(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各PINダイオード回路は、PINダイオードと前記PINダイオードを通じて接続されているキャパシタとを含む光感知ブロックと、前記光感知ブロックに接続されているスイッチング・トランジスタとを含む、請求項1に記載のディスプレイ。
前記PINダイオード回路は、少なくとも一部がアモルファス・シリコンを含むアクティブマトリクス方式有機発光ダイオード(AMOLED)として実装されたPINダイオードを含む、請求項1に記載のディスプレイ。
前記PINダイオード回路は、個々のピクセルを分離する関連する前記間隙内に完全に位置し、各PINダイオード回路は、PINダイオードと前記PINダイオードを通じて接続されているキャパシタとを含む光感知ブロックと、前記光感知ブロックに接続されているスイッチング・トランジスタとを含む、
請求項1に記載のディスプレイ。
各PINダイオード回路は、PINダイオードと前記PINダイオードを通じて接続されているキャパシタとを含む光感知ブロックと、前記光感知ブロックに接続されているスイッチング・トランジスタとを含み、前記PINダイオードは、少なくとも一部がアモルファス・シリコンを含むアクティブマトリクス方式有機発光ダイオード(AMOLED)として実装されている、請求項1に記載のディスプレイ。
各PINダイオード回路は、PINダイオードと前記PINダイオードを通じて接続されているキャパシタとを含む光感知ブロックと、前記光感知ブロックに接続されているスイッチング・トランジスタとを含み、前記複数のPINダイオード回路はデュアル・ロール指紋センサを備える、請求項8に記載のコンピューティング・デバイス。
前記PINダイオード回路は、少なくとも一部がアモルファス・シリコンを含むアクティブマトリクス方式有機発光ダイオード(AMOLED)として実装されたPINダイオードを含む、請求項8に記載のコンピューティング・デバイス。
前記補償因子確認工程は、前記1以上のPINダイオード回路のキャパシタに対する電荷を対応する補償因子に対しマッピングするルックアップ・テーブルを用いる工程を含む、請求項12に記載の方法。
前記1以上のPINダイオード回路は、PINダイオードと前記PINダイオードを通じて接続されているキャパシタとを含む光感知ブロックと、前記光感知ブロックに接続されているスイッチング・トランジスタとを含む、請求項12に記載の方法。
前記1以上のPINダイオード回路は、PINダイオードと前記PINダイオードを通じて接続されているキャパシタとを含む光感知ブロックと、前記光感知ブロックに接続されているスイッチング・トランジスタとを含み、前記PINダイオードは、アクティブマトリクス方式有機発光ダイオード(AMOLED)として実装されている、請求項12に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ディスプレイ・アクティブ・エリアにおける埋込型のアクティブマトリクス方式有機発光ダイオード(AMOLED)指紋センサおよび自己補償回路の実施形態について、添付の図面を参照して記載する。図面に示す同様の特徴または構成要素を参照する場合、一貫して同じ番号が用いられる。
【0008】
概要
様々な実施形態では、デバイスのディスプレイ・アクティブ・エリアに埋め込まれた指紋センサを備えるコンピューティング・デバイス(ハンドヘルド・コンピューティング・デバイスまたは携帯電話など)が提供される。指紋センサは、受光モードで動作するように構成されている一連のPINダイオードから構成される。様々な実施形態では、PINダイオードは、アクティブマトリクス方式有機発光ダイオード(AMOLED)としてディスプレイ・アクティブ・エリアにおけるピクセル間の間隙内に少なくとも部分的に形成される。PINダイオードの密度は、隣接するピクセル毎、2つのピクセル毎、4つのピクセル毎に形成されることなどによって、変化させることが可能である。指紋センサとして働くPINダイオードは、タッチされた領域に隣接して配置されているピクセルがタッチされた領域を照らしてPINダイオードに対して入力される光を増加させるように、タッチ・センサ、フォース・タッチ(force touch)センサ、または指を検出する任意の他の適切なセンサに接続されることが可能である。これによって、以下により詳細に記載するように、指紋がデバイスに検出されることができる。
【0009】
ディスプレイ・アクティブ・エリアへ指紋センサを統合することによって、ハンドヘルド・コンピューティング・デバイスを製造するコストを減少させることができ、ディスプレイ・アクティブ・エリアのサイズを増加させることができる。さらにまた、追加の指紋センサの柔軟性は不要であり、センシング集積回路はディスプレイ・フレックスにマウントすることができる。さらにまた、柔軟性は、指紋センサPINダイオードをディスプレイ・アクティブ・エリアのすべてではないまでも大半に組み込むことによって強化される。このようにして、ユーザによってタッチされるディスプレイ・アクティブ・エリア上の任意の領域を指紋センサとして働かせることができる。これによって、デバイス設計および携帯電話設計における自由が増す。さらに、一部の実施形態では、AMOLEDを用いてPINダイオードを実装することによって、タッチされる領域だけが照明されるので、電力消費は極めて小さくなる。さらに、本明細書に記載の指紋センサを組み込んでいるデバイスまたは電話機は、ディスプレイ・アクティブ・エリア全体が光センサとして働くことができるので、便利なスキャナとして働くことができる。さらにまた、ダイオード層は、雰囲気光センサとしても働くことができる。
【0010】
