】
「下(”below”)」または「上(”above”)」または「上方(”upper”)」または「下方(”lower”)」または「水平(”horizontal”)」または「垂直(”vertical”)」といった相対的な用語は、ここにおいて、図に示されるように、別の要素、層、または領域に対する一つの要素、層、または領域の関係を記述するために、ここにおいて使用されてよい。これらの用語は、図面に描かれた向きに加えて、デバイスの異なる向きを包含するように意図されていることが理解されよう。
【0018】
図1と
図2は、本開示の態様に従って、セグメント化されたLEDチップ100の一つの例を示している。特定的に、
図1は、セグメント化されたLEDチップ100の上面図であり、そして、
図2は、セグメント化されたLEDチップ100の側面図である。セグメント化されたLEDチップ100は、複数のセグメントへと分割される単一の(single)LEDダイを含んでおり、それぞれが残りのセグメントとは別個に動作するように構成されている。より特定的には、この例において、セグメント化されたLEDチップ100は、チップのダイ上に形成されたトレンチ120によって分離された複数のLED110を含んでいる。セグメント化されたLEDチップ100におけるLED110それぞれには、そのLEDが残りとは別個にバイアスされることを可能にするそれぞれの接点ペア130が備えられている。
【0019】
いくつかの実装形態において、セグメント化されたLEDチップ100は、標準的なLEDと同様な又は同一のサイズであってよく、そして、各LED110(例えば、セグメント)は、典型的なLEDよりも小さくてよい。例えば、標準的な1mm×1mmのLEDチップは、それぞれ200μm×200μmの5×5のLED(またはセグメント)で構成され得るだろう。サイズは、製造能力によって規定されるセグメント(例えば、LED)間の分離に依存している。本実施例に従って、LED110は、相互に電気的に絶縁されている。例えば、LED110間のあらゆる電気的接続を切断するように、セグメント化されたLEDチップ100のダイを絶縁基板またはサブマウントにまでドライエッチング(dry etching)することによるものである。接点は、周知の方法で各LED110上に別個に配置されるだろう。
【0020】
LEDは別個にバイアスされることが可能なので、セグメント化されたLEDチップ100は、LED110のいくつかを順方向バイアスし、一方で、他のものを逆方向バイアスすることによって、同時に発光器および検出器として動作させることができる。当技術分野において周知のように、LEDに対して順方向バイアスが適用されると、そのLEDは光を発し、そして、本明細書の命名法(nomenclature)の下では発光器として(または、発光器モードで)動作するように言われている。同様に、所与のLEDに対して逆方向バイアスが適用されると、そのLEDは光検出器として動作し、そして、本明細書の命名法の下では検出器として(または、検出器モードで)動作するように言われている。さらに、セグメント化されたLEDチップ100におけるLED110それぞれは独立してバイアスされ得るので、チップの中の発光器と検出器の位置、並びに相対的な数量は、セグメント化されたLEDチップ100を駆動する任意の制御回路によって選択的に設定することができる。以下でさらに説明されるように、セグメント化されたLEDチップにおける発光器と検出器の所与のコンフィグレーションは、そのセグメント化されたLEDチップにおいて付与される「動作パターン(”operational pattern”)」として参照することができる。
【0021】
図3A、
図3B、および
図3Cは、本開示の態様に従って、セグメント化されたLEDチップにおいて付与され得る異なる動作パターンの例を示している。より特定的に、
図3Aは、第1動作パターンに従って動作するように構成されているセグメント化されたLEDチップ300aの一つの例を示している。このパターンにおいて示されるように、LED312aは逆方向バイアスされており、そして、検出器として動作するように構成されている。一方、LED314aは順方向バイアスされており、そして、発光器として動作するように構成されている。
図3Bは、第2動作パターンに従って動作するように構成されているセグメント化されたLEDチップ300bの一つの例を示している。示されるように、第2動作パターンに従って、LED312bは逆方向バイアスされており、そして、検出器として動作するように構成されている。一方、LED314bは順方向バイアスされており、そして、発光器として動作するように構成されている。
図3Cは、第3動作パターンに従って動作するように構成されているセグメント化されたLEDチップ300cの一つの例を示している。示されるように、第3動作パターンに従って、LED312cは逆方向バイアスされており、そして、検出器として動作するように構成されている。一方、LED314cは順方向バイアスされており、そして、発光器として動作するように構成されている。
【0022】
いくつかの態様において、検出器として動作するLEDの数量は、必要とされる感度量(amount of sensitivity)に応じて変動し得る。より大きい感度が必要とされる場合には、所与のセグメントLEDチップにおいてより多くのLEDが検出器として動作され得る。対照的に、低減された感度が必要とされる場合には、所与のセグメント化されたLEDチップにおいてより少ないLEDが、検出器として使用され得る。追加的または代替的に、いくつかの実装においては、セグメント化されたLEDチップにおける全てのLEDが発光器として動作する(例えば、順方向バイアスされる)ように構成され得る。追加的または代替的に、いくつかの実装においては、セグメント化されたLEDチップにおける全てのLEDが検出器として動作する(例えば、逆方向にバイアスされる)ように構成され得る。
【0023】
いくつかの実装形態において、セグメント化されたLEDチップ上のLEDは、過渡電圧抑制(transient voltage suppression、TVS)を提供するように構成され得る。セグメント化されたLEDチップにおける全てのLEDが発光器として動作することが望ましいインスタンスにおいては、1つのLEDが、それにもかかわらず、TVSを提供するように反対の極性に保持されてよい(例えば、逆方向にバイアスされる)。セグメント化されたLEDチップにおける全てのLEDが検出器として動作することが望ましいインスタンスにおいては、1つのLEDが、それにもかかわらず、TVSを提供するように反対の極性に保持されてよい(例えば、順方向にバイアスされる)。
【0024】
いくつかの態様において、セグメント化されたLEDチップにおけるLEDのいくつかは、検出器として機能するように最適化され得る。
図4は、チップのダイ上に形成されたトレンチ430によって分離されたLED410および420を含む、セグメント化されたLEDチップ400の上面図である。LED410および420それぞれは、それぞれの吸収帯、および、それぞれの放射帯を有している。しかしながら、LED420のいずれの吸収帯もLED410それぞれの吸収帯とは異なっている。例えば、LED420のいずれもが、LED410それぞれの吸収帯よりも広い吸収帯を有することができる。別の例として、LED420のいずれもが、LED410いずれもの吸収帯に関してシフトされた吸収帯を有し得る。いくつかの態様において、LED410とLED420との間の吸収帯の差は、特定のアプリケーションに適合するようにLED420を微調整した結果であり得る。ハロゲン光源によって発せられた光を検出するといったもので、検出器として使用される場合にはLED410が良好に検出することができないものである。
【0025】
