特許第6641546号(P6641546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デモ エンジニアリング カンパニー リミテッドの特許一覧

特許6641546稼働時間を算出することができる油圧ブレーカー
<>
  • 特許6641546-稼働時間を算出することができる油圧ブレーカー 図000002
  • 特許6641546-稼働時間を算出することができる油圧ブレーカー 図000003
  • 特許6641546-稼働時間を算出することができる油圧ブレーカー 図000004
  • 特許6641546-稼働時間を算出することができる油圧ブレーカー 図000005
  • 特許6641546-稼働時間を算出することができる油圧ブレーカー 図000006
  • 特許6641546-稼働時間を算出することができる油圧ブレーカー 図000007
  • 特許6641546-稼働時間を算出することができる油圧ブレーカー 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641546
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】稼働時間を算出することができる油圧ブレーカー
(51)【国際特許分類】
   B25D 9/00 20060101AFI20200127BHJP
   B25D 9/02 20060101ALI20200127BHJP
   E02D 3/12 20060101ALI20200127BHJP
   E02D 3/00 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   B25D9/00 Z
   B25D9/02
   E02D3/12
   E02D3/00
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-559663(P2018-559663)
(86)(22)【出願日】2017年1月26日
(65)【公表番号】特表2019-511384(P2019-511384A)
(43)【公表日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】KR2017000955
(87)【国際公開番号】WO2017131466
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2018年7月27日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0010602
(32)【優先日】2016年1月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518268824
【氏名又は名称】デモ エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100115200
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修之
(72)【発明者】
【氏名】チュ,チン ム
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−514893(JP,A)
【文献】 特開2001−017873(JP,A)
【文献】 特開2003−117853(JP,A)
【文献】 特表2008−506543(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0245089(US,A1)
【文献】 米国特許第06087936(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 1/00 − 17/32
E02D 3/00 − 3/12
E02F 9/00 − 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ブレーカーボディー部(200)と、
岩盤を含めた破砕対象物を破砕するときに前記油圧ブレーカーボディー部(200)で発生する振動を感知してセンシング信号を出力する振動センサー(310)と、前記センシング信号を無線で出力する無線送信部(320)とを備えるセンサー部(100)と、
前記センサー部(100)からセンシング信号を受信して、前記油圧ブレーカーボディー部(200)が振動した時間を算出して稼働時間を算出する制御部(300)とを含み、