他の実施形態では、アクティブマトリクス方式有機発光ダイオード(AMOLED)として形成された一連のPINダイオードは、関連するディスプレイが自己補償されることを可能とすることができる。詳細には、PINダイオードは、補償因子の計算を可能とするようにディスプレイの一領域の輝度を感知するために用いられることが可能である。補償因子は、次いで、較正された輝度値を計算するために用いられることが可能である。較正された輝度値は、個々のピクセル、すなわち、より正確には、ディスプレイの個々のピクセル回路をプログラムまたは駆動するために用いられることが可能である。少なくとも一部の実施形態では、PINダイオードは、ディスプレイ・アクティブ・エリアにおけるピクセル間の間隙内に少なくとも部分的に形成される。PINダイオードの密度は、隣接するピクセル毎、2つのピクセル毎、4つのピクセル毎に形成されることなどによって、変化させることが可能である。
【0011】
少なくとも一部の実施形態では、自己補償機能をサポートする限りにおいて、指紋センサを提供する一連のPINダイオードは、二役(デュアル・ロール;dual role)を担うことが可能である。これらの例では、設計において、補償に用いられるディスプレイ入力から指紋センサを分離することが考慮される。
【0012】
様々な実施形態について記載する前に、有機発光ダイオード(OLED)、また特にアクティブマトリクス方式の有機発光ダイオード(AMOLED)に関する読み手の理解を容易にするために、以下の説明を提供する。
【0013】
有機発光ダイオード
OLEDは、発光モードおよび光感知モードの両方により動作することが可能である。
発光モードでは、OLEDは、エレクトロルミネセンスによって電気的なエネルギーを光に変換する。このモードでは、OLEDには、OLEDの有機(炭素系の)材料に電子およびホールが注入されるように、外部電圧によって順方向のバイアスが加えられる。電子およびホールは有機材料中で結合して電子−ホール対となり、その過程において、光の光子を放出する。
【0014】
図1には、一例のOLEDを一般に100で示す。OLEDは、基板(ガラスなど)102上に形成され、アノード104と、カソード106と、有機材料108からなる2つ以上の層とを備える。電圧ソース110からの電圧が十分な電位で印加される場合、OLED100に順方向バイアスが加えられ、電流がカソード106からアノード104に流れる。カソード106は有機材料108に電子を提供し、アノード104は有機材料108から電子を除去する、つまり、有機材料108にホールを提供する。電子御ホールは有機材料108中で結合し、エレクトロルミネセンスによって光の光子を放出する。
【0015】
一般に、カソード106からアノード104に流れる電流が増大するにつれ、より多くの電子およびホールが有機材料108中に注入され、より多くの光の光子が放出されて、OLED100の明るさ、すなわち、輝度を増加させる。OLED100によって放出される光の色は、有機材料108における有機分子の種類に応じて異なる。
【0016】
複数のOLED(OLED100など)からなるOLEDのアレイを、ディスプレイを形成するように基板上に堆積してパターニングすることが可能である。アレイ中の各OLEDの明るさ、すなわち、輝度は、ディスプレイ上に視認可能な画像を形成するように、個々に制御されることが可能である。今日では、OLEDディスプレイ技術は、小さなハンドヘルド・モバイルフォンから大パネル・テレビまで、広い範囲の電子装置および機器に用いられている。OLEDディスプレイに関連する電力消費は、多くの場合には液晶ディスプレイより優れているものの、比較的高くなることがある。これは、多くの場合、そうしたOLEDディスプレイはそれが動作させられる最も強い雰囲気光環境(日光が強くなり得る屋外環境など)に匹敵するのに十分な光出力を提供するのに十分な力によって駆動されるためである。
【0017】
上述の通り、OLEDの明るさ、すなわち、輝度は、順方向バイアスが加えられているとき、それを通じて流れる電流を調整することによって制御することができる。したがって、OLEDディスプレイでは、画像がフォーマットされることが可能であるように、ディスプレイを構築するOLEDを通じる電流を制御するために、ピクセル回路が用いられる。例えば、アクティブマトリクス方式OLED(AMOLED)ディスプレイでは、ピクセル回路は、OLEDを通じる電流を制御するために、2つ以上の薄膜トランジスタ(TFT)と1つのストレージ・キャパシタと備え得る。
【0018】
図2には、OLED202と、駆動薄膜トランジスタ(TFT)204と、ストレージ・キャパシタ206と、アクセスTFT208とを備える、AMOLEDディスプレイ用のそうしたピクセル回路200の一例を示す。
【0019】
動作時には、コントローラ(図示せず)は、選択線210を用いてピクセル回路のアレイにおけるピクセル回路200を選択し、データ線212を用いてOLED202の明るさ、すなわち、輝度をプログラムする。より詳細には、コントローラは、アクセスTFT208をオンとするために選択線210に対し適切な電圧を与え、アクセスTFT208がオンとなると、コントローラは、OLED202が所望の明るさ、すなわち、輝度を提供するように、駆動TFT204のゲートに対する電圧をプログラムするべくデータ線212に対し適切な電圧を与える。
【0020】
ストレージ・キャパシタ206は、駆動TFT204のゲートに対しプログラムされた電圧の放電(アクセスTFT208を通じるリークによる)を防止するために用いられる。駆動TFT204のゲートに対しプログラムされた電圧の放電を防止することによって、ストレージ・キャパシタ206が、所望の明るさ、すなわち、輝度での駆動TFT204によるOLED202の連続的な駆動を可能とするとともに、ディスプレイにおける他のピクセルが選択されプログラムされる。駆動TFT204は、第1のバイアス電圧線214と第2のバイアス電圧線216との間に結合される正電圧ソースによって供給される電力を用いて、OLED204を駆動する。また、この正電圧ソースは、OLED202に順方向バイアスを加える。
【0021】
駆動TFT204には、駆動TFT204がそのゲートに対しプログラムされた電圧によって制御される定電流ソースとして振る舞うように、ピクセル回路200の通常動作中、飽和のバイアスが加えられる(つまり、|V
d|>|V
gs−V
