(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
布地ウェブを形成するループ形成用地ガイドバー、少なくとも1本の緯糸挿入地ガイドバー又はジャカードガイドバー、及び、複数の柄ガイドバーを有するマルチバー経編機による編み方法であって、
原料糸を準備するステップ1と、
原料糸を前記ループ形成用地ガイドバーに送り込むステップ2と、
前記ループ形成用地ガイドバーが編織作業を開始するステップ3とを含み、
前記原料糸は、N(N≧2)本の糸から構成され、
N本の糸中の少なくとも1本がスパンデックス糸であり、少なくとも1本が非スパンデックス糸であり、
前記スパンデックス糸は、非スパンデックス糸と異なる前記ループ形成用地ガイドバー内に送り込まれ、
ステップ3において前記ループ形成用地ガイドバーが地組織のループ形成編織を行い、
前記マルチバー経編機は、地組織の編織と同時に又は編織の後、柄模様組織の編織を行い、柄模様組織の編織と地組織の編織とが組み合わされてマルチバー経編地を形成することを特徴とするマルチバー経編機による編み方法。
【背景技術】
【0002】
衣料品、装飾材料、工業用材料等でのマルチバー経編地の使用が年々増加するにつれ、マルチバー経編地の開発及び市場での応用も進歩しつつある。一般的なマルチバー経編地の布地ウェブは、逆織り方向において外力作用(洗浄、牽引等を含む)によって伝線する傾向がある。現在、マルチバー経編地の生産者は、製品の伝線性質の低下に注力しているが、多くの場合、当該伝線性質が他の性能と対照的になり、生産過程における伝線性質の低下と共に他の性能も低下し又は失ってしまう。現在、マルチバー経編地の伝線を防止又は抑制する一般的な方法及びデメリットは以下通りである。製織時の縦密度を高めることで伝線防止性能が向上する一方、マルチバー経編地のコストが増加し、これにより、消費者や企業負担が増大する。編み目の透過率を低下させて、鎖編の移動頻度を拡大することによって伝線防止の要件を満たすために、マルチバー経編地の外観効果を犠牲にせざるを得ない。或いは、ホットメルト材料を使用してホットメルトの熱溶着特性を利用することによって伝線を防止することができるが、マルチバー経編地の平滑度が低下する。従って、各種方法はそれなりのデメリットがある。
【0003】
伝線防止性能を向上させ、弾性織物のスパンデックスの飛散を防止するために、地組織の糸ループの縦編み密度を高める必要があり、このため、単一の糸ループでの糸使用量が減少し、糸ループが緊密になり、 伝線のリスクが低減されるが、編み物の一部の物理的指標が低下することは欠点である。これには、単一の糸ループの経糸供給量の減少による弾性及び収縮率の低下を含む。
【0004】
ループ形成用地糸直鎖編組織は、マルチバー経編地において最も広く使用されている基本地組織であり、逆織り方向において伝線しやすい。
図2及び
図3は、一般的な弾性マルチバー経編地の地組織のオープン式直鎖編糸ループは、単一の非スパンデックス糸Aから形成され、布地ウェブには、一針緯糸が挿入された組織の通常スパンデックスBが同時に存在する。当該基本組織は、縦方向のスパンデックスが存在するため、2つの図は、それぞれ同じ方向及び逆方向での製織状況である。形成された編物は、縦収縮率の相違によって一定の縦弾性を有する。縦密度が薄い(即ち、縦方向の単位長さ内の糸ループの数が少ない)場合、a、b、c点という接続点を有する。これにより、同じ高さ(糸ループの縦方向の長さが同じ)内の接続点が少ないことがわかる。
図4及び
図5に示すように、糸が破損した後に外力によって引っ張られると、地糸の糸ループは、最も容易に伝線し、スパンデックス糸も最も容易に解ける。
【0005】
図6及び
図7は、マルチバー経編地用の伝線防止の通常方法を示す。前記編地は、通常の弾性編地であり、地組織の縦密度が比較的高い場合、布地ウェブでの通常スパンデックスの緯糸挿入は、それぞれ同方向織り又は逆方向織りであり、その接続点がa、b、c点である。これにより、同じ高さ内の接続点は、
図2及び
図3と比べて増加していることがわかる。実際の編地の状況に基づいて、糸が破損又は外力による引張作用を受ける際に、
図6及び
図7による実際の伝線の容易さは、
図2及び
図3より弱いが、実際の密度の大きさ、原材料の太さ及び地糸供給量によって、その伝線リスクも高低の相違があり、実際の使用において、適度な密度値を把握するのが困難である。また、通常のスパンデックス緯糸挿入自体は、ループ形成用糸又はほかの糸との接続が堅固でないため、スパンデックスの脱出リスクも密度の大きさ及び糸の太さ等によって異なる。
図8及び
図9に示すように、糸ループの縦方向製織密度値が十分に大きくない場合、糸は外力を受けた後に依然とし
て伝線しやすい。当該方法の欠点として、伝線を抑制する効果を把握することが困難である。地ガイドバーの糸ループの縦密度が大きいと、地糸の単位糸ループの送り込む量が小さくなり、弾性が低下し、製織コストが増加する。糸の受けた外力の程度が増加すると、伝線リスクも高まる。伝線しないために、多くの場合、編織時の縦密度を大幅に増加させる必要があり、これにより、縦弾性が大幅に低下し且つ編地の触感が硬くなり、収縮率が悪化するなどのデメリットが生じる。