前記振動センサー(310)は、金属で形成されたハウジング(411)と、前記ハウジング(411)の上部末端に形成された突出部(412)と、前記突出部(412)の下部に装着され、電子素子に所定の動作点を提供するための一対の鉄-磁気バイアス(413)と、前記ハウジング(411)の上部を覆うための金属キャップ(414)と、前記金属キャップ(414)の下部に装着され、磁性球体(417)と前記金属キャップ(414)間の磁場を調節するためのセラミック絶縁体(415)と、前記金属キャップ(414)と前記セラミック絶縁体(415)を貫いて前記ハウジング(411)に収容される金属電極(416)と、前記金属電極(416)に対して接触又は分離することにより信号を生成するための磁性球体(417)とを含んで構成されることを特徴とする、稼働時間を算出することが可能な油圧ブレーカー。
【請求項2】
前記油圧ブレーカーボディー部(200)は、
シリンダー(201)と、
前記シリンダー(201)内に収容されて内部で軸方向に往復運動し、印加圧力が復帰ストロークの方向に作用するように配向された第1ピストン面(202a)、印加圧力が作動ストロークの方向に作用するように配向された第2ピストン面(202b)、及び前記第1ピストン面(202a)と第2ピストン面(202b)の間に位置する円周溝(203)を備えたピストン(202)と、
前記ピストン(202)の往復運動によって岩盤に力を加えて破砕するチゼル(208)と、
前記シリンダー(201)に連結された出口を通じて作動圧力を提供するための圧力導管(212)と、
前記シリンダー(201)に連結された出口を通じて圧力を減圧するための減圧復帰導管(217)と、
制御プランジャー(209a)が内部に位置し、前記制御プランジャー(209a)を復帰ストローク位置に送るための小制御プランジャー面(209b)、及び前記制御プランジャー(209a)を作動ストローク位置に送るための大制御プランジャー面(209c)を備えた制御バルブ(209)と、
入力側がストローク制御圧力導管(221)を介して油圧ポンプ(211)に連結された圧力導管(212)に連結され、出力側が前記制御バルブ(209)に連結された追加の導管(222)によって制御バルブ(209)用転換導管(213)に連結され、下側が受信MCU(240)の制御の下で作動する流量制御バルブ(220)を介して油圧ポンプに連結されたストロークバルブ(219)と、
前記ストロークバルブ(219)の上面(219a)に取り付けられ、油圧変化によるロングストローク位置とショートストローク位置を取ることができるようにする機械的再設定機能を付与するためのスプリング(223)とを含む、請求項1に記載の稼働時間を算出することが可能な油圧ブレーカー。
【請求項3】
前記制御部(300)は、
前記無線送信部(320)から振動に対応するセンシング信号を受信する無線受信部(510)と、
前記無線受信部(510)から振動に対応するセンシング信号を受信して、臨界値以上の振動に対応するセンシング信号が伝達される時間(T2、T4)、臨界値以上の振動に対応するセンシング信号が伝達される破砕時間(T3)、及び振動に対応するセンシング信号がないか或いは臨界値未満の振動に対応するセンシング信号が伝達される時間(T1、T5)を測定した時間測定情報を出力するタイマー部(520)と、
前記無線受信部(510)から振動に対応するセンシング信号を受信してセンシング信号の大きさを判断した信号を出力するフィルター部(540)と、
前記タイマー部(520)から時間測定情報を受信し、前記フィルター部(540)からセンシング信号の大きさ判断信号を受信して油圧ブレーカー(10)の振動に対応して破砕時間(T3)を含む稼働時間(T1乃至T5)を算出する演算部(530)と、
前記演算部(530)から稼働時間(T1乃至T5)を受けて記憶するメモリ(560)とを含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の稼働時間を算出することが可能な油圧ブレーカー。
【請求項4】
前記演算部(530)の稼働時間(T1乃至T5)の算出は、振動に対応するセンシング信号がないか或いは臨界値未満の振動における稼働時間(T1、T5)、臨界値以上の振動における稼働時間(T2、T4)、及び臨界値以上の振動における破砕対象物の破砕時間(T3)を算出するように構成されたことを特徴とする、請求項3に記載の稼働時間を算出することが可能な油圧ブレーカー。
【請求項5】
前記制御部(300)は、稼働時間を表示するディスプレイ駆動部(550)をさらに含み、