LED420のいずれも、LED410のいずれもと同一の構造として開始することができる。例えば、LED420を生成するためにトレンチ430が形成された後で、イオン注入(ion implantation)によってさらに変更されるものである。イオン注入の結果として、LED410の結晶格子においては見られない追加の原子及び/又は欠陥(例えば、空孔、介在物(interstitials)、置換物(substitutionals)、等)が存在してよい。これらの追加的な原子及び/又は欠陥は、LED活性領域のバンドギャップ内で深いトラップ準位(deep level traps)を形成し、そして、これらの深いトラップ準位は、最終的にLED410とは異なる吸収帯を有しているLED410を結果として生じる、より低いエネルギー(すなわち、より長い波長)の吸収中心として動作する。いくつかの実装形態において、LED420のいずれもが、所与の注入要素(例えば、鉄、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス)のより大きな濃度の原子を含み得るものであり、または、LED410それぞれよりも点欠陥(例えば、空孔、介在物、等)を結果として生じている。例えば、所与の要素の原子が、LED410の中により低濃度で存在することがあり、または、全く存在しないこともある。追加的にまたは代替的に、いくつかの実装形態でおいて、LED420のいずれもが、LED410それぞれよりも大きい濃度の点欠陥を含むことがある。
【0026】
この例においては、全てのLED420が同一の吸収帯を有しているが、いくつかの実装形態において、LED420の少なくともいくつかは、異なる吸収帯を有し得る。例えば、セグメント化されたLEDチップ400は、ハロゲンヘッドライトから発せられた光を検出するように最適化された第1LED420、キセノンヘッドライトから発せられた光を検出するように最適化された第2LED420、および、白熱光ヘッドライトからの光を検出するように最適化された第3LED420を含んでよい。いくつかの態様において、第1、第2、および第3LED420(または、それらのうち少なくとも2つ)は、吸収帯における変化を達成するために、異なる要素を用いて、かつ/あるいは、異なる量でドープされてよい。
【0027】
いくつかの実装形態においては、第2LEDの吸収帯が、検出器として働いている間に、適用される逆方向バイアスの大きさを変えることによって変更され得る。III族窒化物LEDにおいて、例えば、逆方向バイアスの大きさにおける増加は、最初に吸収帯をより短波長へシフトする。適用されるバイアスが活性領域内の分極誘起電場(polarization-induced electric fields)に対抗すると、量子井戸帯(quantum well band)が平坦化するからである。逆方向バイアスの大きさが増加し続けると、吸収帯は、より長い波長へシフトする。
【0028】
図5は、本開示の態様に従って、検出器としての使用のために最適化されたLEDを含む、セグメント化されたLEDチップ500の別の例を示している。セグメント化されたLEDチップ500は、チップのダイ上に形成されたトレンチ530によって分離されたLED510およびLED520を含む。LED520それぞれは、それぞれの発光面の1つまたはそれ以上において形成されたフィルタ構造を備えている。フィルタ構造を備えている結果として、LED520のいずれもが、LED510それぞれよりも狭い吸収帯を有し得る。いくつかの態様において、LED510と520との間の吸収帯の差異は、特定の目的に適合するようにLED520を微調整した結果であり得る。
【0029】
いくつかの実装形態において、LED520のそれぞれのフィルタ構造は、セグメント化されたLEDチップ500のトレンチがエッチングされた後で形成されてよい。LED520それぞれは、LED510と実質的に同一のベース構造(例えば、LED)として開始することができ、その表面の1つまたはそれ以上においてそれぞれのフィルタ構造を含むようにさらに処理される。LED520それぞれのフィルタ構造は、例えば、プラズマ強化化学蒸着(plasma enhanced chemical vapor deposition)、原子層堆積(atomic layer deposition)、またはスパッタリングといった、任意の適切なタイプの技術を使用してデポジットされてよい。それぞれのフィルタ構造は、例えば、LED上に当たることが望ましくない所定の波長の光の高い反射率を生成する分布ブラッグ反射器(distributed Bragg reflectors、DBR)を形成するための誘電体層または誘電体層のスタックといった、任意の適切なタイプの材料で形成されてよい。本開示は、フィルタ構造及び/又は組成物をデポジットするための任意の特定なタイプのプロセスに限定されるものではない。
【0030】
上述のように、LED520それぞれは、それぞれのフィルタ構造を有するLED510の1つと実質的に同一であるベース構造(例えば、LED)をカバーすることによって形成されてよい。いくつかの態様において、所与のLED520のフィルタ構造は、所与のLED520のベース構造の吸収帯と部分的にだけオーバーラップする透過帯を有するように構成されてよい。例えば、所与のLED520のフィルタ構造は、それぞれの下限およびそれぞれの上限を有している透過帯(transmittance band)を有し得る。同様に、所与のLED520(または、LED510のいずれも)のベース構造は、それぞれの下限およびそれぞれの上限を有している吸収帯を有し得る。いくつかの態様において、フィルタ構造の透過帯の下限は、ベース構造(または、LED510のいずれも)の吸収帯の下限よりも大きくてよい。追加的または代替的に、フィルタ構造の透過帯の上限は、所与のLED520(または、LED510のいずれも)のベース構造の吸収帯の上限よりも低くてよい。
【0031】
図6は、本開示の態様に従って、適応照明システム600に係る一つの例の模式図である。適応照明システム600は、示されるように、セグメント化されたLEDチップ610およびコントローラ620を含んでいる。コントローラ620は、駆動回路622a−622dおよび制御回路624を含んでいる。
【0032】
駆動回路622a−622dそれぞれは、セグメント化されたLEDチップ610上で異なるLEDグループに対して結合されている。例えば、駆動回路622aは、グループAの一部である、LED612aと614aに結合されている。駆動回路622bは、グループBの一部である、LED612bと614bに結合されている。駆動回路622cは、グループCの一部である、LED612cと614cに結合されている。駆動回路622dは、グループDの一部である、LED612dと614dに結合されている。本実施例に従って、LED612a−612dそれぞれは、それに対して順方向バイアスを適用することによって発光器として動作するように構成されている。さらに、本実施例に従って、LED614a−614dそれぞれは、それに対して逆方向バイアスを適用することによって検出器として動作するように構成されている。このように、駆動回路622a−622dそれぞれは、発光器LEDおよび検出器LEDに対して接続されている。本実施例において、グループA−Dそれぞれは、1つの発光器と1つの検出器だけを含んでいるが、グループA−Dのいずれかが複数の発光器及び/又は複数の検出器を含む代替的な実装形態が可能である。例えば、グループA−Dのいずれかは、任意の数の発光器(例えば、1個、5個、20個、30個、等)を含んでよい。同様に、グループA−Dのいずかは、任意の数の検出器(例えば、1個、5個、20個、30個、等)を含んでよい。例えば、いくつかの実装形態において、グループA−Dのいずれかは、1個の検出器と5個の放射器を含んでよい。従って、いくつかの実装形態においては、発光器と検出器が、ペアでマッチングされる必要はない。
【0033】
本開示の態様に従って、駆動回路622aは、LED614bによって生成される信号に基づいてLED612aの輝度を変更するように構成され得る。いくつかの実装形態において、LED612aの輝度を変更することは、LED612aの輝度を上げること、LED612aの輝度を下げること(例えば、LED612aを暗くする)、LED612aをターンオンすること、および、LED612aをターンオフすることを含んでよい。代替的に、いくつかの実装形態において、LED612aの輝度を変更することは、LED612aの輝度を増加させること、および、LED612aの輝度を減少させること(例えば、LED612aを暗くする)だけを含んでよい。本実施例に従って、LED612aを作動させるときにLED612aを駆動するために使用されるパルス幅変調(PWM)波のオフ期間よりも長い期間についてターンオフに留まる場合に、LED612aはスイッチオフされたと見なされてよい。例えば、PWM波のオン期間とオフ期間の合計よりも長い持続時間(duration)について電力が供給されない場合に、LED612aはスイッチオフされたものと見なされてよい。別の例として、1秒またはそれ以上にわたり電力が供給されない場合に、LED612aはスイッチオフされたものと見なされてよい。いくつかの実装形態において、LED612aの輝度を増加させることは、LED612aに対して供給される電流を増加させることを含んでよい。追加的または代替的に、いくつかの実装形態において、LED612aの輝度を減少させることは、LED612aを完全にシャットオフすることなく、LED612aに対して供給される電流を減少させることを含んでよい。追加的または代替的に、LED612aをターンオンすることは、LED612aが作動されていないときに、LED612aに電流を供給し始めることを含んでよい。