【0006】
地組織の縦密度を増加させることによって編地の伝線性質を改善する方法は、非弾性マルチバー経編地にも適用される。同様に、適度な密度値を把握することも困難である。非弾性マルチバー経編地の地組織密度の増加に従って、触感が硬くなるだけでなく、マルチバー経編地の編織しやいという性能も影響を受ける。マルチバーラッシェル経編機にとっては、縦方向の糸ループ密度が大きいほど編織難度が高くなる。
【0007】
図10及び
図11は、現在、マルチバー経編地に一般的に用いられる伝線防止方法を示す。当該方法は通常、非弾性マルチバー経編地(弾性マルチバー経編地にも同様な伝線防止作用を有する。)に用いられ、当該編地に同方向又は逆方向の緯糸挿入編織のホットメルト材料を加え、ホットメルトの特殊な熱溶着性能により、布が熱処理されて定型した後に、融解した点状の繊維接着点が発生する。直鎖編及び地組織が伝線しにくいように、これらの接着点は、ループ形成用地糸、他の布地ウェブ及び柄糸原材料に不規則に付着している。当該方法の欠点として、ホットメルト材料が高価であり、接着点がゼラチン状になり、触感が硬く、編地の表面が使用者に刺激を与えることである。また、当該溶融接着剤が使用者に対する化学影響及びほかの影響はまだ明確されていない。
【0008】
図12は、マルチバー経編地における地組織に一般的に用いられるもう1つの伝線防止方法を示す。即ち、直鎖編の糸ループの横列の局所において、鎖編の移動により六角形の線(直鎖編は、オープン形態又はクローズド形態で1つの縦列移動することができる。)が形成される。移動線の増加は、マルチバー経編地の伝線防止に対して一定の抑制効果を果たしている。鎖編ループ形成用地糸は、伝線する場合に鎖編の移動により阻止され、伝線の継続がある程度抑制される。当該方法の欠点として、直鎖編位置は、依然として伝線しやすいことである。六角形の線がまばらであると、全体の伝線防止効果は明らかではない。また、編地表面に横線の不良外観があり、六角形の線が密集すると編地の編み目ははっきりしておらず、外観に大きな影響を与える。
【0009】
上記のことにより、マルチバー経編地において、編地の伝線を防止又は抑制する従来及び既存の方法は、編地の弾性が失われ、触感が悪化し、コストが高く、外観が悪化することを含む様々な欠点が存在し、ひいては、肌への刺激及び不明な影響等の問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主な目的は、マルチバー経編地において、編地が良好な伝線防止性能を具備すると共に、縦方向製織密度を低下させ、且つ編地の弾性を向上させ、また、編地の触感を損傷せず、マルチバー経編地の外観に悪影響を与えず、原材料のコストを増加させないことである。上記の問題を解決するために、本発明は、ループ形成用スパンデックス糸又はスパンデックスの複合糸を送り込むことにより、従来の弾性マルチバー経編地における緯糸挿入スパンデックスを省略して、一本多い緯糸挿入地ガイドバーを得ることができる。製品のデザインを豊富にするために、当該地ガイドバーを他の設計バーとして使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、従来技術に係る問題を解決するためのマルチバー経編機による編み方法を提
供する。
【0012】
本発明の技術的解決手段は、以下のように実現される。
マルチバー経編機による編み方法は、
原料糸を準備するステップ1と、
原料糸をループ形成用地ガイドバーに送り込むステップ2と、
ループ形成用地ガイドバーが編織作業を開始するステップ3とを含む。
前記原料糸は、N本の糸から構成され、ここで、N≧1である。
N本の糸中の少なくとも1本が伝線防止性糸である。
【0013】
本発明の好ましい解決手段として、N=1であり、前記伝線防止性糸は、スパンデックスを含む複合糸である。
【0014】
本発明の好ましい解決手段として、ステップ3におけるループ形成用地ガイドバーが地組織のループ形成編織を行う。
【0015】
本発明の好ましい解決手段として、マルチバー経編機は、地組織の編織と同時又は編織の後に、柄模様組織の編織を行う。柄模様組織の編織と地組織の編織とが組み合わされてマルチバー経編地を形成する。
【0016】
本発明の好ましい解決手段として、N≧2であり、前記糸の少なくとも1本がスパンデックス糸である。
【0017】
本発明の好ましい解決手段として、前記スパンデックス糸は、非スパンデックス糸と同じ又は異なるループ形成用地ガイドバー内に送り込まれる。
【0018】
本発明の好ましい解決手段として、前記ループ形成用地ガイドバーをループ形成用ジャカードガイドバーで代替することができる。
【0019】