前記ディスプレイ駆動部(550)は、前記メモリ(560)に記憶された稼働時間と現在の稼働時間とを合算して算出した総稼働時間と、振動に対応するセンシング信号がないか或いは臨界値未満の振動で動作した稼働時間(T1、T5)、臨界値以上の振動で動作した稼働時間(T2、T4)、及び臨界値以上の振動で破砕対象物の破砕時間(T3)からなる現在の稼働時間とを表示することができるように構成されたことを特徴とする、請求項3に記載の稼働時間を算出することが可能な油圧ブレーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は稼働時間を算出することができる油圧ブレーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、岩盤を破砕するためには油圧ブレーカーが使われる。前記油圧ブレーカーは、分配バルブによって制御される往復動式ピストンとシリンダーボアを有するハウジング及び蓄圧機を含み、前記油圧ブレーカーが作動しているうち前記蓄圧機は、油圧ブレーカーが流体キャビティとの圧力勾配によって損傷することを保護し、油圧ブレーカーの性能を増加させるために、前荷重(pre−load)圧力まで予め加圧され、ピストンによる打撃をチゼルに伝達することで、ピストンの運動エネルギーによってチゼルチップが岩盤を破砕する。
【0003】
油圧ブレーカーは岩盤を破砕するための振動などによって長期間使用後には故障が発生することがあるが、一般的に油圧ブレーカーの使用時間を確認することができる方法がない。
【0004】
下記の先行技術1はAMT用クラッチの油圧システム診断方法及び装置に関するもので、目標駆動トルクに収斂するまで遅延された累積時間と基準時間を比較して油圧システムの故障有無を診断するものが開示されているだけ、使用時間を保障することが開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、油圧ブレーカーの実際稼働時間を算出して使用時間を保障することができる稼働時間を算出することができる油圧ブレーカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1実施形態は、油圧ブレーカーボディー部と、岩盤を含めた破砕対象物を破砕するときに前記油圧ブレーカーボディー部で発生する振動を感知してセンシング信号を出力するセンサー部と、前記センシング信号を受信して、前記油圧ブレーカーボディー部が振動した時間を算出して稼働時間を算出する制御部とを含む、油圧ブレーカーを提供する。
【0007】
付加的に、前記油圧ブレーカーボディー部は、シリンダーと、前記シリンダー内に収容されて内部で軸方向に往復運動し、印加圧力が復帰ストロークの方向に作用するように配向された第1ピストン面、印加圧力が作動ストロークの方向に作用するように配向された第2ピストン面、及び前記第1ピストン面と第2ピストン面の間に位置する円周溝を備えたピストンと、前記ピストンの往復運動によって岩盤に力を加えて破砕するチゼルと、前記シリンダーに連結された出口を通じて作動圧力を提供するための圧力導管と、前記シリンダーに連結された出口を通じて圧力を減圧するための減圧復帰導管と、制御プランジャーが内部に位置し、制御プランジャーを作動ストローク位置に送るための大制御プランジャー面を備えた制御バルブと、入力側がストローク制御圧力導管を介して油圧ポンプに連結された圧力導管に連結され、出力側が前記制御バルブに連結された追加の導管によって制御バルブ用転換導管に連結され、下側が受信MCUの制御の下で作動する油圧制御バルブを介して油圧ポンプに連結されたストロークバルブと、前記ストロークバルブの上面に取り付けられ、圧力変化によるロングストローク位置とショートストローク位置を取ることができるように機械的再設定機能を付与するためのスプリングとを含むことができる。
【0008】
付加的に、前記センサー部は、前記油圧ブレーカーの振動を感知して前記センシング信号を出力する振動センサーと、前記センシング信号を無線で出力する無線送信部とをさらに含むことができる。
【0009】
付加的に、前記振動センサーは、金属で形成されたハウジングと、前記ハウジングの上部末端に形成された突出部と、前記突出部の下部に装着され、電子素子に所定の動作点を提供するための一対の鉄−磁気バイアスと、前記ハウジングの上部を覆うための金属キャップと、前記金属キャップの下部に装着され、磁性球体と前記金属キャップ間の磁場を調節するためのセラミック絶縁体と、前記金属キャップと前記セラミック絶縁体を貫いて前記ハウジングに収容される金属電極と、前記金属電極に接触又は分離することによって信号を生成するための磁性球体とを含むことができる。