【0034】
いくつかの実装形態において、駆動回路622aは、グループAにおけるLEDに入射する光の量に応じてLED612aの輝度を変化させ得る。例えば、LED614aによって生成される信号が、グループAのLEDに大量の光が入射していることを示している場合に、駆動回路622aは、LED612aの輝度を低下させてよい。代替的に、LED614aによって生成される信号が、グループAのLEDに少量の光が入射していることを示している場合に、駆動回路622aは、LED612aの輝度を増加させてよい。このように、この本実施例に従って、駆動回路622aは、LEDのグループ、及び/又は、セグメント化されたLEDチップ610の一部について局所的な適応照明機能を実施する。
【0035】
いくつかの実装形態においては、LED614aによって生成される信号が第1閾値を超えるときに、駆動回路622aは、LED612aの輝度を減少させてよい。追加的または代替的に、LED614aによって生成される信号が第2閾値を超えるときに、駆動回路622aは、LED612aの輝度を増加させてよい。追加的または代替的に、LED612aの輝度が減少または増加される量は、LED614aによって生成される信号の値の変化に比例し得る。このように、いくつかの実装形態において、LED612aの輝度は、離散的なステップではなく、むしろ連続的に調整することができる。
【0036】
いくつかの実装形態において、LED614aは、検出器として連続的に動作することができる。代替的に、いくつかの実装形態において、LED614aは、検出器および発光器の両方として動作することができる。例えば、LED614aのバイアスは、駆動回路622aによって周期的に、順方向から逆方向に切り替えて読み取りを行い、そして、次いで順方向に戻すことができる(例えば、
図13参照のこと)。LED614aのバイアスの切り替えは、非常に迅速に行われてよく(例えば、<10ns)、光収集(light collection)を可能にする。いくつかの実施形態において、LED614aのバイアスは、非常に高い周波数で切り替えることができ、そうして、LED614aの状態における変化は人間の目には知覚できない。本実施例に従って、LED614b-dは、それぞれの駆動回路によって同様に動作され得る。
【0037】
駆動回路612b-612cそれぞれは、駆動回路622aと同様なやり方で動作することができる。より特定的に、駆動回路622bは、LED614bによって生成される信号に基づいてLED612bの輝度を変化させるように構成された任意の適切なタイプの回路であってよい。駆動回路622cは、LED614cによって生成される信号に基づいてLED612cの輝度を変化させるように構成された任意の適切なタイプの回路であってよい。そして、駆動回路622dは、LED614dによって生成される信号に基づいてLED612dの輝度を変化させるように構成された任意の適切なタイプの回路であってよい。
【0038】
制御回路624は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プロセッサ、メモリ、及び/又は、駆動回路612a-dのうちのいずれかの状態を変化させるように構成されているあらゆる他の適切なタイプの回路、を含んでよい。例えば、所与の駆動回路の状態を変化させることは、所与の駆動回路に、特定の検出器LEDについて適用されるバイアスを増加または減少させることを含んでよい。別の例として、所与の駆動回路の状態を変化させることは、所与の駆動回路に、特定の発光器について供給される電流量を増加または減少させることを含んでよい。従って、いくつかの実施形態において、制御回路624は、所与の検出器LEDによって生成される信号と、関連する発光器LEDの光出力との間の関係を設定するように構成されてよい。所与の検出器LED及びそれらの関連する発光器LEDに接続されている駆動回路によって、続いて実施されるものである。
【0039】
いくつかの実施形態において、制御回路624は、コントローラ620から省略されてよい。そうした場合に、LEDグループA-Dそれぞれは、残りのものとは完全に独立して、別個の駆動回路によって制御され得る。
【0040】
本実施例において、コントローラ620は、単一のセグメント化されたLEDチップを含むLEDマトリクスを制御するように構成されている。しかしながら、いくつかの実装形態において、コントローラは、複数のセグメント化されたLEDチップ及び/又は1つまたはそれ以上の非セグメント化LEDチップを含むLEDマトリクスを制御するように構成されてよい。例えば、コントローラ620は、4つのセグメント化されたLEDチップを含むLEDマトリクスを制御するように構成されてよく、そうして、駆動回路622a-dそれぞれはセグメント化されたLEDチップのうち異なる1つに対して接続されている。
【0041】
この実施例では、グループA−DにおけるLEDは、異なる駆動回路に対して配線接続(hardwired)されている。しかしながら、いくつかの実装形態において、コントローラ620には、切り替え構造(switching fabric)が備えられてよく、制御回路624が、セグメント化されたLEDチップ610におけるLEDについての制御を駆動回路のいずれかに対して選択的に割り当てることを可能にする。例えば、切り替え構造は、制御回路624が、セグメント化されたLEDチップ610における全てのLEDを特定の駆動回路に対して接続することを可能にし得る。代替的に、切り替え構造は、制御回路624が、セグメント化されたLEDチップ610におけるLEDのうち半分を1つの駆動回路に対して接続することを可能することができ、一方で、他の半分を別の駆動回路に対して接続している。簡潔に言えば、切り替え構造は、制御回路624が、セグメント化されたLEDチップ610におけるLEDを任意の数のグループへ動的にグループ化し、かつ、各グループを異なる駆動回路に割り当てることを可能にし得る。
【0042】
図7は、本開示の態様に従った、適応照明システム700の1つの実施例に係る図である。適応照明システム700は、コントローラ720に対して接続されているセグメント化されたLEDチップ710を含んでいる。コントローラ720は、プロセッサ722、メモリ724、およびドライバ726を含んでいる。プロセッサ722は、任意の適切なタイプのプロセッサを含んでよい。1つまたはそれ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、汎用プロセッサ(例えば、ARMベースのプロセッサ、x86ベースのプロセッサ、MIPSプロセッサ、等)といったものである。メモリ724は、DRAM、EEPROM、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ(SSD)、およびハードドライブ、といった、任意の適切なタイプの揮発性および不揮発性メモリを含んでよい。ドライバ726は、セグメント化されたLEDチップ710におけるLEDいずれかに対して電流をバイアスし、かつ/あるいは、供給するように構成されている任意の適切なタイプの電子回路を含んでよい。
【0043】
いくつかの実装形態において、コントローラ720は、セグメント化されたLEDチップ710のLEDのうちのいくつかを、それらのLEDに順方向バイアスを適用することによって発光器として動作するように構成することができる。さらに、コントローラ720は、セグメント化されたLEDチップ710における他のLEDを、これらのLEDを逆方向バイアスすることによって検出器として動作するように構成することができる。その後で、コントローラ720は、