本発明は、マルチバー経編地の編織時に用いられる従来の伝線防止方法と異なり、地組織の編織時にスパンデックス及び非スパンデックス糸を送り込むと同時にループ形成させ、又は、スパンデックスを含む複合糸を採用してループ形成編織を行うことにより、上記の通常方法に存在する欠点を含むが、これらに限定されない欠点を回避することができる。マルチバー経編地は、良好な伝線防止性能を得ると共に、良好な触感及び弾性等の性能を有し、デザイン性が豊富になり、コストが削減される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るマルチバー経編機による編み方法は、原料糸を準備するステップ1と、原料糸をループ形成用地ガイドバーに送り込むステップ2と、ループ形成用地ガイドバーが編織作業を開始するステップ3とを含む。前記原料糸は、N本の糸から構成され、ここで、N≧1である。N本の糸中の少なくとも1本が伝線防止性糸である。
【0021】
布地ウェブ糸ループ内にスパンデックス糸ループを追加することにより、元の糸ループの緊密性が増加する。布地ウェブの糸ループが強い抱合力を有し、さらに、柄模様組織を形成する柄糸との抱合がより緊密になるように、各糸ループの接続点は、ずれ合い又は重なり合うようになっている。鎖編移動の横糸又はホットメルト糸の追加がない場合であっても、破損した地糸の糸ループ及び柄糸のいずれも伝線しにくい。実際の生産におけるサンプル生地のすべては、ISO 6330 4M Fの方法で25回の水洗テストを経て基準を満たし、良好な伝線防止効果を得ることができる。
【0022】
テストの結果、本発明によって製織されたマルチバー経編地の実際のサンプル生地は、高い弾性伸び特性を実現することができる。例えば、弾性マルチバー経編地が28網目/横列の同じ織物の完成品密度を達成するために、本発明に係る方法は、織機上での密度が14網目/横列である場合、織物を200%以上の弾性まで達成させることができ、依然として伝線防止性能及びスパンデックスの飛散防止性能の要件を満たすこともできる。同じ布地ウェブの通常原料で、本発明の方法が用いられていないサンプル生地は、通常、17網目/横列及び以上の密度値の場合、60%ひいてはさらに低い弾性まで調整しない限り、緯糸挿入のスパンデックスは、一定回数の水洗によって飛散し、水洗後多くの場合、伝線のリスクをも有する。
【0023】
密度が減少可能であり、また、製織しやすい非ホットメルト材料を使用しているため、従来のマルチバー経編地に対して、生産効率が20%又はそれ以上向上している。実際の生産において、シフト生産が大幅に向上し、コストが削減される。
【0024】
本発明に係る方法は、マルチバー経編地の布地ウェブに伝線防止のために熱溶着糸を追加する方法と異なり、スパンデックスが柔らかく且つ伸びが良好であるため、触感が熱溶着糸を追加する方法より遥かに優れ、肌への刺激がない。
【0025】
マルチバー経編地の良好な伝線防止特性及び上記の良好な特性を実現するほか、通常のマルチバー経編地における、緯糸挿入スパンデックス又は緯糸挿入熱溶着糸を製織するための一本の緯糸挿入地ガイドバーを、別の用途として使用することができ、これにより、編地のデザインがより豊富になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明に係る実施形態又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、実施形態又は従来技術の説明に用いられる図面について簡単に説明する。以下の説明における図面は、本発明に係る一部の実施形態だけであり、当業者は、創造的な業務を行わない前提の下で、これらの図面に基づいてほかの図面を得ることができる。
【0027】
【
図1】本発明に係る実施形態1の構成概略図である。
【
図12】従来技術11に係る編織方法の概略図である。
【
図13】本発明に係る実施形態2の構成概略図である。
【
図14】本発明に係る実施形態1の基本構造1の構成概略図である。
【
図15】本発明に係る実施形態1の基本構造2の構成概略図である。
【
図16】本発明に係る実施形態2の基本構造1の構成概略図である。
【
図17】本発明に係る実施形態2の基本構造2の構成概略図である。
【
図18】本発明の実施形態2における第1糸の構成概略図である。
【
図19】本発明の実施形態2における第2糸の構成概略図である。
【
図20】本発明の実施形態1及び2における挿入編みの例1の構成概略図である。
【
図21】本発明の実施形態1及び2における挿入編みの例2の構成概略図である。
【
図22】本発明の実施形態1及び2における挿入編みの例3の構成概略図である。
【
図23】本発明の実施形態1における例1の同方向構成概略図である。
【
図24】本発明の実施形態1における例1の逆方向構成概略図である。
【
図25】本発明の実施形態1における例2のクローズド構造の概略図である。
【
図26】本発明の実施形態1における例2のオープン構造の概略図である。
【
図27】本発明の実施形態1における方法1のマルチバー経編機の編織構造の概略図である。
【