【0010】
付加的に、前記制御部は、前記センシング信号を受信する無線受信部と、前記無線受信部から前記センシング信号を受信して、前記油圧ブレーカーボディー部が稼動した稼働時間測定情報を出力するタイマー部と、センシング信号の大きさを判断した信号を出力するフィルター部と、前記タイマー部から稼働時間測定情報を受信し、前記フィルター部からセンシング信号の大きさを判断した信号を受けて油圧ブレーカーボディー部の破砕対象物の破砕時間を含む稼働時間を算出する演算部とを含むことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による稼働時間を算出することができる油圧ブレーカーによれば、油圧ブレーカーの動作時間を算出することによって使用時間を保障することができ、保障された使用時間より少なく使用された油圧ブレーカーに故障が発生すれば修理ができるようにして、油圧ブレーカーの製造業者又は販売業者が不必要な故障修理費用を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による稼働時間を算出することができる油圧ブレーカーの構造を示す構造図である。
図2図1に示した油圧ブレーカーボディー部の構造を示す構造図である。
図3図1に示したセンサー部の構造を示す構造図である。
図4】油圧ブレーカーの停止時の図3に示した振動センサー部の一実施例を示す構造図である。
図5】油圧ブレーカーの動作時の図3に示した振動センサー部の一実施例を示す構造図である。
図6図1に示した制御部の構造を示す構造図である。
図7図1に示したセンサー部から出力するセンシング信号と制御部で算出する過程を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による稼働時間を算出することができる油圧ブレーカーの前記目的のための技術的構成を含めた作用効果に関する事項は本発明の好適な実施例を示す図面を参照する以下の詳細な説明によって明らかに理解可能であろう。
【0014】
また、本発明の説明において、関連の公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにすることができると判断される場合はその詳細な説明を省略する。本明細書で、第1、第2などの用語は一構成要素を他の構成要素と区別するために使うもので、構成要素が前記用語によって制限されるものではない。
【0015】
後述する本発明についての詳細な説明は、本発明が実施可能な特定の実施例を例示する添付図面を参照する。これらの実施例は当業者が本発明を実施することができるほどに十分に詳細に説明される。本発明の多様な実施例は互いに違っているが互いに排他的である必要はないことを理解しなければならない。例えば、これに記載されている特定の形状、構造及び特性は一実施例に関連したもので、本発明の精神及び範囲を逸脱しない範疇内で他の実施例に具現されることができる。また、それぞれの開示された実施例内の個別構成要素の位置又は配置は本発明の精神及び範囲を逸脱しない範疇内で変更可能であることを理解しなければならない。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味として取られてはいけなく、本発明の範囲は、適切に説明されるならば、その請求項が主張するものと均等な全ての範囲を含み、さらに添付の請求項によってのみ限定される。図面において類似の参照符号は多くの側面で同一又は類似の機能を示す。
【0016】
以下では、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができるようにするために、本発明の好適な実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明による稼働時間を算出することができる油圧ブレーカーの構造を示す構造図である。
【0018】
図1を参照すれば、油圧ブレーカー10は、油圧ブレーカーボディー部200、岩盤を含めた破砕対象物を破砕するとき、油圧ブレーカーボディー部200で発生する振動を感知してセンシング信号を出力するセンサー部100、及びセンシング信号を受信して油圧ブレーカーボディー部200が振動した時間を算出することによって稼働時間を算出する制御部300を含むことができる。
【0019】