t|)。したがって、駆動TFT204のゲートに対しプログラムされた電圧を変化させることによって、OLED202を通じる電流が変化し、それによって、その明るさ、すなわち、輝度が予測可能に制御される。ピクセル・アレイにおける各OLEDの明るさ、すなわち、輝度は、表示用の画像をフォーマットするように、ピクセル回路200の構成を用いて個々にプログラムされることが可能である。
【0022】
また、ピクセル回路200は光感知モードで動作することも可能であり、その原理は、後述の本発明の指紋センサにより利用されることが可能である。
光感知モードで動作するために、ピクセル回路200におけるOLED202は、光起電力および/または光伝導モードとされる。光起電力モードではOLED202にはバイアスが加えられない一方、光伝導モードではOLED202に外部の逆方向バイアスが与えられる。OLED202にバイアスが加えられていない(光起電力モードにおいて)またはOLED202が逆方向バイアス下にある(光伝導モードにおいて)場合、OLED202は、その表面に達した光を電流に変換することができるフォトダイオードとして動作する。
【0023】
コントローラ(図示せず)は、第1のバイアス電圧線214と第2のバイアス電圧線216との間に印加される電圧を制御することによって、OLED202を光起電力モードおよび/または光伝導モードとするように構成されている。より詳細には、コントローラは、第1のバイアス電圧線214と第2のバイアス電圧線216との間に印加される電圧を、表示モードでの動作中の正の電圧(OLED202に順方向バイアスを加えるのに十分である)から感知モードでの動作中の0または負の電圧(OLED202に逆方向バイアスを加えるのに十分である)へと、交互に切り替えることが可能である。
【0024】
ピクセル回路200が光感知モードで動作することになるとき、コントローラは、ピクセル回路200が表示モードで機能しているときの飽和領域ではなく、その線形領域(つまり、|V
d|<|V
gs−V
t|)において駆動TFT204にバイアスを加えるようにさらに構成されている。コントローラは、駆動TFT204のゲートに対し適切な電圧をプログラムすることによって、これを行うことが可能である。
【0025】
なお、ピクセル回路200はAMOLEDディスプレイ用のピクセル回路の単なる一例を提供するものである。他のピクセル回路が本開示の実施形態においてさらに用いられることが可能である。例えば、追加の回路(例えば、TFTに関連する非一様性および安定性の問題を補償するための)を備える他のピクセル回路、異なるTFTタイプ(例えば、p型でなくn型)、および/または異なるプログラム方法(例えば、電圧プログラムでなく電流プログラム)が用いられることが可能である。
【0026】
有機発光ダイオードの一部の動作特性について検討したが、ここで、1以上の実施形態による指紋センサについて考える。
指紋センサのレイアウト例
図3には、1以上の実施形態による一例の指紋センサの態様を一般に300で示す。この例では、指紋センサは、4つのピクセル・セルからなるピクセル・アレイを備える。第1の4つのピクセル・セルは、ピクセル302,304,306,308を含む。第2の4つのピクセル・セルは、ピクセル310,312,314,316を含む。この例では、ピクセル302は赤のピクセルであり、ピクセル304は緑のピクセルであり、ピクセル306は青のピクセルであり、ピクセル308は緑のピクセルである、などである。各個々のピクセルは、ピクセル回路200(
図2)など、対応するピクセル回路を有する。ピクセル回路が製造されるとき、各ピクセル間に間隙が残される。間隙サイズは解像度に基づき異なってよいが、しかしながら、間隙幅は、典型的には、20〜50マイクロメートルの範囲である。したがって、例えば、第1の間隙はピクセル304,310の間に示され、第2の間隙はピクセル304,308の間に示される。列352,354は、以下でより詳細に記載するように、スイッチング・トランジスタを制御し、キャパシタ上の蓄積電荷を検出するために利用される制御線および検出線をそれぞれ構成する。
【0027】
図示および説明する実施形態では、指紋センサは、ピクセル間の間隙内に少なくとも部分的に形成された複数のPINダイオード回路350も備える。この特定の例では、4つのピクセル・セル毎に1つのPINダイオード回路が形成される。しかしながら、特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく他の密度が用いられてよいことが認められ、理解される。この特定の例では、PINダイオード回路350は、完全にピクセル間の間隙内に存在する。しかしながら、他の構成が可能である。一例として、
図4を考慮されたい。
【0028】
図4には、1以上の他の実施形態による一例の指紋センサの態様を一般に400で示す。この例では、指紋センサは、4つのピクセル・セルからなるピクセル・アレイを備える。第1の4つのピクセル・セルは、ピクセル402,404,406,408を含む。第2の4つのピクセル・セルは、ピクセル410,412,414,416を含む。この例では、ピクセル402は赤のピクセルであり、ピクセル404は緑のピクセルであり、ピクセル406は青のピクセルであり、ピクセル408は緑のピクセルである、などである。各個々のピクセルは、ピクセル回路200(
図2)など、対応するピクセル回路を有する。ピクセル回路が製造されるとき、各ピクセル間に間隙が残される。したがって、例えば、第1の間隙はピクセル404,410の間に示され、第2の間隙はピクセル404,408の間に示される。
【0029】
図示および説明する実施形態では、指紋センサは、ピクセル間の間隙内に少なくとも部分的に形成されたPINダイオード回路450も備える。ここでは、しかしながら、PINダイオード回路が完全に間隙内に形成されている
図3の実施形態とは異なり、各PINダイオード回路と隣接したピクセルとの間には一定の領域の重なりが存在する。この特定の例では、4つのピクセル・セル毎に1つのPINダイオード回路が形成される。しかしながら、特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく他の密度が用いられてよいことが認められ、理解される。列452,454は、以下でより詳細に記載するように、スイッチング・トランジスタを制御し、キャパシタ上の蓄積電荷を検出するために利用される制御線および検出線をそれぞれ構成する。