図15−17に関して以下に説明されるように、1つまたはそれ以上の検出器LEDによって生成される信号に基づいて、発光器LEDのいずれかの輝度を変化させ得る。
【0044】
いくつかの実装形態において、コントローラ720は、セグメント化されたLEDチップ710におけるLEDそれぞれを個々に扱う(address)ように構成されてよい。例えば、コントローラ720は、セグメント化されたLEDチップ710における任意のLEDのバイアスの大きさ及び/又は極性を、他のLEDチップとは独立して、変化させるように構成され得る。別の例として、コントローラ720は、セグメント化されたLEDチップ710における他のLEDのいずれに対する電流の供給も変化させることなく、セグメント化されたLEDチップ710における任意のLEDに対して供給される電流を増加または減少させるように構成されてよい。別の例として、コントローラ720は、セグメント化されたLEDチップ710におけるLEDの1つによって生成される信号を検出するように構成されてよい。本実施において、コントローラ720は、単一のセグメント化されたLEDチップから構成されているLEDマトリクスを制御するために使用されているが、代替的な実施が可能である、そこで、コントローラ720は、複数のセグメント化されたLEDチップを含むマトリクス、及び/又は、1つまたはそれ以上の非セグメント化LEDチップを含むマトリクスといった、任意の適切なタイプのLEDマトリクスを制御するように構成されている。
【0045】
図8は、本発明の態様に従って、セグメント化されたLEDチップを使用する適応自動車照明システムの動作に係る一つの例を示す図である。この実施例において、車両810および830は、道路800の上を相対する方向において走行している。車両810および830のヘッドライトそれぞれは、対向車(oncoming traffic)に出くわしたときに、適応動作をとるように構成されているコントローラによって駆動される、セグメント化されたLEDチップ(または、別のタイプのLEDマトリクス)を含んでいる。
【0046】
本実施例に従って、車両810は、空間822および空間824をそれぞれに照明するためにターンオンされるヘッドライト812および814を含んでいる。空間822は、車両810の前方の道路800の対応するセクション、並びに、その上の空間も含み得る。同様に、空間824は、車両810の前方の道路800の別の対応するセクション、並びに、その上の空間も含み得る。車両830は、空間842および空間844をそれぞれに照明するためにターンオンされるヘッドライト832および834を含んでいる。空間842は、車両830の前方の道路800の対応するセクション、並びに、その上の空間も含み得る。同様に、空間844は、車両830の前方の道路800の別の対応するセクション、並びに、その上の空間も含み得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、ヘッドライト812および814は、以下でさらに説明されるように、車両810のために様々な適応動作をとるように構成されている同一のコントローラによって操作されてよい。追加的または代替的に、ヘッドライト812および814は、異なるそれぞれのコントローラによって操作されてよい。従って、本開示は、車両810および830の適応照明システムに係るいずれかの特定のシステムトポロジ(topology)に限定されるものではないことが理解されよう。
【0048】
図9は、本発明の態様に従って、対向車に出くわしたときに
図8の適応自動車照明システムによって成され得る適応動作に係る一つの例を示す図である。より特定的には、車両830が空間822に進入するとき、ヘッドライト812は、ヘッドライトのセグメント化されたLEDチップにおける1つまたはそれ以上の検出器LEDを使用して、車両830のヘッドライト832から発せられる光を検出する。これに応じて、車両830の運転者の目をくらますこと(blinding)を回避するために、ヘッドライト812および814がターンオフされる。車両810および830が相互に通過すると、ヘッドライト834から発せられる光は、もはやヘッドライト812における検出器LEDを照らすことはなく、車両830のヘッドライト812および814が再びターンオンされる。この実施例においては、車両810および830のうちの1台だけがヘッドライトをターンオフするが、いくつかの実施形態においては、両方の車両がそれぞれのヘッドライトをターンオフ(または暗く)してよい。追加的または代替的に、いくつかの実装形態において、車両810および830のいずれかが、各ヘッドライトにおけるLEDのうちいくつかだけをターンオフ(または暗く)してよい。
【0049】
本開示の態様に従って、点滅状態(blinking condition)が生じることがある。車両810および830の両方が一つのサイクルに進入する場合であり、サイクルでは、両方の車両が、対向する光源を観察し、そして、ヘッドライトをターンオフ(または単に暗く)し、その後で両方の車両は、自身に当たる光が存在しないことを認識し、そして、ヘッドライトをターンオンに戻す。いくつかの実施形態において、車両810および830は、それらのうちどちらがヘッドライトをターンオフ(または単に暗く)するかを判断するために、コミュニケーションを交換することによって、点滅状態の発生を防止することができる。例えば、車両810および830それぞれは、ヘッドライトを規定の時間期間(例えば、30秒)だけオフに保つように指示するメッセージを他方の車両に対して送信することができる。メッセージは、車両のヘッドライト、無線トランシーバ、及び/又は、他の適切なタイプのデバイスを使用して送信されてよい。
【0050】
いくつかの態様において、車両810は、どちらの車両がヘッドライトをターンオフするかを決定するために車両830とコミュニケーションを交換するためのトランシーバとして、ヘッドライト812の一部であるセグメント化されたLEDチップを使用することができる。同様に、車両830は、どちらの車両がヘッドライトをターンオフするかを決定するために車両810とコミュニケーションを交換するためのトランシーバとして、ヘッドライト832の一部であるセグメント化されたLEDチップを使用することができる。コミュニケーションは、任意の適切なタイプの可視光通信(VLC)プロトコルを使用して交換され得る。簡潔に言えば、本実施例に従って、車両810および830のいずれかは、車両の前方の道路を照らすこと、および、対向車両とコミュニケーションを交換することの両方のために、ヘッドライトの一部であるセグメント化されたLEDチップを使用することができる。
【0051】
いくつかの態様において、車両810および830それぞれは、車両のヘッドライトとは別個のトランシーバを含み得るが、可視光帯または非可視光帯においてコミュニケーションを送信するために、セグメント化されたLEDチップ100といった、セグメント化されたLEDチップを依然として使用する。このようにしてセグメント化されたLEDチップを使用することは、セグメント化されたLEDチップにおけるLED間における緊密な空間的近接の結果として、セグメント化されたLEDチップの発光器および検出器のLEDが実際的には自己整列(self-aligned)することができるので有利であり得る。それらは、(定期的な)アライメントの費用なしに、非常にタイトなビームに置くことができる。
【0052】
図10Aは、本発明の態様に従って、対向車に出くわしたときに、
図8の適応自動車照明システムによって成され得る別の適応動作に係る一つの例を示す図である。この実施例において、車両810のヘッドライト812は、車両810の前方の道路を照明するために少なくとも1つのセグメント化されたLEDチップを使用し、そうして、セグメント化されたLEDチップにおける異なるLEDは空間822の異なる部分を照明するように構成されている。セグメント化されたLEDチップの使用により、車両810は、車両830によって占められる空間を照明する、そうしたLED(例えば、車両830の運転者の視界を妨げる可能性のあるLED)だけの輝度を低下させることができる。図示されるように、車両810は、空間822の一部分1010を照らすLEDの輝度を、それらが提供することが可能な最大輝度の30%まで低下させることができる。同様に、車両810は、空間822の一部分1020を照らすLEDの輝度を、それらの最大輝度の50%まで低下させることができる。同時に、車両810は、図示されるように、ヘッドライト812における残りの発光器LEDをその全能力で動作させ続けることができる。さらに、車両830は、空間842の一部分1030を照らすヘッドライト832におけるLEDを完全にターンオフすることができる。