油圧ブレーカーボディー部200は岩盤を破砕するためのもので、ピストンによって発生するチゼルの往復運動によって岩盤に衝撃を加えて岩盤を破砕することができる。油圧ブレーカーボディー部200が稼働を始めればピストンによって振動が発生するから、油圧ブレーカーボディー部200で振動が発生した時間は油圧ブレーカーボディー部200が岩盤を破砕するために動作した時間であると判断してもよい。
【0020】
センサー部100は油圧ブレーカーボディー部200で発生する振動を感知してセンシング信号を生成することができる。センサー部100は油圧ブレーカーボディー部200に付着され、油圧ブレーカーボディー部200で発生する振動を感知することができる。また、センサー部100は無線でセンシング信号を制御部300に伝送することができる。センサー部100は、油圧ブレーカーボディー部200で発生した振動が臨界値以上であれば油圧ブレーカーボディー部200が動作すると判断してセンシング信号を出力し、油圧ブレーカーボディー部200で発生した振動が臨界値以下に落ちれば油圧ブレーカーボディー部200が動作を停止したと判断してセンシング信号を出力しないことができる。
【0021】
制御部300はセンサー部100からセンシング信号を受信することができる。制御部300はセンシング信号を受信し、センシング信号を受信した時間を算出することによって油圧ブレーカーボディー部200が動作した時間を計算することができる。制御部300は、センサー部100から無線で伝達されるセンシング信号を受信することができる。また、制御部300は、伝達されるセンシング信号の大きさが臨界値以上であれば油圧ブレーカーボディー部200が動作すると判断し、センシング信号の大きさが臨界値以下であれば、すなわち油圧ブレーカーボディー部200で発生した振動が臨界値以下に落ちれば油圧ブレーカーボディー部200が動作を停止したと判断することができる。
【0022】
また、制御部300は算出された油圧ブレーカーが動作した動作時間を表示することができる。表示される動作時間は油圧ブレーカーが動作した総動作時間を表示することができ、油圧ブレーカーが動作を始めてから動作を終えるまで動作した時間を表示することができる。また、岩盤を破砕する時間のみを表示することができる。しかし、表示される時間はこれに限定されない。また、制御部300は動作時間を記憶することができる。
【0023】
図2図1に示した油圧ブレーカーボディー部の構造を示す構造図である。
【0024】
図2を参照すれば、油圧ブレーカーボディー部200は、中空のシリンダー201と、前記シリンダー201内に収容され、内部で軸方向に往復動するピストン202とを備えることができる。ピストン202は円周溝303によって互いに分離された後方案内部及び前方案内部204、205を備えることができる。円周溝303の外側に向かう第1及び第2ピストン面202a、202bはそれぞれ後方及び前方シリンダーチャンバー部206、207を限定する。ここで、第1ピストン面202aは第2ピストン面202bより小さな面積を有することができる。また、前方ストロークの方向へのピストン202の動作は太い矢印で指示したようである。
【0025】
シリンダー201の外部一側にはセンサー部100が装着され、シリンダー201の外部のピストン202の末端にはチゼル208のような作動器具が装着される。正常動作が行われれば、すなわちチゼル208が粉碎すべき岩盤に侵透しなければ、ピストン202は通常的な衝撃位置を取っている。
【0026】
ピストン202の動作転換用制御装置は、制御バルブ209内で動ける制御プランジャー209aを含む。制御プランジャー209aは小制御プランジャー面209bと大制御プランジャー面209cとを備える。小制御プランジャー面209bは再設定導管210を通じて作動圧力に連続的に露出される。作動圧力は油圧ポンプ211によって発生する。再設定導管210と連通する圧力導管212によって第1ピストン面202aも連続的に作動圧力に露出される。圧力導管212の出口212aはいつも前方シリンダーチャンバー部207内に位置するようにシリンダー201に対して配置される。
【0027】
制御プランジャー209aの大制御プランジャー面209cは、正常動作状態で出口213aが円周溝203を介して減圧復帰導管217に連結されるように、転換導管213を介してシリンダー201に連結される。
【0028】
制御バルブ209は、一方では制御導管214を介して圧力導管212に連結され、他方では復帰導管215を介してタンク216に連結され、出口217aが、円周溝203を介して復帰導管215に連結される減圧復帰導管217を介してシリンダー201に連結される。よって、減圧復帰導管217の出口217a及び転換導管213の出口213aは円周溝203の軸方向長より小さな距離だけ離れて位置する。