図28】本発明の実施形態1における方法1の実施状態の概略図である。
【
図29】本発明の実施形態1における方法1の実施状態の第1工程図である。
【
図30】本発明の実施形態1における方法1の実施状態の第2工程図である。
【
図31】本発明の実施形態1における方法1の実施状態の第3工程図である。
【
図32】本発明の実施形態1における方法1の実施状態の第4工程図である。
【
図33】本発明の実施形態1における方法1の実施状態の第5工程図である。
【
図34】本発明の実施形態1における方法2のマルチバー経編機の編織構造の概略図である。
【
図35】本発明の実施形態1における方法2の実施状態の概略図である。
【
図36】本発明の実施形態1における方法2の実施状態の第1工程図である。
【
図37】本発明の実施形態1における方法2の実施状態の第2工程図である。
【
図38】本発明の実施形態1における方法2の実施状態の第3工程図である。
【
図39】本発明の実施形態1における方法2の実施状態の第4工程図である。
【
図40】本発明の実施形態1における方法2の実施状態の第5工程図である。
【
図41】本発明の実施形態2における方法3の実施状態の概略図である。
【
図42】本発明の実施形態2における方法3の実施状態の第1工程図である。
【
図43】本発明の実施形態2における方法3の実施状態の第2工程図である。
【
図44】本発明の実施形態2における方法3の実施状態の第3工程図である。
【
図45】本発明の実施形態2における方法3の実施状態の第4工程図である。
【
図46】本発明の実施形態2における方法3の実施状態の第5工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態における図面と併せて、本発明の実施形態における技術的解決手段について、明確且つ完全に説明する。記載される実施形態が本発明の一部の実施形態にすぎず、ずべての実施形態ではないことは明らかである。本発明の実施形態に基づいて、当業者が創造的な業務を行わない前提の下で得られたほかの実施形態のすべては、本発明の保護範囲に属す。
【0029】
本発明は、マルチバー経編機において、マルチバー経編地の伝線防止特性及び様々な良好な特性を得るために、スパンデックス又はスパンデックスを含む複合糸を使用してループ形成編織を行う方法を提供する。具体的には、マルチバー経編機が編織する際に、既存の非スパンデックス地糸材料のループ形成編織と共に、同じループ形成用地ガイドバーにスパンデックス糸を送り込み、又は、異なるループ形成用地ガイドバー内にスパンデックス糸を送り込んでループ形成編織を行い、他の地ガイドバーと共に地組織を形成させ、同時に、他の柄模様組織と合わせて独特な伝線防止性能を有するマルチバー経編地を共に形成させる。或いは、スパンデックスを含む複合糸を使用してループ形成編織を行い、他の地ガイドバーと共に地組織を形成させ、同時に、他の柄模様組織と合わせて独特な伝線防止性能を有するマルチバー経編地を共に形成させる。
【0030】
<実施形態1>
図1は、本発明の方法による実施形態1で形成された基本構成概略図である。
【0031】
図1の地組織のループ形成用地ガイドバーに通常のスパンデックスB及び地ガイドバー
の別の1本の非スパンデックス糸Aを送り込む。2つの糸ループ重複が形成され、うちの1つは、スパンデックス糸ループの特殊な伝線防止構造である。
【0032】
上記の基本的な構成概略図は、様々な変化を有してよい。具体的には、延伸線の変更の位置に応じて、オープン式、クローズド式、平編及び六角形等様々な編み目組織を形成することができる。また、柄模様組織は、落下板、緯糸挿入、アイドルスイング編、ループ形成等様々な種類がある。
【0033】
直鎖編構造(オープン式及びクローズド式)は、マルチバー経編地を形成するのに用いられる基本構造である。一方、本発明は、スパンデックス又はスパンデックスを含む複合糸のループ形成編織(後述の実施形態2を参照)により、マルチバー経編地の布地ウェブ組織を形成させるが、直鎖編構造(オープン式及びクローズド式を含む)も本発明の方法によって形成された基本構造である。この基本構造により、地ガイドバー、ジャカード又は柄ガイドバーの編織と併せて、様々な地組織形態を形成させることができる。
【0034】
図14は、実施形態1の基本構造1を示す。布地ウェブの糸ループを形成する非スパンデックス糸A及び布地ウェブの糸ループを形成するスパンデックス糸Bは、両方ともオープン式直鎖編組織である。
図15は、実施形態1の基本構造2を示す。布地ウェブの糸ループを形成する非スパンデックス糸A及び布地ウェブの糸ループを形成するスパンデックス糸Bは、両方ともクローズド直鎖編組織である。本発明によって形成された基本組織構造の直鎖編において、スパンデックス糸と非スパンデックス地糸とが相互に独立し且つ重なる糸ループを共に形成していることがわかる。
図14及び
図15に示すように、2本のループ形成用糸が同方向に挿入されているため、スパンデックス糸及び非スパンデックス糸は、糸ループのループ中心部及び延伸線部分において、表面と裏面で隠れたり現れたりし、又は重なるように現れる。