【0030】
1以上の実施形態による指紋センサのレイアウト例について検討したが、ここで、1以上の実施形態による一例のPINダイオード回路について考える。
PINダイオード回路例
図5には、1以上の実施形態による一例のPINダイオード回路を、一般に500で示す。この例では、PINダイオード回路は、PINダイオード504と、PIN504ダイオードを通じて接続されているキャパシタ506とを含む光感知ブロック502を備える。この図示および説明する実施形態では、PINダイオード504は、有機発光ダイオード(OLED)、より詳細には、アクティブマトリクス方式の有機発光ダイオード(AMOLED)として実装される。スイッチング・トランジスタ508が光感知ブロック502に対し接続されている。スイッチング・トランジスタ508は、走査可能回路510に対し接続されているゲートを有する。電荷検出回路512は、スイッチング・トランジスタ508(p型またはn型のトランジスタ)のソースに対し接続されている。
【0031】
動作時、光感知ブロック502は、上述の方式により入って来る光を感知するように構成されている。スイッチング・トランジスタ508がオフにされているとき、PINダイオード504によって受光される光は、キャパシタ506を荷電するために用いられることが可能である。キャパシタ上の電荷を読み取るには、走査可能回路510はスイッチング・トランジスタ508をオンにし、それによって電荷検出回路512がキャパシタに蓄積された電荷を検出することを可能とする。
【0032】
一部の実施形態では、PINダイオード回路は、ピクセル回路200(
図2)を形成するために用いられるマスク数を増加させることなく形成されることが可能である。マスク数は、アーキテクチャに応じて5〜8マスクの間の範囲であってよい。経済的なマスク数が達成されるのは、材料が各ピクセル回路のOLEDを形成するために堆積される垂直のPIN構造をPINダイオード回路が備えているからである。
【0033】
一例のPINダイオード回路について検討したが、ここで、PINダイオード回路を形成する際に利用可能な1つの最適化について考える。
ピン・ダイオード最適化の例
典型的には、AMOLEDディスプレイを形成するとき、その比較的高い電子およびホール移動度から低温多結晶シリコン(LTPS)が用いられる。LTPSは、基板(ガラスなど)上に最初にアモルファス・シリコン層を堆積させることによって形成される。このアモルファス・シリコン層は、次いで、アモルファス・シリコン層をレーザに晒すことによって、多結晶シリコンに再結晶させられる(エキシマ・レーザ・アニール(ELA)処理中など)。しかしながら、ダングリングボンドの濃度が高いため、アモルファス・シリコンは、光センサの形成を容易にする光感度を本来的に有する。
【0034】
図6には、改良されたAMOLEDが形成される処理を一般に600で示す。
基板602が提供される。基板602は、ガラス、ポリイミドなどの任意の適切な種類の材料を含むことが可能である。ブロッキング材料604の層が基板の上に形成される。ブロッキング材料604は、任意の適切な種類のレーザ吸収またはレーザ反射材料を含むことが可能である。一部の例では、ブロッキング材料604は、モリブデン、アルミニウムなどの金属材料を含むことが可能である。典型的には、ブロッキング材料が基板の上に形成され、続いて、ブロッキング材料のアイランドを後に残すようにパターニングおよびエッチングされることが可能である。次に、アモルファス・シリコン606の層が基板600の上に形成される。この基板が次にレーザ・アニーリング処理(基板600の下方の矢印によって示す)に晒され、それによってアモルファス・シリコン606は多結晶シリコン608の層へと再結晶される。なお、ブロッキング材料604によって、アモルファス・シリコン610からなる上に位置する層がポリシリコンにおいて再結晶することが妨げられている。これに至り、アモルファス・シリコン610の層は、PINダイオード回路において光センサとして働くことが可能である。
【0035】
改良されたAMOLEDが形成される一例の処理について検討したが、ここで、上述の実施形態により構成されるデバイスについて考える。
動作時
図7には、一例のコンピューティング・デバイスを一般に700で示す。コンピューティング・デバイス700は、
図2に記載したものなどピクセル回路のアレイと上述のものなど指紋センサのアレイとを用いて実装されるディスプレイ702を備える。この例では、コンピューティング・デバイス700は、最も左の図示では、アクティブに使用されておらず、ロックされた状態にある。ここで、ユーザはデバイスを拾い上げ、そのロックの解除を望むと仮定する。任意の領域においてディスプレイ702に触れることによって、それらがなされてもよい。コンピューティング・デバイス700は、ユーザがディスプレイに触れる時を検出するタッチ・センサを備える。タッチ入力を感知すると、最も右の図示により示されるように、タッチ・センサは、ユーザの指からの反射を最大化するべく、白色光または別の色など、任意の適切な種類の光とともにディスプレイをオンにする。これが起きるとき、指紋センサは指から反射された光を検出することが可能である。この反射光は、次いで指紋を得るべく処理されることが可能であり、この指紋は、次いで、マッチのイベント時にデバイスのロックを解除したり、非マッチのイベント時にデバイスをロックされたままとしたりするために用いられることが可能である。一部の実施形態では、指紋は、電荷検出回路512(
図5)がPINダイオード回路における各キャパシタ上に蓄積された電荷を最初に読み取ることによって取得される。この値は、次いで、適切に構成されたアプリケーションによって、指紋または指紋のプロフィールを取得可能なグレースケール画像に対しマッピングされることが可能である。
【0036】
別の例として、
図8を考える。