【0029】
また、制御バルブ209は交代圧力導管218を介して後方シリンダーチャンバー部206に連結される。第2ピストン面202bは交代圧力導管218によって後方シリンダーチャンバー部206に供給される作動圧力に露出されるようになっている。
【0030】
制御バルブ209は二つのバルブ位置を取ることができる。すなわち、第2ピストン面202bが交代圧力導管218及び復帰導管215を通じて減圧される復帰ストローク位置(右側)と、後方シリンダーチャンバー部206が圧力導管212、圧力導管212に連結された制御導管214及び交代圧力導管218を通じて作動圧力が加わる作動ストローク位置(左側)とを取ることができる。このような動作状態の結果として、ピストン202は第1ピストン面202aに加わる再設定力に対抗して太い矢印の方向に作動ストロークを実行させる。
【0031】
一方、本発明による油圧ブレーカー10はロングストローク位置及びショートストローク位置を取ることができるストロークバルブ219を含む。
【0032】
ストロークバルブ219の動作は、受信MCU240の制御の下で作動するEPPR(Electric Proportional Pressure Reducing)バルブ、ソレノイドバルブのような流量制御バルブ220によって印加される圧力によって決定される。
【0033】
ストロークバルブ219の入力側はストローク制御圧力導管221を介して圧力導管212に連結され、ストロークバルブ219の出力側は追加の導管222を介して制御バルブ209用転換導管213に連結される。
【0034】
図示のように、ストロークバルブ219は、受信MCU240の制御の下で流量制御バルブ220が開けられば油圧ポンプ211によって多量の流量がストロークバルブ219に伝達されてピストン202がショートストロークとして作動するようにし、受信MCU240の制御の下で作動する流量制御バルブ220が閉じられば油圧ポンプ211によって伝達される流量がなくなってピストン202がロングストロークとして作動するようにする。
【0035】
ここで、図面符号223はスプリングを示すもので、前記ストロークバルブ219の上面219aに取り付けられ、油圧変化によるロングストローク位置とショートストローク位置を取ることができるように機械的再設定機能を付与する。
【0036】
また、MCU240は図1の制御部300又は制御部300の構成要素であってもよい。
【0037】
図3図1に示したセンサー部の構造を示す構造図である。
【0038】
図3を参照すれば、センサー部100は、油圧ブレーカー10の振動を感知してセンシング信号s1を出力する振動センサー310、及びセンシング信号s1を無線で出力する無線送信部320を含むことができる。
【0039】
振動センサー310は、振動が発生すれば振動を感知してセンシング信号s1を出力し、振動が発生しなければセンシング信号s1を出力しないようにすることができる。そして、センサー部100は、無線送信部320を用いてセンシング信号s1を無線で出力することができる。これにより、センサー部100が振動の発生する油圧ブレーカーボディー部200に装着され、センシング信号s1を受信して油圧ブレーカー10の動作時間を判断する制御部300は振動が発生する部分に位置するようにすることができる。また、センサー部100は無線でセンシング信号s1を伝達することができるので、線の干渉が発生しない効果がある。
【0040】
図4は油圧ブレーカーの停止時の図3に示した振動センサー部の一実施例を示す構造図、図5は油圧ブレーカーの動作時の図3に示した振動センサー部の一実施例を示す構造図である。
【0041】
図4及び図5を参照すれば、振動センサー310は、金属で形成されたハウジング411と、ハウジング411の上部末端に形成された突出部412と、突出部412の下部に装着され、電子素子に所定の動作点(Operating Point)を提供するための一対の鉄−磁気バイアス413と、ハウジング411の上部を覆うための金属キャップ414と、金属キャップ414の下部に装着され、磁性球体417と金属キャップ414間の磁場を調節するためのセラミック絶縁体415と、金属キャップ414とセラミック絶縁体415を貫いてハウジング411に収容される金属電極416と、金属電極416に接触又は分離することによって信号を生成するための磁性を有する磁性球体417とを含むことができる。
【0042】