【0053】
図10Aの例においては、ヘッドライト812および832におけるLEDは、左右方向に暗くにされるが、いくつかの実施形態においては、その代わりにヘッドライト812および832のLEDが、上下方向に暗くされてよい。
図10Bに示されるように、車両810は、空間822の一部分1040を照らすヘッドライト812におけるLEDの輝度を、それらが提供することが可能な最大輝度の30%まで低下させることができる。同様に、車両810は、空間822の一部分1050を照らすヘッドライト812におけるLEDの輝度を、それらの最大輝度の50%まで低下させることができる。同時に、車両810は、図示されるように、ヘッドライト812における残りの発光器LEDをその全能力で動作させ続けることができる。さらに、車両830は、空間842の一部分1060を照らすヘッドライト832におけるLEDを完全にターンオフすることができる。
【0054】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態において、車両810および820のヘッドライトは、左右方向および上下方向の両方で暗くすることができる。上述のように、空間822および842は3次元である。従って、空間822の任意の特定的な3次元部分を照明するヘッドライト812におけるLEDの輝度は、独立して変更され得る。同様に、空間842の任意の特定的な3次元部分を照明するヘッドライト832におけるLEDの輝度は、独立して変更され得る。以下でさらに説明されるように、適応照明調整に係るこのタイプの例えば高い細分性(granularity)は、セグメント化されたLEDチップ上の発光器LEDと検出器LEDとの間の空間的近接によって可能になり、それらが同じ光学素子と整列されるようにできる。
【0055】
図11Aは、本開示の態様に従って、ヘッドライト812に係る一つの例の分解図である。ヘッドライト812は、セグメント化されたLEDチップ1110および光学ユニット1120を含んでいる。セグメント化されたLEDチップ1110は、複数のセクション1112を含み、セクションそれぞれは、発光器として動作するように構成されている少なくとも1つのLEDおよび検出器として動作するように構成されている少なくとも1つのLEDを含んでいる。いくつかの実施形態において、セグメント化されたLEDチップ1110の任意のセクションは、複数の検出器LEDを含み得る。追加的または代替的に、LEDチップ1110の任意のセクションは、それぞれ異なる吸収帯を有する検出器LEDを含み得る。例えば、セグメント化されたLEDチップの1つまたはそれ以上のセクションは、ハロゲンヘッドライトから発せられる光を検出するように最適化された第1検出器LED、キセノンヘッドライトから発せられる光を検出するように最適化された第2検出器LED、および、白熱光ヘッドライトからの光を検出するように最適化された第3検出器LEDを含み得る。
【0056】
セクション1112それぞれは、光学ユニット1120の異なる光学素子1122と整列される。各光学素子1122は、
図11に示されるように、異なる中心方向1130を有し得る。いくつかの実装形態において、光学ユニット1120は、レンズアレイを含み、そして、光学素子1122それぞれは、アレイの一部であるレンズを含み得る。追加的または代替的に、光学ユニットは、複数のアパーチャ(apertures)(例えば、バレル又はレンズバレル)を含んでよい。各アパーチャは、光を特定の方向にガイドし、かつ/あるいは、特定の方向からアパーチャに到達する光を受け取るように構成されてよく、一方で、他の方向からアパーチャに入射する光を吸収している。簡潔に言えば、光学ユニット1220の各光学素子は、光を特定の方向へ/方向からガイドするように構成された任意の適切なタイプのデバイスであり得る。
【0057】
上述のように、ヘッドライト812の動作の最中に、対向車両のヘッドライトからの光は、検出器LED上に当たるように光学素子1122によってガイドされる。検出器LEDは、対向車両によって占められている道路の部分を照明しているまさにその発光器LEDと同じセクション1112の中に配置されているものである。検出器LEDは、検出器LEDの活性領域内のバンドギャップ(bandgap)より大きいエネルギーを有する対向光の波長を吸収する。検出器LEDにおいて吸収された光は、検出器LEDの電気端子に流れる電流へと変換される。適切にバイアスされている場合に、電流量は、検出器LEDに入射する光量に関係し、これは対向車の距離に関連し得るであろう。従って、セグメント化されたLEDチップ1110の所与のセクションにおける発光器LEDは、そのセクションにおける検出器LEDによって検出される光量に比例して暗くされ得る。より多くの光量が検出される場合、より少ない光量が検出される場合よりも低い輝度レベルにLEDまで暗くされてよい。いくつかの態様においては、対向車両がヘッドライト812に対して近づくにつれて、発光器LEDが徐々に暗くされてよい。
【0058】
上述のように、対向車両のヘッドライトから発せられた光を検知する検出器LEDは、光を発するLEDと同じチップの中に組み込まれている。結果として、所与の発光器LEDによって照明される角度及び/又は領域は、光学ユニット1120によって、セグメント化されたLEDチップ1110の同じセクションの中に配置されている所与の検出器LEDが敏感である角度及び/又は領域と同じであるように作成され得る。より特定的には、本開示の態様に従って、所定の角度及び/又は領域から入射する光だけが、セグメント化されたLEDチップ1110の任意の所与のセクションに入射する。セグメント化されたLEDチップ1110の任意の所与のセクション1112について、所与のセクションの整列された光学素子1122の中心方向1130は、所与のセクションの整列された光学素子1122を主に通過して所与のセクションに到達することができる。同様に、セグメント化されたLEDチップ1110の任意の所与のセクション1112における発光器LEDによって発せられた光は、所与のセクションの整列された光学素子によって、光学素子の中心方向1130にガイドされ得る。
【0059】
図11Bに示されるように、光学素子1122aは、セグメント化されたLEDチップ1110のセクション1112aから発する光を中心方向1130aにガイドするように構成されている。同様に、光学素子1122aは、中心方向1130aから光学素子1122aに入射する光をガイドし、そして、他の方向から光学素子1122aに入射する光を(ほとんど)反射かつ/あるいは吸収するように構成されている。従って、光学素子1122aと整列されている結果として、セグメント化されたLEDチップ1110のセクション112aは、圧倒的に中心方向1130から来る光を受け取るように構成されている。同様に、光学素子1122aと整列されている結果として、セグメント化されたLEDチップ1110のセクション1112aは、圧倒的に中心方向1130aにおいて光を発するように構成されている。
【0060】
さらに、
図11Bに示されるように、光学素子1122bは、セグメント化されたLEDチップ1110のセクション1112bから発する光を中心方向1130bにガイドするように構成されている。同様に、光学素子1122bは、中心方向1130bから光学素子1122bに入射する光をガイドし、そして、他の方向から光学素子1122bに入射する光を(ほとんど)反射かつ/あるいは吸収するように構成されている。従って、光学素子1122bと整列されている結果として、セグメント化されたLEDチップ1110のセクション1112bは、圧倒的に中心方向1130から来る光を受け取るように構成されている。同様に、光学素子1122bと整列されている結果として、セグメント化されたLEDチップ1110のセクション1112bは、圧倒的に中心方向1130bにおいて光を発するように構成されている。
【0061】
さらに、