図8には、一例のコンピューティング・デバイスを一般に800で示す。コンピューティング・デバイス800は、
図2に記載したものなどピクセル回路のアレイと上述のものなど指紋センサのアレイとを用いて実装されるディスプレイ802を備える。この例では、コンピューティング・デバイス800は、最も左の図示では、アクティブに使用されておらず、ロックされた状態にある。ここで、ユーザはデバイスを拾い上げ、そのロックの解除を望むと仮定する。任意の領域においてディスプレイ802に触れることによって、それらがなされてもよい。コンピューティング・デバイス800は、ユーザがディスプレイに触れる時を検出するタッチ・センサを備える。タッチ入力を感知すると、最も右の図示により示されるように、タッチ・センサは、ユーザの指からの反射を最大化するべく、タッチに関連する局所的な領域(破線の円によって示す)において、白色光または別の色など、任意の適切な種類の光とともにディスプレイをオンにする。これが起きるとき、この局所的な領域における指紋センサは指から反射された光を検出することが可能である。この反射光は、次いで指紋を得るべく処理されることが可能であり、この指紋は、次いで、マッチのイベント時にデバイスのロックを解除したり、非マッチのイベント時にデバイスをロックされたままとしたりするために用いられることが可能である。一部の実施形態では、指紋は、電荷検出回路512(
図5)がPINダイオード回路における各キャパシタ上に蓄積された電荷を読み取ることによって最初に取得される。この値は、次いで、適切に構成されたアプリケーションによって、指紋または指紋のプロフィールを取得可能なグレースケール画像に対しマッピングされることが可能である。
【0037】
図9は、1以上の実施形態による方法における工程について記載するフローチャートである。この方法は、任意の適切なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせとともに実装されることが可能である。少なくとも一部の実施形態では、この方法は、適切に構成されたハンドヘルド・コンピューティング・デバイス(携帯電話など)によって実装される。その例は、前述および後述において提供されている。
【0038】
工程900では、ハンドヘルド・コンピューティング・デバイスのディスプレイ・デバイス上で受信されるタッチ入力を検出する。この工程は、デバイス上の適切に構成されたタッチ・センサを用いることによって実行されることが可能である。一部の実施形態では、タッチ入力は、ディスプレイ・デバイスの任意の場所において検出されることが可能である。他の実施形態では、ディスプレイ・デバイスの所定の領域(例えば、ディスプレイ・デバイスの下側半分、ディスプレイ・デバイスの右下角など)が指紋領域として指定されてもよい。工程902では、ディスプレイ・デバイスのそれぞれのピクセルのピクセル回路間の間隙内に少なくとも部分的に形成されている複数のPINダイオード回路を用いて、指紋を検出する。少なくとも一部の実施形態では、この工程は、タッチ入力からの光の反射を最大化するべく、ディスプレイ・デバイスのピクセルのすべてまたは大半を照明することによって、実行されることが可能である。少なくとも一部の他の実施形態では、この工程はタッチ入力が生じた局所的な領域またはエリアにおける複数のピクセルを照明することによって実行されることが可能である。局所的な領域において照明されるピクセルの数は、全ての場合ではないにしても大半の場合では、ディスプレイ・デバイスを含む総ピクセル数の半分未満、4分の1未満、または8分の1未満である。
【0039】
工程904では、検出された指紋がコンピューティング・デバイス上に記憶されている指紋または指紋のプロフィールとマッチするか否かを確認する。検出された指紋が記憶されている指紋とマッチする場合、工程906ではハンドヘルド・コンピューティング・デバイスのロックを解除する。他方、検出された指紋が記憶されている指紋とマッチしない場合、工程908ではハンドヘルド・コンピューティング・デバイスのロックを解除しない。
【0040】
上述の通り一例の指紋センサについて検討したが、PINダイオード回路500(
図5)などのPINダイオード回路が自己補償機能を実装するためにどのように用いられるかについて考える。
【0041】
自己補償AMOLED
上述の通り、種々の実施形態では、アクティブマトリクス方式有機発光ダイオード(AMOLED)として形成された一連のPINダイオードは、関連するディスプレイが自己補償されることを可能とすることができる。これは、
図5のPINダイオード回路500などPINダイオード回路の一部としてPINダイオードを用いることによって行われることが可能である。このように、PINダイオード回路は、焼き付き問題およびムラ問題を緩和するようにディスプレイ・ピクセルを自己補償するために用いられる、自己補償システムの部分を備える。PINダイオード回路は、
図3および
図4に記載したのと同一の方式によりレイアウトされることが可能であり、上述の実施形態のいずれかを含むことが可能である。詳細には、PINダイオードまたはPINダイオード回路は、ディスプレイの一領域の輝度を感知するために用いられることが可能である。すなわち、PINダイオード回路に隣接する個々のピクセルが照明されるとき、対応するPINダイオード回路は、ディスプレイの一領域の輝度を検出することが可能である。1または複数のピクセルの照明は、個々のPINダイオード回路の対応するキャパシタに荷電する。走査可能回路(走査可能回路510(
図5)など)が、次いで、上述の通り、電荷検出回路512が個々のキャパシタ上の電荷を検出することを可能にするように、スイッチング・キャパシタ508をオンにする。個々のキャパシタ上の電荷の値は、次いで、補償因子の計算を可能にするように、電荷検出回路または別の処理構成要素によって用いられることが可能である。この補償因子は、次いで、較正された輝度値を計算するために用いられることが可能である。この較正された輝度値は、個々のピクセル、すなわち、より正確には、ディスプレイの個々のピクセル回路をプログラムまたは駆動するために用いられることが可能である。