このように構成された振動センサー310は、油圧ブレーカーの動作前には、図4に示したように、磁性球体417が金属キャップ414と磁性球体417間の磁場によって、金属キャップ414の下部に装着されたセラミック絶縁体415に付着されており、油圧ブレーカーが動作すれば、振動によって、金属キャップ414と磁性球体417間の磁場によって金属キャップ414の下部に装着されたセラミック絶縁体415に付着されていた磁性球体417がセラミック絶縁体415から分離されてハウジング411に収容された金属電極416に付着されて信号を発生させる。すなわち、磁性球体417が金属電極416に接続するときには信号が発生し、磁性球体417が金属電極416から分離されるときには信号が発生しない。したがって、チゼル308の作動による振動によって磁性球体417が金属電極416に接続するとか分離して所定間隔の信号を発生させるスイッチの役目をすることにより、油圧ブレーカー10のピストン202の作動ストロークの回数を測定することができる。
【0043】
図6図1に示した制御部の構造を示す構造図である。
【0044】
図6を参照すれば、制御部300は、センシング信号s1を受信する無線受信部510、無線受信部510からセンシング信号s1を受信し、油圧ブレーカーボディー部200が稼動した稼働時間測定情報を出力するタイマー部520と、センシング信号の大きさを判断した信号を出力するフィルター部540と、前記タイマー部520から稼働時間測定情報を受信し、前記フィルター部540からセンシング信号の大きさを判断した信号を受けて油圧ブレーカーボディー部200の破砕対象物の破砕時間を含む稼働時間を算出する演算部530とを含むことができる。
【0045】
無線受信部510はセンサー部100から無線で伝達されるセンシング信号s1を受信することができる。また、タイマー部520は時間を測定し、センシング信号s1が伝達される時点で測定された時間とセンシング信号s1が伝達されない時点で測定された時間についての情報を把握することができるようにする。ここで、演算部530は、タイマー部520からセンシング信号s1が伝達される時点とセンシング信号s1が伝達されない時点についての情報を用いて油圧ブレーカー10の稼働時間を算出することができる。また、制御部300はフィルター部540をさらに含むことができ、フィルター部540は無線で伝達されるセンシング信号s1の大きさを把握し、センシング信号s1の大きさが所定値以下であれば、センシング信号s1が発生しなかったと判断することができる。このとき、センシング信号s1の大きさは所定時間の間にセンシング信号s1が発生した回数によって把握することができる。すなわち、振動が発生した回数が所定回数以上であれば油圧ブレーカー10が動作したと判断することができる。
【0046】
また、制御部300はディスプレイ駆動部550をさらに含むことができ、ディスプレイ駆動部550が表示装置と連結されることにより、演算部530で算出された稼働時間を表示することができる。ここで、ディスプレイ駆動部550は現在稼動した時間と総稼動時間を区分して表示するようにすることができる。また、制御部300はメモリ560をさらに含むことができ、メモリ560はタイマー部520から受けた稼働時間を記憶し、記憶された稼働時間とタイマー部520から現在受けた稼働時間を合算して総稼働時間を算出することができる。
【0047】
図7図1に示したセンサー部から出力するセンシング信号と制御部で算出する過程を示すタイミング図である。
【0048】
図7を参照すれば、油圧ブレーカーボディー部200の動作前にはセンサー部100で振動が発生しないから、センサー部100はセンシング信号s1を出力しない。センサー部100が図3に示した振動センサー310を含めば、磁性球体417がセラマック絶縁体に付着しているから振動センサー310から振動信号v1を発生しないことができ、これに対応するセンシング信号s1が出力されないとか臨界値以下で出力されることができる(T1)。そして、油圧ブレーカーボディー部200が動作し始めればピストンによって振動が発生し、センサー部100は油圧ブレーカーボディー部200の振動を感知する。そして、振動が臨界値以上となれば油圧ブレーカーボディー部200が動作すると判断してセンシング信号s1を出力することができる。センサー部100が図4に示した振動センサー310を含む場合、油圧ブレーカーボディー部200で振動が発生すればセラミック絶縁体415に付着していた磁性球体417がセラミック絶縁体415から分離されて、ハウジング411に収容された金属電極416に付着するとか離脱することによってオン/オフが繰り返される振動信号v1を発生させることができる。