図11Bに示されるように、光学素子1122cは、セグメント化されたLEDチップ1110のセクション1112cから発する光を中心方向1130cにガイドするように構成されている。同様に、光学素子1122cは、中心方向1130cから光学素子1122cに入射する光をガイドし、そして、他の方向から光学素子1122cに入射する光を(ほとんど)反射かつ/あるいは吸収するように構成されている。従って、光学素子1122cと整列されている結果として、セグメント化されたLEDチップ1110のセクション1112cは、圧倒的に中心方向1130から来る光を受け取るように構成されている。同様に、光学素子1122cと整列されている結果として、セグメント化されたLEDチップ1110のセクション1112cは、圧倒的に中心方向1130cにおいて光を発するように構成されている。
【0062】
簡潔に言えば、光学素子1122それぞれは、異なる中心方向1130を有してよく、そして、セグメント化されたLEDチップ1110の各セクション1112は、異なる光学素子1122と整列されてよい。その結果として、セグメント化されたLEDチップ1110の各セクションは、セグメント化されたLEDチップ1110によって照明される空間の異なる部分と関連付けされてよい。
【0063】
図12は、本開示の態様に従って、セグメント化されたLEDチップ1110の異なるセクションから発せられた光が光学ユニット1120によってガイドされる方法を示す概略図である。示されるように、光学素子1122aは、セクション1112aから発せられた光を空間822の部分1210aに向けさせる。同様に、光学素子1122aは、部分1210aから来る光をセクション1112aに向けさせる。光学素子1122bは、セクション1112bから発せられた光を空間822の部分1210bに向けさせる。同様に、光学素子1122bは、部分1210bから来る光をセクション1112bに向けさせる。光学素子1122cは、セクション1112cから発せられた光を空間822の部分1210cに向けさせる。同様に、光学素子1122cは、部分1210cから来る光をセクション1112cに向けさせる。光学素子1122dは、セクション1112dから発せられた光を空間822の部分1210dに向けさせる。同様に、光学素子1122dは、部分1210dから来る光をセクション1112dに向けさせる。光学素子1122eは、セクション1112eから発せられた光を空間822の部分1210eに向けさせる。同様に、光学素子1122eは、部分1210eから来る光をセクション1112eに向けさせる。光学素子1122fは、セクション1112fから発せられた光を空間822の部分1210fに向けさせる。同様に、光学素子1122fは、部分1210fから来る光をセクション1112fに向けさせる。光学素子1122gは、セクション1112gから発せられた光を空間822の部分1210gに向けさせる。同様に、光学素子1122gは、部分1210gから来る光をセクション1112gに向けさせる。光学素子1122hは、セクション1112hから発せられた光を空間822の部分1210hに向けさせる。同様に、光学素子1122hは、部分1210hから来る光をセクション1112hに向けさせる。光学素子1122iは、セクション1112iから発せられた光を空間822の部分1210iに向けさせる。同様に、光学素子1122iは、部分1210iから来る光をセクション1112iに向けさせる。
【0064】
本開示の態様に従って、セグメント化されたLEDチップ1110の任意のセクションにおける発光器LEDは、そのセクションにおける検出器LEDによって生成される信号に基づいてのみ(または、ほぼ)制御され得る。このことは、次に、セグメント化されたLEDチップ1110の任意の所与のセクションにおけるLEDの輝度が、それらによって照明される特定の領域(または空間)における照明条件に基づいて制御されることを結果として生じる。
図10に関して説明したように、セグメント化されたLEDチップ1110の異なる部分にわたるこのタイプの細分制御(granular control)により、対向するトラフィックに当たるヘッドライト812の中のLEDだけを調整することが可能である。
【0065】
本実施例において、ヘッドライト812は単一のセグメント化されたLEDチップを含んでいるが、複数のセグメント化されたLEDチップが使用される代替的な実施形態が可能である。そうしたインスタンスにおいて、各セグメント化されたチップは、光学ユニット1120の異なる光学素子1122と整列されてよい。さらに、本実施例において、光学ユニット1120は、9つの光学素子を含むが、光学ユニットの中に異なる数の光学素子が含まれている代替的な実装形態が可能である(例えば、2つの光学ユニット、4つの光学ユニット、5つの光学ユニット、等)。さらに、ヘッドライト812は、セグメント化されたLEDチップ1110、または、ヘッドライト812の一部である複数のLEDチップを駆動するための任意の適切なタイプのコントローラを含み得る。例えば、ヘッドライト812は、コントローラ620またはコントローラ720といった、コントローラを含み得る。
【0066】
本開示の態様に従って、セグメント化されたLEDチップ1110における検出器LEDは、クロストークの影響を受けやすいことがある。クロストークは、セグメント化されたLEDチップ1110から発せられた光が、光学ユニット1120(または、ヘッドライト812の別のエレメント)によって反射されてセグメント化されたLEDチップ1110における検出器へ戻るときに発生し得る。クロストークの発生は、検出器LEDの感度を損ない得るものである。従って、入射光に対する検出器LEDの感度を向上させるために、検出器LEDが読み取られる短期間について、発光器LEDは周期的に暗くされ又はシャットオフされてよい。検出器LEDが暗くされ又はシャットオフされる期間は、人間の目の時間応答よりも短くすることができ、調光(またはシャットオフ)が気付かれないようにしている。
【0067】
図13は、本発明の態様に従って、セグメント化されたLEDチップ1110における発光器LEDと反射器LEDとの間のクロストークを回避するためのプロセス1300に係る一つの例のフローチャートである。示されるように、プロセス1300に従って、セグメント化されたLEDチップ1110における発光器LEDは、第1状態(ステップ1310)と第2状態(ステップ1320)との間で循環され(cycled)、一方で、発光器LEDが第2状態にある場合にだけ、セグメント化されたLEDチップ1110の同じセクション(またはグループ)の中に配置されている1つまたはそれ以上の指定された検出器LEDからの読み取りが行われている(ステップ1330)。
【0068】
いくつかの実装形態において、指定された検出器LEDは、継続的にそのように動作することができる。追加的または代替的に、いくつかの実装形態において、1つまたはそれ以上の指定された検出器LEDは、発光器LEDが第1状態にあるときに発光器として動作することができ、そして、発光器LEDが第2状態にある期間の最中には、それぞれのバイアスの極性を変更することによって、検出器モードへ切り替えることができる。
【0069】
いくつかの実装形態において、発光器LEDの第2状態は、発光器LEDを駆動するために使用されるPWM波のオフ期間と一致し得る。追加的または代替的に、第2状態は、PWM波のオン期間およびオフ期間の両方と一致し得る。例えば、発光器LEDを駆動するPWM波が第1デューティサイクルを有するときに、発光器LEDは第1状態にあってよい。さらに、発光器LEDを駆動するPWM波が第1デューティサイクルよりも短い第2デューティサイクルを有するときに、発光器LEDは第2状態にあってよい。簡潔に言えば、いくつかの実装形態において、発光器LEDは、それを駆動するPWM波のデューティサイクル(及び/又は電流量)を変化させることによって、第1状態と第2状態との間を移行され得る。本開示の態様に従って、発光器LEDの第1状態は、発光器LEDが、第1輝度レベル(例えば、発光器の最大輝度の100%、発光器の最大輝度の80%、等)で動作している状態であり得る。第2状態は、発光器LEDが、第1輝度レベルよりも低い第2輝度レベルで動作している状態であり得る。例えば、第2状態は、発光器LEDが完全にスイッチオフされた状態、または、発光器LEDが暗くされている(例えば、最大輝度の40%で動作している)状態であってよい。いくつかの態様においては、上述のように、セグメント化されたLEDチップ1110(または、別のタイプのLEDマトリクス)における全ての発光器LEDが、第1状態と第2状態との間を同期して循環され得るが、セグメント化されたLEDチップ1110の異なるセクション(またはグループ)の中に配置されている発光器LEDについて、それぞれの第1状態及び/又はそれぞれの第2状態は異なっていてよい。例えば、1つのグループ(及び/又はチップセクション)の中の発光器LEDが、80%と40%との間の輝度を循環し、一方で、別のグループ(及び/又はチップセクション)の中の発光器LEDは、70%と40%との間の輝度を循環してよい。