【0035】
図23及び
図24は、実施形態1における例1の構成概略図である。例1は、通常の緯糸挿入組織における実施形態1の使用を示す。ここで、
図23は、同方向構造を示し、
図24は、逆方向構造を示す。
【0036】
実施形態1の地組織と他の糸Eとが形成した緯糸挿入組織の組合わせは、マルチバー経編地を共に形成している。図示は、緯糸挿入組織の糸Eが同方向(
図23)及び逆方向(
図24)の挿入編みを行う際の組織構成概略図である。本発明は、緯糸挿入組織構造と他の組織構造との組合わせ編織に基づいて、様々な組織形態を生み出すことができる。
【0037】
図25及び
図26は、実施形態1における例2の構成概略図である。例2は、通常の落下板組織における実施形態1の使用を示し、ここで、
図25は、クローズド構造を示し、
図26は、オープン構造を示す。実施形態1における地組織と他の糸Fとが形成した落下板組織の組合わせは、マルチバー経編地を共に形成している。図示は、落下板組織の糸がクローズド式落下板組織(
図25)及びオープン式落下板組織(
図26)を走行する際の組織構成概略図である。本発明は、落下板組織と他の組織構造との組合わせ編織に基づいて、様々な組織形態を生み出すことができる。
【0038】
本発明に係る上記の方法は、マルチバー経編機の様々な地組織構造に用いられてよく、様々なマルチバー経編地の伝線防止に効果的である。上記の例は単に一例にすぎず、本発明の方法を利用して鎖編の長さを変更したり、糸ループの開閉状態を変更したりし、柄模様組織の様々な変化と併せることにより、マルチバー経編地は、伝線防止性能及び様々な良好な特性を得ることができる。
【0039】
<具体的な実現方法1>
図27は、方法1におけるマルチバー経編機の編織構成概略図である。マルチバー経編機が編織する際に、1本のループ形成用地ガイドバーを用いて、ループ形成用地ガイドバーの針孔内にスパンデックス糸及び非スパンデックス糸を同時に送り込む。
図27において、1は、2組の糸送り装置を介して、それぞれスパンデックス糸及び他の非スパンデックス地糸を送り込む。ループ形成用地ガイドバー1の工程チェーン番号は、1−0/0−1//である。ジャカードガイドバー4、ジャカードガイドバー5、緯糸挿入地ガイドバー6、柄ガイドバー2及び柄ガイドバー3に対してフルセットを行い、それぞれジャカード柄及び様々な形態を有する編織可能な組織を編織する。
【0040】
ここで、
図27は、地組織を形成するためのループ形成用地ガイドバー1、柄模様組織の柄ガイドバーを形成する柄ガイドバー2及び3、地組織を形成するためのジャカードガイドバー4及び5、地組織を形成するための緯糸挿入地ガイドバー6、シンカー7、針コア8、べら針9、ノックオーバーカム10、地ガイドバーの糸ガイド針11の構造を示す。
【0041】
スパンデックス原材料と非スパンデックス原材料とが整経及び編織の過程において異なる引取を有し、また、通常のマルチバー経編機のループ形成用地ガイドバー1が通常、1組の糸送り装置しか有せないため、スパンデックスのループ形成編織の適応性を解決するために、スパンデックスの独立した糸送りルートを設計した。テストを経て、本発明は、ループ形成用地ガイドバー1のスパンデックス糸送りに、我が社及びシーメンスが独自に研究開発したアクティブ糸送り装置(具体的なマルチバー経編地によっては、当該糸送り装置を追加しなくてもよい場合がある。或いは、パッシブ糸送り装置を介して又はマルチバー経編機におけるオリジナル糸送り装置を改造して使用することにより、ループ形成用スパンデックスの糸送りを実現してもよい。)を追加した。後述の方法2においても、同様に使用される。
【0042】
図28に示すように、糸送り装置15を介して非スパンデックス地糸Aを送り出し、張力補償装置13及び糸分け装置12を順に経て地ガイドバーの糸ガイド針孔11に送り込む。糸送り装置16を介してスパンデックス糸Bを送り出し、糸ガイドロッド14及び糸分け装置12を順に経て、地ガイドバーの糸ガイド針孔11に送り込む。これにより、地ガイドバーの糸ガイド針孔11には、スパンデックス及び非スパンデックスという2本のループ形成糸が同時に送り込まれる。2組の糸の送り込み位置を変更してよい。送り込み位置を変更しても、編地の外観及び伝線防止性能に影響を与えない。糸送りの際に、スパンデックス糸は、張力補償装置を介さずに、糸ガイドロッド及び糸分けバーを直接に経て、非スパンデックスのループ形成用地糸と同時にループ形成用地ガイドバー1の糸ガイド針に送り込まれて、共に糸ループを形成する。
【0043】
図29〜33は、スパンデックス及び非スパンデックスという2本の糸が地ガイドバーの糸ガイド針に同時に送り込まれた後のループ形成過程を示す。即ち、方法1の実施状態図である。
【0044】