そして、振動信号v1に対応するセンシング信号s1が臨界値以上で出力されることができる(T2)。そして、油圧ブレーカーボディー部200が岩盤の位置に移されて岩盤を破砕し始めれば、振動が強くなり、センサー部100が図3に示した振動センサー310を含む場合、磁性球体417が金属電極416に付着するとか離脱する回数が増加してオン/オフ波形のオンオフ周期が短くなることができる。これにより、センシング信号s1の大きさはもっと大きくなることができる(T3)。そして、岩盤の破砕が終われば、センサー部100から出力されるセンシング信号s1の大きさが小さくなることができる。センサー部100が図4に示した振動センサー310を含む場合、磁性球体417が金属電極416に付着するとか離脱する回数が減少してオン/オフ波形を有する振動信号v1のオン/オフ周期が長くなり、よってセンシング信号s1の大きさが小さくなることができる(T4)。そして、油圧ブレーカーボディー部200の動作が停止すれば、油圧ブレーカーボディー部200で振動が発生しなくてセンサー部100からセンシング信号を出力しないことができる。センサー部100が図3に示した振動センサー310を含む場合、油圧ブレーカーボディー部200で振動が発生しなくて磁性球体417がセラミック絶縁体415に付着することができ、それ以上信号が出力されないか或いは臨界値以下で出力され得る(T5)。
【0049】
そして、制御部300はセンサー部100から伝達されるセンシング信号s1を受信して油圧ブレーカーボディー部200の動作時間を算出することができる。制御部300は、センシング信号s1が伝達されれば油圧ブレーカーボディー部200が動作したと判断することができる。そして、所定時間以上センシング信号s1が伝達されないとか臨界値以下で伝達されれば油圧ブレーカーボディー部200の動作が停止したと判断する。また、制御部300は、油圧ブレーカーボディー部200が停止したと判断した時点と動作したと判断した時点間の差を用いて、油圧ブレーカーボディー部200が動作した時間を算出することができる。そして、制御部300は、動作した時間を算出して油圧ブレーカーボディー部200の総動作時間を算出することができる。また、制御部300は、動作時間のうち岩盤を破砕した時間を算出して、岩盤を破砕した時間を算出することができる。このとき、油圧ブレーカー10の動作時間はT2〜T4区間を合算して算出することができ、油圧ブレーカーが岩盤を破砕するのにかかった時間はT3の区間のみを用いて算出することができる。しかし、動作時間の算出はこれに限定されるものではない。動作時間は、図6に示したディスプレイ駆動部550によって把握することができる。
【0050】
本発明の図面に示した多様な要素の機能は適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアだけでなく専用ハードウェアの利用によって提供することができる。プロセッサによって提供する場合、このような機能は、単一専用プロセッサ、単一共有プロセッサ、又は一部が共有可能な複数の個別プロセッサによって提供することができる。
【0051】
本明細書の請求項で、特定の機能のための手段として表現した要素は特定の機能を有する任意の方式を包括し、このような要素は、特定の機能を有する回路要素の組合せ、又は特定の機能を有するためのソフトウェアを実行するのに適した回路と結合された、ファームウエア、マイクロコードなどを含む任意の形態のソフトウェアを含むことができる。
【0052】
本明細書で、本発明の原理の‘一実施例’などとこのような表現の多様な変形の指称はこの実施例に関連して特定の特徴、構造、特性などが本発明の原理の少なくとも一実施例に含まれることを意味する。したがって、表現‘一実施例で’と、本明細書全般にわたって開示された任意の他の変形例は必ずしも全てが同じ実施例を指称するものではない。
【0053】
本明細書で、‘連結される’又は‘連結する’などとこのような表現の多様な変形の指称は他の構成要素と直接的に連結されるとか他の構成要素を介して間接的に連結されるものを含む意味として使われる。また、本明細書で、単数型は文句で特に言及しない限り複数型も含む。また、本明細書で使う‘含む’又は‘含んでいる’と言及した構成要素、段階、動作及び素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作、素子及び装置の存在又は追加を意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7