【0070】
本開示の態様に従って、セグメント化されたLEDチップ1110における1つまたはそれ以上の発光器LEDによって発せられた光が隣接するLEDに向けて方向付けられるときに、別のタイプのクロストークが生じ得る。
図14Aと
図14Bは、そうしたクロストークを回避するように最適化されているセグメント化されたLEDチップ1400の一つの例を示している。より特定的に、
図14Aは、セグメント化されたLEDチップ1400の上面図であり、一方で、
図14Bは、セグメント化されたLEDチップ1400の側面図である。セグメント化されたLEDチップ1400は、トレンチ1420によって分離された複数のLED1410を含んでいる。トレンチ1420の内側には、複数のセルを含むフェンス構造が形成されている。各セルの内側には、示されるように、異なるLED1410が配置されている。各セルの壁は、その中に囲い込まれているLEDよりも高くてよく、従って、そのLEDによって発せられた光が、隣接するLEDに向かって横向きに進行するのを防止している。いくつかの態様において、フェンス構造1430は、反射性コーティングを有する任意の適切な材料(例えば、ガラス、金属、等)で形成され得る。例えば、金属(例えば、銀)、誘電体分布ブラッグ反射器(DBR)、またはシリコンベースの光散乱マトリクス、といったものである。いくつかの態様において、フェンス構造1430は、例えば、反射性金属を用いて被覆された誘電体フェンスといった、材料の組み合わせによって形成され得る。いくつかの実装形態において、フェンス構造1430の各セルの壁は、その中に囲い込まれているLEDの高さの100%と1000%との間であってよい。フェンス構造1430のエレメントは、任意の適切なタイプのプロセスを使用して形成され得る。例えば、プラズマ強化化学気相成長法、原子層堆積法、蒸着法、スパッタリング堆積法、またはシリコーン成形法、といったものである。
【0071】
図15は、本開示の態様に従った、LEDマトリクスを動作させるためのプロセス1500に係る一つの例のフローチャートである。LEDマトリクスは、単一のセグメント化LEDで構成されてよく、または、複数のセグメント化されたLEDチップを含み、かつ/あるいは、1つまたはそれ以上の非セグメント化LEDチップを含んでよい。プロセス1500は、LEDマトリクスに対して動作可能に接続されている任意の適切なタイプのコントローラによって実行され得る。
【0072】
ステップ1510において、マトリクスの中の複数のLEDが、グループへと配置される。 いくつかの実装形態において、LEDをグループへと配置することは、LEDそれぞれを複数のドライバ回路のうち1つに対して接続することを含んでよい(例えば、
図6を参照のこと)。追加的または代替的に、LEDをグループへと配置することは、グループを識別するデータ構造を生成すること、および、メモリの中に保管することを含んでよい。例えば、データ構造は、各グループの識別子(例えば、「グループ1(”Group1”)」、「グループ2(”Group2”)」、等)をグループの一部であるLEDの識別子(例えば、アドレス)のリストに対してマップすることができる 。
【0073】
例えば、データ構造は、以下に、表1によって示されるような、テーブルであってよい。
【表1】
【0074】
表1の例において、各LEDは、2つ(X、Y)によって識別される。ここで、Xは、LEDマトリクスにおけるLEDの位置の行番号であり、そして、Yは、列番号である。本実施例においては、LEDマトリクスの中のLEDをアドレスするためにX−Y座標が使用されているが、代替的な実装形態が可能であり、そこでは、LEDのそれぞれの位置に対応する任意の適切なタイプの英数字識別子を代わりに使用することができる。さらに以下で説明するように、いくつかの実装形態においては、配置されたマトリクスの中のLEDを識別するために、アドレスが使用されてよい。
【0075】
ステップ1520においては、各グループの中のLEDが構成される。本開示の態様に従って、所与のグループにおいてLEDを構成することは、所与のグループにおけるLEDそれぞれに対して順方向バイアスまたは逆方向バイアスのうち1つを適用すること、効果的にLEDそれぞれが発光器LEDか検出器LEDかどちらかとして動作するようにさせること、を含んでよい。いくつかの実装形態において、発光器LEDおよび検出器LEDに対して適用されるバイアスの大きさは同じであってよく、そして、極性だけが変化してよい。追加的または代替的に、いくつかの実装形態において、検出器LEDに対して適用されるバイアスは、大きさおよび極性の両方が発光器LEDのバイアスと異なってよい。追加的または代替的に、所与のグループの中の異なる発光器LEDに対して適用されるバイアスの大きさは、異なってよい。追加的または代替的に、所与のグループの中の異なる発光器LEDに対して適用されるバイアスの大きさは、同じであってよい。追加的または代替的に、所与のグループの中の異なる検出器LEDに対して適用されるバイアスの大きさは、異なってよい。追加的または代替的に、所与のグループの中の異なる検出器LEDに対して適用されるバイアスの大きさは、同じであってよい。
【0076】
追加的または代替的に、所与のグループにおいてLEDを構成することは、グループの中で検出器として動作するように最適化された1つまたはそれ以上のLEDを識別すること、そして、それらに対して逆方向バイアスを適用すること、を含んでよい(例えば、
図4および
図5を参照のこと)。いくつかの実装形態において、最適化されたLEDは、コントローラのメモリに保管されたデータ構造に基づいて識別されてよい。データ構造は、グループの中で受信器として最適化されたLEDを識別するものである。いくつかの実装形態において、データ構造は、また、最適化された各LEDのバイアスの大きさを識別することもできる。異なってドープされたLEDは、異なるバイアスを必要とし得るからである。いくつかの実装形態において、最適化されたLEDそれぞれは、データ構造において特定されている対応するバイアスの大きさに従ってバイアスされてよい。
【0077】
追加的または代替的に、いくつかの実装形態において、所与のグループにおいてLEDを構成することは、特定の動作パターンを識別するデータ構造を検索すること(retrieving)、そして、それに応じて所与のグループにおいてLEDをバイアスすることによって、所与のグループにおける動作パターンを伝えること、を含んでよい。いくつかの態様において、データ構造は、そのLEDに対して適用されるバイアスの極性を指定する、グループの中の各LEDのための異なる識別子を含んでよい。例えば、データ構造は、以下に示すような、テーブルであってよい。
【表2】
【0078】
表2の例に従って、データ構造は、バイナリ値を含む3×3マトリクスであってよく、ここで、0は、所与のLEDに対して順方向バイアスが適用されることを示し、「1」は、逆方向バイアスが適用されるべきことを示している。データ構造は、LEDが3×3マトリクスに配置されているLEDの任意のグループに対して適用されてよく、そうして、データ構造における任意の値i
行,列は、LED
行,列のバイアスを指定している。本実施例において、データ構造におけるi
2,2の値は1に等しく、行2、列2に配置されているLEDには逆方向バイアスが適用されることを示している。同様に、データ構造におけるi
1,1の値は0に等しく、行1、列1に配置されているLEDには順方向バイアスが適用されることを示している。本実施例において、データ構造はバイアス極性だけ識別するが、さらなる実装形態が可能であり、そこでは、データ構造がマトリックスにおける各LEDについてそれぞれのバイアス大きさを識別し、または両方を識別する。
【0079】
ステップ1530において、グループそれぞれは、そのグループによって照明される領域に対して適応照明を提供するように動作される。いくつかの実装形態において、グループそれぞれは、他のものから自律的に動作され得る。追加的または代替的に、いくつかの実装形態において、各グループは、プロセス1600に従って動作されてよい。以下に、