図29は、方法1の第1工程を示す。地ガイドバーの糸ガイド針は、機械の前方に位置し、針コア8及びべら針9は、最下位(ノックオーバー状態)に位置する。地ガイドバーの糸ガイド針11は、機械の前方に位置し、古い糸ループ17(スパンデックス糸ループと非スパンデックス糸ループとが重なる)がべら針9からノックオーバープレート10箇所に落ち、新しい糸ループ18(スパンデックス糸ループと非スパンデックス糸ループとが重なる)が形成される。
【0045】
図30は、方法1の第2工程を示す。べら針9は、針コア8に対して上部へ運動すると共に機械前方へ移動し、その上部の針頭部が針コア8の上部の尖部及びノックオーバーカ
ム10から離れる。古い糸ループ17及び 新しい糸ループ18は、べら針9と共に上昇せずにループから後退状態にある。糸ガイド針11は、アンダーラッピング運動及び対応する挿入編み運動を行う。
【0046】
図31は、方法1の第3工程を示す。べら針9は、最高点まで上昇し、且つ機械の最前部まで運動する。地ガイドバーの糸ガイド針11は、オーバーラッピング運動及び挿入編み運動を行う。A、B糸がそれぞれ針フックに挿入され、糸ループ18が下部へ移動し続ける。
【0047】
図32は、方法1の第4工程を示す。べら針9は、機械の後方へ戻り且つ降下する。針コア8は、上方へ運動し且つ糸ループ18を貫通すると共に、べら針9の針フックを閉口させる。
【0048】
図33は、方法1の第5工程を示す。べら針9は、下方へ運動し続け、このときの針コア8も一緒に下方へ運動する。糸ループ18は、べら針9から離れて古い糸ループまで後退して、新しく形成された糸ループ19(Bスパンデックス及びA非スパンデックスから共に形成された糸ループ)に巻きつく。
【0049】
このような編織過程により、
図14に示された組織が形成される。
【0050】
<具体的な実現方法2>
図34は、方法2におけるマルチバー経編機の編織構成概略図である。GB1(
図34の1)及びGB2(
図34の1’)の2本のループ形成用地ガイドバーを利用して、それぞれA非スパンデックス及びBスパンデックス糸を送り込むことにより、本発明に記載のマルチバー経編地での使用が同様に実現される。本発明に係る編み方法により、編地は、伝線防止性能及び様々な良好な特性を得ることができる。
【0051】
ループ形成用地ガイドバーGB1の工程チェーン番号は、1−0/0−1//フルセットである。
【0052】
ループ形成用地ガイドバーGB2の工程チェーン番号は、1−0/0−1//フルセットである。
【0053】
図におけるジャカードガイドバー4及び5、緯糸挿入地ガイドバー6、各柄ガイドバー3は、それぞれジャカード柄及び様々な形態を有する編織可能な組織を編織する。
【0054】
図35は、方法2におけるマルチバー経編機の編織実施状態の概略図である。糸送り装置16を経てA非スパンデックス地糸を送り出し、張力補償装置13及び糸分け装置12を順に経て地ガイドバーの糸ガイド針孔11に送り込む。糸送り装置15を介してBスパンデックス糸を送り出し、糸ガイドロッド14及び糸分け装置12’を順に経て、地ガイドバーの糸ガイド針孔11’に送り込む。このように、地糸の糸ガイド針孔11及び地ガイドバーの糸ガイド針孔11’のそれぞれには、1本のループ形成糸が送り込まれ、その一本の糸は、A非スパンデックス及びBスパンデックスである。
図14に示すように、2組の糸の送り込み位置を変更してよく、送り込み位置を変更しても、マルチバー経編地の伝線防止性能に影響を与えない。これらの2本のループ形成用地ガイドバーは、同時に編織する場合、編地の外観に対する影響がほぼない。これらの2本のガイドバーの挿入編が同時でない(挿入編みの方向が異なる)場合、通常のマルチバー経編地の特性と同じであり、前後のガイドバーは、編地に上下層があるという相違点が現れる。本発明の方法は、布のニーズに応じて変更適用することができる。
【0055】
図36は、方法2の第1工程を示す。地ガイドバーの糸ガイド針は、機械の前方に位置し、針コア8及びべら針9は、最下位(ノックオーバー状態)に位置する。地ガイドバーの糸ガイド針11及び11’は、機械の前方に位置し、古い糸ループ17(スパンデックス糸ループと非スパンデックス糸ループとが重なる)がべら針9からノックオーバーカム10箇所に落ち、新しい糸ループ18(スパンデックス糸ループと非スパンデックス糸ループとが重なる)が形成される。
【0056】
図37は、方法2の第2工程を示す。べら針9は、針コア8に対して上部へ運動すると共に機械前方へ移動し、その上部の針頭部が針コア8の上部の尖部及びノックオーバーカム10から離れる。古い糸ループ17 及び新しい糸ループ18は、べら針9と共に上昇せずにループから後退状態にある。地ガイドバーの糸ガイド針11及び11’は、アンダーラッピング運動及び対応する挿入編み運動を行う。
【0057】
図38は、方法2の第3工程を示す。べら針9は、最高点まで上昇し、且つ機械の最前部まで運動する。地ガイドバーの糸ガイド針11及び11’は、オーバーラッピング運動及び挿入編み運動を行う。A、B糸がそれぞれ針フックに挿入され、糸ループ18が下部へ移動し続ける。
【0058】