【0042】
少なくとも一部の実施形態では、各キャパシタ上の電荷の値は、補償因子に対する電荷の値のマッピングを提供する参照テーブルに対しマッピングされることが可能である。補償因子は、較正された輝度値を計算するために用いられることが可能であり、較正された輝度値は、個々のPINダイオード回路に関連する対応するピクセルを駆動するために用いられることが可能である。
【0043】
なお、焼き付きおよびムラ効果や個々のピクセルの一般的な劣化のため、所与の照明についての個々のピクセルに対する検出された電荷は、時間を通じて変化する。上述のPINダイオード回路を用いることによって、ピクセル回路は上記のようにして自己補償されることが可能である。
【0044】
幾つかの実施形態では、特により大きな形態因子のディスプレイを有するコンピューティング・デバイスでは、PINダイオード回路は、ピクセル毎、2つのピクセル毎、4つのピクセル毎などに関連付けられてよい。PINダイオード回路が複数のピクセルに関連する実施形態では、それらのピクセルはユニットまたはセルとして扱われることが可能である。PINダイオード回路は、次いで、ユニットまたはセルに対応する領域の輝度を検出することが可能である。ユニットまたはセルは、全体として、前述または後述の処理に基づいて補償されることが可能である。
【0045】
少なくとも一部の実施形態では、補償処理は任意の適切な時に発生することが可能である。一部の例では、デバイスが充電されているとき、その他、使用中でないとき、補償処理が発生することが可能である。これに代えて、またはこれに加えて、補償処理は、1日に1回、1か月に1回、またはデバイスがアイドルである任意の時に発生することが可能である。
【0046】
図10は、1以上の実施形態による方法における工程について記載するフローチャートである。この方法は、任意の適切なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせとともに実装されることが可能である。少なくとも一部の実施形態では、この方法は、適切に構成されたコンピューティング・デバイスによって実装される。その例は、前述および後述において提供されている。
【0047】
ディスプレイ・デバイスの1以上のピクセルは、上述のものなどピクセル回路を用いて照明される(ブロック1000)。1または複数のピクセルが照明されるとき、ディスプレイ・デバイスのそれぞれのピクセルのピクセル回路間の間隙内に少なくとも部分的に形成されているPINダイオード回路を用いて、ブロック1002にて、対応する輝度が検出される、少なくとも一部の実施形態では、1または複数のピクセルが照明されるとき、PINダイオード回路が上述の照明を検出し、対応するキャパシタが荷電される。輝度は、上述のPINダイオード回路のキャパシタ上の対応する電荷を読み取ることによって検出される。検出された輝度は、ブロック1004にて、補償因子を確認するために用いられる。これは任意の適切な方法により行われることが可能である。例えば、少なくとも一部の実施形態では、キャパシタ上の対応する電荷の値は、補償因子に対する電荷の値のマッピングを提供する参照テーブルに対しマッピングされることが可能である。補償因子は、次いで、較正された輝度値を計算するために用いられる(ブロック1006)。較正された輝度値は、ピクセル回路において駆動TFTのゲートを駆動するために用いられることの可能な電圧の形態で存在することが可能である。例えば、
図2の回路では、駆動TFT204には、駆動TFT204がそのゲートに対しプログラムされた電圧によって制御される定電流ソースとして振る舞うように、ピクセル回路200の通常動作中、飽和のバイアスが加えられる(つまり、|Vd|>|Vgs−Vt|)。したがって、駆動TFT204のゲートに対しプログラムされた電圧を変化させることによって、OLED202を通じる電流が変化し、それによって、その明るさ、すなわち、輝度が予測可能に制御される。ピクセル・アレイにおける各OLEDの明るさ、すなわち、輝度は、表示用の画像をフォーマットするように、ピクセル回路200の構成を用いて個々にプログラムされることが可能である。したがって、較正された輝度値は、1以上のピクセルに関連するピクセル回路を駆動するために用いられる(ブロック1008)。
【0048】
このようにしてAMOLEDを補償することによって、当業者によって認められるように、ムラおよび焼き付きに関連する問題を緩和することが可能である。自己補償の実施形態は、大きなディスプレイ(より小さなPPIを有し、したがって、センサに対してより大きな領域が可能となるテレビなど)の場合において特に有用であり得る。さらにまた、焼き付き問題は、テレビの場合において特に重要である。さらに、焼き付きおよびムラ問題の緩和によって、製造の歩留まりは増大し得る。これらの問題(特に、ムラ問題)は歩留まりを減少させる最も有意な因子のうちの1つであるからである。さらにまた、記載の実施形態は、上述のものなど、より単純なピクセル回路を可能とし、したがって、より高いPPIを有するデバイスが製造されることを可能とする。
【0049】
1以上の実施形態による一例の方法について検討したが、ここで、1以上の実施形態による幾つかの実装の詳細について考える。
実装詳細
一部の実施形態では、上記指紋センサ機能はワンチップ構成により実装されることが可能である。このワンチップ構成は、ROIC(read−out integrated circuit)やディスプレイ・ドライバ集積回路を含む。他の実施形態では、上記指紋センサ機能は、指紋センサが1つのチップ上に存在し、感知集積回路(上述における電荷検出回路512)が第2のチップ上に存在し、2つの間がフレックス材料によって動作可能に接続されている2チップ構成により実装されることが可能である。ROICに関連するノイズ増幅パラメータが低いのに対してディスプレイ・ドライバの破壊電圧は比較的高いので、異なるチップ上にROICおよびディスプレイ・ドライバ集積回路を維持することによって、両方の動作が容易となる。
【0050】
ストレージ・キャパシタの除去