図6に関して説明されるものである。
【0080】
ステップ1540においては、再グループ化イベント(regrouping event)が生成されているか否かの検出が実行される。いくつかの実装形態において、再グループ化イベントが、ユーザ入力の結果として生成されてよい。再グループ化イベントが検出された場合に、プロセス1500は、ステップ1510に戻り、そして、LEDが再グループ化される。本開示の態様に従って、LEDの再グループ化は、(i)全てのLEDを単一のグループへと統合すること、少なくとも2つの既存のグループを1つへと統合すること、及び/又は、少なくとも1つの既存のグループを複数のグループへと分割すること、のうち1つまたはそれ以上を含んでよい。この点に関して、代替的な実施形態が可能であり、そこでは、LEDマトリクスにおける全てのLEDが同じグループに割り当てられている。さらに、代替的な実施形態が可能であり、そこでは、グループそれぞれが、異なるセグメント化されたLEDチップにおいて見い出される全てのLEDから構成される。
【0081】
図16は、本開示の態様に従った、プロセス1500のステップ1530に関して説明したように、所与のLEDのグループを動作させるためのプロセス1600に係る一つの例のフローチャートである。ステップ1610においては、所与のグループにおける1つまたはそれ以上の検出器LEDによって少なくとも部分的に第1信号が生成される。ステップ1620においては、グループにおける発光器LEDの輝度が第1信号に基づいて変更される。ステップ1630においては、所与のグループにおける1つまたはそれ以上の発光器LEDによって少なくとも部分的に生成される第2信号が検出される。ステップ1640においては、グループにおけるLEDの少なくとも1つの動作モードが、第2信号に基づいて変更される。
【0082】
本開示の態様に従って、所与のLEDの動作モードを変更することは、そのLEDのバイアスを逆方向から順方向に、または、順方向から逆方向に変化させることを含み得る。例えば、発光器LEDに対して逆方向バイアスが適用される場合、結果として、そのLEDは検出器LEDとしての動作を開始し得る。別の例として、検出器LEDに対して順方向バイアスが適用される場合、そのLEDは発光器LEDとしての動作を開始し得る。
【0083】
いくつかの実装形態においては、ステップ1640が、既定の閾値を満たす特性を有している第2信号に応答して実行されてよい。例えば、第2信号のダイナミックレンジが閾値を下回る場合には、グループにおける検出器LEDの数量を増加させ、かつ、より高い感度を達成するために、1つまたはそれ以上の発光器LEDのバイアスを変更し得る。別の例として、LEDのグループが方向付けされている領域が十分に照明されていないことを第2信号が示す場合には、追加の発光器LEDをグループに加えるために、検出器LEDのバイアスが変更され得る。
【0084】
いくつかの実装形態において、グループにおける1つまたはそれ以上の検出器LEDは、そのように連続的に動作することができる。代替的に、いくつかの実装形態においては、1つまたはそれ以上の検出器LEDが、読み取りを行うために順方向から逆方向バイアスへ定期的に切り替えられ、そして、次いで、順方向バイアスに戻されてよい。バイアス極性の切り替えは、光収集を可能にするために非常に迅速に行われ得る(例えば、<10ns)。いくつかの実装形態において、所与のグループにおける1つまたはそれ以上の検出器LEDのバイアスの極性は、切り替えが人間の目には知覚できないように、高い周波数で切り替えられてよい。
【0085】
図17は、本開示の態様に従った、LEDマトリクスを動作させるためのプロセス1700に係る一つの例のフローチャートである。LEDマトリクスは、単一のセグメント化されたLEDから構成されてよく、または、複数のセグメント化されたLEDチップを含み、かつ/あるいは、1つまたはそれ以上の非セグメント化LEDチップを含んでよい。プロセス1700は、LEDマトリクスに対して動作可能に接続されている任意の適切なタイプのコントローラによって実行され得る。
【0086】
ステップ1710において、複数のLEDのうち少なくともいくつかは、それらに対して順方向バイアスを適用することによって発光器LEDとして動作するように構成される。ステップ1720において、複数のLEDのうちの残りのものは、それらに対して逆方向バイアスを適用することによって検出器LEDとして動作するように構成される。
【0087】
ステップ1730においては、マトリクスにおける所与の発光器LEDの輝度が、所与の発光器LEDと共同設置されている(collocated)1つまたはそれ以上の検出器LEDによって生成される信号に基づいて変更される。本開示の態様に従って、2つのLEDは、それらがLEDマトリクスの同じセクションの中にある場合に、共同設置され得る。右上の四半分、左上の四半分、右下の四半分、または左下の四半分、等といったものである。
【0088】
追加的または代替的に、2つのLEDは、それらがLEDマトリクスの中で相互に既定の距離内にある場合に共同設置され得る。いくつかの実装形態において、第1LEDと第2LEDとの間の距離は、第1LEDと第2LEDとを接続する直線に沿って置かれている他のLEDの数(count)に等しくてよい。例えば、第1LEDと第2LEDとが相互に隣りに配置されている場合、その距離はゼロであってよい。別の例として、第1LEDと第2LEDとの間に他の1つのLEDが存在する場合、それらの間の距離は1であってよい。いくつかの実装形態において、2つのLED間の距離は、それらのLEDのアドレスに基づいて決定されてよい。
【0089】
追加的または代替的に、いくつかの実装形態においては、2つのLEDが同じ光学素子と整列されている場合に、それらは共同設置され得る(例えば、
図11A−11Bを参照のこと)。追加的または代替的に、いくつかの実装形態においては、2つのLEDが同じLEDグループの一部である場合に、それらは共同設置され得る。いくつかの態様において、2つのLEDが共同設置され得るか否かは、LEDマトリクスのコントローラのメモリの中に保管されているデータ構造に基づいて決定されてよい。データ構造は複数のリストを含んでよく、ここで、各リストは特定のグループにおけるLEDの識別子を含んでいる。追加的または代替的に、データ構造は、複数のリストを含んでよく、各リストは、より大きい光学ユニットにおける特定の光学素子と整列されているLEDの識別子を含んでいる(例えば、光学ユニット1120における光学素子1122を示している
図11A−11Bを参照のこと)。
【0090】
ここにおいて開示された概念のいくつかは適応自動車照明のコンテクストにおいて提示されているが、開示されているセグメント化されたLEDチップの実装、適応照明システムの実装、および適応照明システムを動作させるためのプロセスは、あらゆるコンテクストにおいて採用され得ることが理解されよう。例えば、それらは、屋内照明システム、街路灯システム、舞台照明システム、装飾照明システム、および温室照明システムにおいて使用することができる。従って、本開示は、ここにおいて提示される実施例に限定されるものではない。
【0091】
図1−17は、一つの例として提供されているだけのものである。これらの図に関して説明された要素のうち少なくともいくつかは、異なる順序において配置され、組み合わされ、かつ/あるいは、全く省略されてよい。ここにおいて説明された実施例の提供、並びに、「といった(”such as”)」、「例えば(”e.g.”)」、「含む(”including”)」、「いくつかの態様において(”in some aspects”)」、「いくつかの実装形態において(”in some implementations”)」、等のように表現された句は、開示される技術的事項(subject matter)を特定の実施例について限定するものとして解釈されるべきではない。
【0092】
本発明を詳細に説明してきたが、本開示が与えられると、当業者であれば、ここにおいて説明された発明概念の精神から逸脱することなく、本発明について変更が成され得ること理解するだろう。従って、本発明の範囲が、図示され、かつ、説明された特定の実施形態について限定されることは、意図されていない。