図39は、方法2の第4工程を示す。べら針9は、機械の後方へ戻り且つ降下する。針コア8は、上方へ運動し且つ糸ループ18を貫通すると共に、べら針9の針フックを閉口させる。
【0059】
図40は、方法2の第5工程を示す。べら針9は、下方へ運動し続け、このときの針コア8も一緒に下方へ運動する。糸ループ18は、べら針9から離れて古い糸ループまで後退して、新しく形成された糸ループ19(Bスパンデックス及びA非スパンデックスから共に形成された糸ループ)に巻きつく。
【0060】
この方法での編織過程により、
図14に示された組織も形成される。
【0061】
<実施形態2>
図13は、スパンデックスを含む複合糸Cが用いられた地組織のループ形成であり、
図1と同様に、良好な伝線防止性能を有する。
【0062】
図15は、実施形態2の基本構造1を示す。布地ウェブの糸ループを形成するスパンデックス複合糸Cは、オープン式直鎖編組織である。
図16は、実施形態2の基本構造2を示す。布地ウェブの糸ループを形成するスパンデックス複合糸Cは、クローズド直鎖編組織である。工程のニーズに応じて、A、B糸が相互に開閉口状態となっている直鎖編組織を生み出してもよい。
図16及び
図17は、実施形態2の基本構造1及び基本構造2の概略図である。
図18の第1糸の構成概略図に示すように、スパンデックス複合糸の芯糸Bは、スパンデックスであり、その延伸比が外側を被覆している非スパンデックス糸Aと異なるため、
図19に示すように、糸ループにおける糸(編織の張力を受けて延伸)は、スパンデックスが被覆糸の外側に断続的に露出している状態である。糸ループにおけるスパンデックスと非スパンデックスとも接続点を有せば、スパンデックスとスパンデックスとも接続点を有し、その接続点として、a、b、c、d、e、fがある。一方、糸ループの実際の状態において、スパンデックスと非スパンデックスとがループ中心部及び延伸線においても重なり(g及びh)があり、従って、縦方向の同じ高さ内において、密度が薄い場合であっても、糸ループ同士の接続点及び重複箇所は、
図6及び
図7より明らかに多い。スパンデックスは、整経及び製織の際に一定の延伸比を有するため、原材料の特性と非スパンデックス原材料の延伸特性とが異なり、スパンデックスの熱定型後の収縮と非スパンデックス地糸材料の収縮とも異なり、前者が大きいため、糸ループ自体の抱合力が増加
し、糸ループの各糸の間及び交差する各接続点の間には応力が生じ、形成された糸ループが緊密で且つ一定の延伸特性を有し、従って、糸ループの糸が破損した後であっても、糸ループの水洗及び牽引による伝線は、極めて困難である。
図16及び
図17は、本発明の基本組織構造を示す。
【0063】
図27は、方法3におけるマルチバー経編機の編織構成概略図である。
【0064】
図41は、方法3の実施状態の概略図である。ここで、地ガイドバー糸ガイド針11、糸分け装置12、張力補償装置13、スパンデックス複合糸C及び糸送り装置15が示されている。
【0065】
糸送り装置15を介してスパンデックスを含む複合糸Cを送り出し、張力補償装置13及び糸分け装置12を順に経て地ガイドバーの糸ガイド針孔11に送り込む。これにより、地糸の糸ガイド針孔11には、ループ形成されたスパンデックス複合糸Cが送り込まれる。
【0066】
図42は、方法3の第1工程を示す。地ガイドバーの糸ガイド針は、機械の前方に位置し、針コア8及びべら針9は、最下位(ノックオーバー状態)に位置する。地ガイドバーの糸ガイド針11は、機械の前方に位置し、古い糸ループ17(スパンデックスを含む複合糸C)がべら針9からノックオーバーカム10箇所に落ち、新しい糸ループ18(スパンデックスを含む複合糸の糸ループ)が形成される。
【0067】
図43は、方法3の第2工程を示す。べら針9は、針コア8に対して上部へ運動すると共に機械前方へ移動し、その上部の針頭部が針コア8の上部の尖部及びノックオーバーカム10から離れる。古い糸ループ17 及び新しい糸ループ18は、べら針9と共に上昇せず、ループから後退状態にある。糸ガイド針11は、アンダーラッピング運動及び対応する挿入編み運動を行う。
【0068】
図44は、方法3の第3工程を示す。べら針9は、最高点まで上昇し、且つ機械の最前部まで運動する。地ガイドバー糸ガイド針11は、オーバーラッピング運動及び挿入編み運動を行う。A、B糸がそれぞれ針フックに挿入され、糸ループ18が下部へ移動し続ける。
【0069】
図45は、方法3における第4工程を示す。べら針9は、機械の後方へ戻り且つ降下する。針コア8は、上方へ運動し且つ糸ループ18を貫通すると共に、べら針9の針フックを閉口させる。
【0070】
図46は、方法3における第5工程を示す。べら針9は、下方へ運動し続け、このときの針コア8も一緒に下方へ運動する。糸ループ18は、べら針9から離れて古い糸ループまで後退して、新しく形成された糸ループ19(スパンデックスを含む複合糸Cから形成された糸ループ)に巻きつく。
【0071】
このような編織過程により、
図16に示された組織が形成される。