動作中、PINダイオードからの一部のリーク電流によって、関連するキャパシタが望ましくない小さな電荷を得る場合がある。そうした例では、感知回路、すなわち、走査可能回路510(
図5)は、このプリチャージされた電子を除くことによって、ストレージ・キャパシタを除去することが可能である。これによって、指紋スキャナが動作可能である場合、センサ精度を改良することが可能である。
【0051】
マルチプレクサの使用
一部の実施形態では、指紋センサおよび自己補償の実施形態の両方、マルチプレクサ(MUX)が光感知のために組み込まれることが可能である。光感知の場合、比較的高いリフレッシュレート(60Hzなど)は不要である。むしろ、1Hz,2Hz,3Hzなど、はるかに低いリフレッシュレートを利用することが可能である。これによって、50:1(1列が50個のピクセルを共有可能である)など、大きなMUXの使用を可能とすることができる。したがって、MUXを用いて、複数のセンサ列は1列に接続することが可能であり、動作をタイミングに基づいて分散させることが可能である。このように、例えば、50:1のMUXでは、第1のセンサ列は0〜0.02秒のタイミングを用いて走査され、第2のセンサ列は0.02〜0.04のタイミングを用いて走査され、などが可能である。
【0052】
酸化物TFTの使用
一部の実施形態では、酸化物TFTを利用してPINダイオードを実装することが可能である。これは、より低いリーク電流を含む、よりよい性能のためである。
【0053】
マイクロミラーおよび光ガイドの使用
一部の自己補償の場合、PINダイオードは、PINダイオードによって受け取られる光の量を増加させるマイクロミラーを備えるように形成されることが可能である。これは、製造中、AMOLEDに隣接する反射堆積層のパターニングを行うことによって行うことが可能である。当業者によって認められるように、任意の適切な種類の反射堆積層を利用することが可能である。加えて、
図5のPINダイオード504など、光感知ブロックにおける個々のPINダイオードは、PINダイオードの関連する1または複数のピクセルからの受光を強化するとともに他のピクセルから受け取られる光をブロックまたはその量を減少させる光ガイド構造を備えるように形成されることが可能である。一例として、
図6では、異方性エッチングされたサイドウォールは、PINダイオードの関連する1または複数のピクセルからの光のチャネリングを行うとともに近隣のピクセルからの少なくとも一部の光をブロックするための所望の高さにアモルファス・シリコン610に隣接して形成されることが可能である。
【0054】
2つの機能(デュアル・ファンクション)
少なくとも一部の実施形態では、自己補償機能をサポートする限りにおいて、指紋センサを提供する一連のPINダイオードは、二役(デュアル・ロール;dual role)を担うことが可能である。これらの例では、設計において、補償に用いられるディスプレイ入力から指紋センサを分離することが考慮される。詳細には、適切なアルゴリズムを用いて分離を達成することが可能である。例えば、ディスプレイ入力が測定され、基本ノイズとして正規化されることが可能である。指紋入力が得られるとき、このノイズが減算されることが可能である。
【0055】
コンピューティング・デバイスの例
図11には、上述の指紋センサの実施形態が実装されることの可能な一例のデバイス1100の様々な構成要素を示す。この例のデバイス1100は、テレビなど大きなディスプレイを備えるデバイス、任意の種類のクライアント・デバイス、モバイルフォン、タブレット・デバイス、娯楽装置、ゲーム・デバイス、メディア再生デバイスなどハンドヘルド・デバイス、および/または他の種類のデバイスとして実装されることが可能である。例えば、
図7および8のデバイスが、この例のデバイス1100として実装されてもよい。
【0056】
デバイス1100は、他のデバイスとのデバイス・データ1104の有線および/または無線通信を可能とする通信トランシーバ1102を備える。これに加えて、デバイス・データは、任意の種類のオーディオ、ビデオ、および/またはイメージ・データを含むことが可能である。トランシーバの例には、種々のIEEE802.15(Bluetooth(登録商標))規格に準拠した無線パーソナル・ネットワーク(WPAN)無線機、種々のIEEE802.11(WiFi(登録商標))規格のいずれかに準拠した無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)無線機、セルラー式電話通信用の無線ワイド・エリア・ネットワーク(WWAN)無線機、種々のIEEE802.15(WiMAX(登録商標))規格に準拠した無線・メトロポリタン・エリア・ネットワーク(WMAN)無線機、およびネットワーク・データ通信用の有線のローカル・エリア・ネットワーク(LAN)・イーサネット(登録商標)・トランシーバが含まれる。
【0057】
また、デバイス1100は、それを介して任意の種類のデータ、メディア・コンテンツ、および/または入力(デバイスに対するユーザ選択可能な入力、メッセージ、音楽、テレビ・コンテンツ、記録されたコンテンツ、ならびに任意のコンテンツ・ソースおよび/またはデータ・ソースから受信される任意の他の種類のオーディオ、ビデオおよび/またはイメージ・データなど)が受信されることの可能な1以上のデータ入力ポート1106も備えてよい。データ入力ポートは、フラッシュ・メモリ、DVD、CDなどのためのUSBポート、同軸ケーブル・ポート、および他のシリアルまたはパラレル・コネクタ(内部コネクタを含む)を備えてよい。それらのデータ入力ポートは、任意の種類の構成要素、周辺装置、またはアクセサリ(マイクロホンおよび/またはカメラなど)にデバイスを結合するために用いられてもよい。
【0058】