【0072】
図20、
図21及び
図22は、それぞれ実施形態1並びに2における挿入編みの例1、例2及び例3の構成概略図である。図に示されている組織構造が従来の組織構造と異なる基本特徴は、本発明に記載のスパンデックス及び非スパンデックス糸を採用して地組織を同時にループ形成させる方法、又は、本発明に記載のスパンデックスを含む複合糸を採用して地組織をループ形成させる方法である。
図20及び
図21は、鎖編移動状態の挿入編み図であり、工程で形成された六角形の状況に応じて、それぞれがオープン状態及びクロ
ーズド状態である。
【0073】
図20ループ形成用地ガイドバーの工程は、1−2/2−1/0−1/1−0/{(0−1/1−0/)*n}0−1/2−1/1−2/である。
【0074】
図21のループ形成用地ガイドバーの工程は、2−1/1−2/1−0/0−1/{(1−0/0−1/)*n}1−0/1−2/2−1/である。
【0075】
図22は、通常の強力編み目(POWERNET)であり、ループ形成用地ガイドバーの工程において、
GB1は、2−1/1−2/1−0/1−2/2−1/2−3//1out1inである。
GB2は、1−2/2−1/2−3/2−1/1−2/1−0//1in1outである。
【0076】
工程の設計ニーズに応じて、鎖編の長さnを変更することができる。nは、必要な編み目効果に応じて、0、1、2……であってよい。鎖編移動の際の延伸線は、編み目に対して横線効果を与え、従来の方法における鎖編移動は、伝線防止効果が限られている。一方、本発明の方法は、ニーズに応じて移動を変更(又は移動しない)することができる。
【0077】
本発明に係る上記の3つの方法は、ループ形成用地ガイドバー(1本のループ形成用地ガイドバー又は2本のループ形成用地ガイドバー)にスパンデックス糸を追加することにより、地組織において
図1の組織構造を形成させ、又は、スパンデックスを含む複合糸を用いて1本のループ形成用地ガイドバーにループ形成編織を行って
図13の組織構造を形成させることである。他の解決手段は、1組又は1組以上の糸送り装置、及び、1本又は1本以上のループ形成用地ガイドバーを介してループ形成編織を行う場合、マルチバー経編地では、地組織において
図1又は
図13の組織構造(工程の相違によって、全部又は一部が
図1又は
図13の組織構造を形成する)の形成を実現できる方法であれば、本特許請求の範囲に属す。
【0078】
本発明の保護要点は、以下の通りである。
マルチバー経編地の布地ウェブにおいて、スパンデックスを用いてループ形成編織を行い、非スパンデックス糸と共に布地ウェブの糸ループを形成させる方法、又は、スパンデックスを含む複合糸を用いてループ形成し、布地ウェブの糸ループを形成させる方法を採用している。このような構造を有するマルチバー経編地は、マルチバー経編地の一般的な特性を保持しつつ、高い伝線防止性能をも有し、さらに、ほかの良好な性能を有する。従って、同一又は類似の方法を用いて、同様な基本地組織構造(
図1及び
図13)を有するマルチバー経編地を形成させる編み方法について、権利保護を求めたい。
【0079】
本発明は、布地ウェブを形成するための非スパンデックス原材料及びスパンデックスを含む複合糸を形成するための非スパンデックス原材料に用いられる。これらの原材料は、ナイロン、ポリエステル等各種の化学繊維原材料及び天然繊維原材料等を含むが、これらに限定されない。
【0080】
本発明は、布地ウェブを形成するためのループ形成用スパンデックス原材料に用いられる。当該スパンデックスは、乾式紡糸、湿式紡糸、溶融紡糸及び化学反応紡糸等各種の紡糸方法で生産されたスパンデックスを含むが、これらに限定されない。
【0081】
本発明に係るマルチバー経編機のモデルは、様々な型番の経編機を含む。その特徴として、布地ウェブを形成するループ形成用地ガイドバー、及び、少なくとも1本の緯糸挿入
地ガイドバー又はジャカードガイドバー(これらに限定されない)を含む以外に、生地の模様及び、様々な機能又は効果を形成する複数の柄ガイドバー(Pattern bars)もある。これらの複数の柄ガイドバーの全部又は一部は、経編の落下板、ループ形成、緯糸挿入、アイドルスイング等の組織に用いられ、布地ウェブと合わせて様々なマルチバー経編地を形成することができる。
【0082】
本発明の方法によって編織されたマルチバー経編地の地組織にについて、同一又は類似の方法で形成された糸ループにおいて、糸ループのすべてが
図1又は
図13の基本地組織構造を含んでもよく、糸ループの一部のみ
図1又は
図13の基本地組織構造を含んでもよい。これにより、完全な伝線防止効果又は部分的な伝線防止効果を得ることができる。
【0083】
上述した内容は、本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明を限定するものではない。本発明の精神及び原則の範囲内で限り、いかなる修正、同等置換、改良などのすべては本発明の保護範囲内に含まれるべきである。