デバイス1100は、1以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、コントローラなどのいずれか)からなる処理システム1108および/またはコンピュータが実行可能な命令を処理するシステム・オン・チップ(SoC)として実装されたプロセッサ−メモリ・システムを備える。プロセッサ・システムは、少なくとも部分的にはハードウェアにより実装されてよく、ハードウェアには、集積回路またはオンチップ・システム、特定用途向けIC(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、ならびにシリコンおよび/または他のハードウェアによる他の実装の構成要素が含まれる。これに代えて、または加えて、デバイスは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、または処理および制御回路(一般に1110にて識別される)とともに実装される固定の論理回路のいずれかまたは任意の組み合わせにより実装されることが可能である。デバイス1100は、デバイス内の種々の構成要素を結合する任意の種類のシステム・バスまたは他のデータおよびコマンド転送システムをさらに備えてもよい。システム・バスは、制御線およびデータ線のほか、様々なバス構造およびアーキテクチャのいずれかまたは任意の組み合わせを含むことが可能である。
【0059】
デバイス1100は、データ記憶を可能とし(コンピューティング・デバイスによってアクセスされることが可能なデータ・ストレージ・デバイスなど)、データおよび実行可能な命令(例えば、ソフトウェア・アプリケーション、プログラム、関数など)を持続的に記憶するコンピュータ可読記憶メモリ1112も備える。コンピュータ可読記憶メモリ1112の例には、揮発性メモリおよび不揮発性メモリ、固定およびリムバーブル・メディア装置、およびコンピューティング・デバイスのアクセス用にデータを維持する任意の適切なメモリ・デバイスまたは電子データ・ストレージが含まれる。コンピュータ可読記憶メモリは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリ・メモリ(ROM)、フラッシュ・メモリ、および種々のメモリ・デバイス構成による他の種類の記憶媒体の種々の実装を含むことが可能である。デバイス1100は、マス・ストレージ・メディア・デバイスをさらに備えてもよい。
【0060】
コンピュータ可読記憶メモリ1112は、デバイス・データ1104、他の種類の情報および/またはデータ、ならびに種々のデバイス・アプリケーション1114(例えば、ソフトウェア・アプリケーション)を記憶するためのデータ・ストレージ機構を提供する。例えば、オペレーティング・システム1116は、メモリ・デバイスによりソフトウェア命令として維持されるとともに処理システム1108によって実行されることが可能である。デバイス・アプリケーションは、デバイス・マネージャ(任意の形態の制御アプリケーション、ソフトウェア・アプリケーション、信号処理および制御モジュール、特定のデバイスに対するネイティブ・コード、特定のデバイス用のハードウエア・アブストラクション・レイヤなど)を含んでもよい。デバイス・アプリケーションは、前述および後述のように指紋センサによって感知される指紋に基づき認証を実行するアプリケーションも含むことが可能である。
【0061】
デバイス1100は、オーディオ・システム1122用のオーディオ・データの生成、ディスプレイ・システム1124用のディスプレイ・データの生成、またはその両方を行う、オーディオおよび/またはビデオ処理システム1120も備える。ディスプレイ・システム1124は、上述の指紋センサ1125aを備えることが可能である。これに代えて、またはこれに加えて、ディスプレイ・システム1124は、自己補償回路1125bを備えることが可能である。指紋センサおよび自己補償回路の両方を備える例では、上述の通り、それらは二役の機能を有する単一の構成要素として統合されることが可能である。オーディオ・システムおよび/またはディスプレイ・システムは、オーディオ、ビデオ、ディスプレイ、および/またはイメージ・データの処理、表示、および/またはその他のレンダリングを行う、任意のデバイスを備えてよい。ディスプレイ・データおよびオーディオ信号は、RF(無線周波数)リンク、Sビデオ・リンク、HDMI(high−definition multimedia interface)(登録商標)、コンポジット・ビデオ・リンク、コンポーネント・ビデオ・リンク、DVI(digital video interface)、アナログ・オーディオ接続、または他の同様の通信リンク(メディア・データポート1126など)を介し、オーディオ構成要素および/またはディスプレイ構成要素に対し伝達されることが可能である。複数の実装では、オーディオ・システムおよび/またはディスプレイ・システムは、この例のデバイスの集積部品である。あるいは、オーディオ・システムおよび/またはディスプレイ・システムは、この例のデバイスに対して外部の周辺機器である。
【0062】
デバイス1100は、デバイスがモバイル・デバイスとして実装される場合など、1以上の動力源1128も備えることが可能である。この動力源は、充電システムおよび/または電力システムを含んでもよく、フレキシブル・ストリップ・バッテリ、充電式バッテリ、蓄電スーパーキャパシタ、および/または他の種類のアクティブまたはパッシブ動力源として実装されることが可能である。
【0063】
指紋センサが組み込まれているアクティブマトリクス方式有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイおよび自己補償回路の実施形態について機能および/または方法を特定して説明したが、添付の特許請求の範囲の主題は、記載の特定の機能または方法に必ずしも限定されるものではない。むしろ、特定の機能および方法は、指紋センサが組み込まれているアクティブマトリクス方式有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイおよび自己補償回路の実装例として開示されており、他の均等の機能および方法が添付の特許請求の範囲の内にあることが意図される。さらに、種々の異なる実施形態について記載されているが、記載の各実施形態は、独立して、または1以上の他の記載の実施形態とともに、実装されることが可能である。